ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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荘厳な2016年の幕開け: 蝶ヶ岳(2677m) その2

2015年12月30日(水)~2016年1月2日(土) 長野県松本市 蝶ヶ岳 テント・避難小屋泊単独行 


12月31日(2日目)
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寒さでゆっくり寝ていられないこともあり、3時40分頃起きることにしました。起きてすぐ温度計を見ると、テント内で-8度でした。めちゃくちゃ冷え込んでいるというわけではない気温ですが、初日で寒さ慣れしていないのに加えて、体重減と筋肉量低下のトリプルパンチで寒さに耐えられなかったみたいです。


お湯を沸かそうとプラティパスを保温ケースから取り出してみると、半分凍結しかけていました。もう少しほおっておいたら完全に氷の塊になっているところでした。とにかく、まだ凍っていない水をペーパーフィルターで漉しながらクッカーに入れて暖め、適当に暖まったところで再びプラティパスにもどして氷を溶かして、それをまたフィルターで漉してお湯を沸かすという二度手間に時間がかかってしまいました。こんなことなら、昨晩全部フィルターで漉しておけばよかったと後悔したところで後の祭りです。


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結局、食事を済ませてパッキングが完了し、出発できる状態になったのは7時を回りかけたころでした。テントから顔を出すと、すでに明神岳は朝日を浴びて輝いています。予定では5時ごろ出発して、どこか途中で日の出を見るぐらいのつもりでしたが、完全に出遅れました。


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7:11 テントと不要なものを残して出発しました。残していったものは、テントのほかにはショベル、不要な食料、着替えぐらいなので、3kgもあるかないかというところです。入山時の総重量はおそらく21~22kgぐらいだと思うので、軽くなったとはいえ18kgぐらいの荷物です。実際に担いでみるとあまり軽くなっていないと実感します。この荷物でこれから標高差1115mを登りきらないといけないと思うとちょっとげんなりしますが、簡単に行けないからこそ行く価値があるわけで、楽に行けるようなところだったらわざわざ行く必要はありません。空は青空が見えていますが、どこからか粉雪が降ってくるという妙な天気でした。


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登山口は徳澤園の小屋の奥にあります。裏山に上がっていく道のように何気ない感じの登山口ですが、この先ずっと登りっぱなしの尾根道です。


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雪は深くなく、トレースもしっかりついていて、凍結もしていないので案外歩きやすい状態でした。それでも、念のために出発時から12本爪クランポンを装着してきました。


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傾斜のきつい斜面をジグザグに縫いながら登って行きます。ずっと樹林帯の中なので、展望はさっぱりありません。明神岳や穂高岳を眺めながら登ることができればかなり気分的に違うのでしょうが、延々と続く樹林帯の急登と、背中にのしかかる荷物の重さで、次第に気持ちがブルーになってきます。


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9:04 ようやくフラットな場所に出ました。手前にテントが一張あり、男性が出発準備をしていました。奥のほうにもけっこうな広さの整地されたあとがあり、テント場としてよく利用されているようです。標高で言うと、ちょうど2000mのあたりで、地形図でみると尾根がテラス状になっている場所です。日も当たり、風もほとんどないので、ここで大休止することにしました。休んでいる間に、単独の男性と二人組みのパーティーが登ってきて、やはり同じ場所で休憩をとり始めました。装備を見ると明らかに宿泊予定のようで、おそらく避難小屋利用と思われます。小屋のキャパや宿泊予定者がどのぐらいいるのかわかりませんが、早く着くにこした事はないということで、休憩をそこそこに切り上げて、彼らより先に出発しました。しかし、このあとバテ気味になって再び休憩している間に先行されてしまったので、結局同じことでした。


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10:09 すっかりバテ気味になって、数分歩いては立ち止まって休憩という状態で見つけたのが、この道標です。標高2200m付近です。ちょうどルートの中間地点になるわけですが、ここまで3時間もかかっています。夏道の標準コースタイムは山頂まで4時間半ですから、相当スローペースです。この先は、次第に傾斜も緩くなりペースも上がるだろうということは地形図を見ればわかりますが、なにしろ体力不足がたたったのか、気持ちがついてきません。まだ行程の半分しか終わっていないのかと思うと、もうやめて帰ろうかという気にすらなってきました。


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それでも、もう少しがんばろうと自分を鼓舞しながら登り続けました。いつの間にか青空は見えなくなり、雪が本格的に降り始めました。天候が悪くなるとますます気持ちが暗くなります。せっかく登っても何も見えないかもしれないと思うと、何度も心が折れそうになります。もう引き返そうか。やめても誰も困らないし咎めないし、全然オッケー。はい、中止! と思いつつも、やっぱりここまで来てそれはないだろうと思い返して、なんとか前に進みます。やがて、道はフラットに近い状態になってきたので、つらいのはだいぶん軽減されてきました。


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11:55 そして見つけた残り2kmの道標。残り3kmの道標から2時間近くたっているというのに、1kmしか進んでいないという事実にがっくり。肩や首が痛くなるし、体力的にも辛いし、なんでこんなことやってるんだろうとネガティブ思考炸裂です。それでも、長塀山(ながかべやま)まであと少しだし、その先はもう急登はないという事実だけは明白だったので、なんとか気持ちを奮い立たせて先へ進みました。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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12:24 ようやく長塀山に着きました。残り2kmの道標からわずか200mの距離ですが、かかった時間は30分。べつにラッセルしていたわけではありません。


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長塀山を越えると、本日初めての本格的な下り斜面が現れました。しかし、下るということは再び登り返すということでもあります。とりあえずは登り坂にはすっかり飽きていたので、下り坂が妙にうれしく感じました。


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12:44 「蝶ヶ岳まで1km」 この道標がどれだけうれしかったことか。比較的フラットな稜線の1kmなんて、さすがにもう1時間もかからないはずです。


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「妖精の池」らしきフラットな雪原を越えて小さな坂道を登りきると、前方にひときわ小高いピークが見えました。地図で見る限りあれが蝶ヶ岳に違いありません。なんだか植林を皆伐された里山みたいで、北アルプスの名のある山には見えませんが、それでもあれがゴールの頂であることに変わりないのです。


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山頂に続く稜線に上がってみると、強い風と吹きつける雪粒、そして視界をさえぎる白いガスで、とてものんびり山頂に立つ気にはなれません。右手に見える山頂の標柱を知らん顔で素通りして、一目散に蝶ヶ岳ヒュッテに向かいました。


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13:27 冬季小屋の入口はすぐに見つかりました。この赤いトンネルをくぐって中に入るのですが、でかいバックパックを背負って入口をくぐろうとすると何かが引っかかって進めなかったので、バックパックを下ろして引きずりながら中に入りました。


入ってみると、途中で先行した二人組みパーティーとソロの男性がいただけで、小屋は意外にも空いていました。空いていた場所に寝床を確保したら、すぐに雪を取りに行き水づくりです。冬山を始めて4年になりますが、実は雪から水をつくるのは今回が初めてです。やり方は知っているのでとくに問題はありませんでしたが、その効率の悪さにはちょっとうんざりしました。溶かせども溶かせども全然水が増えないので、延々と雪を溶かし続けるはめに。実際には1リットルあれば足りますが、お茶を飲んだりすることを考慮して予備を含めて2リットル分作ったので、時間も燃料もかなり使いました。ところで、雪からつくった水がこれほどまずいものだとは知りませんでした。コーヒー用のペーパーフィルターで漉したものの、土埃がたっぷり入ったような味でとてもそのままでは飲みたくない水でした。浄水器の購入を本気で考えたいと思いますが、冬山だとフィルター部分が凍結して破損してしまうのではないかという点が気になるところです。


水作りの作業中に外から休憩に入ってきた男女の二人組みがあり、女性のほうだけ小屋に残り、男性はまた出て行きました。外は吹雪で天気も悪いのに何しに行ったんだろうと思いましたが、水作りに専念しているうちにそのことは忘れていました。ふと気がつくと、休憩していた女性の様子がどうもおかしい。ため息ともうめき声ともつかないような声をたまに発しているし、みると足がガクガク震えています。低体温症になりかけているように見えたので、「体調悪いんですか?」と聞いてみたところ、どうやらそのようです。ポットは持っているものの、中に紅茶が入っていて飲んだら吐いたとのことだったので、僕が持っていたお湯を分けてあげて、ダウンジャケットも貸してあげたところ、どうやら震えは収まったようでした。聞けば11人パーティーで登頂し、他のメンバーは強風の中テントの設営をしているそうで、体調のよくない彼女だけが小屋で休憩していたようです。やがて男性が迎えに来て彼女も出て行きましたが、翌朝早くそのパーティーが出発していく姿が見られたので、無事山行を継続することができたようです。


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15時を回ったころ、男性3人のパーティーが到着し、小屋はほぼ満員状態になりました。避難小屋は詰めればぎりぎり10人ぐらい寝られるスペースがありますが、荷物を置くスペースも考慮すれば、せいぜい8人が限界といったところです。大晦日の夜は7人の宿泊となりました。ただし、同じぐらいの広さの土間があるので、最悪は土間に寝ることも可能です。蝶ヶ岳避難小屋のいいところは、小屋内にトイレがあることです。今回のようにちょっとした吹雪のような状態で、外に用を足しに行くのはかなりつらいので、その点とても助かりました。


疲れて空腹だったので、16時過ぎに夕食を食べて、17時には寝袋にもぐりこみました。徳澤よりも標高が高いので冷え込むかと思いましたが、人が多いことと小屋がしっかりしているためか、昨晩よりも寒さはましでした。しかし、首の痛みで目が覚め、ストレッチしたりもんだりしても全然痛みが治まりません。最後の手段ということで、持っていた鎮痛剤アダムA錠を飲んで再び寝袋にもぐりこんだところ、いつの間にか痛みがなくなって寝ることができました。


<写真クリックで拡大>
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真夜中の12時過ぎに誰かが外に出て帰ってきたときに、星も月も見えていると言っていたので、カメラを持って出てみました。確かに頭上には星が見えていて月も出ていましたが、周りはガスが取り巻いていて、穂高連峰はもとより安曇野の町灯りも見えない状態でした。とりあえず、せっかく出てきたので1枚だけでもということでシャッターを押したのがこの写真です。たまたま風が収まったときに15秒のシャッターを切りました。月明かりに浮かぶ穂高連峰の写真を撮りたかったのですが、ガスが晴れる瞬間をじっと待ち続けるほどの気力体力はなかったので、このあとすぐに小屋に引き返し、夜明け前まで体を休めたのでした。

つづく。

20151231蝶ヶ岳1

20151231蝶ヶ岳2



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| 2015年12月 蝶ヶ岳 | 23:41 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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