ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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雪の立山大縦走その5

2014年4月30日~3日 富山県立山町 立山 単独テント泊・小屋泊


3日目(5月2日)富士ノ折立~別山

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標高2999mの富士ノ折立山頂から真砂岳との鞍部までは、およそ標高差200mの傾斜の急な岩ごろの斜面が続きます。たまに岩ごろの夏道が出ているところもありましたが、ほとんどは雪の下なので、ここを歩くのはかえって積雪期のほうが楽かもしれません。とはいえ、僕が歩いた2日後にはここで滑落遭難事故が発生して、一人の方が亡くなられたということなので、雪山に油断は禁物。岩やパンツの裾にクランポンの爪を引掛けないように、足を置いた雪が崩れないように慎重に足を運びます。


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急傾斜の部分がようやく終わり、あとは内蔵助カールの縁にそって最低鞍部までゆったりと歩くだけというところまで下りてきました。この写真では広くて平らな尾根が続いているように見えますが、実際にはあまり広くない尾根のようで、左端の岩が見えているところよりほんの2mほど右に寄っただけで踏み抜きまくりでまともに歩くことができませんでした。


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13:50 真砂岳と富士ノ折立の間にある最低鞍部に着きました。この時点でかなり疲れていて、とにもかくにも荷物を下ろして休憩です。水分を補給し行動食でカロリーをとって歩く力を復活させなければなりませんが、すぐにすぐ元気が湧いてくるはずもなく、疲労は精神も軟弱にしてゆきます。このすぐ先から大走りへの分岐があり、大走りの尾根を下っていけばまっすぐ雷鳥沢キャンプ場に戻ることができます。行程的にはおそらく1時間程度でしょう。しかも下り道です。15時過ぎにテントに戻り、雷鳥ヒュッテのお風呂でゆっくりと疲れをとって、さっさと寝袋にもぐりこんでしまうという安楽コースが思い浮かんでくると、その誘惑に負けてしまいそうな自分がいます。


しかし、天気は崩れそうもなく、西の空はきれいに晴れ渡っています。これであればすくなくとも明日の朝までは天気がもちそうです。であれば、がんばって真砂岳と別山を越えて剱御前小屋まで行けば、朝夕の赤く染まった剱岳をみることも可能です。その上、降るような星空の剱岳も見られるかもしれません。ずっと見たかった風景が見られる絶好のチャンスなのです。ここから別山を越えて剱御前小屋までは夏道のコースタイムで約1.5時間。積雪期でも2時間もあれば行けると思われます。しかし、真砂岳と別山が立ちはだかっています。


真砂岳までは標高差50m程度ですから15分ぐらいで行けるでしょうが、真砂岳から約100m下ってさらに100m登り返すというのが疲れた体にはそうとうきつそうです。すこし前に別山方面から単独の男性が一人通り過ぎましたが、すでに前にも後にも人影はまったく見えません。途中でばてたり、何かトラブルがあったらビバーク必至です。ツェルトは持っていますし、ダウンジャケットやダウンパンツもあります。もちろん、ハードシェルジャケットにハードシェルパンツという厳冬期装備を身につけているし、燃料とクッカーと食料も持ってきているので、簡単に凍死するようなことはないでしょうが、それでも相当な寒さに耐えなければならないことだけは明らかです。現に太陽が出ている今でさえ、風があって寒いため上下ともハードシェルを着用していても暑くはないという状態なのです。安穏と睡眠をとるなんてことはできないでしょう。

進むべきか、下るべきか、それが問題だ。どうする、どうする、どうする。座って考えていてもなかなか答えは決まりません。時間はじりじりと過ぎていくばかり。とにかく、分岐まではまだすこし距離がありますから、そこへたどり着くまでに決めることにして、出発しました。


真砂岳下の大走りへの分岐までは、わずか5分しかかかりませんでした。結局、まだ決めかねている状態で分岐まで来てしまいました。立ち止まって少しの間考えました。天候のリスクはまずありません。剱御前小屋へ行くという選択でのリスクは体力と宿泊可能かどうかです。行動食はまだ十分残っており、小屋で自炊することも考えてアルファ米などの食料もあります。たとえバテバテになっても、休憩と食事で小屋までの体力ぐらいならなんとかなるでしょう。


宿泊可能かどうかはなんともいえませんが、連休の谷間の平日ということを考えれば定員オーバーの状況にはなっていないはず。雷鳥沢から別山へ向かう尾根筋を登る人の様子を眺めながら歩いてきましたが、連休最盛期のようなアリンコの行列状態はまったくみられませんでした。ということは、宿泊予定の登山者はそれほど多くないはず。現に今の時点ではほとんど登っていく人は見られません。とりあえず、稜線上なのでダメダメ携帯のソフトバンクといえども通じそうなので、小屋に電話して予約をとればいいのでしょうが、途中でばててビバークするはめになってしまうと遭難騒ぎになりかねないので、予約を取るのであれば確実に小屋まで行けそうだという確信を持てるまで待つことにしました。


ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。




14:00 決断しなければなりません。夕日に染まる剱、星空の剱、朝日に染まる剱。この3つの剱岳を見ることがいまの僕の当面の目標です。それが実現する可能性がすこぶる高い状況にある今、それをみすみすあきらめて下山するという選択があるだろうか。いや、ない! ここであきらめてどうする!! 目の前にだらだらと続く真砂岳への斜面を、僕は歩き始めました。


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14:13 2860mの真砂岳山頂です。本当のピークはもう少し先にある2861mのピークのほうですが、1mしか違わないので真砂岳登頂としておきます。


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広くて平らな真砂岳山頂部を5分ほど歩いて行くと、道が分岐していました。右へ行けば2861mの山頂、左へ行けば別山へのルートです。迷わず左へと進みます。


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14:53 だらだらとした真砂岳の雪の斜面を下って、別山との間にある鞍部まで下りてきました。ひとまずここで休憩です。目の前に、最後の試練となる別山の登りが見えます。かなりうんざりする風景ですが、1時間もあれば登れそうだなと思えます。体力的に無理という感じはありません。であれば4時30分ごろには剱御前小屋に着けるでしょう。そうと決まれば宿泊予約です。室堂ターミナルが見えている状況なので、ソフトバンクでもつながるのではと淡い期待をもって携帯の電源を入れてみると、期待通りつながりました。剱御前小屋の番号はあらかじめ登録してあるので、すぐにつながりました。宿泊はもちろんOK。予約状況も定員オーバーにはなっていないとのことで、ゆったりと眠れそうです。食事のほうも大丈夫ということで、1泊2食付で予約しました。念のため、何かあっても捜索に来てもらえるように現在地と到着予定時間、予定ルートを伝えておきました。


2日ぶりにつながった携帯には、仕事関係の着信が何本か入っていて、とりあえず連絡をとることができて一安心。しかし、そのおかげで電池が空になってしまい、下山するまで使うことができなくなってしまいました。遭難しても救助も呼べないわけです。よりいっそう慎重な行動を心がけなければなりません。


別山への登りは、思っていた以上につらく厳しいものでした。雪もかなり融けていて、岩のごろごろした急坂をクランポンで登っていかなければなりません。幸いのぼりなので、クランポンの爪を引掛けても前に転ぶだけならたいしたことにはなりません。なので、下りのときほど緊張感がありませんが、何かの拍子に後にひっくり返りでもしたらどうなるかわかりませんから、やはり気を抜けないことにかわりはありません。


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途中、道がわかりにくいところもありましたが、急傾斜の岩場を越えてようやく広々とした斜面に出てきました。上のほうに何か鉄柵のようなものも見えていますから、山頂が近いのかもしれません。


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15:54 石垣に囲まれた祠のようなものが見えてきました。ついに別山の山頂にたどり着きました。鞍部から約1時間。予想通りの行程でした。(しかし、後日地図を見返していたら、別山の本当の山頂2880mはここではなく、ここから東へ5分ほどいったところにあったのでした。まあ、いいですけど。)


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後を振り返れば真砂岳から立山までのルートが傾きかけた日差しの中にくっきりと浮かび上がっています。あの稜線を越えて来たのです。よくがんばったと自分に言いたい気分です。


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そして、反対方向には雲のベールを纏った剱岳がわずかに顔を覗かせていました。


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| 2014年4月 立山 | 00:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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