ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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立山室堂東奔西走: 立山その4 『大展望にミトレる』

2012年4月29日~5月2日 立山 3泊4日単独テント泊




4月30日の夜は、オヤジの騒がしさよりも立山から吹き降ろしてくる強風でテントがばたつく音のほうが激しい状態でした。5月3日と4日は曇りの予報が出ていましたが、まさか天気も早めに下り坂なのかと気になっていました。しかし、天気予報は珍しく当たったのでした。


3:00 時計のアラームで目覚めて、通気穴から外を眺めてみると、空にはばら撒いたかのような無数の星々が輝いていました。そういえばあれほど荒れ狂っていた立山おろしも、すっかりやんでいます。これは絶好の星景写真のチャンスです。


まずは熱々のカフェオレを飲んで、体に熱を蓄え、寝ぼけた脳みそを糖分でたたき起こします。風のない穏やかな天候だったので、ダウンウェアの上下を着たままカメラと三脚をもって外に出てみました。まったく寒くありません。


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天の川
上を見ると、なんと天の川がまるで虹のように弧を描いて浄土山から別山に向けて夜空を流れています。肉眼でもはっきりとミルキーウェイを見ることができます。これほど美しい星空を見たのは、これがはじめてです。


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天の川2
今日はこのまま数カットは撮れそうだと思っていたら、なんと午前4時には空が明るく写るようになってしまいました。肉眼ではまだまだ夜の星空なのですが、ISO1600や3200で撮影すると、東の空が明るくなっているのが如実に出てしまうのです。


しょうがないので星景写真撮影は切り上げて、テントに戻って朝食にしました。いつもなら1食分残っているマルタイラーメンにするところですが、実は昨晩は麻婆春雨三人前を一人で食べてしまったので麺類はさすがに食べる気になれず、荷物を軽くするためもあってレトルトカレーの朝食にしました。


奥大日岳の朝
5:20 朝食後のお茶をゆっくり楽しんだ後、外に出てみるとちょうど奥大日岳の山頂に朝日が当たり始めたところでした。こんなにいい天気なら剣岳のピークが朝日で赤く染まるところを見たかったなあと思いましたが、それは次回のお楽しみです。


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GPSマップ浄土山
6:20 さすがに2日分の疲れがたまっているらしく、体が重いし足もつらいという状況で、歯を磨いたりトイレに行ったりしながらのんびりと出発準備をしていたら、いつの間にか1時間もかかってしまいました。今日の予定は、浄土山と龍王岳に登って一ノ越経由で戻ってくるというもの。最終日だし、無理はしないでゆったりと楽しもうと思います。


雷鳥荘下から
テント場から雷鳥荘へは夏道ルートではなく管理小屋の裏の斜面を直登します。踏み跡が付いているので踏み抜くこともなく歩きやすい状態でした。


地獄谷
みくりが池へ行く途中にある地獄谷の展望台によってみると、地熱で雪がまったく積もっていない地獄谷の様子がよく見えました。背後の奥大日岳もくっきり鮮やかでした。


室堂ターミナル
7:47 室堂ターミナルに到着です。まだ始発のバスが着く前だったのか、観光客の姿もなくとても静かです。


室堂
立山上空には、すっかり明るさを増したまばゆい太陽が光り輝いて、静かな室堂の朝を透明な光で包み込んでいます。


室堂山荘
8:03 広い雪原を横切って室堂山荘近くまで来ると、山荘の前にテーブルとベンチが並んでいるのが見えました。ひとまずここで休憩です。


浄土山のスロープ
ベンチから浄土山を眺めていると、右から左へと登山者やスキーヤーが歩いて行きます。みんな一ノ越方面を目指しているようで、だれも浄土山のほうへ行く人はいません。正面に広がる広大なスロープは、ただただ白く遥か先のスカイラインへと続いています。


室堂俯瞰
15分ほど休憩して、浄土山のスロープを登り始めました。しばらくたってから後ろを振り返ると、いつの間にかけっこうな高さになっていました。遥かかなたにアリンコのような登山者たちが雪原をちまちまと歩いているのが見えます。その中の一人がどうやらこちらに登ってきているらしく、仲間ができたようでちょっと安心しました。


浄土山のピークを見上げる
8:50 浄土山のピークが左手に見えるようになってきました。このあたりから直接取り付くというのもありかもしれませんが、浄土山の肩口から薬師岳方面の展望がいいようなので、ひとまず夏道に沿って登っていきます。


果てしない斜面
だらだらとした斜面を登っていると、まるで斜面が延びていくような錯覚にとらわれます。もう少しで登りきるように見えて、行けども行けども斜面は終わりません。やっと地平線に着いたと思ったら、その先にはまた新しい地平線があるのです。そういえば、ミスチルの曲でそんな歌詞があったなあなどと思いながら、できるだけ何も考えないようにして、無心で足を交互に出し続けていました。


振り向けば剣岳
息が切れて立ち止まり、振り返ってみると剣岳が見えていました。


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展望1
9:28 ようやく長い斜面を登りきって浄土山の肩に立ってみると、目の前に北アルプスの大展望が広がっていました。


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展望2
右端に薬師岳、その左奥に黒部五郎岳、そのまた左奥に笠ヶ岳。昨日雄山頂上から見たのとは全然違う鮮明さで、青空の中にくっきりと浮かび上がっています。


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展望3
笠ヶ岳のさらに左手には、おそらく水晶岳と思われるピークも見えています。別名黒岳と言われるのが納得できるその姿。そして、さらに左奥に見えているのが槍ヶ岳と穂高連峰。あまりのすばらしさにしばし呆然と立ち尽くしてしまいました。


浄土山の急斜面
9:50 20分ほど写真を撮ったり眺めたりしながら休憩をとって、浄土山に取り付きました。夏道のある斜面は大きな一枚バーンになっており、そこそこ急傾斜ですがデブリの跡もなく、雪崩の心配はあまりなさそうです。休憩地点から斜面を斜めにトラバースしながら登っていきます。


先行するボーダー
先行するボーダーは斜面を直登しており、そのトレース下まで来たところで、ステップを拝借させてもらうことにしました。


奥大日岳を望む
きつい斜面の向こうに、奥大日岳が顔を覗かせていました。






ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。






10:25 浄土山頂に到着です。地図上の山頂はもう少し龍王岳に進んだあたりにありますが、石積みの記念碑のようなものがあったので、とりあえずここが事実上の山頂という感じです。


浄土山から針ノ木岳
東側、一ノ越の鞍部の向こうに見えるのはおそらく針ノ木岳でしょう。信州側は雲が覆っていますが、後ろ立山連峰とそれに続く山嶺にせき止められて、雲は立山側には流れ込んできていません。


浄土山から立山
北側正面には、まるで衝立のように立山がそびえています。


浄土山から別山と剣岳
立山の左手奥には別山と剣岳の姿も見えます。


雲海
早めの昼食がてら行動食を食べていると、いつの間にか針ノ木岳が雲海に飲み込まれ始めていました。黒部湖を越えて雲がこちらに流れてくるようなら、午後から天候が崩れるかもしれません。


11:19 天候が崩れるといやなので、休憩を切り上げて出発しました。


剣岳上のレンズ雲
本当の浄土山山頂あたりから振り返ると、ちょうど剣岳の上空に巨大なレンズ雲が出現していました。どうやら本当に天候が崩れるようです。


五色が原の雲
浄土山と龍王岳の間の稜線からは薬師岳方面もよく見えましたが、五色ヶ原に雲がまとわりつき始めており、すでに荒天の予兆が見え始めていました。


龍王岳
12:03 龍王岳の手前にある、一ノ越方面への分岐路まで来ました。天気はまだしばらくは問題なさそうですが、龍王岳へ登頂していると往復で軽く1時間は使いそうな雰囲気です。とりたてて登りたい山というわけでもないので、今回はパスしてテント場に戻ることにしました。


一ノ越への下り
一ノ越への下山ルートは、途中にクラックがあったり、ときどき大きく踏み抜いたりしてあまり気持ちのよくない斜面でした。


一ノ越上で見た雷鳥
途中の岩の上に雷鳥を発見し、カメラを持ってじりじりとにじり寄っていくと、ほんの3mぐらいまで近づくことができました。最初知らん顔していた雷鳥ですが、そのうち『こいつ何者だ?』とでもいいたげにこちらを一瞥したあと、岩から下りて飛び去っていきました。


一ノ越を流れるガス
一ノ越近くまで下りてくると、面白い光景に出会いました。黒部側から雲があふれてきて、一ノ越の鞍部を越えて立山側に雲が流れ込んでいました。まるで鍋の注ぎ口から静かに水があふれているような感じです。


ガスの中へわざわざ突っ込むのは嫌なので、一ノ越山荘まで行かないで、途中から室堂方面に直接下り、そのまま昨日通ったルートをたどってテント場まで帰りました。


ガラガラのテント場
13:30 テント場につくと、隣にあったオヤジ達のテントはきれいさっぱりなくなっていました。それだけでなく、かなりの数のテントが撤収されており、すっかりがらがらのテント場になっていました。



日が照っているうちに濡れた靴などを乾かそうとしたのですが、3時近くにはもうすっかり曇り空になってしまい、風も吹き始めたのでした。


その日の夕方から風が強まり、やがて雨も降り始めました。日没後、風はますます強くなり、台風並みの強風と化していました。立山から吹き降ろしてくる風でテントは猛烈にゆがみ、そしてばたばたと大きく揺さぶり続けられました。やっぱり、テント設営時に手抜きをしないで、もっと雪面を掘り下げるか雪壁を作っておくべきでした。と悔やんでも後の祭りです。


真夜中に一度目が覚めましたが、やたらフライシートがばたばたと大きな音を立てていました。雨がやんだタイミングでトイレに行き、戻ってきたときにテントをチェックすると、なんと竹ペグが3箇所引き抜かれた状態になっており、フライシートの一部が風にあおられて大きな音を立てていたのでした。寝る前にきちんと雪を盛って抜けないようにメンテナンスしておくべきでした。真っ暗闇の中、ヘッドランプの明かりを頼りに、ショベルで雪を堀り下げて竹ペグをしっかり埋め込んでから、再びテントの中にもぐりこみました。





5月2日の朝、明るくなってからも風は相変わらずで、雨も降ったりやんだりを繰り返しています。今日は下山するだけなので、とりあえず、雨が止むのを待つことにしました。朝食を食べ、お茶を飲み、ゆっくりとテント内を整理して荷物をつめて、あとはテント本体とフライシートをパッキングすればOKという状態になった頃、風はあいもかわらず台風のような強さでしたが、うまい具合に雨が止みました。


下山準備完了
大急ぎでテントをたたみ、スタッフバッグにも入れずに適当に折りたたんでバックパックに押し込んで撤収完了です。


ガスと強風の立山
立山の稜線は雲の中です。雲の流れが速く、相当強い風が吹いていることでしょう。


テーブル状のテント跡
テントを撤収した跡は、高さ15cmぐらいのテーブル状になっていました。設営時は全部平坦だったわけですから、この3日間でそれだけ周辺が融けたということです。


9:20 雷鳥沢テント場を出発です。室堂ターミナルへは、雷鳥荘経由の来たときのルートは風が強そうなので、一ノ越から戻ってくるときに使った、谷沿いの雪上車用の道をたどり、途中からみくりが池方面に上がるルートで帰りました。しかし、みくりが池手前から猛烈な強風にあい、まっすぐ歩くこともままならないような状態になりました。あまりのことにたまらずみくりが池山荘のテラスに逃げ込みました。山荘の風下側になるので、風がしのげるのです。


室堂ターミナル到着
10:42 ストックでなんとか体を支え、体を斜めに傾けないと歩けないような状態の中、ようやく室堂ターミナルにたどり着きました。今回は、それなりに天候に恵まれ、昨年果たせなかったことができて、かなり満足した山行となりました。そして、ひとつ大きな教訓も得ました。それは、『大型テントの近くで幕営するべからず』です。静かな夜をすごしたいなら、グループの大型テントには近寄ってはいけないという腹立たしくも貴重な教訓でした。


おわり。





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| 2012年5月 立山 | 21:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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