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ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。相互リンクはしていませんので、リンクはご自由にどうぞ。

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2010年10月 黒部源流秋の山旅 vol.5 水晶岳アタック 1(三俣山荘~水晶小屋)

 6日の朝は4時30分に起きた。空はきれいに晴れていて、星がたくさんきらめいていた。星景写真を撮るにはすでに遅い時間だが、夜明けの写真ならまだ余裕がある。まずは食事だ。今日もこりずに朝ラーメンだ。醤油味は昨日で食べてしまったので、こんどは九州とんこつ味だ。ぴり辛高菜入りということで、食べるとじんわり汗が出るほど。寒い朝にはぴったり。

凍ったテント
 体も温まったところでカメラを持ってテントを出ると、テントはびっしりと凍りついていた。昨晩の雨のせいなのか、霜のせいなのかわからないが、フライシート内側の結露も凍っていたので、シートというよりも板に近い状態だった。もしかしたら昨晩よりも寒かったのかもしれない。それにしては、ダウンジャケットやエマージェンシーシートを使わないでも寝ることができたので、やっぱりある程度体が寒さに慣れたということもあるのだろう。

三俣山荘からみる夜明け
 三俣山荘前に行くと、明け始めた空に三日月が細く輝いていた。赤く染まり始めた空に大天井岳から槍ヶ岳への稜線がくっきりとしたスカイラインを刻み、その上には青から紺へと色を変えていく透明な空が広がっていた。真っ赤に焼けた朝焼けもいいが、こういう透明感のある朝の光景はみていて気持ちが澄渡ってくるようだ。なんだか、気分も高揚してくる。

 そうだ、水晶岳に行こう! 雲ノ平や黒部五郎岳のカールで写真を撮るという選択肢もあったが、この朝の光景を見ていると、今日こそは7年越しの水晶岳登頂を果たすべき日であるような気がしてきた。森林限界を超えている山頂部へ行った所でこれといって秋らしい写真が撮れるわけではないが、今日は写真よりもピークハントをしたいという気になった。水晶岳までは片道4時間の行程。6時に出れば10時には着ける。午後から雲が出たとしても10時ならまだ大丈夫だろう。帰りは黒部源流を通ってくれば、紅葉の写真も撮れるし悪くないプランだ。

 夜明けの写真を撮り終えたら、急いでテントに戻って準備をした。ポケッタブルザックを引っ張り出し、水、行動食、レインウェア、カメラ、レンズを詰め込んだ。カメラとレンズはEOS 5D+TAMRON 28-75mmとEF70-200mmだけにして、EOS 40Dは置いていくことにした。山行記録用にはパナソニックのコンデジTZ3を持っていく。水も500ミリリットルにした。鷲羽岳やワリモ岳を越えて水晶岳まで歩いていくにはやや少ない気もするが、気温が低いので夏場のように熱中症を心配しなくてもよさそうだし、帰りの黒部源流で水の補給ができるので少なめでも大丈夫だと判断した。

三俣山荘前
 三俣山荘前で靴紐を締めていると、昨晩山荘の談話室で話しをした岡山から来たという単独行の女性が山荘から出てきた。「気をつけて行ってらっしゃい」といいながら黒部源流方面に歩いて行ったので、水晶岳を目指すわけではなさそうだ。

湯俣川源流の紅葉
 6時15分に出発。山荘から少し歩くとハイマツ帯を抜け、湯俣川源流部を見渡すところに出る。湯股川源流部も見事な紅葉が広がっていた。写真を撮っていると、同じようにソロでテント泊している男性がやってきた。彼もやはり水晶岳を往復するそうだ。彼はこのあと黒部五郎岳から薬師岳を巡って、そこで百名山登頂を達成するらしい。まだ30代前半のように見えるが早くも百名山を登ったというのだから驚きだ。個人的には百名山に興味はないが、最近は百名山ブームで完登を目指す人が多いみたいだ。

鷲羽岳登山道
写真を撮り終えて、鷲羽岳の登りにかかる。

鷲羽岳登山道中間部
はじめは花崗岩が崩壊したような白っぽい砂利道だが、登るにしたがって大きな石が増え、頂上が近くなると岩だらけの崖をよじ登るような道になる。とはいえ、穂高あたりの岩壁をよじ登るような危機感のあるルートではないので、誰でも問題なく登れるだろう。

鷲羽岳途中から見る三俣蓮華岳方向
 振り返れば三俣蓮華岳と三俣山荘が朝日に照らされてきれいに見えている。

黒部源流と黒部五郎岳
 右手に目を転じれば、まだ日の差さない黒部源流の谷とその向こうに黒部五郎岳の姿も見える。

鷲羽岳中腹の初雪
 鷲羽池への分岐が近くなると、なにやら白いものが目に付くようになった。霜かと思ったがどうも様子が違う。そう、雪なのだ。昨晩の雨が山頂付近では雪になってわずかながら積もったらしい。おそらく初冠雪だと思う。さいわい登山道に雪はなく、たいそうな積雪でなくて助かった。

鷲羽池

鷲羽岳山頂直下

鷲羽山頂
 鷲羽池分岐を過ぎて傾斜の緩くなった登山道をひとのぼりすればようやく山頂だ。時間は7時34分だった。

鷲羽岳山頂から南を望む
 三俣山荘から約1時間15分。標高2924mの山頂からは、南に双六岳と笠ヶ岳がくっきり。遠く乗鞍岳と御嶽山も見えている。

鷲羽岳山頂から北を望む
 北は水晶岳とそこに至る裏銀座ルートの稜線が、かなり大きくはっきりと見えた。

鷲羽岳山頂から見る黒部五郎岳
 黒部源流の谷にも日が差し始め、黒部五郎岳の彼方には白山も姿を見せている。

 先行していたソロの男性と少し話をして、一足先に出発した。

鞍部から見るワリモ岳
 鷲羽岳を下り、ワリモ岳との鞍部まで降りてくると、目の前にワリモ岳がどーんとそびえている。見た目ほど時間のかかる登りではないが、なぜか圧倒されてしまう。

 そういえば2009年7月に水晶岳に向かって同じ道をたどったが、この鞍部で立って歩けないほどの猛烈な強風とあまりの寒さに登頂をあきらめて引き返した。あのとき、北海道ではトムラウシ山で大量遭難が起こっていたが、無理して進んでいたらやばいことになっていたかもしれない。

ワリモ岳山頂直下
 風景を楽しみながらゆっくりと道を詰めていくと、岩だらけのワリモ岳山頂が大きくなってきた。

ワリモ山頂のロープ場
 山頂直下では下が絶壁になっている大岩の側面を回りこむ部分でやや緊張を強いられるが、ロープも張ってあるので慎重に行けば大丈夫。

ワリモ山頂
 ロープのある場所からすぐのところでワリモ岳頂上の標示がある。しかし、登山道は山頂直下を巻いているので、本当の山頂は上部に見える岩の上だ。登ることは可能みたいだがわざわざ登ることもあるまいと、標示の先で黒部五郎岳方面の写真を撮っていたら、後ろから来ていたソロの男性が山頂まで登ってそのまま登山道の先に下りて先行したらしい。撮影後歩き始めると、追い抜かれたはずのない彼が先を歩いていてちょっと驚いた。

ワリモ岳から見た水晶岳
 ワリモ岳頂上を回りこむと、もはや水晶岳を隠すものは何もない。山頂へと続く尾根がはっきりと見える。

ワリモ沢
 なだらかな尾根筋を下っていくと、ワリモ沢から吹き上げてくる風に硫黄の臭いがわずかに漂っているのを感じた。湯俣川の源流部でも感じたが、下流にある湯俣温泉から漂ってくるのだろう。

ワリモ北分岐
 8時35分にワリモ北分岐に到着。所要時間は2時間20分。コースタイム2時間30分に対して10分早い。写真を撮っていたわりには、そこそこのペースだ。荷物が軽いと本当に楽チンだ。ここからは山頂近くまで比較的なだらかなコースになる。

ワリモ北分岐からの道
 霜で滑りやすくなった石ころだらけの道を慎重にたどっていく。分岐からしばらくは斜面のトラバース道だが、そこを抜けると広々とした山稜を行く。日本離れしたスケールだ。振り返ると鷲羽・ワリモの頂が小さくなっていた。

水晶小屋まで15分
 水晶小屋のある小ピークまでひと登り15分の看板を過ぎ、ジグザグの登山道を登りつめて振り返ると、鷲羽・ワリモはもとより、槍穂高連峰や笠までも一望できるすばらしい光景が広がっていた。

雄大な裏銀座ルート1

雄大な裏銀座ルート2
 さすがに北アルプス最深部と言われるこのあたりは、人工物がほぼ見当たらない。右手下方に雲ノ平山荘が小さく見えるくらいだ。山高く、谷深し。空は青く、草木は色づき、なんともすばらしい光景に誰でも立ち止まらずにはいられないだろう。

水晶小屋
 小ピークの先にはすでに営業を終えた水晶小屋が静かに建っていた。新しくなったという水晶小屋だが、昔を知らないのでどれぐらい変わったのかピンと来ない。それでも、こぎれいにがっしりとした小屋に生まれ変わっているのは見て取れる。いつかこの小屋にお世話になることもあるかもしれない。ここからいよいよ大きくて広い水晶岳の肩にある尾根道に入っていく。


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| 2010年10月 黒部源流 | 20:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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