ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

2011年06月 | ARCHIVE-SELECT | 2011年08月

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今日から黒部源流へ

昨日は、今日からの山行に備えてやっておかないといけないことがいろいろとありましたが、なんとか準備が整いました。昨年までは60リットルのバックパックだったので、いつも荷物でパンパンの状態でしたが、今年は85リットルになったので余裕です。といっても、重さが軽くなったわけではないので、あいかわらず初日はしんどい一日になりそうです。水と三脚なしで23kgでしたから、総重量は27kgぐらいになりそうです。

25日は朝一で仕事をひとつこなして、そのあと岡山を出発。富山には夜に着いて、食事とお風呂を終えたら飛越新道登山口で車中泊し、26日に入山です。26日は太郎平、27日は黒部五郎、28日は三俣、29日は雲ノ平、30日に再び太郎平の各テント場に止まる予定です。もっとも、初日は北ノ俣岳につく時間によっては、一気に黒部五郎へという欲張りプランも密かに考えています。まあ、調子がよければの話ですが。

天気予報は曇りばっかりでちょっとトーンダウン気味ですが、標高が高いので雲の上はドピーカンなんてことになればいいなと思ってます。はたして今年はどんな山行になるのやら。




(登山)
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| ヤマネタ・ニュース | 01:14 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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暑さ対策グッズ: しろくまのきもち

ドラッグストアでちょっとした暑さ対策グッズを見つけたので、買って試してみました。そのグッズの名前は「しろくまのきもち」。

しろくまのきもちパッケージ
小さな帯状のスカーフで、購入時は普通の薄い布です。ところが、これを水に3分ばかり浸していると、次第に膨らんでくるのです。布の中が袋状になっていて、そこに高分子吸水ポリマーシートが入っているそうです。紙オムツなんかに入っているあれですね。

しろくまのきもちが膨らんだところ
この高分子吸水ポリマーシートがしっかりと水分を閉じ込め、表面からゆっくりと気化していくので、涼しさが持続するというわけです。

実際に使ってみると、たしかに首周りがつねに涼しげで、炎天下でも頭がのぼせにくい感じです。冷却性能があるわけではないのでひんやり感はつけたときだけですが、快適な感じは継続します。

ポリマーシートでなくて冷却材を使ったものもありますが、あちらはひんやり感が継続するものの、せいぜい数十分しかもちません。「しろくまのきもち」は、6時間歩きまわってもまだ濡れていて、家に帰って窓辺に干していても翌日まで余裕で水分を保持していました。繰り返し使えるそうなので、夏の山行には役立ちそうです。購入価格は680円でしたが、セール中の好日山荘で600円で売られていました。ちょっとくやしい。





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| ギア | 01:16 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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夏の山行計画 : 恒例の黒部源流山旅

この前まで雪のある山に登っていたのに、いつの間にか太陽ぎらぎらの夏山シーズン突入です。今年は夏への精神的体力的切替がうまくいかなくて、いまだにまともな夏山登山をおこなっていません。この前の連休も結局出かけずじまいで終わりました。けれど、これには理由があるのです。なぜならば、僕は夏が「きらい!」なのです。あのぎらぎらした太陽とべとつく湿気がとっても不愉快なのです。そのうえ、アブやらなにやらの虫の類も嫌い! というわけで、そのどれもがそろっている夏山は、なかなか登ろうという気持ちになれないのです。それでも稜線まで上がってしまえば、その展望のすばらしさと爽快感は身にしみて知っています。ぎらぎらの太陽もあのカラッとさわやかな山稜の空気の中なら、むしろカ・イ・カ・ンッ 森林限界を超えた山上では虫もそれほどひどくないし、心地いい風に吹かれて歩けば気分はサイコー!

嫌よ嫌よも好きのうちというわけで、再び夏の山行シーズンがやってきました。今年もすでに恒例となりつつある黒部源流への山旅を予定しています。途中2年あいたとはいえ、2003年の秋から続いている黒部源流への山旅は、いまだにもう十分という気持ちになれず、まだまだ見飽きない風景といまだに登頂していない頂があることで、やっぱり行きたくなってしまうのです。

今年は、まだ通ったことの無い飛越新道を経由して、反時計回りに黒部源流部を回ろうと考えています。太郎平から黒部五郎へのルートは、2004年の秋に大雨の中たどったルートです。黒部五郎の肩まで登ったのに、荒れた天候に嫌気が差して頂上を踏まずにカールへと下ってしまいました。その意味では7年ぶりのリベンジです。今回もあいかわらずの単独テント泊で行動予定です。

今回のメインイベントは、このエリアの私的未踏峰、薬師岳と黒部五郎岳への登頂および黒部五郎のカールでお花畑の撮影、可能なら五郎沢を下って黒部川源流部の撮影、さらに薬師沢から黒部川をたどって赤木沢にも行ってみたいと思ってます。行程は、5泊6日の山旅となる予定です。

飛越新道から入って、太郎平テント場、黒部五郎テント場、三俣テント場、雲ノ平テント場と移動して、最後は再び太郎平テント場へもどってくる予定です。幸い台風も通り過ぎたばかりだし、天候に恵まれた山行になってほしいものです。





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| ヤマネタ・ニュース | 03:04 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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古代浪漫と奇岩を巡る山旅: 経山・犬墓山・鬼ノ城山 vol 2

2011年7月6日 岡山県総社市 経山(標高372.6m)・犬墓山(標高443.3m)・鬼ノ城山(標高397m)日帰り山行

犬墓山登山道入口
12:25 昼食を終えて犬墓山へと出発です。登山口はアスファルト道路を挟んでビジターセンターの向かいにあります。

犬墓山登山道
最初はわりと急な階段が続きますが、すぐに尾根上の平坦な道になります。

西門の眺め
10分ほど登ると、右手にテーブル状の大きな岩があり、その上からは間近に鬼ノ城の城門を眺めることができました。

犬墓山山頂への分岐
12:40 犬墓山への分岐に着きました。

犬墓山山頂
分岐から犬墓山山頂まではほんの数十メートルで、1分もかかりません。山頂は樹木が刈り払われてベンチが設置された広場になっており、東に展望が開けています。

犬墓山山頂からの眺め
山頂からも鬼ノ城の城門がよく見えました。

来た道を戻り分岐を直進して犬墓山を下ります。

登山道脇の石仏
道端には時折石仏が祭られています。これは岩屋三十三観音といって、四国三十三所にならって設置されたものだそうです。

岩屋方面への道標
基本的に一本道ですが、ときどき分岐があります。分岐点には必ず道標があるので迷うことはないでしょう。ただし、道標に書かれている場所がどこにあるか理解していないと予定していないところに行ってしまう可能性はありますから、地図は必要です。とりあえず、岩屋方面へと向かいます。

皇の墓への道標
12:54 皇(すめらぎ)の墓への分岐に着きました。単に犬墓山から岩屋を回って鬼ノ城ビジターセンターにもどるだけなら、直進して馬頭観音方面へ行けばいいのですが、奇岩の見所のひとつである岩切観音を見ておきたいので、ここから皇(すめらぎ)の墓方面へ向かいます。

池
分岐からは緩い下り坂になり、下りきったところにため池があります。山の中の静かな池ですが、水草がかなり生い茂っていて何かいそうな雰囲気です。

倒木
ため池を過ぎて山の中に入っていくと、松の倒木が道をふさいでいました。乗り越えるには高すぎるし、荷物を背負って下をくぐるにはちょっと低いのでどうしようかと思いましたが、素直に下をくぐることにしました。しかし、倒木の下は半ば腐っていたようで、バックパックに茶色いドロっとしたものが付着してしまい、気持ちの悪い思いをしました。こういうときは横着しないで、荷物をおろして空身でくぐるべきでした。

皇の墓
13:00 皇(すめらぎ)の墓に到着です。なんてことない石塔のようですが、県指定の石造美術だそうです。南北朝時代のもので、近くにある岩屋寺の開祖善通大師の墓塔と伝えられています。善通大師が文武天皇の皇子であったことから皇(すめらぎ)の墓と呼ばれているそうですが、実際に埋葬されている人物が誰であるのかは不明らしいです。

岩切観音への道標
皇(すめらぎ)の墓から少し下るとまた分岐がありました。今度は岩切観音の道標に従って進みます。

2つ目の道標
すぐに別の分岐があります。

3つ目の道標
その先でまたまた分岐です。とにかく、岩切観音を目指します。

岩切観音1
13:06 岩切観音に着きました。巨岩が積み重なってわりと迫力があります。

岩切観音2
名前の通り、巨岩の表面に観音様が彫られています。あまりくっきりとしていないので、ぱっとみただけではどこにあるのかよくわかりませんでした。

じっとしていると薮蚊が襲来してくるので、先へ進みます。来た道を戻り、最初の分岐を馬頭観音の道標に従って登って行きます。

馬頭観音への道標
13:11 尾根上の道に出ました。この道は、犬墓山から下りてきて、皇(すめらぎ)の墓への分岐があった道を直進する道です。馬頭観音へはここを右折します。

巨岩
しばらく進むと左手に巨大な岩が3つ連なっているところに来ました。

汐差岩
最初の岩は汐差岩(読み方不明)というそうです。

方位岩
次の岩には何も表示が無くて、一番奥の岩は方位岩だそうです。とすると、3つあるように見えても、実際は2つの巨岩なのでしょう。

方位岩の上
方位岩の端から上に登れるようになっていたので、登ってみました。それほど展望がいいわけではありませんが、休憩やお弁当を食べるにはよさそうです。

馬頭観音
13:18 馬頭観音に着きました。道はここで90度曲がります。

馬頭観音アップ
馬頭観音は右の石仏で、真ん中の顔の上に馬の顔が乗っています。衆生の無智・煩悩を排除し、諸悪を毀壊する菩薩だそうで、通常は憤怒の表情をしているものだそうですが、この馬頭観音は穏やかな表情でした。

八畳岩道標
馬頭観音から少し下ると八畳岩の道標がでていました。反対側に書いている屏風岩というのは、下ってきた道の方角を示しており、どうやら見逃して下りてきてしまったようでした。残念。

八畳岩1
八畳岩はその名の通り八畳ほどの大きな一枚岩です。

八畳岩2
多少うねりがありますが、大きなベッドのような雰囲気です。

鯉岩道標

鯉岩
次に出てきたのが鯉岩。これも巨岩ですが、どこから見ても鯉の形には見えません。名前の由来を知りたいものです。

鬼の餅つき岩道標
鯉岩のすぐ下には鬼の餅つき岩がありました。

鬼の餅つき岩
上に登ってみると、浅いくぼみがあったので、そういう名前がついたようです。

鬼の差し上げ岩
13:29 鬼の餅つき岩を左からぐるっと回り込むようにして下ると、鬼の差し上げ岩があります。これまで見てきた中でもっとも巨大な岩が折り重なっていて、かなりすごい迫力です。かつて山岳仏教の一大拠点になっていた理由がわかるような気がします。

岩屋寺
鬼の差し上げ岩から石段を下って、竹やぶの道を抜けると岩屋寺がありました。もともとは平安時代から栄えたりっぱなお寺だったようですが、現在の建物は最近建てられたもののようで、普通の民家といった感じです。これといって何も無い雑草だらけの場所なので、わざわざ立ち寄るほどのことはない感じでした。

岩屋寺下の分岐
13:36 岩屋寺を下って行くと、分岐がありました。地図で見ると、左下に下りていく道が実僧坊山と登龍山を経てタムシバの森を巡るルートへの近道のようですが、何も表示が出ていないので確信が持てず、また時間もあまりなく足も痛くなり始めていたので、岩屋休憩所へ向かうことにしました。

アジサイ
途中、皇の墓への分岐を通過し、坂を下ったところで綺麗なアジサイの花がたくさんさいていました。ここにきてはじめて色彩のあるものを見たような気がします。綺麗な花を見ていると、疲れが癒されると同時に力が出るような気がします。色は元気の源だと感じます。

岩屋休憩所
13:42 岩屋休憩所に到着です。ビジターセンターのような建物があるのかと思っていましたが、パーゴラのあるベンチの休憩所でした。隣のトイレは綺麗でしたが、やっぱり手洗いはありません。集落があるので水道が引かれていないわけではないと思いますが、手洗いを設置しない理由はなんなんでしょうか。汗をかいた顔を洗いたかったのですが・・・

15分ほど休憩して、鬼ノ城山方面に向かうことにしました。

岩屋休憩所下の分岐
休憩所の前のアスファルト道から土の道が分岐しています。

岩屋休憩所下の分岐の道標
そこからさらに道は分岐していて、土の道をそのまま行くと棚田を経由して鬼ノ城、左に行くとただの山道のようです。せっかくなので棚田経由で行くことにします。

棚田1
民家のそばを通り過ぎると、棚田が広がっていました。綺麗な棚田です。

岡山県には棚田百選に選ばれた棚田が3箇所あり、それらと比べると規模はぜんぜん及びませんが、山間のこじんまりとした綺麗な棚田でした。

棚田2
棚田から先、道がどうなっているのかもうひとつよくわかりません。棚田に沿って左手に進み下ってゆくと、棚田がなくなったころに左手からの道と合流しました。

棚田下の道標
合流地点には案内板がたっており、左手から来た道はどうやら岩屋休憩所下の分岐から分かれた道だったようです。

田んぼ沿いのぬかるみ道
案内板から下にも田んぼが続いており、道は田んぼのあぜ道のような状態で田んぼに沿って下ってゆきます。すぐそばに小さな用水路があり、水が道の上まで溢れ出しています。

岩屋のアスファルト道との合流点
14:11 道なのか川なのかよくわからない状態のところを進んでいくと、アスファルト道路に出ました。この道を右に行くとビジターセンターに戻ることができます。

アスファルト道からの分岐
アスファルト道を右折して30mほど先で、自然歩道が左に分かれます。ビジターセンターに向かう道も、アスファルト道に沿って森の中を抜けて行きます。

鬼ノ城北門への道標
今回はここから鬼ノ城北門に向かうので、ウォーキングセンターへの道からさらに左へ分岐します。

鬼ノ城北門への階段
北門に向かって木の階段を登ってゆきます。

北門
14:21 鬼ノ城北門に着きました。ここも復元された城門です。右手の斜面にたくさんの岩が折り重なっていますが、たぶん石垣の跡なのでしょう。

北門内部
石垣を越えて中に入ると、なんだかアリ地獄みたいになっていました。

北門前の道標
ここから左に進むと、絶好の展望ポイントになっている屏風折れという石垣に出ます。そこからさらにぐるッとまわって復元された城門まで戻ってくることができるのですが、足も痛いし時間も遅くなってしまったので、今回は右に行くことにしました。

鬼ノ城山頂への道
北門から西門への道は、発掘作業用の自動車が出入りできるように車道になっています。平坦で歩きやすい道ですが、あまり面白くないのも事実。

鬼ノ城山頂
14:33 鬼ノ城山頂に到着です。

東屋
山頂には東屋がありますが、ベンチが無く休憩場所というよりも、展望の解説が掲示された場所です。

山頂下の西門
東屋のすぐ下には、復元された西門が見えます。

角楼跡
山頂からビジターセンター方面に少し下ったところに、展望台のような場所があります。ここは角楼跡といって、西門を防備するための防御施設を復元したものだそうです。

角楼下の道
角楼跡に登ると、目の下にビジターセンターへ向かう道が伸びています。分岐の右は自動車道で、左は歩行者専用道です。

西門
西門へは、角楼跡のすぐ下から入っていくことができます。建物内に入ることはできませんが、下をくぐりぬけて門の反対側にでることができます。

地図3
このあたりでGPSの電池が切れているのに気がつきました。そのため、途中すこしログのラインが途切れています。すぐに電池を交換して新しくログを取り始めたのですが、立上りに少し迷ったみたいでログがビジターセンターの手前で山中を降りたり登ったりしているようになっていました。正しいルートは青色のラインです。

ふるさと自然の道への道標
14:56 ビジターセンターに戻ってきました。少し休憩をとってから、下山します。アスファルト道をそのまま下ってもいいのですが、せっかくなのでふるさと自然の道を下ることにします。ビジターセンターの中庭を突っ切った裏手から道が続いていました。

ビジターセンター下の池
ビジターセンターのすぐ裏に小さな池があり、ふるさと自然の道は池に沿って下へと続きます。

アスファルト道合流分岐点
耕作放棄され、半ば湿地と化しつつある棚田の跡にそって下っていくと、やがてアスファルト道に合流し、合流地点からすぐにまた分岐して左手に下って行きます。

ふるさと自然の道
下っていくと何枚か田んぼがあり、その先にはおそらく草むらと化してしまったであろう田んぼの跡のようなところが続いています。

湿地のような道
その先は道が湿地帯のような状態になっていて、すごく歩きにくい状態です。用水路から道の上に水があふれ、一度大きく踏み抜いたほどです。この道ははっきりいって通らないほうがいいです。下山するときは素直にアスファルト道を下ることをお薦めします。

アスファルト道との合流点
15:19 再びアスファルト道に合流しました。あとは砂川公園までこの道を歩いて行くだけです。

駐車場が近くなった頃、雨が降り始めました。GPSで確認するとあと300mほどのところでした。レインウェアを着るのも面倒なので、そのまま歩き続け、駐車場に到着したのは15:47でした。




■山行データ
<所要時間> 5時間47分
駐車場10:00→砂川の森入口10:12→経山分岐11:17→経山山頂11:26→鬼ノ城ビジターセンター12:13
鬼ノ城ビジターセンター12:25→犬墓山12:41→皇の墓13:00→岩切観音13:06→馬頭観音13:18→鬼の差し上げ岩13:29→岩屋休憩所13:42→鬼ノ城北門14:21→鬼ノ城山14:33→ビジターセンター14:56→駐車場15:47

<標高差>約400m(最低地点:駐車場70m、最高地点:八畳岩付近477m)

<登山道情報>
皇の墓の手前に倒木があった以外は、これといって問題無です。ただ、岩屋から下ってくるときの田んぼ沿いの道と、ビジターセンターから下山するふるさと自然の道はかなりぬかるんでいるところもあるので、普通のスニーカーでは濡れてしまうかもしれません。道中、水が補給できる場所がないので、夏場は水を多めに持っていくことをお薦めします。また、アブなどの虫に悩まされることもなく、快適なウォーキングができました。数日前の荒れた天候が虫を減らしてくれたのかもしれません。




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| 2011年7月 鬼ノ城山 | 01:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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古代浪漫と奇岩を巡る山旅: 経山・犬墓山・鬼ノ城山 vol 1

2011年7月6日 岡山県総社市 経山(標高372.6m)・犬墓山(標高443.3m)・鬼ノ城山(標高397m)日帰り山行

鬼ノ城と書いて”きのじょう”と読みます。総社市の北に位置する低山ですが、山上に古代山城遺跡があり、今では立派な城門や城壁も復元されています。山上からは吉備路が広がる平野部を一望できてとても気持ちのいい場所です。

鬼ノ城山地図
鬼ノ城山の山頂近くにあるビジターセンターまで車で登ることができるので、登山というほどのアップダウンがないルートをハイキングで楽しむことができますが、今回は新しく買ったトレッキングシューズ(ミレー オールロードGTX)の慣らしが目的なので、麓の砂川公園から経山を経由し、犬墓山と岩屋を回って最後に鬼ノ城山へ登るルートをたどりました。

砂川公園駐車場
砂川公園は森の中の渓流沿いにある広い公園で、夏の暑い時期の水遊びに人気の場所です。手前からたくさんの駐車場がありますが、第4駐車場をすぎてさらに先の左手にある最後の駐車場に車を停めました。ここが一番登山口に近いからです。

砂川公園
道路を挟んだ公園の中には長いウォータースライダーのある池があり、子供を遊ばせるにはよさそうなところです。

10:00 準備を整え出発です。駐車場から北を目指して舗装路をたどります。すぐ先右手にトイレがあるのですが、ここのトイレは手洗い用の水道がありません。目の前の池で手を洗うか、先ほどのウォータースライダーの池を少し下ったところにあるBBQ用のカマドが設置されている小屋まで行って水道で洗うかのどちらかです。ところでこの水道、飲用かどうか定かではありません。水筒に入れる水は、自宅で入れてきておいたほうが無難です。

砂川公園出口
二股のアスファルト路を左に進みます。車で鬼ノ城山へ行くときは右へ進みます。

砂川の森
二股路を左に入ってからは沢沿いの道になります。この沢の対岸が砂川の森として整備されているようで、少し先に沢を渡って対岸の森の中を行く遊歩道もありましたが、今回はそのままアスファルト道を行きました。

砂川の森の公衆便所
しばらく進んでいくと、対岸に”便所”と書かれた看板のついた小屋が見えました。この先、鬼ノ城山ウォーキングセンターまでトイレはないので、駐車場近くのトイレに行き忘れた場合は、ここが最後のトイレです。ただし対岸にあるので、アスファルト路から行こうとすると、1分ほど歩いた先の砂川の森入口から入って戻ってこなければならず、最初から砂川の森の中の遊歩道を歩いたほうがいいようです。

砂川の森入口
10:12 砂川の森の案内板を右折します。

堰堤上の道
右折してすぐ川を渡ります。道路が水没しているというよりも、堰堤上が道路になっているということらしくて、歩行者用に飛び石が設置されていました。

堰堤上流部
上流側は、こんな風になっています。なんだか味気ない風景です。

案内板
川を渡ってすぐ右手に案内板が設置されています。地図が無くても迷うことは無いと思いますが、地図を持っていない場合は念のためデジカメで撮影しておくと便利です。

案内板の拡大
ウォーキングセンターから先の地図を拡大したものがこちら。ウォーキングセンターから時計回りで岩屋休憩所経由で鬼ノ城山へ戻ってくる予定です。一番北にあるタムシバの森をめぐるルートは、時間と体力に余裕があれば回ってみるつもりです。

マムシに注意
案内板の足元には”マムシに注意”の警告も。

ふれあい広場
案内板のすぐ先、左手にはふれあい広場という公園もありましたが、草ぼうぼうで利用されている形跡はほとんどありません。税金の無駄遣いかも。

せせらぎの森道標
さらに先へと進んでいくと、今度は「せせらぎの森」という案内板がありました。

せせらぎの森
どんなところかと少し入ってみると、草むらの中に清流が流れていました。ちゃんと草刈がされていれば少しは楽しめそうですが、今の時期は無理っぽいです。

道路の突き当たり
10:25 アスファルト路の突き当たりにきました。転回できるように広くなっています。5台ぐらいは停められそうな広さですが、転回することを無視すれば10台ぐらいいけそうです。完全なピストンで登る場合はここまで車でくれば30分ばかり楽できます。

登山道入口
登山道はアスファルト道の右奥にまっすぐ奥へと続いていました。反対側に沢へ下る道もあるので、間違わないように。

登山道道標
登山道入口右側に道標があるので間違う人はいないと思いますが。

第1渡渉点
少し進むと綺麗な沢を渡ります。水に手をつけてみると、手を切るような冷たさではありませんがひんやりとした感じがここちいいです。

第2渡渉点
さらに奥へと進んでいくと、先ほどの沢の上流部で再び渡渉します。

最初の分岐点の道標
10:35 経山城址・鬼ノ城山の道標が道をふさぐようにたっていました。そのまま直進する道もありますが、登山道はここを右折します。どんなにおしゃべりに夢中になっていてもこの道標を見逃すことはないと思いますが、道間違いしやすい場所なので要注意です。

分岐後の登山道
道標にしたがって右折すると、しばらくは比較的歩きやすい道が続きます。

急坂
標高が上がってくるとかなり急な坂道も出てくるので、あせらずゆっくりと進んでゆきます。新しく購入したばかりの靴ですが、ここまではすこぶる快調です。

鉄塔
10:55 鉄塔の下に出ました。出発してからちょうど1時間弱なので、ここで休憩をとります。

鉄塔からの展望
ここは見晴らしもよく、気持ちのいい風が吹き抜けてゆきました。

鉄塔後の登山道
鉄塔から先は、等高線に沿って道が続いている感じでほぼ水平に近い道です。ただし、右手は深い谷になっているので踏み外すと危険です。

第3渡渉点
11:12 右手の深い谷がいつの間にかすぐ下に見えるようになったころ、道がその沢を渡ります。不釣合いなほどりっぱな木の橋が架かっていました。その先、もう一度おなじような木の橋を越えます。

経山への分岐点の道標
11:17 経山への分岐路に到着です。

経山への登り
経山への道は、最初こそ階段があったりしてやや勾配があるものの、あとはほとんどフラットな道です。

経山山頂下の分岐
11:25 道が二股に分かれていました。右側はやや下る感じなので左へ進みました。

経山城跡案内板
すぐに「経山城跡」の案内板があり、道は左方向へとカーブして行きます。

経山山頂からの展望
軽くひと登りすると北側の展望が開けていました。新山の集落と復元された城門と城壁がある鬼ノ城山が正面に見えました。

経山山頂から鬼ノ城城門のアップ
城門を望遠で拡大するとこんな感じです。城門の左上が山頂で、ベンチの無い東屋があります。

経山山頂
山頂部は平坦で何もありませんが、端のほうへ行くと石垣のなごりが残っていました。

経山山頂南側の展望
山頂をぐるっとまわって南側までくると送電線の鉄塔があり、高梁川と総社市街が眼下に見渡せます。

そのままぐるっと回って登山道に戻れるかと思って行ってみましたが、踏み跡らしいものは消えてなくなり、どこから道に戻れるのかよくわかりません。仕方がないので、来た道を戻りました。

11:41 経山への分岐まで戻ってきました。

キノコ
来た道の反対側へ下り始めてすぐ、岩の陰におおきなキノコがありました。キノコの知識は無いので何茸なのかわかりませんが、採られていないところをみると毒キノコなのでしょう。

ぬかるむ登山道
道は小さな沢沿いに下ってゆきますが、道の上にも水が流れていてぬかるみます。滑らないように慎重に下りました。

アスファルト道との合流点
11:46 アスファルト道に合流しました。ここからはウォーキングセンターまでアスファルト道路をあるきます。少し下ったところから山の中を行く自然歩道もありますが、帰路に通る予定なので今回はつかいません。

カルガモ隊
新山の集落に入ると、右手に田植えを終えたばかりの田んぼがあり、その中をカルガモ隊が巡回中でした。

カルガモ隊ジュニア
ひとつ上の田んぼには、カルガモジュニアの軍団も(*^_^*)

鬼の釜
田んぼの先には、鬼の釜がありました。車で前を通ったことはなんどもありましたが、こうして直接見るのは初めてです。

鬼の釜の底
中をのぞいてみると、すっかり底が抜けていました。

鬼ノ城ビジターセンター
12:13 鬼ノ城ビジターセンターに到着です。ややこしいのですが、建物はビジターセンターで、中に入るとウォーキングセンターという休憩棟があります。

ウォーキングセンター
こちらがウォーキングセンター。エアコンなどはありませんが、中に入るとひんやりとして涼しいです。ここでお昼をとりました。

ウォーキングセンターの地図
このエリアの詳細な地図が掲示してあり、受付に行けば100円で購入できるそうなので、1枚買っておくと便利です。このときはあいにく売り切れでした。

ビジターセンターのトイレ
トイレも立派で綺麗です。


つづく。






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| 2011年7月 鬼ノ城山 | 15:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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総括 冬山装備インプレッション 小物・ギア編

前回の続きで、グローブやその他小物、ギア類のインプレッションです。

<グローブ>
14 防風防水手袋: イスカ ウェザーテックオーバーミトン
=> 冬山装備を買うときに、なにはともあれ必要なものとして購入しましたが、立山雷鳥沢テント場で雪のブロックを積み上げるときに使ったのが昨シーズン唯一の使用機会です。防水手袋といいながら、しばらく使っているとじんわりと濡れてきました。さすがに、直接雪を触り続けるとだめみたいです。行動中であれば問題ないということなのでしょうが、豪雪のラッセルなどで頻繁に雪に手が接触するようなことも考えられるので、冬山での縦走には予備があったほうがよさそうです。何事も過信は禁物。





15 防風防寒手袋厚手: ロシニョール スキー用手袋
ロシニョール手袋
=> これも使う機会はありませんでした。行動時にはもっぱらメリノライナーグラブとウィンターシェルグローブの組み合わせで、寒いときにウィンターシェルグローブのかわりにウール素材の厚手グローブを使っていました。基本的には予備手袋として持っているだけのような状態です。内部は起毛されていてかなり暖かく、登山用品の冬用厚手グローブと大差ない感じです。メリノライナーグローブをインナーに、オーバーミトンをアウターにすれば、けっこう極寒時にもいけるのではないかと思ってますが、実際に経験してみないとなんともいえません。なお、手首部分にGOREと刺繍されていますが、ゴアテックスとは無関係のようです。


16 防風手袋薄手: イスカ ウィンターシェルグローブ
ウィンターシェルグローブ
=> 当初はメリノライナーグラブの上にフリース素材のノンブランド手袋をしていましたが、防風性が低いことと気温が高い日にクランポンやスノーシューの着け外しをしていると手袋が濡れることが気になって、ある程度の撥水性と防風性のある薄手の手袋を探した結果、このグローブを購入しました。防水性能をうたった同じような手袋もありましたが、レイングローブではないのでそこまでの防水性は求めていなかったことと、素材がしなやかで手の動きが一番スムースだったのが購入理由です。裏地が薄いフリース地のような生地なので多少の保温性能もあり、岡山周辺の山であればたいていの場合はこれとメリノライナーグラブの組み合わせで十分です。また、手袋を装着したままスノーシューやクランポンの着け外しもやりやすく、いちいちグローブを脱がなくて済むのが助かります。





17 防寒手袋厚手: ノンブランド ウール素材のグローブ
ウール厚手手袋
=> ジュンテンドーというホームセンターで買った安物ですが、けっこう厚手で悪くないです。表示はいちおうウール100%と書かれており、触った感じではまあ本当だろうと思ってます。薄い起毛素材の裏地が付いているので、ウールだけの場合より多少風を通しにくいようです。ウィンターシェルグローブでは寒くて指先がしびれてくるようなときはこれを着用しますが、すぐに冷たさが解消されるので安物のわりに優秀です。


18 防寒手袋薄手: マジックマウンテン メリノライナーグラブ
=> このグローブは、もはやインナーグローブの定番となってしまいました。うすっぺらの手袋なのにけっこう暖かくて、薄くてもウールはウールだなと感心させられます。チクチク感もないので付け心地もよく、すごくいい手袋だと思います。





<小物類>
19 ゲーター(スパッツ): バイレス ライトスパッツL
=> 単に雪の侵入防止目的のものなので、ゴアテックス素材の一番安いロングスパッツということで購入。ゴアテックスだけあって足蒸れ感もなく、素材が薄手なので収納時も邪魔にならず悪くない製品だと思います。リアジッパータイプなので、取り付け時に少し手間がかかります。フロントベルクロタイプのほうが脱着は楽かもしれませんが、特別面倒というほどでもないのでまあいいかという感じです。


20 バラクラバ(目出し帽): マジックマウンテン PPバラクラバ
=> 購入時にごついやつにしようかとも思いましたが、寒ければニット帽にネックゲーターなどと組み合わせればいいだろうと、薄手のこの製品を選びました。いまのところ未使用です。


21 アックス用バンド: マウンテンダックス ピッケルバンドショルダー
=> アックスに付属のものがリストバンドだったので、持ち替えに便利なショルダーバンドに取り替えました。グリベル純正のほうが高かったので、単に価格でこちらを選びました。特に使い勝手にどうこういうような点はありませんが、色がどぎつい原色の青なのでもう少しナチュラルにならないものかと。


22 パックカバー: バイレス ハンティングブレス70~85L
=> オスプレー イーサー85の購入に合わせて新調したパックカバー。今のところ未使用。


<ギア類>
23 アックス: グリベル モンテローザプラス
=> 購入したのは、たしか66cmのものだったと思います。一般的に言われるように立って持った状態で石突の先端がくるぶしのところにくるサイズということで66cmにしましたが、急斜面で使うときもう少し短くてもいいのかなという気もします。いまのところ特に不満な点はありませんが、付属のヘッドカバーがちょっと使いにくいので、ブラックダイヤモンドのようなゴムのキャップにしてもらいたいところです。






24 クランポン10本爪: グリベル G10ワイド ニュークラシック
=> あまりよく調べもせずに購入したので、普通のニュークラッシクではなくワイドを買ってしまいました。G10 ワイドはスノーボードやスキーのブーツでも使えるように幅広に作られているらしいのですが、いちおう靴(シリオ712-GTX)を持参して合わせてみてから購入したので、使用上は問題ありません。シリオ712-GTXはつま先とかかとがワンタッチ式に対応しているような形状になっていますが、靴の購入時にこの靴はソールがあまり硬くないのでワンタッチ式のクランポンは使えませんといわれたので、ベルト締めのタイプを選びました。どうせ買うのなら12本爪でもよかったかもと思いますが、じっさいグリップ性能などがちがうのかどうか、比べたことがないのでなんともいえません。ただ、重量は片足で85g、両足で170gの差があるので、軽量化の観点からは10本爪でよかったようです。箱には定価17,325円とうシールが貼ってありましたが、今は値下げされたらしくて15,540円になっています。





25 バックパック大: オスプレー イーサー85
=> これはすでにインプレッションの記事を書いているので、そちらをご参照ください。


26 バックパック中: パイネ 45L
=> 北岳登山用に購入したものなので、かれこれ11年がたっているバックパックです。昔のものだけに使い勝手はあまりよくなく、容量的にも長期縦走には不足するので、2001年の槍穂高縦走で使って以後使っていませんでした。昨シーズン、冬山を始めてから復活してます。理由は、荷物が増える冬山の日帰り山行にちょうどいい容量だからということですが、使い勝手の悪さは何も変わっていないので、がまんして使っているという状態です。なお、僕の場合一眼レフカメラと交換レンズを持っていくので45リットルがちょうどいいということであって、カメラやレンズがない場合は、35リットルぐらいがちょうどいいサイズだと思います。


27 スノーショベル: アルバ SHARK ALU V2
=> ショベル部分がまるでお椀のように丸くなっており、それにあわせて柄まで湾曲しているため、使い勝手があまりよくなありません。柄の部分がうまく収納されるし、イーサー85のポケットにきっちり収まるのでその点では便利です。安くてコンパクトで柄が折りたたみ式ということで、好日山荘ではこれぐらいしか選択肢がありませんでしたが、ショベル部分がもっとフラットなほうが使いやすいと思うので、壊れたときはべつのものを探すことになるでしょう。


28 スノーシュー: エキスパートオブジャパン
スノーシュー
=> MSRのようなボード状のものと違って、ワカンを大きくしたタイプなので軽量なところがメリットです。一方、浮力が劣るのでやわらかい雪だと沈み込みはそれなりにあります。自分としては軽量化のほうが優先なので、これでよしとします。すでに生産中止になっているため、いまでは見かけることがなくなったスノーシューです。靴の装着部分の前後に鉄製の爪がついていますが、真ん中の白いプラスチックのプレートにはなにもないので、急傾斜ではやや滑ります。何か滑り止めになるものを取り付けようと検討中です。


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| 冬山装備 | 18:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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総括 冬山装備インプレッション ウェア編

購入品目のリストアップだけではあまり役に立つ情報ではないので、実際に使ってみた感想を簡単にまとめておきます。


<ウェア上>
1 ハードシェル: コロンビア フォレイカーシェル
=> レインウェアとしての機能もあるというのが購入動機。無雪期とちがって冬山はレインウェアを持って行きませんが、中国地方の低山では場合によっては雨になることも予想されうるし、ミゾレの場合も雨のようなものなので、基本的に防水機能のあるジャケットでないとさすがにやばいと感じます。フォレイカーシェルは、コロンビアが開発したオムニテックという2レイヤーの防水透湿素材をつかったハードシェルです。2レイヤーということで、メンブレンを保護するために内側にはメッシュ生地があります。また、取り外し可能なパウダースカートもついており、冬山で必要な基本的な機能は備えています。

使ってみた感想は、ややごわつく感じもありますが悪くないです。透湿性能もそれなりに確保されているようで、通常の登山であれば、ベンチレーションポケットを開けておけば、蒸れて困るというほどのことはありません。ただし、急な登りをぐいぐい登ったり、厳冬期でもラッセルを続けたりするような運動負荷が大きいときは、さすがに暑くて汗だくになります。もっとも、こういう場合はゴアテックスであっても同じなので、素直にジャケットは脱げばいいだけです。しかし、高級なハードシェルに採用されている脇の下のベンチレーションがあれば、もっと暑さ対策に有効だろうと感じます。その点では価格なりの透湿性能といわざるを得ないところもあります。降雪時のラッセルのようなときに、脇の下のベンチレーションがあればいいのにとつくづく思います。もっとも、その分暖かいともいえますが。

防風性能については、推定風速15m程度の状況でしか使っていませんが、これまでのところは特別問題ないと思います。GWの立山の標高2390m地点でやや強めの風が吹く日没時に30分ほど撮影していたとき、さすがに寒さを感じてパウダースカートを閉めてみたら寒さが収まったので、状況に応じてついている機能をきちんと活用すれば、一般的な冬山登山であれば十分使えるでしょう。





2 ソフトシェル: モンベル ライトシェル アウタージャケット
=> 前回も少し書きましたが、ちょっと選択を誤ったと感じているウェアです。ソフトシェルとしては優秀なウェアだと思います。撥水性能もかなりいいですし、防風性能もなかなかのものです。ただし、裏地のクリマプラスメッシュがフリースなどの起毛素材のミドルウェアと相性がいまいちで、着るときに引っかかって袖がすっと通らなかったり、脱ぐときは裏地がベローンと出てしまったりとめんどくさいことになります。このシェルの下に着るミドルウェアは、表面が滑らかな素材のウェアでないとうまくないと感じます。クリマプラスメッシュは保温性ももっているわけですが、行動中は逆に熱かったりするわけで、必要ないかなと思います。もっとも、春秋など基本的にTシャツで行動するようなときの防風防寒用としては有効かなと感じます。冬山用のソフトシェルなら、裏地の無いタイプのほうが使い勝手がよさそうです。また、風が強いときのためにフードもほしいところです。






3 フリース厚手: ユニクロ リバーシブルフリース
=> 登山用品ブランドのフリースの1/10程度の価格で買えるフリースですが、初冬の行動用やちょっとした休憩時の防寒着としては十分使えます。ただし、けっこう厚手でかさばることや、重さもそこそこあるため、実際には冬山へ持っていくことはあまりありませんでした。風の無い気温の低いときの行動着・防寒着としてはありです。ただ、使用したのは11月の伯耆大山宝珠尾根の時だけで、結局普段着となってしまいました。山での行動着としてはダウンは不適ですが、防寒着としてはやはりダウンジャケットに勝るものはありません。

<補足>
その後、このリバーシブルフリースが実は山で使えるということがわかり、けっこう重宝しています。というのも、生地が厚手のため防風性能がそれなりにあり、気温が低くても強風下でなければソフトシェルがわりになることがわかったのです。リバーシブルなので、ジッパーが外側になるように着ればジッパーを上まで締めたときに金具があごに当たらないで済みます。1万円以上もする山ブランドのフリースに比べて、抜群のコストパフォーマンスです。



4 フリース薄手: ユニクロ マイクロフリースハーフジップ
=> これはかなり重宝してます。薄手のわりに保温力があるので、昨シーズンはよく使いました。ミドルウェアとしてはなかなか優秀です。コストパフォーマンスは最高でしょう。


5 アンダーウェア中厚手長袖: ミズノ ブレスサーモミドルウェイト
=> ミズノのモニターに当選して無料で提供してもらったものです。中厚手なので保温力はそれなりにあり、冬山のアンダーウェアとしては悪くないと思います。ただ、汗をかいた場合にわりと乾きにくいように感じます。以前にも記事にしましたが、下に薄手の半袖ブレスサーモを着るようにしたら、汗冷え感はなくなりました。このやり方はファイントラックのドライレイヤーと同じ考え方で、速乾性に優れたアンダーウェアを一番下に着ることで、直接肌に触れる部分に汗を残さないようにすることができます。ブレスサーモの二枚重ねにより保温性能もアップするので、いまのところ自分の冬山アンダーウェアの基本アイテムとして定着してます。


6 アンダーウェア薄手長袖: ミズノ ブレスサーモライトウェイト
=> 薄手長袖のブレスサーモは冬山ではあまり着る事はありませんが、極寒時には薄手半袖のかわりに着てもいいかなと思ってます。もっぱら夏山の高山用として使ってます。


7 アンダーウェア薄手半袖: ミズノ ブレスサーモライトウェイト
=> ブレスサーモミドルウェイトのドライレイヤー用として使ってます。夏山ではあまり使うことが無かったのですが、冬山で活用する機会を得ました。


<ウェア下>
8 ハードシェルパンツ: ノースフェイス モデル名不明
=> 昔、スノーボードをやってみようと思って購入したパンツですが、結局やらずじまいで終わってしまい、スキーのときに2回ほど使っただけです。保温力は抜群みたいで、スキー用に使ったら暑くて大変でした。ハードシェルと書いていますが、見た目と生地の感じからハードシェルの分類かなと思っているだけで、厳密にはどうだかよくわかりません。足の左右に腰から裾までのジッパーが付いており、立ったままでも着脱できる仕様であることと、スキーパンツによくあるような裾から雪が入るのを防止するスパッツ状のものが付いていること、生地がわりと厚めであることからハードシェルとして使えそうだと思ってますが、昨シーズンは使う機会はありませんでした。


9 冬用パンツ: ノースフェイス バーブパンツ
=> これはいい買物をしたとおもっているパンツです。以前にも記事にしてますので、詳しくは以前の記事をご参照ください。伸縮性があり、防風性、撥水性とも非常に優れています。ベンチレーション付きなので、登山時に汗蒸れを解消することもでき、すこぶる快適です。シルエットも細めでスマートに見えるなど、お気に入りアイテムのひとつです。


10 アンダータイツ厚手: イズミヤPB グッドヒート

グッドヒート1

グッドヒート2

=> 厳冬期になるとCW-Xは防寒性能がいまひとつということもあって、購入したものです。CW-Xのようなテーピング機能はありません。自分はCW-Xの効果を感じないため、テーピング機能は必要でなく保温性能だけあれば十分です。たまたま立ち寄ったスーパーで売っていたので、買ってみました。イズミヤは関西圏が主力のスーパーですが、関東にも数店舗あるみたいです。プライベートブランドの製品で、グンゼの製造です。旭化成のサーモギアという吸湿発熱素材を使っており、とっても暖かです。縫い目はフラットシーマ加工といって、縫い合わせが平らになるように仕上ているので、着心地もいいです。裏地が起毛されているので、肌触りもよく冬山の防寒アンダーウェアとしても十分使えると思います。


11 アンダータイツ薄手: ワコール CW-X もらいもの
=> 人気のカラーデザインのタイプではなく、無地の地味なやつです。生地も光沢感のないものなので、本当にCW-Xかと思うほどですが、ちゃんとタグが付いています。生地素材のせいなのか、歩いていると多少ずり落ち気味になるので、膝の部分をきちんと合わせていてもいつの間にかずれてしまっていることが多く、テーピング機能が効果を発揮していないようです。好天時の冬山登山であればアンダーはこれでも十分ですが、風が強かったり極寒時は防寒性能の点ではやや劣る感じです。


12 ソックス薄手: グンゼの発熱素材5本指ソックス
=> ソックスについては、2枚履きするのがいつものスタイルなので、インナー用として購入しました。あまり足に大汗をかかないほうなので、高級なドライ素材のものでなくてもいいだろうということで選びました。イトーヨーカドーで売っていたものです。グンゼのボディワイルド製品で、吸湿発熱素材だと書いてありました。素材は100%化学繊維です。気になるようなこともなく、普通に快適です。


13 ソックス厚手: ウール素材のソックス
=> 2枚履きのアウター用には、基本的にウール素材の厚手ソックスを愛用しています。このソックスはスキー用にずいぶん昔に買ったもので、ブランド品ではありません。繊維が細くてチクチキしないので気に入っています。4足を使いまわしていますが、だいぶへたれてきたのでそろそろ買い替え時です。


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| 冬山装備 | 12:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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総括 冬山装備

冬の山森写真を撮りたいということで、昨年末から始めた冬山山行。当初はそれほど本格的に登るつもりは無かったのですが、やりはじめるとはまってしまい、冬山装備を一通りそろえてしまいました。といっても、すべてが本格的な高級品を買ったわけではありません。ひとまず、自分の使っている冬山装備をまとめ、今シーズン何をいくらで買ったのか、今後のためにまとめておこうと思います。

***注1 カッコ内の価格は定価***
***注2 ?付き価格はおよその価格***

<ウェア上>

1 ハードシェル: コロンビア フォレイカーシェル 13,965円(19,950円)

2 ソフトシェル: モンベル ライトシェル アウタージャケット 7,200円(7,200円)

3 フリース厚手: ユニクロ リバーシブルフリース 1,290円(1,800円?)

4 フリース薄手: ユニクロ マイクロフリース 以前購入したもの

5 アンダーウェア中厚手長袖: ミズノ ブレスサーモミドルウェイト モニター当選品

6 アンダーウェア薄手長袖: ミズノ ブレスサーモライトウェイト 以前購入したもの

7 アンダーウェア薄手半袖: ミズノ ブレスサーモライトウェイト 以前購入したもの



<ウェア下>

8 ハードシェルパンツ: ノースフェイス モデル名不明 以前購入したもの

9 冬用パンツ: ノースフェイス バーブパンツ(M) 13,650円(13,650円)

10 アンダータイツ厚手: イズミヤPB グッドヒートM厚手 1,980円(2,480円)

11 アンダータイツ薄手: ワコール CW-X もらいもの

12 ソックス薄手: グンゼ?の発熱素材5本指ソックス2足 1,200円?(不明)

13 ソックス厚手: ウール素材のソックス 以前購入したもの



<グローブ>

14 防風防水手袋: イスカ ウェザーテックオーバーミトン 3,969円

15 防風防寒手袋厚手: ロシニョール スキー用手袋 以前購入したもの

16 防風手袋薄手: イスカ ウィンターシェルグローブL 2,835円(3,150円)

17 防寒手袋厚手: ノンブランド ウール素材のグローブ 525円(1,000円?)

18 防寒手袋薄手: マジックマウンテン メリノライナーグラブ 1,134円(1,365円)



<小物類>

19 ゲーター(スパッツ): バイレス ライトスパッツL 3,480円(3,480円)

20 バラクラバ(目出し帽): マジックマウンテン PPバラクラバ 1,134円(1,260円)

21 マウンテンダックス ピッケルバンドショルダー 1,134円(1,260円)

22 パックカバー: バイレス ハンティングブレス70~85L 2,627円(2,919円)



<ギア類>

23 アックス: グリベル モンテローザプラス 9,922円(1,1025円)

24 クランポン10本爪: グリベル G10ワイド ニュークラシック 15,592円(17,325円)

25 バックパック大: オスプレー イーサー85 25,515円(28,350円)

26 バックパック中: パイネ 45L 以前購入したもの

27 スノーショベル: アルバ SHARK ALU V2 6,123円(6,804円)

28 スノーシュー: エキスパートオブジャパン 以前購入したもの(2万円ぐらいか?)



購入総額 112,750円となりました。クランポンを購入したのは2009年の冬なので、厳密に昨シーズンに購入したものの総額となると、97,158円です。スノーシューは、もっと前に買ったのですでに価格を覚えていないため除外してます。たぶん2万円ぐらいだったような・・・。 このスノーシューはとっくに生産中止となっています。これ以外にもこまごましたものがいくつかありますが、冬専用というものではないのでここには含めないことにします。

登山靴やバ-ナー、クッカー、テントなど夏山と共通して使う道具類は、今回は含めていません。夏山未経験でいきなり冬山から始めるという人はまずいないと思います。なので、ひととおり夏山装備があるとして、新たに冬山を始めようという場合の費用として参考になればと思います。

念のため書いておきますと、登山靴はシリオ712GTXで42,000円ぐらい、テントはフライシートも入れて35,000円ぐらい、バーナーは3,000円ぐらいだったと思います。これにスノーシュー20,000円やストック10,000円、スリーピングバッグ25,000円、ダウンジャケット10,000円など冬山で使うものすべて含めると、初心者向け冬山装備一式は、まるっと27万円ぐらいというところでしょう。

けっこうかかったのか、安くすんだのかはなんともいえませんが、冬山装備はいいものをそろえればこれの軽く2倍、3倍はかかると思います。いきなり厳冬期の北アルプスに行くわけでもないですし、悪天候をついて登るということも基本的にないので、安価なもので代用できるうちはそれで通しておいて、いよいよ本格的なものが必要になってからじっくりと選んでいいものを買うというスタンスでいいのではないかと思っています。

安物買いの銭失いという言葉もありますが、自分にとってどんなものが必要なのか、どういう選び方をすればいいのか、どんな使い方をするのかなど、実際に経験してみないとわからないことは多々あります。経験も知識も無いうちに闇雲にブランド品を買ってみても、フィットしなかったとか、使い勝手がよくないなどが理由で買い替えを余儀なくされることも山道具にはよくあること。必要なところにはしっかりお金をかけて、手抜きしていいところはとりあえず安価なもので間に合わせる、というのでいいと個人的には思います。と正当化してみても、要するにお金がないのよ~(^_^;)

ちなみに、上のリストの中で失敗したと思っているのは、モンベルのソフトシェル。機能的には問題ないのですが、防風対策用にやっぱりフードがあったほうがいいのと、裏地としてついているクリマプラスメッシュはいらんなあというのが正直なところ。使ってみて、ソフトシェルは透湿防風性能に特化したタイプで十分と感じました。

昨シーズン、厳冬期の冬山としては1,700mクラスの伯耆大山にしか登っていませんが、頂上付近で風速15m程度の強風の中で行動したときは、フォレイカーシェル、ユニクロ薄手フリース、ブレスサーモ中厚手、ブレスサーモ薄手半袖、バーブパンツ、グッドヒートアンダータイツ厚手、ウィンターシェルグローブ、メリノライナーグローブという服装でしたが、とくに寒さに凍えることもなく行動できました。1,000m級の山であれば、保温層がしっかりとれて防風対策と断熱がきちんとできていれば、特別高級なブランド物を身に着けていなくても問題ないと思います。

来シーズンの課題は、この装備がどの程度までの悪条件に対応できるかです。

上記装備のウェア類のインプレッション記事はこちら

小物・ギア類のインプレッション記事はこちら


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| 冬山装備 | 21:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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雲上の縦走路と緊張の大キレット :槍穂高連峰 vol 4

2001年9月 槍ヶ岳~奥穂高岳 単独テント泊縦走
天国と地獄を見た日

へとへとになって大キレットを越えてきた翌朝、北穂高岳山頂から壮大な朝焼けを期待して早起きしました。日の出前に起きて小屋の外に出てみると、空はどんよりとした曇り空です。上空には重い雲が垂れ込め、眼下には雲海が広がって、ちょうど雲と雲の隙間にできた空間に立っているような奇妙な空模様でした。昨日まであんなにスカッと晴れていたのに・・・ 3100mの高みから朝日に燃える槍の姿を見たかったのに、なんで肝心なときに天気が崩れるのでしょうか。さっさとあきらめて小屋に入って、もう少し惰眠をむさぼっても良かったのですが、なぜか諦めがつかずテラスでうだうだしていたら、哀れに思ったのか神様は願いを聞き入れてくれたようです。


槍穂高縦走39
東の空の雲間から、幾筋もの光が差し込み、雲海の上をサーチライトのごとく照らし出し始めました。はるか彼方の雲は、まるで朝焼けのように赤く焼けています。雲が朝焼けになる場合、普通は太陽が雲よりも下にあるとき、つまり日の出前の状態にあるはずです。しかし、光は上空の雲から差し込んできています。朝焼け雲を作り出しているのが地平線下の太陽なら、上から来る光はいったい何なんでしょうか。まさか神様の降臨!? 

槍穂高縦走40
とにかく、その美しさは言葉にできないほどのものでした。

槍穂高縦走41
夜明けの青い空気と雲間からこぼれる光、そして真っ赤に焼けた雲。

槍穂高縦走42
わずか3000mの高さですが、ここはまさしく神々の座なのかもしれない。そんなことを考えながら、ぼくは静かにシャッターを切り続けました。

やがて美しくも不思議な時間が終わり、あたりは曇った朝特有の青く冷たい感じの空気に包まれました。上空の雲と眼下の雲海は、中途半端に混ざり合いながらすっかり冷め切ったスープのように沈殿しています。

槍穂高縦走43
昨日越えてきた大キレットは、その険しい様相とは裏腹に静かに伸びやかに朝の空気の中に稜線を連ねています。北穂直下の絶壁が眼前に大きく見える関係からか、南岳から見たときよりも険しいルートに見えます。このとき、ここをもう一度渡れといわれたら、即座に断ったことでしょう。それぐらい神経を消耗したルートでした。

夜明けの美しい光景を見た余韻が冷め切らぬうちに、小屋に戻って出発の準備をしました。宿泊客はあまり多くありませんでしたが、皆出発準備を整えて小屋の入口付近に集まっています。僕も荷物を詰め込んで靴を履き、入口前のテラスに出ました。ベンチに座って今日のルートを地図で確認します。

北穂高岳から涸沢岳を経由して穂高岳山荘まで行き、荷物を預けて奥穂高岳に登頂したあと穂高岳山荘横のテント場でテント泊というのが本日の予定です。距離的にはたいしたことは無いのですが、大キレットと大差ないハードなルートらしい。それでも、距離が短い分、昨日よりは楽に越えられるだろうと考えていました。

ところが、さあ出発というタイミングでなんと雨がぽつぽつと落ちてきました。これはやばいことになった! そうじゃなくても滑落や転落事故が起こりやすいルートだというのに、この上雨で岩が濡れてしまうと、滑りやすくなってさらに危険度が増してしまいます。今はまだぽつぽつと落ちてきているというレベルの雨ですが、この後どうなるかわかりません。一瞬停滞しようかとも考えましたが、標準時間2時間30分のルートです。めちゃくちゃ慎重にゆっくり歩いて倍の時間がかかっても5時間。それなら楽勝でお昼過ぎには穂高岳山荘にたどり着くことができます。であれば、多少雨がきつくなっても大丈夫。バックパックからレインウェアを引っ張り出して着込んだら、すぐに出発しました。

北穂高岳の頂上を越えて南峰を涸沢側に回りこみ、ガレて不安定な急傾斜の道を慎重に下ります。道が飛騨側に回りこむと、右側は滝谷を見下ろす恐ろしい絶壁となり、高度感も手伝って恐ろしいことこの上なしです。雨に濡れた岩肌は思いのほか滑りやすく、ちょっとでも傾斜のある岩の上に手や足を置く場合、そのつどグリップを確認しながら進むようにしました。鎖のかかった場所は、さらに慎重さが要求されます。ハラハラドキドキしながら、小雨の中を涸沢岳に向けて下ってゆきました。

槍穂高縦走44
この写真は北穂高岳を出発してから初めて撮った写真です。たぶん、北穂高岳を涸沢岳に向けて下っている途中で写したものだと思います。おそらく雨が止んで、雲間から涸沢に光が差し始めた光景がきれいだったので、休憩がてら荷物をおろしてカメラを取り出したのでしょう。

やっと北穂高岳と涸沢岳の鞍部まで下りてきたら、つかの間の晴れ間はあっという間に雲にかき消され、ポツリポツリと雨が落ち始めました。

槍穂高縦走45
これから進む涸沢岳の斜面を見上げると、上のほうに人がいるのが見えました。どうやら下ってきているようです。このまま進んでしまうとやばいところですれ違いになりかねません。丁度いいタイミングだったので、休憩しながら彼らがたどってくるルートを見学させてもらうことにしました。

槍穂高縦走46
下から見ていると、あんなところに道があるのか?と思えるような絶壁をジグザグにたどりながら下ってきます。途中には鉄梯子もあるようだし、簡単には歩かせてはもらえないようです。

このあと、雨足が少し強まったことと、気の抜けない岩場が続いたため、穂高岳山荘に着くまで1枚も写真を撮っていません。いや、撮る余裕が無かったといったほうがいいでしょう。浮石だらけの涸沢岳の絶壁をミスをしないことだけを考えながらなんとか登りつめて、最後は鎖のかかった垂直な岩壁を岩溝に体をねじ込ませながら登りきったら、そこが頂上でした。あっけないぐらい、突然訪れたピーク。いままでの絶壁はなんだったのかと思えるほどのあっけなさでした。ガスガスの頂上は、展望は皆無でした。ゆっくりすることも無く、そのまま穂高岳山荘まで下り始めました。

涸沢岳の下りは比較的楽な道でした。やがて白いガスの中に山荘の赤い屋根が見え始め、程なくして山荘前に下り立つことができました。穂高岳山荘前は、綺麗な石畳のテラスになっており、晴れていれば涸沢が眼下に広がっているのが見えることでしょう。しかし、今日はガスガスです。奥穂高岳の山頂すら見ることができません。外にいると体が冷えるので、中に入って休憩させてもらいました。たしか、ホットコーヒーを注文したように思います。

がらんとしたロビーでコーヒーを飲みながら考えました。奥穂高岳に登るべきかどうか。雨は小康状態になっているとはいえ、岩肌は完全に濡れています。登ることはできても、視界は100%ないはずです。真っ白な世界を見るだけに、わざわざ上る意味があるだろうか。登頂したという事実と自己満足がほしいのなら、それもいいでしょう。しかし、自分としてはそこまでする気にはなりません。僕は美しい山岳風景を見たくて、そしてそれを写真に撮りたくて山に登っているのです。何も見えない山に登ることに、意味を見出すことができません。

であれば、今日はこのままテントを張ってのんびりするだけです。しかし、果たして明日晴れるのでしょうか。昨日までの3日間は快晴でした。それが今日になって天候が崩れたわけです。順当に考えれば移動性高気圧が過ぎ去り、西から低気圧がやってきたと考えるのが自然な流れ。そうすると、明日はさらに本格的な雨になると考えたほうがよさそうな気がします。

結局、僕が出した結論は下山でした。おぼろげな記憶では小屋の中に天気予報の書いたボードが掲げてあり、このあと数日間の天気予報が書いてあったの見て決断したような気がしますが、そのあたりはかなりあやふやではっきりしません。いづれにしても、雨に濡れた北穂高岳から奥穂高岳までのルートでかなり消耗していたこともあり、気持ちがネガティブになっていたこともあるでしょうが、なんらかの情報を得てもう一日いても晴れる見込みは無いと決断したものだと思います。時間的にもまだ10時ごろだったはずなので、下山するのに十分な時間があることも決断した理由のひとつだったはずです。

山荘から出て、白出沢の下山口に向かいました。山荘の脇から急傾斜で下る白出沢のルートは、下のほうまでずっと大きな岩が敷き詰められたようなルートでした。

槍穂高縦走47
谷間には雲海が押し寄せてきていました。下に降りると本格的な雨かも、などと思いながら白出沢を下り始めました。もはや下山するだけだし、急傾斜とはいえ断崖絶壁のルートではないという安心感から、僕はまったく気楽にひょいひょいと石の上をたどっていきました。

山荘が少し小さくなってきた頃、僕は何気なしにルート上にあった座布団ぐらいの大きさの岩の上に脚をのせました。それまで下ってきたのとまったく同じように、それが動くことなどまったく念頭にない状態で、ひょいと飛び乗ったのです。その瞬間、世界は一瞬にして180度回転しました。僕が飛び乗った岩は、音も無くスパッと足元から消えてなくなりました。そして、僕は雨に濡れてつるつるになった岩が敷き詰められた急傾斜の上を仰向けのまま滑り落ちて行ったのです。

それは、まったく無音のスローモーションのような世界でした。これはやばいぞ、と思って手を突いて滑落を停めようと思い、滑り落ちている地面の状態をちらっと見ましたが、もちろん平坦な地面ではありません。岩と岩の隙間が黒いまだら模様のように視界を過ぎ去っていきます。これに手を突いたら岩の隙間に腕を挟まれて簡単に持っていかれる! 不思議なもので、人はこういうときそんな冷静な判断ができるのです。決してええかっこして作り話を書いているわけではありません。学生時代、僕はモトクロスをやっていました。練習中やレース中に転倒してバイクの上に落ちることもたまにあり、そういうときにうかつに手を突くと回転しているタイヤに手首を突っ込んでチェーンとギアで手首を引きちぎられる危険性があります。でも、そんなときは自分が落下する方向の場所をみて、落下方向にタイヤがあるときは手を引っ込めてプラスチックのショルダープロテクターから落下するようにしていました。危機的な状況になると、コンマ何秒かの間に人間は案外冷静に状況を判断することができるのです。手を出すのをやめて、背中のバックパックがこすれて自然に滑落が止まるのを待つしかありませんでした。下山していたルートが断崖絶壁ではないという安心感がそうさせたのかもしれません。やがて、体は自然に停止しました。

まず確認したのは手足が無事かどうかです。両手両足を動かしてみて、痛みもなく普通に動くことを確認しました。そのあと、頭や顔を触ってみましたが、出血も無く痛みもありません。バックパックを下ろして点検してみると、レインカバーがざっくりと切れていましたが、それほど大きなきずではなく、本体は無傷でした。また、レインウェアも小さな穴と裂け傷が数箇所あいていました。どうやら比較的平坦な場所をずり落ちただけで済んだようです。上を振り仰いで、どこからどれぐらいの距離を落ちたのかを確認してみましたが、すでに脚をのせた岩が無いので、よくわかりません。雰囲気的には10m程度落ちたようです。時間にして数秒ぐらいでした。

助かった・・・ ほっとしました。いくら断崖絶壁ではないといっても、長い距離を滑落すれば途中で岩に激突する可能性もあります。手足の骨折ならまだましですが、頭からぶつかったら即死ということだってあり得ます。下山途中ということですっかり緊張感がなくなっていたのでしょう。沢筋のルートだからといって油断は禁物です。実際、山での事故は下山時に起こることが多いといいますから、こんな風に安心しきって警戒心を解いてしまうのが原因なのでしょう。今日、身を持って下山時の危険性を確認してしまいました。怪我がなかったのは不幸中の幸いでした。こんなところで足でも骨折していたら、雨の中誰かかが通るまでひたすら待ち続けなければなりません。

体が無事であることを確認し、装備の点検も終えてから、僕は再び下山を始めました。今度は一歩ずつ慎重に足を置く場所を選びながら。

やがて樹林帯に入ると、下からガスが這い上がってきました。森の中を音も無く白いガスが上がってくる様は、なんともいえない恐ろしさと同時に神秘さもありました。その様を写真におさめようとあわててバックパックを下ろしてカメラを取り出したのですが、あっというまにガスが通り過ぎてしまい、木々の間を這い上がるガスの姿をとることはできませんでした。

槍穂高縦走48
しょうがないので、沢向こうの森にかかるガスの様子を撮ったのが、この写真です。そして、これがこの山行の最後の写真になりました。

白出沢の橋を渡ったところで、昼食をとることにしました。ちょうど木が覆いかぶさるようになっていたので、雨もさえぎってくれていました。記憶では、ブルーシートで覆われた休憩場所のようなものがあったような気もしますが、どうもはっきりしません。ガスボンベを出してお湯を沸かし、アルファ米を作ろうとしていたら、なんとガス欠になってしまいました。250gのガス缶が4日目でガス欠なんて・・・ なんという燃費の悪いバーナーでしょう。このとき使っていたのは、じつはホームセンターなどで売られているキャプテンスタッグというブランドのもので、けっこう炎が出るヘッドの直径が大きいものだったので、炎がクッカーの周辺部にばかり行って横から熱が逃げていたようです。キャンプ用品なので、ファミリー向けのもっと大型のクッカーを使うことを前提に設計されていたのでしょう。帰宅後、好日山荘に駆け込んだのはいうまでもありません。

お湯が沸かせなければ昼食は無理です。仕方がないので、生ぬるい沸きかけのお湯でスープを作り行動食で昼食を代用しました。

また、このとき着ていたレインウェアは、実は透湿性能がまったくない超安物でした。そのため、内部に思いっきり結露して雨の中を歩いたような状態でした。当然、体も冷えてきます。行動食があるのに、わざわざお湯を沸かして昼食をつくろうとしたのも、それが理由でした。まったく、今日は踏んだり蹴ったりです。おかげで、いい加減な装備は本格的な登山には通用しないということもよくわかりました。後日、ゴアテックス素材のレインウェア(モンベル ストームクルーザー)を買ったのは、このときの反省からです。

体が冷え切らないうちに昼食を切り上げ、下山を再開しました。白出沢を渡ってしまうと、登山道は森の中の普通の登山道となり、もはや危ないのはつまづきや転倒ぐらいです。やがて白出沢出会いに着き、あとは林道をただ下るだけです。雨は相変わらずポツリポツリと降り続いていました。

おわり。





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| 2001年9月 槍穂高縦走 | 17:31 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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雲上の縦走路と緊張の大キレット :槍穂高連峰 vol 3

2001年9月 槍ヶ岳~奥穂高岳 単独テント泊縦走
いよいよ核心の大キレットへ!

翌朝、6時前ぐらいだったか、目が覚めてテントの外をのぞいてみると、なんと真っ白! さてどうしたものやらと思いつつしばらくごろごろしていましたが、とりあえず朝食をとることに。食後、トイレに行こうとテントを出てみると、真っ白だった世界がもとの状態に戻りつつあります。槍ヶ岳が姿を現すことを期待してカメラを持って出てみると、まるでレースのカーテンが開いていくようにガスが晴れてゆきます。そして・・・

槍穂高縦走22
槍ヶ岳出現!朝日に照らされて昨日見たよりもずっと立体的に見えます。

今日も快晴の予感です。山での天候はなぜこれほど人間の感情を左右するのでしょうか。晴れるというだけでやたら元気が出てくるし、ポジティブ思考になります。これから向かうこのルートの核心部、大キレットに対する不安感すら先ほどのガスと同様に完璧に消えてなくなったように感じます。トイレを済ませ、なぜかウキウキしながらテントを撤収すると、恐らく日本で最も魅力的な縦走ルートのひとつであろう、槍穂高の稜線に足を踏み出しました。

テント場から昨日登って来た飛騨乗越までいったん下り、そこから大喰岳へと登り返します。このあたりのルートは特に危険な箇所もなく、快適な稜線歩きのルートです。大喰岳は特に登山対象として話題に上ることもない地味な山ですが、標高3101mもあり実は北穂高岳につぐ第10位の山なのです。槍穂高の稜線上にあり、台形の山容のどこにピークがあるのかよくわからない山ですが、3000mの高所を比較的安全に長く歩けるという意味ではかなり貴重な山だと思っています。

大喰岳を越えて鞍部に下り、再び上り返して中岳へと道は続きます。

槍穂高縦走23
途中で振り返ると、どっしりとした大喰岳の背後にやや傾きながらすくっとた立ち上がった槍の姿がありました。

中岳は標高3084mで、第12位の高さを誇ります。この山も大喰岳と同様に名だたる名山にはさまれて地味で見向きもされない不遇の山です。しかし、なかなかすばらしい眺望を味わえる山であり、単に通過点として通りぎるのではなく、ゆっくりと休憩して眺めを楽しみたいところです。

槍穂高縦走24
南には穂高連峰の岩峰が折り重なるように高さを競い合っているのが見えます。

槍穂高縦走25
北には、大喰岳と槍ヶ岳の向こうに裏銀座の山々や黒部の谷にたまった雲海も見えていました。はるか眼下に雲海を見下ろしながら続く稜線の道。ここはまさに雲上の縦走路です。

槍穂高縦走26
中岳を下り南岳との鞍部まで来ると、これまでほぼまっすぐに南に向かっていたルートが少し東側に進路を変えたことで、中岳、大喰岳、槍ヶ岳が重なることなくひとつながりの尾根としてみることができます。台形の大喰岳をはさんで三角形の中岳と槍ヶ岳がバランスよく配置され、なかなかいい感じです。せっかくの雲上の縦走路です。たんに移動するだけの道のりだったり早く歩くことに目標を定めた山行なんてもったいなさすぎます。山は振り返りながら歩こう。これが僕のモットーです。といっても、歩きながら振り返ってたら命がいくつあっても足りません。時々立ち止まってゆっくりと景色を楽しもうということです。念のため。

槍穂高縦走27
南岳の頂上近くで、枯れて地面をのたうちまわったようなハイマツがありました。厳しい自然との闘いの果てに朽ち果てたのか、それとも人間が地面を踏み荒らし土砂の流出などを招いた結果なのかわかりませんが、その姿が妙に印象に残っています。そのまま写真を撮ってしまうと、たんなる枯れ木になってしまうので、白骨化した幹のうねる様子を心象風景的に表現するために、カメラの設定を変えて大きくアンダーになるように撮影しました。

南岳小屋につき、核心部に脚を踏み入れる前に休憩をとります。小屋の前で休憩しようかとも思いましたが、大キレットの様子が気になってしかたがないので、大キレットが見下ろせるところまで行って休憩することにしました。大キレットの降り口には獅子鼻という大きな岩峰がありますが、そのすぐ下まで行くと大キレットの全貌が手に取るように見えました。

槍穂高縦走28
南岳からの下りがガレた岩場の急坂のようでかなり不安がのこりますが、いったん下ってしまえば北穂高岳の手前にある小ピークあたりまでは特にやばそうな雰囲気はありません。その点では少しほっとしました。しかし、長谷川ピークらしき小ピークから先、北穂高岳の断崖絶壁を見るにつけ、とても一般登山道とは思えません。4泊5日のテント泊装備のバックパックは恐らく15kg以上はあったと思います。その重い荷物を背負ってこの稜線を越えていくことができるのか、見れば見るほど不安が募ります。もちろん、今なら槍平へエスケープすることもできます。時間は13時近くになっていたと思います。地図に書かれている標準タイムは3時間ですが、恐らくもっとかかるはず。北穂高小屋に着くのは17時近くになりそうな予感がするので、いつまでも迷っている時間はありません。体調はとくに問題なし。装備は重いがテントがあるので万一の場合でもビバークはできます。ヘッドライトもあるし、食料もあります。天候は、いまのところ大きく崩れる雰囲気はなさそうです。とすると、必要なのは決断する勇気だけ。何も特殊な登坂技術が必要なわけじゃあないし、僕より年配の人や女性だって越えて来る道です。行こう! 自分にできないはずはないと信じて、僕は北穂高岳を目指して出発しました。

槍穂高縦走29
大きく息を吸って獅子鼻の岩頭を見上げると、相変わらず深い青色の空が頭上に広がっていました。ルートはペンキマークがしっかりと描かれているので迷うことはありませんでしたが、急傾斜に浮石が多く気の抜けない状況が続きます。途中、垂直な梯子もあり、つまづきやスリップにも注意しながら一歩一歩を確実に進めながら、なんとか200mにもなろうかという岩壁を下りきることができました。この間、さすがにカメラを取り出して写真を撮ろうという精神的な余裕などなく、途中で撮影した写真は1枚もありませんでした。

槍穂高縦走30
獅子鼻の岩壁を下りきって、岩ゴロの比較的平坦な場所で休憩していると、北穂高方面から単独行の女性がやってきました。軽く挨拶はしましたが、その表情は固く相当緊張しているようでした。恐らく僕も歩いているときはあんなふうに余裕のない表情で歩いていることでしょう。

槍穂高縦走31
休憩を終えて少し下ったあたりで振り返ると、雲ひとつなかった獅子鼻の上空に一筋の雲がかかっていました。

槍穂高縦走32
よくみると、さっきすれ違った女性が垂直梯子を登りはじめていました。赤丸の部分を300mmまでズームしてみると・・・

槍穂高縦走33
彼女は梯子の一段一段を踏みしめるように慎重にゆっくりと登ってゆきました。彼女にとってはこの岩壁が最後の難関ですが、僕はまだスタートしたばかりです。のんびり見ている余裕はないので、彼女の無事を祈りつつ先を急ぎます。

槍穂高縦走34
この写真はおそらく長谷川ピークの手前で撮ったものだと思いますが、正直記憶にありません。僕は自分が撮影した写真の場所は、ほぼ覚えています。しかし、大キレットで撮影したものについては、あまり覚えていないものがほとんどです。枚数もたいしてありませんが、その数少ない写真の撮影場所すら覚えていないのです。それほど余裕のない状態だったということです。この写真にあるように、傾斜のきついナイフリッジの岩稜を、鎖に頼りながら必死で越えて行ったことだけはよく覚えています。

槍穂高縦走35
この写真もどこで撮影したものか定かではありませんが、写真の順番と風景からすると長谷川ピークの頂上あたりだろうと思います。長谷川ピークのあたりでは、信州側から飛騨側にナイフリッジを乗越すところで、かなり恐ろしい思いをしました。ナイフリッジを乗越して、下にある幅50cmほどの登山道に下りればいいのですが、急角度に切れ落ちた岩の途中に足がかりになるところが見つからず、しばらく悩んだ末に登山道まで後ろ向きにずり落ちるようにして下りたのです。もちろん、登山道までの岩の状況がどうなっているのかよく確認したうえでの行動ですが、ほんの1~2秒岩をずり落ちている時間がものすごく長く感じられ、もしもこのまま止まらなかったら・・・という恐怖に体がすっかりこわばってしまいました。無事、足の裏に登山道を感じて、体が止まった瞬間は胃がキューッと縮んだような気がしました。今思うと、もっとよく確認して安全に下りられる場所を探すべきだったと思います。こんなところでつまらないギャンブルをしても仕方がありません。なんとかなるだろうではなく、確実になんとかするというつもりでないと、安全は確保できません。

槍穂高縦走36
見上げる北穂高岳の岩壁に、いつの間にか雲がまとわりつくようになってきました。滝谷のほうからどんどん雲がわいてきます。

槍穂高縦走37
単純に岩壁だけみてもビビリそうな光景なのに、雲がまくようになるとさらにおどろおどろしい様子に見えてきます。幸い上空にはまだ雲が張り出してきていないので、天候が崩れそうな様子はありません。それでも登山道がガスで見えにくくなるというのはやっぱり不安です。獅子鼻の下で女性とすれ違ったあとは、誰ともあっていないということも、なんとなく不安な気持ちを増幅させます。もしもこの先転落しても、誰も通りかからなければ救助を呼んでもらうこともできないのです。この先には、飛騨泣きという最大の難所が待ち構えています。慎重にも慎重を重ねて乗り切らなければなりません。

槍穂高縦走38
飛騨泣きのあたりで撮った写真だと思います。飛騨泣きあたりで一番恐ろしかった場所は、こういうナイフリッジの場所ではなく、岩稜がすっぱりと切れ落ちて2mぐらいのクラックになっている場所の真ん中に、人一人がようやく立てるほどの柱状の岩があって、そこを足場にして向こう側の岩に取り付くという場所でした。なんというか、スーパーマリオが小さな足場を飛び越えて進んでいくような場面です。この足場になっている岩柱が、乗ると倒れるのではないかという恐怖感があり、いったんバックパックを下ろして、足で蹴ってみたりしてしっかりしていることを確認したことを覚えています。最近、飛騨泣きに梯子だか橋だかが設けられているような写真をみたので、今は通過しやすくなっているようです。

最大の難所を無事に越えて、ほっとするのもつかの間、今度は北穂高岳の大岩壁が待っています。鎖や鉄梯子にすがりつくようにしてよじ登り、ようやく普通に立って歩けるようなところまできたとき、おなかが痛くなってきました。昔から極度に緊張すると腹痛になることがあり、久しぶりにその症状がでたようです。いままでは緊張を強いられていたため、痛みを感じる余裕がなかったのでしょう。普通に立って歩ける場所まで来たことで、気持ちが緩んで痛みを感じる余裕ができたためと思います。社会人になってからはストレス慣れしたためか、この症状はすっかりでなくなっていたのですが、大キレット越えはさすがに相当なストレスになっていたようです。

きりきりと痛むおなかに悩まされながら、北穂高小屋にやっとたどり着いたのは、やはり17時近くになってからでした。疲労困憊でテント泊をする気にもならず、到着と同時に宿泊の申込みをしました。考えてみると、このときの北穂高小屋が初めての小屋泊です。素泊まりだったのか食事つきだったのか覚えていませんが、ここに小屋があって本当に良かったと心から感謝しました。その夜は快適な布団でゆっくりと疲れを癒したのはいうまでもありません。

翌朝、これまで見たことも無いような美しい光景に出会うことになるのですが、同時に大キレット越えをも上回る厳しい試練に直面することになりました。

つづく





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| 2001年9月 槍穂高縦走 | 02:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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