ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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剱岳~試練と憧れの山 その5

2014年8月11日~14日 富山県立山町 単独テント泊


剱岳から下山した12日の午後にはすでに足の筋肉痛が始まっていて、夕方になると歩くのも苦痛なほどの痛みに見舞われていました。前夜、あまり眠れていなかったこともあって、早めに食事を済ませて午後7時には寝袋にもぐりこんだものの、やっぱり地面のふくらみでエビゾリ状態になるのが不快で、熟睡というわけにはいきません。横を向いて寝ると地面のふくらみがあまり気にならなくなるので、疲れもあってかすぐに眠りに落ちましたが、薄いマットの上なので2時間もすると腰が痛くなったりして目が覚めます。


体の向きを変えたりして再び眠りに落ちるものの、やっぱり2時間もすると目が覚めてしまい、結局12時を回った頃にすっかり眠れなくなってしまいました。足の筋肉痛はまったく治まっておらず、すこし動かすのも大変です。寝る体勢に疲れたこともあって、起き上がって足をもんだりしてみたもの、あまり効果もなく、明日はたして行動できるか怪しい感じです。


8月13日
午前1時頃になるとお腹がすいてきたので、早すぎると思いながらも朝食を作りました。食後、トイレに行くためにテントを出てみたもの、足が棒のようで動きがギクシャクするし、登山靴を履いているにもかかわらず足を踏み出すたびに足の裏がズキズキと傷みます。これではとてもテントを撤収して、フル装備で裏剱へ移動するなど無理です。寝る前にアミノバイタルを飲んだりしましたが、あまり効果は出ていないようです。この時晴れていれば、それでも星景写真の撮影ぐらいはしていたと思いますが、けっこう雲が出ていて、天気もあまりよくない状態でした。


テントに戻ってすこしウトウトして、4時ごろ周囲のざわつきで目が覚めました。外をのぞいてみると、なんと雲ひとつない晴天で、月の光が煌々と剱岳を照らし出していました。夜明のテント場の写真を撮るのに好都合だということで、痛む足を我慢してカメラと三脚を持って撮影に出かけました。


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テント場の中を通って上のほうへと移動し、適当なところで三脚をセットして夜が空けていく様をカメラに収めました。


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日の出の時刻になる頃、さらに一段高いところへと移動し、剱岳に朝日が当たるのを待ちます。剱岳よりも先に剱御前が赤く染まりました。ちょうど剱沢の窪みから一足早く朝日が届いているようです。


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やがて剱岳にも朝日が当たり始めましたが、黒々とした山塊は期待したほど赤く染まることもなく、静かに夜が明けてゆきました。


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空は快晴。すっきりと晴れ渡っていて、こんな日に山頂に登れたら、1時間ぐらいゆっくりできるのになあとちょっと残念な気もしますが、山の天気なんて思い通りには行かないもの。とりあえず昨日は登頂できたし、今日はいい天気だからいい写真が撮れそうなので、結果オーライということにしておきます。とはいえ、足の痛みはまったく消えることなく、あいかわらずすこし歩けば痛みが走るという状態だし、荷物を担いで上ったり下ったりなんてまねはできそうにありません。そういうわけで、今日は休養日として、キャンプ場まわりでちょこちょこと写真を撮ってゆっくりすることにしました。


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ところが、午前7時を過ぎると上空にたくさんのうろこ雲が出現。あれほど晴れ渡っていた空があっという間に雲に覆われてしまいました。剱岳上空にはまだすこし青空が見えているものの、日差しは雲にさえぎられてしまい、風景的にはすっかり曇りのお天気。とりあえずテントに戻ってティータイム。その後寝転がって足をもんだりしているうちにいつしかウトウト・・・


お昼ごろ起きて、昼食にパスタを作って食べたりしていると、なんとなくお腹が痛くなってきました。沢水を飲むのは避けて、受付で塩素消毒してあるといわれた蛇口から水を汲んできて飲み水としていましたが、それが原因なのでしょうか。トイレにいってもすっきりしない感じで、鈍い腹痛はなんとなく続いています。


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とりあえず、動けないというほどでもないので、カメラを持ってお散歩に出かけることにしました。足に負担をかけないようにゆっくりと歩きながら、わずかに咲き残っていたチングルマとからめて剱岳を撮ったりして、ゆっくりと風景を楽しみます。目の前に聳える剱岳は、いつ目を向けても見た瞬間に「おおっ!」と思える迫力をみなぎらせていて、こんなすばらしい山を目の前で楽しむことができるこのキャンプ場のロケーションは最高です。



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空を覆っている雲はあいかわらず増えることはあっても減ることはない感じです。そのうち、富山方面から雲が湧いてきて、時折剱岳にからみます。そのまま雲に巻かれるかと思いきや、いつの間にか雲は消えて剱岳が顔を出します。ころころ変わっていく風景を岩に腰掛けてのんびりと眺めたりしながら、ゆったりとした時間が流れます。


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午後3時近くなったら、今度は剱沢の下流方向からガスが湧き上がってきました。


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どんどん湧いてきて、やがてキャンプ場のほうにまであふれ出てきます。一瞬あたりがガスで白くなったりしながらも、しばらくするとガスが晴れたりして、めまぐるしく変わる天気の様子がけっこう面白くて、飽きもせずに眺めていました。


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8月14日
前日、キャンプ場でゆっくりと休養したおかげで、足の痛みはだいぶん引いていました。お腹のほうも痛みは消えていて、どうやら問題なさそうです。これなら行動できるということで、朝食を終えてから日帰りで裏剱方面に行ってみるつもりで準備をしていたら、なんと雨が降ってきました。風もそこそこ吹いているし、昨日の晴天はどこへ行ったという感じです。管理棟の前に書かれている天気予報でも、今日は曇りのち雨。剱岳は見えているものの、こんな天気では裏剱まで行ってもいい風景は期待できそうにありません。なによりも、明日以降の天気が再び悪くなるらしいので、もう一日ここにいても状況は悪くなる一方です。


午前5時ごろまでどうしようかと考えていましたが、近くで誰かが明日から天気が悪くなるらしいからどうしようかと話をしているのが聞こえてきて、やはりもう一日泊まっても悪天候の中を下山する確立が高そうだということで、撤退を決めました。幸い雨は止んでいたので、テントをたたむチャンスとばかり、速攻でパッキングして出発の準備を整えました。


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5:37 剱岳に別れを告げて、室堂へ向けて歩き始めました。


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別山乗越方面はどんよりとした雲が垂れ込めています。


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歩いていくうちに雲はどんどん垂れ下がってきて、時折雨も落ち始めました。しかし、そんなことよりも足が思うように動いてくれません。痛みは軽くなったもののやはり疲労はまだまだ取れていなかったようです。もしも、日帰りで裏剱方面に向かっていたとしても、これでは途中で引き返していたことでしょう。


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剱御前小屋が見えてくるあたりで、まだハクサンイチゲなどの高山植物が咲いていました。


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やはり標高が高くなるほど遅くまで花が残っています。


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6:37 ちょうど1時間で別山乗越に着きました。わずか1時間の上りとはいえ、筋肉痛と筋肉疲労がたまった足にはけっこうつらいものがありました。荷物を下ろして一息つきます。ガスガスで風も強く、休憩しているとちょっと寒くなってきました。もともとは、下山は大日三山を縦走して称名滝に下るつもりで、アルペンルートの切符も片道分しか買っていませんが、さすがにそんな気力も体力もありません。素直に室堂へ下りることにしました。


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別山乗越はガスの中で、室堂方面の視界はまったくありませんが、不思議と剱岳方面はガスが切れて視界がありました。雷鳥坂を駆け上がってきた風が冷えて雲になり、別山乗越を飛び越えて吹き降ろしていく途中でガスが消える、フェーン現象のようなものなのでしょう。


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6:49 休憩を切り上げて下山開始です。


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10分ほど下ったあたりからガスが消えはじめました。


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足の痛みを我慢しながら下って行くと、先行の登山者が道の真ん中にうずくまっています。足でもくじいたのかと思って進んでいくと、雷鳥の母子がいました。この時期にしては珍しく、まだ生まれて間もない感じの小さな雛が5羽ほど元気に動き回っています。通りすがりにコンデジで撮影しただけなのでなんだかよくわかりませんが、母鳥の尻尾が画面上にすこし見えていて、母鳥の左隣と画面右側の岩の下に各1羽、画面左下の岩の上に2羽の雛が写っています。


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右端の子を拡大してみました。


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雷鳥沢キャンプ場が眼下に見える場所ですこし休憩をとり、だんだん動きにくくなってきた足に気をつけながら下山を続けます。


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7:54 ようやく雷鳥沢の橋まで下りてきました。この橋を渡った後の階段がけっこう苦痛でした。


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雷鳥沢のキャンプ場はたくさんのテントが張られていて、小さな子供がたくさん。ほぼファミリーキャンプ場と化していました。


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雷鳥沢キャンプ場でトイレ休憩をとって、室堂バスターミナルに向けて出発です。しかし、キャンプ場から雷鳥荘までの階段がまさに地獄。足が前に出ないし、息は上がるしでもうヘロヘロでした。階段が終わったところにあるベンチで休み、雷鳥荘の前にあるベンチで休み、すこし歩いては休憩という情けない状態でした。


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リンドウ池からミクリガ池への階段をなんとかクリアし、その後もベンチを見つけては休憩しながらなんとかバスターミナルにたどり着いたのでした。


高原バスに揺られているうちにいつの間にか意識は飛んでいましたが、美女平近くになって目が覚めました。ちょうど土砂降りの雨がフロントガラスを濡らしていて、寝ぼけ眼でガラス窓をたたく雨粒を見ながら、下山してよかったなあと思ったのでした。

おわり。

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| 2014年8月 剱岳別山尾根 | 14:58 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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