ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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紅葉の森でゆったりのんびり: 烏ヶ山(からすがせん) vol 2


さて、調子こいて岳ポーズで記念写真など撮っていたわけですが、この日持ってきていた山行記録用のカメラは、パナソニックTZ3。雨の心配が無いということで、先日購入した防水デジカメFT1はお休みさせたわけです。で、記念写真撮影時にカメラはどうしていたかというと、怠慢こいて三脚を持ってこなかったので、岩の上にタオルで下地を作ってそのうえに載せてセルフタイマーで撮影していたわけです。滑り落ちないようにカメラの後に手袋を置いてストッパーにしていました。念には念を入れてというわけです。さすが、だてに写真歴は長くない。と、ここまではよかったのです。

撮影終了後カメラのところに戻って、さてこの後は・・・ と考えました。とりあえず頂上にある大岩に登ってみるか、それからキリン峠へ下る道がどうなっているのかちょっと偵察してみよう。そうすると、手袋があったほうがいいよなあ。手袋は・・・と。お、あったあった。右手でひょいと手袋を取り上げた瞬間! それはスローモーションのようにゆっくりと始まりました。カメラがタオルの上を滑り落ち、自由落下を始めたのです。重力加速度9.8m/s2をまさに証明するがごとく、あっというまに落下速度は増してカメラは残像の光跡をのこして岩の上を滑り落ちて行きました。しかも、途中の岩角で「カツン!」という鋭く硬い接触音を炸裂させて落下コースを鋭角に変えながら、約1m下の地面にさながら「はやぶさ」が小惑星イトカワで演じたであろう見事な軟着陸を決めたのでした。

壊れたTZ3
絶望と希望のはざ間で揺れ動く心を抑えつつ、まるで地面に存在することが罪悪であるかのごとくカメラを拾い上げた僕の目に飛び込んできたのは、液晶画面にくっきりと浮かび上がったみごとなクラックでした。それは美しい一枚岩に刻み込まれた唯一のクラックのごとく、クライマーなら衝動的にハーケンを打ち込みたくなるほどの美しさでした。もちろん岩角でつけたすり傷などではなく、液晶のカバーとなっているガラス板の中までしっかりと入り込んだ、リアルな3D画像そのものでした。この瞬間、絶望と希望のはざ間にあった僕の心は、絶望の深淵に落ちて行ったのです。それは、滑落しかけて奇跡的に岩角につかまって難を逃れたと思ったのもつかの間、その岩がボロっと抜け落ちてしまったかのような衝撃でした。

しかし、神はまだ僕を見放していませんでした。恐る恐る電源を入れてみると、なんと液晶そのものはまったく無傷で、画像表示にはなんら問題がなかったのです。カメラの機能も損傷を受けていないらしく、AFもきちんと作動するし、ズームも今までどおり動きます。カメラとしての機能はまったくもって問題なかったのです。もはやこれまでと思った直後、すぐ足元に生えていた木の枝に引っかかって滑落を免れたようなものです。

これが一眼レフだったらもっと心の傷は深かったのかもしれませんが、8900円で買った中古のデジカメなので、とりあえず物理的にも精神的にも傷は軽傷ですんだという感じです。

山頂からの大山
気をとり直して、傷ついたTZ3を持って山頂の大岩に登ってみました。正面に大山東壁がよく見えます。その左手には南壁、右手の尾根はユートピアの尾根でしょうか。それにしても、なんで山頂にだけ雲がまとわりついているのでしょうか。東壁手前のキリン峠のあたりはすでに綺麗な紅葉はなくなっており、これから登ってみても期待できそうにありません。尾根筋の紅葉は10月20日頃でないとだめみたいです。

滝雲の状況
岡山側からの滝雲は相変わらずあふれそうであふれない状態でとどまっていました。

雲が消え始めた大山
キリン峠方面への道を少しだけ下って偵察し、再び山頂にもどってくるといつの間にか空から雲がなくなっていました。大山山頂にはまだ雲がまとわりついているものの、さっきよりもだいぶ小さくなっています。もしかしたらこのまま晴れるかもと期待して、大山が全貌を現すのを期待してしばらく山頂で待っていました。しかし、もう少しで雲がなくなるというところで、なぜか突然雲がわき始め、頭上の空も急速に雲に覆われ始めました。どうやら、天候回復の見込みはなさそうなので、下山することにしました。

9:36 下山開始です。当初の予定では8時30分ごろに登頂し、9時に下山というつもりでしたが、登頂が9:05だったので30分押しになりました。

雲に覆われた大山
南峰までもどってきて振り返ると、もはや天気は曇り空です。晴天予報は朝だけかい! と天気予報の不正確さを呪いつつ先を急ぎます。

ガスが上がってきた尾根
新小屋峠ルート分岐のすぐ上まで戻ってくると、なんと下からガスまで沸いてきているではないですか。

分岐直下の新小屋峠ルート
下山は新小屋峠ルートを使います。分岐直下はけっこうな急傾斜なので、お助けロープを使いながら慎重に下ります。

紅葉が残る尾根道
地図には出ていない小ピークの手前ぐらいから、少しずつ紅葉が目に付くようになってきました。ここでストックを用意しました。下りで膝を痛めやすいので、用心のためです。

ガスに包まれる南峰下部
斜面を吹き上がってくるガスが次第に濃くなってきました。このまま天気が崩れてしまうのでしょうか。

鮮やかな紅葉
登山道脇に色鮮やかなモミジがありました。地図に出ていない小ピークを越えて下り始めたところで、汗拭き用のタオルを落としていることに気がつきました。最初はまあいいかとそのまま行こうとしました、登山道にタオルが落ちているというのはあまり美しくないと思いなおして取りに戻ることにしました。おそらくストックを用意したところで落としたはずなので、それほど距離がなかったからです。これが山頂に置き忘れていたら、あきらめていたことでしょう。

烏ヶ山全貌
登山道が尾根筋から分岐する1230mピークの手前にある鞍部からは、烏ヶ山の全貌がきれいに見えていました。まさに羽を広げて飛び立とうとしているところのようです。

1200m付近の紅葉
この1230mピーク手前にある鞍部の東斜面は、紅葉が大変きれいに残っていました。荷物をおろして撮影に時間をかけます。その途中、この日唯一会った年配女性三人組の登山者が通過していきました。

色づくモミジ
変身途中のモミジです。

紅葉と烏ヶ山
紅葉の森越しの烏ヶ山。

1230mピーク
11:11 1230mピーク分岐点です。ここから登山道は右に折れて斜面を下ります。なんの案内板も無い上に直進する踏み跡もあるので道迷いへの注意が必要です。

1230mピーク直下の登山道
分岐直後はやや急ですが、すぐに傾斜は緩くなります。

残り紅葉と烏ヶ山
右手の森がきれいに色づいていました。

きれいな残り紅葉
左手にも鮮やかな紅葉が顔をのぞかせています。

やわらかい雰囲気の森
空を薄い雲が覆ってしまったせいで、フラットな光線がやわらかい雰囲気で色づく森を照らします。奥大山の健康の森から上に広がる木谷のブナ林は全面ブナばかりの森で、きれいで迫力もあるのですがなんとなく単調な森です。一方、烏ヶ山上部の森はブナ以外の木も多くあるみたいでいろどりが多彩で華やかです。しかし、木がそれほど大きくないので圧迫感もなく比較的あっさりとした雰囲気で、やさしくやわらかい表情をしているように感じます。個人的にはこういう森のほうがのんびりできて好みです。

水彩画のようなブナ林
淡い色調の水彩画のような紅葉の森をのんびりゆったり歩いていると、心も体もすっかりリフレッシュされたように感じます。

モミジのアクセント
時折、あでやかな赤がいいアクセントになっています。

ブナの大木がある森
標高が低くなってくると、おおきなブナの木が目立つようになってきました。古木は、木肌も黒くなっているものが多く、重厚な雰囲気の森に変わってきました。これはこれで悪くないです。

透過光で光るモミジ
透過光に輝くモミジは最高にきれいです。

赤い実
何の実か知りませんが、かわいらしい真っ赤な実がたくさんぶら下がっていました。緑の葉と赤い実のコントラストがまるでクリスマスみたいです。

ブナが密生する森
やがてブナが密生する森に差し掛かりました。このあたりはまだ緑の葉も残っており、紅葉の盛りまでもう少しかかりそうです。

新小屋峠
12:20 新小屋峠の登山道入口に出ました。

鏡ヶ成への道
ここから道路を突っ切って象山のほうへ行けるのですが、すでに出発から6時間が経過しており、食事もまだだったのでアスファルト道を歩いて駐車場まで戻ることにしました。

色づく道路わきの木々
道路周辺の森はまだそれほど紅葉がすすでいない状況です。

ところが標高が下がって鏡ヶ成近くになってくると、色づいた木が増えてきました。

ひときわ鮮やかな紅葉
鏡ヶ成に出たところでは、もっときれいに色づいています。開けた場所に面した場所なので、風が当たりやすく冷えやすいということなのかもしれません。単純に標高だけで紅葉が進むわけではないらしいというのが、植物の不思議なところです。

駐車場
12:32 駐車場に戻ってきました。10時過ぎには戻ってこられると思っていたのに、結局のんびりしていたら6時間もかかってしまいました。しかも、山頂でわずか2分ほど岩に腰掛けただけで、あとはずっと歩いていたか立っていたわけなので、さすがに足が痛くなっていました。

今からキリン峠のほうへ登るには時間が遅いし、思いのほか体も疲れてしまったので、欲張り山行はやめにして、ここでゆっくりとお昼を食べることにしました。

日帰り山行ではコンビニおにぎりだけというのが多いのですが、今回はラーメンを持ってきました。

旨辛ラーメン
イオンで見つけたPBトップバリューの旨辛ラーメン。味は以前食べたことのある韓国産ラーメンとほぼ同じでした。多分、OEMなのでしょう。でもおいしかったです。これに、カマンベールチーズ入りのQBBチーズを入れて食べたのですが、熱でトロリとなったチーズの甘さとラーメンの辛さが絶妙の組み合わせでした。お試しあれ!

たっぷり1時間ほどかけて昼食をとり、そのあとスキー場のほうに移動してマツムシソウの撮影などして、14:30ごろ家路につきました。


おわり。


■山行データ

GPSマップ


<往路所要時間> 2時間23分

駐車場6:35→登山道入口6:39→新小屋峠ルート分岐8:45→山頂8:58




<復路所要時間> 2時間56分

山頂9:36→1230mピーク11:11→新小屋峠登山口12:20→駐車場12:32


<標高差> 518m(最低地点:駐車場930m、最高地点:山頂1448m)




<登山道情報>
上記の所要時間は、紅葉の撮影をしながらの歩行なのでかなり時間がかかっています。普通に歩けば、登りで2時間は切るでしょうし、下りは1時間半程度で行けると思います。

山頂付近はやや危険な場所もありますが、全体的には問題ないルートです。とはいえ、公式にはまだ一般登山道としては歩行禁止になっているルートですので、利用する場合はくれぐれも事故の無いよう気をつけて歩いてください。ルート途中に水場、トイレともありません。

トイレは鏡ヶ成休暇村本館前の広い芝生の隅に公衆トイレがあります。駐車場からすこし歩く必要あり。キャンプ場内にもあると思いますが未確認です。トイレの手洗い水が飲用可能かどうかはわかりません。キャンプ場内にはキャンプ利用者用の水場があると思いますが、駐車場から離れていますし本来キャンプ場利用者のための施設ですから、水は事前に用意しておくべきでしょう。

なお、奥大山スキー場にある奥大山の源水は水の出が弱く噴出し高さが小さくなっているのでプラティパスで直接水を汲むのはやや難しい状態でした。コップなど用意したほうがいいでしょう。また、水の味もなんだか砂っぽい感じがして、あまりおいしくなかったです。






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| 2011年10月 烏ヶ山 | 16:39 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

Re: にょろ君こわ~い!

山小屋の灯さん

> これからも「新田次郎ばり」待ってます。

わかりました。文壇デビューを念頭においてがんばります。


> 一番いいのは登山開始前に「虫よけスプレー」をたっぷり振りかける事でしょうか・・・。

やっぱりそれが一番なんでしょうねえ。
秋山でスズメバチ対策に頭にかぶるネットを買ったのですが、
なんだかうっとおし感じです。来年は虫除けスプレーを
ためしてみます。それでもだめなら最後の手段がネットですね。



> 虫より何より私が怖いのは「へびのにょろ君」

こいつは僕もできればお会いしたく輩です。
登山道で見かけたら、とりあえずいなくなるのを待ちます。
いつまでも動かない場合は、石か小枝を投げてお引取り
願うようにしています。

基本的に昆虫類(一部OK)、爬虫類、両生類の類は嫌いなので、
本当は山は忌むべき場所なのですが、それ以外は魅力的な
場所なので困ったものです。

| ヤマふぉと | 2011/11/03 19:44 | URL |

にょろ君こわ~い!

これからも「新田次郎ばり」待ってます。
さて、夏の登山には携帯用の蚊取り線香をリュックのポケットに入れて行くのですが、何時も使わず「蚊あちゃん」の歓迎を受けます。
一番いいのは登山開始前に「虫よけスプレー」をたっぷり振りかける事でしょうか・・・。
虫より何より私が怖いのは「へびのにょろ君」。登山道に細長い枝が横たわっているだけで「ドキッ!!」
先日10/23「もう出ないもんね~」と県南の怒塚山(いかつかやま)~金甲山を悠々と歩いていたら、わお~~、出た~~!いい加減に寝ろ!!
猪・熊も怖いのですが、まだ出会った事はありません。猪のぬた場では何時もドキドキしてあたりを伺います。

| 山小屋の灯 | 2011/11/03 16:10 | URL |

Re: 新田次郎ばり!

山小屋の灯さん

烏ヶ山、一月前に登られていたんですか。
9月だとまだ暑い時期ですね。
虫とか多くありませんでしたか?
僕は虫にたかられるのが苦手なので、
夏山に行くのがどうも気が乗らなくて・・・
結局今年も2ヶ月間登らずじまいになりました。

しかし、烏ヶ山は眺めのいい山ですね。
できれば積雪期にもう一度登りたいです。

「クライマーなら・・・」という下りは、
普通に壊れたと書いただけだと面白くないので、
ちょっとドラマチックに書いてみました。
新田次郎ばりだなんて、持ち上げすぎです。
そんなこといわれたら調子に乗ってしまいますよ。

| ヤマふぉと | 2011/11/02 19:38 | URL |

新田次郎ばり!

私も9月25日(日)にヤマふぉとさんと同じルートで烏に行きました。登山禁止がまだ解けていないけど、6~7組の登山者に出会いました。登山禁止ももう形骸化しているのでしょうか?
その日はお天気も上々、山頂の大岩の上から青い空と指呼の間の大山縦走路を堪能しました。
勿論紅葉はしていなかったので、今回のヤマふぉとさんの写真と上手いレポを楽しませてもらいましたよ!「クライマーなら衝動的にハーケンを打ち込みたくなるほどの美しさ」な~~んて、まるで新田次郎ばりですねえ。

| 山小屋の灯 | 2011/11/02 12:55 | URL |















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