ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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ふぉとログ #9 鮮血に染まる鏡池

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ずいぶんとご大層なタイトルですが、デマやホラではなく、実際に戸隠山の山麓にある鏡池であまり思い出したくない怖い体験をしました。


それは2000年11月7日のことでした。紅葉と戸隠山を映し出す鏡池を撮影しようと真夜中に車を走らせ、夜明け前に真っ暗な山道を登っていました。あと少しで鏡池に着くというころ、ヘッドライトの中に突然髪を振り乱した女性が現れたのです。その女性は、両手を上げてこちらに向かってこようとしていました。人間なのかどうかなどと考えているほどの余裕はありませんから、とにかくブレーキを踏んで車を停めました。何が起こっているのか、正直理解できない状態でした。恐怖感を感じていたのかどうか、それすらもはっきりしません。とにかく、目の前にいるその女性が、現実のものなのかどうか、ただじっと見つめることしかできませんでした。


停車した車に向かって、女性は小走りに近づいてきました。そして、運転席のすぐ横までやってきてだまってこちらを覗き込むように見つめています。その時には、さすがに幽霊とかもののけの類ではなく、本物の人間だということがわかったので、窓を少し開けて彼女に声をかけました。

「どうしたんですか?」
「男にここまで連れてこられて、ナイフで切りつけられたんです。」
彼女はそういって片手を差し出しました。親指の付け根がざっくりと切られていた。傷は手首の辺りまで達する長さでした。すでに出血は止まっていましたが、かえってなまなましい傷跡がグロテスクでした。

とにかく、彼女を後部座席にのせて、すぐ先にある鏡池の駐車場まで行き、そこから警察に電話をかけました。駐車場には3人ほどカメラマンらしき人がいましたが、なぜ彼らに助けを求めなかったのだろうかと怪訝に感じたのも事実です。しかし、真っ暗な山道でどこに何があるかもわからず、たとえ人の気配が感じられたとしても犯人がまだいるかもしれないという恐怖で、隠れていた林の中から出てくる勇気はなかったのでしょう。後でわかったことですが、男に切りつけられたのは鏡池の駐車場だったようで、襲われた場所に戻る勇気はなかったということのようです。そこにたまたま犯人がいた駐車場とは別方向からやってきた僕の車に、助けを求めにでてきたということなのでしょう。


ここでひと息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。



あたりがだいぶん明るくなってきた頃、彼女を乗せた場所に向かって少し道を歩いてみると、駐車場にはちょっとした血だまりがあり、アスファルトの路上にはおびただしい数の血痕が続いていて、真夜中の惨劇を想像すると背筋が寒くなるような気がしました。やがて、近くの駐在さんらしい警察官がやってきて、その後救急車と警察がやってきました。傷の手当てを受けて、警察に事情徴収されたあと、彼女は救急車に乗って去っていきました。彼女とはそれきりです。犯人がつかまったのかどうかもわかりません。駐在さんから聞いた話では、彼女は新潟あたりから長野に一人できて、長野駅でナンパされて犯人に車でここまで連れてこられたということだったようです。家出少女だったのかたんなる夜遊びだったのかわかりませんが、見た目にはとくにぐれている風でもなく普通の女の子でした。


その後、今度は僕が事情徴収されたり、実況見分に付き合わされたりして、朝日に赤く染まる戸隠山とそれを映す鏡池という絶好のシーンを撮影することはできませんでした。この写真は、ようやく警察から開放されて撮影したものです。


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