FC2ブログ

ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。相互リンクはしていませんので、リンクはご自由にどうぞ。

NEXT | PAGE-SELECT | PREV

≫ EDIT

心臓ドキドキ! 積雪期槍尾根単独行: 伯耆大山槍ヶ峰その3 

2019年3月20日(水) 鳥取県大山町 槍ヶ峰(標高1689m) 日帰り単独行 


IMG_2430_20190327124710f9c.jpg
ランチを終えた後は、いよいよ本日の核心部へ向かうための準備を整えます。ここから上の槍尾根はかなり急傾斜の雪稜を行くことになるので、ダブルアックスを用意してきました。ダウンジャケットは寒さ対策にそのまま着ていくことにしました。


BD32340A.jpg
そういえば装備リストに書き忘れましたが、ダブルアックス用のブラックダイヤモンド スピナーリーシュと


camp_blitz_s.jpg
それを使うためのカンプ ブリッツというハーネスをはじめて使いました。


IMG_2431_20190327124712bcc.jpg
12:45 槍尾根に向けて出発します。とはいえ、勇んで歩き始めたかといえばそうでもありません。実はランチを食べながらずっとやめようかどうしようかと思案していました。2017年のGWに奥穂高岳で撤退して以来、高度感のある急傾斜の雪壁にはほとんど挑戦していません。1ヶ月前の烏ヶ山はそこそこ急傾斜の雪壁でしたが、それほど高度感があったわけではないので、あまり恐怖心は感じませんでした。今回は平日で人もいないし、万が一東壁側に滑落したら助かる可能性は限りなく低そうです。ちょっとリスクが高すぎるかとチキン野郎になりかけていました。


しかし、天気もいいし、雪質も悪くなく、気温もそれほど高くないので雪崩の心配もほぼなさそうで、見た限りでは稜線にやばそうな雪庇もほとんど見られないコンディションです。これで行かなかったらいつ行くんだという状況なので、気持ちを奮い立たせて槍尾根に挑戦することにしました。


IMG_2432_2019032712511298e.jpg
広い草つき斜面を登っていきます。雪は比較的浅くよく締まっていて、つま先をけりこんでもあまり刺さらないので、サイドステップで慎重に登りました。


IMG_2433_20190327125114e22.jpg
草つき斜面の斜度は、およそ30度ぐらいでしょうか。この斜面では、ダブルアックスはかえって使いにくいので、1本は腰のギアループにぶら下げて、一般的なシングルアックスで登りました。


IMG_2435_20190327125115229.jpg
振り返れば木谷に向かって真っ白な斜面がずっと続いています。もしも滑落したら数百mは滑り落ちてしまいそうです。


IMG_2436.jpg
13:03 草つき斜面のてっぺんにつきました。ここから稜線が始まるのですが、出だしの部分はあまり雪がなく、砂利の出た急傾斜の細尾根をクランポンで登らざるを得ません。爪を引っ掛けたり、石ころにのって滑ったりしないように慎重に行きます。そして、ここからいよいよ両手にアックスを持って登ります。


IMG_2437_20190327125118d88.jpg
雪のない箇所を通過し雪の稜線を登り始めたところで、いきなり大きく踏み抜いて転倒しかけました。急斜面でいきなり踏み抜いたので、バランスを崩して前のめりに倒れたのですが、踏み抜いた足を引き抜こうとしたときに左足がずるっと滑って、あわや滑落しかけてひやりとしました。アックスでなんとか滑落を踏みとどまったのですが、やばいところでした。


ちなみに、この踏み抜いた穴をのぞいてみると、内部にクラックが続いているのが見えたので、どうやら雪庇の付け根だったようです。雪庇の端から2m以上離れていると思っていたので安心していたのですが、少々考えが甘かったようです。


IMG_2438_20190327125120306.jpg
一枚バーンになっている雪の斜面をトラバース気味に登ってきて、わずかに地面が出ている場所でほっと一息つきました。振り返ると、いま登ってきた雪の斜面の部分がなんとなく見覚えがあります。おそらく、ここが槍尾根の核心部分だと思われます。無雪期であれば崩落した斜面部分をほぼ垂直に近い角度で登らないといけない場所で、しっかりとした手がかりもなくかなりやばい場所ですが、雪に覆われてしまうと案外登りやすくて、かえって積雪期のほうが楽みたいです。もっとも、高度感はかなりあり、精神的プレッシャーは同じようなものです。


IMG_2439_20190327125121cb4.jpg
先ほど踏み抜いた場所を振り返ると、大きな雪庇ができていました。トレースのある場所はどうも雪庇の上みたいで、赤丸が踏み抜いた場所です。雪庇の端から距離があるからと安心しないで、地面が見えている場所に近いところを歩くようにしたほうがよさそうです。


核心部分から上もかなりの急傾斜で、下を見るとビビッてしまうので前方だけ見て三点支持を意識しながら登りました。シングルアックスだとアックスを移動させる瞬間が恐怖ですが、ダブルアックスだと常に三点支持がキープできるので、安心感は絶大です。


IMG_2440.jpg
13:20 ようやく急傾斜の雪稜が終わり、鉄柱のある尾根に出てきました。ここがキリン峠ということになります。この鉄柱は、かつては道標がついていたみたいですが、いまでは鉄柱だけが残っているということのようです。槍尾根がまだ正規の登山道だったころの名残なのでしょう。


IMG_2441_201903271251251f5.jpg
ここだけ傾斜がゆるくなっているので、つかの間緊張感から開放され、とりあえず自撮りしておきました。けっこう冷たい風が吹いていますが、ダウンジャケットのおかげで寒さは感じませんでした。


IMG_2444_20190327125126d05.jpg
登ってきた槍尾根です。画面中央辺りにある小ピークが1405ピークです。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




IMG_2445.jpg
キリン峠から先は、傾斜は緩むもののアップダウンのある狭い尾根の道になります。下から見たらところどころ雪庇ができていたので、あまり右の東壁側に行かないように注意しないといけません。前方の黒いトンガリが槍ヶ峰です。無雪期ならちゃんとした道がありますが、積雪期はどういうルートで行けばいいのか、とにかく行ってみないとわかりません。とりあえずは、すぐ前に見えている小ピークを無事に越えていかなければいけません。


IMG_2446_20190327125407691.jpg
東壁側に寄り過ぎないように注意しながら、最初の小ピークを越えました。けっこうドキドキでしたが、振り返って改めてみてみると、本当にあんなところを通ってよかったのかとすこしひやりとしたものを感じました。検証しようがありませんが、もしかしたら雪庇の上を歩いていたかもしれません。とはいえ、この小ピークは藪の見えているあたりはほぼ垂直に近い傾斜になっているので、足跡のついているルートしかとりようがないともいえます。とりあえず、無事に通過できて一安心です。


IMG_2448_201903271254104f7.jpg
13:36 最初の小ピークを越えて、槍ヶ峰手前にある次の小ピークの手前まで来たところで、どうするか考えました。夏道はこのあたりで左へトラバースして、槍ヶ峰手前の小ピークの西側を巻いて槍ヶ峰下を登っていくのですが、その区間はかなりの急傾斜地で、雪のついた状態で夏道どおりに行くのはリスクが高すぎだと思われます。しかし、槍ヶ峰手前の小ピークは夏道が巻くぐらい尖っていて、これを越えていくのもかなり難易度が高いと思われます。なにしろ、道がないので無雪期に越えたことがないわけです。


薄いトレースが小ピークを越えて残っているところをみると、やはり積雪期は尾根通しで小ピークを越えていくほうが安全なのでしょう。しかし、小ピークの向こう側はほぼ絶壁といってもいいような状況だったはずです。小ピークと槍ヶ峰の間の鞍部が雪で埋まってそれなりの傾斜の雪壁になっているとしてもリスクは高く、その先の槍ヶ峰はおそらくほぼ夏道どおりでないと登れないはずです。通過するのにかなり時間を要してしまうことは確実で、1692ピークまで往復するのに1時間以上かかりそうです。とすると、下山は17時を回ってしまうことはほぼ確実になるわけで、ここで下山したほうがよさそうです。


無雪期ならここから三の沢とパークウェイの交差点まで約1時間ですから、ほぼ同じぐらいで下れるとしても、今回はそこからさらにパークウェイを歩いて奥大山スキー場まで戻らなければいけません。おそらくもう1時間余計にかかるでしょうから、下山に必要な時間は2時間。休憩時間も入れると、いまから下山しても16時になってしまいます。やはり、これ以上進むのは時間的に無理です。ということで、ここから下山することにしました。


IMG_2447_201903271254083c8.jpg
とりあえず、夏道のある尾根から砂すべりのようなガレ場の斜面を下るのが一番手っ取り早いだろうということで、夏道のあるほうへ行ってみることにしました。しかし、この斜面がなかなかの急斜面で幅も広く、はるか下まで滑り台のように続いているので、トラバースするにはちょっと大変そうです。


IMG_2449_2019032712541179e.jpg
下を見ると、狭い谷筋が少しカーブしながら続いているのですが、もちろん歩いたことのない場所なので、下のほうがどうなっているのかわかりません。もしかすると、末端がちょっとした崖のようになっている可能性もあります。どうしようかと思って斜面を眺めていると、足跡が下のほうから続いているのを見つけました。足跡のそばまで行ってみると、下から登ってきている足跡でした。ということは、三の沢まで厄介な場所もなく続いていると考えてもよさそうです。雪崩の可能性は捨て切れませんが、今のところ雪質は安定しているようだし、弱層があるようには感じられません。このまま眼下の谷筋を下っていくことにしました。



IMG_2450.jpg
出だしの部分だけ傾斜が急になっていたのでバックステップで下り、あとは雪崩のフォールラインを避けながらサイドステップでジグザグに下りました。



IMG_2451.jpg
ときどきトレースが消えていましたが、おおむね残っているトレースをたどりながら下ります。



IMG_2452_20190327125416b14.jpg
傾斜もゆるくなり、だいぶ楽に歩けるようになってきたところで、三の沢への合流点が見えました。



IMG_2453_2019032712541791d.jpg
14:09 三の沢に出てきました。広々とした三の沢の真ん中で、ようやく休憩をとることができました。


IMG_2454_20190327125419c76.jpg
おおむね青色のラインのように下ってきました。途中途切れている箇所は、小尾根を越えたところです。尾根を越えなくても尾根に沿って谷筋をそのまま下れたみたいですが、広い谷が急にすぼまって両岸が迫ってくるような谷筋だったので、万が一のことを考えて谷筋を避けて下りました。


IMG_2455_20190327125708674.jpg
10分ほど休んでから、大堰堤のほうへ歩き出しました。



IMG_2456_20190327125710485.jpg
大堰堤の右岸側を巻いて下ります。ロープのある斜面は雪に埋もれていたので、難なく歩いて下ることができました。


IMG_2457_2019032712571111b.jpg
三の沢はきれいに雪に埋まっていたので、はじめの数箇所の堰堤はそのまま通過することができましたが、3つ目ぐらいの堰堤からはそこそこ段差があって、やはり夏道のある左岸側からまいてくだり、その後はほぼ夏道どおりに歩きました。


IMG_2458_20190327125713047.jpg
14:43 大山パークウェイとの合流点です。予想通り、ほぼ1時間かかりました。パークウェイは完全にアスファルトが出ていたので、ここでクランポンをはずし、アックスもバックパックに装着して身軽になりました。アスファルト道歩きになるので、ストックは縮めたまま手にもって下ることにしました。


IMG_2464_20190327125714708.jpg
誰も通らないアスファルト道の上にはずしたクランポンを置いて日の光で乾かしながら、荷物を整理して出発の準備を整えます。マムート トリオンプロ35+7は、アックス2本にワカン1セット、クランポンなどの冬装備もきれいに収納できるので、冬山向きの使い勝手のいいバックパックです。







IMG_2465_20190327125716ca5.jpg
15:07 のんびりしすぎて30分近くもだらだらと過ごしてしまいました。すこし焦り気味にバックパックを背負うと、奥大山スキー場へとパークウェイを歩き出しました。


IMG_2466_20190327125718d6c.jpg
何度もカーブを曲がって、ようやく鍵掛峠が見えました。


IMG_2468_20190327125719b60.jpg
鍵掛峠からは、大山南壁がきれいに見えていました。


IMG_2469_20190327125721e18.jpg
2時間ほど前までいた槍ヶ峰が黒い牙のように尖っているのが見えます。あんなところまで登っていたのかと思うと、我ながら驚きです。


IMG_2470_20190327125722cf9.jpg
鍵掛峠から健康の森入口までは午後になると日陰になるためか、すこし雪が残っていました。


IMG_2471.jpg
15:57 もくもくと歩いて、ようやく駐車場に戻ってきました。予想どおり午後4時ごろの到着でした。一度歩いてみたかった雪の槍尾根を歩くことができて、けっこう満足でした。槍ヶ峰から先は、今後のお楽しみにしたいと思います。ダブルアックスの安心感も知ることができたし、最近ビビリ癖がつきかけていたのもなんとか払拭できたようだし、これでGWの奥穂高岳にリベンジすることができそうです。

20190320daisen_kirintouge1.jpg


ランキングアップにポチッとご協力お願いします。
にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ
にほんブログ村

登山ランキング








関連記事
スポンサーサイト



| 2019年3月 大山槍ヶ峰 | 13:24 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

NEXT | PAGE-SELECT | PREV