ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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14年ぶり、そして初めての雪の涸沢: 涸沢岳・北穂高岳その3  

2017年4月29日(土)~5月4日(木) 長野県松本市 涸沢岳(標高3110m)・北穂高岳(標高3106m) 


5月1日(月)
昨晩から降ったりやんだりの繰り返しだった雪は、朝になっても相変わらずでした。とりあえず朝食をとり、いつでも出られるように準備しながら天候の回復を待ちました。


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稜線は分厚いガスの中に隠れて見えません。風もそれなりに吹いています。停滞か、強硬か、なかなか判断はつきません。


8時頃、雪がやみました。天候が回復したわけではありませんが、風もそれほど強くなく、この分なら穂高岳山荘まで上がるぐらいは問題ないと判断。急いで出かける準備を整えました。


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8:38 穂高岳山荘の建つ白出のコルに向けて出発します。昨日と打って変わって登って行く人は見当たりません。誰もいないとさすがに不安になりますが、自分の判断を信じていくことにしました。ガスで視界が良くないので、目標物の何もないあずき沢直登コースではなく、昨日多くの登山者が登っていた涸沢小屋経由のコースで行くことにしました。


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涸沢小屋の横まで来ると再び雪が降り始めました。雪かきをしていたスタッフさんが奥穂高岳方面ならテラス下を通って、反対側からコースに入ってくださいと案内してくれました。案内に従ってテラス下を通って、小屋の反対側へと向かいます。


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涸沢小屋からは急傾斜の雪壁をトラバースしながら登って行きます。上から下山してくる登山者もあり、すれ違いを慎重にこなしながら進みます。


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斜面のトラバースの先には、さらに傾斜のきつい雪壁の直登がまっていました。気温はそれほど低くないので、雪はそれなりに柔らかかったものの、踏み抜きもなく足場はあまり心配しなくても大丈夫でした。


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雪壁を登り始めたころから雪が強くなり始めました。さらにガスも出て視界が効かないなか、そこらじゅうにあるトレースを見極めながら、とにかく上を目指して登って行きます。


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ガスが引いて視界が戻ってくると、上からパーティーが下ってきているのが見えました。その後ろに見えている岩は、ザイテングラート下部の岩です。出発してから1時間が経っていてそろそろ休憩したいところですが、この場所のすぐ右側には大きなデブリがあり、雪崩の発生する斜面でのんびりと休憩するわけにはいきません。ザイテングラートは小尾根なので、そこまで行けば安全に休憩できます。ひとまず、休憩はお預けにしてザイテングラートを目指しました。


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20分後、ザイテングラートのすぐ下まで登ってきました。あとちょっとです。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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9:52 ようやくザイテングラートの上にでました。決して平たんな場所ではありませんが、とりあえず雪崩の心配をしないですみます。バケツを掘ってバックパックをおろし、涸沢を見下ろしながら座って休憩することができました。


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これはザイテングラートのすぐそばにあったデブリです。涸沢小屋からのルートは、このデブリの末端のすぐ下を横切るように登ってくるので、けっこうドキドキものでした。


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ザイテングラートまで来ると、それまで姿のなかった先行者の姿がありました。どうやらあずき沢を直登してきたパーティーのようです。小屋に着いてからわかったことですが、てっきり4名のパーティーだと思っていたら、香港から来た3名に単独の女性が追い付いて4名パーティーのように見えていただけでした。先頭を行く香港からの登山者はとてもペースが遅く、別に急いだわけではないのですがすぐに彼らに追い付いてしまったので、トレースをかえて先行させてもらいました。


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登るにつれて斜度が増し、風と雪がきつくなってきました。その上ガスも濃くなってきて上も下も視界がなく、どこまで行けば白出のコルに出られるのかまったくまかりません。風に乗って雪が吹き付けてきて顔が痛いので、できればゴーグルをつけたいところですが、GWにゴーグルがほしいと思ったことが今までなかったので今回ももってこなかったことが悔やまれます。


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11:45 ガスが少し薄くなったとき、ようやく白出のコルが見えました。吹雪のような天候の中でスタッフが除雪作業をしているのがちょっと驚きでしたが、これぐらいの吹雪はたいして珍しくもないということなのかもしれません。


この少し前、まだ白出のコルの下まで来ていることがわからない状態で、上から小さな雪の塊や雪粒がパラパラと斜面を転がり落ちてきて、これは雪崩の前兆に違いないと思ってあわてて横方向に逃げました。雪山に登るようになって、この時ほど危機感を感じたことはありませんでしたが、なんのことはない、除雪機が吹き飛ばした雪が斜面を落ちてきただけだったようです。


ところで、この最後の登りがけっこう大変でした。白出のコルに近くなると傾斜が一番きつくなるわけですが、気温も下がり風も強くなるため、雪が固くなりつま先を蹴りこんでステップを作ることができなくなりました。当然、クランポンの前爪だけで登ることになるのですが、これがふくらはぎにけっこう負担が大きく、しばらく登るとふくらはぎが痛くなってきます。ふくらはぎの負担を軽くしようと膝をつくと、荷重が前爪から抜けるうえに荷重のかかる方向も斜面に平行になってしまうため、ずるずるとつま先が滑り始めてあわてるということの繰り返しでした。


今回装着していたクランポンは、グリベル G12エアーテック ニューマチックですが、岩場のある縦走で引っかかりにくいように爪が少し短くできています。つま先がずるずるするのがそのせいなのか、それとも急傾斜で膝をつけばクライミング用のクランポンでも同様になるのかはわかりませんが、急傾斜の雪壁をのぼるのに一抹の不安を感じたのは確かです。これまで立山や仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳で使ってきましたが、いちども不安を感じたことはありませんが、さすがに奥穂高岳は甘くないなと感じました。


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白出のコルに登ると、突然強風に見舞われました。雪煙を巻き上げて殴りつけるような強風が体を揺さぶる中、早く暖かい穂高岳山荘に入ろうと入口に向かいました。


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急いで玄関ドアを開けようとしたその時、玄関の扉にクランポンは外で外してくれと注意書きが書いてあるのに気が付きました。入口前はどういうわけか風が巻いていて、吹きさらしのコルよりももっとひどい状況でしたが、クランポンを外せというなら仕方ありません。竜巻のように雪が舞うなかでクランポンを外そうとしましたが、凍結した雪が紐に付着していてグローブを付けたままではなかなかひもを緩めることができません。しばらく紐を外そうとひっぱたり押したりしていましたが、どんどん寒くなってくるしこのままではいつまでも埒があきません。どうせ、すぐに小屋の中に入れるのだからと、グローブを外して素手で紐を外しましたが、ほんの数分の作業でも指先がちぎれそうなほどの痛さを感じて、小屋に入ってもしばらくは指が思うように動かすことができませんでした。


ようやく動くようになってきた指で装備を外し、宿泊の申し込みをして部屋に上がろうとしていた時に、途中で追い越した4名が小屋に入ってきました。外国人なので、玄関に書いてあった張り紙は当然読むことができず、クランポンを装着したまま小屋に入ってきた彼らですが、小屋のスタッフは特に注意することもなく迎え入れ、暖かい玄関ホールでゆっくりクランポンをはずしていました。バカ正直に極寒の外で素手になってクランポンを外した自分の苦労はなんだったんだと思いましたが、悪条件化でクランポンを外す術を考える必要があるということがわかっただけ、いい経験になったと思うことにしました。


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部屋に行ってみると、8人部屋を4名で使うゆったりとした状況でした。外は強風が唸りを上げて吹き荒れており、もう一歩たりとも外に出たくないという状況です。ダウンジャケットとダウンパンツに着替えて談話室に行き、ポットのお湯でカフェオレを作って飲みながら、置いてあった漫画を読みながら夕食の時間を待ちました。


夕食後、風は相変わらずゴーゴーとうなっていましたが、ガスが切れて太陽が顔を出し始めたので、一眼レフをもって撮影に出ました。岐阜側から猛烈に吹き付けてくる雪交じりの強風のために西を向くことができず、カメラで顔を覆いながら撮影していました。以下の写真はクリックで拡大します。


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ヘリポートから撮影した奥穂高岳です。右側が岐阜側、つまり西になります。強風が奥穂高岳の斜面を駆け上がり、稜線の左の信州側に雪煙を巻き上げていました。昨日涸沢から見た雪煙はこれだったようです。


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ジャンダルムから飛騨側に切れ落ちる岩稜の向こうには青空が広がっていました。


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白出沢を猛烈なスピードでガスが吹きあがってきます。


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涸沢岳は、静かに夕闇に沈もうとしていました。


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時折ガスが晴れて北穂高岳が顔をのぞかせてくれました。


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ほんのわずかな時間ですが、笠ヶ岳の向こうに沈む夕日を見ることができました。


40分ほど小屋の周辺で撮影をしていたらすっかり体が冷えてきたので、小屋に戻って漫画の続きを読んだあとに布団にもぐりました。

つづく。


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| 2017年4月 涸沢岳・北穂高岳 | 22:19 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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