ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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南アルプス 標高3000mの縦走路: 白峰三山 その1(入山編)

2016年8月11日(木)~14日(日) 山梨県 北岳(標高3193m)・間ノ岳(標高3190m)・農鳥岳(3026m) テント泊単独行 


今年のお盆休みはどこも天候には恵まれていたようで、天気予報を見る限りではどこに行っても天気の心配はなさそうでした。GWに甲斐駒から眺めた北岳の印象が強く、16年ぶりに北岳に登ってみようかという思いはあったものの、立山から薬師岳を経由して雲ノ平、鷲羽岳を経て水晶岳から読売新道で黒部湖に下るというルートも捨てがたい。いや、いっそまだ足を踏み入れていない後立山縦走もよさそう。などと、浮気心に火がついたこともあって、直前までどうするか決めかねていました。


しかし、お盆休みで混雑必至であることや、南アルプスのほうが北アルプスよりもまだ空いていそうだし、なによりも北岳の雄姿が脳裏から離れないこともあって、当初の予定通り北岳を目指すことを決めたのでした。


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初めは北沢峠から仙丈ヶ岳、仙塩尾根をたどって間ノ岳から北岳へというルートを検討していましたが、長大で展望も利かず、しかもけっこう荒れ気味らしい仙塩尾根を歩くことにあまり魅力を感じず、どうせなら農鳥岳も登って白峰三山を落としたいということから、奈良田から入って広河原までバスで行き、白峰三山を南下して大門沢下降点から奈良田へ下るという縦走登山で行くことにしました。


8月10日の夕方には出発し、11日の始発のバスで奈良田から広河原へ移動するつもりでいたのですが、こういうときに限って仕事が入ってくるもので、10日の17時と18時に仕事が入ってしまい、しかも18時のほうは現場が玉野市。片道1時間近くかかるとあって、戻ってきたのは19時を回っていました。シャワーだけ浴びてさっさと出ればいいものを、夕食もたべたものだから出発したのは21時前。奈良田までは8時間ほどのドライブです。夜通し一人で運転するわけですから疲れもたまります。

8月11日(木)
奈良田駐車場に着いたのは5時過ぎ。始発のバスは5時30分なのでなんとか間に合ったのですが、さすがに一睡もしないで車を運転してきて、重いテント泊縦走の装備で標高3000mの肩ノ小屋まで登れるとも思えません。たとえ登れたとしても疲労困憊で動けなくなる可能性もあり、無理は禁物です。そういうわけで、始発はあきらめて次の9時の便で行くことにし、何はともあれ仮眠することにしました。車の中で横になってしまえば、いつの間にか意識は飛んでいました。


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7時過ぎに目が覚めました。わずか2時間の仮眠とはいえ、思いのほか頭はスッキリ。 準備を整え、8時20分ぐらいには駐車場入口にあるバス乗場に行きました。休日なので混んでいるだろうと思っていたのですが、まだ誰もいません。駐車場についたときは始発のバスの30分まえでもすでに列ができていたのに、1本遅らせるとこんなものなのかもしれません。


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ちなみに、僕が駐車したのは奈良田第二駐車場という川沿いの広い駐車場で、奈良田バス亭よりも少し上流にあります。写真で見ると満車みたいですが、奥行きがあるのでキャパの3割ぐらいの数しか停まっていません。


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グーグルマップでは「奈良田温泉駐車場」と表示されています。奈良田バス亭は大家旅館のすぐ隣にあり、道路沿いの草地などに駐車することができますが、すでに満車でした。

バスは奈良田バス亭から出ますが、こちらの駐車場にも停まります。満員で乗れなくなりそうな気がしますが、奈良田の乗客でほぼ満員のバスのほかに、空のバスがもう一台来るので心配無用です。奈良田のバス亭にはちゃんとした公衆トイレがあり水道も使えるのがメリットですが、第二駐車場のほうにもきれいな仮設トイレが3つ備えられていて、沢水を引いた手洗いも設置されているので、とくに困ることはありません。奈良田の下流側300mぐらいのところにある駐車スペースに停めて荷物を担いで歩いてバス停まで行くよりも、第二駐車場に素直に停めたほうが全然楽です。


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バスの時間が近づいてくると20人ぐらいの列ができましたが、お盆休みの初日である山の日にしてはこんなものかというレベルでした。バス料金は広河原まで1030円ですが、マイカー規制協力金として100円を徴収されるので、合計1130円です。マイカーを規制されてバスを利用しているのに、さらに協力金を取られるというのもなんだか妙な気がしますが、駐車場の整備代だと思えば納得です。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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時刻表では9時45分に広河原着となっていますが、多少遅れて50分過ぎに到着しました。バス亭から少し歩くと吊橋があり、その手前で目指す北岳が見えました。16年前にもここからこの風景を眺めたのをいまでも鮮明に覚えています。購入したばかりのテント泊装備の重さに不安を覚えながらも、真っ青な空に聳える北岳の姿に武者震いがするような緊張感を覚えたものです。


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つり橋の風景もあの頃と同じです。わずかに揺れるつり橋を、一歩一歩足元を確かめるように渡ります。


つり橋を渡りきったところにある広河原山荘に立ち寄って、水の補給をし、もってきた菓子パンで朝食をすませ、トイレにも立ち寄って準備を整えます。肩ノ小屋まで行くかどうかわかりませんが、念のため水は3リットルほど持っていくことにしました。


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最近の夏場の山行では、1リットルのプラティパスをアミノバイタルウォーターのハイドレーションにして、予備の水をアルミボトルとプラティパスに分けておくというのがパターンです。アミノバイタルウォーターはそれ自体にカロリーがあり、アミノ酸も含有しているので行動食代わりにもなり、空腹感が押さえられシャリバテしにくいと感じます。スポーツドリンク同様に汗で失われた塩分などの補給もできるので、一石二鳥です。







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10:27 広河原で30分も使ってしまいましたが、ようやく出発です。ルートは大樺沢ルートの二俣経由です。二俣に着いた時点で、残り時間や体力状況で肩ノ小屋まで行くか、白根御池小屋でテントを張るか決めることにしました。


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約30分で白根御池分岐点です。多くの人が休憩していたので、ここは通過します。道標には白根御池、二俣ともに約3時間となっていましたが、山と高原地図だとコースタイムはそれぞれ2時間40分と2時間5分です。二俣から白根御池まで30分なので、結局トータルの時間はどちらでいっても同じようなもの。肩ノ小屋までなら二俣から右俣コースのほうが早いので、肩ノ小屋も視野に入れるならやはり大樺沢コースということになります。


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大樺沢コースは沢沿いの道なので、渓流の水音を聞きながら涼しい森の中を進みます。


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11:13 出発して45分が経ったところで、休憩によさそうな場所があったので、荷物を下ろしました。沢沿いの平地なので、汗ばんでほてった顔を洗ったりすることができていいところです。今回担いできたのは、オスプレー イーサー60。3泊4日のテント泊でカメラと交換レンズ一式を入れてちょうどいい大きさです。冬に使っているイーサー85よりも型が新しいので、オスプレーの欠点だったところがだいぶん改良されて使いやすくなっています。これも購入してからまだレビューしていないので、この後にでもレビュー記事を書こうと思います。


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この日はやや薄曇でしたが、それなりに日差しがあり、頭上に広がる木々の葉っぱが透過光に光って爽快感満点です。


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11:27 崩壊地を避けるために設けられた右岸の道へ渡るための仮設橋です。広河原からここまでは左岸を登って来ましたが、ここから右岸にわたります。右岸のコースは新しくつけられたためか、若干歩きづらいと感じる箇所が多いのですが、こればかりはしかたありません。


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12:16 左岸の崩壊地を過ぎ、再び左岸の登山道に戻る橋まで来ました。お昼時ということもあって、橋のたもとでランチ休憩をとりました。ここは橋がかかっていますが、沢は完全な枯れ沢になっていました。


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橋を渡って左岸のルートに戻ると、少し開けた感じになってきました。見覚えのある風景です。前方の沢の中に見える巨岩のあたりが二俣だったはずです。


二俣まであと少しというところで、急傾斜の斜面をトラバースしながら登っていくところで、上にあるルートを下っていた登山者が子供の頭ぐらいある石を二つも落としてきました。しかもそいつは、落とした直後に「ラク!」と叫ぶこともしないで、ただだまって石を落としたのです。落ちた先に僕がいたのを見つけて、「すいません」と謝っていたものの、石を落とした場合にすべき行動ができないような初心者だった可能性が高そうです。幸い、直撃されるようなことはありませんでしたが、草地の中をほぼ無音で落ちてきて右側の斜面から突然現れて足元へ転がり落ちてきた石をみるとさすがにしょうがないでは済ますことができず、つい声を荒げてしまいました。


それにしても、岩稜ならいざしらずこんな沢沿いの草地のルートで落石を起こすとはどういう歩き方をすればそうなるのか理解できません。こんな場所ですからヘルメットなんてかぶっていないし、もしも頭に落ちてきたらと思うとぞっとします。上を人が歩いている時は、常に落石の可能性を想定しておく必要があると思った出来事でした。


要するに、登山者の多くは自分の不注意で石を落として他者を傷つけたり、最悪の場合他者の命を奪う可能性があることを理解して歩いてはいないのです。おしゃべりに夢中になったり、花や虫に気をとられたり、ぼんやりと歩いていたりしているわけで、石を落とさないように常に足元に気を配り、下に人がいないか確認しながら歩いている人などほぼいないと思っておかないと、いつ何時災厄を被るかもしれません。世間一般が休みの時期や人気の山域では登山者の絶対数が増え、その分知識も技術も低い登山者も増えるわけで、そうなると事故にあう確立も増加します。数年前のザイテングラートでの落石事故などまさにその典型。悲しいことですが、山では他人を信用するなということです。


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13:31 やっと二俣に着きました。広河原からのコースタイム2時間30分のところを3時間かけてしまいました。ランチ休憩もしたし、やはり仮眠2時間しかとっていないので体力的にきついようです。ここからさらに3時間かけて3000mの稜線まで登る気力はさすがに湧いてきません。ということは、今日の目的地は必然的に白根御池小屋のキャンプ場ということで決定です。


ところで、二俣で休憩していたところ、右俣コースから下りてきた人が熊がいたと教えてくれました。この時はまだ白根御池小屋へいくかどうか迷っていたので、この一言が決断させた側面もあります。まあ、わりと人通りがあるコースなので、襲われることはないとは思いますが、やはり熊のいるところにわざわざ足を踏み入れる気にはなりません。


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13:51 休憩を終えて、白根御池小屋を目指します。仮設トイレの前を通って、等高線に沿ってほぼ水平なルートなので、この先は楽チンのはず。


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ところが歩き始めてみると、倒木や木の根を越えたりするのにけっこう体力を削られて、最初のうちは思ったほど楽な道ではありませんでした。とはいえ、後半はそういうこともなくなり、楽に歩けるようになりました。


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14:16 白根御池のキャンプ場に出ました。池畔にはすでにたくさんのテントが張られていて、テントを張るスペースはなさそうです。


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小屋のすぐ前までやってきて、ようやく自分のテントスペースを確保することができました。それなりに人通りがありそうですが、ほぼフラットな草地だったので、寝心地は申し分ない場所でした。それに小屋が近いので水場やトイレに行くのも便利で、悪くない場所でした。幕営料は500円。最近は値上がりした場所が多いのですが、ここは良心的な値段です。水場はちゃんとしたステンレスの流しと蛇口があるし、トイレは水洗でいうことなし。ソフトクリームも売っているし、小屋前には屋根つきのベンチもあります。小屋、キャンプ場ともにかなりポイントの高い良いところでした。


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テント設営後、キャンプ場を散策してみました。白根御池は緑色の水で見た目にはそれほどきれいな池ではありませんが、池畔にテントを張れれば気持ち良さそうです。それに、夜になると星空が水面に写っていい写真がとれそうです。残念ながら今回は無理でしたが、いつかもう一度来てみたいものです。


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テントに戻ってコーヒーと甘いものでも食べようと、もってきたチョコシューというお菓子を引っ張り出してみたら、半分こなごなになっていました。見た目はとにかく、味に変わりはないので食べましたが、やはり簡単につぶれない類のお菓子を持ってきたほうがいいなと悟りました。


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夕方からガスってきたこともあり、早めに夕食を食べ、18時過ぎには寝袋に潜りました。午前0時前に目が覚めて、外を覗いてみると星空が見えています。北の空に見事な天の川が肉眼でもはっきりと見えていたので、一眼レフを引っ張り出してテントの前で撮影していると、すぐに雲が出てきてわずか10分ほどで撮影タイムは終了。その後は再び眠りに落ちたのでした。

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つづく。


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| 2016年8月 北岳・間ノ岳・農鳥岳 | 18:19 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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