今年の立山は寒かった: 立山その4
2013年5月1日~5日 富山県立山町 立山 単独テント泊
5月5日(日)
午前1時。剱岳の星景写真を撮るのなら、今出発すれば間に合うはずです。しかし、すっかり体が冷えてしまい、その上睡眠不足に疲労もあって、すぐに行動する気力が湧きません。ひとまず2時まで仮眠を取って体を休めることにしました。しかし、それですっきりと起きることができるはずはなく、目が覚めたのは午前3時を回った頃でした。この時間に起きていては、朝焼けの剱岳すら撮影することはできません。
なんとなく結果はわかっていたようなところがあったものの、やっぱり撮影機会を逃したという現実は少なからずショックです。まだ寝ぼけている頭でどうしようかと考えていると、昨年のことが思い起こされました。室堂乗越から夕焼けの剱岳を撮影したではありませんか。朝焼けだと方角的に真横に近いのであまり良いアングルではないものの、それでも撮れないよりはましです。それに室堂乗越までなら1時間ぐらいで行けるはずです。
そうと決まれば即行動! 寝袋から抜け出し、装備を整え、カロリーメイトと紅茶でささっと朝食を済ませたら、クランポンを装着して出発です。時計を見ると午前4時。急げ!
出発してすぐに、新室堂乗越下の斜面にいくつか明かりが動いているのが見えました。どうやらすでに奥大日岳方面に向かっているパーティーがいるようです。
雪が締まっているのを幸いに、ずんずん進みます。不思議なことに、ほとんど息が切れません。雷鳥沢を越えて、新室堂乗越に向かって斜面をトラバースして行くときも、まったくしんどいという感じがないので、普通に平地を歩くような感じです。入山してから5日目だし、昨日、一昨日と2日連続で雷鳥坂を登っているので、完全に高地順応していたのかもしれません。
新室堂乗越下の急傾斜のところで、ついに先行パーティーに追いつき、そのまま追い越してしまいました。いったいどうなってんだろうかと思いつつも稜線まで一気に上がり、そのまま室堂乗越に向けて進みました。
室堂乗越手前の撮影ポイントについたのは4時35分ごろ。テント場から新室堂乗越まで30分かからないぐらいで駆け上がった計算になります。我ながらちょっとびっくりです。

まずは足場を作って三脚をセットし、剱岳が焼けるのを待ちます。なかなか焼けてこないので、立山と三日月の写真を撮ったりしてタイミングを待ちます。

空が赤く染まり始め、剱岳の山頂付近もかすかに染まり始めました。

望遠レンズで寄ってみると、赤く染まっているのがわかりますが、やっぱりこの角度ではだめでした。来年は剱御前小屋に泊まって、チャンスを待ったほうがよさそうです。

奥大日岳も朝日を浴びて輝きます。デジカメが自動補正してしまうので、せっかくの赤色が消えてしまうのが残念。

立山方面も浄土山が染まり始めました。
5時50分頃に撮影を切り上げて撤収です。来た道を戻りながら、このままテント場に戻って下山するか、それとももう一度剱御前を目指そうかと考えていました。朝焼けの剱岳を撮り損ねた上に、日中の剱岳の姿も撮影しないで帰ったのでは収穫なしに等しい山行になってしまいます。高度順応したためか体は元気だし、時間もまだ早いので3度目の正直を目指して剱御前に行くことにしました。

新室堂乗越を通り過ぎ、そのまま雷鳥坂に合流して上を目指します。朝早いので、登っている人はちらほらです。

今日はさすがに快晴の天気が続きそうな雰囲気です。

7時35分に2792mのピークに着きました。前方に剱岳が堂々と聳えているのが見えます。先行者は女性が一人。「いい天気でよかったですね」と挨拶を交わして、僕が三脚をセットしている間に女性は下山していきました。

誰もいなくなったのを幸いに、セルフで記念撮影。EOS6Dはリモコンが使えるので、最近はもっぱら6Dで記念撮影をするようになりました。いちいちタイマーをセットして走る必要がないので、好きなタイミングで好きなポーズで好きなだけ枚数を撮ることができて便利です。それにしても、銀河鉄道999の車掌みたいな写真になってます。

2792mのピークから見た剱岳。鋸のような八つ峰の稜線を右に広げて、背後に後立山連峰の名だたる名峰を従えた様はまさに王者の風格です。高さこそ3000mにわずか1m満たないものの、山としての格は他の3000m峰に勝るとも劣らないと感じます。それでは、この稜線をたどって剱御前を目指したいと思います。
ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。


比較的広くてなだらかな稜線ですが、西側はけっこう急峻に切れ落ちています。ガスに巻かれたりするとやばいかもしれません。先行者の足跡はありますが、姿は見えません。朝早くに剱岳を目指したクライマーのものなのでしょう。

剱御前と思われるピークが近づいてきました。

雪に埋もれた道標がありましたが、判読不能でした。

三角点がありました。このあたりで三角点があるのは剱御前と剱岳だけなので、剱御前に間違いなさそうです。

剱御前からは剱岳の足元までど~んと見えるのかと思っていましたが、別山尾根が足元を隠していて、別山側からの眺めのほうが良かったかもしれません。

剱沢の消えていく方向には後立山連峰が見えていました。まだ未踏の頂ばかりなので、どれがどれやらさっぱりです。

ひととおり撮影をおえたら、最後に記念撮影で終了です。さっさとテント場に下りて下山しようと準備をしていると、3人組のオヤジパーティーが登ってきて、一眼レフでシャッターを押してくれといいます。まさに出発しようとしているタイミングです。「三脚もってないんですか?」と聞いたら持っていないとの事。一眼レフまで持って登ってきて、それで記念撮影もしようというのなら、小型の三脚ぐらい持って来なさい!

別山乗越まで下りてくると、剱御前小屋の前でパラグライダーが飛ぼうと悪戦苦闘していました。剱岳の上に浮かぶ赤いパラグライダーは絵になりそうなので、カメラを構えて飛び立つのを狙っていましたが、風が悪いのかなかなかうまくテイクオフできません。

パラグライダーが飛び立つのをずっと狙っていたのですが、パラグライダーはうまく飛びたてずにずるずると下に下がっていって、かなり下のほうでようやくテイクオフしました。そのためすぐに見えなくなってしまい、期待したようなシーンは見られませんでした。

12時ごろテント場に戻り、軽く食事をしてから撤収です。14時過ぎに準備が整っていざ出発です。

帰路は登りになるので、少しでも楽なルートということで、例年通り雪上車がつけたルートをたどって帰りました。重い荷物を背負って雷鳥荘の前の急坂を登る気にはなれません。

歩き始めてすぐガスが出て天気が崩れてきたのですが、ミクリガ池のあたりまで来ると再び晴れてきました。

剱岳も見送ってくれています。
午後4時ごろ室堂ターミナルに着いたのですが、美女平行きのバスは大混雑です。整理券を貰って待つこと1時間近く。ケーブルカーの混雑緩和のために立山駅直通バスに運よく乗れたので、途中でケーブルカーに乗り換えることなく座ったままで立山駅まで戻ることができました。
おわり。
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5月5日(日)
午前1時。剱岳の星景写真を撮るのなら、今出発すれば間に合うはずです。しかし、すっかり体が冷えてしまい、その上睡眠不足に疲労もあって、すぐに行動する気力が湧きません。ひとまず2時まで仮眠を取って体を休めることにしました。しかし、それですっきりと起きることができるはずはなく、目が覚めたのは午前3時を回った頃でした。この時間に起きていては、朝焼けの剱岳すら撮影することはできません。
なんとなく結果はわかっていたようなところがあったものの、やっぱり撮影機会を逃したという現実は少なからずショックです。まだ寝ぼけている頭でどうしようかと考えていると、昨年のことが思い起こされました。室堂乗越から夕焼けの剱岳を撮影したではありませんか。朝焼けだと方角的に真横に近いのであまり良いアングルではないものの、それでも撮れないよりはましです。それに室堂乗越までなら1時間ぐらいで行けるはずです。
そうと決まれば即行動! 寝袋から抜け出し、装備を整え、カロリーメイトと紅茶でささっと朝食を済ませたら、クランポンを装着して出発です。時計を見ると午前4時。急げ!
出発してすぐに、新室堂乗越下の斜面にいくつか明かりが動いているのが見えました。どうやらすでに奥大日岳方面に向かっているパーティーがいるようです。
雪が締まっているのを幸いに、ずんずん進みます。不思議なことに、ほとんど息が切れません。雷鳥沢を越えて、新室堂乗越に向かって斜面をトラバースして行くときも、まったくしんどいという感じがないので、普通に平地を歩くような感じです。入山してから5日目だし、昨日、一昨日と2日連続で雷鳥坂を登っているので、完全に高地順応していたのかもしれません。
新室堂乗越下の急傾斜のところで、ついに先行パーティーに追いつき、そのまま追い越してしまいました。いったいどうなってんだろうかと思いつつも稜線まで一気に上がり、そのまま室堂乗越に向けて進みました。
室堂乗越手前の撮影ポイントについたのは4時35分ごろ。テント場から新室堂乗越まで30分かからないぐらいで駆け上がった計算になります。我ながらちょっとびっくりです。

まずは足場を作って三脚をセットし、剱岳が焼けるのを待ちます。なかなか焼けてこないので、立山と三日月の写真を撮ったりしてタイミングを待ちます。

空が赤く染まり始め、剱岳の山頂付近もかすかに染まり始めました。

望遠レンズで寄ってみると、赤く染まっているのがわかりますが、やっぱりこの角度ではだめでした。来年は剱御前小屋に泊まって、チャンスを待ったほうがよさそうです。

奥大日岳も朝日を浴びて輝きます。デジカメが自動補正してしまうので、せっかくの赤色が消えてしまうのが残念。

立山方面も浄土山が染まり始めました。
5時50分頃に撮影を切り上げて撤収です。来た道を戻りながら、このままテント場に戻って下山するか、それとももう一度剱御前を目指そうかと考えていました。朝焼けの剱岳を撮り損ねた上に、日中の剱岳の姿も撮影しないで帰ったのでは収穫なしに等しい山行になってしまいます。高度順応したためか体は元気だし、時間もまだ早いので3度目の正直を目指して剱御前に行くことにしました。

新室堂乗越を通り過ぎ、そのまま雷鳥坂に合流して上を目指します。朝早いので、登っている人はちらほらです。

今日はさすがに快晴の天気が続きそうな雰囲気です。

7時35分に2792mのピークに着きました。前方に剱岳が堂々と聳えているのが見えます。先行者は女性が一人。「いい天気でよかったですね」と挨拶を交わして、僕が三脚をセットしている間に女性は下山していきました。

誰もいなくなったのを幸いに、セルフで記念撮影。EOS6Dはリモコンが使えるので、最近はもっぱら6Dで記念撮影をするようになりました。いちいちタイマーをセットして走る必要がないので、好きなタイミングで好きなポーズで好きなだけ枚数を撮ることができて便利です。それにしても、銀河鉄道999の車掌みたいな写真になってます。

2792mのピークから見た剱岳。鋸のような八つ峰の稜線を右に広げて、背後に後立山連峰の名だたる名峰を従えた様はまさに王者の風格です。高さこそ3000mにわずか1m満たないものの、山としての格は他の3000m峰に勝るとも劣らないと感じます。それでは、この稜線をたどって剱御前を目指したいと思います。
ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。


比較的広くてなだらかな稜線ですが、西側はけっこう急峻に切れ落ちています。ガスに巻かれたりするとやばいかもしれません。先行者の足跡はありますが、姿は見えません。朝早くに剱岳を目指したクライマーのものなのでしょう。

剱御前と思われるピークが近づいてきました。

雪に埋もれた道標がありましたが、判読不能でした。

三角点がありました。このあたりで三角点があるのは剱御前と剱岳だけなので、剱御前に間違いなさそうです。

剱御前からは剱岳の足元までど~んと見えるのかと思っていましたが、別山尾根が足元を隠していて、別山側からの眺めのほうが良かったかもしれません。

剱沢の消えていく方向には後立山連峰が見えていました。まだ未踏の頂ばかりなので、どれがどれやらさっぱりです。

ひととおり撮影をおえたら、最後に記念撮影で終了です。さっさとテント場に下りて下山しようと準備をしていると、3人組のオヤジパーティーが登ってきて、一眼レフでシャッターを押してくれといいます。まさに出発しようとしているタイミングです。「三脚もってないんですか?」と聞いたら持っていないとの事。一眼レフまで持って登ってきて、それで記念撮影もしようというのなら、小型の三脚ぐらい持って来なさい!

別山乗越まで下りてくると、剱御前小屋の前でパラグライダーが飛ぼうと悪戦苦闘していました。剱岳の上に浮かぶ赤いパラグライダーは絵になりそうなので、カメラを構えて飛び立つのを狙っていましたが、風が悪いのかなかなかうまくテイクオフできません。

パラグライダーが飛び立つのをずっと狙っていたのですが、パラグライダーはうまく飛びたてずにずるずると下に下がっていって、かなり下のほうでようやくテイクオフしました。そのためすぐに見えなくなってしまい、期待したようなシーンは見られませんでした。

12時ごろテント場に戻り、軽く食事をしてから撤収です。14時過ぎに準備が整っていざ出発です。

帰路は登りになるので、少しでも楽なルートということで、例年通り雪上車がつけたルートをたどって帰りました。重い荷物を背負って雷鳥荘の前の急坂を登る気にはなれません。

歩き始めてすぐガスが出て天気が崩れてきたのですが、ミクリガ池のあたりまで来ると再び晴れてきました。

剱岳も見送ってくれています。
午後4時ごろ室堂ターミナルに着いたのですが、美女平行きのバスは大混雑です。整理券を貰って待つこと1時間近く。ケーブルカーの混雑緩和のために立山駅直通バスに運よく乗れたので、途中でケーブルカーに乗り換えることなく座ったままで立山駅まで戻ることができました。
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| 2013年5月 立山 | 22:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑