ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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はるばる来たぜ裏剱! 急登と雪渓を乗り越えて: 池平山その2

2015年8月9日(日)~13日(木) 富山県立山町 池平山(2555m)単独テント・小屋泊


8月10日(2日目)
バルブ撮影で1時間シャッターを開いて撮影している間にテントに戻って朝食を食べ、明るくなったときにはテントをたたんで出発するだけという段取りになっていました。


朝の混雑は5時前には一段落したので、空いたトイレでゆっくりと用を足そうと思って新しいトイレにいってみると、なんと個室のほうはどれもみな糞詰まり状態で、見るもおぞましいものがこんもりとたまっています。トイレに設置してあるホースで水をかけて流そうと試みるも微動だにしないその山の上からさらに盛り足すようなまねはしたくもないし、するべきではないということで、古いトイレのほうに移動しました。こちらは昔ながらの竪穴方式なので、糞詰まりになることはありません。古いトイレは入り口がなんだか廃墟のようで、中はどうなっているのかこわごわ入ったのですが、予想に反してけっこうきれいでちゃんとしていました。それにしても、流れないほどの大便を放置していく人がいて、その上からさらに脱糞していく人がいるというのも、どういう神経なんだろうと思ってしまいます。古いほうのトイレに行けばなにも問題ないのに、なぜそういう発想ができないのでしょうか。あの詰まったトイレを掃除する管理棟の人もたまったものではないでしょう。本当にご苦労様です。


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5:56 朝露でしっとりと濡れたテントを拭いてパッキングを終え、いよいよ始めて歩く裏剱へのコースへと足を踏み出します。


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剱澤小屋横から剱沢に向けて下っていきます。


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急斜面をジグザグに下りていきます。


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やがて雪渓の残る沢沿いの道に入ります。5分ほど下って行くと夏道が雪渓と出会う場所になり、そこから雪渓歩きが始まります。先行の登山者がクランポンの装着をしている脇をそのまま通過して、僕はクランポンなしで雪渓に足を踏み出しました。率直に言えばクランポンを持って来るのを忘れてきたということですが、いままでの北アルプスでの夏山山行の経験では、この時期の雪渓歩きは急斜面のトラバースなど危険な場所でない限り、クランポンなしでもまず大丈夫だったので、巾の広い雪渓歩きなら問題ないとの判断です。


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実際、雪渓の表面は凍結しているわけではないので、登山靴のままでも特に困ることはありませんでした。ただし、どうしても歩きが慎重になってしまい、またズルッと滑ってバランスを崩すことも無いわけではないので、やはり4本もしくは6本爪のクランポンを装着したほうが安心であることは明らかです。前方に針の山のような八ツ峰の稜線を見ながら、氷河のような雪渓をただひたすら下っていきます。


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6:53 平蔵谷との出合いです。この雪渓をずっと詰めていくと、カニのタテバイの下へ出るようです。確かグレートトラバースで田中陽希さんが剱岳登頂に使ったルートが平蔵谷だったように記憶しています。もっとも彼が登頂したのはもっと早い時期だったはずなので、雪の状態はかなり違っていると思いますけど。


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平蔵谷からさらに30分ほど下って行くと、今度は長次郎谷との出合いがあります。こちらは点の記でも有名になった明治の測量技師 柴崎芳太郎と案内人 宇治長次郎の一行が剱岳登頂に使ったルートです。いつか登って見たいと思いながら長次郎谷を眺めつつ、真砂沢へと下ります。


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剱沢キャンプ場の標高が約2500m、剱沢の雪渓歩きが終わる真砂沢ロッジの標高が約1750mなので、標高差は約750mあります。雪渓歩きは始まった標高が約2300mなので、雪渓だけで標高差550mもあるわけで、行けども行けども雪渓が続きます。


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やがて雪渓が急激に狭まるところで、左手に夏道の入口が見えました。そのまま雪渓を下ってもいいのかもしれませんが、雪渓の幅が狭まるということは、安全に歩ける範囲も狭まるということだし、傾斜も少し急になっているようなので、安全を考えて夏道に移りました。とはえ、この区間だけの巻き道のようなもので、雪渓が狭くなったところを抜けて下へ降りると、再び雪渓歩きになります。


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8:00 ようやく真砂沢ロッジに着きました。写真の雪渓の中に人影がひとり写っているのがわかると思いますが、その上に黒い部分が見えています。この黒い部分は雪渓が一部凍結してつるつるになっていたところで、下ってくるときにこの部分を避けようとうっかり雪渓の真ん中近くを通ってしまったのを、ロッジのご主人にしっかり見られていて、「あんなところを歩いたら落ちるぞと」怒られちゃいました。ご忠告ありがとうございます。以後気をつけます。怒られたといっても別に気難しい嫌な親爺というわけではなく、登山者のことを思っての忠告なので、特に気分を害したということはありません。真砂沢ロッジから二股までの道の状況を尋ねたら親切に教えてくれました。暑いから早めに出発したほうがいいとのアドバイスもいただき、トイレ休憩だけですぐに出発しました。しかし、これが失敗でした。水の補給を忘れたのです。剱沢出発時に約1.5リットルの水を担いでいて、途中で0.5リットルほど飲んだので、真砂沢ロッジを出発したときはおそらく1リットルほどしかなかったはずです。これが地獄の仙人新道で首を絞める結果になりました。ただし、ロッジのご主人が早く出たほうがいいと言ったことを逆恨みしているわけではありませんので。あくまでも、水の補給を忘れたのは自分の失敗です。


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8:06 真砂沢のキャンプ場脇から二股への登山道を下っていきます。


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少しの間薮っぽい道を行くと、再び雪渓に出ます。


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この雪渓に出たところの右側、剱沢右岸に赤テープの印と岩に描かれた赤矢印があり、梯子谷乗越への取り付きになっています。以前はもう少し下ったところに仮設の橋が設けられていたようですが、何度も流されてしまったため、今は橋を設置することはしていないそうです。


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ところで、この雪渓ですが、わりと幅広くて大きな一枚バーンのようになっているのですが、登山道がどこへ続いているのか何の印もないので最初進むべき方向がわからず悩んでしまいました。何のことはない、沢沿いにまっすぐ下る方向に進めばいいだけなのですが、登山道を示す印が、雪渓と夏道の境目からかなりおくに入ったところにあって、しかも小さいのです。その上、時間的にちょうど逆光になっていたので、この印がぜんぜん見つかりませんでした。ここで5分ぐらいタイムロスしてしまいました。


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再び薮の中を進みます。


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河原に出て進んでいくと、川岸まで雪渓が迫っている場所に来ました。雪渓と川の間の狭い部分を石伝いに進んでいきます。この場所を過ぎてもう少し行ったあたりで、左手を高巻くように登山道がつけられているのですが、それに気づかずに川沿いを進んでしまいました。結局進むのに窮するようなこともなく再び登山道と合流できたので問題はなかったのですが、足元にばかり気を取られていたのが失敗でした。ちゃんと前を見ながら進まないといけません。こういったうっかりミスが遭難につながってしまいます。


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これがこの区間の難所です。写真で見るとどうということは無いように見えますが、手前の丸太が縦に設置されているところを伝って先に進む部分がすこし厄介です。重い荷物を背負っていると、鎖がわりと伸びるので背中側に引っ張られて腕力で支えなければならず、へたをすると川に落ちてしまいかねません。高さ的に大怪我をするほどのものではないので安心ですが、水温も冷たいし流れも急なので、川に落ちるとそれなりにリスクはあります。


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さらに、このような急斜面んもありました。高さは5m程度なので、それほど大変ではありませんが、やや滑り易いので、雨降りのときなどは要注意かもしれません。


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9:33 まだかまだかと思いながら進んでいくと、やっと二股のつり橋にたどり着きました。真砂沢ロッジから二股までのコースタイムは1時間半なので、ほぼコースタイムどおりでした。


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橋を渡り始めると、上流に三の窓雪渓が見えます。


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橋の下を流れる水は、透明できれいでした。飲んでも問題なさそうですが、無理に沢水を汲んでいかなくても残った水でなんとかなるだろうと思ったのでした。万一おなかでも壊したら困るということもあります。ここから仙人新道を2時間半かけて登らなければならないのですが、樹林帯の道みたいだし仙人峠から先は30分の下りなので、仙人峠についた時点で水は残っていなくても大丈夫。いつもの自分の水消費量から考えると、1リットルも必要ないという判断でしたが、大間違いでした。ここは、標高わずか1600m。標高2400mを越える室堂と違って、蒸し暑いのです。仙人新道を登りきった仙人峠でも標高は2100mに満たないわけで、室堂や剱沢あたりで行動しているときとは気温が違っているというこをすっかり忘れていました。山奥に入ったという感覚で、なんとなく標高が高くなったと勘違いしたままだったわけです。



ここでひと息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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20分ほど休憩したあと、仙人新道に向けて歩き始めました。つり橋からひとまず三の窓雪渓の上流方面に大きな岩を乗り越えて進みます。


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3分ほど進んだところから、右へ折れて森の中へと入っていきます。ここからいよいよ登りが始まります。


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最初のうちはちゃんとした階段もあったりしてそれなりに歩きやすい道でした。しかし、すぐに急登になり、やがて滑り易い風化した花崗岩の斜面をロープを頼りにトラバースするような場所もあったりで、タフな登山道になってきました。途中で警察の救助ヘリがやってきて、二股のつり橋のあたりに降下してホバリングしているのが見えたので、川に落ちて流されたのか、熱中症などで体調を崩した登山者がいたのかもしれません。


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10:41 二股から急斜面を登ってきて、やっと尾根上に出たところでようやく展望が開けました。目の前に三の窓雪渓が長々と伸びているのが良く見えます。しかし、ここまでの間にすっかり汗だくになってしまいました。雷鳥坂を登っている時は、汗はそれなりにかいたものの、下半身がべたべたになるようなことはありませんでしたが、仙人新道では上から下まで汗びっしょりです。これは、1週間前の三嶺のときとまったく同じ。標高が三嶺登山の時とほぼ同じなのですから、同じように汗をかくのもあたりまえ。雷鳥坂の感覚で考えていたのが大間違いでした。当然ながら、水の消費は多くなります。はたして仙人峠までもつのか微妙になってきました。


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その後、登山道は比較的傾斜が緩くなってホッとしたのもつかの間、しばらくすると再び急傾斜になりました。


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11:16 背後から照りつける真夏の太陽に苦しめられながら、ようやく半分くらい登ったところにベンチが設置されていました。日陰になっている場所に座り込んで休憩すると同時に、ハイドレーションに入れていたアミノバイタルウォーターを飲み干してしまいました。これで、残ったのはアルミボトルに半分ほど入っている水だけですから、残り300ccほどしかありません。


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一息ついて、改めて目の前に広がる三の窓雪渓と小窓雪渓を背景に自撮り。残り半分の行程を300ccの水で切り抜けられるのか、多少の不安を残しつつ出発しました。


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その後も、仙人新道は緩急を繰り返しながら果てしなく登り続けます。ようやく仙人峠があると思われる稜線が見えてきましたが、まだまだ登らなければいけません。


あえぎながら2008mの小ピークまで登ってきて、そこで小休止をするために荷物を下ろし、木陰に座って休みました。わずかな水で喉を潤し、5分ほど休憩して出発しようとしたところ、なんとめまいがするではありませんか。いったん荷物を背負ってみたものの、とても歩ける状態ではないので、再び荷物を下ろして木陰に座り込んでしまいました。ここに来るまでに直射日光が首筋に当たって暑い上に首が焼けて痛みも感じていた状態だったので、もしかしたら軽い日射病にかかったのかもしれません。とにかく、木陰でしばらく休憩して、体を冷やして様子を見なければどうしようもありません。念のためにと残しておいた二口程の水も、もはやケチっている場合ではないので、飲み干してしまいました。あとは、木陰で風に吹かれながら汗でぐっしょり濡れたシャツが体温を奪って体を冷やしてくれるのを待つのみです。仙人新道のコースタイムは2時間半です。10時前に二股を出発したので、休憩を含めて13時に仙人峠に着く予定でしたが、はたしてどうなってしまうのでしょうか。


木陰に体操座りのようにして座り、膝の上に頭を載せて、ただただ体が冷えるのを待ちました。時折吹く風が心地よく、もしかしたら少しの間意識が飛んでいたのかもしれません。気がつくといつの間にか30分が経過していました。幸い、雲が出てきたので日差しが和らいでくれたことも良かったのか、立ち上がってもクラクラするめまいは起きません。なんとなくまだ少しふらつくような感じは残るものの、歩けないというほどのことはなく、これならなんとか歩けそうです。結局この場所で40分ほど時間をつぶしてしまいましたが、地図で見ると残りはあと1/4程度なので、それほど大きなロスにはならなくて済みそうです。


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12:40 荷物を担いで、ゆっくりと歩き出しました。目の前に小さなピークが見えていて、あれを越えれば峠かもなどと思いながら進んでいくと、再びその先にピークが見え、そのたびに体から力が抜けていくような気持ちを何度も味わいながら、それでも登り続けます。


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右手前方に、仙人池ヒュッテがほぼ同じ高さに見えると、さすがに仙人新道も終わりに近づいたことを感じます。


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しかし、まだまだ難関が立ちふさがります。ちょっとした高さですが、力の入る岩登りまがいの場所が出てきたりして、ほんといやらしい登山道です。


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13:05 ようやく仙人峠に着きました。途中でタイムロスしたとはいえ、それまでのペースが予想外に速かったらしく、結局ほぼ予定通りの時間に仙人峠を登りきることができました。峠というぐらいだから、見晴らしが良くベンチなんかもあって休憩できるような場所かと思っていましたが、単なる登山道の途中にいきなり合流しただけの場所で、とてもゆっくりできそうにありません。その上、池の平方面である左方向へは、あろうことかまだ上り坂になっているではないですか。とにかく、上り坂が終わるところまでは進んで、そこで休憩することにしました。


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ラッキーなことにわずかばかり進むとすぐに木道になり、上り坂といっても緩い傾斜の歩きやすい道になりました。そして、100mほど進んだところが上り坂の終点で、立派なベンチが2つも設置されていて、ゆっくりと休憩することができたのでした。


その後は緩やかに下っていく道をただただ喉の渇きと戦いながら歩き続け、コースタイムどおりほぼ30分の時間をかけて池の平に到着したのでした。疲れと喉の渇きですっかり写真を撮ることも忘れていましたが、到着時に小屋番のおじさんが出てきてお疲れ様と労をねぎらってくれて、とにもかくにもということで水をもらってがぶ飲みしました。


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テント泊の受付をして、テント場に行ってみると、真ん中のヘリポートを囲むようにいくつかのテントが張られていましたが、ちょうど適度に草が生えた場所が開いていたのでそこに自分のテントを張りました。このとき写真を撮り忘れたので、この写真は翌日朝に撮影したものです。このテント場は、1/3ぐらいは雑草が伸びていて使えない状態だし、さらに奥の1/3ぐらいはジメジメしていて使えないような状態なので、フラットで広い場所のわりに幕営数はあまり多くないようです。


池の平に着いたときには、ガスが出ていて、山も平の池も見えない状態だったので、テントを張ってからはとりあえずテント内で体を休めました。ごろごろしたり、お茶を飲んだりしているうちに夕方になり、そそくさと夕食を済ませるとさっさと寝たのでした。地面がフラットな上に草地なのでふかふかとした感じがあり、妙に寝心地が良かったのが助かりました。


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午前1時頃に起きて空を見てみると、ガスがすっかり消えて満天の星空でした。


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少し雲が出始めていたのですが、池平山の上空にかかる天の川がきれいに見えていました。


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八ツ峰の上空にもたくさんの星が煌めいています。月の無い暗い夜でしたが、星明りで「モンローの唇」と言われている雪渓がきれいに映りました。肉眼では見えていませんが、さすがは高感度に強いデジタルカメラです。午前2時半ぐらいになると雲が多く出てきたので、撮影を終えてテントに戻りました。

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z10日


つづく。



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| 2015年8月 裏剱(池平山) | 11:06 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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