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ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。相互リンクはしていませんので、リンクはご自由にどうぞ。

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極寒の八ヶ岳を往く: 赤岳・硫黄岳その2 

2018年1月2日(火)~4日(木) 長野県茅野市 
八ヶ岳・赤岳(標高2899m)、硫黄岳(標高2760m) 小屋泊単独行 



日曜日は一日部屋にこもっていたので、体調は回復してきたようです。とはいえ、まだ寒気や胸の不快感は少し残っているし、夕食後には腹痛までおきてしまって、いったいなんだという感じです。


先日、風邪をひいたらしいという記事を書きましたが、あのときもおなかの調子がよくなかったことを考えると、どうやらまだ完治していなくて、先日からの寒さでぶり返したのかもしれません。今日もこの記事をアップしたら、風呂に入ってさっさと寝ようと思います。


1月3日(水) 2日目
1月3日の朝は5時半に起床。まずはぬるくなったポットのお湯を温めなおします。そのあと布団をたたみ、パッキングをしていると朝食の時間になりました。まだ6時なので外の様子はよくわかりませんが、どうもいい天気ではなさそうです。天気予報では晴となっていたのに、がっかりです。


食後、再びパッキングの続きをしながら、ようやく明るくなってきた外を確認してみると、どんよりとしたガスが立ち込めていて、赤岳はまったく見えません。今日は阿弥陀岳と赤岳を登ってから赤岳鉱泉に向かう予定ですが、この天気では再考したほうがいいかもしれません。あわてて出る必要もないので、少しコタツで暖を取りながらどうしたものかと考えました。ガスと強風の中で両方登るのは気が進みません。まだ登頂していない阿弥陀岳だけ登って降りてくるか、それとも赤岳のみにするか。そのときふと、数年前に大学生が二人阿弥陀岳で遭難死した事件を思い出しました。そういえば、阿弥陀岳は山頂からの下山ルートが多く、ガスがでると間違いやすいという話も聞くので、GPSがあるとはいえこの天候で登るのはリスクが高そうです。というわけで、赤岳のみ登ることにしたのですが、気温マイナス19度で風速30m/sという予報が出ているので、中岳のコルまで行って最終判断とすることにしました。


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8:00 必要のない荷物はバックパックに残して行者小屋に置かせてもらい、ポットとカメラと防寒着など必要なものだけを小型バックパックに詰めて出発です。外に出ると、雪がぱらついていますが、風はそれほどありません。


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キュルキュルと鳴く雪を踏みしめながら進み、阿弥陀岳方面へのルートの分岐点を通過します。分岐点を通過して標高が上がってくるとじわじわと寒さがしみるようになってきました。風がないのに寒さがしみてくるということは、稜線に出て風に吹かれると相当冷えるはずです。樹林帯を抜ける前に防寒対策を施しておく必要がありそうです。


ちょうど出発してから30分が経ったところで、傾斜が緩く少し道幅に余裕のある場所があったので、そこでもう一枚着ておくことにしました。トレース脇に立ち止まってバックパックを下そうとしたとき、ちょうど後ろから団体が登って来たので、彼らをかわすこともできてラッキーでした。


ここまではハードシェルの下に厚手長毛フリースのマウンテンバーサロフトジャケットを着ていましたが、ソフトシェルとしてマムート グラナイトフーデッドジャケットを追加しました。このジャケットは基本的にウィンドブレーカーなので断熱性能はありませんが、そこそこの防風性能があるのでバーサロフトジャケットがため込んだ暖かい空気を閉じ込めると同時にハードシェルからしみ込んでくる冷気を遮断してくれるだろうという目論見です。今シーズンはフリース+ウィンドブレーカーという組み合わせを2度試してみて、ソフトシェルとして使えるという確信をもったわけですが、さすがに厳冬期の八ヶ岳でも通用するかどうかはわかりません。念のため中綿入りのバーグハウス ライトインシュレーティッド ジャケットももってきているので、まだ寒ければ着替える予定です。


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この時の気温はマイナス12度でしたが、おそらく体温の影響を少し受けていたと思うので、実際はもう少し低かったのだろうと思います。グラナイトフーデッドジャケットを追加した後は、ハードシェルからしみ込んでくるような冷気はほぼ気にならないようになり、目論見があたったことにほっとしました。


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急傾斜の尾根道を登りつめていくと、階段が現れました。年末年始に雪が降ったわりにはあまり積雪量はなかったようです。階段にクランポンの爪をひっかけないように気を付けながら登ります。今回がデビュー戦となるペツル サルケンLLUは、冬靴のスカルパ モンブランGTX用にフロントバインディングをワンタッチ仕様に交換してきました。初めて使うワンタッチ式クランポンですが、今まで使っていたグリベル エアーテックニューマチックに比べて爪が長いためか、雪面をがっしりととらえる食いつきの良さを感じます。脱着も楽だし、やはりワンタッチ式が一番いいなと感じました。ただし、爪が長い分ひっかけやすいので、階段や岩場の通過には少し気を使う必要があります。


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森林限界を超えて、樹木のない尾根道になってくると風も次第に強くなってきました。


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9:13 ふと気が付くと前方に見覚えのある道標が見えました。中岳のコルに着いたようです。道標の下まで来ると、猛烈な風が吹き付けてきました。阿弥陀岳方向から強烈な北西風が雪粒をたたきつけるように襲ってきます。30m/sまではいかないにしても、20m/sは軽くあったでしょう。


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強風でじっと立っていることができないので、コースから少し外れた場所で膝をついた状態になって温度計を確認してみると、予報通りマイナス19度をさしていました。風が20m/sなら、体感温度はマイナス39度ということになります。実際の気温も体感温度も、どちらも経験したことのない寒さですが、幸いにもウェアリングはこの寒さに耐えうるだけの防寒性能を有していたようで、とりあえず手足も含めて凍えるような状態にはなっていません。


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寒さのほうは問題ないとして、コース状況はどうだろうと上を見上げてみると、単独行の男性が下山してくるのが見えました。上の方には登って行く登山者も見えます。彼らは風にほんろうされるような足取りではなく、それなりにしっかりと歩いているので、どうやらそれほどひどい状況ではなさそうです。それに、いま吹いている風は北西の風なので、この先尾根を南側から回り込むコースになれば、風は尾根にさえぎられて直撃するような場所は山頂までないはずです。問題は山頂ですが、山頂へは南側から登って行くので、たとえ30m/sの風が吹いていたとしても、山頂に立つまでは影響されないはずです。昨年、地蔵尾根から登頂し、文三郎道で下山した時も、山頂まではけっこうな強風でしたが、下山コースではあまり風が吹いていた記憶はありません。であれば、風がきついのは今いる中岳のコルだけでしょうから、先に進むことにしました。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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尾根を回り込んで南側の斜面に入るまではかなりの強風にさらされましたが、岩場に入ると風は不思議なほど穏やかになりました。ただ、風が岩などにぶつかって乱れるらしく、ときおり思いもよらない方向から雪粒をたたきつけてくることがありました。昨年より雪の付き方が少ないなと思いながら登って行くと、道標の建つ分岐路らしいところに来ました。こんなところに分岐なんてあったかなと思ったものの、赤岳頂上と書かれた道標はしっかりと見えていたので、道標に従って岩場に向かいます。ちょうど下山する人がいたので、ルートがわかり助かりました。


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9:42 雪の少ない岩場を、クランポンの爪をひっかけないように気を付けながら登って行くと、ようやく頂上直下の尾根の分岐に着きました。途中で風が巻いて吹き上げてくる雪粒が痛いのでゴーグルを装着しようとしたら、うっかりとバラクラバの上からゴーグルをかぶせてしまい、一瞬にしてレンズ内側が曇りそのまま凍結してしまいました。こうなったら、ゴーグルは役に立ちません。胸元に入れて温めて凍結を溶かして拭くしかないわけですが、今そんなことはしてられません。ゴーグルはあきらめて、目を細めて雪粒が目に入らないように注意しながら登りました。


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9:46 不思議なほど穏やかな山頂が見えました。人の姿はなく、風はわずかに吹いているだけで、中岳のコルの強風はどこへ行ったのかという感じです。中岳のコルでマイナス19度だったので、山頂はマイナス20度ぐらいだったのでしょうが、全然そんな寒さは感じませんでした。


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山頂に立ってまずは1枚写真を撮り、引き続き自撮りをしようと思ったら、ここで電池が落ちました。朝出る前に充電済みの電池に交換したばかりだというのに、わずか12枚撮影しただけで電池切れになってしまいました。寒いので、いつものようにショルダーベルトに外付けにしないで、ハードシェルの内ポケットに入れていたのですが、どうやらハードシェルからしみ込んでくる冷気にやられたようです。冬はソフトシェルの内側の暖かい場所でないとだめみたいです。


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仕方がないので、誰もいない山頂にひとり立ちつくしながら、カメラの電池を交換し、ようやく自撮り完了です。今年こそは、晴天の赤岳山頂からの展望を期待していたので、2年連続でガスガスの山頂というのはがっかりですが、こればかりは仕方がありません。展望もないので、さっさと撤収します。


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下りは地蔵尾根経由で行こうと、頂上山荘のほうに歩き始めると、途端に強烈な風にさらされました。山頂の先の稜線からは強風がもろにぶち当たるようです。しかも、左斜め前から風を受けることになるので、ゴーグルなしではとても歩けたものではありません。ということで、地蔵尾根経由はやめて、ピストンで文三郎道を下ることに変更です。


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とりあえず、ゴーグルの代わりにサングラスでもしておこうと、サングラスを装着してみましたが、少し歩いただけですぐに曇ってしまってこれまた役に立ちません。こうなったらあきらめて裸眼で下りるしかありません。ハードシェルのジッパーを上げて、ヘルメットの額のところにゴーグルを下げ気味に装着して、目の部分だけが細く開いているような状態でなんとか下山したのでした。


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行者小屋が近づいてきたころ、下の方に日が差し始めました。もともと晴れ予報なのでこれから晴れてくるのかもしれませんが、もう下ってしまったので、いまさら晴れてもなあという思いをかみしめながら下ります。


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10:53 行者小屋まで戻ってきました。


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この時の気温はマイナス13度。朝からあまり変わっていません。


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ひとまず小屋に入って荷物をまとめて、昼食に行者ラーメンを食べてから再び外に出てみると、なんと赤岳がくっきりと見えています。


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大同心、小同心も見えます。こんなことなら出発を1時間半ほど遅らせればよかったと思っても、後の祭りです。それなら、赤岳鉱泉に行く前に、中山乗越展望台によってせめて写真だけでも撮っておくことにしました。


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12:25 日の差し始めた行者小屋を出発です。


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地蔵尾根への道を右に分け、赤岳鉱泉へ向かいます。


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12:34 緩やかな森の中を登って行くと、すぐに中山乗越に着きました。


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目の前にそびえる大同心と小同心の岩塔が圧巻です。


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中山乗越展望台まで登ると、眼前に大きく立ちはだかるような赤岳の雄姿が眼に飛び込んできました。見ていると、時折強烈な風が雪を巻き込みながら岩壁を白い塊となって駆け上がり、山頂から噴煙のように雪煙を舞い上げています。


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横岳も城塞のような荒々しい絶壁を広げて、強烈な存在感を放ちます。


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時折舞い上がる雪煙に白くかすむ姿が、厳冬期の厳しさを感じさせます。


しばらく展望を楽しんでいると、鼻をつくあの不愉快極まりない臭いが漂ってきました。後から来たオヤジがタバコに火をつけたのです。どこにでも出てきて人を不愉快にさせるゴキブリのような喫煙者にうんざりして、すぐにその場を離れました。


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13:33 赤岳鉱泉に着きました。中山乗越からはけっこうな下り坂だったので、赤岳鉱泉から赤岳や阿弥陀岳に登るのはちょっと面倒かなと感じます。


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受付をする前に、名物のアイスキャンディーを見に行きました。かなり立派なキャンディーに成長しています。


受付を済ませて大部屋に案内されたら、まずは寝床の準備をし、着替えを済ませました。部屋に石油ストーブが設置してあって室内はぽかぽかです。これなら乾燥室に服を持っていく必要はないということで、グローブなどの湿ったものも部屋に干しておいて、あとは談話室に行って漫画を読みふけっていました。


夕食は期待していたステーキではなく焼き魚でしたが、脂がのっていて美味でした。何の魚か知りませんが、金目鯛かなという気もします。


なお、宿泊者はそれなりにいたようで、食事時には大きな食堂の席が八割ぐらいは埋まっていました。それでも混雑しているという雰囲気ではなく、大部屋も一人一枚の布団でゆったりしており快適でした。


夜は晴れていたようですが、小屋泊まりということでテント泊で使うごついダウンジャケットやダウンパンツを持ってこなかったので、夜の撮影はあきらめてさっさと寝ました。


20180103.jpg
行者小屋から赤岳鉱泉までの区間は、GPSの電源を入れ忘れていたのでログがありません。

つづく。


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| 2018年1月 赤岳・硫黄岳 | 23:20 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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