ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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謁見! 南アルプスの女王様: 仙丈ヶ岳その4

2013年12月31日~2014年1月3日 長野県伊那市 仙丈ヶ岳(3,033m) 単独テント泊



2014年1月2日午前11時40分。小仙丈ヶ岳から仙丈ヶ岳への稜線に足を踏み出しました。初めての道は無雪期でも多少はどきどきしますが、標高が高い上に積雪期で強風も吹いているとあって、気持ち的にはかなり緊張していました。


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しばらくはほぼ平坦な稜線を進みますが、あいかわらずガスがすっきりと晴れてくれなくて、ときおりホワイトアウトに近いぐらい視界が悪くなることがあり、そのたびに緊張してしまいます。天気図から想像するかぎり今日は天候悪化の可能性は限りなく低いとわかっていても、気象予報士でもない自分の判断が絶対的に信じられるというわけではないので、やはり目の前の状況によって気持ちは揺らぎます。


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やがて、平坦な稜線の突端まで来ました。ここからいったん鞍部に下り、目の前に見えるピークに登り返します。当初、このピークが仙丈ヶ岳本峰かと思っていたのですが、地図と照らし合わせればどうやらこれは違うようです。鞍部から登り返した後、ぐるっと右へ回るようにしていった先に目指す3033mのピークがあるのです。ガスが切れ、視界がパーッと開けた瞬間、目の前のピークの向こうに仙丈ケ岳の一部が見えました。南アルプスの女王様は、簡単にその姿を見せてくれません。謁見を許されるには、まだ目の前のピークを越えるという試練をクリアしなければなりません。


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鞍部へ降りるルートは、岩の露出したやや急傾斜の尾根になっていました。クランポンの爪を引掛けて転倒しないように慎重に下ります。そして、約100mの標高差の登り返しに向かいます。この登り返しの斜面は、風下にあたるらしく風が弱くて助かりました。ここを登りきってピークの西側を回りこんだところで、ようやく南アルプスの女王様の姿を見ることができました。しかし、すぐにガスの中に姿を隠してしまいました。


そして、ピークへつながる最後の尾根を登ります。ピーク直前のこの尾根は、最初はふかふかの雪が積もったリッジが30mほどあり、そのあと岩の露出した小ピークを越えるようになっており、ここが最後の難関といってもいいでしょう。とりたてて危険というほどのものではありませんが、両側の切れ落ちた尾根なので、万一滑ったり転んだりすると滑落する可能性は高くなります。


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ふかふかの雪が積もったリッジを渡り、岩が露出した小ピークを越えると、目の前に仙丈ヶ岳が姿を現しました。さあ、あとはあの頂へ向かうだけです。


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そして、最後の斜面を登ります。


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12:53 厳冬期3000m峰の初登頂です。小仙丈ヶ岳から1時間程度とみていましたが、想定よりも少し時間がかかりました。


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ひとまず記念撮影。山頂はそれほど風は強くありませんでした。


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振り返ると、最後の小ピークを越えてくる登山者がいました。



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歩いてきた稜線がガスの中から姿を現しました。


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北側のカールの底には仙丈小屋が見えました。あの小屋の3階は避難小屋として開放されているはずです。可能であれば仙丈小屋を利用して、仙丈ケ岳から朝焼けの北岳と富士山の姿を撮影したいものです。来年はそれに挑戦してみるというのもいいかもしれません。しかし、写真を拡大してみても、小屋の周囲にトレースは見当たりません。ここを冬期に利用する人はいないのかもしれません。カールの底に降りていくとなると雪崩のリスクもありますから、途中の稜線でテント泊したほうがまだ安全ということでしょうか。


13:00 さあ、長居は禁物です。何が起こるかわからない厳冬期の3000mで、のんびりしているわけにはいきません。とにかく、ホワイトアウトしても問題ない6合目より下へ一刻も早く降りることにします。


ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。




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山頂手前のふかふか雪のリッジで、少しの間ホワイトアウトしそうになりヒヤリとしましたが、無事視界が回復し下山を急ぎます。


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途中で見つけた足跡です。降雪後に人が歩いたことで圧雪されて硬くなった足跡だけを残して、柔らかい新雪が風で削られた結果、足跡だけが盛り上がった状態で残ったものなのでしょう。雪山独特の不思議な造形です。


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13:39 小仙丈ヶ岳まで戻ってきました。甲斐駒はガスで隠れてみることができませんでした。今日は甲斐駒に登る予定でしたが、仙丈ヶ岳にして正解だったのかもしれません。


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14:08 大滝の頭が見えました。ここまでくればもう安心です。暴風雪になってももう大丈夫です。


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14:22 暑くなってきたので四合目で休憩がてらハードシェルとフリースを脱ぎました。


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14:46 二合目を通過します。


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15:04 登山口まで降りてきました。登頂に5時間近くかかったルートを、わずか2時間で降りてきました。雪山は本当に登りに時間がかかります。


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テントに戻ってみると、入口の通路が雪に閉ざされ、テントの周囲にシュカブラができていました。テント場にもけっこうな風雪があったようです。


今日で3泊目になるので、長衛小屋に3泊目の申込に行ったのですが、つい誘惑に負けて素泊まりで申込をしてしまいました。仙丈ケ岳登頂で消耗していたのと、今晩は晴れるはずなので放射冷却でぐっと冷え込むことを考えると、暖かい布団でゆっくり眠りたいという欲望に勝てませんでした。まあ、ブログねたにもなるしいいかなと。素泊まり5000円なら高くもないし。それにしても、テント場はそこそこにぎわっているのに、この時点で宿泊者は僕だけでした。その後もうひとり増えましたが、結局ふたりだけでした。正月2日の夜だというのにこんなに空いているなんて予想外でした。そういえば、31日に申込をしたときも、素泊まり空きありますという表示が出ていましたから、この小屋はけっこう穴場なのかもしれません。食事がないというのも理由のひとつなのでしょう。



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2014年1月3日午前8時30分。すっきりと晴れ渡った空を見て、今日は甲斐駒に登ってもよかったかなあと若干後悔したりもしましたが、昨日の疲れも残っていますし、左膝に少し違和感も出ていたので無理は禁物です。快晴の下、長衛小屋をあとにしました。


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北沢峠に設置されていた温度計は-8度をさしていました。ショルダーベルトにつけていた腕時計の温度計は-4度。いつもおおむね4度ぐらいの違いがあるようです。腕につけていなくても体の近くにあると、やはり温度は高めに出てくるようです。そういえば、仙丈ヶ岳の稜線で-8度だったので、実際には-12度ぐらいあったとすると、天気予報どおりだったようです。

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13:50 長い長い河原歩きを経て、ようやく駐車場にたどり着きました。スカルパ モンブランGTXは、靴底が硬いわりに長い河原歩きでも足が痛くなることも無く、始めから終わりまですこぶる快適でした。


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駐車場からすぐの急坂道は雪も解けていて、何の問題も無く上ることができました。日差しの暖かさといい、まるで春のような陽気でした。

おわり。


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戸台ーテント場jpg

テント場ー仙丈ヶ岳jpg
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| 2014年1月 仙丈ヶ岳 | 19:18 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

Re: タイトルなし

百瀬さん

ありがとうございます。天気さえ良ければ特別困難な山ではありませんが、風がきつかったのでそれなりに苦労しました。ひとつ登ると、また別の山に登ってみたくなります。山は一種の麻薬ですね。

ところで、馬の背で遭難があったというのは最近のことでしょうか。ネットで検索してみましたがそれらしい記事はみつかりませんでした。あの尾根は入山者も少ないでしょうから、何かあるとやばいですね。

| ヤマふぉと | 2014/01/10 23:42 | URL |

冬期三千メートル到達おめでとうございます、馬ノ瀬稜線で遭難もあったようですが無事のお帰り何よりです

| 百瀬典明 | 2014/01/10 23:18 | URL |















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