ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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晴れて曇って風吹いて寒いし暑いしなんやねん: 甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳その2 

2016年4月29日(金)~5月3日(火) 長野県伊那市 甲斐駒ヶ岳(標高2967m)・仙丈ヶ岳(標高3033m) テント泊単独行 


2日目(4月30日)
事前に調べた天気予報では、雨や雪の予報ではないものの4月30日と5月1日はかなり風が強く、特に1日が風速25m/秒を越えるような数値がでており、けっこうやばそうな雰囲気でした。


29日の夜10時過ぎに目が覚めてしまい、お腹も空いて眠れなかったので、とりあえず食事をとることにしました。ごそごそと寝袋から這い出して、ひとまずトイレに行くためにテントを出ると、なんと満天の星空が広がっています。これはもう甲斐駒アタックに行くしかないと決め、テントに戻るとすぐに食事をし、出発の準備を整えました。そこそこ冷え込んでいて肌寒さを感じるので、行動時の防寒着であるノースフェイスのレッドポイント ライト ジャケットだけでなく、就寝時に使っているダウンの上下もバックパックに詰めました。


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23:44 まだ寝静まっているキャンプ場を抜けて、長衛小屋前の橋を渡ります。月の出は明け方なので、星明りだけの真っ暗な道です。


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橋を渡ると川に沿って仙水峠へと向かいます。


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場所によっては雪が残っていましたが、基本的につぼ足で問題ありません。


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川に沿ってひたすら上流を目指しますが、途中道がわからず少し迷ったりもしました。あたらしく購入した160ルーメンのモンベル パワーヘッドライトはかなり強力ですが、LEDライトに強く照らされるとピンクのテープナビが白く光って、木の枝などと区別がつきにくくなり、踏み跡が不明瞭な場所ではルートを求めて少しうろうろすることを余儀なくされました。このルートは一本道であるためか、テープナビも最小限のレベルのものしかなく、初めて歩くのが夜の場合、ルートを見つけるのが案外難しいと感じる箇所が数箇所ありました。なんとかルートを見つけて進んでいくと、最初の丸太橋がありました。ここから道は右岸を進みます。


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1ヶ所、ロープのある岩の急斜面もありましたが、それほど難しいものではありません。


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2つ目の丸太橋で再び左岸に渡ります。


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0:28 2つ目の丸太橋を渡るとすぐに川岸の急斜面を登るようになり、登りきったところが仙水小屋でした。この小屋は宿泊者以外の登山者が休憩などで入り込むのが嫌なのか、ロープで入れないようにしてあります。また、小屋前の登山道沿いに水を引いていて自由に汲んでいいとなっていますが、汲む場合は一声かけるようにと但し書きが書いてあるなど、あまり登山者に好意的な小屋ではないようです。とりあえず必要がないので、休憩も水汲みもしないで通過します。


仙水小屋を過ぎると樹林帯の道になり、進んでいくと突然大きな岩がごろごろと折り重なるように積みあがった斜面の下に出ました。しかし、そこから先がはっきりしません。岩ゴロの斜面の下にちぎれかけたテープがついた木の枝があるのですが、そこを右に行くルートはツルツルに凍りついた雪渓に覆われていて、足跡は見当たりません。テープのあるところから岩ゴロの斜面を左に登っていくような雰囲気もあるものの、岩の角などをよく見てみると、人が踏んだ形跡はほとんどありません。少しの間考えて、ひとまず凍結した雪渓に沿って横の樹林帯を進んでみたところ、正しいルートだとわかりました。


仙水峠を目指して登っていくにつれ次第に後ろから風が吹き上げてくるようになり、寒さを感じ始めました。風あたりの弱い場所で休憩した時に、ソフトシェルの上からレッドポイントライトジャケットを着て再び先を急ぎます。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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今度は岩ゴロの荒地のような場所に出てきました。夜間の行動で一番厄介なのがこのような場所です。ペンキのマークなどがあっても、ライトで白く光ってしまうと、岩のてかりと同化してわかりにくいし、踏み跡がない分ルートを見つけるのが難しいのです。北アルプスだったら、岩にペンキマークなどがしっかりと書かれているのでまだわかりやすいと思うのですが、ここはそういうものがまったく見当たりません。人が踏んだ岩角はなんとなく白っぽくなっているので、その跡を探しながら進みますが、すぐにわからなくなってしまいました。ライトをいろいろな方向に向けて周囲を確認していくと、たくさんのケルンが積まれています。ケルンが積まれている方向に行けばいいのでしょうが、けっこうあちこちに積まれていて、一番上のケルンと一番下のケルンとでは、向かう方向がかなり違います。とにかく、上や下に行くのはなさそうだと思い、水平方向に進んでみました。


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そうすると、やっと木の枝に小さなテープを見つけました。この写真は、どれがテープだかよくわかりませんが、幹の真ん中辺りにある小さなこぶのようなものがそれです。


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拡大して見るとこうなります。これはストロボ光で白飛び気味になっていますが、ヘッドライトで照らしだされた状況は写真の場合とほぼ同じような状況です。肉眼で見てこの状態だと思ってもらえばいいわけです。


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ストロボを光らせずにヘッドライトを少し上に向けて撮影したら、やっとテープの色が出ました。強力なヘッドライトは道の状況を知るには役に立ちますが、テープのように反射率の高いものは真っ白に光ってわかりにくくなるので注意が必要です。


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1:27 仙水峠です。ここは風の通り道になっているのか、登って来た谷を風が吹き上げてきます。じっとしているとけっこう寒くなってくるので、水分補強をしたらすぐに出発しました。


駒津峰に向かって登りはじめると、次第に風が強くなってきてどんどん寒さが増してきました。仙水峠から100mほど登ったところにある大木の根元でレッドポイントジャケットの上からハードシェルを着こみ、お湯を飲んだり行動食を食べたりして寒さ対策をして、再び登り始めました。


しかし、寒さはいっこうに収まりません。全身に凍みこむ冷気に包まれているかのようです。このときのレイヤリングは、厳冬期氷点下10度で風が10m/秒以上吹いている中で2時間撮影をしても大丈夫だったものと同等なので、今の状況でなら十分寒さをしのげるはずですが、なぜか経験したことのないほどの寒さを感じます。4月30日の甲府市の最低気温が4.5度なので、標高が約2000m高い仙水峠の辺りで氷点下8度ぐらいだったと思われますが、風はせいぜい5m/秒ぐらいだと思われます。なぜこれほど寒いのかさっぱりわかりません。


考えられるのは、寝不足と疲れによる体力の低下です。前日が高速道路のSAで3時間程度の仮眠だったし、昨晩も結局4時間も寝ていない状況なので、二日続けての寝不足に疲労が重なって体調があまりよくない可能性があります。


このまま登り続けていけば当然気温はさらに下がるし、風も強まるので寒さはもっと厳しくなるのは明白です。まだ、もう一枚ダウンジャケットを持っていますが、着膨れした状態で行動するのは足元の視界も悪くなるし体の自由もすこし制限されるのでできれば避けたいところです。


2:25 標高2380m付近まで登ったところで体に震えが出始めたので、これ以上登るのは危険と判断して引き返すことにしました。


先ほど休憩した大木の根元でいったん止まってどうするか考えました。テントまで戻って仮眠を取り、日が昇ってからもう一度甲斐駒を目指すというのがA案。この場合、テントに戻るのは4時ごろでしょうから、せいぜい2時間程度の仮眠がとれるだけです。それに、テントまで戻ってまた登ってくるというのは、体力的にロスが大きいと感じます。


残っているダウンの上下を着用しツェルトをかぶって日が昇るのを待つのがB案。日の出までまだ2時間ほどあるので、どこで待つかということになります。今いる場所でもいいのですが、あまりくつろげるような場所ではありません。とりあえず仙水峠まで下って、そこで風のよけられる場所を探してみて、いい場所がなかったり寒さが収まらない場合はテントまで戻ることにするというのが現実的だろうということで結論が出ました。


2:45 仙水峠まで降りてきました。相変わらず西風が吹き抜けて寒い場所ですが、大きな岩が重なる場所の東側にわずかながら風をよけられる場所があり、そこにしゃがめば風が当たるのを防ぐことができました。ひとまずダウンジャケットをハードシェルの上から着て、お湯を飲んだりして保温につとめてみたところ、震えはおさまりなんとか寒さから逃れることができました。


それにしても厳冬期よりも寒くないし、厳冬期よりも着込んでいるのに寒いと感じるなんて、どうなっているんだかまるで納得がいきません。下半身はいつもはいているモンベルジオラインEXPタイツではなくて、ノースフェイスのウォームトラウザーという中厚のタイツなので少し寒いと感じるのは仕方がないとはいえ、正月の蝶ヶ岳の時よりもレッドポイントライトジャケットを1枚余分に着ている上半身がこれほど寒さを感じるなんてあり得ないというのが正直なところですが、寒いものは寒いのです。食事をとってきているのでカロリー不足ということはないはずですし、やはり寝不足と過労が原因だとしか思えません。しかし、それほどひどい状況だという自覚はなかったので、本当のところはよくわかりません。


ちょっと寒いかなという程度まで寒さが収まったこともあり、ただボケッと夜明を待つのも無駄に思えてきたので、せっかく担いできた一眼レフで写真を撮ることにしました。


<クリックで写真拡大>
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仙水峠から登って来た西方向を見ると、ぼんやりと小仙丈ヶ岳の白い頂が見えます。たくさんの星も見えているので、星空とからめて撮影しました。


<クリックで写真拡大>
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目の前に聳える甲斐駒ヶ岳と摩利支天の岩峰からぼんやりとですが天の川が天頂へと延びているのがわかります。右下に見える街明かりは、長坂町あたりのものでしょう。


<クリックで写真拡大>
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4時30分頃になると東の空が赤く染まり始めました。彼方に見えているのは、金峰山など奥秩父の山々だと思われます。


やがて太陽が顔を出すと、時間とともにじんわりと暖かさが戻ってきました。まだ、風の当たらない場所で日差しを浴びた場合だけという条件付ですが、太陽の偉大さを改めて感じます。すぐにでも甲斐駒ヶ岳を目指して出発したいところですが、まだ太陽が昇ったばかりだし、そろそろ胃の中が空っぽになる頃なので、ひとまず行動食を食べながら太陽の高度がもう少し高くなるのを待ちました。


日の光を浴びて暖かさに包まれると、暗闇の中で寒さに震えていたほんの数時間前のことがうそのようです。無理をせず、仙水峠まで下って体温をキープすることにしたのは正解でした。残雪期とはいえまだまだ冬山と同じ条件の中での行動ですから、やはり慎重な行動を心がける必要があります。

つづく。



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| 2016年4月 甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳 | 22:50 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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