ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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のんびり静かな平日登山: 那岐山

2013年1月28日 岡山県奈義町 那岐山(標高1255m)日帰り山行



朝一番に県北の勝央町で仕事があり、その後予定がなかったことをいいことに、近くの那岐山に登りにいきました。


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当初は、那岐山の西隣にある滝山を予定していました。滝山登山口は自衛隊演習地の中を通っていかなければいけないのですが、その入口まで行くとゲートが閉鎖されていて、「射撃中立入禁止」の看板が! 窓を開けると、「タタタタタタッ」「ド~ンッ」「ドドドドドドドドッ」と、かなりマジな射撃演習の音が響いてきます。ゲート前に車を止めるとすぐに、ゲート奥から覆面に迷彩服の自衛隊員が走り出てきました。射撃演習中なので通行できませんとのことで、仕方がないので那岐山に向かうことにしました。


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9:58 轍のまったくない、登山口の駐車場に着きました。さすがに月曜日の朝は、誰も来ていません。


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積雪は、およそ5cm程度でした。


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10:28 準備を終えて出発です。準備中に軽トラが一台林道を登っていきましたが、それ以外は1台の車も来ていません。


蛇淵の滝入口前に軽トラが駐車されていて、男性がひとり準備をしていました。てっきり、森林組合などの林業関係の人だと思っていたので、こんな雪の中を大変だなあと思いながら挨拶だけして先に進みました。まっさらな新雪の道をこの先ずっと歩けると思うと、妙にウキウキしていました。


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林道脇の登山口に着きました。足跡ひとつない雪の道に、足を踏み入れます。


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AコースとBコースの分岐で、どちらに行くかちょっと迷いました。Bコースはまだ歩いたことがないので、Bコースに進むのもありかなと思いましたが、新雪でトレースがないことと、谷筋の道ということで、今回もおとなしくいつものCコースで行くことにしました。


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11:08 再び林道との合流点に来ました。しかし、ここで先行者の足跡が登山道についているのを見つけてしまったのです。先行者は登山道ではなく林道を歩いてきて、いつの間にか追い越されていたというわけです。それにしても、蛇淵の滝から先は誰のトレースもなかったのにいったい誰が? 考えるまでもなく、軽トラに乗ってきた男性以外にありえません。てっきり林業関係者だと思っていたのですが、実は登山者だったというわけです。頂上まで真っ白な新雪の道を歩けると思っていただけに、一気に気持ちはトーンダウンです。


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しぶしぶ先行者のトレースをたどっていくと、出発時には見えていた青空も雲に覆われてしまい、那岐山山頂付近はガスの中になっているのが見えました。ますます気持ちはゲンナリです。


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湧き水のある場所には、ツララがたくさんできていました。


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12:19 大神岩です。前回(2011年1月)は1時間半ぐらいで登ってこれたのに、今回は1時間50分もかかりました。やっぱり気持ちが乗らないと歩みも遅いということでしょうか。それとも、2年の間にめっきり体力が衰えてしまったのか・・・ ただ、2年前は出発が遅くてあせっていたので、たぶんハイペースだったんだろうと思います。


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大神岩はすっかり雪をかぶっておいしそうなお餅のようになっていました。


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その上に登ってみると、麓の様子が良く見えました。ずっと粉雪が舞っているような天気ですが、視界はそれなりにいいみたいです。少し休憩をとってから、山頂を目指しました。


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ゆるやかなピークを越えると、那岐山山頂が見えてきました。とりあえず、ガスの中にはなっていないようなのでほっとしました。


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ピークから先は、つぼ足だとふくらはぎぐらいまで潜るようになってきたので、さすがにこれ以上はつらいと判断しスノーシューを装着しました。考えてみれば、今季初のスノーシューです。


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傾斜が急になってきたころに、「山頂まで500m」の道標が。ここを過ぎると、すぐに森がなくなって見晴らしが良くなります。この先で、下山する先行者とすれ違いましたが、その後は誰とも会いませんでした。


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左手に滝山への縦走路が見えていました。本当だったら誰もいない滝山へ登っていたはずなのにと思うと、ちょっと残念ですが、滝山はもともと人が多くないはずなので、次の機会にでも行ってみたいと思います。


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13:49 ようやく山頂に出ました。といっても、こちらは那岐山の西のピーク。那岐山山頂はとなりのピークです。トイレに行きたくなったので、目の前の小屋にあるトイレが使えるかどうか確認してみることにしました。


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正面の開けっ放しになっているドアのある所がトイレです。小便器は雪がたまって使えなさそうだったので、開け放しのドアの中の個室を覗いてみると、こちらは問題なさそうです。無事用を足すことができました。



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トイレから出てみると、いきなり真っ白な状態になっていました。視界は50mほど。風もかなりきついのが吹き付けてきます。こんな状態で山頂まで行ってもしょうがないと、一気にモチベーションダウンです。お腹がすいているせいもあったのでしょう。さっさと下ることにして、来た道をたどり始めました。


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すると、突然ガスがさーっと晴れて、那岐山山頂が姿を現しました。目の前にピークが見えると、気持ちも変わります。避難小屋もあることだし、今のうちにピークを踏んで、避難小屋でお昼にすることにして、山頂を目指しました。


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稜線の木の枝には、さすがにエビの尻尾がびっしりです。


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14:18 とりあえず登頂を記念して、ダーッ!


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あまり天気はよくないですが、雲間からときおり日差しが差し込んだりして、意外ときれいな風景が見られました。


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滝山方面です。


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鳥取県側は霧氷がたっぷり。


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避難小屋の中の温度計は、-5.5度をさしていました。いつもショルダーベルトにぶら下げているホイッスルについている温度計は+4度だったので、体の回りにつけていると体温の影響をけっこう受けるようです。ちゃんとした気温を測定するためには、装着場所を考える必要がありそうです。


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避難小屋内部は、きれいに掃除されていました。暖炉はもう使用されていないみたいです。煙突がブルーシートでふさがれていました。


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床の上も掃除されていて、こぎれいな感じです。


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食事を終えて外に出ると、わずかながら青空が見えていました。


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鳥取県側から岡山県側へ、雲が猛烈な速度で流れ飛んで行きます。


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14:51 下山開始です。


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途中、白い子象がいました。


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大神岩まで戻ってくると、日差しも戻ってきました。


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15:52 さくさく下って林道との合流点です。スノーシューをはいたままなので、雪の下に岩がごろごろしている登りのルートをやめて、右の林道で戻ることにしました。


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植林の中の薄暗い林道を延々と歩きます。


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16:12 登山道入口まで戻ってきました。


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途中、蛇淵の滝が凍結していないかと思って観にいきましたが、普通に流れていてがっかり。


16:30 駐車場に戻ってきました。

 ■山行データ
<往路所要時間> 3時間50分(休憩時間を含む)
駐車場10:28→大神岩12:19→西のピーク13:49→那岐山山頂14:18

<復路所要時間> 2時間8分(昼食・寄道時間を含む)
那岐山山頂14:22→西のピーク14:51→大神岩15:15→林道出合15:52→駐車場16:30

<登山道情報>
往復ともCコースを使いました。降雪直後だったようなので、雪はそれなりにありました。つぼ足だと、下のほうでくるぶし程度、山頂近くではふくらはぎぐらいまで潜る程度です。凍結していなければクランポンなしでも行けるかもしれませんが、使わなくても持参しましょう。ワカン・スノーシューもあったほうがいいでしょう。


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| 2013年1月 那岐山 | 18:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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軽量ハードシェルジャケット: バーグハウス チベッタジャケット

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今シーズン、ハードシェルジャケットを購入する予定はありませんでしたが、仙丈ケ岳へのパッキングを終えた時点でこりゃああかんと思ったのです。なぜなら、今まで使っていたハードシェルジャケット~コロンビア フォレイカーシェルジャケット~がかさばって入らなかったのです。もちろん、天蓋の下に挟み込むという方法もありますし、ベルクロテープなどでバックパックにくくりつけるという方法もあります。しかし、バックパックにごちゃごちゃと外付けするのは好きではないので、そういうことはできるだけしたくないのです。百歩譲って外付けにしたとしても、それでもフォレイカーシェルはけっこうかさばるのです。生地が厚いので、折りたたんでもあまりコンパクトになりません。その分、暖かくで防寒目的のハードシェルジャケットとしては悪くないと思うのです。しかし、日帰りの低山とちがって、いろいろと荷物がかさばる冬期のテント泊では、かさばるもの・重いものは「悪」以外の何者でもありません。


というわけで、年末にあわてて新しいハードシェルの購入に走ったのでした。候補は、モンベルのストリームジャケットとバーグハウスのチベッタジャケットのふたつ。ストリームジャケットは35,000円、チベッタジャケットは49,350円。その差は14,350円とけっこう大きいのですが、好日山荘ではうまい具合に冬物セールをやっていて、チベッタジャケットは30%オフ! となるとわずかとはいえ価格は逆にチベッタジャケットのほうが安くなります。


性能に関しては、どちらも優秀です。どちらもゴアテックス3レイヤーで、防水ジッパー仕様です。ストリームジャケットは500g、チベッタジャケットは460gと、どちらもかなり軽量です。ポケットの形状と機能はストリームジャケットのほうがいいと思いましたが、ウインドスカートは不要だったこと、フードの形状、色とデザインがチベッタジャケットのほうが良かったので、チベッタジャケットを購入することにしました。好日山荘で買えばポイントがつきますし。



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家に帰ってから、コンパクトにたたんでフォレイカーシェルジャケットではいかんともしがたかったバックパックの中のわずかな隙間にするりと納まったのを見て、買ってよかったと思ったのでした。


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背中側はこんなかんじです。先日レビュー記事を書いたジョラスソフトシェルジャケットと色が似ていますが、チベッタジャケットのほうが微妙に濃い青色です。2色の切りかえしのようになっていますが、ジョラスソフトシェルジャケットと違って生地の種類はほぼ同じ(3レイヤーのゴアテックスプロシェル)もののようです。ただし、紺色の部分のほうが109g/㎡、青い部分が105g/㎡と生地厚が微妙に違うようです。肩などのこすれやすい部分は、やや厚めの生地を使っているということなのでしょう。


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脇下には、ビットジップもついてます。フォレイカーシェルジャケットにはこれがついていないので、温度調整ができないという欠点がありました。


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フードの形状は、このようにひさしがかなりしっかりしていて、視界の確保は問題ありません。ジッパーを上まで締めれば、鼻下まで覆われ、横も顔が出ないようになってるので、横殴りの強風が吹いてもちゃんと顔をガードしてくれます。この点ではコロンビアのフォレイカーシェルジャケットは劣っていて、前は口の下まで、横はこめかみの辺りまでしかカバーしてくれません。やはり、厳冬期のアルプスで使うには明らかに力不足といわざるを得ません。


小仙丈ケ岳直下ではバラクラバをしていると苦しいので口の部分をアゴまで下げていましたが、強風が吹く中でもチベッタジャケットのジッパーを上げていれば強風から顔をガードしてくれて、冷たさを感じることはありませんでした。フォレイカーシェルジャケットだったら、こうはいかなかったでしょう。高ければ良いというものではないとはいえ、厳冬期の3000m級の山で使うジャケットにはそれなりの機能とデザインが求められるというわけです。


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厳冬期南アルプスデビュー戦を振り返って~登山靴編(シリオ712GTX)

年末年始の仙丈ヶ岳(小仙丈ヶ岳2855mで敗退)登山で、厳冬期の3000m級にデビューとなったわけですが、はじめての厳冬期登山ということで、装備やプランなどについて振り返っておきたいと思います。


まずは、登山靴及びソックスについて。


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使用したのはいつも履いているシリオ712-GTX。すでに型遅れとなっていますが、いまのところ使用頻度がそれほど多くないため、まだ十分使える状態です。


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ソールのブロックも、前部の真ん中あたりがだいぶ磨り減っていますが、まだ張替えが必要なほどでもありません。


この靴は、四季を通じて八ヶ岳縦走が可能というコンセプトで開発された靴なので、当然ながら積雪期でも使用されることを前提としたスペックです。オールレザーで、保温材はゴアテックスデュラサーモ、ワンタッチ式クランポンの装着も可能な形状の靴底と、冬靴としては不足のないつくりです。

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ただし、購入するときに好日山荘の店員さんから、靴底はワンタッチ式クランポンが着くような形状をしているけれど、冬靴としてはソールがやや柔らかいので、ワンタッチ式は避けたほうがいいといわれました。確かに、長いこと使っているためか、ソールのつま先側は少し反りかえってきており、クランポンを装着すると、若干ですがつま先下に隙間ができます。そのため、雪が詰まったりしているようですが、いまのところこれといって不具合を感じたことはないので、あまり問題ではないようです。年末に新しいクランポンを買いに行ったときにこの靴をもっていきましたが、その時の店員さんは、この靴ならワンタッチでもOKだといっており、どっちが正しいのかよくわかりません。後継モデルの713GTXが「セミワンタッチ対応」となっているので、やはりフルのワンタッチ方式はやめておいたほうがいいようです。



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さて、実際に厳冬期の南アルプスで履いた感想ですが、特に問題なしです。歩き出しは足先が冷えてジンジンしていましたが、歩いていれば足先も温まってきました。休憩などでじっとしているとすぐに冷えてジンジンしてきますが、動くと解消ということの繰り返しです。この時期のこのクラスの山だと何を履いてもそういうものなのか、シンサレートなどの中綿が入った本格的な冬靴ならもう少しましなのか、履き比べてみたことがないのでなんともいえません。メーカーでは、”四季にわたって3000m級の山歩きを楽しむための・・・”と現行の713GTXでもうたっていますが、「厳冬期および降雪量の多い地域を除く」と但し書きがついています。そのせいなのかもしれません。いずれもっと本格的な冬靴を買うと思うので、そのときにまた比較してみたいと思います。


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この山行で使用したソックスですが、モンベルのメリノウール五本指インナーソックスに昔スキー用に買ったアンゴラウサギの毛の厚手ソックスの二枚履きでした。厚手ソックスのほうは、それほどへたっていたわけではありませんが、それなりに使っているので保温力は購入時よりも低下している可能性は高いです。なので、新しいへたっていないソックスであれば、足先がジンジンするのをもう少し軽減できたかもしれません。厳冬期の山へ入るときは、ソックスは新しいものを履いていったほうがよさそうです。







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| 冬山装備 | 19:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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キヤノン電池「LP-E6」の模造品にご注意!

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先日、アマゾンマーケットプレイスの「100%まごころこめて」というお店で、デジタル一眼レフ用の電池「LP-E6」を購入しました。価格が、5600円と安かったのでやや気になりましたが、写真で見る限りキヤノンのロゴがついたパッケージだったのでまあ大丈夫だろうと思っていたのですが、届いた製品は充電はできないし、カメラ(EOS 6D)に入れてもまったく認識されないものでした。電池裏の注意書きなどがすべて英語だったし、カメラにもともとついていた電池とはまったく異なっていたため、並行輸入品で不良品にあたったのだと思っていました。


僕が購入した商品は、「100%まごころこめて」が販売を行うものの、発送はアマゾンが行うというものだったためか、返品・返金の手続きは問題なく行えたのでだまされたというわけでもないのですが、どうも後味が良くない。もしも、販売も発送もマーケットプレイスのお店が行い、アマゾンが介在しない場合、ちゃんと返品・返金がされたのかなんともいえません。


念のため調べてみると、やっぱり模造品でした。Yahooオークションなどで購入していると、返金してもらえず被害にあっていたかもしれません。やっぱり、ネットでの買い物は、ちゃんとしたお店でするに限ります。


EOS 5DMarkⅢ/Ⅱ、7D、60D、6DなどLP-E6電池を使用する機種を使われている方は、安い電池にはくれぐれもご注意ください。アマゾンで検索すると、今でも並行輸入品と偽って販売しているお店があるようです。


なお、LP-E6以外の電池にも模造品電池があるようです。詳しくは、以下のキヤノンHPをご参照ください。


キヤノンのHP 「模造品にかんしてのご注意」はこちら



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| 写真ネタ・ニュース | 18:45 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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特に活動量の多いアクティビストのためのソフトシェル: ジョラスソフトシェルジャケット

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JORASSE SOFTSHELL JACKET(ジョラスソフトシェルジャケット) は、今シーズンに入る直前に購入したバーグハウスのソフトシェルジャケットです。このジャケットは、防風・防寒を目的としたものというよりも、積極的に衣服内の熱気を排出し、汗冷えを発生させないことを主目的に開発されたソフトシェルジャケットだといえます。


ソフトシェルジャケットとハードシェルジャケットって、何がどう違うのか、どう使い分けるのかわかりづらいところがありますが、ソフトシェルは「膜」、ハードシェルは「殻」だと考えればわかりやすいと思います。


「膜」というのは、柔らかく透湿性、通気性に富むわけですが、多少の雨や雪程度であれば濡れてふやけてしまうということがない性質だと思えばいいわけです。冬山といえど、登山中は汗をかきます。晴天で風が弱かったり、気温がそれほど低くないときは、なおさらです。そういうとき、ウィンドブレーカーやレインウェアのような通気性がそれほどでもない素材のジャケットを着ていると、どうしても体が蒸れます。蒸れると汗をかきます。汗をかくと体が冷えます。冷えると、低体温症などの危険が高まります。そういうわけで、蒸れない素材の服を着ておきたいわけですが、フリースのような通気性がすこぶるいい素材の服だと、ちょっと風があるだけで必要以上に冷えてしまいます。また、小雪がちらついているような天候のときだと、フリースが濡れたりすることがありますから、これもまずい状況になります。


というわけで、通気性がよく体の蒸れを積極的に排出して汗冷えを防止しつつ、多少の風であれば体を冷やさない程度の防風性能と小雪や霧などで衣服が濡れることを防止できる撥水性能があるジャケットが求められるわけです。そういうニーズに対応するジャケットとしてソフトシェルジャケットが生み出されたわけですが、これが帯に短したすきに長しというものが多いので困るわけです。


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僕が最初に買ったのは、モンベルのライトシェルアウタージャケットというものです。買う前は、いろんな点で一番よさそうだと思って買ったのですが、実際に使ってみるとまるでニーズに合っていませんでした。まず、表地の40デニールナイロンタフタは通気性がほとんどないみたいで、登りで着用するとすぐに蒸れてしまうというのが大問題です。その上、裏地にクリマプラスメッシュという保温素材の裏地がついているので、さらに暑いのです。下にフリースなどを着るとこの裏地との相性が悪く、着るときには引っかかるし、脱ぐときには裏地がひっついて出てきてしまい、いちいち元に戻さなければいけないという面倒くさいことになっていました。フードについてはなくてもいいと思っていたのですが、風があるときに頭が冷えるし、雪のときはつかえないし不便でした。


というわけで、モンベルのライトシェルアウタージャケットは、秋口のウィンドブレーカー代わりとして使うぐらいしか役に立たなかったのです。では積雪期はどうしていたかというと、結局厚手のフリースでソフトシェルを代用していました。しかし、これだとやはり雪が降ったりしたときは使えません。我慢してハードシェルを着るしかないのです。


昨年秋ごろから、自分のニーズに合ったソフトシェルはないものかと、いろいろと探していました。フード付で、通気性がよく、脇の下にベンチレーションがあり、ある程度の防風性能と撥水性能があり、中間着としてもそのまま使える、ソフトで伸縮性のある素材のジャケット。そして、見つけたのです。それがこの ジョラスソフトシェルジャケットです。



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表地は、青色と紺色の2色の切りかえしになっていますが、青色の部分は保温性のある生地で、紺色の部分は通気性に富む生地になっています。どちらの生地も一定の撥水・防風性能を備えている4ウェイストレッチAFソフトシェルという素材で、タイト目のサイズですが窮屈感はありません。風を受ける前面は、保温性のある青色生地で占められ、汗をかきやすい脇や腕の内側部分は、通気性の高い紺色の生地で構成されています。


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蒸れやすい背中と頭部は通気性のいい紺色の生地となっており、体幹部分を保温しながら余分な熱を逃がす蒸気発散プロセスを助けてくれます。


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フードには芯の入ったひさしがあり、その内側はコードを引っ張れば顔にフィットするようになっていて、視界を確保すると同時に風のあるときでもフードが飛ばされずにぴったりとフィットしてくれます。そのため、保温性も高まります。ただし、フードは口元まで覆うようにはなっていないし、横もこめかみのあたりまでしか覆っていないので、本当に風がきついときは、バラクラバを着用するか、ハードシェルを着る必要があります。


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青い生地の裏地は、フリースのような起毛素材で、紺色の部分はジャージのようなプレーンな状態です。


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胸ポケットやハンドポケットの裏地はメッシュになっていて、ポケットを開けばベンチレーションとしても機能します。


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ソフトシェルにはめずらしく、脇の下にベンチレーション用のビットジップもついています。


今シーズンに入ってから、このジャケットをアウターやミドラーとして着用していますが、とってもいい感じです。気温が低くないときは、インナーの上に直接アウターとして着ても良いですし、寒ければインナー+フリース+ ジョラスソフトシェルジャケットという組み合わせで十分暖かです。気温は低くないけれど風が強いという場合は、インナー+ジョラスソフトシェルジャケット+ハードシェルという組み合わせでもいいでしょう。正月の仙丈ヶ岳の時には、この上からさらにハードシェルを着ていましたが、窮屈感もなく良かったです。ジョラスソフトシェルジャケットとハードシェルのビットジップを両方開けておけば、登りでも蒸れを感じることなく快適でした。また、寝るときにも着たままでいましたが、上にダウンジャケットを重ね着してもごわつきや窮屈感もなく、特に気になることはありませんでした。


ジョラスソフトシェルジャケットは、入山から下山までずっと着っぱなしでいられる、着心地のいいジャケットで、捜し求めていたものにやっとめぐり合えたという感じです。価格も2万円を切っておりそれほど高くないので、ソフトシェルジャケットの購入を検討している人にはお勧めです。





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12日遅れの初日の出登山:伯耆大山その2

2013年1月13日 鳥取県大山町 伯耆大山・弥山(標高1709.4m)日帰り山行



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少し前まで頭を上に上げないと見えなかった大山の稜線が、横を向くだけで見えるようになってきました。朝の澄んだ空気の中に透明感を伴って白い斜面が波打っています。


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ルートを示す竹ざおは、まるで魚の背びれのようになっていました。


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雪面にあるわずかな突起に、エビの尻尾というよりも白い花びらが折り重なるような不思議な造形を見せていました。


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太陽はすでに地平線から顔を出しているのですが、稜線にさえぎられてまだその姿を見ることができません。12日遅れとはいえ、2013年の初日の出を見るつもりだったのに、結局日の出の瞬間はぜんぜん見られませんでした。なんだかなぁ・・・


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まるで湿り気のないさらさらの粉雪の上を、一筋の踏み跡がのびています。もうすぐ頂上です。


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真っ白い雪原と化した頂上台地がゆったりと広がります。


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看板の淵にだけエビの尻尾がびっしり。なぜ真ん中にはつかないのか不思議です。


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8:16 頂上避難小屋に着きました。砂糖菓子のような状態になっていますが、正面の入口から出入りできる状態でした。


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弥山から眺める剣が峰へと続く稜線には、雪庇が張り出していました。雪が少ないとはいえ、さすがに雪庇が発達するぐらいの気象条件にはなっているようです。


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南側を見下ろすと、一ノ沢と二ノ沢らしき白い谷が伸びているのが見えました。


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上から避難小屋を見ると、けっこう雪に埋もれています。


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しばらく撮影していると、3人のパーティーが剣ヶ峰への稜線に進んでいきました。よっぽど跡をたどろうかと思いましたが、彼らの装備に比べると裸も同然なので、身の程知らずの冒険はやめました。


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三角点で稜線を進むパーティーを見ていましたが、さすがに体が冷えてきたので避難小屋に引き返します。


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小屋の入口はこんな状況でした。中に入ってお茶でも飲もうかと思いましたが、クランポンをはずすのがめんどくさかったので、日のあたる小屋の横で休憩することにしました。ちょうど小屋が風除けにもなって、寒くなかったので助かりました。


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弥山の頂上では、新たなパーティーが剣ヶ峰へ向けて縦走の準備を進めています。やっぱり、ロープやスノーバーなどのちゃんとした装備を持っています。この稜線は、やっぱそれなりの準備をしていないと、万一のことを考えるとうかつに足を踏み入れることはできません。


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9:10 日が昇って、空には薄い雲が広がってきました。どうやら晴天は朝一番のごく短時間だけだったようです。であれば長居は無用です。元谷を経由して下山することにしました。


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頂上台地に光が差し始め、シュカブラを立体的に浮き立たせています。


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薄雲が広がり始めたとはいえ、天候はそれほど崩れる気配はありません。視界も良好です。


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頂上台地の突端まで来ると、白い尾根をたくさんの人が登ってくるのが見えました。


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元谷も良く見えます。避難小屋の脇にはテントが3つほど見えました。


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七号尾根らしき尾根を、どこかのパーティーが登っているのが見えました。深いラッセルに苦労しているようです。あの尾根なら、縦走ほどの装備がなくてもいけそうな感じです。


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10:05 行者コース分岐まで下りてきました。行者コースは初めてですが、元谷のほうへ降りてみることにします。


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コース入口すぐの場所から、三鈷峰が正面に見えました。


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けっこう急な坂道を下ります。トレースがいがいと踏まれていて硬いので、新雪のようにかかとからがんがん行くことができず、かなり足に負担がかかります。


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北壁を眺めながら下れるいいルートですが、気温が高くなってきて上から雪爆弾が猛烈に落ちてきて困りました。


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10:41 元谷です。下りの踏ん張りでけっこう汗をかいてしまったので、休憩をかねてフリースを脱ぐことにしました。



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すっかり空が白くなってしまい、せっかくの北壁も迫力不足でいまいちでした。元谷の奥で、犬を連れたグループが遊びに来ているようでしたが、おばさんが大きな金切り声を上げてやたらと犬を叱り飛ばしているので、うるさいしうっとおしいしでうんざりです。しつけは家でやってきてほしいものです。ついでに飼い主のしつけも誰かしてくれないものでしょうか。


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元谷を越えて、林道入口へと向かいます。けっこう雪が深くて、ちょっと踏み跡をはずすと膝下までずっぽりでした。


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行者コースにも踏み跡がありましたが、めんどくさいので林道で帰ることにしました。


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ハイシーズンになると、カーブミラーは頭だけ残して埋もれているし、林道も平坦な状態ではなくただの斜面と化しているのですが、このときはまだ道としての雰囲気をしっかり残していました。


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11:26 下宝珠越え入口です。踏み跡がついていました。


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ここから行者コースのほうへと下ります。


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11:33 大神山神社に着きました。


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参道の階段はすっかり白い斜面になっていました。


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普通に参道をくだっても面白くないので、旧参道から金門のほうへまわってみることにしました。ここから左へ入って行きます。


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踏み跡はありましたが、さすがにひとり分しかありません。


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金門が見えてきました。


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両側から巨大な岩が迫っている、まさに門のような場所です。


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天気がよければ、元谷とその奥の北壁がなかなか見ごたえがある場所なのですが、今日はぼんやりしていまいちです。


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参道に戻って、駐車場へと向かいます。


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12:16 駐車場に戻ってきました。朝5時前から行動していたので、かれこれ7時間ほど歩いていたことになります。おなかもすいたし、さすがにけっこう疲れました。

 ■山行データ
<往路所要時間> 3時間35分(撮影・休憩時間を含む)
南光河原駐車場4:53→三合目5:51→六合目避難小屋6:49→弥山山頂8:28

<復路所要時間> 3時間30分(撮影・休憩時間を含む)
弥山山頂8:46→行者コース分岐10:05→元谷10:41→大神山神社11:33→駐車場12:16

<登山道情報>
このときは雪はそれほど深くはなかったですが、1月18日あたりにかなり積もったようなので、状況は変わっているはずです。

夏山登山道とはいえそこそこ傾斜があるので、1合目あたりからクランポンを装着しておいたほうが登りやすいと思います。冬季は4本爪などは役に立ちませんので、軽装備で安易に登らないように。




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| 2013年1月 大山弥山 | 22:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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12日遅れの初日の出登山:伯耆大山その1

2013年1月13日 鳥取県大山町 伯耆大山・弥山(標高1709.4m)日帰り山行


せっかくのチャンスを寝過ごして、正月に仙丈ヶ岳から初日の出を見ることができなかったわけですが、その後当然のことながらわざわざ初日の出を見るためだけに早起きなどできるはずもなく、すっかり正月気分も消えてしまったのでした。


成人の日がらみの連休が三連休になれば八ヶ岳にでもと思っていたら、中日の13日以外は仕事が入ってしまい、そのもくろみもパー。しょうがないので、大山にでも登ろうかと思っていたら、うまい具合に13日だけ晴れマーク。ただし、晴れのち曇りなので、たぶん朝のうちだけ晴れるのだろうと考え、それならば12日遅れの初日の出登山にしようと思い立ったのでした。


早く寝ようと思いつつ、結局ベッドに入ったのは23時30分。すぐに寝付けたのですが、なぜか1時30分に目が覚めてしまいました。これでは睡眠不足でつらいぞと思いつつも、ここで二度寝したらたぶん朝までコースになってしまうと思い、シャワーを浴びて目を覚まし、2時30分頃に出発したのでした。


下道を走ると3時間ぐらいかかってしまうので、今回は素直に高速道路をひた走り、南光河原駐車場に4時30分ごろ到着。かなり埋まっていましたが、3台ほどの空きスペースがあり、なんとか車を止めることができました。


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4:53 まだ真っ暗で誰もいない駐車場を出発します。


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路肩に雪の壁ができていましたが、夏道への上り口には踏み跡があり、すぐにわかりました。


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踏み跡はしっかりとしまっていましたが、かちかちに凍結しているわけではなく、前日に積雪があったようです。


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5:11 一合目です。風はわずかにある程度ですが、明け方ということでけっこう冷えます。天気予報では、山頂付近の気温が-1度程度とこの時期にしては暖かそうだったので、中厚手のウールインナーの上にソフトシェルジャケットという服装で来たのですが、さすがに保温層が薄すぎたようで、かなり体温を奪われる感じです。


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5:29 二合目です。このあたりから吹き降ろしの風が出てきました。動いていればそれほど寒さは感じないと思っていたら、けっこう体が冷えてきました。道の傾斜もきつくなり、クランポンなしでは厳しいところも出てきたので、風がしのげるところが見つかり次第、クランポンを装着し、フリースを着ることにしました。


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5:51 結局、途中にいい場所がなく、三合目まできてしまいました。三合目の道標前がちょうど風があまり当たらない状況だったので、ここでクランポンを装着します。体がかなり冷えてしまったようで、なんとなく気分が悪いような感じがしました。寝不足が原因かとも思いましたが、ソフトシェルの下にフリースを着て体が温まると回復したので、冷えすぎて体調が悪くなっていただけのようです。


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真っ暗な森の中を歩いていくと、周りの木々がぼんやりとヘッドライトに浮かび上がり、ちょっと幻想的です。枝に雪がついているので、それが光を反射して浮かび上がらせるのでしょう。


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6:08 四合目です。まだまだあたりは真っ暗です。このあたりから枝に着いた雪の量が増えてきました。エビの尻尾も見かけるようになってきました。前日は、そこそこ吹雪いたのかもしれません。


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6:24 五合目です。突然あたりが白くなってきました。ガスが出始めたようで、このまま上までガスの中だと嫌だなあと思いながら先に進みます。


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6:49 六合目避難小屋に着きました。あたりはようやく白み始め、周囲の風景も多少見えるようになってきました。ガスは相変わらずです。避難小屋入口は雪に閉ざされることもなく、普通に立ったまま出入りすることができました。今年は、まだそれほど積雪が多くないみたいです。中に入って少し休憩しました。



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7:00 ストックをアックスに持ち替えて、避難小屋を出ました。東の空がだいぶん明るくなっています。


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少し登るとガスが消え始め、北壁が良く見えるようになってきました。


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7:14 東の空が赤く色づいてきました。三鈷峰が朝焼けの空にエッジを刻んでいます。


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登山道の先を見上げると、すでに下山してくる登山者がいます。日の出前に下山してくるなんて、どういう理由なのかと不思議に感じます。


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三鈷峰の背後にある雲が紫色に染まってきました。


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このまま朝焼けになればと思いましたが、上空には雲がなく、期待したほどには焼けませんでした。


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下に目を向けると、大きな波のような雲が大山に向かって押し寄せてきます。


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三鈷峰の足元に到達した雲は、そのまま駆け上がってくることなく、元谷手前で立ち往生です。少しの間撮影で足を止めると、すぐに手足の指がしびれてきます。それほど気温は低くないとはいえ、氷点下で風に吹かれていると長い時間立ち止まっていることはできません。


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7:40 草鳴社ケルンは、まるで大きな翼のような姿になっていました。ニケの翼を思い出しました。


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元谷手前で立ち往生していた波のような雲は、いつの間にか消えていました。雲海になることをひそかに期待していたのですが、それも期待はずれのようです。


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頂上大地の突端まできました。空はすっきりと晴れ渡っています。


つづく。




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| 2013年1月 大山弥山 | 12:48 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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厳冬期の南アルプスデビュー戦: 仙丈ケ岳その3

2012年12月31日~2013年1月2日 南アルプス仙丈ケ岳


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小仙丈ケ岳山頂で少しの間晴れ間が覗くのを待ち続けたのですが、そんな気配はまったくなく、吹き付ける強風にただ体温をうばれていくだけの数分間でした。手の指先も、足の指先も、時間と共に痛みとも痺れともいえるなんともいえない不快な感触に蝕まれていくのを感じながら、せめて仙丈ケ岳の姿を一瞬でも目に焼き付けて帰りたいという願いもむなしく、ガスは山頂付近にとどまり続けていました。これほど強い風が吹いているのに、なぜ晴れないのか不思議ですが、自然の摂理の前には、小ざかしい人間の願いなど何の役にも立ちません。できることなら、厳冬期の北岳の姿も見たかったのですが、どうやら今後のお楽しみということになりそうです。


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仙丈ケ岳のある南側と北岳などがある東側だけガスで覆われているのに比べて西から北にかけてはわりと視界が利きます。西側は馬の背の尾根が見えています。


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北(正確には北東)には甲斐駒が、舞い上がる雪煙の彼方に白く輝いています。


11:50 いつまでも極寒の山上でじっとしていると、手足の指が凍傷になりかねません。後ろ髪をひかれる思いで、山頂を後にしたのでした。


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あえぎながら登った道は、今度は快適な斜面です。しかし、疲れて脚ももつれ気味です。稜線ではないとはいえ、転倒はなにかと怪我の元です。転ばないように、慎重に斜面をくだります。


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13:15 三合目までもどってきました。かなりバテ気味だったので、荷物を下ろして休憩をとりました。ふと右手をみると、三角形の見事な山容の山が見えます。「あれは・・・北岳か?」 あの姿はおそらく北岳に違いありません。小仙丈ケ岳の山頂からはまったく見えなかった姿が、ここにきてようやく見ることができました。国内第2位の高峰、そして僕が初めてソロテント泊で登った山です。苦しくつらい山行でしたが、山の魅力にすっかり魅せられてしまったのが北岳でした。あそこが僕の山の出発点です。いつか真っ白いあの頂に立てれば最高なのですが、はたしてそんな日が来るのでしょうか。(この写真から、ふたたびFT1の写真になります)


ぬるくなったお湯を飲み、僕は出発しました。二合目まではそれほど時間はかからないはずです。しかし、足取りは重く、体も疲れています。あきらめていた北岳を見れた喜びはすぐにトーンダウンし、早くテントに戻って休みたいという気持ちばかりが心に広がります。いつもなら写真を撮ろうとあちこち見ながら歩くのに、視線は足元にばかり落ち気味です。つらい下山でした。


ふと目を上げると、下のほうに平らな鞍部が見えました。あんな場所あったっけ? と思いながらもコースを目で追っていくと、鞍部の手前に二合目の道標が見えたのです。なんだ、もう二合目まで下りてきたのか。道標までの距離は、せいぜい50mほどのように見えました。鞍部は二合目より下にあったのなら、登りのときに気がつかなかったのは当然だなと思いながら、二合目の道標に向けて歩き出しました。


歩きながら、ふたたび視線は足元に落ちます。下り坂なので、足元に注意するために自然にそうなっていたのでしょうし、疲れていて周囲に気を配る余裕がなかったのもあるでしょう。何も考えないで、ただもくもくと足元を見ながら下っていると、目の前に鞍部がありました。
『あれ? 鞍部まで下りてきてしまった。』
二合目の道標を見落としてしまったのかと思い振り返ってみましたが、どこにも道標がありません。思ったより鞍部から上にあったのかと思い、仕方がないので坂道を引き返しました。疲れた体にはこたえる登り返しです。少し登って見通しのきく場所になったのですが、どこにも二合目の道標はありません。


『おかしいなぁ。さっき確かに二合目の道標を見たのに、なんでないんだ? 上から見たときは鞍部の手前に見えたんだから、ここらあたりのはず。なのに、なんでないんだ? もしかしてまだ上なのか。』
しかし、そんなはずはありません。登り返してきたこの場所から見る鞍部は、さっき二合目の道標が見えたときの鞍部と、距離的にそれほど違っているようには見えないから、まだずっと上というわけはないのです。目を凝らして上のほうを見ても、それらしい道標はまったく見当たりません。少し登り返してみたものの、もうこれ以上戻る気にはなりません。


こんなときすべきことは、GPSで標高や緯度経度を確認し、地図と照らし合わせて現在地を確認すればいいのです。至極簡単なことなのですが、疲れているとなぜかそういうことがめんどくさくなってしまうのが問題です。GPSはショルダーベルトにぶら下げているし、地図はジャケットのポケットに入っているのだから、バックパックを下ろす必要もないので、立ったまますぐに確認できるはずです。しかし、このとき地図がどこにあるのか、GPSがどこにあるのか、なんとなくわかっているようでわかっていない、おかしな感覚になっていました。低血糖で頭がぼけていたのかもしれません。戻ろうかと思いながら、足は動きません。そうかといってさっさと下るという決断もなかなかつきません。しかし、結局のところ、地図がどこにあるのかいまいちよくわからないし、探すのも面倒なので、このまま下ってしまおうと思ってしまったのでした。


幸いトレースはしっかりしており、このままこのトレースを下れば北沢峠に出るということはわかっていました。二合目からの近道を使うよりも少し遠回りになりますが、登り返しがあるわけでもないのでまあいいかという感じです。今考えると、まるで遭難者の思考パターンです。道がわからず山中を歩き回って疲弊してしまい、登り返す気力も体力もなくしてしまった結果、とにかく下ればどこかに出られるはずだと考えてしまう思考パターンに近いものがあります。疲れて血糖値の下がった状態の脳は、危険を判断する能力さえなくしてしまうのかもしれません。そして、自分に都合のいい判断を下してしまうようです。もっと怖いのが、自分が欲しているものを見たり聞いたりするということ。遭難者の手記を見ると、救助隊や他の登山者などの幻覚や幻聴を見聞きしています。僕が見た二合目の道標は、早く二合目に着きたいという思いが見せた幻覚だったのかもしれません。


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13:40 二合目は通り過ぎてしまったものと思い込んで、歩いた記憶のない鞍部を越えて軽く登り返し、再び下り始めたとき、前方に再び二合目の道標を見つけました。しかし、それは消えてなくなることなく、実体となって目の前に存在していました。本物の二合目の道標だったのです。であれば、さっき見た道標はなんだったのか。なにか釈然としない気持ちながらも、来た道を通って帰れることにほっとしたのでした。


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14:10 二合目から南アルプス林道まではわずか30分しかかかりませんでしたが、相当長い道のりに感じました。写真を撮ることすらすっかり忘れていました。テープに番号が書いてあり、はじめのうちはそれを数えながら歩きましたが、数えても数えてもなかなか減らない数字に嫌気がさし、すぐに数字を見ないようにして下りたのでした。無事に戻ってきた安堵感が頭を正気にさせたのか、ここにきてやっと写真を撮ることを思い出しました。無事下山できたことを祝して、場違いながら、万歳! 


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その夜はきれいな星空が頭上に広がりました。せっかくなのでテント場の星空を撮影してみました。





1月2日の朝、目が覚めて外を見ると雪が降っていました。視界はあまりありません。天気が良かったら甲斐駒ヶ岳に登ってみようかと思っていましたが、この天気では中止です。残念というよりもどちらかといえば下山するための大義名分ができたことで安心したというほうが正直なところです。


何も急ぐ必要がないので、ゆっくりと朝食をとり、テントの撤収にかかりましたが、雪が凍結していて竹ペグを掘り出すのにけっこう苦労しました。



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9:02 雪の舞う中でテントを無理やりバックパックに押し込んで撤収完了です。帰り際に記念に撮った写真ですが、中央の半分雪をかぶったテントは、31日からずっと雪をかぶった状態でした。もしかしたら甲斐駒で行方不明になっているらしい大阪の男性のテントだったのかもしれません。


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9:28 北沢峠の下山口に着きました。雪は小降りになったもののまだ降り続いていました。


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さあ、ここから丹渓山荘まで長い下り道です。途中、ビバークしたのか、テントを張った跡が3箇所ほどありました。出発が遅かったり、途中でばてたりすると日のあるうちにテント場までたどり着けない人もいるのでしょう。


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丹渓山荘直上の急斜面を慎重に下ります。


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11:44 丹渓山荘下で大休止です。仙丈ケ岳への行動食で食べるはずだった、かちかちに硬くなったスニッカーズを食べてみました。最初こそ硬いものの、口に入れるとすぐに柔らかくなったので、冬場でも行動食としては使えそうです。


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11:58 どんよりとした空の下、再び長い河原歩きです。


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途中、鹿の頭蓋骨が下山方向をにらんでいました。


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14:46 最後の堰堤を越えました。ここから駐車場が見えるかと思っていたら、山陰に隠れて見えません。見えないとなると、どこにあるのかわからないので、まだまだずっと先にあるように感じてしまい、気持ちが落ち込みます。


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14:59 やっと駐車場に戻ってきました。長かった・・・ そして疲れました・・・ 


帰りは戸台口にある仙流荘で温泉につかり、伊那市内で食事をしてから中央高速道にのりました。たぶん途中で眠くなるからどこかのPAで仮眠して帰るつもりでしたが、なぜか全然眠くならなくて、仮眠もとらずに運転し続けて、午前2時に家に帰り着いたのでした。


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■山行データ
<戸台~北沢駒仙小屋テント場間往路所要時間> 7時間51分(休憩時間を含む)
駐車場7:50→丹渓山荘11:44→テント場15:41

<テント場~小仙丈ヶ岳往路所要時間> 4時間32分(休憩時間を含む)
テント場7:08→二合目8:03→大滝頭9:59→小仙丈ヶ岳11:40

<小仙丈ヶ岳~テント場復路所要時間> 2時間29分(休憩時間を含む)
小仙丈ヶ岳11:50→大滝頭12:26→二合目13:42→テント場14:19

<復路所要時間> 5時間57分(休憩時間を含む)
テント場9:02→丹渓山荘11:44→駐車場14:59



<登山道情報>
雪はそれなりにありましたが、トレースはしっかりしており、足が潜ることもなくラッセルが必要なところもありませんでした。ワカンはまったく使いませんでしたが、やはりこの時期山に入るのであればいちおう装備しておいたほうがいいと思います。

テント場はそれほど混雑していませんでした。テント泊の受付時に、水はテント場の隣を流れる小川の水を沸かして使用してくれといわれました。上流に仙水小屋があるのでどうかという気もしますが、まあ排水を垂れ流しているわけではないでしょうから、気にしなくてもいいのでしょう。汚れているのなら北沢駒仙小屋でも使うなというでしょうし。

北沢駒仙小屋の隣にトイレがあり、使用可能です。ただし、男女共用で、手洗いの水場は凍結して使用できません。テント場の横を流れる小川まで洗いに行くか、ウェットティッシュなどを用意しておく必要があります。トイレ自体は思ったよりはきれいでした。寒いのでにおいもありません。ペーパーもあります。

北沢駒仙小屋は年末年始は営業していますが、宿泊するのであれば事前の予約はとったほうがよさそうです。



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| 2013年1月 仙丈ケ岳 | 12:49 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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書籍: 「安心登山の技法」 洞井孝雄 著

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登山に関するちょっと面白い本を見つけたので紹介しておきます。

著者は、日本勤労者山岳連盟副会長、愛知県勤労者山岳連盟会長・理事長を務める方です。本の内容は、登山専門誌「岳人」に連載された「よくある話<考>」と中日新聞文化欄に連載された「みんなの山登り」および所属山岳会の会報に掲載された文章などをまとめたものです。

二部構成になっており、一部の「よくある話<考>」はなかなか辛口な内容になっていますが、なるほどと納得させられたり、自分にも多少思い当たることもあって反省させられたりと、登山をする人間にとってはマナーやモラルなどに関してかなりためになる内容だと思います。二部は「長く山を楽しむために」ということで、様々な山でのエピソードをもとに装備に関することや道具の使い方などに幅広く言及していて、こちらは実践的な参考書として役立つ内容になっています。

一部の話の中で共感したことと共感できなかったことがあったので、その2つを紹介させていただくことにします。


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共感した内容は、「山で酒を飲んではいけない」というお話。本文を一部抜粋させていただくと、
『酒を飲んではいけないとはいっても、行動中もしくはこれからまだ行動が残っている場合には、という但し書き付きである。<中略> 行動中に酒を飲むな、というのは、飲酒運転や酒気帯び運転が危険だというのと同じである。飲酒が判断力や瞬時の対応を鈍らせ、大きな事故につながる危険があることは周知の事実だ。加えて、スポーツの世界で競技中に酒を飲む人はいない。それが、なぜ、登山に限って平気で行われるのだろう。一日の行動は、いってみれば試合と同じだ。野球だってサッカーだって、誰も試合中に酒を飲まない。それなのに山では日常茶飯事だ。疲労し、血糖値は下がり、さらに睡眠不足などの影響もあるなかで、休憩だからといって酒を飲めば、脈は早鐘を打ち、呼吸は荒くなる。酸素不足になった脳は・・・。そしてふと気がつくと、足の下に地面がない、ということになるかもしれない』

これは、以前から僕も感じていたことで、昼飯時に山小屋に立ち寄るとたいていうまそうにビールを飲んでいる人を見かけるのですが、これからまだ下山や縦走をしようというのによくまあアルコールを摂取できるものだといつもあきれています。自分でわざわざ危険に遭遇する確立を高めているわけですから、よほど危険なことがお好きなんでしょう。遭難された方に行動途中でアルコールを摂取したかどうか聞き取り確認をしてみれば、案外高い確率で摂取したという答えが返ってくるのではないかという気もしないでもありません。いずれにしても、行動中にアルコールを摂取した時点で、その後の行動は酒気帯び運転と同じことだという自覚を忘れないようにしたいものです。




共感できなかった内容は、「仲間意識というもの」というお話の中のエピソードについてです。この話は、登山学校の実技のときの話です。著者がリーダーとなって下山しているときのことですが、『下りではパーティーが縦に長くのびた。二番手との間が開くが、かまわず一定の速度で下山を続ける。<中略>先頭としてはまずパーティーを引っ張ることが大事だろう。』というくだりがあります。この後、このパーティーは、遅れた後続が道を間違え、カットする予定だったピークのほうへ登っていってしまったのです。

このときの状況は、強い雨の中で途中のピークをカットして下山するということだったのですが、後続との間が開いていることがわかっていながら、パーティーが分断されることを防止するために速度を緩めることなくどんどん先に下ってしまうというのは、リーダーとして正しい判断なのだろうかと疑問に思うわけです。登山学校の実技であるということを考えれば、受講生にパーティーでの歩き方や、仲間のことを考えた行動をとることの大切さを教えるために、あえて先頭が速度を落とさなかったのかもしれません。しかし、現実に後続のグループは道を間違えて、パーティーは分断されてしまったわけです。

後続が遅れるには理由があります。遅れ始めた後続の先頭を歩く人が疲れてるとか、脚や膝に何らかのトラブルを抱えたか、はたまた他の登山者との間に技量差があるなど、いろいろなことが考えられます。間が開き始めたのであれば、なぜ同じペースで下れないのか確認し、理由によってはそれ相応の対策を検討するのがリーダーの役目だと思うのです。もしも捻挫などしているのに無理して下り続けて、途中で歩けなくなったらそのほうが問題です。たまたま大事に至らなかったからいいものの、何かが起こってしまってから反省しても役に立ちません。パーティーの中で一番弱い人に気を配り、弱者に無理を強いることなく全員を安全に下山させてこそのリーダーだと思うわけです。後続のことも考えず自分のペースでどんどん下ってしまい、ついて来た者だけ下山させてやるというのでは、パーティーのリーダーとしての資格はありません。

もっとも、この話の中では、グループの途中や最後尾にコーチやアシスタントがいて、彼らがピークをカットすることは理解していたという前提があったので、まさか彼らまでが間違ったルートにそのまま進むとは思っていなかったということのようです。確かに、登山学校の実技登山で、コーチやアシスタントなどのスタッフがそんなミスを起こすとは思わないでしょうから、その意味では先頭のリーダーだけに問題があるとはいえないのかもしれません。とはいえ、他の話ではパーティーが別れたことを問題として指摘していることもあり、悪天時にパーティーが分断されるようなペースで下山を続けることが正しいことだとは、僕には思えません。


というように、中にはどうだろうかと思うような部分もあるかもしれませんが、自分なりに考えながら読む本としてはいい本だと思います。







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| ヤマネタ・ニュース | 16:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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厳冬期の南アルプスデビュー戦: 仙丈ケ岳その2

2012年12月31日~2013年1月2日 南アルプス仙丈ケ岳


午後7時過ぎには寝袋にもぐりこんだものの、しばらくは寒さ、疲れ、筋肉痛でなかなか寝付かれず、なんとなくうとうとしているような状態でした。


午前0時を回った頃、体中の筋肉が硬直するような不快感に襲われ、無性にストレッチがしたくなりました。そういえば、テント場についてからストレッチなどは何もしていません。寝袋から這い出して、首やら肩やらを回してみたり、足や背中の筋を伸ばしたりと、狭いテントの中でできる限りのストレッチを行うと、なんとか体の不快感は治まりました。


そうなると、今度は空腹感がじわじわと沸き起こってきます。そういえば、お餅を4つ持ってきていたはず。お正月でもあるしインスタント味噌汁に入れてお雑煮代わりに食べるか、ということで作った簡易お雑煮のうまかったこと。テントの中にいるとおよそお正月を想像させるものなどありませんが、わずか2個のお餅だけでなぜかお正月気分になれたのでした。


空腹感もみたされ、体が温まり、筋肉痛はあるものの体の不快感も低下し、これで早起きして仙丈ケ岳からご来光が見られれば最高の年になりそうだと思い、アラームを3時にセットして寝袋にもぐりこみました。


すっかり寝入ってしまったらしく、ふと気がつくとまだあたりは真っ暗です。まだ時計のアラームがなっていないので、3時前ということでしょうか。寝袋から手を出して枕もとのヘッドライトと腕時計を手探りで探し当て時刻を確認したところ、わが目を疑いました。「4:37」! 3時にセットしたアラームは、ひとりむなしく鳴り響いていたらしいのですが、一定時間鳴り響いて自動的に止まったわけです。冬用寝袋に頭からすっぽり包まって寝入ってしまった僕には、時計のアラーム音は意識を揺り起こすほど響いてこなかったのです。今から大急ぎで準備して5時に出発できたとしても、日の出時間までには森林限界の高さにすら届いていないことは明らかです。(落ち着いて考えれば、3時に起きて4時に出発したとしても日の出時間に登頂というのはしょせん無理なんですけどね。森林限界に出られればOKというレベルの話です。)


もはやこれまで。ご来光はすっぱりあきらめて、とりあえずしっかりと朝食をとることにしました。目覚めたときのテント内温度が-10度(腕時計の計測限界が-10度なので、実際はもっと低かったかもしれません)でしたから、外気はそれよりももっと低かったはずです。朝食は、当然ながらいつものラーメンです。今回はちょっと贅沢して焼き豚のブロックを持ってきたので、それをカットして贅沢チャーシューメンの出来上がりです。ハフハフいいながら熱いラーメンを流し込めば、眠っていた体と頭も目を覚まします。しかし、強烈な筋肉痛と体の重さはいかんともしがたい感じです。


食後にお茶を飲み、お湯を沸かしてポットにつめ、カメラなどの必要な機材と、万一のことを考えてダウンジャケットなどの防寒着もバックパックに詰め込みました。気温の低さを考慮し、手袋はジオラインのインナーをウールの薄手インナーに変更。その上にシェトランドウールグローブ、オーバーグローブという組み合わせにし、とりあえずミトンは様子見で着けずに行くことにしました。上半身は、ドライレイヤー、ウール厚手ベースレイヤー、フリース、ソフトシェル、そしてハードシェルまで着込みます。いちおう買う前にぱつんぱつんにならないか確認して購入しているので、これだけ着込んでもとくに窮屈ではありません。ソフトシェル、ハードシェルともにわきの下にベンチレーション用ビットジップがあるので、両方とも半分あけて熱気がこもらないようにしておきます。それでも暑ければハードシェルを脱げばいいだけです。下半身は、寝ていたときのインナー2枚履きの上に直接ハードシェルパンツをはきます。下半身はおそらくこれで大丈夫なはず。


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7:08 靴を履き、クランポンを装着し、アックスを身につけて、いざ出発です。結局なんだかんだで7時を回ってしまい、すっかり太陽が昇ってしまいました。1時間で出発するつもりが、2時間以上経っています。なんでこんなに時間がかかったのか、自分でもよくわかりません。そのせいか、少々あせっていたのかもしれません。このとき、非常に重要なものをテントに置き忘れていることにまったく気がついていませんでした。


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目指すは正面に見える小仙丈ケ岳の白い頂のそのまた奥にある仙丈ケ岳。標高3032.6m。テント場の標高が約2000mですから、1000mの高低差です。過去の自分の雪山での経験では、おおよそ1時間で標高差130mほどのペースです。そのまま当てはめると7.7時間もかかることになります。荷物が軽いということで、多少早くなったとしても、せいぜい7時間まで縮められるかどうかでしょうか。とすると、早くても午後2時に登頂できるかどうかというところです。たとえ登頂できたとしても、はたしてそんな時間から下山して日没までに帰ってこられるでしょうか。考えてもしょうがないので、とにかく出発です。


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北沢峠から仙丈ケ岳へのメインルートは、長衛荘の前から尾根伝いに上がっていく夏道ルート同じです。テント場から行く場合は、林道に出たところから尾根斜面を斜めにトラバースして二合目に合流する近道がついています。踏み跡もついていたので、当然近道から登ります。


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林道の先には、朝日を浴びて赤く染まった山の斜面が見えていて、まだ日陰の暗い森とのコントラストが印象的です。


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ルートはしっかりと踏まれており、踏み外さない限りは深くもぐるようなことはありません。ワカンも担いできていますが、昨日の登山道でも必要なかったので、今日はテントにおいてきました。踏み跡がしっかりしているため、案外さくさくと歩けます。あまり人の歩いていない岡山県北の山に登るより楽チンです。



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やがて、日が差し始めましたが、思ったより気温は上がりません。スタート直後は-8度ぐらいでしたが、いまだに-6度ぐらいです。



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8:03 二合目に着きました。標高はおよそ2170m。1時間で170mなので、なかなかいいペースです。



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しかし、本コースに合流してからが本番です。傾斜が急になり、息が上がります。



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8:49 三合目です。


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振り返ると木々の向こうに稜線が見えていました。あれは鋸岳でしょうか。



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右手方向にもどこかの山が見えていましたが、同定することができませんでした。アサヨ峰あたりのような感じです。


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9:13 四合目です。やや平坦で広くなっていたので、ここで大休止をとりました。GPSによれば、標高はおよそ2400m。1時間で200mにペースアップしていました。この分なら、お昼過ぎには登頂できるかもと、期待に胸が膨らみます。それでは、シャリバテにならないようにしっかりとエネルギー補給をしておこうと思い、バックパックの天蓋のポケットから行動食を取り出そうとして愕然としました。ないっ! 行動食を入れたいつものメッシュケースが入っていないのです!! 昼食もかねた行動食なので、あのケースがなければ何も食べるものがないということです。他も探してみましたが、バックパックの中のどこにも入っていません。落ち着いてよく考えると、準備していたときにやや多めに行動食を持って行こうと中身を追加するために取り出して、そのあといったん他の食料などの脇に置いてから、バックパックに戻し忘れていたのです!

「信じられん・・・」 己の馬鹿さ加減を呪いました。手元にあるのは、カメラケースのポケットに入っていたひとかけらのチョコレートとポットにつめた1リットルに満たないお湯のみ。お湯があるだけましですが、猛烈にカロリーを消費する冬山で、何も食べずにこれからさらに600mを登って帰ってくるなんて、はたしてそんなことが可能なのでしょうか? すでに朝食を食べてから4時間が経過しています。そろそろ空腹感が頭をもたげてきてもおかしくない頃です。撤退か、強行か、気持ちは揺れ動きます。まだ4合目に到達したに過ぎません。しかも、現在空腹でばてているわけでもありません。天候も落ち着いているし、条件としては悪くない。であれば、とにかく行けるところまで行くしかない。ただし、帰りのことを考えて、バテバテになる手前で引き返すこと。そうと決まれば行くしかありません。ひとかけらのチョコレートをお湯と共にゆっくりと味わって、さらに上を目指して出発したのです。



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しだいに雪が深くなり、周囲の木々にもたくさんの雪が積もっている状況になってきました。


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傾斜もさらにきつくなり、時にはつま先をけりこんでステップを切りながら登らないといけない場所も出てきます。


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途中苦しくて立ち止まって休憩しているときに振り返ると、甲斐駒ヶ岳が目の前に大きく見えました。


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突然傾斜がなくなり、平坦な森の中を進むルートになりました。


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9:59 大滝頭という分岐点に到着です。標高はおよそ2520mです。誰もいませんが、ストックやらスノーシューやらがデポしてありました。だいぶん空腹感がましてきて、体もやや重い感じになりつつあったので休憩をとろうかと思ったのですが、西側から吹き上がってくる風がかなり冷たくて、じっとしているとすぐに体が冷えてしまいそうです。とにかくもう少し先に進んで、風の当たらない場所を探すことにしました。


ところで、いつも左のショルダーベルトに取り付けているカメラケースに入れている記録用デジカメFT1ですが、あまりの寒さにバッテリーが瀕死の状態になってしまい、このあとはソフトシェルジャケットの胸ポケットに入れて暖めることにしました。その上、あまりの風の冷たさにハードシェルのジッパーを閉めてしまうことになったので、ここから先の写真は首からぶら下げた一眼レフEOS 6Dの写真になります。EOS 6Dは極寒の強風吹きすさぶ中、4時間も裸で首からぶら下げていたにもかかわらず、電池の残量メモリがひとつも減ることなく、満タン状態のまま持ち帰ったのです。条件が厳しくなればなるほど、一眼レフのタフさが際立ちます。


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大滝頭から上は森林限界に近づいてくるので、登るにつれて木々がまばらになり、一本一本の木々も小さくなっていきます。急傾斜は相変わらず続きますが、よく踏まれているおかげでそれほど登るのに困りません。しかし、何も食べていないことによる疲労感が、確実に足にくるようになってきました。


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振り返ると、甲斐駒と鋸岳が一体となった巨大な山塊がどっしりとした姿を見せていました。


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いつの間にか森はなくなり、まばらに細い低木が生えているだけの世界になりました。森林限界を突破したのです。さえぎるものがなくなった稜線は、風がますます強まります。時折突風がドカーンと右側からぶち当たってくるのですが、そのたびによろめいて倒れそうになるのは完全にシャリバテ状態になりつつある証拠です。


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10:49 雪の中からわずかに頭を出した六合目の道標を見つけました。まだ六合目なのかと思うと、気持ちも萎えます。


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急傾斜を登りつめると、やや緩やかになった稜線の道が続いているのが見えました。あのピークが小仙丈ケ岳なのでしょうか。いや、おそらく偽ピークだろうなと思いながら、強風に逆らいながら一歩ずつ踏みしめるように先を目指して進みます。


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強い風が作り出す自然の造形「風紋(シュカブラ)」です。風が舞い上げる雪つぶてが、サングラスの隙間から顔面を直撃すると猛烈に痛いので、ゴーグルに付け替えて、ハードシェルのジッパーを上まで引っ張り上げ、完全に顔が隠れるようにして進みます。バラクラバはすでに着用しているのですが、これで口を覆ってしまうと呼吸が苦しくて死にそうになるので、口を覆う布をあご下まで引き下げざるを得ません。ハードシェルのジッパーを、口が隠れない程度に下げることで、とりあえず呼吸を確保しつつ、顔を保護するという状態です。厳冬期強風下の山では、バラクラバよりもフェイスマスクのようなタイプのものを使ったほうがいいかもしれないという気がします。


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再び傾斜がきつくなり、空腹と寒さと疲れから一歩進んでは呼吸を整えるという、まるでヒマラヤ登山でもしているかのような状態です。コースに設置された旗ざおを目標にしながら、あの旗まで行ったらやめてもいいと自分に言い聞かせながら登り続けました。そして、何本目かの旗まできたとき、ようやく前方のピークに小さな道標らしきものが立っているのが見えました。あれがおそらく小仙丈ケ岳に違いない。しかし、そこまではまだ登らなければならないのです。もう、ここでやめようか。どうせ仙丈ケ岳本峰まではいけそうにないし、それならどこでやめても同じ。しばらく立ち止まってピークを眺めていましたが、ふと気がついたのです。たいして傾斜が急ではないことに。ピーク直下はそれなりの傾斜ですが、そこまでの傾斜はそうとう緩いのです。これなら、10分程度で着けそうです。


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後ろを振り返ると、歩いてきた真っ白い稜線がずっと下まで続いています。これだけ歩いてきたんだから、もう10分ぐらい登ってもいいだろう。どうせなら、せめて名前のあるピークを踏んで帰ろう。


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11:40 きっちり10分後、僕は小仙丈ケ岳のピークに立ったのです。ガスの向こうにわずかに仙丈ケ岳の姿がうっすらと見えましたが、あっという間に見えなくなりました。


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稜線をたどって戻ってくる登山者が見えました。なんとなくこのままいけそうな気になりますが、突風が吹くたびによろめいて踏み跡から落ちそうになるような状態です。いままでは踏み跡からはずれても深い雪に埋まるだけで済みましたが、今度はせまい稜線です。この先は、うっかりよろめいて足を踏みはずことは許されないのです。


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踏み跡から外れるということは、急斜面に足を踏み出すのと同じこと。もしも大きくバランスを崩して立て直すことができなかったら・・・ 小仙丈ケ岳直下の斜面は、カチカチに凍りついていました。この先そんな斜面で足を踏み外したらどうなるか、考えるまでもありません。

稜線を取り巻くガスは、ほとんど一瞬も晴れ間を見せてくれません。仮にうまく仙丈ケ岳へ登頂できたとしても、空腹と疲労と寒さで疲弊した状態で無事に戻ってこられるでしょうか。疲れは判断力を低下させ、体の動きを鈍らせます。ミスを起こす可能性は、むしろ下山時のほうが高くなるのは常識です。

また、天候が急変した場合、はたして体温を維持することができるのでしょうか。ツェルトはあります。ダウンの上下もあります。しかし、体温を維持するためにはカロリーのあるものを食べなければいけないのに、持っているのはわずか1リットルにも満たないお湯だけ。バーナーはテントに置いてきたので、お湯がなくなれば体を温めるものは何もないのです。この時期の稜線での天候急変は、かなり危険な状況に陥る可能性が高いといえます。事実、悪天候の北アルプスでは同じ日に複数の遭難が発生していました。

天候を読みきる知識も経験もなく、何かあっても生還できるだけの確証になるものがほとんどない現状で、これ以上先に進むことは勝率の低いただのギャンブルかもしれません。敗者となっても愚者となるなかれ。厳冬期の南アルプスデビュー戦は、残念ながら敗退です。南アルプスの女王様は、敗者にはその姿すら見せてくれませんでしたが、いつかまた挑戦したいと思います。


無理はしないということで仙丈ケ岳登頂を断念したわけですが、心のどこかに慎重すぎるのではないかという思いがあったのも事実です。しかし、下山時にちょっとした幻覚のようなもので混乱することになり、自分が思っていた以上に疲労していた可能性が高かったことが明らかになったのです。その意味では、仙丈ケ岳登頂を断念したことは正解だったと言えるのかもしれません。



つづく。



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| 2013年1月 仙丈ケ岳 | 18:53 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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