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ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。相互リンクはしていませんので、リンクはご自由にどうぞ。

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星景写真のためのその4 バルブ撮影とヒストグラム

「星景写真のためのその3」はこちら。


写真① 涸沢の夜をかけるオリオン
***写真①  クリックすると大きくなります***

 星景写真においては、フィルの時代は星を光跡として撮影することが一般的でした。高感度のフィルムではISO1600など特殊用途のフィルムもありましたが、画質的にかなり厳しいものがありました。そのため、普通に使われる高感度フィルムとしてはISO800が事実上の上限でしたが、これでも画質はあまり芳しくないものです。画質を求めるとISO100のポジフィルムを使わざるを得ないわけで、そうなると露出時間が10分を越えるのは当たり前であり、当然星は流れて円弧の一部として写るわけです。ところが、デジタルになるとISO1600が実用になり、最近ではISO3200や6400でもノイズが気にならないレベルになりつつあります。そうなると、露出時間は30秒もかからないで撮影できるので、星を見たままの状態、つまり点像として撮影することが可能になりました。
 逆に、長時間のバルブ撮影を行うと撮像センサーが熱を帯びて熱ノイズが発生するため、フィルム時代のような光跡として撮影することは、デジタルでは苦手な撮影方法になります。

 しかし、時には光跡が円を描くような星空の写真を撮ってみたいということもあります。見たままに撮れるということもカメラのメリットですが、肉眼では見られない映像を写し出すことができるというのもまたメリットなのです。というわけで、今回と次回はデジタル一眼レフで星を光跡として撮影する方法について書いてみようと思います。

写真②
***写真②  クリックすると大きくなります***

 まず、光跡を写す方法としては2つの方法があります。ひとつはフィルム時代と同じ長時間のバルブ撮影をする方法。もうひとつはデジタルならではといえるコンポジットという方法があります。コンポジットというのは複数枚の写真をパソコンで合成する方法なので、写真撮影の技術とは別の要素が必要になります。私は光跡の写真にする場合はバルブ撮影を使っているので、今回はバルブ撮影の方法を解説します。なお、デジタルで星景写真を撮影する場合、JPEGでの撮影はオススメしません。ぜひRAWで撮影してください。この記事はRAWでの撮影を前提として書きます。

バルブ撮影の手順
1.三脚にカメラをセットし、リモコンケーブルを取り付けたら、構図を決める。このとき、ライブビューが使えるカメラはライブビューで構図を決めたほうがわかりやすいです。ファインダーではほぼ何も見えません。近くに木などがある場合は、懐中電灯で木を照らしておけば、画面の上下左右端の位置がわかりやすくなります。風がある場合は頑丈な三脚といえでも微妙にぶれますので、脚をできるだけ伸ばさずに使用することをオススメします。

2.ISOとレンズの絞りを決めます。星を光跡として写す場合は、露出時間が長くなるので、ISOは低くします。露出時間にもよりますが、ISO100か200ぐらいでいいでしょう。絞りはおおむね開放絞りにすると思いますが、F1.4のように明るいレンズであればF2ぐらいまで少し絞ってもいいでしょう。レンズというのは、開放絞りよりも1段程度絞ったほうが描写性能が上がりますから、必要に応じて少し絞るというのもありです。ただ、F2.8をF4などにしてしまうと暗い星が写りにくくなるので、F2.8以上に絞り込まないほうがいいと思います。

3.露出時間を計算します。露出時間は、自分で基準とする時間がある場合は別ですが、おおむね、ISO1600・F2.8・30秒をひとつの基準として考えればいいと思います。先にISO100に決めたのであれば、ISO1600から-4段に相当しますから、30秒から+4段の480秒にすればいいわけです。あとは、どの程度の長さの光跡にしたいのかによって変わってきます。天体は24時間で360度回転するわけですから、1時間で15度、10分で2.5度動く計算になります。北極星の近くなら円の中心付近になるのであまり動きませんが、東西の空を撮る場合は円の中心から距離が離れるので、わりと流れます。どちらの方向をどの焦点距離のレンズで撮影するかによっても変わってきます。普通はフルサイズ換算で20mmから28mmぐらいが一般的です。この焦点距離域で、星座の形がある程度わかるように流したいのであれば、せいぜい10分から15分です。それ以上長くなると星座の形は判然としなくなります。写真①は秋の涸沢でフィルムで撮影したものですが、露出時間は10分程度だったと思います。光跡になってもオリオンの形がはっきりとわかります。

 では、10分の露出時間にする場合、他の設定はどうすればいいでしょうか。ISO1600・F2.8・30秒を基準として考えると、露出時間が600秒になるわけですから、約4段(480秒)と少し(+1/3ぐらい)明るくなるわけです。そのため、明るくなった分を他の項目で暗くしてやらなければいけません。そのままだったら真っ白な写真になってしまいます。絞りはF2.8よりも暗くしてしまうと星の写りが悪くなるので普通はそのままです。となると、ISOを調整することになります。4段暗くするとなると、ISO100まで下げる必要があります。のこり-1/3段はどうしましょう。ISO80という設定ができるのであればそれでもいいのですが、普通はISO100の下は拡張機能があってもISO50です。IこれいじょうISOで調整できないのであれば、あとは絞りで調整するしかありません。F2.8の-1/3段のF3.2にしてやればいいわけです。
 もしもカメラの最低感度がISO200までだったら、3段分しか暗くすることができません。こういう場合も同様に、絞りを1と1/3段暗くします。F2.8をF4.5にしてやればいいわけです。つまり、ISO100・F3.2・600秒、もしくはISO200・F4.5・600秒という設定になります。ただ、ここまで細かい計算をしなくて、RAWで撮影しておけばあとで1/3段分の補正ぐらいはできますから、おおむね目標の露出時間になるきりのいい段数、例えば4段分で考えれてもいいと思います。ISOを-4段分のISO100にしたとしたら、600秒だと+1/3補正したのとおなじ結果になるわけですが、明暗の調整はあとからできても光跡の長さは調整できません。露出時間の多少の違いよりも、写真として写さなくてはいけないものを写し取ることを優先して考えるべきです。きっちりしたい人は、露出時間を先に決めるのではなく、何段動かすかで計算するというのでもいいですね。4段なら480秒、5段なら960秒というぐあいです。計算方法がわからないという方は、星景写真のためのその3を参照してください。

 ただし、ここで注意してほしいのは、このような計算はあくまでも考え方であって、これがいつでも通用するというわけではありません。というのも、星空の明るさは場所によっても時間によっても変わるからです。人里離れた山間部で月のない夜だったら光害の影響もなく真っ暗なので、もっと露出をかけてやる必要がありますし、月があったり人工光が影響している場合は、逆に明るくなりすぎることもあります。とにかく、最初にISO1600・F2.8・30秒で1枚とって見て、その結果を見て判断することが必要です。何を持って判断するかというと、モニターの画像ではなくてヒストグラムです。普段、ヒストグラムが撮影後や再生時に表示されないように設定している人は、表示されるように設定してください。

 カメラのモニターは真夜中に見るとかなり明るく見えます。そのままだと十分きれいに写っているように見えても、パソコンで見るとものすごくアンダーで地上の風景はまっくらでなにもわからないということもあります。なので、モニターの画像ではなく必ずヒストグラムを見て判断してください。

 下の「写真②のヒストグラム」では、グラフが真ん中あたりにあって、右にも左にも寄っていません。こういう状態が適正露出の状態です。本来の適正露出という意味では0.0の当たりにピークが来ますが、夜の雰囲気を出すには-1.0ぐらいの露出が好みなので、ピークは-1.0あたりになっています。「アンダーの場合のヒストグラム」のように左端の縦軸にべったり張り付いた状態だと、画面の中に黒つぶれした部分があるということを意味します。反対に右端の縦軸に張り付いていたら白飛びしているということです。モニターで適正に見えていても、ヒストグラムが左によっていたらアンダーということですから、露出時間を少し多くしたほうがいいということがわかります。
写真②のヒストグラム
***写真②のヒストグラム***

アンダーの場合のヒストグラム
***アンダーの場合のヒストグラム***

 下の写真は、10月に北アルプス三俣山荘前で撮影した写真です。写真③が基準としてISO1600・F2.8・30秒で撮ったものです。しかし、写真③のヒストグラムを見ると左に張り付いています。ISOをあげるか、絞りを開けるか、露出時間を長くするかして、もう少し適正露出になる設定を確認する必要があります。ただ、一番のピークは -3.0にあるので、+3段の補正が必要だと見当がつきます。個人的には写真②のように-1段補正が好みなので、補正量は+2段でいいということになります。ただし、カメラのモニターに表示されるヒストグラムには軸の数値は書かれていませんから、自分で真ん中と左右がいくつに相当するのか確認しておく必要があります。
写真③
***写真③ クリックすると大きくなります***

写真③のヒストグラム
***写真③のヒストグラム***

 補正をどうしたかというと、絞りは開放F2.8で動かしたくありません。露出時間は600秒(10分)ほしいわけですから、+2段の補正にするにはISOを400まで下げればいいということになります。その設定で撮影したのが写真④です。露出時間は約+4と1/3段なのにISOは-2段です。つまり、写真③に対して約+2と1/3段の露出補正をしたのと同じ設定になるわけです。
写真④
***写真④ クリックすると大きくなります***

写真④のヒストグラム
***写真④のヒストグラム***

 もしも山肌がわかるように写そうとすると写真⑤のように空も白ちゃけてしまうので、写真④がほぼOKの露出だと思っています。空が明るくならずに山肌がもう少し見えればもっといいのですが、レタッチでないと無理かもしれません。写真⑤はISO1600のまま600秒露出した写真です。ヒストグラムのピークが中央よりも右側にあるので、オーバー目の写真になっているとわかります。
写真⑤
***写真⑤ クリックすると大きくなります***

写真⑤のヒストグラム
***写真⑤のヒストグラム***

 デジタルでもバルブ撮影が可能であることはわかりましたが、何分まで可能なのでしょうか。これはカメラの機種やメーカーによって異なりますから、実際にやってみないとなんともいえません。聞いた話では、EOS 5DでISO100なら1時間でも大丈夫だそうです。その写真を見たわけではないのでなんともいえませんが、私が撮影した最長のものはISO200で20分ですが、気になるほどのノイズもなく十分実用的な画質だと思います。

<注意事項>
 デジタルカメラで長時間のバルブ撮影をすると、長秒時ノイズリダクションが自動的に働くようになっている機種が多いと思います。これは、露出時間が長い場合に発生するノイズをその場で軽減するための機能で、具体的にはシャッターが下りた後同じ時間だけノイズ軽減処理をカメラが行うというものです。このため、10分間撮影したらさらに10分間処理が終わるのを待たなければいけません。夜明けが近いなどの理由で時間がない場合は、カスタムファンクションなどの機能の中にこの設定を行わないようにする項目がありますから、事前に設定しておいてください。RAWで撮影してあれば、あとからノイズ軽減やレタッチをしても画質が劣化することはありませんが、JPEGではやればやるほど画質が劣化します。個人的には、現場でできることは現場でやっておいたほうがいいという考えですが、場合によっては後処理に頼らざるを得ないこともあります。RAWならその様な場合でも問題なく処理できます。ただし、RAWかJPEGかは人それぞれなのでご自分で判断してください。

 バルブ撮影をすると電池が早くなくなります。特に寒い時期は電池性能そのものが低下しているので、数カットで電池切れになることもありますので、予備電池は用意してポケットで暖めておくことをオススメします。

 秋になると露が降りることもありますので、レンズのフードは必ず着用し、ノイズ処理待ちなどの時間はレンズキャップをつけたりタオルをかぶせるなどしてレンズを保護してください。露で曇った場合は、レンズクリーナでふき取るか、ブロアで吹いてやると露が消えます。一番良いのはカイロをレンズの下に結び付けて温めてやることですが、レンズをあまり上向きにしないなどのちょっとした工夫でも露を防止できます。

 カメラの設定や手元の確認などでどうしても明かりが必要になります。ペンライトだと片手がふさがれるので、ヘッドライトをオススメします。


「星景写真のためのその5」はこちら。


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