ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

NEXT | PAGE-SELECT | PREV

≫ EDIT

進むも地獄、退くも地獄。: 伯耆大山縦走路その2

2013年10月30日 鳥取県大山町 伯耆大山 単独日帰り



IMG_0161.jpg
11:57 特にすることもないので、久しぶりに自撮りで記念撮影して出発しました。


IMG_0163.jpg
剣ヶ峰から先は初めて足を踏み入れます。剣ヶ峰から見た限りでは、しばらくは幅広の尾根が続いているように見えていたので、道もてっきり幅広で安全な道だとばかり思っていましたが、そんなことはありませんでした。相変わらず南側が激しく崩落したナイフリッジのような細い道です。


IMG_0164_20131110201122aeb.jpg
先に進んでいくと、今度は北側が崩落した道になりました。ナイフリッジの鋭さは今までよりも増しています。当然ながら、恐怖度数も跳ね上がります。単純に角度が倍になったら恐怖度数も倍になるというわけではなく、二乗に比例するという感じです。


IMG_0165_20131110201123191.jpg
そして、とうとう両側とも崩落した状態になってしまいました。尾根というよりも「塀」の上に道があるという感じです。ガスで10mぐらいしか下は見えていませんが、実際には数百mも切れ落ちているわけです。これがピーカンで視界良好だったら引き返していたかも知れません。とにかく、ラクダの背を確認するためには、この平均台のような道を進まなければならないのです。

しかし、ラクダの背がどこにあるのか、はっきりとは知らないのです。ネットの写真で見ただけなので、なんとなくそのイメージがあるだけです。細い尾根の真ん中にこんもりと盛り上がったコブのような場所があり、標高1700mの高さでそのコブを跨ぎ越して行かなければならないという場所、それがラクダの背です。目の前のこの場所もそのように見えなくもありませんが、写真で見た場所とは違うようです。とりあえず、この先まで行ってみることにしました。


IMG_0166.jpg
ときおりバランスを崩されかけるような風が吹いてくるので、風のタイミングを見ながら、バランスをとって慎重に尾根を渡り、小さな突起状のピークを越えると、今度はざれた急傾斜の下りになりました。標高差は5mぐらいだったかもしれませんが、とても歩いて下れるような状況ではなかったので、しゃがみこんで両手足を使いながら慎重に下り、今度はぼろぼろと崩れ落ちる痩せた尾根の小ピークを登り返します。


IMG_0167.jpg
そして、自分の目を疑うような場所に来てしまいました。北側はほぼ垂直な崖、南側も70度はあろうかというもろい崖。その狭いリッジの上はおよそ平坦な場所はなく、砂利やら石やらがちりばめられています。これがラクダの背か? しげしげと見つめながら記憶の中の写真のイメージと重ね合わせて見ましたが、どうも違います。

違うとはいえ、これはこれでまともに渡れるのか大いに疑問が湧いてきます。まず、人が乗っても崩れないのだろうかという疑問。ほとんど平坦な場所がない上に砂利がのっていて、足を置いたときまともにグリップするのだろうかという疑問。当然ながら両手で体を確保しなければならないわけですが、この突起している岩は果たして体を支えることができるほどしっかりしているのかという疑問。どれかひとつでもダメなら、滑落に直結する危険性はかなり高い状況です。

引き返そうか、そう思いながら後を振り返ったとき、自分の置かれている状況をいまさらながら認識してしまいました。今歩いてきた道は、目の前の状況となんらかわりないほどの危険に満ちた道だったのです。アドレナリン全開で来てしまった道を、いま少し冷静になって見たとき、その状況が客観的に認識できたということなのでしょうか。進むも地獄、退くも地獄の状況にいることだけは明白です。いずれも地獄なら、進んでみるかということで、一挙手一投足に神経を集中させて、なんとか目前の難関をクリアすることができました。


IMG_0168_201311102012164db.jpg
ところが、その先で自分の判断を後悔してしまったのです。確かこの小さな岩峰の上から向こう側を覗いた瞬間だったと思います。しかしながら、いまひとつ記憶がはっきりしません。本当にここだったのかどうか。写真もありませんから、相当動転していたのでしょう。

この岩峰の向こう側は幅30cmも無いような細い平均台のような尾根が急傾斜で落ち込み、しかもわずかに右にカーブしながら続いており、その細い平均台のような尾根はもちろん砂利がたっぷりとちりばめられていました。この岩峰はしっかりした一枚岩ではなく、細かく割れたいかにも不安定な石のよせ集めのような状態で、その上に立つ気には到底なれません。しかし、足場が悪く、巻いて行くことはできないし、跨ぎ越すにしてもそこそこ高さがあるのでそれほど楽ではありません。そのうえ、向こう側は急傾斜で砂利の浮いた平均台のような尾根です。跨ぎ越すタイミングで、そこに置いた足に体重を乗せた瞬間に足が滑ったらと考えただけで背筋が寒くなります。


”どうする? どうすんだ?” 少しの間考えをめぐらせたものの、いいアイディアなど浮かぶはずもありません。行くか戻るかの二択以外に選択肢はないのです。戻るにしても、さっきの場所を今度は下るわけですから、この先と状況は同じです。どちらにしても、この小さな岩峰まで来てしまったら、往路も復路も同じ難易度なのです。ここがラクダの背の核心部なのか。それともまだ先なのか。雰囲気的には核心部だと思われますが、確証はありません。

しかし、数十m向こうにぼんやりと大きなピークが見えることから考えても、あのピークの向こうは三角点のはずです。とすれば、やはり目の前のこの難所さえ渡ればこれ以上の難所はないと考えていいはず。引き返せば、これまで渡ってきた難所を再び通過しなければならず、そちらのリスクもかなり大きいはず。であれば、最大のリスクとはいえ最後の難所を抜けて弥山に抜けたほうがいいのかもしれません。覚悟を決めて、弥山に抜けることにしました。


岩峰の上に両手をつき、まず左足を回して向こう側におきます。浮いた砂利を蹴り落とし、グリップが効くことを確認して右足をゆっくりと回して岩峰の向こうへと回します。右手をはずし素早く右足を通したら、今度は左手を上げて右足を反対側の傾斜におきます。それでようやく体がまっすぐになり、不安定な状態から脱出することができました。体制を整えて、体を起こし、両足で立つことができないほど狭い尾根に対して横向きになりながら、急傾斜を慎重に下り、鞍部から向こう側のやや広くなった尾根に飛びつくようにして渡りきったとき、いいしれないほどの安堵感を感じたのでした。


IMG_0169.jpg

IMG_0170.jpg
その後も、やや難しい場所が少しありましたが、ラクダの背の後ですから怖さなど微塵もなく、すたすた歩いて通過しました。


IMG_0171_20131110201220bd1.jpg
やがて、尾根も広がり、コケの生えた緩やかな道になりました。


IMG_0173.jpg
三角点に着きました。雪のない時期にここに来たのは初めてです。


ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。



IMG_0174.jpg
12:38 弥山です。天気が良くないためか、登山客もまばらです。ラクダの背を越えるのにかなり緊張していたらしくて、足ががくがくしていたので、弥山山頂にとどまることなくすぐに避難小屋に入りました。ちょうどお昼時ということで1階は登山者でいっぱいでしたが、二階はガラガラだったので2階に上がってやっとひと心地つくことができました。


IMG_0175_201311102014110cb.jpg
13:05 まだ膝が笑う症状は治まりませんが、さっさと下山することにしました。出がけに見た入り口の寒暖計は5度をさしていました。


IMG_0177.jpg
雪のない時期に夏道を歩くのはかなり久しぶりです。なんだか初めて歩くような新鮮な気分です。


IMG_0179.jpg
八合目あたりから視界が回復してきました。


IMG_0184.jpg
草鳴社ケルンと呼ばれているものですが、ただの壊れた道標にしか見えません。


IMG_0188_20131110201536c10.jpg
13:56 六合目避難小屋です。7合目あたりから左膝が痛くなってきたので、少し休憩して行くことにしました。10分ほど休みましたが、当然ながらそれぐらいでは膝痛はおさまりませんでした。


IMG_0189.jpg
行者コースとの分岐まで来て、どうしようかと考えました。上から見た感じでは元谷付近はいい感じで色づいていました。もちろん、夏道沿いも紅葉しているでしょうが、人の少なさを考えると行者コースのほうが落ち着いて紅葉を楽しめそうです。というわけで、行者コースを元谷へ下ることにしました。


IMG_0191_201311102015381c9.jpg
行者コース沿いのブナ林は、とってもきれいに色づいていました。上のほうはややピークを過ぎた感がありました。


IMG_0194.jpg
ブナの葉が赤く見えるのは、黄葉が終わって枯葉になってきているためです。


IMG_0198.jpg
下るにつれて少しづつ黄葉が増えてきました。


IMG_0204_20131110201633331.jpg
赤、黄、緑が入り混じって、見事な秋の森です。


IMG_0207_201311102016351e6.jpg
色づいた森の向こうに北壁が見えます。晴れていればすばらしい光景だったことでしょう。来年は晴天のときに訪れたいものです。


IMG_0208.jpg
元谷が近くなってくると、やや緑色が目立つようになってきましたが、ブナの葉は枯れた赤色から見事な黄色になりました。どうやらこのあたりが見ごろのようです。


IMG_0210.jpg
15:19 元谷まで下りてきました。


IMG_0214_20131110201738f8f.jpg
北壁の下部がきれいに色づいているのが見えました。


IMG_0219.jpg
16:13 痛む左膝をかばいながら、ようやく駐車場まで戻ってきました。


IMG_0217.jpg
振り返ると、宝珠尾根が真っ赤に輝いていました。


***注意***
大山縦走路は一般登山道ではありません。レポにも書いたようにかなり危険なところもありますから、立ち入る場合はご自分の技術や経験を冷静に判断したうえで、自己責任において行動してください。このレポは、縦走路を歩くことを勧めるものではありません。


大山縦走路jpg


おわり。


ランキングアップにポチッとご協力お願いします。
にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

| 2013年10月 大山縦走路 | 20:19 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://yamaphoto55.blog133.fc2.com/tb.php/484-2af3d829

TRACKBACK

NEXT | PAGE-SELECT | PREV