ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

NEXT | PAGE-SELECT | PREV

≫ EDIT

厳冬期なのに晴天72時間: 鳳凰山その5

2016年12月30日(金)~2017年1月1日(日) 山梨県南アルプス市 観音岳(標高2841m)・薬師岳(標高2780m) テント泊単独行 



31日の夜は大みそかということもすっかり忘れて眠りこけていたので、正月らしい気分は何一つないまま目覚めた元旦の朝でした。


今日は下山予定日です。前の晩、今日の予定をどうするか寝袋の中で考えていました。とりあえず、白峰三山の朝焼けのシーンは前日に見たし、やり残したことは特にありません。しかし、せっかくいい天気が続いているのだから、初日の出を山の上から見て帰るぐらいのことをしてもいいなと思います。ただし、昨日行った辻山は東の展望がないので、初日の出を見るためには少なくとも砂払(岳)まで登る必要があります。約1時間の行程なのでそれほど大変ではありませんが、森林限界の上になるため風がきついと思われ、じっとして日の出を見るにはそれなりに厳しい環境です。


行くかどうか逡巡しているときに、ふと昨日の下山時に砂払(岳)ピークの南側に大岩が風を遮ってくれて、風の弱い場所があったことを思いだしました。風向きはその時々で変わるので、元旦の朝も風がさえぎられるかどうかはわかりませんが、同じような晴天の日なら、おおむね同じような風向きになる可能性が高そうです。あそこなら吹きさらしの場所にいるよりはかなりましだろうということで、とりあえず砂払(岳)まで朝いちばんに登ってみることにしました。


体が温まるようにと朝食はカレーにしました。最近は夜にラーメン、朝にカレーや丼ものという献立が定番となりました。理由は、朝食にラーメンを作ると、クッカーの掃除が面倒で手間がかかるからです。カレーや丼ものであれば、アルファ米のパックに直接入れて食べてしまえるので、クッカーはお湯を沸かすだけで済みます。食べ終わったらアルファ米のパックを捨ててしまえば終わりなので、手間いらずなのです。


IMG_6732.jpg
5:06 砂払(岳)に向けて出発です。ほかのテントでもすでにごそごそと出かける準備をしている音が聞こえますが、出発するのは一足早いタイミングのようです。後ろからがつがつ来られるといやなので、ちょうどいいタイミングでした。


IMG_6733.jpg
真っ暗な登山道をヘッドライトの明かりを頼りに進みます。気温はかなり低いのですが、風が直接吹き付けてこないので、それほど寒いという感じはありません。


6:10 砂払(岳)の大岩が風を遮ってくれる場所に着きました。日の出までまだ30分ぐらいあるので、空はほんのりと明るくなり始めたぐらいです。念のため、もっと風が弱くなる場所がないかと砂払(岳)のピークまで行ってみましたが、思っていた場所よりも条件のいい場所はありませんでした。


荷物を降ろしてカメラを取り出していたときに、三脚を忘れてきたことに気が付きました。日の出の写真であれば、十分明るいので三脚はなくても問題ありませんが、日の出前の撮影では三脚がないと厳しい条件です。とはいえ、いまさらとりに戻ることなどできないので、手持ちでなんとかするしかありません。


空は昨日と同じく、雲一つない晴天です。このぶんだと、2000年9月に初めて登った北岳のキャンプ場から見た夜明けの富士山と同じ光景が見られそうな予感がします。


富士山の背後の空が次第に色づいてくるのをじっと待っているときが、けっこうつらい時間でした。思っていたよりも風が強く、昨日ほど風がさえぎられている感じがないため、大岩の風下にいるとはいえ、結構寒さは厳しい状況です。ハードシェルとダウンジャケットを両方着ていてもじんわりと寒さがしみ込んできます。風がきついせいもあるのでしょうが、気温も昨日よりは少し低いような気がします。とにかく寒い。


今回、ダウンは就寝時に使っているモンベル ライトアルパインパーカーしか持ってきていなかったので、サイズ的にハードシェルの外側にアウターとして着ていたのですが、基本的にこういうときはハードシェルの内側にインナーとして着られる少し薄手のダウンのほうが暖かいと感じます。やはり防風性能はゴアテックスのハードシェルのほうが断然優秀なので、ダウンをアウターにしてしまうと保温効果が今一つのようです。さらに、手足の指先が時間とともに冷えてジンジンしてきました。足踏みをしたり体をゆすったりしながら、空が明るくなるのを待っていました。


IMG_6735.jpg
6:30 富士山の背後の空が赤く染まり始めました。いよいよショーの始まりです。とりあえず、コンデジで1枚撮ってみましたが、こういうときはコンデジでは力不足です。ダイナミックレンジの狭いコンデジのセンサーでは、微妙な空のグラデーションを表現しきれず、白とびしがちです。素直に一眼レフに持ち替えて撮影開始です。この後の写真は一眼レフで撮影したもので、クリックで拡大します。


IMG_1939.jpg
手持ちということで、ISOを手振れしないぎりぎりのところまで上げざるを得ませんでしたが、何度か撮影して確認してみたところ、ISO1250でF5.6、マイナス1補正で1/8秒ならなんとかぶれずに撮影することができました。といっても、レンズを支える左手を岩に置いて上からカメラを押さえつけるようにして撮影して初めてブレが止まりました。もちろん、手振れ補正をONにしての話です。この時の焦点距離は望遠端の105㎜です。


IMG_1949_201701161758571f8.jpg
2000年に北岳から見た富士山の夜明けと同じ光景が眼前に広がります。地面よりも明るい空が多めなので、絞りはf5.6、マイナス1補正でも、ISO800で1/40秒でシャッターが切れました。この速度なら手持ちでも十分です。


IMG_1954_201701161758585d6.jpg
高所から見る夜明けの光景は、いつみても感動的です。地平線が赤く染まり始めるところから見られるからなのか、それともほかに理由があるのかわかりませんが、この瞬間、寒さも忘れてしまいます。


IMG_1959.jpg
次第に赤から黄色へと染まる部分が上昇していきます。


IMG_1973_20170116175901915.jpg
やがて空を染めた夜明けのショーは終わりを告げ、いよいよ主役の登場となりました。地平線にかかった雲の上端がオレンジ色に輝き始めます。


IMG_1988.jpg
7:10 2017年の夜明けです。あふれ出た太陽の光が、周囲のものを赤く染めていきます。


IMG_1995_2017011618002644f.jpg
頭をガスに隠した北岳は、今朝はちょっと不機嫌そうです。


IMG_2001_20170116180028f87.jpg
間ノ岳のほうは、今朝も穏やかです。


IMG_2017_201701161800290b1.jpg
結局、北岳は最後まで頭を隠したままでした。


IMG_2043_20170116180031254.jpg
時折吹く突風が雪を舞い上げるので、雪粒がまるでダイヤモンドダストのように朝日に輝きながら空中を舞い踊ります。


IMG_2049_20170116181225a31.jpg
氷の薄化粧を施したダケカンバの若木も、朝日を浴びて輝きます。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




IMG_6737.jpg
日も昇って、朝焼けのドラマが終わりを告げ、寒いというよりも痛いという感覚に変わりつつある手足の指先が凍傷になってしまわないうちに撤収することにしました。撮影途中の7時15分に確認した気温は、マイナス12度でした。風もあったので、体感温度はさらに10度ぐらい低かったかもしれません。


IMG_6738.jpg
8:03 テントまで戻ってきました。冷えた体を温めるために、ひとまず中に入って熱くて甘いカフェオレを飲んで一息つきました。そのあと軽く食事をとり、下山時のお湯を沸かしたりしたあと、撤収開始です。冬用外張りの内側が結露でバリバリになっているだろうなと思っていたのですが、意外にもほぼ結露はなくさらりと乾いていました。テントに日が当たっている状態ではないし、少し前にお湯を沸かしたりしていたのに、なんだか不思議です。まあ、結露しにくいということなら願ったりかなったりです。


IMG_6739.jpg
11:20 撤収完了。ちんたらやっていたら思いのほか時間がかかってしまいました。


IMG_6740.jpg
11:29 テント場を後にします。


IMG_6741.jpg
12:02 苺平を通過。


IMG_6742.jpg
バリバリに凍結した川のようになっている登山道も、スノーグラバーのおかげでスリップすることなくサクサク下ります。


IMG_6743.jpg
12:52 日当たりのいい火事場跡で一休みしました。


IMG_6744.jpg
ふと気が付くと、朝は頭を隠していた北岳が、すっきりと頭を出していました。


IMG_6745.jpg
白峰三山も真っ青な空の下でみな穏やかにたたずんでいるかのようです。


IMG_6746.jpg
標高が低くなったので風も弱まり、寒さもゆるんで気持ちのいい午後です。結局、入山してから下山するまでの三日間、一度も天気が崩れることなく、晴天が続きました。厳冬期にこれほど好天に恵まれた山行は初めてです。


IMG_6747.jpg
13:49 杖立峠で荷物の重さがつらくなってきたので、少し長めの休憩をとりました。


IMG_6748_20170116180335ff5.jpg
杖立峠から夜叉神峠までの区間が、下山ルートで一番つらかったかもしれません。次第に足が痛くなってきて、夜叉神峠手前の落ち葉が積もった急傾斜の下りは、かなり堪えました。


IMG_6751.jpg
15:09 急傾斜を下りきってからの登り返しにうんざりしながら、ようやく夜叉神峠小屋まで戻ってきました。もう歩くのが嫌になりかけていたので、遅い時間ながら荷物を降ろしてベンチに座り込みました。


IMG_6753.jpg
これで見納めとなる白峰三山を眺めながら、行動食を食べたり、お湯を飲んだりして最後の下りを乗り切るためのエネルギーをチャージします。かれこれ30分ほど休憩して、出発しました。


IMG_6755.jpg
夜叉神峠を左に折れて、駐車場へと向かいます。


IMG_6756.jpg
16:17 途中一度休憩を入れて、ようやく駐車場へたどり着きました。すっかり足が痛くなってしまい、これ以上は絶対歩きたくないという状況だったので、思わず安堵のため息が漏れました。


20170101houousanzan1.jpg

20170101houousanzan2.jpg




南アルプス街道を下り、おりきったところにあるローソンで下山後の定番と化しつつあるカスタードクリームとホイップクリームが入ったビッグシュークリームと牛乳を堪能しつつ、近くの日帰り温泉をネットで探してみたところ、3つ見つかりました。しかし、そのうちの2つは、山梨県民が410円の入浴料のところ、県外者は倍の820円という価格になっています。いくらなんでもぼったくり過ぎです。残りの一つは県外者差別はなかったものの、700円とそこそこ高いし、場所的にけっこう混んでそうな予感がします。どうせ明日は八ヶ岳に登る予定で茅野方面に行くのだから、こんな県外者差別をするようなところの温泉に入ることもないということで、以前訪れたことがある八ヶ岳山麓のもみの湯に行ってみたところ、正月は20時までの営業で、入ったのが19時を過ぎていたため、なんと300円で入浴することができました。やっぱり温泉に入るのなら長野県に限ると思った次第です。


入浴後、原村のセブンイレブンによって弁当を買って食べ、どこか近くに車中泊できるところはないかと調べてみると、わりと近いところに弓張公園というのが見つかったので、そこに向かいました。駐車場もそこそこ広いし、住宅街からは離れていたので安眠できそうでしたが、公衆トイレは閉鎖されていて使用不可でした。なので、どこかほかを探そうと思っていたら、突然赤色灯を点灯したパトカーがやってきました。僕が到着してから1分もたたないぐらいのタイミングだったので、偶然にしてはできすぎです。おそらく、不審者を警戒するためにどこかで見張っていたのでしょう。正月ということもあり、人けのない公園でクスリなどの犯罪行為を行っているという嫌疑でもかけられたようです。まあ、警察官も仕事としてやっているのでわからないわけではないものの、やはり犯罪者かもしれないという嫌疑をもって扱われると、気分も悪いしついつっけんどんな受け答えをしてしてしまいました。ああいうときはもう少し余裕をもって、愛想よく会話したほうがあとあと不愉快な気持ちが残らなくていいでしょうから、今後はもう少し大人になるよう気を付けたいと思います。


その後は、想像通り免許証の確認と根掘り葉掘りの質問攻めで、しまいには家出人の届出リストの該当者でないかどうかの確認までされて、けっこう長い時間拘束されてしまいました。うかつに人けのない公園なんかに行くとろくなことはありません。ようやく解放されたものの、もはやこのあたりで車中泊の場所を探すのは気が進まなかったので、もっと市街地に近い場所で探すことにしました。


一番近かったのは茅野市運動公園ですが、同じ公園ということでまた警察に職質されるかもしれないという気がして、少し時間がかかるものの、諏訪湖畔のヨットハーバー駐車場まで移動しました。ネットでも車中泊地としての情報があるし、民間のヨットハーバーなのかどうかわかりませんが、ヨットハーバーという施設の敷地なら警察もわざわざ入ってこないだろうということで、ここに決めました。公衆トイレは使えたものの、水道は凍結防止で止められていたのが残念ですが、とりあえず朝まで安心して眠ることができました。もっとも、近くにある湖畔公園の駐車場のほうが、トイレも水道も使えたし、すぐ前にセブンイレブンや温泉(片倉館)もあって便利なので、今後は湖畔公園のほうを使いたいと思います。



ランキングアップにポチッとご協力お願いします。
にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

| 2016年12月 鳳凰山 | 18:22 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

NEXT | PAGE-SELECT | PREV