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ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。相互リンクはしていませんので、リンクはご自由にどうぞ。

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遥かな高みを目指したものの現実は厳しい: 樅沢岳その4 

2018年4月29日(日)~5月1日(火) 岐阜県高山市 樅沢岳(標高2755m) テント泊単独行 


5月1日(火) 3日目
午前3時過ぎに目が覚めたので、そのまま起きることにしました。朝は気がついたら時間が経っているというパターンが多いので、6時に出発しようとすると、遅くとも4時ごろには起きていないとたぶん間に合わないということで、早めに起きることにしたわけです。うまくすれば5時過ぎには出発できるかもしれません。


まずは天気の確認です。どんよりとした曇り空を想像していたら、なんと月がまぶしく輝いているのが見えます。空には雲がありません。昨日の夕方には今にも雨が降りそうな空模様だったのに、まさかの晴天です。天気予報が悪い方に前倒しになることを予想していたのに、逆に良い方に外れてしまいました。とにかく、これで西鎌尾根を行くのに大きな支障はなくなりました。


朝食は、準備と掃除の手間を省くために調理の必要なものはやめて、イオンのライトミールブロック(カロリーメイトのパクリ商品)で簡単に済ませ、さっさとパッキングにとりかかりました。トイレもすませて、出発の準備が整ったは5時30分頃でした。


狭くて高いところにある出入り口から重い荷物を出すのが一苦労なので、バックパックに外付けするものはとりあえずおいておいて、先にバックパックを外に出そうとしましたが、荷物を片腕でぶら下げたまま体を外に出すことができず、結局そのまま落下させざるを得ませんでした。カメラが入っているのでちょっと躊躇しました、お尻から落下するので直接衝撃がかかることはなく大丈夫だろう思い、少し冷や冷やしながら手を放しました。それから、残った荷物を抱えて外に出ました。


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笠ヶ岳が朝日を浴びてうっすらと赤く染まっています。ずっと前から雪をかぶった姿を見てみたいと思っていたのが、ようやくかなった瞬間でした。


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黒部源流部の山々もきれいに見えています。


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5:44 パッキングを完了して、樅沢岳に向けて歩き始めました。予定よりも15分早く出発することができました。いつも遅れることが常態化していえるので、早く出るのはとっても珍しいことです。


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雪の全くない夏道を登っていくと、雪の付いた大きな斜面の前に出ました。最初は先に見えているピークが樅沢岳山頂かと思ったのですが、偽ピークでした。登山道は右側の尾根についていますが、登山道はあいかわらず夏道が出ていて、クランポンは必要ありませんでした。


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標高2600mを越えてきたので、黒部源流の山々も同じ高さに見えるようになってきました。


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どうやらあそこがピークのようです。以前、樅沢岳に登った時はまだ真っ暗なときだったので、周囲の風景がどんなだったのか全然わかりませんでした。なので、ほぼ初見といってもいいぐらいの新鮮さです。


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笠ヶ岳へとつづく稜線が朝の光の中に浮かんでいます。もっと雪があれば双六の鞍部を経由しないで樅沢岳からこの稜線をずっと歩いていけるわけです。単独行の加藤文太郎はこの稜線をどんな思いで歩いたのでしょうか。いつか笠ヶ岳まで歩いてみたいという気持ちもわいてきますが、長大な距離を考えるとその気持ちも萎え気味です。


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山頂が近くなってくると登山道は雪に覆われました。朝早いので踏み抜きはほとんどありませんが、すでに踏み抜いた跡がたくさんついているので、歩きにくい状態でした。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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6:27 樅沢岳山頂に出ました。細長い山頂にはしっかりと雪が残っていました。ほぼ夏道のコースタイム通りの時間で登ることができ、大荷物を担いでいるにしてはいいペースです。


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山頂の向こうには、これから歩こうとしている西鎌尾根と天を衝く槍ヶ岳が見えています。


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フラットな山頂を歩いて西鎌尾根方面に進んで行くと、その先は思いもよらないナイフリッジの下りが待っていました。写真ではあまり下っている感じがありませんが、かなり急激に標高を下げています。しかもその先が見えないということは、先の方ではもっと急斜面になっているということにほかなりません。


とりあえず、山頂で荷物をおろし、クランポン、アックス、ヘルメットを装着して、空身で状況を確認してくることにしました。


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山頂からの下り始めはまだ傾斜がそれほどでもないのですが、朝で雪が固いことや、谷底まで見通せる高度感もあって、けっこう緊張します。


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先が見えなくなっているところまで下って行くと、その先は右も左も遥か彼方の谷底まで続く急傾斜の雪面になっているリッジがドーンと鞍部まで落ち込んでいました。これを20㎏の荷物を背負って下るのかと思うと、出発時にあったやる気は急激にしぼんできました。


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ちなみに、下から振り返って撮影したらこんな感じです。これよりもさらに傾斜のきつい細い雪稜を標高差にして50mほど下って行くことになります。


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激下りのナイフリッジを下った後は、登り返しながら先にあるピークの斜面をトラバースして行くわけですが、奥に見えている雪渓の上部を渡った先は岩場の道になっているようで、クランポンを装着したまま岩場の道を歩くことになりそうです。しかも、先の鞍部までけっこう距離があり、そこそこ傾斜のある下りのようなので、クランポンをひっかけたりして転ばないよう細心の注意をはらう必要がありそうです。


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西鎌尾根に乗ってしまえば、あまり厄介そうなところはなさそうですが、千丈沢乗越の手前のあたりは、楽に歩かせてくれそうにありません。見る限りでは、狭くてアップダウンのある岩稜のようなので、そこに雪がのっているとなると、アップダウンのあるナイフリッジあり、岩場ありの区間のようで、相当気力体力ともに削られそうな雰囲気です。


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夏道のコースタイムでは、樅沢岳から槍ヶ岳まで約5時間です。千丈沢乗越までは3時間ですが、乗越の手前でてこずることを考えれば1.5倍の4時間半はかかるとみておいた方がよさそうです。問題はそこから先です。標高が上がり酸素が薄くなることで動きが鈍くなり疲れやすくなるのに、傾斜はさらにきつくなり、夏道も使えなくなるでしょうから、タイムは上がりません。終いには、急傾斜の雪の斜面を標高差200m登ることになります。山小屋の直下では岩と雪のミックス状態にもなりそうです。雪の斜面に出れば、普通に立っていられる状況ではないでしょうから、荷物をおろして休憩することなどできるはずもなく、ずっと20㎏のバックパックを背負ったままになるわけです。昨日の弓折岳山頂直下の急斜面はわずか10m程度の標高差でしたが、あれの20倍、時間にして1時間以上の登りになるわけです。


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ちなみに、鏡平で撮影した写真を拡大してみると、うっすらとトレースが見えいている部分があり、おそらく青線のようなラインで登ることになりそうです。


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山行3日目の衰えた体力で、しかも千丈沢乗越まで歩いて疲弊している状態で、最後にそんなタフな区間をミスなしで乗り越えることができるのか、まったくもってできそうにありません。千丈沢乗越から夏道コースタイムの1.5倍の3時間かかるとしたら、今から都合7時間半の行動になるわけです。すでに樅沢岳の登りで45分行動しているので、合計で約8時間半。初日の行動時間が7時間強ですから、それを上回るわけです。一番元気だった初日でさえ、7時間行動でけっこう疲れていたのに、3日目にしてさらにそれを上回る行動時間を標高2600m以上の高地で継続することができるのか。


絶対無理だとはいえないもでも、そこまでして槍ヶ岳に行く必然性があるのかといえば、ないという答えになってしまいます。15時過ぎに槍ヶ岳山荘について、それから槍ヶ岳に登るには時間がおそいし、そもそもその気力体力が残っているとも思えず、登れなければ何しに行ったのかわかりません。まして、明日雨にでもなれば難行苦行の下山行が待っています。ということで、今回はここで撤退することにしました。西鎌尾根は思っていたよりも甘くはなさそうということが分かっただけでも収穫はありました。ネットで検索しても積雪期の山行記録はあまり見つからなかったのは、やはりそれなりに理由があったということのようです。


行くか行かないか30分近くも逡巡していましたが、ようやく結論が出ました。せっかくくそ重いバックパックを背負って樅沢岳まで登ってきましたが、これから来た道を戻ります。装着していたクランポンやアックスを外すときに、少し空しい気持ちになりましたが、さっさと外してバックパックに装着しました。


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最後に、樅沢岳からの風景をしっかりと目に焼き付けます。


つづく。

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| 2018年4月 樅沢岳 | 16:47 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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