ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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あと100mでまさかの敗退:那岐山その2

2013年12月22日 岡山県奈義町 那岐山Bコース 単独日帰り 



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13:18 休憩を終えて再び歩き始めました。トレースはけっこう急な斜面をトラバースしていきます。雪もそこそこ深くなってきて、つぼ足ではやや歩きにくい感じです。それにしても、このトレースは本当に正しいルートなんだろうかと心配になってくるぐらい、なんとなく怪しげな場所を通っています。


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心もち不安になりながらトレースをたどっていくと、前方の木に赤テープが巻いてあるのが見えました。とりあえず、迷ってデタラメにさまよっているトレースではないということがわかり、ひと安心です。


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13:37 山頂まであと1.0kmの表示がありました。黒滝分岐のところで、あと1.4kmとなっていたので、まだたったの400mしか進んでいないということにちょっと愕然としてしまいました。黒滝分岐からはすでに1時間が経過しています。休憩時間を差し引いても、感覚的には7~800mは歩いたつもりでした。歩いたつもりの半分しか来ていないのです。それほど雪にてこずったつもりはありませんが、予想外に時間がかかっています。


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先ほどの道標から3分ほど歩いたところで、八合目の道標が見えました。八合目までくれば、あと30分ぐらいのはずです。この道標の前後で上から年配の女性の二人組みが降りてきました。先の男性とあわせてこれで3人が、確実にトレースを残してくれていると考えると、山頂まではあまり労せずに歩けそうです。であれば、確実に15時までには山頂に着けるだろうと考えていいでしょう。


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やがて、周囲の木々が背の低い細いものに変わってきました。どうやら稜線が近づいてきたようです。しかし、このあたりから徐々に踏み抜くことが多くなってきました。トレースをできるだけ忠実にたどっているはずなのに、足跡の上に足を置いてもずぶずぶと沈みこんでいきます。その深さは、当たり前のように膝上までくるようになりました。


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木々もまばらになり、傾斜も緩くなって、いよいよ稜線のAコースとの出会いも近くなってきたようです。しかし、ここからがラッセル地獄の始まりでした。


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雪面に足を踏み出すと、一気に股下まで埋まってしまいます。足を抜こうとしてもう一方の足を出せば、そちらもまた同じように雪に埋まってしまう。ストックも同様で、まともに歩ける状態ではありません。こういう状態が、数m起きに発生し、歩くペースは一気にスローダウンしました。気がつけば、トレースはスノーシューのものだけになっています。さっきすれ違った女性たちは、たしかつぼ足だったはず。その足跡がないということは、彼女たちは山頂から下ってきたわけではないということです。つまり、僕と同じようにBコースで山頂を目指したものの、この稜線付近の深雪ラッセルであきらめて引き返したということのようです。


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14:01 ようやくAコースとの出会いに着きました。ここを左折してあとはなだらかな稜線を山頂まで歩いていくだけです。多少雪が深いとはいえ、20分もあれば着けるだろうと思っていましたが、これがまったくもって甘い考えだったのです。まさにここから、ラッセル地獄の本番が始まったのでした。


ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。



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Aコース出会いからわずか20mもいかないぐらいのところで、それは待っていました。わずか1mにも満たないような段差なのですが、そこが乗り越えられないのです。さらさらの雪がたっぷりと積もっているので、まず段差の下でまともに立つことができないのです。なんとかかんとか踏み固めてすこしまともに立てるようにしたら、段差はすっかり大きくなってしまいました。もはや普通に片足を乗せるということができないので膝で無理やり乗り越えようとすると、もろくも雪が崩れ落ちてしまい、まったくあがることができません。キックステップの要領でステップを作ろうにも、さらさらの雪はステップの形にはなってくれません。削ったり、踏んだりしてなんとか段差を越えようと悪戦苦闘して、ようやく段差を乗り越えたときは、すっかり疲れてしまいました。


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段差を越えてからも、深い雪に足をとられてもがくように進んでいくと、すぐ先に「山頂まで500m」の道標が! 30分前にあと1kmの表示を見たというのに、まだ半分しか来ていないではありませんか。この調子では、残り500mは確実に30分以上かかることは明白です。行く手に暗雲が立ち込めてきたような気がしてきました。前途は多難のようです。



そして、あと500mの道標を過ぎてからは、もはやまともに歩行はできなくなってしまいました。まるで底なし沼のようにずぶずぶと沈みこむ雪に、僕の動きは簡単に止められてしまいました。腰まで沈み込むようになってしまった状態では、足だけで歩くなんてことは不可能です。膝で雪を押し込み、手で雪を掻き分け、ようやく雪から引き抜いた足を一歩前に踏み出せば、あっというまに雪の中に沈み込んでしまいます。両足とも雪の中に埋まってしまうと、にっちもさっちもいかなくなり、足を抜くためにまたもがくということの繰り返しが際限なく続きます。なぜワカンを置いてきてしまったのかと後悔しても後の祭りです。しかし、スノーシューのトレースでさえ相当深くもぐっているところを見ると、ワカンなど無いよりましという程度だろうと思われ、持ってきていてもあまり役に立たなかったことでしょう。



気持ちはあせり、体力は削られ、次第に苛立ちが募ります。口から意味も無く悪態の言葉がこぼれます。誰に言うでもなく悪態をつきながらもがいていて、ふと気がつくと目の前に単独行の男性が独り。「山頂まであと100mほどですよ」と彼が言いました。しかし、あと500mの道標からまだ100mも進んでいないはずです。「さっきあと500mって出てましたけど?」と聞き返すと、なにやら良く聞き取れなかったのですが、とりあえず100mほどだと言っているので、半信半疑ながらもそういうならそうなんだろうと納得することにしたのでした。


その後も、彼が残したであろうスノーシューのトレースをたどるものの、トレースなど何の役にも立たない状態が続きます。そもそも、しまいには歩くことをあきらめて、よつんばいで進み始めました。このほうが遥かにもぐりこまないで進めます。しかし、手のひらを目いっぱい広げても肩まで雪に潜ってしまうことが多々あり、片手がもぐれば必然的に前のめりに雪に突っ伏したような状態になり、手を抜こうとしてもう一方の手で突っ張ると、今度はその手ももぐりこみ、雪の中に顔を突っ込むような醜態をさらすことになってしまうのです。それを何とかしようとすると、もはや雪の上に横倒しになって、雪まみれになりながらのた打ち回ることしかできないわけで、いったいぜんたい自分は何をやっているのかとうんざりしてしまいます。息は切れるし、汗はかくし、疲れて行動するのが嫌になってきます。少し進んでは、ぜーぜーと荒い息を整えますが、次第に体力も気力も失せてきました。


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やがてトレースが二又に分かれているところにきたので、とりあえず右のほうへ進んでみると、10mも行かないところでトレースはなくなっていました。間違いトレースだったのです。ここまでの労力を返してほしいという虚しい気持ちのまま、二又のところまで引き返し、左側へと進みます。


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そこから雪と格闘しながら40分近く進んだところで、再びトレースが二又に分かれていました。今度は左へ行ってみるとまたトレースがなくなっていました。この瞬間の複雑な思いを言葉で表現することはできません。やりきれないような気持ちを抱えて、二又の地点まで這うようにして戻りました。


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そして、右側のほうへ進んでいくと、なんとこちらのトレースも途中でなくなっています。さっきのもそうですが、雪で消えたというのではなく、明らかに進むのをやめて引き返しているのです。しかし、このトレースが先へ進んでいないということは、誰もBコースから山頂へ登っていないということですし、山頂から降りてきた人もいないということです。とすると、ここまでに出会った人たちは、皆Bコースで登って途中で引き返したということになります。しかし、最後に出会った男性は、あと100mで山頂だと確かに言いました。あれは何だったのか。励ますつもりで距離を短めにいったのかもしれないけれど、正直勘弁してと言う感じです。こちらの聞き間違いだったかもしれませんけど。

14:55 二又に別れたトレースの両方が途中でなくなっていて、この先山頂まではトレースの無い深雪を独りでラッセルしなければならなくなりました。粉雪が降りしきる中で、前方に山頂らしきものは見えていました。距離にして100m強というところでしょう。しかし、わずか20m程度の高低差とはいえ山頂まで斜面を登らなければなりません。このまともに歩くことさえできない深雪の中を、さらに登るとなるといったいどれほどの時間と体力が必要になるでしょうか。当初考えていた15時山頂というのは、もはや実現不可能です。仮に山頂まで行ったとしても、ここでこの雪ならばCコース側でも同じはずです。とすると、Cコースを登った人も三角点であきらめて引き返している可能性もあり、那岐山山頂まではトレースがないかもしれません。もしもそうだったら、このあり地獄のような雪原をここから三角点までまた500mも行かなければならないということであり、それに費やす時間は1時間ではすまないはずです。つまり、先へ進むという選択肢はありません。直線距離であと100m程度というところで、撤退がきまった瞬間でした。


そうときまれば、こんな地獄は一刻も早く抜け出さなければという思いがふつふつと湧き上がってきました。休憩することも無く、きびすを返して自分のトレースをたどり始めました。


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這いずるようにして来た道ですが、さすがに自分のつけたトレースは十分沈み込んでいて、これ以上潜ることが無いだけましです。下り道であることも幸いしました。四つんばいで歩いたような場所はやはり苦労しましたが、それ以外のところは自分のトレースに助けられ、Aコース出会い(Bコース分岐点)までは25分で戻ることができました。


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ラッセル地獄でかいた汗で、ベースレイヤーもソフトシェルジャケットもじっとりと濡れているのがなんとなくわかるのですが、一番下にドライレイヤーとして着ているノースフェイスのパラマウントタンクが濡れたベースレイヤーが直接肌に触れるのを防いでくれているので、ほとんど汗冷えを感じません。しかし、立ち止まって休憩すると冷えてきそうなので、休みもとらずに一気にBコースを下りました。


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黒滝分岐には15:51。


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五合目は、15:56。


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渓流にかかる橋には、16:18。


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そして、Cコースとの合流点には、16:21に戻ってきました。


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林道は少し薄暗くなり始めていて、空にはわずかに夕焼けが見えていました。


16:40 駐車場所に戻ってきました。6時間弱のスノートレッキングでしたが、想像以上の疲労感がずっしりと体にのしかかっており、新雪の怖さを改めて思い知った気がしたのでした。降雪直後の山行は、くれぐれもスノーシューを忘れないこと。これが今回の教訓でした。


なお、撤退地点は単独行の男性が言っていたあと100mですという言葉で、そのあたりだろうと思っていたのですが、実際にはまだ200m以上はあったようです。


おわり。

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那岐山Bコースjpg






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| 2013年12月 那岐山 | 18:11 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

Re: タイトルなし

スノーシューは使わないこともあるので、つい置いていこうかと思ってしまうのがまずいですね。僕も今後は標準装備に加えるようにします。

| ヤマふぉと | 2013/12/28 18:09 | URL |

面倒くさいから持っていかないで何回も苦い思いをしているのでお守り代わりに持っていくことにしております備えあれば(笑)ですね

| 百瀬典明 | 2013/12/28 12:44 | URL |















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