ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

NEXT | PAGE-SELECT | PREV

≫ EDIT

麓は春、山上は冬。汗と鼻水だらだら山行:伯耆大山 vol 1

2011年2月20日 鳥取県大山町 伯耆大山・弥山(標高1709.4m)日帰り山行
Keyword: 冬山、登山、伯耆大山、単独


 当初は泉山へのリベンジ山行を考えていましたが、午前3時前にぱっきりと目が覚めてしまいました。睡眠時間はわずか2時間半ほどですが、遠足前の子供のようになぜだか眠くありません。前週末にどこにも出かけなかったので、体が出かけたがっていたのかもしれません。こんなに早く目が覚めてしまったのなら、いっそのこと伯耆大山まで行ってしまおうと、急遽行き先変更です。

溝口近くから見る伯耆大山
 溝口から県道45号線を桝水高原まで行って、大山環状道路経由で大山寺に向かうつもりでしたが、なんと大山環状道路は通行止め。途中に通行止めの案内が出ていたようですが、まだ薄暗かったことと目前の伯耆富士に気をとられていて見逃してしまいました。迂回路になっていた県道284号線を下り、県道36号線から24号線で大山寺にまわるというとてつもない回り道をしてしまいました。せっかく早起きしたのに南光河原駐車場についたのは午前7時30分。すでに、奥のほうに4台分の駐車スペースしか空いていない状態でした。ちなみに、道路は除雪が行き届いていて、ノーマルタイヤのままで大丈夫でした。駐車場内は少し雪が残っていましたが、とくにスリップすることもなく問題なしです。

 今回は夏道ルートで弥山への登頂を目指しますが、駐車場からそのまま登山道をピストンしたのでは面白くありません。せっかくなので、朝の大山北壁を元谷から撮影しておきたいということで、往路は元谷から行者ルートを登ることにしました。

雪に埋もれた元谷
 午前7時50分、駐車場から雪で埋まった元谷を渡り大山寺方面に向かいます。元谷を渡ったところにある公衆トイレに寄ろうと思ったら、雪に埋まって使用不能になっていました。大神山神社の公衆トイレが使えるかなと思いつつ、先へ進みます。

大神山神社参道
 大神山神社へと続く石畳の参道もすっかり雪に埋まっており、凸凹の石畳よりもかえって歩きやすいほどです。

大神山神社
 8時15分に大神山神社に着きました。長い石段も雪の下に埋まり、だらだらとした雪の坂道になっていました。誰もいない神社で安全祈願をしたあと、軽く汗をかいたので着替えることにしました。ハードシェルジャケットを脱いで、ソフトシェルに着替えます。ついでにザックからクランポンを取り外して、神社の外で装着しました。登山道入口にある公衆トイレも使用不能だったので、元谷避難小屋までトイレは我慢することにして、登山道へと進みます。

大神山神社横からの登山道
 登山道入口あたりは傾斜も緩やかでクランポンが必要というわけではないのですが、トレースが若干すべり気味だったのと、この先がどうなっているのかよくわからないので、クランポンを事前に装着したわけです。夏道が宝珠尾根ルートを分けるところまで来ると、案の定夏道のトレースはなく、宝珠尾根ルートにトレースが続いています。この先の夏道は元谷沿いの斜面を行くルートになるので、冬道は上の林道を使っているのでしょう。

林道
 宝珠尾根ルートで上の林道まで登ってきましたが、林道は完全に雪に埋まっていてただの斜面と化していました。それでもトレースがあるので、ルートは明確です。林道に入って尾根を回り込むと・・・

林道から見た北壁
 眼前に大きな北壁がどーん! 雪化粧した北壁が朝日に照らされて光り輝いています。写真を撮っていると、上から単独行の年配男性が降りてきました。こんな時間に下山してくるなんて、どういう山行だったのか不思議です。山頂小屋泊で、朝一番に下ってきたのかもしれません。

斜面の急な林道歩き
 撮影を終えて先に進みますが、この先が結構な急斜面で、ちょっとひやひやさせられる状況でした。林道の平面は完全に雪に埋もれて、1枚の斜面をトレースが横切っているだけの状況です。踏み抜いたり足を滑らしたりしないように、慎重に進んでいきます。

足元のカーブミラー
 カーブミラーが足元よりも下に顔を出していました。今歩いている高さは、林道の路面から3mぐらいの高さがありそうです。

元谷到着
 林道が終わり、元谷の広い雪原の上に出てきました。正面には別山バットレスがそびえています。元谷に降りて、一眼レフでしばし撮影に時間を費やしたあと、元谷避難小屋に向かいます。小屋の前にはテントが2張りあり、どこかの山岳会なのかロープワークの講習のようなことをしていました。個人的にもクライミング技術の習得には興味があります。朝夕の山岳写真を撮ろうとするとやはり泊りがけの雪山山行をせざるを得ないこともあるわけで、クライミング技術のあるとなしとでは行ける場所のレベルも安心感も雲泥の差があるだろうことは明白です。とはいえ、とりあえず今は冬山山行そのものの経験値を上げることのほうが先かなとも思います。いずれ機会があれば、どこかの山岳会に入るか、一般講習などで技術の取得を目指したいものです。

 元谷避難小屋に入ると、すでに9時30分を回っているというのにまだ朝食の準備をしている人たちが何人かいました。置いてある道具を見るとクライミング目的のようですが、そんなにゆっくりでも大丈夫なんでしょうか。まあ、そんなことを心配しているよりもトイレが先です。それほど切羽つまっていたわけではありませんが、とりあえずトイレが使えて一安心です。匂いはきつかったですが、汚いということもなく、山小屋の汲み取りトイレとしてはましなほうでした。避難小屋を出る前にソフトシェルを脱いでザックの雨蓋上にくくりつけて出発しました。気温は4度程度でしたが、太陽が降り注いでいるのでアンダーとフリースだけでぜんぜん寒くありません。それに、これから行者ルートをのぼって夏道ルートの尾根まで登りが続くので、汗だくになること間違いなしです。

自分撮り
 元谷から行者谷方面にはしっかりしたトレースが続いていました。途中で自分撮りを一発。今回、自分撮りしやすいようにJOBYのゴリラポットという小型の三脚を持ってきたので、それをストックに取り付けて三脚代わりにしました。ストックを雪面に突き刺すだけで三脚代わりになるのだからとっても便利です。

行者谷下部の斜面
 行者谷へのトレースは、夏道の行者コースには向かわず、まっすぐ行者谷に向かっていました。途中から右の尾根に行くのかと思いきや、そのまま行者谷を直登する方向へと続いています。見晴らしのいい広い谷筋なので、上のほうには夏道登山道を行く登山者の姿も見えています。無理にトレースのないところをラッセルして行者コースをたどるより、このままトレースを追って夏道ルートの尾根まで直登することにしました。写真ではあまり傾斜していないように見えますが、これでも結構な急坂です。

グリベル・モンテローザのデビュー
 少し登ると斜度が急になってきたので、ストックをしまってアックスに持ち替えました。いままでザックの肥やしになっていたアックスがようやくデビューです。ついでに、フリースも脱ぎました。汗だらだらだったので、アンダーだけでもぜんぜん寒いとは感じません。風もなく穏やかで、まるで春のような天候でした。

標高1160m地点
 10時37分、標高1169mまで登ってきました。朝見えていた青空がいつの間にかうっすらと白いベールをまとったようになっていました。とはいえ、稜線には雲もなく、元谷を取り巻く峰々はクリアに見えています。後ろから、赤いジャケットの単独行者が10mほど離れたところを登ってきていましたが、写真を撮ったりしているうちに追いつかれ、いつの間にか追い越されていました。自分はキックステップを使って一歩づつ足元を確認しながら歩を進めていたのですが、その人はダブルストックでがしがし登って行きます。見ていると、少々足もとの雪が崩れても力づくで登っていました。強いなあと感心してみていましたが、どうやら女性だったようです。はやりの山ガールというのではなくいわゆる登山者といういでたちでしたが、その力強さにすっかり脱帽です。

行者谷上部の斜面
 11時15分、標高1335mに達しました。夏道の尾根まであと少しです。すでに木もまばらになって、斜面も絶壁のように感じる急傾斜になってきました。このあたりになると、雪質が変わってきました。表面がややクラスト気味になってきましたが、まだ硬いという感じではありません。しかし、やわらかい雪の層が格段に減ってきました。キックステップでつま先を蹴りこんでも、つま先の先っぽだけしか入っていきません。前爪だけで踏ん張りが効くほど硬いわけではないので、2度、3度と蹴りこんでやっと靴の2/3ほど雪の中に入るという状況です。硬い雪の層の上にやわらかい雪の層が乗っているという感じなので、なんだか嫌な予感がしないでもありません。念のため雪を円柱状にかきだして、やわらかい表層部分を手前に引いてみました。簡単にずれることはなかったので、とりあえず早く登りきることにしました。もっとも、みようみまねの弱層テストもどきをしただけなので、それが正しい判断といえるのかどうかかなりあやしいところですが、気休め程度にはなりました。ここ何日かは天候も安定していて雪が降るような天気予報はなかったと思うので、不安定な新雪というわけではないのでしょう。

 隣を登っていた女性は、気がつけば直登するのをやめて、夏道の行者コースがある尾根方面にトラバースを始めていました。その姿はかなりおっかなびっくりという雰囲気で、さっきまで男性顔負けの力強さで直登していた雰囲気はありませんでした。”さっきまでの力強さはなんだったんだろう”などと考えながら見ていましたが、彼女が雪崩の危険性があると判断してのトラバースなのか、急傾斜に恐れをなして安全策をとったのか、問題はそのどちらなのかです。彼女が雪山経験が豊富で雪崩を警戒してのことであれば、このまま直登するのはやばそうです。ただ、この急斜面のトラバースでアックスを使わずにストックを使っているということから考えて、それほど経験豊富という雰囲気ではなさそうです。とはいえ、それは見た目の雰囲気でのイメージにしか過ぎませんから、結局は自分で判断するしかないわけです。

 ということで、直登を継続です。一歩一歩足元を確認しながら歩を進めていきます。登るにつれて雪の表面がどんどん硬くなってきます。やわらかい雪の層も徐々に薄くなってきました。尾根まであと少しというところまで来ると、斜度がきつすぎて直登が難しくなってきたので、斜めにトラバースすることにしました。いままで上しか見ていなかったので、斜めに登り始めて自分がどれほど急な斜面を登っているのか、やっと実感できました。正直、怖いです。雪面は完全なクラスト状態です。足を普通に置いただけではクランポンの爪がしっかりとは噛んでくれません。力を入れて踏みつけるとクラストした表面が割れて足が柔らかい雪の層に入っていきますが、そのままでは爪が噛まないので、2~3度踏みつけて下の固い雪層にクランポンの爪を食い込ませてからやっと次の一歩を進めることができます。片足だけに全体重がかかると滑ったときに一気に行くので、アックスは必ず雪面に強く突き刺してしっかりとにぎった状態にしておきます。滑ったら途中で止める自信はまったくないので、とにかく滑らないことだけに集中しました。そうやってようやく斜面を登りきって尾根にたどり着きました。11時24分でした。

6合目から見下ろす元谷
 振り返ると、急斜面のはるか下に元谷が見えています。その背後には三鈷峰が堂々とそびえていました。元谷の標高が1035m、登りきった尾根の標高が1370mだったので、標高差335mの斜面を登ってきたわけです。所要時間は約2時間でした。

6合目避難小屋入口
 足元に雪洞のようなものが合ったので、何かと思ったら6合目避難小屋の入口でした。結局、行者コースにはまったく入ることなく、元谷から6合目避難小屋まで直登するルートをたどってきたことになります。奥の方にある斜面の傾きを見ると、このあたりの斜度は軽く30度を超えているようです。雰囲気的には40度近くありそうな感じです。スキー場で斜度30度を越えていると絶壁のように見えますから、怖いと思うのも当然でした。


vol 2へ続く。



記事内容が気に入ったら、クリックしてやってくださいませ。
にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ
にほんブログ村


関連記事
スポンサーサイト

| 2011年2月 伯耆大山 | 16:39 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://yamaphoto55.blog133.fc2.com/tb.php/132-80ecb628

TRACKBACK

NEXT | PAGE-SELECT | PREV