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ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。相互リンクはしていませんので、リンクはご自由にどうぞ。

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遥かな高みを目指したものの現実は厳しい: 樅沢岳その2 

2018年4月29日(日)~5月1日(火) 岐阜県高山市 樅沢岳(標高2755m) テント泊単独行 


最終日はフル装備の荷物を背負って樅沢岳に登り、その後山頂から一気に新穂高まで下山したのでかなり疲労感が残りましたが、さすがに4日も経つとだいぶ回復しました。ただし、あいかわらずよく眠れるので、まだ疲れは残っているようです。足の筋肉痛も下山した日と翌日は少し痛みがありましたが、歩くのが困るほどのものは出なかったので、事前のトレーニングの効果があったようです。


ひどいことになっていた顔の日焼けも、昨日までにほぼぺろりと一皮むけてしまい、いまでは痛みもありません。とはいえ、やはり残雪期の山に日焼け止めなしで入るのは正気の沙汰ではないので、今後は日焼け止めを忘れないように気をつけたいと思います。


それでは、山行記録の続きをどうぞ。


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9:02 クランポンを装着し、雪渓歩きの準備は万端です。見た限りでは夏道はほぼ見えていないので、雪渓をまっすぐ上がって行くことになりそうです。


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夏道なら少し行ったところで小さな沢の左岸に渡りますが、抜戸岳山麓の右岸をそのまま登って行きます。


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山沿いなので狭いところもありますが、歩くのに支障があるような箇所はありませんでした。


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40分ほど登ったところで小休止をとったとき、穂高の頂が見えました。あれは西穂でしょうか。


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槍も見えます。西鎌尾根は雪が全くないように見えます。夏道が出ているのであれば楽ですが、最後のところはやっぱり雪壁や岩と雪のミックスを登らざるを得ないみたいです。


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橋のたもとからわずか40分登っただけですが、ずいぶん高いところまできたみたいに感じます。夏道と違って視界が広いためか、直登に近いコースなので同じ時間でも標高差が稼げるのかよくわかりませんが、事前に行った付け焼刃のトレーニングも少しは効果があるみたいです。20㎏オーバーの荷物をかついでいても、それほどきつい感じがありません。


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10:14 秩父沢と思われる場所に来ました。見渡す限りの雪原で、左手の抜戸岳方面から流れてきたデブリで埋め尽くされているようですが、すでに表面は融けて比較的なだらかな状態です。少し上流の方を見るとデブリの痕跡が見て取れますが、トレースがついているあたりは、雪原の起伏がデブリの跡を感じさせる程度です。しかし、吹き下ろしてくる風がけっこう冷たくて、休憩をとりたくてもさすがにじっとしているのがつらいので、もう少し先まで進むことにしました。


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上の方から落石や崩落の音が聞こえてくるので何かと思って見上げてみると、右上にある岩壁からひっきりなしに落石が発生しているようです。雪の上にも崩落した落石がたまって灰色のデブリのような状態が見て取れます。何かの拍子に下まで流れてきてはたまったものではないので、急ぎ足で通過します。


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秩父沢を過ぎて少し行ったあたりで一度荷物を降ろして休憩をとりました。振り返ると、抜戸岳が見えています。秩父沢の谷筋を外れたおかげで風もほぼ気にならない程度になったので、寒くもなく助かりました。


その後雪原を登りつめてシシウドヶ原の下あたりまで登ってきましたが、その時点ですでに時間は11時30分を過ぎていました。コースタイムは、夏道の1.5倍で計算していたのですが、新穂高からシシウドヶ原まで5時間強の予定です。なので、ほぼ予定通りではあるのですが、シシウドヶ原から双六までは、休憩込みでさらに5時間ぐらいかかるとみています。なので、このまま大ノマ乗越し経由で行くとすると、到着時刻は17時を回ってしまうと思われますが、それは順調に行った場合の話です。途中でばてたりしたら、もっと時間がかかります。


前方には5人ほどのパーティーが登っていて、大ノマ乗越し方面を目指しているのがわかります。彼らが双六の避難小屋を目指しているとしたら、避難小屋は満員になる可能性が高くなります。途中でばてて適当なところでテントを張ることになる可能性も捨てきれません。であれば、今日は鏡平に目的地を変更して、そこで早めに休んだ方がよさそうです。以前から、一度積雪期の鏡平で夜の穂高連峰の写真を撮ってみたいと思っていたので、これはちょうどいい機会です。ここからなら鏡平までは2時間ほどで行けるでしょうから、14時過ぎには到着できます。


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ということで、左手奥に見える大ノマ乗越しへ向かうのはやめて、右上に見える小さな谷筋を登って鏡平に向かうことにしました。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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午後になって雪が緩んで滑りやすくなってきました。表面がシャーベット状になった雪の斜面はクランポンの爪もあまり効かないので、いちいち足を蹴り込むようにしながら登って行かなくてはなりません。重い荷物とあいまって、疲れが蓄積されていきます。標高2000mを越えてくると酸素は平野部よりも20%ほど薄くなるため、息もあがります。


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13:05 谷筋を登りつめていくと、ようやく傾斜が緩くなって平地のような場所に出ました。熊の踊り場という場所です。ここまで来ると、鏡平は右手の尾根の上なので、ひと登りです。しかし、疲れと暑さと酸素の薄さでかなりばてました。とにかく、いったん座ってゆっくり休憩をとることにしました。先行していたソロの年配男性も、ふらふらになっているみたいで、少し歩いては崩れるように座り込んでいます。とにかく、鏡平までまだ登りが残っているので、行動食を食べたり水分補給したりして、最後の登りに備えました。


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熊の踊り場から谷筋を詰めあがりちょっとした平地のような場所に出ると、鏡平への最後の登りが待っていました。トレースは谷筋に沿ってまっすぐ着いていますが、自分は鏡池のそばに幕営したいので、夏道どおり右手の斜面を直登することにします。


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13:44 鏡平に出ました。訪れてみたかった雪の鏡平が目の前に広がります。地形はなんとなく記憶に残っている無雪期のものと同じだったので、迷わず鏡池を目指しました。


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ここが鏡池のある場所です。前方のすり鉢状になっている場所が鏡池で、この場所はテラスの入り口あたりでしょう。背後にそびえる穂高連峰が素晴らしい眺めです。


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テラス上だと思われる場所を整地して、テントを張る準備を整えました。


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離れてみるとこんな感じです。雨が降る可能性が高い場合は、雪の上についた水が流れた跡を確認してもっと溝が集まってこない場所にテントを張ることになりますが、今回は快晴の予報だし、雲一つない天気で雨の心配はないため、斜面の下に当たる場所を幕営地としました。それでも念のため少し高く雪を盛り、周囲に溝を掘って水がテント下に入り込まないように雨対策もしておきました。


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テント設営が終わったら、寝袋を圧縮袋から引っ張り出して天日干しをしつつ、雪でテーブルとイスを作って水づくりを行いました。快晴で風もほとんどなかったので、珍しく外でバーナーを使いました。


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雪を溶かした水は土臭くてまずいので、今回はソーヤーミニという浄水器をもってきました。購入してからすでに1年以上経っていて、使用するのは今回が初めてです。結論から言えば、持ってきたのは大正解でした。ほぼ完全な浄水といってもいい水を作ることができ、そのまま飲んでもまずくないレベルです。


ただし、浄水能力はあまり高くなく、0.5リットルに水を作るのに自然落下方式だと4分ぐらいかかります。なので、少しでも早く水を作りたいのなら容器を手で圧縮して圧力をかけてやる必要がありますが、それでも劇的には早くなりません。もっとも、雪を解かす時間が同じぐらいかかるので、クッカーで雪を溶かしている間に水をろ過してやればちょうどいい感じでした。


早く水づくりを終えたいのなら、上位のソーヤースクイーズというモデルにしたほうがよさそうですが、大きく重くなるという欠点もあります。ちなみに、帰宅後ソーヤーミニを洗浄したところ、まっ黒な埃が融けたような水が出てきました。なにもしないで雪を溶かした水を飲んだら、あれも一緒に飲んでいたのかと思うとぞっとします。


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水づくりが終わったら、やっとコーヒーブレイクの時間です。雪をかぶった槍・穂高の峰々を眺めながらのカフェオレは最高でした。


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無雪期には行くことができない鏡池の対岸にも行くことができました。鏡池の対岸からテントのほうをみるとこんな感じです。右後ろが明日登る弓折岳です。


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鏡池の東側は左俣谷へと落ち込む長い急こう配の斜面になっていて、その奥に北アルプスを代表する3000m峰が連なっています。積雪期でないと見られない風景です。


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鏡平山荘はどうなっているのか見に行ってみましたが、完全に雪に埋もれていました。正面から左手に続く小高い丘のような部分が山荘だと思われます。


そういえば、テント設営中にソロの登山者が2人別々に山小屋は埋まっているのかとか、どこにあるのかと聞いてきたのですが、そんなの自分で確認しろと内心むっとして、自分は小屋の場所に行っていないので知らないとか、そこを左へ行ったらあるはずと無愛想に答えてしまいました。


たしかに、この状態だと鏡平はどこなのかと不安になるのもわからないでもないのですが、積雪期に営業小屋のない鏡平までソロで来ようかという登山者なら、GPSなり地図なりで確認してほしいものです。なんでも他人に聞けばすむと思ったら大間違い。こっちだって積雪期に来たのは初めてだし、ガイドでもなければ山小屋関係者でもないので、小屋がどんな状況かなど知る由もないのです。ましてやテント設営で忙しいのに、自分でできることは自分でやってほしいものです。そもそも自分が知らないことを他の人間なら知っているという変な思い込みはやめてほしいものです。


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振り返って名峰群をアップで撮影。まずは槍ヶ岳。


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北穂高岳。


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涸沢岳と奥穂高岳。ジャンダルムもこうしてみると立派な3000m峰です。


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3000mには足りないけれど、堂々と聳える西穂高岳。


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夕食はマーボナス丼でした。先に記事にしましたが、アルファ米が出来上がってからご飯の上でマーボナス丼の具をお湯で戻してやると、このように通常の丼状態で完成となりました。でも、結局混ぜるので最初の見た目だけの問題です。


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今回、高タンパクの副食として高野豆腐を作ってみましたが、軽くて負担にならないし、味もさっぱりしていて食べやすく、なおかつ栄養価も高いということで、けっこう山食に向いていると思います。


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18時を回ると太陽が弓折岳の稜線に沈み、鏡平には夜のとばりが下りてきました。しかし、穂高連峰はまだ夕陽を浴びて輝いています。残念ながら太陽高度がまだそれなりにあるのであまり赤くは染まりませんが、一日の終わりに見る景色としては、最高にきれいでした。


日が沈むと一気に冷え込んできたのでそそくさとテントにもどりました。冷え込んできたとはいえ、厳冬期のような寒さではなく、風もほとんどないので、今夜は暖かく眠ることができるだろうと寝袋に潜り込みました。持ってきたのはモンベルダウンハガー800#1です。思っていた通り、寒さは感じないですぐに眠りに落ちました。


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ところが、3時間ほどして目が覚めました。背中が冷たいのです。マットレスは、サーマレストの自動膨張式トレイルスカウトというモデルです。厚さ2.5㎝ですが、肉抜をしていないので断熱性が高くR値3.4で4シーズン用のマットレスです。2年ほど前に購入して積雪期はこれをメインで使っています。なので、いままでの経験上、背中が冷たいと感じたことはありません。厳冬期には寝袋に入れるエアマットのイナーシャXを併用しますが、残雪期であればトレイルスカウトにシルバーシートで十分だったはずなのに、なぜ冷たいのでしょうか。答えは簡単でした。エア漏れです。エアが漏れてただのウレタンマットと化していたので、体重でウレタンが完全につぶれて断熱性能が低下していたのでした。


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とりあえず、一度起きて外を覗いてみたところ、煌々とした月明かりでまるで昼間のような明るさです。そういえば、昨日車中泊した時も満月のような丸い月が出ていました。こうなると、天の川はまず見えませんし、他の星もほとんど写らないので、星景写真の撮影は無理です。天気もいいしきれいな星空が見られると期待していたのに、うっかりしていました。仕方がないので、月明かりの穂高連峰を絡めて3カットほど撮影して、再びテントに戻りました。写真クリックで拡大します。


さて、空気漏れを起こして断熱性能が落ちたマットレスでどうやって寝るかです。とりあえず、着れるものを着ようというわけで、念のためにと持ってきていた250番手のウールシャツと、ポーラーテックのフリース マムートアコンカグアジャケットを着ました。さすがにハードシェルはごわつくので着るのはやめて、マットの下に引いて断熱シートがわりにしました。それでいったん寝てみたもののまだ冷たいので、残っていた山シャツの着替えと薄手のウールシャツをさらにマットの下に引いて、なんとか眠れるレベルの断熱性能を手に入れることができました。やはり、雪山にはクローズドセルのマットが一番安心だと思った出来事でした。


下からの寒さ対策はなんとか我慢できるレベルになったものの、夜が更けてくると体の方もなんとなく寒さを感じるようになってきました。しかし、もはや着るものはありません。横を向いてマットとの接触面積を減らし、体を折り曲げて小さくなって寝袋をたくし上げてダウンを圧縮することで保温性能を上げてなんとか寒さを回避していましたが、さすがに朝までそんなことをやっていられません。最後の手段として、お湯をプラティパスに詰めて湯たんぽがわりにして寝ました。これはなかなか効果的で、熟睡とはいきませんがなんとか朝まで眠ることができました。


敗因は、ダウンジャケットとダウンパンツを薄手のものにしてしまったことにあるといえます。いくら天気予報で暖かそうだからと言って、GWの北アルプスの夜は真冬のそれとかわらないということをもう少し認識しておくべきでした。実際、テント内の気温は、枕元に置いた腕時計の温度計でマイナス3.8度になっていて、昼間の暖かさからは想像できないほど冷え込んでいました。昨年の涸沢で寒さに悩まされた記憶がなかったので、今年も同じようなものだろうとたかをくくってしまったようです。

つづく。

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| 2018年4月 樅沢岳 | 18:48 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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