ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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南アルプス 標高3000mの縦走路: 白峰三山 その5(農鳥岳/下山編)

2016年8月11日(木)~14日(日) 山梨県 北岳(標高3193m)・間ノ岳(標高3190m)・農鳥岳(3026m) テント泊単独行 



8月14日(日)
午前4時前に起床。今年もイスカ チロルという最低使用温度が6度の夏用寝袋を持ってきたのですが、標高3000m近い北岳山荘や農鳥岳のキャンプ場でも温かく眠ることができました。もちろん、ダウンジャケットとダウンパンツを着用しての話です。あまり冷え込まず、最低気温が10度を下回ることがなかったので助かりました。


最後の食事になるので、余った食材を少しでも軽くするために、朝からちょいと豪勢にフリーズドライの親子丼に味噌汁、ソーセージで朝食。レトルトと違ってフリーズドライの親子丼なのであまり軽量化に貢献するわけではないのですが、見た目の容積が減るので荷物が軽くなった気がするというわけです。


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4:46 食事を終えて、テントから外の様子を確認してみると、空はきれいに晴れていて、眼下には雲海が広がっていました。


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パッキングの途中で日が昇ってきました。流れる雲に隠れていましたが、まぶしい光になんとなく残っていた眠たさも消えていきます。


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撤収している時、農鳥岳にかかっていた雲が流れ始めました。


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太陽もすっかり雲海の上に姿を現しました。下界では曇りの天気なのでしょうが、標高3000m近いここでは、見事な晴天です。地上にいたのでは観られないというちょっとした優越感を感じるこの光景が、高い山に登りたいという欲求の源なのかもしれません。


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6:04 再びガスがかかり始めた農鳥岳に向けて歩き始めます。奈良田の駐車場に戻るのに第一発電所前のバス停に14:39の奈良田行きがあるので、それに乗るために逆算したら遅くとも6:30に出発という計画でしたが、30分早く出発することができました。


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背後の間ノ岳はガスもなくすっきりと晴れています。


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キャンプ場を離れ、急傾斜の岩ゴロ斜面をジグザグに登って行きます。


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30分ほど登ったところで小休止。振り返れば農鳥小屋が遥かに小さく、間ノ岳もおなじぐらいの高さに見えるようになっています。


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朝は見えていなかった富士山も姿を現しました。


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ピークがかなり近づいてきました。登り斜面もあと少しで終わりそうです。


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ピーク直下までくると、道は直登しないで西側を巻きます。


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ぐるっと西側を巻いて進むと、稜線が見えました。ここから先は稜線歩きです。


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6:55 西農鳥岳の手前まで来ました。逆光でシルエットになったピークには先行の登山者がいて、ちょうどいい点景になっています。眼下の雲海から遥かに高い位置にあるので、3051mの高さとは思えないほどの高度感があります。


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太陽と富士山と農鳥岳も入れて撮ってみました。農鳥岳は富士山の手前にあるフラットな台形の山です。


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7:00 西農鳥岳です。それほど広い山頂ではなく、4畳半程度の広さしかありません。ただ、眺めはなかなかでした。


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北側には登って来た稜線と農鳥小屋、間ノ岳の背後には北岳の頭も見えています。


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どっしりとした間ノ岳と鋭く尖った北岳の標高2位3位コンビです。


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南西方向には、特徴的な山容の塩見岳が見えています。その背後に巨大な積乱雲が発達していて、夏らしさを感じます。この塩見岳の姿は妙に惹かれるものがあり、早い時期に訪れて見たいと思った山でした。


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南東方向には、農鳥岳のピーク越しに富士山の頭が浮かんでいます。


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7:09 後から登山者がやってきたので、農鳥岳に向けて出発することにしました。西農鳥岳から先は、あいかわらずの稜線歩きです。


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カメラの望遠で農鳥岳を見ると、山頂に人のシルエットがちらほら見えています。それにしても、富士山はどこから見ても同じ形で、不思議な存在感があります。


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農鳥岳の手前に峻険な岩峰が連なっているのですが、これを超えるのはけっこうやっかいそうだなと思いながら近づいてみると、どうやら道は右へ下って西側から巻いて行くようです。


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岩峰の西側を下から巻いて行く道は、巻き道とはいえそれなりに厄介なところもありました。


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下を見れば遥か彼方まで岩ゴロの急傾斜が続いています。そしてその奥に塩見岳が悠然と聳えているのが見えます。


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岩峰の下の岩場を乗り越え、ようやく農鳥岳が見える稜線まで戻ってきたら、鳳凰三山が見えました。


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もう農鳥岳は目の前です。


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7:54 農鳥岳登頂。山頂には大勢の人がいましたが標柱は誰も記念撮影をしていなかったので、荷物も下ろさずさっさと自撮りして、一段下のフラットな場所に移動しました。


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富士山がよく見える場所で記念撮影。逆光なのでストロボを発光させたのですが、それでも雲海の輝きには勝てず暗めの写真になってしまいました。ちなみに、この写真のように雲海の水平線が首を切る位置にあるのは、ポートレート写真としてはやってはいけないことのひとつです。セルフタイマーで撮ったので、この場合は不可抗力。


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朝はガスがかかっていた間ノ岳も北岳も、すっきりと姿を見せています。北岳は南から見るとこれほど鋭角な山容を見せるとは知りませんでした。甲斐駒から観る姿もけっこう鋭い感じですが、農鳥岳から見る姿が一番すっきりとしていてシャープな感じです。


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眼下には相変わらず雲の波が押し寄せて来ています。


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白く輝く雲海から頭を突き出す孤高の富士山。見ていると登りたくなってきます。下山後、富士山に移動して翌日昇るつもりでいるのですが、はたして登れるかどうか。とにかく、天気と下山後の体調次第です。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。





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8:42 バスの時間から逆算したら農鳥岳を8:50に出発すればいいのですが、少し早めに出ることにしました。農鳥岳から大門沢下降点への道は、登って来た道とは反対側の東斜面をトラバースしていきます。


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トラバース区間を過ぎると、ゆったりとした二重山稜の道になりました。


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どんどん下って行くとすり鉢状の凹部の縁に人の姿がたくさん見えてきました。どうやらあそこが大門沢下降点のようです。とすると、その奥に見えているのが広河内岳でしょう。


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9:15 大門沢下降点には、ベルが設置された鉄製の道標が立っていました。かなり巾の広い尾根の鞍部なので、ガスが出たときに迷いやすくこのように目立つものを設置したのだと思いますが、それでも本当にガスでまっしろになったらこの道標でさえ見つけにくいのではないかと感じます。予定では下降点を9:30に通過することになっていたので、15分の余裕ができました。ところが、このあと思っていたよりも下りに時間がかかってしまい焦ることになってしまいました。


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下降点からは、尾根でもなく沢でもない急傾斜の斜面を下って行きます。


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まだ森林限界よりも上にいるらしく、木々がなく強烈な日差しをモロに浴びながらひたすら高度を下げます。


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途中、道が一部崩落した箇所もありましたが、とりあえずスリップしたりすることもなく無事に通過しました。


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9:36 幕営跡のある平坦な場所に出ました。大岩がいい具合にベンチのようになっていたので、小休止をとりました。高度を下げていくので、時間とともにどんどん暑くなってやたらとのどが渇きます。


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休憩しているときに正面の山の木々の緑と青空のコントラストがすごく鮮やかできれいでした。


休憩を終えて出発してからは、とにかく激下りで写真はまったく撮っていません。行けども行けども急峻な下りの道は終わる気配がありません。その上、たまに出てくる湿った赤土のところで2度スリップダウン。幸い怪我はなかったのですが、激下りで疲れた脚は一度バランスを崩すともはや立て直すだけの体力は残っていません。また、大きな段差を下りようとして横を向いて足をおいた木の根でスリップしたときは、そのまま後にひっくり返りそうになりました。ちょうど横を向いていたので後ろは斜面になっていて、そのまま倒れたら転落してしまいます。必死で後に倒れないように立て直して事なきを得ましたが、今回の山行で最大の危機がこのときでした。


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激下りがやっと終わって沢沿いの道に変わっても、壊れた橋があったりでなかなか楽に歩かせてはもらえません。


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11:32 へろへろになりながらようやく大門沢小屋に到着しました。予定では11:30に小屋を出なければなりませんが、水がまったくなくなっているし、疲れもかなりたまっているので、さすがにそのまま通過することはできません。ひとまず荷物を下ろして水を補給してから、冷たいコーラを飲み干しました。


下降点であった15分のアドバンテージを使い切ってしまい、しかも少し遅れ気味のスケジュールです。大門沢小屋から第一発電所バス停までは3時間のコースタイムですが、下降点から小屋までコースタイムより遅れてしまったことを考えると、はたして3時間を切るタイムで下ることができるのか不安が残ります。万一バスの時間に間に合わなくても、第一発電所からは30分ほど歩けば奈良田駐車場まで帰れるし、最悪でも夕方の最終バスで帰ることもできます。とりあえず、行くしかありません。


11:46 トイレを済ませ、頭に冷たい水を浴びてから、出発しました。ここから先の道は、これまでこれほど本気で歩いたことはないというぐらいマジで歩きました。林道に出ればスピードも上がるので、それまでの山道部分でいかに時間を稼げるかが勝負だと考えて、沢沿いの歩きにくい箇所もガシガシ乗り越えて進みました。


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やがて小さな尾根の上に出ると、ようやく比較的平坦な森の中の道になりました。


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そのまま、平坦な森の中を進むのかと思いきや、道はどういうわけか右手の斜面をトラバースしながら徐々に高度を上げていきます。


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12:32 どうなっているんだと思いながらも進んでいくと、再び尾根の上にでました。道は尾根を越えて反対側の斜面を下っていきます。このためにわざわざ斜面を登って来たのかと合点が行きました。尾根上で少し休憩をとってから、先を急ぎました。


尾根を大きく回りこみながら下って行くと、やっと平坦な道になりました。しかし、しばらく進むと再び斜面をジグザグに下るようになり、なかなか林道に出る気配はありません。おそらく発電所取水口から先は工事車両などが通行できるように林道が整備されているでしょうから、それまでの辛抱です。


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13:41 取水口手前の小コモリ沢にでました。もう汗で全身びっしょりです。できることならここで水浴びしたいほどですが、とりあえず顔と頭を洗って気分をリフレッシュしました。残り時間は1時間を切っています。はたしてここから1時間以内で到着できるのでしょうか。


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13:50 取水口のつり橋を渡ります。この先は林道に違いないと思いながら、揺れるつり橋を大急ぎで渡りきりました。


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ところが、取水口の施設を通り過ぎても道は細い登山道のままです。こんな道であんなところにどうやってコンクリートの取水口を建設したのか謎ですが、それでも山道よりはましな道をどんどん進んでいきました。


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13:56 森を抜けると広々とした工事現場のような場所に出ました。大きな堰堤の上流側です。さすがにここから下流側は車両の通行できる林道だろうと期待が膨らみます。


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確かに林道はありました。しかし、そこには「立入禁止」の札がかかり、登山道は右の森の中へと続いているではありませんか。もしもこの先ずっと森の中の道だとしたら、バスの時間には間に合わない可能性が高くなります。信じられないという気持ちで意気消沈しつつも歩き続けます。


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堰堤の下流側に出てきたら、大きな吊橋がありました。対岸には車が止まっています。ということは、これを渡れば待望の林道に出られそうです。


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14:07 待ちに待った林道です。


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林道に出たところにあった看板には、第一発電所まで2.2kmと書かれてありました。残り時間は約30分。通常歩行で時速4kmぐらいですから、2.2kmならちょうど30分ぐらいです。ぎりぎり間に合いそうということで、脚の疲れや痛みを無視して大またで歩き始めました。


ところが、少し先の道にうずくまっている人がいて、近づくと呼び止められてしまいました。なんでも、下山中に転倒して肩を強打し脱臼しているかもしれないとのこと。一緒にいた知り合いに先に行って救急車を呼んでもらうように頼んであるので、当初は転倒した場所で待っていたらしいが、山中ということでここまで痛みを押して歩いてきたとのこと。おそらく第一発電所のバス停にいるであろう知り合いに、ここまできたことを伝えてほしいとのことでした。遭難の救助要請だったらバスをあきらめざるを得ないところでしたが、単なる伝言だったのですぐにその場を離れることができました。しかし、2分ほど時間を使ってしまったのが痛いところです。


その先はいっさい休憩することもなく、ひたすら第一発電所を目指して歩き続けました。途中で救急車がやってきたので、肩を痛めた人の相方が消防に連絡して手配してもらったのでしょう。


14:35 なんとかぎりぎりバスの時間に間に合いました。林道に出てからは写真を撮ることをすっかり忘れていたので写真はありません。肩を痛めた人に聞いていた相方さんらしき人を見つけて伝言を頼まれたことを伝えたのですが、話を聞いてみてびっくり。なんと一緒に登山していた仲間ではなく、たまたま途中で一緒になっただけの赤の他人だったのです。さらに、救急車は別件で第一発電所に来ていただけで、この人が呼んだわけではなかったとか。それでも救急隊員に話をして救助を頼んだらしいので、結果的に必要なことはすべて手配できたようです。なんとも変な話です。


汗だくでたどり着いた第一発電所ですが、奈良田行きのバスは予定時刻よりも遅れて来ました。こんなことならあれほど焦らなくてもよかったのですが、遅れるかどうかはその時になって見ないとわからないので、やはり時刻表の時間よりも前についておく必要があります。それよりも、朝30分早く出てぎりぎりの到着だったわけですから、予定通り出ていたら確実に間に合いませんでした。6時に出て14時30分着ですから、農鳥小屋から第一発電所までは8時間半かかったわけです。お昼休憩もとるのであれば、もう少し余裕を見て、9時間半と考えておいたほうがよさそうです。


第一発電所から奈良田駐車場までのバス代は150円でした。大門沢小屋でコーラを買ったとき、おもわず小銭を使ってしまい、5千円札と一万円札しかなくて、車掌のおばさんをあわてさせてしまいました。さいわい5千円でおつりがあったので事なきをえましたが、このバスを利用する時はくれぐれも小銭を忘れないようにしましょう。


痛みと疲れで棒のようになった脚を無理やり動かして駐車場の車にたどり着き、汗で濡れた服を脱いでフェンスや車のドアなどに干していると、救急車がサイレンを鳴らしながら早川町方面に走り去っていきました。肩を脱臼した人は無事に救助されたようです。


その後、奈良田の集落に移動して奈良田温泉に立ち寄りました。しかし、この温泉は坂の上にあり、建物周りに駐車場がないので、下の駐車場に車を止めて歩いていかなければなりません。激下りと林道歩きで脚が棒になっている人間には苦痛以外の何物でもありません。そのためか、日曜日だというのに温泉はけっこう空いていました。下山してきて疲れていたら、ここではなくてもう少しくだったところにある西山温泉 湯島の湯のほうが道路沿いにあって楽なので、普通はそちらにいくだろうなと思います。もっとも、泉質はぬめっとしたいいお湯でした。


ところで、下山後に富士山にも登るという予定でしたが、車の乗り降りすら大変な状態だったので、当然ながらキャンセルです。すたこらさっさと帰りました。


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| 2016年8月 北岳・間ノ岳・農鳥岳 | 12:37 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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