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ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。相互リンクはしていませんので、リンクはご自由にどうぞ。当ブログ内に掲載してある写真の無償提供はしておりません。また、無断で使用することは固くお断りいたします。

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プチ滑落でビビって撤退: 伯耆大山天狗ヶ峰その2 

西日本ではそろそろ残雪期もおしまいです。今週末が雪山を楽しむ最後のチャンスかもしれません。といっても、雪が残っているのはもう大山ぐらいしかないので、今週末も4週続けて大山登山になりそうです。




2020年3月21日(土) 鳥取県大山町 天狗ヶ峰(標高1711m) 日帰り単独行 


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11:53 ユートピア避難小屋から象ケ鼻に向けて出発しました。


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象ケ鼻のトップは雪がなく、折り重なった巨岩が出ていました。左側から巻く道もありますがあまり楽な道でもないので、まっすぐ巨岩を越えていくことにしました。


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クランポンで岩場を越えるのはなかなか神経を使いますが、無事に象ケ鼻のトップに着きました。ここから先は比較的傾斜の緩い尾根道です。


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雪の積もった尾根の上を進みます。このあたりは左右の傾斜が緩いので、あまり怖い感じはありませんが、かなり風が強く、時折吹き飛ばされそうな突風に襲われます。耐風姿勢で少しの間風をやり過ごしては進むということを繰り返しながら、天狗ヶ峰に向かいました。


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前方に先行者がいて、どうやら引き返して来たみたいですが、同じ場所にじっと立ったままです。


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そのうち降りてくるだろうと思いながら歩き続けました。ところが、いっこうに小ピークの上から下りてこないので、とうとう先行者が立っている小ピークの下まで来てしまいました。


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先行者が立っている小ピークはそれなりの広さがありますが、そこに登るルートは狭い尾根をたどって赤線のように行くのがいいのですが、まるでそのルートに立ちふさがるように先行者が立っているので、左側の斜面を青線のように迂回して行くことにしました。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




ところが、小ピークの斜面が思いのほか傾斜がきつく、しかも表面数センチの雪が柔らかく、その下は凍った状態だったので、つま先を蹴りこんで足場を作ることができません。そこで、横向きになってサイドステップで登っていったのですが、それだと当然ながらクランポンの片側の爪しか雪面に引っかかりません。その上、下が凍っていて硬くアックスを差し込むことができないので、ストックのように雪面に突き立てて手すりがわりに使うことしかできません。これではまったく3点支持をとることができませんが、全然気にしないで登っていました。完全に油断していました。


小ピークの上に出る少し前で一度立ち止まって休憩したのですが、足を止めて一息ついた瞬間、足がスッと滑りました。ほぼ両足が同時に滑ったのでそのまま横倒しに雪の斜面に倒れたのですが、ほぼ同時に体が斜面下に向かってずり落ち始めました。やばいと思ってすぐにアックスのピックを雪面に突き立てたのですが、体が滑って腕が伸びきった状態になってしまったので、手首でアックスを振ることしかできず、硬い雪の斜面にはわずかしか突き刺さりません。すぐにピックは外れてしまい、体は横向きのままさらに落ち続けます。


まずいぞと思いながら、アックスを引き寄せてシャフトの中ほどを握って肘を支点にしてアックスを振り上げて雪面に突き刺すと、今度はそこそこ深く刺さったようでぐっとブレーキがかかりましたが、シャフトを握った右手が滑ってアックスから手が外れそうになりました。右手を渾身の力で握り、同時に左手を伸ばしてアックスのヘッドを握り、体をひねってアックスに体重をかけるようにして、ようやく落下が止まりました。ただし、このときも腕が伸びた状態で、アックスは体から離れた場所にありました。今思えば、アックスを引き寄せたときに胸元まで持ってきて、体をひねってうつぶせになり、体の下でピックが雪面に突き刺さるようにする、いわゆる滑落防止姿勢をとればよかったのでしょうが、とっさの時にはとりあえず落下を止めようとしてしまうようで、反省点でした。


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けっこう長い時間に感じたのですが、どうやらほんの数秒のことだったらしく、改めて滑落した痕跡を確認してみると、せいぜい5mあるかないかという程度でした。人間、非常事態にはスローモーションのように感じることがありますが、今回もそのような感じだったのかもしれません。雪面に露出した登山道の土が薄く乗った状態だったのでそれが抵抗になったらしく、一気に速度を増して落下することがなかったのも幸運でした。倒れたときにちょうど雪面に接していた右足部分は、ゴアテックスパンツではなく冬用の山パンツだったので滑りにくかったということもあったのかもしれません。



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滑落が止まらず、ずっと下まで落ちたとしても、このようにほとんど障害物のない振子沢なので、命を落とす可能性はあまりなさそうですが、それでも落下中にアックスが刺さったり、クランポンの爪が雪面に引っかかって足を骨折したりという事故もないわけではないので、滑落などしないにこした事はありません。


このときはすぐに停止できたためかあまり恐怖感も感じることなく、登山道に上がって一息ついたら、すぐに1636ピークまで進みました。


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12:18 1636ピークに着いてすぐに、後続の登山者が天狗ヶ峰に向かって登っていったので、しばらくどんな具合なのか様子を見てみることにしました。


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手に何も持っていない状態で登って行くので、大丈夫かいなと思いながら見ていたのですが、天狗の難所と呼ばれる場所で引き返すこともなく登って行きます。ということは、登山道自体はそれほど崩落が進んでやばい状況になっているわけではないのかもしれません。


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しかし、途中で立ち止まってしばらく動かないでいたと思ったら、姿が消えたので反対側に滑落したのかと気になっていました。


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上から下山してくる登山者もいます。


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姿の見えなかった先行者が再び姿を見せました。どうやら稜線の向こう側の斜面を登っていたようです。なぜそうしたのでしょうか。理由は尾根を通る登山道が危険だからということなのでしょう。逆に言えば、尾根の向こう側の雪面は通過しやすいということなのかもしれません。しかし、アックスももたずに雪面をトラバースしたことになるわけで、どういうことなんだといぶかしく思うばかりです。


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とりあえず、登りも下りも目の前で登山者が通過して行ったので、行けそうだということで天狗ヶ峰を目指してみることにしました。


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しかし、難所が近づいてくると、危険度は一気に増して来ました。雪のない崩落した尾根で、しかも段差も乗り越えていかなければなりません。クランポンの爪を引っ掛けないように気をつけないといけないし、雪がないとアックスも無用の長物となりかえって邪魔だったりします。まして、胸元にぶら下げた一眼レフが邪魔だし、ぶつけたりしないように手で押さえたりしなければならなかったりで、登山に集中できません。


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12:40 いよいよ核心部となる天狗の難所に差し掛かりました。ルートはおおむね青線のように登るのですが、左側の雪のあるところに先行者の足跡が残っています。けっこう深い足跡なので雪は柔らかいようです。南向き斜面なので、融けかけなのでしょう。とりあえず、最初の難関は手前にあるコブです。高さ50センチほどのコブですが、右側は崩落して絶壁になっていて、絶対に右に落ちるわけにはいきません。しかし、左側も急傾斜の雪壁なので、そちらにも落ちるわけにはいきません。クランポンを装着したまま、小石の浮いたコブを乗り越えていくわけですが、右手にアックスを持ち、左手でぶらつく一眼レフを押さえながらコブを越えるのもけっこうきつい作業でした。


なんとかコブを越えて、その先の尾根道に立ったのですが、そこから上が思っていた以上に傾斜がきつく、砂利の浮いた急傾斜の尾根道でした。先行者が左側の雪壁にルートを取った理由がわかります。クランポンでこの砂利の浮いた急傾斜の道を登るのはかなりリスクが高そうです。ならば、先行者と同じルートで左から巻いて行くかと思って雪の斜面のほうに行きかけて、足が止まりました。突然、もし滑落したらという思いがわきあがってきて、一気に恐怖心にかられてしまったのです。


さっきのちょっとした滑落が思いのほかトラウマになったらしく、脚が前に進みません。すっかり体も萎縮してしまい、その場でしゃがみこんでしまいました。もはやこれまでです。こんな状態でこの先に進めるわけがないので、ここで撤退するしかありません。しかし、振り返ってみると、絶壁にはさまれたコブがまるで空に突き上げた巨大な塔のようにさえ見えます。登りではまだ先に高いピークがあるので、なんてことのないコブでしかありませんが、下りだと目の前に見えるわずか50センチほどのコブが遥か眼下に広がる風景の中でもっとも高い場所になるのです。


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しかし、こんなところで恐怖におののいてしゃがみこんでいても埒が明きません。無雪期とはいえ、一度は普通に歩いて通過した事のある場所です。それを思い出しながらなんとかコブを乗り越え、難所の下まで戻ってきました。ほっと一息つくことができたものの、まだもう少し楽に歩ける道ではありません。ビビる気持ちを押さえながら、ゆっくりと慎重に下りました。


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当初、下りで使うつもりだった上宝珠越にダイレクトに下る尾根ですが、さすがにこちらも下る気になれず、おとなしくユートピア経由で帰ることにしました。


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13:20 避難小屋まで戻ってくると、ようやく気持ちも落ち着き、どっと疲れが出てきました。避難小屋にはもう誰もいなかったようですが、日当たりのいい先ほど休憩した場所で再び休憩して行くことにしました。甘くて熱いカフェオレが体に染み渡りました。


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休憩しているときに、前方に見える野田ヶ山の山頂に赤いものが見えるなと思っていたのですが、どうやら登山者のジャケットだったようです。写真を拡大してみると、青色のジャケットを着た人もいるようですが、肉眼で判別できたのは赤色だけでした。やはり、山で目立つ色は赤系統が一番のようです。


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避難小屋には常設の携帯トイレブースができていました。以前はテント式の簡易ブースだったので積雪期は撤去されていましたが、これで積雪期でも利用できるようになったわけです。


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避難小屋の内部は、相変わらず綺麗に保たれていました。


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13:46 下山しようと避難小屋前に出てみると、なんとこんな時間に登って来た登山者がいました。今から休憩したり、象ケ鼻あたりまで行っていたらすぐに1時間が経つでしょうから、下山開始は15時ぐらいです。下山に2時間かかるとしたら、17時になってしまいます。日が長くなって17時ならまだ真っ暗ではないものの、捻挫とか膝痛とかで下山にかかる時間が長くなったらあっという間に真っ暗になります。あいかわらず山でトラブルが起こることを想定していない、時間感覚のおかしい登山者は後を絶ちません。


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落石に注意しながら下っていくと、上宝珠越が近くなったあたりで、今度は6名ぐらいの団体が登ってくるのに出会いました。あまり大きな荷物でもないのでユートピア小屋泊まりのようにも見えませんでしたが、どういう山行計画なんでしょうか。


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14:00 上宝珠越を通過します。


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上宝珠越のすぐ先から、登って来た斜面を下ります。斜面の降り口に立っている登山者が天狗の難所を越えて登っていた人で、このとき少し話をしたら、クランポンもアックスも持たずに来ていることがわかりました。もはや言葉もありません。


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急斜面を下っていくと、登って来たときには見覚えのない土石がたまっていました。朝通過した後に上から崩れ落ちて来たもののようで、油断は禁物です。


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元谷の下まで降りてきました。朝は堰堤の向こう側、右岸を登ってきましたが、今度はここから左岸側で下ります。クランポンもアックスもすべて装備を外して身軽になり、あとはのんびりと登山道を下るだけです。


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15:23 無事に駐車場に戻りました。プチ滑落という失敗をしたものの、怪我もなく、無事に下山できてなによりでした。一瞬の気の緩みが事故につながるのが登山だということを、今回改めて認識することになりました。とくに、雪山は慎重の上にも慎重であることが必要だと、肝に銘じておくことにします。

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| 2020年3月 伯耆大山天狗ヶ峰 | 21:08 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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