ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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雲上の縦走路と緊張の大キレット :槍穂高連峰 vol 2

2001年9月 槍ヶ岳~奥穂高岳 単独テント泊縦走


翌朝目を覚ますと、あたりはほんのり明るくなっていました。トイレに行ってそそくさと朝食をとりました。何を食べたのかすでに覚えていませんが、おそらくラーメンかアルファ米のどちらかでしょう。

槍穂高縦走06
テントから出てみると、涸沢岳の頂上付近を朝日が照らし出していました。

テントをたたんで出発したのは7時ごろだったでしょうか。早くもなく遅くもなくという感じだったと思います。槍平から先の道は、比較的勾配の小さい森の中の道です。飛騨沢に沿って登っていくこの道は展望もなく、あまり面白い道ではありません。道の状態は整備されているというほどではないのですが、荒れているわけでもなく、そこそこ歩きやすかったように記憶しています。もっとも、当時の話なので、今は整備が進んでいるかもしれません。

槍穂高縦走07
高度が上がってくると、次第にダケカンバが目立つようになってきます。空は見事に真っ青に晴れ渡り、本当の青色とはこんな色だといわんばかりの透明感のある青色が広がっていました。

槍穂高縦走08
やがて、ダケカンバの森もまばらになり、千丈沢乗越の2734mピークが見えてきました。

槍穂高縦走09
飛騨乗越に突き上げる大きなカール状の谷は森林限界を越えているらしく、ハイマツやナナカマドなどの低木と草地が広がる広々とした谷です。

槍穂高縦走10
千丈沢乗越への分岐点あたりから振り返ると、中崎尾根越しに抜戸岳の大きな姿が正面に見え、その左後方に笠ヶ岳がひょっこりと顔を出していました。左手にある1本のダケカンバは、いい位置にあったのでワンポイントとして画面に入れて撮影しましたが、たまにネットでこの木を入れた同じようなアングルの写真をみることがあります。みんな考えることは同じなんですね。

巨大な飛騨沢の道は、歩いても歩いてもたどり着かないような錯覚にとらわれます。はるか上に日本で最も高い峠である飛騨乗越が見えていても、さっぱり近づいてきません。

槍穂高縦走11
変わらない景色に飽きて立ち止まり、左手の西鎌尾根を見上げると、稜線上を縦走する登山者が見えました。彼らもがんばっているし、こっちもがんばろうと再び歩き出します。

道は次第にガレた岩ごろの道になり、急斜面をつづら折れの道となって登ってゆきます。長い時間をかけてやっと飛騨乗越にたどり着き、槍ヶ岳方面に進みます。小屋の手前のテント場に荷物を置いて、テント場の受付を済ませた後、さっさとテントをはりました。このときは特に場所を指定されたわけではないので、よさそうな場所を探してうろうろしてみると、槍沢側のほうに斜めに立ち上がった大きなついたてのような岩があって、その下にテントひと張り分のスペースがありました。地面は大きな岩が敷き詰められたような状態でしたが、案外凸凹感がなくフラットな雰囲気だったので、ここにテントを張ることにしました。多少の凹凸はエアーマットが吸収してくれるので岩の上でも問題なしです。もっとも、このマットは穴が開くとただのビニールシートになってしまいます。後年その苦痛を味わう羽目になり、それ以後はサーマレストを愛用しています。この場所は、斜めに突き出した大岩が庇の役目を果たしてくれそうだし、槍沢側にも別の岩があって風除けにもなりそうです。実際、この場所は朝露がテントにつくこともなかったので、朝テントを撤収するとき助かりました。

テントを張り終えるとと昼食をとり、カメラと水だけサブザックに入れて槍ヶ岳登頂に出かけました。

槍穂高縦走12
ほとんど垂直に近い断崖絶壁につけられたわずかな幅の岩棚のようなところをたどって登っていくと、ほとんど垂直な鉄梯子が現れました。その高度感といったら筆舌に尽くしがたいほどの恐怖です。このときはまだ高所恐怖症気味の状態だったので、この梯子を登ることは恐怖感との戦いそのものでした。しかもそれが上下2箇所もあるのですから恐怖感も2倍です。何があってもこの手だけは離すまいと祈るような思いで一段ずつ登り、やっと槍の頂上に這い上がったときは、すっかり消耗しきっていました。

平日ということで槍の頂上はがらがらでした。数人の登山者がいましたが、しばらくするとみんな下りてしまい、あとは貸しきり状態になりました。テントはすでに張ってあるので急ぐ理由はなにもありません。槍の頂上にすわって、のんびりと景色を楽しみます。標高3位の奥穂高岳の前に、標高5位の槍ヶ岳に登頂を果たしてしまったので、上から順に登頂するというもくろみはもろくも崩れてしまいました。

ちなみに、個人的には百名山にはまったく興味がありません。あれは他人の価値観で決められたリストなので、僕の登りたい山というわけではないからです。標高順については、たまたま富士山から始まったので下にたどるしかないということで、自然に北岳、奥穂高岳とめざしてきましたが、ここにきて順番が狂ったので一気に冷めてしまいました。これ以後、標高順もまったく興味がなくなってしまい、登る山を決める基準はとくにありません。

午前中あれほど晴れ渡っていた空には、いつのまにかたくさんの雲がわいていました。

槍穂高縦走15
大喰岳から北穂高岳へと続く稜線も、雲のベールに包まれ始めています。

槍穂高縦走20
テント場の先に人影が見えました。単独行の登山者のようです。300mmの望遠レンズで撮影してみましたが、ゴマ粒ほどにしか写りませんでした。

槍穂高縦走16
眼下に目を転じると西鎌尾根方面にも雲が垂れ込め始めていました。

槍穂高縦走19
槍沢のつづら折を赤いバックパックの登山者がゆっくりと登ってきていましたが、途中で座り込んでしまいました。あと少しで槍ヶ岳山荘ですが、最後の登りが相当きついのでしょう。

槍穂高縦走17
やがて、どこからともなくバラバラという音が聞こえて、槍沢の向こうからヘリが上昇してきました。大きな荷物をぶら下げています。

槍穂高縦走21
山荘の近くにあるヘリポートに荷物をおろす様子が上からよく見えました。

槍穂高縦走18
あっというまに荷物を降ろすと、ヘリはそのまま滑るように槍沢を下って行きました。

ヘリが去ってしまうと雲が展望を隠し始めたので、恐ろしい垂直梯子をビビリながら下り、山荘までたどり着いてほっと一息です。山荘で水を買ってテントに帰り、夕方まで時間つぶして、この日も食後はさっさと眠りました。

つづく




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| 2001年9月 槍穂高縦走 | 00:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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