ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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バリエーションルートで挑む最高峰 剣ヶ峰: 伯耆大山 vol 3

2011年8月28日 鳥取県大山町 伯耆大山・剣ヶ峰(標高1729m)日帰り山行

槍ヶ峰から先の痩せ尾根
13:00 槍ヶ峰を出発して痩せ尾根へと足を踏み入れました。ガスが沸いてきて、左右の絶壁下が見えないので、それほど高度感や恐怖感も感じないで歩くことができます。そうはいっても、道の幅は、30cm~50cmと狭く、ザレた状態なので油断は禁物です。

痩せ尾根のこぶ
ときには、こんな感じのこぶを越えていきますが、こういう登りから下りへと切り替わる場所はけっこう神経を使います。

やや幅広で安心
尾根がやや幅広になるとほっとします。これぐらいの道ならぜんぜん問題ありません。

切れ落ちた南壁
突然ガスがサーッと晴れて奈落の底が見えると、一気に緊張感で体が硬くなります。

ザレた急傾斜
天狗ヶ峰の手前には、ザレた急傾斜の部分もあり、スリップしないように慎重に越えます。

天狗ヶ峰
13:08 天狗ヶ峰に着きました。槍ヶ峰から見たときには、ずいぶん遠くにあるように見えましたが、わずか8分で着くとはいささか拍子ぬけです。

ユートピアへの道標
ここはユートピア小屋からの尾根と合流する場所です。ユートピア小屋への道標がありました。

天狗尾根
これがユートピア小屋への尾根です。この尾根もなかなかきびしい痩せ尾根です。

槍尾根
こっちは今歩いてきた槍尾根です。

剣ヶ峰への尾根
そしてこれが最高峰剣ヶ峰へと続く尾根です。正直な話、この道を見たときにここで引き返そうかと思いました。右も左もはるか下まで続く絶壁です。幅はわずか40cmほどの狭く浮石のたくさんころがるナイフリッジには、体を支えるものは何もありません。幸いなことに、ガスが視界をさえぎり、絶壁といっても一番下までクリアに見えているわけではないので、覗き込まなければ足がすくむほどの高度感はありません。バランスと浮石に気をつけて、足元だけを見て行けばなんとかなりそうです。

低木に覆われる尾根道
”だいじょうだいじょう” ”行ける行ける”と声を出しながら剣ヶ峰へと進んでいくと、狭い尾根道に低木が覆いかぶさっていました。ただでさえ狭い痩せ尾根の道なのに、さらに枝に足を引っ掛けないように気をつけて歩かなければいけないのです。左手は断崖絶壁で、鎖も無ければロープも無い狭い稜線です。そのうえ低木に覆われて足を置くのがやっとのような状況は、さすがにビビリます。これで風があったら、確実に引き返していたところです。

剣ヶ峰出現
慎重に木の枝をクリアしながら進んでいくと、一瞬ガスが晴れて目指す剣ヶ峰が見えました。

吊尾根
低木に覆われたところをクリアすると、今度はざれざれの急斜面がある吊尾根のような場所です。なかなか簡単には剣ヶ峰に近づかせてはもらえません。

分岐
ざれた吊尾根を渡り急斜面を登りきると、道が二股に分かれていました。こんな痩せ尾根で分岐があるとは意外です。右のルートに黄色いテープがついているので、どうやらここは巻き道があるようです。

左の道の先
左の道の先は、おそらく崩落してしまったのでしょう。踏み跡は無く、絶壁の突端まで雑草が覆っていました。

右の道の先
右の巻き道は、木の枝が倒れかけて歩きにくい状態ですが、とくに危険な箇所も無くいままでの稜線歩きに比べると安心して歩ける道です。

剣が峰にあと一歩
巻き道から再び稜線に戻ってくると、目の前に剣ヶ峰が見えました。

頂上の慰霊碑
13:21 1729mの剣ヶ峰に着きました。これで名実ともに伯耆大山に登頂です。山頂にはコンクリート製の碑があり、文字が刻まれた銅版が埋め込んでありました。読んでみてわかったのですが、単なる山頂のモニュメントではなく冬期にこの近くで遭難した地元高校生の慰霊碑でした。剣ヶ峰から天狗ヶ峰方向へ下ったあたりで、昔数名の高校生が遭難したそうです。

展望開ける
ガスに巻かれて展望のきかない中、槍ヶ峰で食べ残した昼食の残りを食べていると、突然ガスが切れてはるか下まで切れ落ちてゆく南壁の様子を見ることができました。

槍尾根現る
登山ルートとして歩いてきた槍尾根も見えます。左端の高いところが天狗ヶ峰、右手のひときわ高い三角ピークが槍ヶ峰です。少しの間写真を撮ったり、景色を眺めたりしていましたが、結局だれひとり登ってくる人はいませんでした。一人だけの静かな山頂です。

帰路
13:43 再びガスに視界をとざれたので、下山することにしました。またあの恐ろしい痩せ尾根を越えていかなければいけないのかと思うとちょっとうんざりですが、それ以外に道は無いので仕方ありません。

下りの痩せ尾根
同じ道でも帰路になるとまた別の道のように感じます。勢いで登ったような急傾斜の場所は、こんどはスリップに気をつけながら慎重に下ります。

ナイフリッジ
本当にこんなところあったっけ? と思えるようなナイフリッジに、往路以上にドキドキしながら戻ります。天狗ヶ峰では男性が二人座って休憩中でした。狭い天狗ヶ峰で、しかも14:00ごろにゆっくり休憩するということは、剣ヶ峰まで行く予定はないのかもしれません。挨拶だけして天狗ヶ峰を後にしました。

天狗ヶ峰から下り始めてすぐ、槍尾根を登ってくる単独行の男性とすれ違いました。左手に一眼レフをもって尾根を歩いてくるその男性は、こちらの存在に気がついていないのか、すれ違いもできないような尾根をどんどん登ってきます。こちらも急傾斜の下り斜面の尾根上にいるので、止まることも引き返すこともできず、進むしかありません。幸い少し先になんとかすれ違いができるだけのやや尾根が広がった場所があったのですれ違うことができましたが、熊のいるいないにかかわらず、自分の存在を知らせるためにも鈴をもって歩いたほうがよさそうです。この尾根を歩く人は、みんな自分の足元に神経をとられて前を確認することがおろそかになっている可能性があります。

槍ヶ峰南峰
槍ヶ峰北峰を通り過ぎ、ガスの中に槍ヶ峰南峰の姿がぼんやりと見えてきました。南峰まで行けば、おそろしいナイフリッジの尾根歩きはおしまいです。

南峰の肩
14:04 南峰の肩まで戻ってきました。後は巻き道をたどり、南壁を下っていくだけです。

青空出現
槍尾根から斜面を下り始めると、突然ガスが切れて太陽と青空が出てきました。下山するのが早すぎたかと一瞬後悔しましたが、こればっかりはどうしようもありません。

青空と槍尾根
真っ青な空と槍尾根です。そういえば、今日は虫の襲撃を受けずにすみました。やはり山の上は一足早く夏が終わっているのかもしれません。

剣ヶ峰を望む
横を見ると、往路ではまったく見ることができなかった剣ヶ峰が見えました。山頂の慰霊碑も見えています。歩いているときには見られなかった絶壁がよく見えます。あんな絶壁を足元に見ながら歩くなんて、考えただけでもぞっとします。やっぱり歩いているときにガスがあってよかったと思いました。

砂すべり斜面の上
砂すべりのような砂利斜面まで戻ってきました。登るのは大変だけど下るのは簡単です。早めに砂利斜面に出て、砂利と一緒にざくざく下ります。これが下まで続いていたら楽なのに。

奇岩
南壁の下まで来ると、朝はガスでかすんでいた奇岩の連なる南壁がくっきりとよく見えました。なんだかおどろどろしい岩壁です。

枯れ沢沿いの場所
枯れ沢沿いの場所まで下ってきた頃、左ひざに痛みを感じるようになって来ました。今回は軽荷ということでストックを持ってこなかったのですが、急傾斜の下りで膝の負担が大きかったようです。できるだけ、左ひざに負担をかけないようにゆっくりと下らないといけなくなり、ペースはガクっと落ちてしまいました。

南壁全景
大堰堤手前の広い河原まで下りてくると、南壁に日が当たるようになって来ました。朝はガスの中で全貌が見られなかった南壁ですが、こうしてみるとなかなかすごい迫力です。

コゴメグサ
足元に群れ咲いていた小さな花です。コゴメグサという名前のようです。

大堰堤上からの南壁
しばらく写真を撮っていると、稜線付近からまたガスが降りてきました。結局、スカッと晴れることが無かった1日でしたが、剣ヶ峰に登頂できたし、最後に南壁の全貌を見られただけでも良かったです。

大堰堤下
大堰堤を下り、

連なる堰堤
いくつもの堰堤を越えて、

大山環状道路に到着
16:04 やっと大山環状道路に戻ってきました。

文殊堂と車
文殊堂の先に車が見えました。朝停まっていたほかの車はもう帰ったようです。車の近くまで来ると、いままでいなかった虫が顔の周りに寄ってきて、うざいことこの上なしです。山の上のほうは気温が低くなってきたので、この辺りのブナ林の中に下りてきたのかもしれません。標高1000mクラスの山だと、虫のいない山行ができるようになるまでは、まだ時間がかかりそうです。

雨の跡
車の下だけ、路面が濡れていません。このあたりは雨が降ったようです。でも、自分はぜんぜん雨には降られていません。ちょうど雨が降っていたときには、雲の中にいたので雨にならなかったということなのでしょう。

今日一日で数人の登山者にしか会わなかったので、すっかり日曜日だということを忘れてしまいそうな山行でした。さすがにバリエーションルートは人が少ないです。そういえば、往路で出会った山ガールは姿を見なかったので、適当なところで引き返したのでしょう。この次は、紅葉の時期に振り子沢経由で周回するルートを試してみたいものです。



おわり。



■山行データ

<往路所要時間> 3時間31分

文殊堂9:50→大堰堤上の河原10:44→槍尾根12:30→槍ヶ峰12:50/13:00→天狗ヶ峰13:08→剣ヶ峰13:21



<復路所要時間> 2時間21分

剣ヶ峰13:43→槍ヶ峰南峰の肩14:04→文殊堂16:04



<標高差> 766m(最低地点:文殊堂963m、最高地点:剣ヶ峰1729m)




<登山道情報>
このルートは一般登山道ではありません。ルートもわかりにくい場所があったり、危険な箇所が多数あります。特に尾根上は両側が切り立った絶壁で、体を支えるものは何も無いので、滑落する危険が非常に高い場所です。登山するときは十分注意してください。このレポでこのルートを使うことを推奨しているわけではありませんので、くれぐれも自己責任でお願いします。途中、水場もトイレもありません。

2012年7月30日に落石事故があったようです。自分が滑落しないことだけでなく、他人が落とす石にも気をつけなければなりません。ヘルメットを着用すると共に、上に人がいる場合は、安全なところへ行くまで待つなどして危険を回避することも心がけてください。また、尾根を歩く場合は、落石を起こさないよう気をつけることも忘れずに。





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| 2011年8月 大山三の沢 | 18:32 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

Re: 先日はどうも♪

>mizuhoさん

こんにちは。

下のほうで引き返してしまったんですね。
上から降りてきた二人と話をしていた声は
聞こえてたんですが、その後姿が見えなくなったので、
ちょっと気になってました。
とにかく、何事もなくてよかったです。

三の沢もけっこうひどいことになったようですが、
秋までに復旧してほしいですね。
mizuhoさんもこの次は稜線までチャレンジしてみてください。
やっぱ、稜線からの眺めは最高です。

| ヤマふぉと | 2011/09/15 19:15 | URL |

先日はどうも♪

おはようございます♪
大堰堤の一個前のところで出会った山ガールことmizuho!!です。
私はかなり下の方で引き返しました。
翌週にまさかの台風被害があり気軽に最終堰堤まで行きにくくなりました。
この日にもっと欲を出してもっと高いところまで登っておけばよかったのにと後悔してます!!

ヤマふぉとさんは青空と稜線も堪能されて
充実の山行きになられたようですね。
剣ヶ峰への初登頂もおめでとうございます!

とても詳細で分かりやすく完璧なレポに感動しました。
今度はピークでも青空が拝めますように♪(*^^*)

| mizuho!! | 2011/09/15 07:04 | URL | ≫ EDIT

Re: 剣が峰初登頂おめでとう!

>ヨックモックさん

コメントありがとうございます。
たしか、「ブナの森へようこそ」のブロガーさんでしたよね?
時々拝見させていただいています。

同じ日に登っていたんですか。本当はもう少し早く出たかった
んですが、天気を心配していたら出遅れました。
剣ヶ峰は気持ちよかったです。晴れた日にまたぜひ
登ってみたいです。いつかまた大山の稜線でお会いしましょう。

| ヤマふぉと | 2011/09/10 20:15 | URL |

剣が峰初登頂おめでとう!

遣りましたね!
剣が峰の居心地はどうでしたか?
どうやら同じ日に登っていたようですね
私たちはラクダを越えて正面道を降りたので
きっと顔を会わせていないですよね
今度剣が峰で会ったらよろしくね

| ヨックモック | 2011/09/10 08:09 | URL | ≫ EDIT















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