ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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剱岳~試練と憧れの山 その3

2014年8月11日~14日 富山県立山町 剱岳 単独テント泊 


12日の午前2時を回った頃、さすがにもう今から寝るとかえって寝過ごしてしまうと判断し、起きて朝食をとることにしました。天気がよくなかったため、夏用の薄い寝袋でも寒さは感じていませんでしたが、とりあえず体を温めておくために棒ラーメンの朝ごはんとしました。


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食後、外に出てみると、周囲はまだ暗く空に星はまったく見えていません。トイレに行ったり歯を磨いたりして、するべきことがひとととおり終わった頃、あたりがだいぶん見えるようになってきました。空はどんよりとした曇り空ですが、さいわい剱岳は山頂以外は比較的クリアに見えています。風はわりと強く吹いていますが、歩けないほどの強風ではなく、これなら剱岳の山頂を目指すことができそうです。ただ、山頂付近にまとわりついている雲が気にかかります。日が昇ってから一気に状況がかわることもあるので、とりあえず、日の出まで様子を見ることにしました。


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5:10 剱岳の上空の雲が少し色づき始めましたが、山頂のガスは相変わらず消えてくれません。


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背後の剱御前が赤く燃え上がります。


行くべきか、行かざるべきか。それが問題です。天気予報では、明日13日のほうがいいはずですが、確実とは言いがたい山の天気です。いけるときに行くのが鉄則。しかも、登頂目的ならそれほどいい天気でなくてもかまいません。むしろ好天時は、撮影に時間を使いたいわけですから、今日登って明日撮影するというのがむしろ理想的なプランです。


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そんなことを考えながら、剱岳の様子を観察していると、山頂部を覆っていたガスが突然動き始めました。


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そして、ついに山頂が姿を現したのです。基本的に天候は回復に向かっているわけですから、ガスが消えたのならこのあとは大きく崩れることはないだろうと判断してもよさそうです。であれば、アタックするのみです。


アタック用の折りたたみ式バックパックを広げて最低限の荷物をつめます。水を1リットル+0.6リットル。昼食は持たず、行動食をいくつか詰めます。天気はあまり良くないし、今日はピークハント目的なので一眼レフは置いていきます。カメラはパワーショットS110に、予備としてパナソニックの防水コンデジFT1の二台。通常の山行時に使うグローブと、山頂付近で雨になったときを想定して防水グローブも入れました。昨日着用していたモンベルストームクルーザーのレインジャケットはぐっしょりと濡れたままなので、ウィンドブレーカー代わりに持ってきた最軽量のレインウェアであるモンベルバーサライトジャケットを羽織ります。ボトムスは、ミズノのベルグテックSLハードシェルパンツ。これは、夏場に登山用パンツの上にレインウェアのパンツを着用すると汗をかいて蒸れやすく、上着と違って簡単に脱ぎ履きできないのがめんどくさいということで、レインウェア兼用の登山パンツとして今回試しに履いてきたものです。後日レビュー記事を書く予定。



準備が整って一度テントを出発したものの、管理棟のあたりで忘れ物に気がついてとりに戻ったために、出発は6:07になってしまいました。


管理棟の脇から斜面を下り、剱沢小屋の下を通って大きな雪渓を渡り、剣山荘に向かいます。

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6:24 剱山荘の脇を抜け、登山道入口までやってきました。いよいよここからが本番です。長らく憧れていたあの頂を今日踏むことができるのかと思うと、少し身が引き締まる思いです。北アルプスの主稜線からはずれ、立山連峰からも少し距離をおいたように北の端に聳える孤高の頂。突出した高さはないけれども、その峻険きわまる岩峰は古来より不動明王の神体として信仰を集めてきた崇高なる山です。その気高く、雄雄しく、超然とした様は、日本にあまたある山の中で唯一無二の存在感を放っています。キャンプ場から見た剱岳は、まさに絶壁で構成された山にしか見えず、どこに人が登れるようなルートがあるのかと疑問に思えたものですが、とにかくこの道を進むのみです。


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しばらく登ると、最初の鎖場がありましたが、このあたりの鎖場は念のため、と言った感じでまったく危ない感じはありません。


ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。



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6:56 一服剱に着きました。目の前には巨大な岩峰がそそり立っていますが、あれは前剣。本峰はその陰になって見えません。


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振り返ると、剱沢の全景がよく見えます。一服剱で3分ほど休憩して、前剱を目指します。



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遠目には絶壁に見えた前剱の壁ですが、こうして近くまで来て見ると傾斜は確かにきついものの、なんとか登れそうな雰囲気です。まあ、一般登山道ですから、当然といえば当然ですが。


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しかし、高度が上がるにつれて傾斜はどんどん厳しくなっていきます。浮石も増えて慎重に歩を進めないと落石を発生させたり、自分が足を滑らせかねません。


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巨岩の下の狭く急傾斜の場所をよじ登るようにして超えていきます。前剱大岩にある3番目の鎖場です。このあたりから気を抜けない鎖場になってきました。


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巨岩の下を抜けると、さらに急傾斜の鎖場が続きます。


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7:41 急傾斜の鎖場を越えると、しだいに傾斜が緩くなり、トラバース気味に進んでいった先で、突然剱岳本峰が姿を見せました。ここが、前剱の頂上です。一服剱で3分程度の休憩をとったきりということもあり、ここで小休止をとりました。水分を補給し行動食を食べ、5分ほど岩に座って休みました。


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休憩場所の眼下に見える岩峰の手前には、スリル満点そうな鉄橋があり、それを渡ったところから岩壁を右へ巻くように鎖が設置されています。前剱5番目の鎖場です。今までの鎖場は、いってみれば急傾斜の斜面に設置された補助用ですが、ここはまさに命綱ともいえる鎖で、もしも鎖がなかったらとてもここを渡る気にはなりそうにありません。前剱を越えると、いよいよ剱岳の核心部に近づいているという雰囲気が、ひしひしと伝わってきます。


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休憩を終え、5番目の鎖の前まで来て見ると、休憩場所からは見えなかった鎖がかかっている岩壁の下部がよく見えます。思っていたよりもずっと高度感がある岩壁です。鉄橋は左手はまだしも、右手はかなり切り立った崖になっており、今日のように風が強いときに渡るのはなかなか勇気が必要です。風の様子を見ながら、素早く鉄橋を渡り、鎖場に取り付きます。足場や手がかりはしっかりしているので、高所にビビリさえしなければそれほど恐ろしい場所ではありませんが、クライミング的要素の強い山であることを強く感じます。


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5番目の鎖場のあと、6番目の鎖場はそれほど難しい場所ではなく、ほっとしながら進んでいくと、比較的緩やかな尾根筋となり、緊張感も和らぎます。


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しかし、7番目の鎖場がある平蔵の頭で、再び難所が待ち構えていました。左上の岩峰へつながっている鎖は下り専用ルートなので、上りは右手の岩の隙間方向へ岩壁をトラバースしていきます。


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取り付き部分は足場がないためか、ボルトを岩に打ち込んだ足場が設置されています。これを手がかり足がかりにしていけばいいのですが、間隔がけっこうあるので、身長が低い人には少し厳しいかもしれません。


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岩壁を巻くように反対側に出てみると、思わずお尻の穴に力が入ってしまいそうな急傾斜の岩壁が待ち構えています。ここを下るのです。足場や手がかりはしっかりしており、鎖もあるので、慎重に下ればそれほど危険というほどではないにしても、この傾斜でこの高さですから、スリル満点です。


岩壁を無事に下りきったところで緊張が緩んだのか、なんだかお腹がすいてきました。どこかで小休止して行動食を食べようと思いつつも、この先はわりと岩場を伝うような場所が続くため、なかなか休憩によさそうな場所が見つかりません。その上、平蔵の頭を越えるときにアドレナリンが出まくったのか、気分的にもやや興奮したような感じで、空腹感を感じつつも先へ先へと気持ちがせいています。


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休憩するタイミングを見つけられないまま進んでいくと、前方に例の場所が見えてきました。そう、別山尾根ルートの核心部、カニのたてばいです。中央奥の岩壁に張り付いている人がここからも見られます。幸い渋滞していないので、スムースに抜けられそうな雰囲気です。はたして無事通過できるのか、どきどきしながらカニのたてばい取り付き部へと進んでいきました。

つづく。


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| 2014年8月 剱岳別山尾根 | 11:19 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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