ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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進むも地獄、退くも地獄。: 伯耆大山縦走路その2

2013年10月30日 鳥取県大山町 伯耆大山 単独日帰り



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11:57 特にすることもないので、久しぶりに自撮りで記念撮影して出発しました。


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剣ヶ峰から先は初めて足を踏み入れます。剣ヶ峰から見た限りでは、しばらくは幅広の尾根が続いているように見えていたので、道もてっきり幅広で安全な道だとばかり思っていましたが、そんなことはありませんでした。相変わらず南側が激しく崩落したナイフリッジのような細い道です。


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先に進んでいくと、今度は北側が崩落した道になりました。ナイフリッジの鋭さは今までよりも増しています。当然ながら、恐怖度数も跳ね上がります。単純に角度が倍になったら恐怖度数も倍になるというわけではなく、二乗に比例するという感じです。


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そして、とうとう両側とも崩落した状態になってしまいました。尾根というよりも「塀」の上に道があるという感じです。ガスで10mぐらいしか下は見えていませんが、実際には数百mも切れ落ちているわけです。これがピーカンで視界良好だったら引き返していたかも知れません。とにかく、ラクダの背を確認するためには、この平均台のような道を進まなければならないのです。

しかし、ラクダの背がどこにあるのか、はっきりとは知らないのです。ネットの写真で見ただけなので、なんとなくそのイメージがあるだけです。細い尾根の真ん中にこんもりと盛り上がったコブのような場所があり、標高1700mの高さでそのコブを跨ぎ越して行かなければならないという場所、それがラクダの背です。目の前のこの場所もそのように見えなくもありませんが、写真で見た場所とは違うようです。とりあえず、この先まで行ってみることにしました。


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ときおりバランスを崩されかけるような風が吹いてくるので、風のタイミングを見ながら、バランスをとって慎重に尾根を渡り、小さな突起状のピークを越えると、今度はざれた急傾斜の下りになりました。標高差は5mぐらいだったかもしれませんが、とても歩いて下れるような状況ではなかったので、しゃがみこんで両手足を使いながら慎重に下り、今度はぼろぼろと崩れ落ちる痩せた尾根の小ピークを登り返します。


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そして、自分の目を疑うような場所に来てしまいました。北側はほぼ垂直な崖、南側も70度はあろうかというもろい崖。その狭いリッジの上はおよそ平坦な場所はなく、砂利やら石やらがちりばめられています。これがラクダの背か? しげしげと見つめながら記憶の中の写真のイメージと重ね合わせて見ましたが、どうも違います。

違うとはいえ、これはこれでまともに渡れるのか大いに疑問が湧いてきます。まず、人が乗っても崩れないのだろうかという疑問。ほとんど平坦な場所がない上に砂利がのっていて、足を置いたときまともにグリップするのだろうかという疑問。当然ながら両手で体を確保しなければならないわけですが、この突起している岩は果たして体を支えることができるほどしっかりしているのかという疑問。どれかひとつでもダメなら、滑落に直結する危険性はかなり高い状況です。

引き返そうか、そう思いながら後を振り返ったとき、自分の置かれている状況をいまさらながら認識してしまいました。今歩いてきた道は、目の前の状況となんらかわりないほどの危険に満ちた道だったのです。アドレナリン全開で来てしまった道を、いま少し冷静になって見たとき、その状況が客観的に認識できたということなのでしょうか。進むも地獄、退くも地獄の状況にいることだけは明白です。いずれも地獄なら、進んでみるかということで、一挙手一投足に神経を集中させて、なんとか目前の難関をクリアすることができました。


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ところが、その先で自分の判断を後悔してしまったのです。確かこの小さな岩峰の上から向こう側を覗いた瞬間だったと思います。しかしながら、いまひとつ記憶がはっきりしません。本当にここだったのかどうか。写真もありませんから、相当動転していたのでしょう。

この岩峰の向こう側は幅30cmも無いような細い平均台のような尾根が急傾斜で落ち込み、しかもわずかに右にカーブしながら続いており、その細い平均台のような尾根はもちろん砂利がたっぷりとちりばめられていました。この岩峰はしっかりした一枚岩ではなく、細かく割れたいかにも不安定な石のよせ集めのような状態で、その上に立つ気には到底なれません。しかし、足場が悪く、巻いて行くことはできないし、跨ぎ越すにしてもそこそこ高さがあるのでそれほど楽ではありません。そのうえ、向こう側は急傾斜で砂利の浮いた平均台のような尾根です。跨ぎ越すタイミングで、そこに置いた足に体重を乗せた瞬間に足が滑ったらと考えただけで背筋が寒くなります。


”どうする? どうすんだ?” 少しの間考えをめぐらせたものの、いいアイディアなど浮かぶはずもありません。行くか戻るかの二択以外に選択肢はないのです。戻るにしても、さっきの場所を今度は下るわけですから、この先と状況は同じです。どちらにしても、この小さな岩峰まで来てしまったら、往路も復路も同じ難易度なのです。ここがラクダの背の核心部なのか。それともまだ先なのか。雰囲気的には核心部だと思われますが、確証はありません。

しかし、数十m向こうにぼんやりと大きなピークが見えることから考えても、あのピークの向こうは三角点のはずです。とすれば、やはり目の前のこの難所さえ渡ればこれ以上の難所はないと考えていいはず。引き返せば、これまで渡ってきた難所を再び通過しなければならず、そちらのリスクもかなり大きいはず。であれば、最大のリスクとはいえ最後の難所を抜けて弥山に抜けたほうがいいのかもしれません。覚悟を決めて、弥山に抜けることにしました。


岩峰の上に両手をつき、まず左足を回して向こう側におきます。浮いた砂利を蹴り落とし、グリップが効くことを確認して右足をゆっくりと回して岩峰の向こうへと回します。右手をはずし素早く右足を通したら、今度は左手を上げて右足を反対側の傾斜におきます。それでようやく体がまっすぐになり、不安定な状態から脱出することができました。体制を整えて、体を起こし、両足で立つことができないほど狭い尾根に対して横向きになりながら、急傾斜を慎重に下り、鞍部から向こう側のやや広くなった尾根に飛びつくようにして渡りきったとき、いいしれないほどの安堵感を感じたのでした。


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その後も、やや難しい場所が少しありましたが、ラクダの背の後ですから怖さなど微塵もなく、すたすた歩いて通過しました。


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やがて、尾根も広がり、コケの生えた緩やかな道になりました。


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三角点に着きました。雪のない時期にここに来たのは初めてです。


ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。



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12:38 弥山です。天気が良くないためか、登山客もまばらです。ラクダの背を越えるのにかなり緊張していたらしくて、足ががくがくしていたので、弥山山頂にとどまることなくすぐに避難小屋に入りました。ちょうどお昼時ということで1階は登山者でいっぱいでしたが、二階はガラガラだったので2階に上がってやっとひと心地つくことができました。


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13:05 まだ膝が笑う症状は治まりませんが、さっさと下山することにしました。出がけに見た入り口の寒暖計は5度をさしていました。


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雪のない時期に夏道を歩くのはかなり久しぶりです。なんだか初めて歩くような新鮮な気分です。


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八合目あたりから視界が回復してきました。


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草鳴社ケルンと呼ばれているものですが、ただの壊れた道標にしか見えません。


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13:56 六合目避難小屋です。7合目あたりから左膝が痛くなってきたので、少し休憩して行くことにしました。10分ほど休みましたが、当然ながらそれぐらいでは膝痛はおさまりませんでした。


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行者コースとの分岐まで来て、どうしようかと考えました。上から見た感じでは元谷付近はいい感じで色づいていました。もちろん、夏道沿いも紅葉しているでしょうが、人の少なさを考えると行者コースのほうが落ち着いて紅葉を楽しめそうです。というわけで、行者コースを元谷へ下ることにしました。


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行者コース沿いのブナ林は、とってもきれいに色づいていました。上のほうはややピークを過ぎた感がありました。


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ブナの葉が赤く見えるのは、黄葉が終わって枯葉になってきているためです。


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下るにつれて少しづつ黄葉が増えてきました。


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赤、黄、緑が入り混じって、見事な秋の森です。


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色づいた森の向こうに北壁が見えます。晴れていればすばらしい光景だったことでしょう。来年は晴天のときに訪れたいものです。


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元谷が近くなってくると、やや緑色が目立つようになってきましたが、ブナの葉は枯れた赤色から見事な黄色になりました。どうやらこのあたりが見ごろのようです。


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15:19 元谷まで下りてきました。


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北壁の下部がきれいに色づいているのが見えました。


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16:13 痛む左膝をかばいながら、ようやく駐車場まで戻ってきました。


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振り返ると、宝珠尾根が真っ赤に輝いていました。


***注意***
大山縦走路は一般登山道ではありません。レポにも書いたようにかなり危険なところもありますから、立ち入る場合はご自分の技術や経験を冷静に判断したうえで、自己責任において行動してください。このレポは、縦走路を歩くことを勧めるものではありません。


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おわり。


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| 2013年10月 大山縦走路 | 20:19 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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進むも地獄、退くも地獄。: 伯耆大山縦走路その1

2013年10月30日 鳥取県大山町 伯耆大山 単独日帰り 


当初は足を踏み入れるつもりは無かった伯耆大山の縦走路。あれほどやばい場所だとは思いもしませんでした。


8月上旬にお花畑を見に行って以来約3ヶ月ぶりとなる伯耆大山に、紅葉を求めて訪れました。9月に入ってからは、週末になると天候がよくなかったり、たまにいい天気になると用事で出かけられないなど、今年はなぜかタイミングがよくありません。久しぶりに平日に仕事が入らず、しかも天気予報が晴天ということで、見事な紅葉を期待しての山行でした。


宝珠尾根のブナ林がちょうどいい具合に紅葉しているのではないかと思い、久しぶりに宝珠尾根からユートピアを経由して剣ヶ峰まで登り、そのままピストンで戻ってくるつもりでした。紅葉がいい具合であれば撮影に時間がかかるので、場合によってはユートピアでお昼を食べて、そのまま戻るということも選択肢の一つとして考えていました。


岡山を出発したときはいい天気で、日の光に輝く紅葉の森を想像するだけでうきうき気分でしたが、湯原あたりから雲が多くなり、蒜山SAを通過するころにはなんだか曇り空です。そして、溝口IC近くから見た大山には、なんと上半分にだけ雲ががっしりと絡み付いています。がっかりしながらも、時間と共に雲がなくなってくれることを期待しつつ、南光河原駐車場に車を停めました。


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7:08 ガスで三鈷峰などはまったく見えない中、出発です。


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少し色づき始めた石畳の参道を進みます。平日だからか、朝早いためか、前にも後にも誰一人歩いていません。


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大神山神社を過ぎて再び森の中に入っていくと、なんだか手前の参道あたりよりも紅葉していません。こちらのほうが標高が高いのになぜなのか。


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7:51 下宝珠越えへの登山道入口です。このあたりから森が色づき始めてきました。


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登るにつれてブナの黄色い姿が目立ち始めました。


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8:12 下宝珠越えに到着です。ここまでの登りで思いのほか汗をかいてしまいました。出発時に肌寒かったので、ソフトシェルを着てきたのですが、そのまま登ってしまったのが失敗でした。宝珠尾根は少し風があって寒かったので、とりあえずソフトシェルは着たまま行くことにしました。この先は尾根道だし、少しペースを落として歩けば、汗も引いて服も乾くだろうという目論見です。


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期待にたがわず宝珠尾根のブナ林は美しく紅葉していました。しかし、曇り空のためぱっとしない色です。


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次第に高度が増してくると、うっすらとガスも漂い始めました。それはそれで趣がありますが、やはり日の光で鮮やかに輝く様を見たかっただけに、とっても残念です。なので、一眼レフは取り出さず、先日購入したPowerShot S110で撮影しながら進みました。だいたい絵になりそうな場所のめぼしをつけておいて、下山時に一眼レフで撮影しようというつもりです。


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もやっとしているとはいえ、なかなかいい感じに色づいています。


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9:01 中宝珠越えに着きました。以前このコースを歩いたときより20分ほど速いペースです。


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ロープのかかる急斜面で前を行く男性に追いつきました。中宝珠越えの手前で休憩していたときに追い越していった方で、三鈷峰まで行くとのことでした。この難所を登りきったあたりで休憩されたので、再び僕が先行しました。


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上宝珠越え手前の崩落箇所ですが、最初に通ったときに感じたほど危険だとは感じませんでした。というより、危険というほどのものかいなというのが正直な感想。きっと山慣れしたのでしょう。


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9:43 上宝珠越えです。ここで、小休止をとりました。帰りは砂すべりを通ってみるというのもありかな、などと思いながら行動食を食べていると、先ほど追い越した男性が登ってきました。少し話をして、僕は先に出発しました。


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上宝珠越えからすぐのところで、登山道が崩落していました。さいわい木があったためか、大きな崩落にはなっていませんでしたが、むき出しになった木の根を越えていくのに少し手間取りました。


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10:08 ユートピア下の尾根に出ました。このあたりになるとすっかりガスの中で、視界は50mもない感じです。


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風がかなり強くなってきたので、とりあえずユートピア小屋に入って様子を見ることにしました。


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入口の寒暖計は6度をさしていました。


中に入って休んでいると、途中で追い越した若い男女3人組が入ってきました。関西弁を話していたので、関西方面から来たようです。その後、途中で一緒だった単独の男性も入ってきました。三鈷峰手前の登山道に「危険」という看板が合ったので、登らずに戻ってきたとのこと。


行動食を食べたり、単独の男性と話をしたりしているうちに風が弱まってきたので、ひとまず剣ヶ峰まで登ってみることにしました。風は弱まったとはいえ、稜線に出るとどうなるかわからないし、雨になる可能性もあるので、上はゴアテックスのハードシェルに、下はレインウェアのパンツをはいて、安全のためにヘルメットも装着して出発しました。


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象ヶ鼻から天狗ヶ峰に至るルートは、ところどころ崩壊しかけたような場所もありますが、それほど傾斜もきつくないし危険を感じるほどの場所はありません。


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しかし、天狗下の難所まで来るとさすがに少し緊張しました。とはいえ、何度か通過しているし、ここは尾根が痩せているとはいえ両足で立つことができる程度の幅があり、距離も短いので、大きな問題はありません。


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天狗ヶ峰を過ぎると、登山道もそれなりに厳しい状況になってきます。今年は大雨が何度もありましたが、見た目には昨年からそれほど極端にやせ細ったという感じはありません。それでも、どこで足を踏み外さないとも限らないので、慎重に足を運びます。


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剣ヶ峰の手前には綱渡りっぽい場所もあるので気が抜けませんが、左右の崖の傾斜がこの程度であれば、人が載ったぐらいでは簡単に崩れそうにないという安心感もあります。ガスって視界が悪いため高度感がないのも助かります。


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11:44 剣ヶ峰登頂です。剣ヶ峰は昨年の9月以来なので、およそ1年と2ヶ月ぶりです。


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誰もいない、視界も利かない剣ヶ峰山頂で昼食をとり、しばらく休憩しながらどうしようかと考えました。当初の予定ではピストンで宝珠尾根を戻るつもりでしたが、この天気ではあまり紅葉写真もぱっとしないものになりそうで、単にピークハントしただけとほとんど同じ状態で終わりそうです。せっかくだから、縦走路の状況を確認して帰るというのもいいかもという気になってきました。以前から、超難関といわれるラクダの背がどんな場所なのか見てみたいと思っていました。もちろん渡ろうなんてつもりはさらさらなくて、実際に目で見て確認したいというだけです。少し考えた結果、天気も悪いし、このままピストンで戻るだけというのも面白くないので、ラクダの背の様子を見に行くことにしました。


つづく。



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| 2013年10月 大山縦走路 | 22:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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