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ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。相互リンクはしていませんので、リンクはご自由にどうぞ。

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遥かな高みを目指したものの現実は厳しい: 樅沢岳その3 

2018年4月29日(日)~5月1日(火) 岐阜県高山市 樅沢岳(標高2755m) テント泊単独行 


GW明けは怒涛の仕事ラッシュの様相を呈してきました。12日まで休みがなくなってしまったのはまだいいとして、またまた腰をやってしまったのが大失敗。雨上がりの現場はどうしても地面が柔らかくなって鉄筋の下に入っているスペーサーが地面にめり込んでしまうことがあるので、検査のついでにちょっと修正しておこうと手を出したのが運のつき。それほど気張ったわけでもないのに、力を入れた瞬間にピキッときてしまいました。ほんと、余計なことばっかりしているなと反省しきりです。


それでは、レポの続きをどうぞ。


4月30日(月) 2日目
今日は鏡平から双六の避難小屋までの移動しかないので、所要時間は4時間もあればOKです。なので、朝はゆっくりと起きました。


明け方まで月が出ていたのでテントの中はずっと明るくて、いったいいつ夜が明けたのかわからないまま寝ていました。夜明け前に一度起きて外を見たのですが、月は出ているし東の空には雲がかかっていたので、夜明けの撮影はやめて再び寝袋に潜り込みました。


テントの中が妙に暖かくなったのを感じて時計を見ると、午前7時を回っていました。のそりと上半身を持ち上げて、テントから外を覗いてみると、昨日と変わらない快晴の空が広がっていました。今日も暑くなりそうだなと思いつつ寝袋から抜け出し、朝食の準備にとりかかります。


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朝は消費期限切れのリゾットと、これまた消費期限切れのドリップコーヒーです。昨日からアルファ米以外はほとんど消費期限切れのものばかりですが、今回はそれらの食材を使うのが目的でもあるので、仕方がありません。もっとも、消費期限はあくまでも安全に食べられる期限というだけで、生ものならいざ知らずフリーズドライ食品のようなそもそも保存食の類なら、少々期限が過ぎたからと言って全然問題ありません。作ったのは、アマノフーズのほうれんそうとチーズのリゾットですが、普通においしく食べました。


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しかし、さすがにこれだけでは量が少なすぎて食べた気がしないので、3種のチーズリゾットを追加で食べました。こちらも問題なくおいしくいただきました。


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9:48 クランポンを装着し、出発準備が整ったところで、背後に見える弓折岳目指して歩き始めました。


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弓折岳の稜線に出ると、上の方に大きなクラックができているのが見えました。あれはさすがに越えられないだろうし、そもそもクラックのあるところを登って行くというのはあり得ないので、どういうコース取りがいいのだろうかと詳しく見ていると、手前の斜面をソロの登山者が登っているのが見えました。すっかり出発が遅くなっていたというのに、他にも同じような人がいたわけです。それにしても、あのままクラックを越えていくわけはないでしょうから、手前で左の斜面にエスケープして、迂回するようにトレースがついているのかもしれません。だったら初めから左の斜面を登ったほうがよさそうな気もしますが、とりあえず行ってみることにします。


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傾斜が少し緩んで一息ついたところで振り返ると、きょうも穂高連峰がくっきりとみています。昨日と違って少し雲がありますが、真っ青な晴天よりは空に表情があっていいかもしれません。


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10:25 稜線の中ほどにある弓折中段というテラスのような場所まで来ました。荷物を降ろして休憩するついでに、装備を交換しました。ストックを閉まってアックスを持ち、帽子もヘルメットに交換します。頂上を入れて撮ろうとしたら、下から見上げるようなアングルになってしまい、なんだかえらそうな顔つきになってしまいました。けっしてアックスを持って攻撃的になっているわけではありません。


ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。



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当初考えていたのは青色のラインです。途中で藪を越えるぐらいなら初めから何もない左の斜面を行ったほうが楽だろうと思っていたのですが、いざ左上方向に歩き出してみると、雪が柔らかくずぶずぶで、踏み抜きまくりで思うように進めません。トレースもほぼついていない状態なので、どうもあまりよろしくないコース取りのようです。そのため、左の斜面を行くのはやめて、トレースがついているハイマツ帯の右側を登ることにしました。実際にたどったのが赤色のラインです。ちなみに、3枚前の写真に写っている登山者のいる位置は、「クラック」と書いている最初の「ク」の文字のすぐ下になります。この人はどこをどう登ったのでしょうか。


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ハイマツ帯の右側にはしっかりとしたトレースが残っていて、雪もしまっていて歩きやすい状態でした。右の方に行くとクラックがあるので、できるだけハイマツ帯に近いところを登って行きます。


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上のクラックが近づいてきたところで、左のハイマツ帯の方へエスケープします。


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ハイマツ帯を抜けて左の斜面に出ると、再びハイマツ帯に沿って登って行きます。


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斜面の傾斜はこんな感じです。35度ぐらいでしょうか。しかし、下を見るとシシウドヶ原のほうまでずっと落ち込んでいるので、結構高度感があります。


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登って行くと、トレースが二手に分かれていました。一つは左下に下るようにして左にあるハイマツの下を回り込んで行くようについています。これをいくと、どうやら山頂直下にあるハイマツ帯をさらに左側からかわして登って行くのだと思われます。


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もう一つは右上に登って行くトレースで、大岩のあるところからハイマツ帯のほうに入って行くみたいです。おそらく、クラックの上に出て、そこから斜面を登って行くのでしょう。


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どっちが正解だろうかと立ち止まって考えているときに、右上の岩の下に赤テープがあるのが見えました。テープがあるということは、右上に行くコースがよくつかわれていると考えていいだろうということで、右上に行く方向で決まりです。


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岩とハイマツを乗り越えると、再び雪の斜面に出ました。上へと続くトレースもあります。おそらくクラックの上に出てきたのだと思いますが、斜面の下を見てもクラックの位置はわからないので、とりあえず登ることにしました。とはいえ、結構な勾配です。普通に立って歩けるほど緩くはないので、アックスを打ち込んで両手も使いながら体を確保しつつ登るのですが、そうすると中腰のような姿勢になるので、背中の荷物の重さがものすごく堪えます。


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下を見ると何もない広大な滑り台のような斜面がずっと下まで続いているので、こんなところで滑落するわけにはいきません。アックスを持たない手は濡れるのも構わず雪の中に突っ込んで三点支持をキープしながら登りました。このコースで一番緊張した箇所です。


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幸い距離があまりなかったので、3分程度で傾斜が緩み立って歩けるようになりました。


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11:30 どうやら山頂に着いたようです。しかし、道標も何もありません。


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左手の方に大きな窪地があり、その中にテントが2張ありました。あそこなら風よけになってテントを張るには良さそうです。


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どこかで休憩したいものの山頂は少し風があったので、双六方向にやや下ったあたりで荷物を降ろしました。左前方に見える台地上の山が双六岳です。正面奥に小さく見えるのが鷲羽岳です。


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ズームアップすると、鷲羽岳の左に、ワリモ岳、さらにその左にわずかに水晶岳のピークが見えていました。


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20分近く休憩してから、双六山荘を目指して歩き始めました。休憩場所からすぐのところに鞍部があり、そこからの登り返しが何気に大変でした。このときは気が付かなかったのですが、この鞍部が夏道が稜線に出てくる弓折乗越でした。その先の稜線にそって雪の上を登って行くわけですが、上の方は庇状になっている雪庇ではないものの、クラックもできているし、草つき斜面の上に乗っかっているだけの雪庇なので、いつ崩れ落ちるやらと冷や冷やしながら通過しました。


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長い稜線の上を進んで行くと、前方に樅沢岳が見えてきました。積雪期にこの稜線を歩くのは初めてですが、無雪期と違って鞍部が雪で埋め尽くされてしまうために、アップダウンが緩やかなって歩きやすくなっていました。もっとも、その分崖上を通過する場所ではスリルが倍増してしまうし、狭い稜線では雪庇の上を歩かざるを得ないという欠点はがあります。しかも、クラックの外側を歩かざるを得ない場所も複数箇所あり、そうそう甘くはありません。


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稜線が下り始めると、はるか先に双六小屋が見えました。左上の鞍部に赤い屋根が見えています。


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下る途中で登ってくるスキーヤー二人とすれ違いました。今日初めて人に会いました。弓折岳で遠目に見たことはあっても、すれ違うほど近くであうのは初めてです。ほんとに静かな山域です。


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ところで、いつの間にか空には雲が立ち込めていました。天気予報では明日の5月1日は晴れ時々曇り予報で、その後は3日にかけて下り坂です。もしかしたら天候が崩れるのが早まったのかもしれません。


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ようやく稜線から鞍部の平地に下りてきました。あとは、平坦な雪原を小屋まで歩くだけです。


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13:40 双六山荘につきました。鏡平から4時間弱でした。おおむね予想通りの所要時間です。いつものことながら風が強く寒いです。


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右手の斜面上に避難小屋があります。さて、問題は空いているかどうかですが、今日はGW前半の連休最終日です。明日とあさっては平日なので、おそらく混雑していることはないはずです。時間的にも十分早いので、仮に宿泊予定の人がいたとしてもまだ小屋に入っている人はほとんどいないはずです。



避難小屋の中を覗いてみると、誰もいませんでした。これで今夜は暖かく眠れます。パンクしたマットでテント泊というのはきついので、避難小屋で寝られないと困るなと思っていましたが、避難小屋の周辺は雪がなかったので、仮にテント泊をせざるを得なくなっても土の上ならなんとか大丈夫だったかもしれません。


僕が小屋に入ってすぐ後に、年配のソロ男性が到着し、その後スキーヤーの二人組、夕方になってソロの男性が来て、合計5名の宿泊者となりました。


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この小屋は、夏場は倉庫として使われているらしく、1階の床はありません。コンクリート土間に鉄板が敷いてあるので、土間で寝るのはちょっとしんどそうです。ただし、カイコ棚は4名分しかなく、僕が寝た左側はまだ普通に上がれる高さですが、奥の棚はけっこうな高さで、登るのに一苦労します。入口に2段の棚が置いてあったので、僕の後に来たソロ男性はそれを奥のカイコ棚の下に移動させて上り下りしていました。なお、この上にも2名分のスペースがあり、この日は誰も土間で寝なくて済みました。なお、右側の荷物が置いてある場所はすのこ状になっていて、寝るのは無理そうです。小屋内にトイレもあり、けっこう快適です。


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ちなみに、この避難小屋は有料です。1泊1000円となっていて、後日双六小屋事務所へ送る必要があります。そのためかどうかわかりませんが、山荘前にはテントが2張ありました。


寝床を確保したらすぐに雪を溶かして3リットルの水をつくり、一息ついてから小屋の周辺を歩いてみました。


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双六山荘の玄関前はすっかり雪に埋もれています。その真ん中にオレンジ色のテントがひとつ。ファイントラックのカミナドームのようです。南からの風が強いこの場所では、山荘の建物がちょうど風よけになってくれるいい場所にテントを張っています。


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小屋から双六岳方向を見ると、たっぷりの雪が覆っています。天気が良ければ双六岳へ登ってみようかと思っていましたが、すっかり曇り空になって冷たい風が強く吹いているので今日の行動はおしまいです。


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左が三俣蓮華岳、右が鷲羽岳、中央奥に見えるのは祖父岳。鷲羽岳の左肩に水晶の頭がわずかに見えています。


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山荘前から樅沢岳を見上げます。手前の石垣のある場所は、おそらくヘリポートだと思いますが、このときは雪のないフラットな地面になっていて、テントを張るのにちょうどいい場所になっていました。もっとも、けっこう風が強いので、設営や撤去のときに気をつけないと飛ばされかねないのが欠点です。樅沢岳への道は、すっかり雪が消えていて、夏道が出ています。山頂まで雪がないのかどうかは行ってみないとわかりません。とりあえず、明日はクランポンを装着しないで出発できそうです。


小屋に戻って明日のプランを検討しました。今日の行動は4時間ほどかかりましたが、プランでは3時間強でした。これは、ベースとなるコースタイムが夏道のものしかないので、コースが変わってくる冬期とどうしてもずれが生じるためで、そのために夏道の1.5倍で計算していますが、それでも1時間ほど遅れてしまったのは、やはり疲れがでてきたということなのでしょう。


明日は双六から槍ヶ岳山荘まで8時間行動になると予想しています。3日目で疲れも蓄積され、実際には9時間ほどかかるかもしれません。問題は、天気です。すっかり曇り空になり、西の方には雨雲のような黒い雲もかかっていました。天気予報では3日は雨マークがついていました。もともと2泊3日の予定だったので、1日に下山する予定でしたが、鏡平で1泊してしまったので、このまま槍ヶ岳までいくとすると2日が下山日になります。今日の夕方に黒い雲が空を覆っているところをみると、天気が早まっているのかもしれません。3日の雨が2日になるのならまだしも、明日にでも雨が降り始めるかもしれません。下山するだけなら少々雨に降られてもいいのですが、明日は西鎌尾根を越えて槍ヶ岳に登るわけですから、より気象条件の厳しいところへ行こうとしているわけです。疲労のたまった体で重い荷物を背負って雨に打たれながら長い西鎌尾根を越えて、最後に槍ヶ岳まで登るだけの気力・体力があるかどうかです。それよりもゴアテックスの上下を着ているとはいえ、雨に濡れてはたして寒さをしのげるのか不安の種は尽きません。


もしかして雪にでもなったらもっと厄介です。行動時間も伸びるでしょうし、疲れて弱った体は低体温症にかかりやすい状態でもあります。千丈沢乗越から槍平へエスケープできるとはいえ、体調が悪くなった場合ははたして無事に槍平まで下れるかどうかわかりません。下れたとしても営業小屋があるわけではないので、避難小屋が使えればまだしも、テント泊で一晩過ごすことになると、空気漏れで断熱性の低いマットで寝なければならないので、けっこうつらいところです。


いろいろと検討してみると、天気が悪い場合はうかつに西鎌尾根に突っ込むのはあまり賢い行動とは言えません。ということで、雨が降っているもしくは降りそうな場合は、来た道で下山することにしました。


では、天気が良かったらどうするかです。来る途中に見た西鎌尾根はあまり雪がなさそうな雰囲気でしたから、夏道が出ているところも多そうで、少なくとも樅沢岳から千丈沢乗越までは大きな問題はなさそうです。問題は千丈沢乗越から槍ヶ岳山荘までの区間です。ここがもっとも傾斜がきつく、雪と岩のミックスになる区間ですから、一番気が抜けないわけです。今日の弓折岳の中段から上の登りよりももっと傾斜のきつい登りが3倍ぐらい続くことになるわけです。ひと転び数百メートルの滑落になる雪の斜面で、長い縦走のあとで疲れている上に重い荷物を背負っていて、はたしてクリアできるのか。しかし、こればかりはいくら考えてもわかりません。とりあえず行ってみて、千丈沢乗越で体調を見て登るかどうか判断するしかありません。


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ただし、もう一つ問題があります。槍ヶ岳から下山するときにどのような状況かということです。天気予報通りなら2日は曇り。しかし、雨が早まるとしたら確実に悪天候の中を下山することになります。ガスがでていたり、強風、雪といった悪天候だと飛騨沢を下るのはリスクが高いかもしれません。停滞して様子を見るにしても、3日はもともと雨予報ですからさらに良くない可能性が高く、下手をすると4日まで下山できないかもしれません。休みは6日まであるので時間はたっぷりありますが、山の上で2日間缶詰というのもあまりうれしくありません。


そう考えると、明日天気が良かったとしても槍ヶ岳へ向かうのはあまり得策ではないような気がしてきました。たとえ明日天気が良くても、下り坂であることは間違いない事実です。天気が崩れる前にさっさと下山してしまったほうが精神的にも肉体的にもよさそうです。考えてみれば、最初に槍ヶ岳に登って、それから西鎌尾根を経由して双六に来るという逆回りにしたほうが良かったなとも思います。一番元気なときに一番きつい場所に行くというのが、やはりもっとも合理的だと言わざるを得ません。その意味では、今回は計画の段階から失敗だったといえるのかもしれません。


次第に思考の迷路から抜け出せなくなりつつあったので、とにかく、天気が悪ければ撤退。天気が良く、体調も良ければ西鎌尾根をたどり、最終判断は千丈沢乗越まで持越しということで、自分なりに決着を図ったのでした。

つづく。

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| 2018年4月 樅沢岳 | 22:26 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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