ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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晴天に恵まれた4日間: 立山その4 あわや滑落

2015年4月30日~5月3日 富山県立山町 立山 単独テント泊・小屋泊


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11:48 休憩を10分で切り上げて大日岳へと向かいます。大日岳へは、三角点ピークの少し手前のところから左手にピークを巻くように夏道が続いています。奥大日岳から大日岳へのルートは難しいところがあるらしいので、ここからはさらに気を引き締めて進みます。


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雪の消えた急斜面の登山道を降りていくと、再び雪渓が現れました。雪渓と夏道の接合部分は人がのると崩れてしまいそうな小さなスノーブリッジでつながっていて、それ以外の場所はけっこうな段差になっているので、スノーブリッジを渡らざるを得ません。手前の細い部分はさすがにやばそうなので、そこは踏まずに奥のほうへ脚を伸ばしてそおっと乗り移りました。


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雪渓を進んでいくと、雪庇の突き出た稜線にでました。奥大日岳三角点のピークから見えていた雪庇の稜線です。スキーの跡が明らかに雪庇の上になっている場所に続いていますが、さすがにこれをトレースする気にはなれません。左手の斜面側に少し下ってから、先に進みました。


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このあたりも左手は称名川へと落ち込む急斜面になっているので、斜度がますあたりにクラックができているし、右手の雪庇の付け根あたりにもクラックがあり、クラックの隙間を少しはらはらしながら歩きます。


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稜線部分が終わると、広々とした雪原状態となり、そこを過ぎると鞍部に向けて急激に斜度が増してきました。大日岳のピークが見えていますが、あそこまで1時間でいけるかどうか微妙なところです。日が長くなっているとはいえ、帰りの時間や体力などを考えて、13時を行動限界に決めているので、13時になった時点で引き返す予定です。


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眼下に雪に埋もれた称名川を見ながら、斜面を下っていきます。


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12:19 少し慎重になる場所もありましたが、それほど厄介なところもなく、順調に進んで鞍部まで下りてきました。登り返しの稜線は、雪庇が無くあまり傾斜もきつくないので楽に歩けました。


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やがて前方になんとなく厄介そうな小ピークが見えてきました。


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小ピーク手前の急斜面を登ります。


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登り詰めると、でっかいクラックが進路をふさいでいます。クラックの左端を乗り越えて稜線に出るようです。


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稜線に出てみると、その先はハイマツの生えた道なき道でした。夏道は違うところを通っているようです。クランポンを装着したままハイマツ帯を越えるのは少々厄介でしたが、岩稜だったおかげでそれほどハイマツが多くなかったので助かりました。


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ハイマツの岩稜を越えて、再び雪稜に出ます。


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ちょっと怖そうな急斜面を直登してナイフリッジのような稜線へと上がります。


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12:39 ナイフリッジの稜線を進んだ先にある2450mの小ピークに着きました。ここからは目の前に七福園のある2500mピークとその右奥に大日岳が見えます。見た感じ、大日岳まで小一時間でしょうか。13時40分に登頂したとして、14時に大日岳を出発すると、奥大日岳までは往路と同じぐらいの時間がかかりそうなので、16時前になりそうです。そこから雷鳥沢までは1時間半かかるので、テントに戻れるのは17時30分。日が長くなっているので暗くはないのでしょうが、ちょっと遅すぎます。なにかトラブルがあったらすぐに日が暮れてしまう時間まで行動するのはリスキーなので、どうやらここらあたりが行動限界のようです。せめて目の前の2500mピークまで行こうかと思いましたが、ここにきてけっこう疲労感が強くなってきたこともあり、帰りの体力を考慮してここで引き返すことにしました。


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とりあえず、ゆっくりと座って休憩することにしました。行動食でエネルギー補給しながら南側を眺めれば、深い称名川の谷を挟んで弥陀ヶ原の雪原が広がり、壊れたジッパーのように立山有料道路がその真ん中をうねうねと延びているのが良く見えます。


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はるか左手奥のほうに立山が聳えていて、こんなところまで歩いてきたのかと思うほど遠くにあるように感じます。考えてみれば大日岳は称名滝の近くにあるわけですから、半分下山してきたようなもの。室堂が遠く感じるのもあたりまえです。


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大日岳の頂を眺めていると、手前の斜面に小さな黒い粒がゆっくりと動いているのが見えました。最大望遠で撮影してみると、やはり人間です。下っているのかと思いきや、登っています。室堂からの登山者にしてはのんびりしすぎだなと思ってみていましたが、大きな荷物を背負っているようにも見えないので、おそらく大日小屋の関係者なんだろうと納得することにしました。



ここでひと息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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12:55 15分間の休憩を終えて、下山開始です。これからまた目の前の奥大日岳との鞍部まで下り、登り返さなければなりません。下山といっても、実際は往路と同じ標高差の縦走なので、かかる時間も同じになるはず。焦らず急がず慎重にスタートです。


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まずは直近のナイフリッジを足元に気をつけながら下ります。ナイフリッジを下りきって、ハイマツの岩稜に入る直前の急勾配の斜面を下り始めたとき、踏み出した右足がなんの抵抗感もなく地面に吸い込まれました。自分のトレースを忠実にたどっていたところだったので、まさか踏み抜くなんて予想もしていませんでした。


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当然、バランスを崩して前のめりに転倒です。その瞬間、右手に持っていたアックスはシャフトがすべて埋まるところまで雪面に突き刺さっていたものの、前のめりに倒れる体を反射的に支えようとして、僕はアックスを手放して右手を雪面についてしまいました。雪面についた手の先からはじけとんだ雪玉が、はるか下の称名川に向かってあっという間に落ちていくさまを目の当たりにしながら、自分に何が起こったのか一瞬理解できませんでした。


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この斜面を右上から左下へと下ってくる途中で前のめりに転倒し、アックスを手放してしまったのです。普通に転んだだけだったら、もしかしたらそのまま称名川まで滑落していたかもしれません。


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しかし、右足がほぼ股関節まで踏み抜いてしまっていたため、踏み抜いた足がストッパーになって滑落を止めてくれました。体を起こして眼下に落ちてゆく斜面を眺めながら、ラッキーだったなあとホッとしました。危うく行方不明の遭難者としてニュースになるところでした。足を引き抜いたあとにぽっかりと開いた穴の中を見ると、深さ1m以上の空間ができていて、ハイマツが密生していました。


頭の中では転倒時の対処法などは理解していて、実際にそのように行動できるつもりでいましたが、このときそれがただの思い込みだったことがはっきりしました。人は転びそうになると無意識に手を伸ばしてしまうということです。アックスのシャフトが根元まで突き刺さっていたのが偶然だったのか、無意識でそうしたのかわかりませんが、もしも右足がすっぽ抜けていたらはたしてアックスが抜けずに滑落を止めてくれたのかどうかわかりません。もしもアックスが雪にきちんと刺さっていなくて、足も転倒した拍子に抜けていたとしたらと考えると背筋が寒くなる思いです。滑落停止の技術よりも転ばないことが重要だとして、いままで斜面で転倒したときの練習をしたことはありませんが、やはり何度も練習して体が反射的に動くようにしておく必要があるなと感じました。


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気を取り直して、ハイマツの岩稜を慎重に下ります。ここでも、滑ったりクランポンを引掛けて転倒したりすると、どこへ落ちていくかわかりません。


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ようやく難所をクリアし、鞍部まで下りてきました。あとは、奥大日岳へと登り返すだけです。これといって難しいところはないのですが、斜度はそこそこあるので油断は禁物です。


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奥大日岳の山頂近くまで戻ってきました。左手の山頂に人がいるのが見えます。まだ登山者がいるのかと思うと、なんとなくほっとしました。


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14:08 奥大日岳まで戻ってきました。剱岳を背景に自撮りで1枚。少し休憩してから、出発しました。


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でかい雪庇のクラックを回り込むようにして2611mピークに向かいます。


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今日は本当に雲ひとつ無い快晴です。ほぼ誰もいない状態の奥大日岳から正面に立山を見ながら下ります。あの頂はたくさんの人であふれていることでしょう。同じ山域なのになぜこれほど違うのか、ちょっと不思議な気がします。


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登ってくる時は余り感じませんでしたが、下りでは雪庇とハイマツの間を通るルートは、なかなかスリリングです。


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特に上部の雪渓の幅が狭い場所は高度感もあって緊張します。


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雪渓の幅が広くなるとやっと気持ちが落ち着いてきました。


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新室堂乗越まで戻ってくると、あとはしっかりとしたトレースをたどって戻るだけです。


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テント場も見えてきました。


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15:53 テントまで戻ってきました。約7時間の行動でした。あまり疲労感を溜め込まずに行動を終えるにはちょうどいいぐらいの時間でした。

20150502立山


つづく。



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| 2015年4月 立山 | 21:53 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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