ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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書籍: 「安心登山の技法」 洞井孝雄 著

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登山に関するちょっと面白い本を見つけたので紹介しておきます。

著者は、日本勤労者山岳連盟副会長、愛知県勤労者山岳連盟会長・理事長を務める方です。本の内容は、登山専門誌「岳人」に連載された「よくある話<考>」と中日新聞文化欄に連載された「みんなの山登り」および所属山岳会の会報に掲載された文章などをまとめたものです。

二部構成になっており、一部の「よくある話<考>」はなかなか辛口な内容になっていますが、なるほどと納得させられたり、自分にも多少思い当たることもあって反省させられたりと、登山をする人間にとってはマナーやモラルなどに関してかなりためになる内容だと思います。二部は「長く山を楽しむために」ということで、様々な山でのエピソードをもとに装備に関することや道具の使い方などに幅広く言及していて、こちらは実践的な参考書として役立つ内容になっています。

一部の話の中で共感したことと共感できなかったことがあったので、その2つを紹介させていただくことにします。


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共感した内容は、「山で酒を飲んではいけない」というお話。本文を一部抜粋させていただくと、
『酒を飲んではいけないとはいっても、行動中もしくはこれからまだ行動が残っている場合には、という但し書き付きである。<中略> 行動中に酒を飲むな、というのは、飲酒運転や酒気帯び運転が危険だというのと同じである。飲酒が判断力や瞬時の対応を鈍らせ、大きな事故につながる危険があることは周知の事実だ。加えて、スポーツの世界で競技中に酒を飲む人はいない。それが、なぜ、登山に限って平気で行われるのだろう。一日の行動は、いってみれば試合と同じだ。野球だってサッカーだって、誰も試合中に酒を飲まない。それなのに山では日常茶飯事だ。疲労し、血糖値は下がり、さらに睡眠不足などの影響もあるなかで、休憩だからといって酒を飲めば、脈は早鐘を打ち、呼吸は荒くなる。酸素不足になった脳は・・・。そしてふと気がつくと、足の下に地面がない、ということになるかもしれない』

これは、以前から僕も感じていたことで、昼飯時に山小屋に立ち寄るとたいていうまそうにビールを飲んでいる人を見かけるのですが、これからまだ下山や縦走をしようというのによくまあアルコールを摂取できるものだといつもあきれています。自分でわざわざ危険に遭遇する確立を高めているわけですから、よほど危険なことがお好きなんでしょう。遭難された方に行動途中でアルコールを摂取したかどうか聞き取り確認をしてみれば、案外高い確率で摂取したという答えが返ってくるのではないかという気もしないでもありません。いずれにしても、行動中にアルコールを摂取した時点で、その後の行動は酒気帯び運転と同じことだという自覚を忘れないようにしたいものです。




共感できなかった内容は、「仲間意識というもの」というお話の中のエピソードについてです。この話は、登山学校の実技のときの話です。著者がリーダーとなって下山しているときのことですが、『下りではパーティーが縦に長くのびた。二番手との間が開くが、かまわず一定の速度で下山を続ける。<中略>先頭としてはまずパーティーを引っ張ることが大事だろう。』というくだりがあります。この後、このパーティーは、遅れた後続が道を間違え、カットする予定だったピークのほうへ登っていってしまったのです。

このときの状況は、強い雨の中で途中のピークをカットして下山するということだったのですが、後続との間が開いていることがわかっていながら、パーティーが分断されることを防止するために速度を緩めることなくどんどん先に下ってしまうというのは、リーダーとして正しい判断なのだろうかと疑問に思うわけです。登山学校の実技であるということを考えれば、受講生にパーティーでの歩き方や、仲間のことを考えた行動をとることの大切さを教えるために、あえて先頭が速度を落とさなかったのかもしれません。しかし、現実に後続のグループは道を間違えて、パーティーは分断されてしまったわけです。

後続が遅れるには理由があります。遅れ始めた後続の先頭を歩く人が疲れてるとか、脚や膝に何らかのトラブルを抱えたか、はたまた他の登山者との間に技量差があるなど、いろいろなことが考えられます。間が開き始めたのであれば、なぜ同じペースで下れないのか確認し、理由によってはそれ相応の対策を検討するのがリーダーの役目だと思うのです。もしも捻挫などしているのに無理して下り続けて、途中で歩けなくなったらそのほうが問題です。たまたま大事に至らなかったからいいものの、何かが起こってしまってから反省しても役に立ちません。パーティーの中で一番弱い人に気を配り、弱者に無理を強いることなく全員を安全に下山させてこそのリーダーだと思うわけです。後続のことも考えず自分のペースでどんどん下ってしまい、ついて来た者だけ下山させてやるというのでは、パーティーのリーダーとしての資格はありません。

もっとも、この話の中では、グループの途中や最後尾にコーチやアシスタントがいて、彼らがピークをカットすることは理解していたという前提があったので、まさか彼らまでが間違ったルートにそのまま進むとは思っていなかったということのようです。確かに、登山学校の実技登山で、コーチやアシスタントなどのスタッフがそんなミスを起こすとは思わないでしょうから、その意味では先頭のリーダーだけに問題があるとはいえないのかもしれません。とはいえ、他の話ではパーティーが別れたことを問題として指摘していることもあり、悪天時にパーティーが分断されるようなペースで下山を続けることが正しいことだとは、僕には思えません。


というように、中にはどうだろうかと思うような部分もあるかもしれませんが、自分なりに考えながら読む本としてはいい本だと思います。







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