ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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荘厳な2016年の幕開け: 蝶ヶ岳(2677m) その3

2015年12月30日(水)~2016年1月2日(土) 長野県松本市 蝶ヶ岳 テント・避難小屋泊単独行 


2016年1月1日(3日目)
寝袋の中で5時過ぎごろには目が覚めていましたが、なかなか起きる気になれずグダグダしていたら、けたたましいアラーム音が鳴り始めました。よくSF映画やアニメの中で宇宙船などで使われる警報音そのものです。鳴らしていたのは、登ってくるときに途中で追い越していった二人組みのうちの一人のようですが、本人はまったく起きる気配がなく、もう一人のほうも無反応です。その他の宿泊者がそれぞれ半身を起こしてけたたましい警報音の中で、追い立てられるように起床したのでした。それでもしばらくは警報音は鳴り続け、いったいどこの宇宙基地にいるのかという気になってきます。それでも、ようやく警報音が自然に止まって、小屋の中は再び沈黙の闇に戻ったのでした。


この時期の日の出は7時ごろなので、外はまだ真っ暗です。とりあえず、体を温めるためにポットからお湯を飲んで体温を上げておきます。そして、撮影に出かける準備を整えました。外では時折風が通り過ぎて行くときの唸り音が聞こえるので、そこそこ風が強そうです。なので、ダウンジャケットやダウンパンツの上からハードシェルを着こんで、防風防寒対策を整えました。


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6:10 カメラ機材一式を持って外に出てみると、東の地平線が赤く染まっているのが見えました。風は穂高連峰のある西から吹き付けてきます。時折強く吹いてきますが、バランスを崩されるほどの強さはないので、秒速10mあるかないかといったところだったのではないかと思います。西の空にはまだ星が見えており、穂高連峰をからめた星景写真を撮りたいところでしたが、風が強くてスローシャッターで星空を撮るのはまず無理だったのであきらめました。東風なら自分が風除けになればなんとか取れたかもしれませんが、西風の中で西方向を撮影するとなると、風をもろに浴びて撮影しなければならないので、ごつい三脚を持ってきていたとしても、おそらく微振動が発生してブレ写真になってしまったことでしょう。


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とりあえず、北側にある瞑想の丘まで登ってみました。日が昇ってきて穂高連峰が赤く染まるまでは、まだ時間がかかりそうです。


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風が強くなってきて、吹きさらしのところにいると冷えるので、山小屋の方に一時的に避難することにしました。時間とともに風が少しずつ強くなっていくような感じで、山小屋のほうへ戻る途中には舞い上がる雪煙で視界がかなり悪くなることもありました。


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山小屋の風下側まで戻ってくると、蝶ヶ岳の山頂へ向かって歩いていく登山者グループの姿が見えました。昨日体調を崩していた女性のいたパーティーです。この時間から出発するところをみると、下山ではなくて大滝山方面へ縦走する計画なのかもしれません。とにかく、元気で山行を続けることができるようになったのはよかったと思いますが、無理をして再び体調を崩すことのないように気をつけてほしいものです。


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6:38 だいぶん東の空が明るくなり、蝶ヶ岳を取り囲む山々が闇の中から浮かび上がってきました。常念岳が青い闇の中に浮かび上がっています。絞り込んで手前の雪面から奥までパンフォーカスにしたかったのですが、まだ暗くシャッター速度を上げることができず、仕方なく手前の雪面はあきらめました。ISO3200、F5.6、-1/3補正で1/30秒のシャッター速度しか稼げませんでした。三脚の足は4段のうち2段しか伸ばさず、手でカメラを押さえつけながらの撮影でしたが、やはり低感度で絞りを絞ったときほどのシャープ感は出せませんでした。


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6:48 穂高連峰が青い闇の中に真っ白な姿を横たえています。山頂部にまとわりついているのは雲なのか、強風で舞い上がる雪煙なのかよくわかりません。


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目の前には、前穂高岳、奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳が競い合うように頂を連ね、その真ん中におわんのような涸沢が見えています。


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6:54 東の空がかなり明るくなってきました。日の出までもうすぐのようです。


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安曇野の街は厚い雲海の下に隠れていて、まったく見えません。


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7:03 太陽の光が西の空を照らし出して、ほんのりピンク色に染まります。このような日の出前の西の空の色合いは、、日の出方向の東の空では見られない光景です。東の空では太陽が昇ってくる関係で、下が赤、上が紺色というグラデーションになりますが、西の空はその逆になるわけです。簡単に言うと、日の出前の光が西の空をピンクに染めるものの、太陽は東の地平線下にあるため西の地平線あたりには光が届かず地球の影になっているので、上がピンク、下が紺色になるというわけです。このピンクの帯をヴィーナスベルトというそうです。今回は軽量化のために使用頻度の少ない望遠ズームは持ってこなかったのですが、このときばかりは持ってくればよかったと思ったのでした。


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7:11 槍の穂先を朝日が照らし出します。その美しさにただ見入ってしまいます。


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穂高の峰々も赤く染まりました。


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神々しく、荘厳な光景が目の前に繰り広げられます。すばらしい2016年の幕開けです。


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7:24 蝶ヶ岳山頂にも太陽の光が届きました。これが2016年元旦のご来光です。極寒の蝶ヶ岳山頂から見る初日の出は、今まで見たどんな日の出よりも美しく感じられました。


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ちなみに、このときの気温は氷点下16℃でした。コンデジのほうは放置しておくとすぐに電池が死んでしまうので、ジャケットの内ポケットに入れていましたが、一眼レフは三脚にすえつけっぱなしでもさすがにびくともしません。ペンタックスなどは-10℃耐寒動作保障をうたっていますが、キヤノンは耐寒性能をうたっていません。カタログやマニュアルの仕様欄には、使用可能温度0℃~+40℃と書かれていますが、氷点下16℃でも問題なく動きます。動いて当たり前と考えているのか、とくにそのような試験をしていないからうたっていないのかよくわかりませんが、カタログに書いていないからだめだということではないというわけです。時々このスペックを鵜呑みにして、キヤノンのカメラは寒いところでは使えないのではと言う人がいるようですが、心配には及びません。


太陽の高度が上がるにつれて赤く焼けた穂高の峰々は現実世界の白く輝く雪山へと姿を変えました。避難小屋に引き返して朝食を食べ、パッキングを終えて下山の準備を終えました。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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9:43 昨日吹雪の中でスルーしてしまった蝶ヶ岳山頂に向かいます。見事に晴れ渡って、まるでぽかぽか陽気のように見えますが、強い風が吹きつけてきて、ハードシェル無しではとても歩けない寒さです。


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山頂の標柱とともに記念写真を撮って、吹きさらしの山頂を後にしました。


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山頂から少し進んだ稜線上から、白銀の穂高連峰の姿がよく見えました。


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まだまだ雪が少ないので、厳冬期の雪山の雰囲気はありませんが、すべてを拒絶するかのような厳しさは十分伝わってきます。


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槍ヶ岳のほうが雪が深い感じです。槍沢にたっぷり雪があるし、大喰岳や中岳の斜面が真っ白なので雪の着き方がいいみたいです。


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前穂高岳と奥穂高岳をアップで切り取ります。奥穂高岳だけが雪煙を巻き上げています。山頂は強烈な風が吹いているのでしょう。


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さらに稜線を下って、この先は樹林帯に入る場所の手前で最後にもう一度穂高連峰をじっくりと眺めました。初めての厳冬期北アルプスへの登山で、これほど見事な晴天の条件で穂高連峰を見ることができた幸運に恵まれたことに感謝するとともに、この壮麗な山嶺を再び眺めに来たいと思ったのでした。


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樹林帯に入ってしまうと、代わり映えのしない風景が続きますが、雪が降っていた昨日とはちがって青空を背景にした樹林の風景はそれなりに美しく目を楽しませてくれます。


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長塀山への登り坂です。下りで唯一の登り坂を一気に突破します。


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長塀山の山頂を通過します。この先、徳澤まで長い下り坂が続きます。昨日苦しめられた長大な上り坂ですが、下るのなら楽なものです。


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標高2000m地点で大休止をとりました。登ってきたときと同じで、フラットで風も弱く、日が当たるので休憩適地です。見上げると吸い込まれそうな青空が広がっていました。


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12:27 徳澤まであと1km。長い下り坂もあと少しです。


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12:57 徳澤に帰ってきました。今日は午後になっても天気は安定しており、曇ってくる様子はまったくありません。


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徳澤の雪原の彼方には明神岳と前穂高岳が悠然と聳えています。


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テントに戻って水を汲みに水場に行ってみると、なんと完全に干上がっていました。わずか1日でこんなことになるなんてどういうことなのでしょうか。昨日、山頂の避難小屋で水をつくるのに燃料を使いすぎたので、燃料の残りはあとわずかです。今晩の食事に使ったら、明日の朝十分な量のお湯を沸かせるかどうか心もとない量なので、今日は是が非でも水を確保したいところです。長塀尾根を下ってきたとき、小屋の裏手の川に水があるのを見たので、徳澤園の小屋のほうへ行ってみました。


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幸いにも小屋のすぐ横の小川には水が流れていました。水量もそれなりにあるし流れもあるので、飲用にしても問題なさそうです。それでも、やっぱりペーパーフィルターで漉してから沸かして飲むことにしましたが。


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水を確保し、昼食もすんでから、徳澤園を散策してみました。夏は芝生の広がるキャンプ場ですが、今は真っ白な雪原になっています。点在する巨木がいい雰囲気です。


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3000m級の山嶺を眺めながらキャンプを楽しめるいいロケーションです。天気さえ良ければわざわざどこかの山頂を目指さなくても、ここでキャンプするだけでも十分冬山を楽しむことができそうです。


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この夜も美しい星空が広がりました。今回は自分のテントのすぐ前で、オリオン座をからめて撮影してみました。


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テントをからめない星景写真も押さえておきました。


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昼間ロケハンしておいた場所からのカットです。午後10時を回った時間ですが、この頃になると明神岳の向こうから雲が湧いてきて、次第に星空が見えなくなってきました。なので、このあと2カットほど撮影してテントに戻りました。


この日の夜も初日に負けず劣らず寒さに悩まされました。初日に使わなかったシルクのインナーシーツやイナーティアXライトエアマットなど総動員して寝たのですが、暖かく安眠することはできませんでした。装備を根本的に見直す必要がありそうです。重くなっても外張りを導入するか、防寒着の種類や材質を再考することにして、寒さに耐えながら丸くなって浅い眠りの中で朝を迎えたのでした。

つづく。

20160101蝶ヶ岳1

20160101蝶ヶ岳2


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| 2015年12月 蝶ヶ岳 | 22:28 | comments:2 | trackbacks(-) | TOP↑

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Re: タイトルなし

3年前からゴアテックスのカバーを使っています。

| ヤマふぉと | 2016/01/12 22:36 | URL |

シュラフカバーは?古いですが厚手のゴアテックスを使用しています快適ですよ。

| 百瀬典明 | 2016/01/12 22:25 | URL |















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