ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

2015年12月 | ARCHIVE-SELECT | 2016年02月

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左腕に謎の痛み

1週間ぐらい前、左手の中指と薬指になんとなく違和感を感じるようになりました。朝起きて指を曲げようとするとなんだか軽い痛みがあり、指を曲げにくいのです。なんだろうと思いつつも、これといって思い当たることがないので、気づかないうちに軽い突き指みたいなことにでもなったのかなぐらいに思っていました。


ところが、日々の生活で利き腕でない左腕とはいえそれなりに使うわけで、とくべつ酷使するわけではなくてもやっぱりそこそこ負荷をかけてしまうらしく、日々痛みが増してきました。そのうえ、仕事で建設現場に行けば、足場を登り降りしたり、重いものを持ち上げたりということもあるので、痛めた左腕をさらに痛めるようなことになったらしく、ついには左肘や肩あたりの筋が痛くなる始末。指のほうも人差し指や小指も少し痛むようになり、手の甲側にも痛みが出る始末で、もしかして難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)になったのではと内心ビビリながらネットで調べたりしていました。


幸い、症状からすると単に筋を痛めただけか、もしくは腱鞘炎の類のようで、いまのところ大事には至っていないみたいです。しかし、左手に力を入れることができず、キーボードをたたくのもちょっとつらいので、ブログの更新はしばらくの間頻度が落ちるかもしれません。 それにしても、左手を酷使するようなことをした覚えはまったくないのに、なんでこんなことになったのか謎です。


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撮影機材軽量化計画その2:マンフロット befreeカーボンファイバー三脚

登山時によく使っていた三脚はスリックの724EXという三脚で、これは以前記事にしていますが、雲台込みの総重量が1,600gあります。使用頻度がそれほど高くない三脚で1,600gという重さがちょっと負担に感じ始めていたところに、ロックナットが1箇所だけですがたまに空回りして、脚を伸ばしたり縮めたりするのがうまくいかないことが時々起こるようになってきました。そういうわけで、より小型軽量な三脚への買い換えを昨年秋に検討していました。


買い換え候補で以前から気になっていたのが、ジッツオのGT1544Tという三脚です。ビックカメラの店頭においてあったものをいじってみたところ、三脚の自重980gという軽さのわりにしっかりとしていて高さも十分。他社の三脚は脚がカーボンでもセンターポールはアルミというものがほとんどなのに、GT1544Tはセンターポールもカーボン製です。センターポールのロックも、ネジで締めこむタイプではなく、脚と同様にロックナット方式なので、締め易いし強度も高そうです。かなり値段が高いのが問題ですが、この際一番いいものを買うというのもありかなと考えていました。雲台は手持ちのSLIK SBH-280を使えば250gなので、総重量は1,230gとなり、スリック724EXから370gの軽量化ができます。


いろいろと考えた末、二度と買い換えなくてもいいものをと考えて、ジッツオGT1544Tを価格コムで最安値に近いネットショップで購入したら、なんと生産完了につき在庫がありませんとの返答が届きました。在庫がある店もあるようですが、カードが使えなかったり価格が高かったりで、そこまでして購入することもないかということでGT1544Tはあきらめました。その後、2015年10月末に新しいモデルがジッツオから発表されましたが、そのときはいつ新型が出るかわからなかったので、ジッツオは候補からはずして再検討することにしました。


bfreeカーボン
いろいろなメーカーのいろいろなモデルを比較検討した結果、選んだのはマンフロットのbefreeカーボンという三脚です。縮長40cmで、重さは雲台込みで1,100g、カーボン素材の4段三脚で、雲台付きで市場価格は32,000円ほどで、ポイントを使って28,000円弱で購入することができました。


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ジッツオの半額以下で買えて、しかもジッツオよりも軽いし、クッション入りの携帯ケース(実測140g)も付属しているので、お得感はかなりありました。ただ、センターポールはどうやらアルミ素材のようですし、三脚の剛性感もGT1544Tに比べると少しやわな感じは否めません。でもまあ、スローシャッターで撮る場合は荷物をぶら下げるなどして三脚に荷重をかければそれなりに安定するし、星景写真のように20~30秒のシャッター速度を使う場合は、脚を2段か3段にして使えば剛性は高まるので大丈夫だろうと思い購入に至りました。


befreeシリーズには素材がアルミのモデルもあり、そちらの重さは1,400gで、価格は約2万円です。300gしか違わないのに1万円以上の価格差を考えれば、アルミでも良さそうな気もしますが、せっかく機材の軽量化を目指して買い換えるのですから、現状より200gしか軽量化できないアルミモデルよりも、トータルでの軽量化も考えて少々高くても500g軽量化することができるカーボンモデルにしたわけです。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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この三脚は、いわゆるトラベラーズ三脚といわれるタイプで、脚を180度反転させて、センターポールを雲台ごと三本の脚の間に収納する構造になっています。以前持っていたベルボンUT-53Qと同じタイプなのですが、UT-53Qは重さ1,400gあり、その上収納時の直径がかなり太くてバックパックのサイドポケットに入れることができなかったので、持ち運びの使い勝手が悪く、1回使っただけで、EF16-35mmF2.8L Ⅱ USMを購入するときに下取りに出してしまいました。

トラベラーズ三脚といわれるタイプでは、雲台のプレート部分を90度横倒しにして脚の間から外に出すようにして収納する方式のものもありますが、bfreeはクイックシュー部に脚との干渉を避けるための切り欠きを入れて、三本の脚の間にきれいに収まるような工夫がされています。見た目にすっきりしていていいのですが、こんなので本当にちゃんとカメラがホールドできるのかと最初は不安に感じました。実際にEOS6Dを取り付けてみたところ、ぐらついたりすることもなくしっかり固定されたので、見た目よりはしっかりしています。


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ただし、縦構図で撮るためにカメラを横に90度傾けると、バランスが悪くなってちょっとしたことでも倒れかけることがありました。三脚が軽すぎることの弊害ですが、こういう場合は三脚に荷物をぶら下げるなどして荷重をかけてやればいいのですが、センターポール下端にフックが付いていないので、自分で対策を講じておく必要があります。僕の場合は、60cmのソウスリングをセンターポールにかけて、カラビナで荷物をぶら下げるようにしています。この写真は縦構図ではありませんが、荷物がブラブラしないようにすればけっこう安定します。


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脚を展開して通常の状態にするとこんな感じです。センターポールが短めなので、脚の先端部分がぐっとすぼまった状態になり、ごちゃつき気味のロックレバーもわりとすっきりまとまった感じになります。携帯ケースを使わないのであれば、この状態で持ち運ぶのもありです。クイックシュープレート部分を横倒しにしてやれば、この状態で縮長47cmほどです。


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脚の開脚角度は、脚の上端についているグレーのレバーを回転させて変更します。一般的には3段の開脚角度があるものですが、この三脚は2段しかありません。レバーのポジションは3段階ありますが、一番左は脚を180度回転させて収納するためのポジションなので、撮影時の開脚角度は2種類です。


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通常の開脚角度がこの状態。


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開いた状態はこういう角度になります。地面に伏せたようなレベルにまで開きませんが、もともと小型の三脚なので、この状態でもカメラの位置はかなり低く、クイックシューの高さで約35cmとなり、直接ファインダーを覗くのはかなり難しい高さです。地面近くの花の撮影などでも十分な低さだと思います。


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付属の雲台は専用のものですが、取外し可能です。触った感じでは、ボール部分のみアルミで、ボディとクイックシュー部はエンジニアリングプラスチックのようです。軽量化のためということなのでしょう。取り付けネジはU3/8ネジになっていて、他社製の雲台に交換する場合はU3/8ネジが使えるタイプでないと取り付けできません。


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また、センターポール上端の雲台取り付け部分の直径は約4cmですが、雲台側の底部直径がこれより大きいと収納時に脚と干渉してしまい、収納時の全体直径が広がってしまうため、携帯ケースに収まらなくなることがあります。最初、付属の雲台が華奢に思えたのと、クイックシューのプレート脱着レバーの操作が使いづらいと感じたので、スリックSBH-280に交換してみたのですが、雲台底部の直径が5cmあり、脚が閉じきらずに携帯ケースに入らなかったので、付属雲台に戻しました。使い慣れると付属雲台でも十分使えるとわかったので、当面はそのまま使い続けると思います。


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センターポールを伸ばさない状態では、ファインダーの高さは132cm。自分としては腰を曲げないと覗けない高さなので、ちょっとつらい高さです。


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センターポールを最大限伸ばしたらファインダー高さは152cmになり、少し頭を下げれば覗けるので楽です。しかし、この状態だとさすがに不安定なので、実際にはセンターポールを10cmほど伸ばした状態で使っています。


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クイックシューのプレート着脱は、右の突起を押し下げてロック解除し、グレーの三角形のパーツを左に回すとプレートの着脱が可能になります。


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左手で写真のように持って、親指でレバーを押し、人差し指を手前に引くとグレーのパーツが回転してプレートがフリーになるという仕組みです。最初はこんな簡単な機構で大丈夫かいなと思いましたが、いまのところがたつくこともなくちゃんとカメラをロックしてくれています。カメラを三脚に取り付けたまま担いで移動している人もいますが、そういう使い方をするには心もとない気がするので、僕は移動する時は必ずカメラを取り外します。


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シュープレートの裏側には、レンズの取り付け位置を示す矢印が刻印されているので、カメラに取り付けるときに間違えることはありません。写真では、上方向または右方向にレンズが来るようにカメラに取り付けるようになります。


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雲台のロックレバーに鍵マークと→が印刷されていますが、これはレバーの取っ手部分だけを持って手前に引くとロックを解除することなくレバーの向きを変えることができるという機構です。撮影時は特に必要になることはありませんが、収納時に脚をたたむと、レバーの向きによっては脚と干渉するので、簡単にレバーの向きを変更できるようにしているようです。なかなか細かいところにまで気が利くつくりだと思います。


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シャッター速度 10秒

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シャッター速度 1/10秒

この三脚のデビュー戦は、2015年9月末の剣山~三嶺縦走でしたが、星景写真の撮影や朝夕の撮影も無難にこなすことができました。


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シャッター速度 1/10秒

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シャッター速度 30秒

また、2015年10月の白山登山でも、使いました。



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シャッター速度 1/30秒

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シャッター速度 1/50秒

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シャッター速度 25秒

2015年末からの蝶ヶ岳登山にも持って行きましたが、テント場での星空撮影はもちろん、強風の蝶ヶ岳山頂での撮影でも役に立ってくれました。やや華奢な感じのある三脚ですが、価格のわりに使える三脚です。レンズとあわせて970gの軽量化が達成できたので、いい買い物だったと思います。



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| 撮影用具 | 19:24 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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厳冬期でも使えるエアマット: イナーシャ Xライト

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年末年始の蝶ヶ岳登山で初めてイナーシャ Xライトを使用しました。詳しくは、「雪上テント泊の快眠補完計画その1 スリーピングマット再考(イナーシャ Xライト)」の記事を見ていただくとして、簡単に説明しておくと、寝袋の中で使用するタイプのエアマットです。ショップの商品紹介ではイナーティアと書かれている場合もあるようですが、日本国内総販売代理店であるLOTUS社のサイトにはイナーシャと書かれているので、イナーシャが正しい読み方みたいです。


体力が衰えてきたのか年々寒さに弱くなってくるようで、北沢峠で2012年の年末にテント泊をした時はサーマレスト リッジレストソーライトでそれほど寒さを感じずに眠ることができたのに、2015年GWの立山では背中が寒くて熟睡することができませんでした。そういうわけで、マットレスの買い換えを検討していたときに見つけたイナーシャ Xライトを購入してみたわけです。


もともと買い換え候補だったリッジレストソーラーは重さ540gあるのに対して、イナーシャ Xライトは173g。手持ちのリッジレストソーライトスモールの260gと組み合わせても433gで、リッジレストソーラーよりも軽いのです。コスト的にもリッジレストソーラーを買うより安く買えたので、軽いし安いしいいこと尽くめでした。あとは期待通りの断熱性能があればいうことなしです。



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12月31日の蝶ヶ岳山頂避難小屋での宿泊時と、1月1日の徳澤でのテント泊でイナーシャ Xライトを使用しました。間に隙間がたくさんあるので、口で空気を入れるのはかなり楽でした。5回ぐらいですぐに膨らみます。付属のエアポンプは邪魔だし重くなるので持って行きませんでした。このマットは寝袋の中に敷いて寝るのですが、頭の部分の位置をあわせると下側のネックウォーマーチューブをつぶしてしまうことになるので、冷気の侵入がおこるのではないかと心配しましたが、幸い気になるようなことはありませんでした。なお、これ単体で使ったのではなく、下にリッジレストソーライトを敷いて使用しています。


頭と背中とお尻のあたる部分だけにマットが密にあり、他はスカスカですが、思ったよりも寝心地は悪くなく、横向きに寝ても気になるようなことはありません。蝶ヶ岳の避難小屋では板の間の室内ということもあって比較的安眠できたものの、徳澤でのテント泊時は、寝袋の問題なのか体力の問題なのか、とにかく寒くてあまり熟睡できませんでしたが、床や地面からの冷たさを感じることはありませんでした。これなら厳冬期でも十分使えそうです。問題はパンクしないかということだけですが、こればっかりは祈るしかありません。


なお、RECONというカラーモデルがありますが、こちらは同じ価格ながら米国陸軍採用の高強度モデルだそうで、オリジナルのイナーシャXライトが上面35デニール、下面75デニール生地であるのに対して、上下面とも75デニール生地を採用し、岩場などで繰り返し使用できる耐久性があるそうです。価格が同じなのでどうせ買うならRECONのほうがお徳かも。


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| 寝袋・マット・枕 | 00:56 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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ふぉとログ #22 冬の造形

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2005年1月22日撮影。朝早い時間から、地元にある低山に登ってみたところ、石垣からたれ落ちる小さな流れの下に積もった落ち葉や小枝が、飛沫氷に覆われて面白い形になっていました。おりしも差し込み始めた朝日を受けてキラキラと輝く造形美を、腹ばいになってマクロレンズで切り取りました。


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| ふぉとログ | 17:09 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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撮影機材軽量化計画その1: EF16-35mmF2.8L Ⅱ USM 

僕の場合、山に登る主たる目的は山岳風景の撮影です。なので、近場の日帰り登山の場合はコンデジだけということもありますが、日本アルプスやそれなりに画になる山に登るときは一眼レフと交換レンズおよび三脚を担いでいきます。いままでは、手持ちの機材の中から必要なものをピックアップして持っていくというスタンスだったので、あまり撮影機材の軽量化を本気で検討したことはありませんでした。とはいっても、購入を考える時点で山に持って行くということを前提にしていたものが多く、今持っている機材はそれなりに小型軽量なものがそろっています。


2015年の裏剱への夏山山行から帰ってきて、そろそろ機材の軽量化をちゃんと考えたほうがいいなと思い、今使用している機材一式の重さを一覧にして総重量がいくらなのかを計算してみたところ、カメラと交換レンズの小計が約3.5kg、三脚+雲台が1.6kg、アクセサリ類が約0.5kgで、合計で約5.6kgでした。内訳は以下のとおりです。

EOS 6D 755g(電池等含む)
EF24-105F4L USM 670g
EF17-40F4L USM 475g
EF70-200F4L IS USM 760g
EF24F2.8 270g
SIGMA 15F2.8FishEye 370g
PowerShot S110 198g
SLIK カーボン724EXⅡ+KENKO FP-100PRO 1,600g
アクセサリ類(レリーズケーブル、フィルタ類、ケース等) 500g

F4クラスのレンズが多いのでそれなりに軽い機材だと思いますが、現実的にもう少し軽くしたいところです。また、三脚ももっと軽量なものに変更すれば数百グラムは削ることができます。軽量化を優先するがためにあまりにも小型で軽い三脚にしてしまうと用をなさない結果になるので、ある程度の強度や大きさは必要ですが、今使っているSLIK カーボン724EXⅡ+KENKO FP-100PROよりも一回り小型の三脚ぐらいであれば問題ないと考えます。



撮影機材を軽量化する方法は2つあります。

1 システムそのものを軽量なものに入れ替える
重くて大きいフルサイズセンサーの一眼レフと交換レンズを、小型軽量なミラーレス一眼のシステムに変えてしまうというのが手っ取り早いのですが、この場合けっこうな金額が必要になります。手持ちの機材を一式売ればそれなりの資金はできるので、実質それほどの出費にはならないかもしれません。ただ、いまのところ昼間の撮影では大差ないとはいえ、夜間の撮影、特に星景写真においてはいまだにセンサーの大きいカメラのほうが画質的に有利であることはゆるぎない事実です。また、星景写真でよく使われる超広角レンズで、F2.8以下の明るいレンズの選択肢が非常に限られてくる、もしくは適当なレンズがないというのも問題です。


2 持って行く機材を減らすか軽量なものに入れ替える
実際のところ、撮影の多くはEF24-105F4L USMで行っており、そのほかのレンズの使用頻度は高くありません。星空撮影ではEF24F2.8が主で、ときどきEF17-40F4L USMも使います。SIGMA 15F2.8 FishEyeはたまに使う程度です。EF70-200F4L IS USMにいたっては、一番重くてかさばるくせに使用頻度が最も低く、場合によっては一度も使わないこともあります。EF70-200F4L IS USMを持っていかなければそれだけで760gも軽量化できるわけですが、105mm以上の焦点距離のレンズがまったくないとなると、やはりシャッターチャンスがあってもあきらめざるを得ないということも起こりうる訳で、リストからはずしてしまうというのはためらわれます。28-300mmなどの高倍率ズームレンズで標準ズームと望遠ズームを代用するという手もありますが、いまのところ純正レンズでは1本で1.67kgというバカ重くてでかいレンズしかないので、代用にはなりません。社外品であればタムロンから小型軽量でよさそうなレンズが出ていますが、撮影画像をいくつか見た限りでは色収差がわりとあって、DLOなどのレンズ補正が使えないデメリットを考えるとやはりLレンズの代用にするには力不足と感じます。

というわけで、将来的には1の方法になるとしても、現状は2で考えざるを得ません。現状で軽量化ができそうなのは、広角レンズの3本です。星景写真で使っているEF24F2.8とSIGMA 15F2.8 FishEyeは、EF17-40F4LがF4と暗いがゆえにリストに入っているレンズなので、F2.8のズームレンズがあればなくてもいいのです。つまり、EF17-40F4L USMをF2.8のズームレンズに買い換えれば、必然的にEF24F2.8とSIGMA 15F2.8 FishEyeの2本をリストからはずすことができるというわけです。475gのEF17-40F4L USMを640gのEF16-35F2.8LⅡ USMに買い換えれば重量増になってしまいますが、合計640gのEF24F2.8とSIGMA 15F2.8 FishEyeをはずすことができるので、システムとしては475gの軽量化になるというわけです。


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ということで、昨年秋にEF17-40F4L USMと三脚のリプレイスを行いました。三脚のほうは次の機会で書くとして、今回はEF17-40mmF4L USMのリプレイスとして購入したEF16-35mmF2.8L Ⅱ USMのレビューです。


EF17-40F4L USMをリプレイスするにあたって、選択肢はEF16-35F2.8L Ⅱ USMの一択でした。EF16-35F4L IS USMのほうが発売時期が新しいし手振れ補正もついていて、周辺部まで画質がいいと評判ですが、同じF4のレンズを購入しても意味がないので、候補としては考えませんでした。


EF16-35F2.8L Ⅱ USMは星空写真の分野ではあまりいい評判がありませんが、ネットにある作例を調べてみた限りでは、自分にとってはそれほど気になるような欠点はないと感じています。このレンズについては四隅の流れをやたら問題視する声がよく見られますが、写真なんて四隅を拡大して見るものではないし、プロが撮影した作例を見る限りでは気になるほど流れているとは感じません。たまに一般ユーザーの作例でちょっとひどいなと思う写真もみますが、撮影者の技量や撮影状況などがわからないので写真の結果がすべてレンズに起因するものかわかりませんから、ネットの悪評は大げさすぎるというのが正直な感想です。EF17-40F4L USMだってあまり評判はよくないレンズでしたが、使ってみてそれほどダメだとは思いませんでした。道具なんて要は使い方次第ですから、撮影時に気をつければいいわけです。もちろん、その欠点によって撮影条件が制限されるということもないわけではありませんが、いつどんなときでも最高の条件で撮影することを前提に機材をそろえるとなると、軽量化なんて言っていられなくなります。



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さて、2015年9月に購入したEF16-35F2.8L Ⅱ USMですが、新品ではなく中古品です。EF17-40F4L USMとベルボンの三脚UT-53Qを下取りにしたので、10万円を切る価格で購入することができました。キタムラネット中古で見つけた中古レンズですが、取り寄せて確認したらなんと2015年製造の新品同様品でした。キヤノンのLレンズは、マウント部分にシリアルナンバーとは別にUから始まる番号が刻印されていて、このレンズはUDxxxx(xは数字)となっています。最初の「U」は製造場所である宇都宮工場を示します。次の文字が製造年を表します。2011年以前のレンズはAが1986年、Zが2011年製造となり、2012年以降のレンズはAが2012年製造です。EF16-35F2.8LⅡは2007年3月発売ですから、UVから始まっているわけで、UDなら2015年製造ということになるわけです。


このレンズを初めて使ったのは、2015年10月18日の白山登山のときでした。初めて使うということで、いろいろと試写してみました。なお。写真はすべてオートライティングオプティマイザとレンズ収差補正機能をONにして撮影・現像しています。なので、レンズが本来もっている周辺光量不足などの性能は反映されていません。キヤノンのレンズをキヤノンのカメラで使うのであればこれらの機能を利用できるわけで、もはや後処理であれ補正できる欠点など欠点とはいえないので、わざわざ確認する必要はないというのが理由です。


まず、逆光性能の確認です。画角内に強い光源(太陽)が入る場合の逆光性能を確認しました。写真はクリックすると拡大されます。市場の評価は、旧型よりも良くなっているけれどすこぶる優秀というわけではないという感じのようです。


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一般的に、縦横三分の一の交点に持ってくる場合がおおいので、右から三分の一、上から三分の一のところに太陽を置いてみました。太陽の右側に虹状のゴースト、写真中心点をはさんだ反対側の雲の上に緑色のゴーストがでました。せめて右側の虹状のゴーストは出ないでくれればいいのにという感じです。


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もう少し右よりに太陽を動かしてみると、虹状のゴーストはなくなりましたが、左下にくっきりとした緑のゴーストが出ました。なんだかなあ・・・


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さらに右上隅に太陽を持っていくと、目立つゴーストはなくなりましたが、左下隅に緑の円形ゴーストが残っています。まあ、こういう構図を使うことはまずないので、参考までにというところです。


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逆に、右から三分の一、上から三分の一の位置よりも少し中心に太陽をおいてみると、写真中心点をはさんだ反対側に薄いゴーストがでました。背景の色や状態にもよりますが、これぐらいならそれほど気になりません。


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ほぼ写真の中心に近いところに持ってきた場合は、ゴーストは出ませんでした。このような日の丸構図も実際には使うことはほぼないので、こういうときにゴーストが出ないからといってもあまり意味はありません。


ところで、ゴーストよりも太陽の光芒の出方が少し気になります。左上方向と下方向にだけ、やたら長い光芒が出ています。この個体固有の現象なのか、それともこのレンズ共通の現象なのか気になるところで、GUNREFでこのレンズで撮影された写真の中で太陽が写っている写真を探して見てみると、同様の現象が現れている写真があったので、どうやらこのレンズに共通する現象のようです。何か変な光芒に感じるし、ゴーストもそれなりに出るので、広角端で画角内に強い光源を入れるのはできれば避けたほうがいいかなと思う次第です。おそらく18mmや20mmあたりの焦点距離にすれば、ゴーストも出にくくなるのではないかと思うので、機会があれば試してみようと思います。


次に、画角外に強い光源があり、レンズに斜めから直射光があたる場合の逆光性能と、描写性能と絞りの関係を確認してみました。太陽は画角外の右上にあります。テストのためにフードは装着していません。


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絞り開放F2.8での撮影です。ピント位置は、画面中央やや下の横長の岩付近にあわせてます。画角外からの直射光には強いみたいで、ゴーストは見られませんでした。光源に近い右上のほうがややフレアっぽい雰囲気がありますが、まあ問題ないレベルでしょう。画面左右下の岩がピンボケのような感じに写っていますが、いわゆる「流れる」というような感じはありません。開放絞りでの画面四隅の描写が甘いのは事実かもしれません。ただ、画面中央下の岩もそうですが、このあたりの岩はほぼ足元といってもいい位置にあるような岩なので、被写界深度から外れているということもありそうです。ちなみに、ピント位置の岩までの距離を約40mとすると、16mm 、F2.8のときの被写界深度は、2.571m以遠ということになります。足元の岩は1.5mぐらいの距離だったことを考えれば、被写界深度から外れている計算になります。


このときの中心部付近の描写性能ですが、F8の写真と見比べると明らかに甘いです。ディテールの描写を重視したい場合は、三脚を使ってしっかりと絞り込んで撮影したほうがいいと思われます。


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F4まで一段絞ってみました。左右下隅部の描写はF2.8よりも少し改善されていますが、それほど差は大きくありません。F4のときの被写界深度は1.835m以遠なので、まだ被写界深度に入りきれない距離だから当然の結果といえます。中心部の描写は、F2.8よりだいぶん良くなりましたが、F8と比べるとわずかに甘いかなといったところです。


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2段絞ってF5.6です。左右下隅の岩の描写がだいぶんよくなりました。このあたりから実用的という感じです。このときの被写界深度は1.328m以遠です。ようやく足元の岩が被写界深度内に入ってくたわけで、隅部の描写がよくなったのも当然なのでしょう。中心部もF8とほぼ同等の描写になっています。


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F8.0まで絞ると、隅部の描写もほぼ問題ないレベルに達しているので、可能ならこのあたりまで絞り込んでから撮ると安心です。


風景写真といえばC-PLフィルターの使用率が高いわけですが、超広角レンズでC-PLフィルターを使うとこうなりますという作例です。


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こちらはC-PLフィルターなし。空の中心部と周辺部で若干色の濃さに差がありますが、まあ違和感のないレベルです。


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こちらはC-PLフィルターあり。空の中心部だけが円形に色が濃くなっているのがわかります。PLフィルターは、乱反射光を除去して被写体の本来持つ色を出してくれるわけですが、太陽の方向とレンズが向いている方向が90度になるような角度で撮影すると最大の効果が得られます。超広角レンズを使うと周辺部はレンズが向いている方向よりもかなり角度が変わってくるので、PLフィルターの効果があまり得られないのでこのようなことになるようです。なので、超広角で空を入れ込んで撮影する場合は、PLフィルターの使用には注意が必要です。


最後に星景写真の作例です。


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確かに隅部では星が流れていたり収差で三角形のような形に写っていたりしますが、自分的にはこの程度であれば問題ないなと思います。


ということで、おおむね満足な結果になったEF16-35mmF2.8L Ⅱ USMでした。


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荘厳な2016年の幕開け: 蝶ヶ岳(2677m) その4

2015年12月30日(水)~2016年1月2日(土) 長野県松本市 蝶ヶ岳 テント・避難小屋泊単独行 


話は前の晩にさかのぼりますが、撮影から戻ってきてあたたかい生姜湯でも飲んで寝ようと思い、燃料が残り少なくなったプリムスのガス缶IP-250Tのバーナーに着火しようとしたら、ガスが出てきません。冷えすぎて気化しないからなのか、なんらかの事情でノズルが詰まったのか、どちらにしても火がつかなければお湯が沸かせません。とりあえず、燃料が気化するようにガス缶を手で暖めたり振ったりしてしばらくいじくってから再度点火してみると、不安定ながらもなんとか火がつきました。こんな状態では明日の朝になるとどうなるかわからないので、ひとまず今のうちに必要なお湯を沸かしてポットに入れておくことにしました。


いつも冬山に持ち込んでいるのは、サーモスの山専ボトル0.8リットルと、同じくサーモスの携帯マグJMY-351 0.5リットルです。山専ボトルのほうは、熱湯を満タン状態にしておくと12時間ぐらいは熱いお湯のままキープしてくれるので、23時ごろ入れておけば翌日下山するまで十分暖かい状態で飲めるはずです。容量的にも0.8リットルあれば、朝0.3リットル使っても残り0.5リットルで下山するのに十分です。なので、とりあえず山専ボトルを満タンにすることにし、燃料が余れば携帯マグのほうにも入れることにしました。結果的に山専ボトルを満タンに、携帯マグに半分ほどお湯を入れたところで燃料切れとなりました。夜のうちにバーナーとガスをパッキングすることもできたし、明日の朝お湯を沸かしたりする必要がなくなったので、撤収にかかる時間を短縮できそうです。実際、朝食を簡単に済ませることができて楽だったので、今後はこのパターンを踏襲していこうと思います。


2016年1月2日(4日目)
5:30 起床。 今日は13時15分のバスにのるつもりなので、朝食がすんだら速やかに撤収して、8時30分には出発という予定です。


昨晩は初日よりも寒かったのではないかというぐらい冷えたような気がします。夜中もずっと晴れていたようなので、放射冷却もあったのでしょう。着るものは同じですが、シルクのインナーシーツをつかったりイナーティアXライトエアマットも使いましたが、しみこんでくるような冷気は防ぐことはできませんでした。イナーティアXライトエアマットはそれなりに効果があったみたいで地面からの冷たさはなかったのですが、寝袋の中で手を動かすと内部が冷えているのがわかるぐらい冷気が浸み込んできている感じです。寝袋は、プロモンテ エクストリームライトEL1000Aというもので、730フィルパワーのホワイトグースダウン90%、羽毛量1,000gの厳冬期仕様ですから、決して力不足というわけではないはずですし、ゴアテックスのカバーも使っています。とにかく、冬季のテント泊は寒さ対策を再考する必要があることだけは確かです。


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起きたときにゴアテックスのカバーを開いてめくってみると、内側にびっしりと凍りついた結露がついていました。もしも透湿防水素材の生地で作られた寝袋をカバーなしで使っていると、この現象が寝袋の生地の内側で起きるわけですから、昼間暖かくなって結露が融けたらダウンが直接その水滴を吸ってしまうことになりそうです。そう思うと、へたに透湿防水生地の寝袋を使うより、冬季は普通の生地の寝袋とゴアテックスのカバーの組み合わせのほうが安心かなと感じます。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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7:20 朝食を終えてテントを撤収するために外に出てみると、明神岳と前穂高岳が朝日を浴びて輝いていました。ひとまず、写真を撮ってから撤収作業開始です。


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雪の中に埋めておいたペグが凍り付いていてショベルで掘り起こすのに若干手間取りましたが、ほぼ1時間で撤収作業を終了することができました。以前使っていたアルバのショベルだと、こういうときに使い勝手が悪く、凍結した雪を掘り起こすのがけっこう大変でしたが、今年買ったモンベルのコンパクトスノーショベルは比較的簡単にペグを掘り出すことができました。もう不具合返品はしなくてもいいかなという感じです。役に立ったショベルに対して、ワカンもアックスも使わずじまいで無駄な荷物になってしまいました。しかし、雪山に入るのに持ってこないわけにもいかず、こればっかりは仕方がありません。


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8:30 白銀の明神岳と前穂高岳に見送られて、徳澤を出発です。入山時よりも心もち軽くなったような気がするものの、背負うとやっぱり重い荷物が肩にのしかかります。


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9:21 明神です。休憩10分で出発します。


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小梨平はしんと静まり返っていました。この頃から空はどんよりとしてきました。


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河童橋です。お正月だからたくさん人がいるのかと思っていたら、意外にも数人の人がいただけでした。


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いつのまにか穂高の峰には雲がかかっていました。


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10:30 バスターミナルで休憩です。クランポンを天蓋の上に装着したので荷物のバランスが悪かったらしく、妙に疲れたのでこここでパッキングをしなおしました。ここから釜トンネル入口まで約2時間です。13時15分のバスに乗るためには、13時には着いていたいので、余裕を見てここも10分休憩で出発しました。


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11:34 大正池ホテルです。ここでも10分の休憩をとりました。そういえば、お正月はホテルのレストランと売店は営業していたみたいです。


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穂高も明神もすっかり雲の中に隠れてしまいました。


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大正池の氷にできていた妙な模様です。湧き水でもあるんでしょうか。


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最後のカーブで振り返って上高地に別れを告げます。ここを曲がると上高地は見えなくなります。


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12:22 釜トンネルの上高地側入口につきました。あとは20分ほどのトンネル歩きで下界に戻ることができます。時間的に余裕があるので、荷物を下ろしてゆっくり休憩しました。


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12:51 トンネル入口は静かでした。救助隊もいないし、登山客もいません。客待ちタクシーが1台停まっていただけでした。松本行きの路線バスは少し遅れて満員に近い状態でやってきましたが、なんとか乗ることができました。


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13:28 岩見平駐車場に戻ってきました。駐車場には自分の車だけがポツンと停まっていて、ちょっとさびしげでした。

おわり。

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| 2015年12月 蝶ヶ岳 | 00:44 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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荘厳な2016年の幕開け: 蝶ヶ岳(2677m) その3

2015年12月30日(水)~2016年1月2日(土) 長野県松本市 蝶ヶ岳 テント・避難小屋泊単独行 


2016年1月1日(3日目)
寝袋の中で5時過ぎごろには目が覚めていましたが、なかなか起きる気になれずグダグダしていたら、けたたましいアラーム音が鳴り始めました。よくSF映画やアニメの中で宇宙船などで使われる警報音そのものです。鳴らしていたのは、登ってくるときに途中で追い越していった二人組みのうちの一人のようですが、本人はまったく起きる気配がなく、もう一人のほうも無反応です。その他の宿泊者がそれぞれ半身を起こしてけたたましい警報音の中で、追い立てられるように起床したのでした。それでもしばらくは警報音は鳴り続け、いったいどこの宇宙基地にいるのかという気になってきます。それでも、ようやく警報音が自然に止まって、小屋の中は再び沈黙の闇に戻ったのでした。


この時期の日の出は7時ごろなので、外はまだ真っ暗です。とりあえず、体を温めるためにポットからお湯を飲んで体温を上げておきます。そして、撮影に出かける準備を整えました。外では時折風が通り過ぎて行くときの唸り音が聞こえるので、そこそこ風が強そうです。なので、ダウンジャケットやダウンパンツの上からハードシェルを着こんで、防風防寒対策を整えました。


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6:10 カメラ機材一式を持って外に出てみると、東の地平線が赤く染まっているのが見えました。風は穂高連峰のある西から吹き付けてきます。時折強く吹いてきますが、バランスを崩されるほどの強さはないので、秒速10mあるかないかといったところだったのではないかと思います。西の空にはまだ星が見えており、穂高連峰をからめた星景写真を撮りたいところでしたが、風が強くてスローシャッターで星空を撮るのはまず無理だったのであきらめました。東風なら自分が風除けになればなんとか取れたかもしれませんが、西風の中で西方向を撮影するとなると、風をもろに浴びて撮影しなければならないので、ごつい三脚を持ってきていたとしても、おそらく微振動が発生してブレ写真になってしまったことでしょう。


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とりあえず、北側にある瞑想の丘まで登ってみました。日が昇ってきて穂高連峰が赤く染まるまでは、まだ時間がかかりそうです。


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風が強くなってきて、吹きさらしのところにいると冷えるので、山小屋の方に一時的に避難することにしました。時間とともに風が少しずつ強くなっていくような感じで、山小屋のほうへ戻る途中には舞い上がる雪煙で視界がかなり悪くなることもありました。


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山小屋の風下側まで戻ってくると、蝶ヶ岳の山頂へ向かって歩いていく登山者グループの姿が見えました。昨日体調を崩していた女性のいたパーティーです。この時間から出発するところをみると、下山ではなくて大滝山方面へ縦走する計画なのかもしれません。とにかく、元気で山行を続けることができるようになったのはよかったと思いますが、無理をして再び体調を崩すことのないように気をつけてほしいものです。


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6:38 だいぶん東の空が明るくなり、蝶ヶ岳を取り囲む山々が闇の中から浮かび上がってきました。常念岳が青い闇の中に浮かび上がっています。絞り込んで手前の雪面から奥までパンフォーカスにしたかったのですが、まだ暗くシャッター速度を上げることができず、仕方なく手前の雪面はあきらめました。ISO3200、F5.6、-1/3補正で1/30秒のシャッター速度しか稼げませんでした。三脚の足は4段のうち2段しか伸ばさず、手でカメラを押さえつけながらの撮影でしたが、やはり低感度で絞りを絞ったときほどのシャープ感は出せませんでした。


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6:48 穂高連峰が青い闇の中に真っ白な姿を横たえています。山頂部にまとわりついているのは雲なのか、強風で舞い上がる雪煙なのかよくわかりません。


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目の前には、前穂高岳、奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳が競い合うように頂を連ね、その真ん中におわんのような涸沢が見えています。


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6:54 東の空がかなり明るくなってきました。日の出までもうすぐのようです。


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安曇野の街は厚い雲海の下に隠れていて、まったく見えません。


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7:03 太陽の光が西の空を照らし出して、ほんのりピンク色に染まります。このような日の出前の西の空の色合いは、、日の出方向の東の空では見られない光景です。東の空では太陽が昇ってくる関係で、下が赤、上が紺色というグラデーションになりますが、西の空はその逆になるわけです。簡単に言うと、日の出前の光が西の空をピンクに染めるものの、太陽は東の地平線下にあるため西の地平線あたりには光が届かず地球の影になっているので、上がピンク、下が紺色になるというわけです。このピンクの帯をヴィーナスベルトというそうです。今回は軽量化のために使用頻度の少ない望遠ズームは持ってこなかったのですが、このときばかりは持ってくればよかったと思ったのでした。


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7:11 槍の穂先を朝日が照らし出します。その美しさにただ見入ってしまいます。


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穂高の峰々も赤く染まりました。


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神々しく、荘厳な光景が目の前に繰り広げられます。すばらしい2016年の幕開けです。


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7:24 蝶ヶ岳山頂にも太陽の光が届きました。これが2016年元旦のご来光です。極寒の蝶ヶ岳山頂から見る初日の出は、今まで見たどんな日の出よりも美しく感じられました。


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ちなみに、このときの気温は氷点下16℃でした。コンデジのほうは放置しておくとすぐに電池が死んでしまうので、ジャケットの内ポケットに入れていましたが、一眼レフは三脚にすえつけっぱなしでもさすがにびくともしません。ペンタックスなどは-10℃耐寒動作保障をうたっていますが、キヤノンは耐寒性能をうたっていません。カタログやマニュアルの仕様欄には、使用可能温度0℃~+40℃と書かれていますが、氷点下16℃でも問題なく動きます。動いて当たり前と考えているのか、とくにそのような試験をしていないからうたっていないのかよくわかりませんが、カタログに書いていないからだめだということではないというわけです。時々このスペックを鵜呑みにして、キヤノンのカメラは寒いところでは使えないのではと言う人がいるようですが、心配には及びません。


太陽の高度が上がるにつれて赤く焼けた穂高の峰々は現実世界の白く輝く雪山へと姿を変えました。避難小屋に引き返して朝食を食べ、パッキングを終えて下山の準備を終えました。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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9:43 昨日吹雪の中でスルーしてしまった蝶ヶ岳山頂に向かいます。見事に晴れ渡って、まるでぽかぽか陽気のように見えますが、強い風が吹きつけてきて、ハードシェル無しではとても歩けない寒さです。


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山頂の標柱とともに記念写真を撮って、吹きさらしの山頂を後にしました。


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山頂から少し進んだ稜線上から、白銀の穂高連峰の姿がよく見えました。


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まだまだ雪が少ないので、厳冬期の雪山の雰囲気はありませんが、すべてを拒絶するかのような厳しさは十分伝わってきます。


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槍ヶ岳のほうが雪が深い感じです。槍沢にたっぷり雪があるし、大喰岳や中岳の斜面が真っ白なので雪の着き方がいいみたいです。


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前穂高岳と奥穂高岳をアップで切り取ります。奥穂高岳だけが雪煙を巻き上げています。山頂は強烈な風が吹いているのでしょう。


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さらに稜線を下って、この先は樹林帯に入る場所の手前で最後にもう一度穂高連峰をじっくりと眺めました。初めての厳冬期北アルプスへの登山で、これほど見事な晴天の条件で穂高連峰を見ることができた幸運に恵まれたことに感謝するとともに、この壮麗な山嶺を再び眺めに来たいと思ったのでした。


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樹林帯に入ってしまうと、代わり映えのしない風景が続きますが、雪が降っていた昨日とはちがって青空を背景にした樹林の風景はそれなりに美しく目を楽しませてくれます。


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長塀山への登り坂です。下りで唯一の登り坂を一気に突破します。


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長塀山の山頂を通過します。この先、徳澤まで長い下り坂が続きます。昨日苦しめられた長大な上り坂ですが、下るのなら楽なものです。


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標高2000m地点で大休止をとりました。登ってきたときと同じで、フラットで風も弱く、日が当たるので休憩適地です。見上げると吸い込まれそうな青空が広がっていました。


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12:27 徳澤まであと1km。長い下り坂もあと少しです。


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12:57 徳澤に帰ってきました。今日は午後になっても天気は安定しており、曇ってくる様子はまったくありません。


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徳澤の雪原の彼方には明神岳と前穂高岳が悠然と聳えています。


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テントに戻って水を汲みに水場に行ってみると、なんと完全に干上がっていました。わずか1日でこんなことになるなんてどういうことなのでしょうか。昨日、山頂の避難小屋で水をつくるのに燃料を使いすぎたので、燃料の残りはあとわずかです。今晩の食事に使ったら、明日の朝十分な量のお湯を沸かせるかどうか心もとない量なので、今日は是が非でも水を確保したいところです。長塀尾根を下ってきたとき、小屋の裏手の川に水があるのを見たので、徳澤園の小屋のほうへ行ってみました。


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幸いにも小屋のすぐ横の小川には水が流れていました。水量もそれなりにあるし流れもあるので、飲用にしても問題なさそうです。それでも、やっぱりペーパーフィルターで漉してから沸かして飲むことにしましたが。


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水を確保し、昼食もすんでから、徳澤園を散策してみました。夏は芝生の広がるキャンプ場ですが、今は真っ白な雪原になっています。点在する巨木がいい雰囲気です。


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3000m級の山嶺を眺めながらキャンプを楽しめるいいロケーションです。天気さえ良ければわざわざどこかの山頂を目指さなくても、ここでキャンプするだけでも十分冬山を楽しむことができそうです。


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この夜も美しい星空が広がりました。今回は自分のテントのすぐ前で、オリオン座をからめて撮影してみました。


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テントをからめない星景写真も押さえておきました。


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昼間ロケハンしておいた場所からのカットです。午後10時を回った時間ですが、この頃になると明神岳の向こうから雲が湧いてきて、次第に星空が見えなくなってきました。なので、このあと2カットほど撮影してテントに戻りました。


この日の夜も初日に負けず劣らず寒さに悩まされました。初日に使わなかったシルクのインナーシーツやイナーティアXライトエアマットなど総動員して寝たのですが、暖かく安眠することはできませんでした。装備を根本的に見直す必要がありそうです。重くなっても外張りを導入するか、防寒着の種類や材質を再考することにして、寒さに耐えながら丸くなって浅い眠りの中で朝を迎えたのでした。

つづく。

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20160101蝶ヶ岳2


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| 2015年12月 蝶ヶ岳 | 22:28 | comments:2 | trackbacks(-) | TOP↑

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荘厳な2016年の幕開け: 蝶ヶ岳(2677m) その2

2015年12月30日(水)~2016年1月2日(土) 長野県松本市 蝶ヶ岳 テント・避難小屋泊単独行 


12月31日(2日目)
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寒さでゆっくり寝ていられないこともあり、3時40分頃起きることにしました。起きてすぐ温度計を見ると、テント内で-8度でした。めちゃくちゃ冷え込んでいるというわけではない気温ですが、初日で寒さ慣れしていないのに加えて、体重減と筋肉量低下のトリプルパンチで寒さに耐えられなかったみたいです。


お湯を沸かそうとプラティパスを保温ケースから取り出してみると、半分凍結しかけていました。もう少しほおっておいたら完全に氷の塊になっているところでした。とにかく、まだ凍っていない水をペーパーフィルターで漉しながらクッカーに入れて暖め、適当に暖まったところで再びプラティパスにもどして氷を溶かして、それをまたフィルターで漉してお湯を沸かすという二度手間に時間がかかってしまいました。こんなことなら、昨晩全部フィルターで漉しておけばよかったと後悔したところで後の祭りです。


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結局、食事を済ませてパッキングが完了し、出発できる状態になったのは7時を回りかけたころでした。テントから顔を出すと、すでに明神岳は朝日を浴びて輝いています。予定では5時ごろ出発して、どこか途中で日の出を見るぐらいのつもりでしたが、完全に出遅れました。


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7:11 テントと不要なものを残して出発しました。残していったものは、テントのほかにはショベル、不要な食料、着替えぐらいなので、3kgもあるかないかというところです。入山時の総重量はおそらく21~22kgぐらいだと思うので、軽くなったとはいえ18kgぐらいの荷物です。実際に担いでみるとあまり軽くなっていないと実感します。この荷物でこれから標高差1115mを登りきらないといけないと思うとちょっとげんなりしますが、簡単に行けないからこそ行く価値があるわけで、楽に行けるようなところだったらわざわざ行く必要はありません。空は青空が見えていますが、どこからか粉雪が降ってくるという妙な天気でした。


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登山口は徳澤園の小屋の奥にあります。裏山に上がっていく道のように何気ない感じの登山口ですが、この先ずっと登りっぱなしの尾根道です。


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雪は深くなく、トレースもしっかりついていて、凍結もしていないので案外歩きやすい状態でした。それでも、念のために出発時から12本爪クランポンを装着してきました。


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傾斜のきつい斜面をジグザグに縫いながら登って行きます。ずっと樹林帯の中なので、展望はさっぱりありません。明神岳や穂高岳を眺めながら登ることができればかなり気分的に違うのでしょうが、延々と続く樹林帯の急登と、背中にのしかかる荷物の重さで、次第に気持ちがブルーになってきます。


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9:04 ようやくフラットな場所に出ました。手前にテントが一張あり、男性が出発準備をしていました。奥のほうにもけっこうな広さの整地されたあとがあり、テント場としてよく利用されているようです。標高で言うと、ちょうど2000mのあたりで、地形図でみると尾根がテラス状になっている場所です。日も当たり、風もほとんどないので、ここで大休止することにしました。休んでいる間に、単独の男性と二人組みのパーティーが登ってきて、やはり同じ場所で休憩をとり始めました。装備を見ると明らかに宿泊予定のようで、おそらく避難小屋利用と思われます。小屋のキャパや宿泊予定者がどのぐらいいるのかわかりませんが、早く着くにこした事はないということで、休憩をそこそこに切り上げて、彼らより先に出発しました。しかし、このあとバテ気味になって再び休憩している間に先行されてしまったので、結局同じことでした。


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10:09 すっかりバテ気味になって、数分歩いては立ち止まって休憩という状態で見つけたのが、この道標です。標高2200m付近です。ちょうどルートの中間地点になるわけですが、ここまで3時間もかかっています。夏道の標準コースタイムは山頂まで4時間半ですから、相当スローペースです。この先は、次第に傾斜も緩くなりペースも上がるだろうということは地形図を見ればわかりますが、なにしろ体力不足がたたったのか、気持ちがついてきません。まだ行程の半分しか終わっていないのかと思うと、もうやめて帰ろうかという気にすらなってきました。


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それでも、もう少しがんばろうと自分を鼓舞しながら登り続けました。いつの間にか青空は見えなくなり、雪が本格的に降り始めました。天候が悪くなるとますます気持ちが暗くなります。せっかく登っても何も見えないかもしれないと思うと、何度も心が折れそうになります。もう引き返そうか。やめても誰も困らないし咎めないし、全然オッケー。はい、中止! と思いつつも、やっぱりここまで来てそれはないだろうと思い返して、なんとか前に進みます。やがて、道はフラットに近い状態になってきたので、つらいのはだいぶん軽減されてきました。


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11:55 そして見つけた残り2kmの道標。残り3kmの道標から2時間近くたっているというのに、1kmしか進んでいないという事実にがっくり。肩や首が痛くなるし、体力的にも辛いし、なんでこんなことやってるんだろうとネガティブ思考炸裂です。それでも、長塀山(ながかべやま)まであと少しだし、その先はもう急登はないという事実だけは明白だったので、なんとか気持ちを奮い立たせて先へ進みました。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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12:24 ようやく長塀山に着きました。残り2kmの道標からわずか200mの距離ですが、かかった時間は30分。べつにラッセルしていたわけではありません。


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長塀山を越えると、本日初めての本格的な下り斜面が現れました。しかし、下るということは再び登り返すということでもあります。とりあえずは登り坂にはすっかり飽きていたので、下り坂が妙にうれしく感じました。


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12:44 「蝶ヶ岳まで1km」 この道標がどれだけうれしかったことか。比較的フラットな稜線の1kmなんて、さすがにもう1時間もかからないはずです。


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「妖精の池」らしきフラットな雪原を越えて小さな坂道を登りきると、前方にひときわ小高いピークが見えました。地図で見る限りあれが蝶ヶ岳に違いありません。なんだか植林を皆伐された里山みたいで、北アルプスの名のある山には見えませんが、それでもあれがゴールの頂であることに変わりないのです。


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山頂に続く稜線に上がってみると、強い風と吹きつける雪粒、そして視界をさえぎる白いガスで、とてものんびり山頂に立つ気にはなれません。右手に見える山頂の標柱を知らん顔で素通りして、一目散に蝶ヶ岳ヒュッテに向かいました。


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13:27 冬季小屋の入口はすぐに見つかりました。この赤いトンネルをくぐって中に入るのですが、でかいバックパックを背負って入口をくぐろうとすると何かが引っかかって進めなかったので、バックパックを下ろして引きずりながら中に入りました。


入ってみると、途中で先行した二人組みパーティーとソロの男性がいただけで、小屋は意外にも空いていました。空いていた場所に寝床を確保したら、すぐに雪を取りに行き水づくりです。冬山を始めて4年になりますが、実は雪から水をつくるのは今回が初めてです。やり方は知っているのでとくに問題はありませんでしたが、その効率の悪さにはちょっとうんざりしました。溶かせども溶かせども全然水が増えないので、延々と雪を溶かし続けるはめに。実際には1リットルあれば足りますが、お茶を飲んだりすることを考慮して予備を含めて2リットル分作ったので、時間も燃料もかなり使いました。ところで、雪からつくった水がこれほどまずいものだとは知りませんでした。コーヒー用のペーパーフィルターで漉したものの、土埃がたっぷり入ったような味でとてもそのままでは飲みたくない水でした。浄水器の購入を本気で考えたいと思いますが、冬山だとフィルター部分が凍結して破損してしまうのではないかという点が気になるところです。


水作りの作業中に外から休憩に入ってきた男女の二人組みがあり、女性のほうだけ小屋に残り、男性はまた出て行きました。外は吹雪で天気も悪いのに何しに行ったんだろうと思いましたが、水作りに専念しているうちにそのことは忘れていました。ふと気がつくと、休憩していた女性の様子がどうもおかしい。ため息ともうめき声ともつかないような声をたまに発しているし、みると足がガクガク震えています。低体温症になりかけているように見えたので、「体調悪いんですか?」と聞いてみたところ、どうやらそのようです。ポットは持っているものの、中に紅茶が入っていて飲んだら吐いたとのことだったので、僕が持っていたお湯を分けてあげて、ダウンジャケットも貸してあげたところ、どうやら震えは収まったようでした。聞けば11人パーティーで登頂し、他のメンバーは強風の中テントの設営をしているそうで、体調のよくない彼女だけが小屋で休憩していたようです。やがて男性が迎えに来て彼女も出て行きましたが、翌朝早くそのパーティーが出発していく姿が見られたので、無事山行を継続することができたようです。


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15時を回ったころ、男性3人のパーティーが到着し、小屋はほぼ満員状態になりました。避難小屋は詰めればぎりぎり10人ぐらい寝られるスペースがありますが、荷物を置くスペースも考慮すれば、せいぜい8人が限界といったところです。大晦日の夜は7人の宿泊となりました。ただし、同じぐらいの広さの土間があるので、最悪は土間に寝ることも可能です。蝶ヶ岳避難小屋のいいところは、小屋内にトイレがあることです。今回のようにちょっとした吹雪のような状態で、外に用を足しに行くのはかなりつらいので、その点とても助かりました。


疲れて空腹だったので、16時過ぎに夕食を食べて、17時には寝袋にもぐりこみました。徳澤よりも標高が高いので冷え込むかと思いましたが、人が多いことと小屋がしっかりしているためか、昨晩よりも寒さはましでした。しかし、首の痛みで目が覚め、ストレッチしたりもんだりしても全然痛みが治まりません。最後の手段ということで、持っていた鎮痛剤アダムA錠を飲んで再び寝袋にもぐりこんだところ、いつの間にか痛みがなくなって寝ることができました。


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真夜中の12時過ぎに誰かが外に出て帰ってきたときに、星も月も見えていると言っていたので、カメラを持って出てみました。確かに頭上には星が見えていて月も出ていましたが、周りはガスが取り巻いていて、穂高連峰はもとより安曇野の町灯りも見えない状態でした。とりあえず、せっかく出てきたので1枚だけでもということでシャッターを押したのがこの写真です。たまたま風が収まったときに15秒のシャッターを切りました。月明かりに浮かぶ穂高連峰の写真を撮りたかったのですが、ガスが晴れる瞬間をじっと待ち続けるほどの気力体力はなかったので、このあとすぐに小屋に引き返し、夜明け前まで体を休めたのでした。

つづく。

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| 2015年12月 蝶ヶ岳 | 23:41 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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荘厳な2016年の幕開け: 蝶ヶ岳(2677m) その1

2015年12月30日(水)~2016年1月2日(土) 長野県松本市 蝶ヶ岳 テント・避難小屋泊単独行 


先日の記事にも書いたとおり、この年末年始は中部山岳地域でも天候が安定していました。クリスマス時期に確認した登山天気では、南アルプスはもとより北アルプス方面もおおむね「晴」や「晴時々曇」といった予報が出ていました。いままで天候の関係で行きたくても行けなかった北アルプス、特に穂高岳方面に出かけるには数年に一度のチャンスかもしれません。単に登頂するだけなら猛吹雪でもない限りなんとかなるのかもしれませんが、写真を撮るのが目的なので晴れでなければ意味がないのです。


では、どこに行くか。一番撮りたいのは朝日を浴びて赤く染まった穂高連峰ですから、もっともいいのは穂高連峰の東側にある常念山脈のどこかです。槍をメインにするなら常念岳や大天井岳ですが、穂高岳メインなら蝶ヶ岳がよさそうです。燕岳まで行ってしまうとちょっと距離がありすぎのようなので、やはり先の3ヶ所がターゲットです。どの山にも冬季避難小屋がありますが、大天井岳に直接アプローチするルートはないので却下。


いろいろと検討した結果、上高地から蝶ヶ岳に登ることにしました。上高地経由で蝶ヶ岳だと、安曇野側の三股ルートより時間はかかるものの、わかり易いし無理がない感じです。中の湯から徳澤までのアプローチが約13kmありますが、フラットだし通ったことのあるルートなので安心です。初日は徳澤でテント泊して、翌日テントは残したまま登頂できます。山頂の避難小屋に宿泊して、翌朝に朝焼けの穂高連峰を撮影するという計画であれば、余裕のある日程でこなすことができそうです。日程に余裕がない場合は三股ルートのほうがいいと思いますが、今回は十分余裕があるので問題ありません。


当初29日に入山する予定で考えていましたが、年末のバタバタで28日の出発時間が遅くなり、夜通し運転してそのまま入山ということになってしまいそうだったので、1日日程をずらせて29日に出発しました。


車は平湯のバスターミナル前の駐車場に停められるというネットの情報があったので、29日の夜に車中泊したのですが、これが失敗でした。まず、平湯バスターミナルは夜になると閉まってしまうので、トイレが使えません。駐車場の隅にある公衆トイレは冬季は閉鎖されていて、こちらも使用不可。なんだか不便な場所でした。

12月30日(1日目)
朝になってバスの始発時間まであと20分ほどになったときに、どことなく高慢な口調の男性がやってきて、駐車する場合は本日中に帰ってくるようにというではありませんか。日帰り予定ではないというと、だったら沢渡へ停めてくれと言い出す始末。バスの始発が近い時間にやってきて何をいまさらという感じですが、だったら始めから「日帰り専用」と書いた看板を立てておけよと思うわけです。不親切な上に慇懃無礼なスタッフに朝からすっかり不愉快にさせられてしまいました。まあ、こんなところで言いあっても仕方がありません。バスターミナルは濃飛バスの運営らしいので、飛騨高山と平湯の観光で金を落としてくれる観光客は大事にするが、車を停めっぱなしで金を落とさない登山客など来なくてけっこうということなんでしょう。ちなみに、沢渡の駐車場はアルピコグループの運営みたいで、冬季は無料開放しているし24時間利用できる暖房付きの水洗トイレがあったりで、関東方面などから松本経由で来る多くの登山客を大事なお客さんと考えているのだろうと容易に想像できます。同じバス会社でも、登山客に対する考え方の違いが如実に現れているようです。


そういうわけで、沢渡の岩見平駐車場へ移動して、そこから路線バスで中の湯まで行きました。ちなみ、平湯からだと始発のバスは8時45分発で料金は560円ですが、岩見平からだと9時41分発で990円です。


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10:05 釜トンネルから入ります。年末ということで、入口には警察の救助隊が大勢詰めていました。入山届を提出すると、大勢入山しているので蝶ヶ岳の山頂避難小屋はいっぱいかもしれないですよと言われ、一抹の不安がよぎりましたが、こればっかりは行ってみないとわかりません。


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何年か前に上高地に入った時はトンネル内に照明がついていましたが、今回は真っ暗でした。ヘッドライトの灯りをたよりに30分ほど歩き続けて、やっと出口に着きました。入口側と違って道路はすっかり雪道ですが、凍結はしていないのでクランポンは装着しないでそのまま進みます。


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煙を上げる焼岳が青空にくっきりと聳えています。


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道が下り始め、カーブを曲がると、正面に真っ白に輝く穂高の峰が見えました。前回冬の上高地に入ったのは2012年3月なので、3年9ヶ月ぶりに見る雪の穂高岳です。


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大正池のほとりまで来ると、湖面に映る逆さ穂高を見ることができましたが、少し風があって鮮明さは今一歩でした。


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ここから見る吊り尾根はまるで巨大な壁のように立ちはだかっています。あんなところに重太郎新道という道があるのが信じられない思いです。


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大正池ホテル前で少し休憩をとってから、雪の積もった道路を黙々とバスターミナルへと歩きます。


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12:06 静まりかえった上高地バスターミナルに着きました。前回同様、釜トンネル入口からほぼ2時間の行程でした。


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日当たりのいいバスターミナルで休憩をとってから出発しました。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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冬の上高地は本当に静かです。河童橋にはちらほらと人影があるぐらいで、これぐらい静かな上高地のほうが個人的には好きです。


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小梨平を過ぎると急に人の気配がなくなります。静かな森の中を雪を踏みしめる足音だけを引き連れて歩き続けます。


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明神岳の全貌が見える場所まで来ると、明神ももうすぐです。


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13:30 明神に着きました。バスターミナルからほぼ1時間。予定通りです。


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穂高奥宮のある明神池にも行ってみたいところですが、下山時に余裕があれば寄ってみることにします。


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ここでもベンチで10分ほど休憩をとって、徳澤を目指します。あと1時間で到着するはずです。


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雪煙をあげている明神岳を眺められる場所があると、つい立ち止まって見入ってしまいます。


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聳え立つ頂の迫力に圧倒されます。


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道沿いにある池に映りこむ風景がきれいです。


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どこか日本庭園を髣髴とさせる風景です。


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山と川に挟まれた川沿いの道に出ると、徳澤まであと少しです。


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梓川の向こうには、いつの間にか横から見るようになった明神岳と、姿を見せた前穂高岳が聳えています。


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例年なら岩肌が見えないぐらい真っ白に雪化粧した状態なのでしょうが、今年はまだ初冬の雰囲気です。


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14:40 重い荷物に肩が悲鳴を上げ始めた頃、やっと徳澤にたどり着きました。テントはざっと20張ぐらいありました。これが多いのか少ないのかわかりませんが、小梨平よりも多くのテントがありました。


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設営時間を節約するために適当な幕営跡地を探しましたが、奥のほうだったりカチカチに凍結していたりするような場所が数箇所みつかっただけだったので、トイレに近く、トレースにも近い場所を整地してテントを張りました。積雪は少ないみたいで、風除けの雪ブロックの壁を造ろうと思いましたが、20cmも掘ると地面が見えてしまったのでやめました。実際、ここではほとんど風は吹かなかったので、必要ありませんでした。


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徳澤には水場がないとネットに書かれていたのですが、わりと近くに小川が流れていて水を確保することができました。ただ、見た目にあまりきれいな川ではなかったためか、雪を集めている人も見かけました。僕は、手間と燃料を節約したいので川の水を利用しましたが、さすがにそのまま飲む気になれないので、持っていたコーヒー用のペーパーフィルターで漉してから利用しました。見た目にはきれいな水でしたが、漉してみると小さなゴミや動物の毛のようなものがあって、やっぱりそのまま利用しなくて良かったと思ったのでした。味のほうは、雪を溶かして作った土埃臭い水に比べればほぼ無味無臭で、沸かしてから飲んだ限りではまったく嫌味のない素直な水でした。


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ところで、インナーグローブとして使っていたモンベルのメリノウール素材のグローブですが、右手の中指と薬指の付け根の縫製がばれてしまうという事態になってしまいました。このグローブは、モンベルのスーパーメリノウールM.W.インナーグローブというもので、普通のメリノウール素材のインナーグローブに比べて特殊な生地らしく暖かさが明らかに違うお気に入りのインナーグローブでしたが、手のひら側の中指と人差し指の付け根に縫い目があるという変な縫製になっていて、そこがほつれたようです。すでに廃盤になっているらしく、モンベルオンラインショップのラインナップに載っていません。予備のスマートウール製のインナーグローブに交換してみたら明らかに寒かったので、結局破れた状態のままこのグローブを使い続けました。手袋に限らず小物などでもモンベルは時々縫製のよくない製品がありますが、素材がいいだけにもう少しちゃんとしてもらいたいものです。


そんなことがありつつも、徳澤の夜は更けていきました。夜8時ごろトイレに行くと、降るような星空が頭上に広がっていたので、テントに戻るとカメラを持って撮影に出かけました。


<写真クリックで拡大>
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雪原に灯るテントの明かりと、頭上にまたたく星の煌めきが美しく、寒さも忘れて30分ほど撮影して歩きました。


テントに戻って、熱いお湯を飲んで体を温めてから寝袋に潜り込んだのですが、なかなか暖まらないばかりか寒さを感じて寝付くことができず、結局翌朝3時過ぎに起きるまで、浅く寝ては寒さで目を覚ますの繰り返しでした。装備としては、以前年末年始に仙丈ヶ岳に登った時と同等以上の内容だったし、気温も同程度だったのですが、やたら寒く感じました。おそらく秋ごろから胃の調子が悪くなったことで、11月下旬から食事の回数と量を減らしたことにより、体力が落ちていたのだろうと思われます。おかげで体重が4kgほど減って、12月に受けた健康診断は図らずも昨年より改善した結果になっていました。しかし、反動で筋肉量が標準以下になっており、体力の衰えばかりか発熱の源である筋肉量が減ってすっかり寒さに弱くなっていたようです。

つづく。

20151230上高地1

20151230上高地2

 
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| 2015年12月 蝶ヶ岳 | 13:44 | comments:2 | trackbacks(-) | TOP↑

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北アルプス 蝶ヶ岳より帰還

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12月30日から3泊4日で蝶ヶ岳に登ってきました。上高地から入山し、徳澤でテント泊。31日はテントは残して蝶ヶ岳山頂避難小屋に宿泊。1日に徳澤に下ってもう1泊し、2日に下山しました。写真は、上高地から見た穂高岳です。


往復の車中泊も入れると5泊6日となり、けっこうな長期休暇でした。今年は、年末年始の天候が安定しており、北アルプスでも晴れマークが並んでいたので、チャンス到来というわけで目的地を北アルプス蝶ヶ岳に決めました。ここ何年か、北アルプス方面は毎年のように年末年始はあまり天候が良くなかったので、行きたくても行けないもどかしさが募っていました。


天候が安定しているといっても、そこは山の天気。朝晴れていても午後から曇ってきたり、下界は穏やかでも山上は極寒烈風と甘くはない状況ながら、吹雪になるような悪天候はなく、その点では予報どおり天気に恵まれた山行になりました。疲れと寒さに思った以上にダメージを食らいましたが、見たかった風景にも出会えたし、苦労した甲斐がありました。


レポはぼちぼち書いていきます。


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| ヤマネタ・ニュース | 17:51 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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