ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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北アルプス三大急登に挑め!: 剱岳早月尾根 その1

2014年9月22~23日 富山県上市町 剱岳(2999m) 1泊2日単独小屋泊


9月21日に馬場島の中山に登ったあと、いったん上市町まで下りて台風の動きなどを天気予報で確認したところ、どうやら23日は快晴になるようです。22日は晴れのち曇りということで、こちらも問題なし。予定通り22日に早月小屋までのぼり、23日に剱岳に登頂するという計画で、北アルプス三大急登のひとつに数えられる早月尾根に挑戦することに決めました。22日は平日の月曜日なので登山者も多くないだろうと考え、早月小屋に宿泊予約の電話を入れてみたところ、予想通り空いているとのことで、素泊まりで予約を入れました。久しぶりの小屋泊登山です。


早月尾根は北アルプス三大急登のひとつ。早月尾根の他に烏帽子岳のブナ立尾根、燕岳の合戦尾根を指すのが一般的のようですが、笠ヶ岳の笠新道のほうがきついという意見もあり、かならずしも先の3つが絶対というわけではないようです。ちなみに、早月尾根の登山口である馬場島の標高が760m、剱岳の標高が2999mということで、その標高差は2239mにもなります。ブナ立尾根は麓の高瀬ダムまでタクシーで入れるので、高瀬ダム上部の標高が約1280mとして計算すると、標高2628mの烏帽子岳山頂までの標高差は1348mとなります。また、合戦尾根の場合は、中房温泉にある登山口の標高が約1450m、燕岳の標高が2763mなので標高差は1313mとなり、早月尾根の標高差が飛びぬけて大きいということになります。まあ、急登とは標高差よりもむしろ勾配のきつさがメインでしょうから、標高差の大小はそれほど考慮されていないと思います。ブナ立尾根も合戦尾根もいまだ登ったことはないので比較のしようもありませんが、とにかく簡単に登れるルートではないということだけはしかと覚悟しておく必要があります。


上市町のスーパーで、カキフライやとんかつを買ってなんだかちょっと贅沢な夕食を食べ、日が暮れる頃再び馬場島へと向かいました。昼間いっぱいだった駐車場は空きスペースがちらほらあり、馬場島荘前の駐車場に車を停めることができました。寝る前の暇つぶしに読み始めたヤマケイ文庫の「遭難」という本につい夢中になってしまいました。明日は早月小屋までの行動予定なので、朝は6時ごろの出発で十分ということもあり、結局読破するまで読みふけってしまい、寝たのは23時をまわってしまいました。


9月22日
5:30 起床。空はからっと晴れていていい天気です。前日買ってきたパンで軽く朝食をとり、6時過ぎに出発。登山口の前まで来たところで帽子を忘れてきたことに気がついて、取りに戻りました。


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6:30 忘れ物をとりに戻ったために、出発時間が30分遅れてしまい、これでやっとスタートです。今回小屋泊にした理由は、2239mにもなる標高差の往復で膝痛がでることが心配だったことと、途中水場がないために多量の水を背負い上げなければならないことの2点にあります。水は早月小屋で購入することが可能ですが、2リットル900円も取られるので自分でもっていくことにしました。そういうわけで、荷物の軽量化を優先するために小屋泊にしたわけです。


荷物の総重量は量っていないのでわかりませんが、テント泊装備がなかったため、相当軽かったはずです。水は全部で4.5リットル担ぎました。22日の登りで消費する予定が1.5リットル。夕食と朝食で1.5リットル、剱岳登頂と下山で1.5リットルという計算です。この他、三脚と交換レンズ類も下ろして、一眼レフはEOS6DとEF24-105の組み合わせのみ持参することにしました。星空撮影や夜明けの撮影などができなくなってしまいますが、今回はピークハント目的、撮影はできる範囲でするということで割り切りました。これ以外では、防寒着を兼ねたゴアテックスのレインウェア上着、ダウンの上下、山シャツ予備1枚、ガス、バーナー、最低限の食料やライトなどの小物類だけだったので、おそらく出発時の荷物は10kgもなかったと思われます。


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登山口にある「剱岳の諭」の石碑。”諭”の部分はなんて読むんでしょうか。”さとし”かな? この文章、最初の3つは「来たれ」「徹せよ」「挑め」という命令形で身が引き締まるような強さがあるのですが、最後の二つは、なんとなくとってつけたようでちょっと違和感があります。最初の3つだけでよかったのにというのが個人的な感想。


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そして、有名な「試練と憧れ」の石碑です。石碑の前で軽く柔軟体操をして、奥にある登山口へと向かいます。


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6:54 ずっと登ってみたかった早月尾根ルートに足を踏み入れます。標高差2239mというのは、自分の登山歴の中でもっとも大きな標高差です。何事につけ、未経験の領域へ足を踏み出す時は、不安と同時に心の昂ぶりを感じます。


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登山口からはすぐに階段の急登が始まります。まずはウォーミングアップを兼ねてゆっくりと登っていきます。


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急登は長くは続かず、標高差にして100mもないぐらいで、15分も上がると道は緩やかになってきました。


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道の脇で、大きな立山杉が迎えてくれます。


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木の根が階段状に折り重なっている緩やかな坂を登っていきます。


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7:37 登山口から40分強でベンチのある広場に着きました。


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ここは標高1000m。からだもあったまっていいウォーミングアップができました。ひとまずベンチで休憩します。


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前方のはるか高いところに稜線が見えます。方角的には大きな鞍部が大窓で、左が白ハゲ、右が池平山のように思えますが、はたして正解は?


ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。



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天気は快晴。真っ青な空が広がっています。


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今回は小屋泊ということで、中型バックパックのオスプレー ケストレル38を担いできました。1リットルのプラティパスをハイドレーションにして、中にアミノバイタルウォーターを溶かしたドリンクを入れています。このドリンクがけっこう効果があったらしく、朝食に菓子パンをひとつ食べただけなのに早月小屋に着くまでシャリバテを感じることはありませんでした。


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休憩を終えてほとんどフラットな尾根道を進んでいくと、再び大きな立山杉に出会いました。昨日の中山でもそうですが、尾根上にはなぜか巨大な杉が多く見られます。斜面と違って土砂が雨で流されにくく杉の生長にとって安定した環境なんでしょうか。また、土中の栄養分も失いにくいのかもしれません。


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さらに進んでいくと、巨大な杉が次々と現れます。


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極めつけがこれ。標高1000mのベンチから30分ほど歩いたところにありました。平坦な尾根道が終わり、ここから勾配がきつくなるという場所にあった大杉です。幹周りは15mぐらいはありそうな感じです。早月尾根ルートで最大の立山杉でした。


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後ろから見ると、こんな風になっていて、大人が余裕で入れそうな洞があいています。


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大杉を過ぎると、道はどんどん傾斜を増してきます。


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途中、幹周りが2mぐらいありそうな大きくて美しいブナの木もありました。


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8:25 巨樹の門を通過します。右は杉のようですが、左はミズナラかなにかの広葉樹です。


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腕時計の高度計と連動して、時間と高度の関係をグラフにしてくれる機能がありますが、その傾斜がなかなか見ないほどの急角度になっています。地形図の等高線でみても、標高1100mから1250mあたりはかなり間隔が狭く、急傾斜になっているのがわかります。


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9:16 標高1400m地点に着きました。さすがに大汗をかいてしんどくなってきたので、ここで休憩をとりました。1000m地点から1時間半で標高差400mを登ったので、100mをおよそ20分ほどで登った計算になります。荷物が軽いだけあって、テント泊装備のときと比べるとさすがに早いです。


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ここは西に開けた場所になっていて、富山の町まで見渡すことができました。


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1400m地点を過ぎてからも道は相変わらずですが、ときおりこのような梯子がついているぐらいの急傾斜の場所も出てきました。


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10:17 何も考えず、黙々とのぼり続けて標高1800m地点まできました。ここはそれほど広くはありませんが、森の中で木陰になっていて、休憩するには涼しくていい場所でした。空気がひんやりとしているせいか、それとも時期のためか、うっとおしい虫もいなくて気持ちよく休憩できます。


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1800m地点から少し登ると傾斜が急になり、大きな木の下を根につかまるようにして登る場所も出てきました。1800mから1900mあたりがわりときつい部分でした。


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標高1900mを越えると傾斜は少し緩くなって、歩きやすくなってきました。尾根の北側を巻くような場所では、小窓尾根が大きく見え、その迫力に驚きます。


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11:14 やっと標高2000mまで登ってきました。早月小屋まではあと200mと少しです。


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2000m地点から10分ほどのところに、小さな池がありました。水は透明ですが茶色をしていて、のぞいてみるとおたまじゃくしがたくさんいました。


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池を過ぎてから、木の根と大岩が絡み合うようなちょっとした難所があります。とくに通過するのに困るということはありませんが、段差が大きくそれなりに厄介でした。


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やがて紅葉の始まった草木がちらほらと見え始めます。


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11:55 広場のような場所にポンっと出てくると、右手に早月小屋が見えました。標高2224m地点です。


12時に早月小屋に着き、ひとまず小屋前の広場にあるベンチで休憩です。山と高原地図のコースタイムでは4時間40分となっていて、休憩こみだと5時間30分ぐらいと考えていましたが、おおむね予想通りでした。まだ残っていたハイドレーションパックの中身を飲み干して、ようやく空腹感を感じ始めたところで行動食で軽い昼食をとります。売店で1本400円というべらぼうな価格のコカコーラを買って飲みながら、ガスに巻かれていた山を眺めていると、次第にガスが薄くなり始めました。


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やがて、小窓尾根の岩稜が姿を現しました。切り立つ岩壁の迫力がハンパない感じです。


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紅く染まったナナカマドの実や、黄葉し始めた木々などが気の早い秋の訪れを感じさせます。


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12時30分ごろになると再びガスが湧いてきたので、チェックインをすませ、ふとんの上に寝転がって漫画「孤高の人」を読みふけっていました。


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17時ごろ外を見ると、すっかりガスが消えています。


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カメラを持って外に出てみると、富山平野の上空は一面雲の海になっています。


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小屋前のベンチで自炊して、雲海に沈む夕日を堪能しながらの夕食はなかなか優雅でした。


日が沈むとあっというまに冷え込んできます。肉眼でも天の川が確認できるほどの満点の星空でしたが、三脚を持ってこなかったので星空撮影はあきらめて、消灯時間まで漫画三昧の時間を楽しんだのでした。


つづく。


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| 2014年9月 剱岳早月尾根 | 16:51 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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