ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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晴れて曇って風吹いて寒いし暑いしなんやねん: 甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳その3 

2016年4月29日(金)~5月3日(火) 長野県伊那市 甲斐駒ヶ岳(標高2967m)・仙丈ヶ岳(標高3033m) テント泊単独行 


2日目(4月30日)の続き

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5:20 朝日が昇り、寒さからも開放されたので、再び甲斐駒ヶ岳を目指して仙水峠を出発しました。


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小仙丈ヶ岳が朝日に輝いています。


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仙水峠から駒津峰に向かうルートは迷いようのない一本道で、そこそこの急登が続きます。


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高度が上がるにつれて残雪が増え始めました。ときどき、がちがちに凍結した場所もあり、慎重な脚裁きが要求されます。滑っても滑落するようなことはありませんが、へたをすると擦り傷、切り傷はもとより、骨折という可能性もありえます。


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標高2500m付近から駒津峰と甲斐駒ヶ岳が目の前に見えるようになりました。ここから見ると、甲斐駒の頂は遥かな高みにあり、精神的にちょっとくじけそうになります。


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振り返れば、仙水峠をはさんで栗沢山からアサヨ峰、さらに鳳凰三山へと続く早川尾根の連なりが一望できました。


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左手奥には地蔵ヶ岳のオベリスクが突起のように天を指しているのがよく見えます。


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小仙丈ヶ岳に隠れて見えなかった仙丈ヶ岳も、やっと顔を覗かせてくれるようになりました。


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2600m付近になると森林限界が近づき、ハイマツの中を登っていくようになります。


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気がつけば、背後にひときわ高さのある北岳の雄姿がありました。日本2位の高峰は、その存在感が他の山よりも強烈ですし、この角度から見ると三角形の美しい形をしていて、マッターホルンを髣髴とさせるような雰囲気があります。


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7:25 仙水峠から2時間かかって駒津峰の山頂につきました。見事に晴れ渡った青空がまぶしいほどですが、風はけっこ冷たくて、じっとしていると冷えてきます。


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西の方向には中央アルプスがくっきりと見えています。


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中央アルプスの右奥に見えているのは御嶽。


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さらに右へ視線を移していくと、遠くに乗鞍岳も見えています。


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南には日本2位の北岳と3位の間ノ岳が並び、その遥か奥に見えている絶壁の頂は塩見岳でしょう。


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南東方向には富士山の姿も。駒津峰から高さベスト3の三座が望めるわけで、贅沢な話です。


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7:48 景色を堪能したあとは、いよいよ甲斐駒ヶ岳への登頂に向かいます。厳冬期に登頂を2度試みて、2度とも天候悪化で断念した山ですが、駒津峰まで登ってきて甲斐駒ヶ岳を目の前にしてそのルートを眺めてみると、厳冬期にこのルートで登頂するのはけっこう大変そうだなと感じます。無理とまではいわないにしても、黒戸尾根経由のほうが安全なのではと感じます。まだ経験の浅い段階で2度登頂を断念したのは、ある意味ラッキーだったのかもしれません。


駒津峰と甲斐駒ヶ岳を結ぶ細い尾根には、しっかりと雪が残っていますが、日当たりも良さそうだし、駒津峰山頂の残雪が凍結していなかったので、とりあえずクランポンは装着せずに進んでみることにしました。


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急傾斜の斜面に積もった雪渓を、アックスを使いながら慎重に通過していきます。雪は柔らかく、つま先を蹴りこめば楽にステップを作ることができる状態でした。冷静に考えればちょっとリスキーでしたが、結局クランポンを装着することなく通過しました。


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8:27 甲斐駒ヶ岳への取り付きにある六方石です。巨大な立方体の岩が稜線に乗っかっています。ここを過ぎると甲斐駒ヶ岳の尾根になります。


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六方石から見上げた甲斐駒ヶ岳は、がんばれば登れるぞという距離感です。雪渓の上から右へトラバースしていくルートと、そのまま尾根を直登するルートに別れますが、直登ルートのほうが時間的に早いようなので、直登ルートで行くことにしました。ところが直登ルートの取り付き部分がけっこうな勾配で、しかも巨岩をよじ登ったり狭い岩の隙間を潜り抜ける場所もあり、中身は少ないとはいえ85リットルのでかいバックパックにカメラなどの機材を入れているため、岩を3つばかりよじ登っただけで息があがってしまいました。この先こんな状態が続いたらとてもじゃないけれど頂上まで体力が持たないと思い、トラバースルートのほうで行くことにしました。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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とはいえ、トラバースルートのほうも急勾配の雪渓を二つ越えなければならず、ステップを削りながら慎重に渡るのにかなり緊張を強いられました。


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雪渓を渡り終えると、あとは大きな問題もなく、風化した花崗岩の斜面を斜めに登っていくだけです。


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ところが、その先でまた問題が。風化した花崗岩がザラザラの粒になって斜面を覆っている場所を登り始めると、足元がどんどん崩れてなかなか登っていけません。かなり体力を削られました。


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たまらず、摩利支天への道を分ける場所ですこし休憩をとりました。このとき、摩利支天へのルートを選んでおけば、多少遠回りでも楽に登れたかもしれません。しかし、そうとは知らないので、夏道に沿って甲斐駒ヶ岳を目指したのでした。


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夏道を登っていくと、大きな雪渓が道を埋めていました。足跡はまったくありません。斜度は30度ぐらいでしょうか。向こう側まで50mぐらいはありそうです。


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下を見ると摩利支天のほうまで100mぐらいはゆうにありそうな大斜面です。滑ったらただでは済みそうにありません。標高が高いのでわりと雪は締まっていて、少し蹴ったぐらいでは、簡単にステップを作れません。素直にクランポンを装着してここを渡るべきか、はたまたたどってきた道を戻って摩利支天経由で登り返すべきか。思案しながら雪渓を眺めていると、少し下の雪渓の幅が狭くなっている場所にトレースがついているのが見えました。あそこなら距離も短いし、足跡をたどればいいのでクランポンを装着する必要もなさそうだということで、トレースのある所まで降りてみました。


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硬い雪を蹴り込んでステップを作りながら渡ったと思われるトレースがしっかりと残っています。それではということで、トレースを利用させてもらって雪渓を渡ることにしました。そうはいっても、ポンポンと軽快に歩いて渡れるようなものではなく、アックスで滑落防止策をとりながら、一歩づつ慎重に渡りました。ここからでも滑ったら数十mは落ちることに変わりはありません。


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無事に雪渓を渡りきり、道のない斜面を登って夏道に合流しました。夏道といってもトレースは不明瞭で、ロープ柵の支柱となる鉄杭が等間隔に並んでいるだけです。


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道沿いの岩の下にはツララができていました。まだまだ寒い証拠です。


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小粒の砂利が敷き詰められたような登山道に体力を奪われて、登れども登れども近づいてこないように見える山頂です。上から降りて来る人がなんとなく見覚えがあるなと思ったら、六方石のあたりで少し前を歩いていた人でした。彼らはとっくの昔に山頂について休憩を終えて下りてきたわけです。もしかすると30分ぐらい差がついたのかもしれません。やはり直登ルートをいくべきでした。


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9:57 ようやく黒戸尾根の分岐まで登ってきました。山頂まではあと少しです。


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10:02 念願の甲斐駒ヶ岳山頂を踏むことができました。深夜12時前に出発してから、かれこれ10時間が経っています。途中寒さで日が昇るのを待ったりしたので仕方がないとはいえ、1日の行動時間としてはこの時点でそうとう超過気味です。疲れもたまっていますが、まだこれから下山しなければならないのです。とにもかくにも休憩しようと風の当たらない場所を探してうろうろし、祠の南側にある大岩の陰に落ち着きました。しばらくは何もする気にならず、ただぼんやりと座っていたのですが、風が直接当たらないとはいえじっとしていると冷えてきます。ハードシェルの上からダウンジャケットを着こんで寒さをしのぎました。


行動食を食べ、残り少なくなったぬるいお湯を飲んだりしているとようやく体力が少しもどってきたようです。山頂からの展望を楽しむ余裕も出てきました。


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駒津峰からは頭が少し見えただけだった富士山も、さすがにここからは優美なカーブを描く山体が半分以上見えています。地蔵ヶ岳のオベリスクもしっかりと尖がっているのがよくわかります。


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北岳と間ノ岳もだいぶん山麓部分まで見えるようになっています。


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一応記念にということで自撮りをしておきましたが、やはり顔が疲れているように見えます。


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10:53 1時間近く山頂で休憩したので、だいぶん体力も回復したような気がします。今のうちにサクサク下山することにしました。下山は、登りで断念した直登ルートで下ります。


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直登ルートはそれなりに高度感もありますが、上のほうは意外と歩きやすい尾根道でした。


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六方石の鞍部に向けてぐんぐん高度を下げていきます。


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一番厄介だった場所です。かなり降りてきてトラバースルートとの分岐に近いあたりです。高さ4mぐらいある岩の隙間ですが、上からこの狭い隙間を通って途中に引っかかっているような岩の上に立ち、後ろ向きに姿勢を変えてから、右下のわずかな岩の出っ張りに足をかけて降りるのですが、隙間を抜けたところの岩はその上の黒い岩が出っ張っていて、大きなバックパックを背負っていると体を回転させることができません。仕方がないので、不安定な状態でバックパックを下ろして、右の岩の上に置こうとするもこれがうまくいかないし、岩の上に置いたら自分が降りた場合荷物を取れなくなることになります。結局、足元の岩の上に置いてバックパックが滑り落ちないように左手で持ちながら、下の岩の出っ張りに右足を下ろし半ば強引に降りたのでした。スリングが2本もあればそれをつなげて荷物を下ろすことができますから、山へ登る時はスリングを持ってこないとダメだなと反省したのでした。


難所をクリアしてどっと疲れたので、少し下で休憩しました。せっかく回復した体力もすでに底をつきかけているという感じです。それでも自分の足で歩かなければテントに戻ることができません。疲れた体を奮い立たせて先を急ぎます。


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甲斐駒ヶ岳と駒津峰の間にはこんな場所もあります。写真でみるほど大変な場所ではありませんが、この尾根はけっこう疲れました。


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12:24 駒津峰まで戻ってきました。もうすっかりヘロヘロです。山頂でしばらく休憩し、残り少ない行動食と水分を補給しましたが、この時点でもじっとしているとけっこう寒く、ハードシェルを脱ぐことはできません。南アルプスでは太陽がさんさんと照り、見た目には暖かい春山のようですが、気温は冬に近いものがありました。この日、北アルプス立山では午後から天候が急変し、夜には吹雪になったとか。遭難も相次いだとのことで、自然の厳しさを思い知らされたような気がします。。


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12:32 もっと休憩したいのはやまやまですが、じっとしていると寒くなってくるので出発しました。


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途中、あまりにも足が痛くなってきたので座って休憩していたところ、遥か眼下にキャンプ場が見えていました。ゴールが見えてくると、なんとなく力も湧いてきます。


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仙水峠で少し休んでから、岩ゴロの道を下ります。真夜中に通ったので状況がわかりませんでしたが、なんとも荒涼とした場所です。


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14:36 痛む足を引きずるようにして歩き続け、ようやくテントまで戻ってきました。1日の行動時間は、ほぼ15時間に及びました。下半身はずっしりと重い鉛が入ったようで、足裏やふくらはぎの痛みもあります。体全体が疲労感でどんよりした感じです。当然ながら、この夜は早々に寝袋にもぐりこみました。ジンジンとしびれるような痛みがある脚が気になってなかなか寝付けなかったのですが、明日はどうせ強風予報だし、この分だと行動は無理そうだから、停滞かなあと思いながら眠りに落ちていきました。



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つづく。


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| 2016年4月 甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳 | 20:18 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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