ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

NEXT | PAGE-SELECT | PREV

≫ EDIT

晴れて曇って風吹いて寒いし暑いしなんやねん: 甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳その4 

2016年4月29日(金)~5月3日(火) 長野県伊那市 甲斐駒ヶ岳(標高2967m)・仙丈ヶ岳(標高3033m) テント泊単独行 


3日目(5月1日)
前日の15時間行動ですっかり疲弊してしまい、この日は朝まで眠りこけていました。昨晩から風が強くなり、ときおりテントも強風で揺さぶられたりもしましたが、谷間のキャンプ場なので風はそれほどひどくはありませんでした。


朝6時ごろ一度目を覚まして外を覗いてみると、意外にも青空がのぞいていました。ただし、雲がけっこうなスピードで流れ飛んでいたので、上のほうはかなり強風なんだろうなということはすぐにわかりました。


IMG_5038.jpg
6時30分ぐらいに再び空の様子を見てみると、すっかり雲に覆われていて、しかも雲の動きが速いという状態でした。小仙丈ヶ岳は見えていたので、それほど天気が悪いというわけではありませんが、疲労感もあるし、やっぱり今日は休養日にしようということで、ふたたび寝袋に潜ったのでした。天気予報では5月2日は好天で風も弱いとなっていたので、仙丈ヶ岳に登るには2日が一番いいコンディションのはずです。なので、疲労がたまった体で強風予報の日に無理して行動する必要はありません。


IMG_5041_20160527202221188.jpg
11時頃起きて、だるい下半身を引きずって長衛小屋まで行き、昼食におでんを買ってきました。7種類の具で600円ですが、自分でクッカーを持っていき、暖めなしであればなんと400円というリーズナブルなお値段です。テントに戻ってバーナーで暖めておいしくいただきました。


食後はすることもないので、ふたたび寝袋に潜ってゴロゴロしていましたが、あまり寝てばかりいると筋肉が固まってしまいそうなので、少し散歩でもして筋肉をほぐすことにしました。


IMG_5044_20160527202223c44.jpg
キャンプ場から仙水峠へと向かう道沿いは堰堤でせき止められたきれいな池がいくつかあるので、その写真を撮ることにしました。しかし、曇り空で光が弱いせいか、清流のキラキラした感じがなく、枯木や枯れ草ばかりで彩りがないこともあって思ったような写真が撮れず、1時間もしないうちにテントに戻りました。


テントにいてもすることがないので、長衛小屋にいってココアを注文し、人のいない談話室で夕方まで漫画「孤高の人」を読みふけったのでした。


早めに夕食を食べて、翌日の準備をひととおりしてから19時ごろ就寝しましたが、昼まで寝ていたせいか、やっぱり22時頃目が覚めてしまいました。空を見ると満天の星空です。下半身の疲れはほぼ回復していて、登山するのに支障はなさそうです。風もすっかり弱くなっていて、テントを揺さぶるような強風はまったくありません。これなら、夜明け前に小仙丈ヶ岳あたりで撮影しても問題なさそうだと思い、今回も午前0時に出発することにしました。


カロリー摂取と体を温めるためにカレーを食べ、これで万全と出発前にトイレに行こうとテントを出てみると、寒い!? やっぱり甲斐駒のときのように寒いのです。食事を終えたばかりで、しかもスパイシーなカレーをたべて暖まっているはずなのに、なぜ寒いのでしょうか。服装だって、ドライレイヤー+ベースレイヤー+ソフトシェル+インシュレーション+ハードシェルという厳冬期仕様ですから、決して保温力が劣っているわけではありません。まだ疲れが残っているのか。昨晩から今日の昼前まで寝たとはいえ、やっぱり睡眠不足なのでしょうか。理由がなんであれ、これでは途中で引き返さざるを得なくなるに違いありません。まさに甲斐駒のときと同じです。


どうしたものかと思案した結果、夜間登山は中止することにしました。行っても途中で引き返さざるを得ない可能性が高いわけですし、仙丈ヶ岳は6合目までは樹林帯の中ですから、途中で撮影しながら夜明を待つということもできません。もしも途中で引き返さないといけなくなったら、暗い樹林帯の中でじっと夜明を待つしかないわけです。だったら、星景写真や夜明の写真はあきらめて、明るくなってから登ればいいわけです。ということで、再び寝袋に潜って眠りにつきました。


4日目(5月2日)
5時まで眠るつもりでいましたが、3時に目が覚めてしまいました。3時間ほど眠っただけですが、なんだか目覚めはすっきりしていて、よく寝たなあという感じです。短時間ですがぐっすり眠れたようです。


寝袋から這い出して、熱い紅茶を飲んでいるうちに体が温まってきました。トイレに出てもとくに寒いと感じることはありませんでした。わずか3時間ほど寝ただけでこんなに違うものなんだろうかと怪訝な気持ちでしたが、寝たことで体調が回復したのであれば、やはり睡眠不足が寒さを感じた原因だったと考えざるを得ません。なんにしても、これなら出発できるということで、急いで準備を整えました。


体調がよくなったとはいえやはり何があるかわからないので、防寒対策としてベースレイヤーの下にメリノウールの長袖シャツを追加することにしました。薄手のシャツとはいえ、メリノウールが一枚入ればだいぶん違うはずです。甲斐駒のときもこうすればよかったのでしょうが、出発時は寒さを感じていなかったのでいたしかたありません。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




IMG_5049.jpg
4:06 静まり返ったキャンプ場をあとにします。


南アルプス林道の合流点で、前方からヘッドライトがひとつ近づいてきましたが、どういうわけかこちらに来ないで、森の中に入っていこうとしています。何をしているのかと思って少し様子を伺っていましたが、どうやら道迷いをしているようです。南アルプス林道から長衛小屋への分岐路にはしっかりとした道標もあるし、仙水峠に行く場合でも地図を見てルートを確認していれば長衛小屋経由で行けばいいということは明らかですが、こんなところで迷う人もいるんだなと驚きました。それよりも、道がわからなくなったのならすぐそばにいる人間になぜ聞こうとしないのか、行動パターンも思考パターンもよくわからない人物です。


「どこへ行くんですか?」と声をかけてみると、
「仙水峠へ・・・」との返答。
暗闇でよくわかりませんでしたが、いわゆる中高年の男性らしく、
「地図は持ってないんですか?」と聞くとあるのかないのかはっきりしないので、
「仙水峠は僕が歩いてきた方向ですよ」というと、
「えっ、えーと・・・」とどっちから来たのかわかっていない様子。
この暗闇の中、正面から近づいてきているヘッドライトに注意が及んでいないなんて、そんなことがあり得るんでしょうか。


IMG_5118.jpg
赤い矢印が男性が迷って進もうとしていた方向です。青い矢印が正しいルートで、僕は青い矢印の方向からこちらに歩いてきました。どうやらこの男性は、赤丸の看板に描かれている矢印に気をとられて僕が近づいてきているのを認識していなかったようで、しかも看板に描かれている矢印の方向を信じて進んで行ったようです。進行方向すぐ右手の青丸のところに長衛小屋への方向が書かれた道標がでているのに、それにも気がつかなかったようです。もしかすると気づいていたけれど、長衛小屋を経由することをわかっていなかったのかもしれません。


おそらく初めて歩くルートで、夜間行動もほとんど経験がないのだと思われますが、ヘッドライトが照らし出す範囲だけしか見えていないといいますか、周りを見ようとしないこういう登山者は、単独の夜間行動は慎むべきです。夜間行動時は、明るいときと比べて視覚情報は半分以下です。感覚的には20~30%ぐらいしかないように思われます。だから、常にヘッドライトを前後左右に動かして、より広範囲を見るように心がけないと簡単に道迷いしてしまいます。


誰かに教えてもらわなくても、ヘッドライトの照射範囲の狭さに不安になって、自然にあちこちライトを向けるようになるものだと思っていましたが、見えているものがすべてだと考える人もいるんだということをこのとき初めて認識しました。いや、反対に周りが見えない不安から、かえってライトの照射範囲に意識を集中してしまうのかもしれません。


どちらにしても、こういう人は性格的に夜間行動に向いていないのだと思います。しかし、本人がそのことを自覚していないわけですから、ほぼ遭難予備軍といってもいいのかもしれません。おそらく昼間でも目の前のことばかりに気をとられて、いろんなサインを見落としているのではないかと思われます。いままで無事だったのは、単に幸運だっただけなのかもしれません。


正しいルートをヘッドライトで照らしつつ、
「仙水峠はあっちですよ。」と教えてあげても、あいかわらず
「えっ? えっ?」と言っているので、いい加減ばかばかしくなって、
「地図で確認してください。」といってその場を離れました。


南アルプス林道の長衛小屋への分岐点から、仙丈ヶ岳二合目コースに入って少し登ったところで、猛烈に体が熱くなってきました。甲斐駒の時の事があるのでハードシェルまでしっかり着ているうえに、ベースレイヤーの下に着たメリノウールシャツが思った以上に効いたようです。睡眠不足が解消して体調がよくなると、1枚余計なレイヤリングになってしまいました。この先まだ登りが続くので、大汗をかく前にハードシェルとメリノウールシャツを脱ぎました。これでいつものレイヤリングですが、全然寒くありません。午前0時に出発しようとした時こうだったら、仙丈ヶ岳直下でいい写真が撮れていたかも知れません。ちょっとしたことで大きく体調が違うのだから、冬山は思い通りに行きません。


IMG_5050.jpg
4:57 二合目です。ここまで積雪はまったくありませんでした。前回、正月に登ったときは雪がありましたが、やっぱり50分ぐらいかかっているので、雪のあるなしでそれほど大きな差はでないコースのようです。


IMG_5051.jpg
二合目を過ぎて登り始めると、次第に雪が現れ始めました。凍結しているところも多々あり、クランポンをつけるタイミングを計りながら黙々と歩きます。


IMG_5052.jpg
三合目の手前でクランポンを装着しました。アックスも準備して、完全な冬山装備となりました。


IMG_5053.jpg
5:37 三合目を通過します。


IMG_5054.jpg
5:52 四合目で休憩予定でしたが、西風が吹いて寒いので通過し、登山道が尾根の東斜面を通る2460m地点で休憩しました。


IMG_5055.jpg
6:35 五合目 大滝頭も通過します。ここはいつも風が強くて寒いのでもう少し上の森林限界手前の2600m付近で休憩を兼ねてハードシェルを着ることにします。このあたりではそこが一番風が当たりにくい場所です。


IMG_5057.jpg
予定通り森林限界の少し下の樹林帯で休憩をとり、ハードシェルを着て六合目へと登ってきました。しかし、思っていたよりも風は強くなく、ハードシェルを着ているとかえって暑くなってきたので、ここで再びハードシェルを脱ぎました。


IMG_5058.jpg
右手の尾根の山腹に小屋が見えます。位置的に馬の背ヒュッテだと思われます。


IMG_5059.jpg
六合目から上はだいぶんハイマツが出ていましたが、とりあえず雪渓はつながっていたので、クランポンのまま進みます。


IMG_5060.jpg
小仙丈ヶ岳直下の急斜面を息を切らしながら登ります。


IMG_5061.jpg
小仙丈ヶ岳山頂まであと少しです。


IMG_5062.jpg
7:45 小仙丈ヶ岳に着きました。途中までは雲が広がっていてあまり天気はよくなかったのですが、ここに来て雲が薄くなり日差しも出てきました。この調子ならすっきりと晴れそうです。じっとしていると少し寒いぐらいの風があったのでハードシェルを着るかどうか迷いましたが、行動していれば大丈夫そうだったので、ソフトシェルのまま仙丈ヶ岳を目指すことにしました。

つづく。


ランキングアップにポチッとご協力お願いします。
にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

| 2016年4月 甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳 | 21:23 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

NEXT | PAGE-SELECT | PREV