ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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融ける残雪ともろい岩尾根でビビる:伯耆大山槍尾根 その2

2012年4月15日 鳥取県大山町 伯耆大山 キリン峠~槍尾根 日帰り



キリン峠で少しゆっくりしたかったのですが、BCスキーヤーがなんだか一生懸命話をしており、そう広くもないキリン峠で静かに景色を眺めるような雰囲気でもなかったので、そのまま槍尾根に取り付くことにしました。


キリン峠から槍尾根への稜線
槍尾根を眺めると、キリン峠のすぐ先はブッシュ、その先はまだ雪があるようですが、詳しくはブッシュにさえぎられてよくわかりません。草つきと呼ばれている大斜面は上のほうだけ三角形に大きく雪が解けていますが、下部はまだ雪のある斜面です。草つきの上は、雪があったりなかったりでなんだかめんどくさそうな雰囲気です。


ブッシュの出た尾根
キリン峠から先に進んでいくと、ブッシュの上に融けかかった雪が載った中途半端な状態の稜線になっていました。大きく踏み抜いた跡もあり、足元を慎重に確かめながら進みます。


草つき手前のコブ
草つきの手前の小さなコブは、右手の急斜面を足跡がトラバースしていましたが、そのトレースのすぐ上に大きなクラックができていました。さすがに、その状況でトレースをたどる根性はありません。コブの左側のブッシュのほうに行くと、幸い踏み跡が見えていたので、左側からコブを巻いて進みます。


草つきの大斜面
コブを越えた先で草つきの大斜面に出ました。雪はよくしまっていますが、すでに日も高くなり気温も上昇しているおかげで、雪の表面がぐずぐずに融けていて、クランポンの爪があまり効きません。普通にフラットフッティングで登ろうとすると、ずるずると滑ってしまいます。逆ハの字で登ろうとしましたが、斜面に対して90度に近いぐらいまで足を広げないとグリップしないので、かえって足が疲れます。しょうがないので、横向きのカニ歩きで登ることにしました。アックスをつくと、途中でしっかりと止まるところと、中までずっぽりと入ってしまうところがあります。中まで容易にアックスが突き刺さるということは、下部の雪も融けてやわらかくなっているということでしょうから、こんな木の生えていない急斜面だと全層雪崩が起こりかねないので、かなりびびりながら上りました。とりあえず、アックスが途中でしっかりと止まる状態の雪を探しながら進みます。


クラック跡
草つきの地面が見えているすぐ下に、大きなクラックの跡が残っていました。かなり融けかけていたので、クラックができてからそれなりに時間がたっているらしく、そうであればすぐに雪崩れる心配はないのかもしれません。おそるおそるクラックの上を渡り、草つきの地面が出ているところに移動しました。


烏ヶ山
眼下にキリン峠が見え、烏ヶ山も視線の下に見えるようになっていました。


木谷源頭部
木谷の源頭部はまだ雪がたっぷりと残っています。


草つき上部
草つきには踏み跡がついているので、クランポンを装着したまま地面の上を上りました。


核心部
草つきの一番上までやってきました。ここから上がこのルートの核心部です。右上に見えているコブを超え、左上の小ピークまで尾根伝いに登っていくわけですが、状態はかなり悪いと聞きます。クランポンをはずすべきかどうか迷いましたが、コブを越えた上にはまだ積雪が残っており、はずしてもすぐにまた装着しなければならなさそうです。であれば、そのまま行くか。ということで、クランポン装着のまま核心部に足を踏み入れました。


目もくらむ細い尾根
最初の難関は、目もくらむような細い尾根。わずか3mほどの短い尾根ですが、これがなかなかスリル満点です。クランポンの爪を引掛けないように注意しながら尾根を渡ります。


もろい岩肌の急斜面
次に、もろい岩肌の急斜面が待ち構えています。岩肌をまっすぐ登るのではなく、斜めに突っ切って草の載っている場所の真ん中付近に出るように踏み跡らしきものがついています。岩肌の真ん中あたりにあるドーム状の草の下まではそれほどやばい感じもなくすすむことができました。


撤退場所
ところが、その先ですっかり足が止まってしまいました。小さな谷状になっている箇所を渡って正面の草のあるところに行かなければ行けないのですが、左下はずっと下まで続く滑り台のような地形で、足元の小石が遥か下までがんがん転げ落ちていきます。手がかりになりそうな岩をつかむと、どれもぐらぐらと動いて簡単に取れてしまいます。砂利のたまった斜面にクランポンの爪を食い込まそうとしても、砂利と一緒にずりずりとずり落ちていくばかり。しばらくの間どうやればこの小さな谷を越えて目の前の壁の先に進めるのか手の置き場所や足の置き場所を探しましたが、いい解決策は思い浮かびません。クランポンをはずして無理やりよじ登るかとも思いましたが、朝からの嫌な感じがあいかわらず消えないため、今日はリスキーなことはやめたほうがよさそうだと感じます。




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しばらく逡巡してから、撤退決定です。今思えば、ドーム状の草の上に出て回り込んでみればもう少しましな状況だったかもしれませんが、あの時はそういう余裕がなかったようです。


槍尾根の傾斜
なんせこんな急傾斜地の途中なので、うかつな行動をして足を滑らせでもしたらあっというまにジェットコースターも真っ青の急降下を体験する羽目になるのは確実。


草つきの斜面を下る
もろい岩場と細い尾根を慎重にこなし、草つき上部から下部の雪面に降りてきました。ここまでくれば一安心と思いきや、踏み出した一歩がずるずると滑り落ちていきます。『ひぇ~!』と心の中で叫びつつあわてて両足で踏ん張るも、両足もろともまるで流砂に載ったかのようにずり~と落ちていくではありませんか。あわてて腰を下ろして左手で雪面に指を立て、右手でアックスのピックを雪の中に押し付けるように食い込ませて、加速がつく前に落下をとめることができました。恐るべし、春のべた雪!


登ってきたときと同じように横向きになって、アックスをしっかりと雪に突き刺しながら草つきの斜面を下り、キリン峠に続く尾根まで下りました。しかし、このまま来た道を下るのはあまりにも面白くないので、ここから右手の木谷へ下りることにしました。


木谷源頭部の雪原
昨年の3月に木谷から草つきに直接登ろうとしたときには、上のほうから雪の塊がぼろぼろと落ちてきてやばそうな感じでしたが、今回上から見てみるとデブリの跡はもちろん雪の塊すら落ちていないきれいな斜面でした。どうやら、急斜面の不安定な雪は全部落ちきったようです。であれば、ど真ん中をどうどうと下っても問題なさそうです。


巨大な落石
ところが、少し下って傾斜が緩くなり始めたあたりから、やたら石が転がっているのが目に付き始めました。多くはこぶし大ぐらいでしたが、中には一抱えもありそうな大きなものも。雪は落ちきったのかもしれませんが、こんどはあらわになったもろい岩肌の斜面から、落石が発生しているようです。雪の上の落石は音もなく飛んでくるので油断なりません。


後ろを振り返りながら足早にやや下りながら斜面をトラバース気味に横へ逃げました。


斜面上部を警戒
周囲に落石が見当たらなくなってから荷物を下ろして休憩しましたが、やはり落石が気になって、斜面上を見ながら休憩していました。


下山途中、木谷の鳥越峠への分岐点あたりで、どこからともなくヘリコプターが飛んできて、やたらキリン峠のあたりをぐるぐると旋回しはじめました。そのうち、振り子沢のほうへ消えたと思ったら、また戻ってきたりしていたので、どうやら遭難者の捜索をしていたようです。

駐車場
10:30 駐車場に戻ってくると、警察が来ていました。振り子沢の辺りでスキーヤーが骨折して救助要請の連絡があったそうです。そういえば、けっこう大勢がスキーで振り子沢方面に下っていくのを見ました。立ち木の多い急斜面なので、転倒したり木をよけ損なって立ち木に激突したのかもしれません。どうなったのかはわかりませんが、ニュースにもなっていないようなので、大事はなかったのでしょう。


というわけで、あえなく敗退となった槍尾根ですが、GWがあけて雪がなくなったらもう一度チャレンジしてみたいと思います。


今回、どういうわけかGPSロガーが狂っていたらしく、わけのわからない軌跡を描いていました。下山ルートはほぼ正しい軌跡でしたが、登山ルートはけっこうデタラメです。なので、GPSログのマップ掲載はやめにします。



■山行データ
<往路所要時間> 3時間24分(撮影・休憩時間を含む)
駐車場5:30→鳥越峠上7:18→キリン峠8:10→草つき上8:54

<復路所要時間> 1時間33分(撮影・休憩時間を含む)
草つき上8:57→木谷源頭部9:15→駐車場10:30

<登山道情報>
林間部はまだたっぷり雪がありますが、尾根・稜線はかなり雪がなくなりつつあります。槍尾根は残雪がまだらに残っていて、クランポンのまま歩くのも、クランポンなしで歩くのもどちらもやばそうなので、雪が解けるまで待った方がよさそうです。






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| 2012年4月 伯耆大山槍尾根 | 22:41 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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融ける残雪ともろい岩尾根にビビる:伯耆大山槍尾根 その1

2012年4月15日 鳥取県大山町 伯耆大山 キリン峠~槍尾根 日帰り



厳冬期に挑戦してみたかった伯耆大山の稜線ですが、今期はタイミングがうまくあわず、今頃になって初登山となりました。


天気予報は晴天だったので、ちょいと早めに出発して大山南壁の星景写真を撮ってからにしようということで、午前2時に出発。午前4:20分頃大山南壁を望む御机に着きました。ちょうど三日月が南東の空に上がっていて、ぼんやりと大山南壁を照らし出していました。満月だと明るすぎて星が見えにくいのですが、これぐらいの月明かりであればあまり影響はなさそうです。


(写真クリックで拡大)
御机の星景写真
20分ほど撮影していると、東の空がほんのり明るくなり始めてしまいました。もう1時間早く来ないとだめですね。


撮影を切り上げて鍵掛峠手前の健康の森駐車場に向かいます。この時期は鍵掛峠までは除雪が完了していて、車で入れます。今回は健康の森からキリン峠に上がり、槍尾根を経由して可能なら剣が峰まで、無理なら三の沢に下って鍵掛峠経由で下山という予定です。なので、鍵掛峠に駐車してもよかったのですが、日曜日なので観光客も多いはずで、広くない駐車場所を占拠するのはマナー違反だろうと考え、健康の森入口に駐車しました。


5:30 入口の雪壁は高さ1mほどしかなく、それも崩されていたので難なく進入できました。それにしても、今回は気持ちが盛り上がりません。どういうわけか、なんとなく気が乗らないというか、あまり好んで進みたいという気持ちになれません。ここまで来たから行っとくか、という妙にネガティブな気分のまま出発です。


木谷入口
木谷のなだらかな斜面は、相変わらず雪に覆われていましたが、早朝ということでかなりしまっており、つぼ足でも十分です。ただし、今回は初めから10本爪クランポンを装着してきました。キリン峠や槍尾根の急斜面では、どうせクランポンが必要になることはわかっているからです。


朝日を浴びる東壁
6:24 森の向こうに、朝日が当たり輝き始めた大山東壁が見え始めました。


赤テープ
文殊越に向けて夏道が北西に向きを変えるあたりでどうするか迷いましたが、昨年使ったキリン峠に直接突き上げる尾根は雪が減ってブッシュが出ている可能性があります。なので、今回は鳥越峠方面から回り込むことにしました。鳥越峠への直登ルートにある木の枝には、赤テープがぶら下がっていました。


根開き
ブナの大木の根元は、すっかり雪が解けており、これをみると積雪はたっぷり1m強は残っているようです。


鳥越峠
やがて前方に鳥越峠の鞍部が見えてきましたが、どうやらキリン峠に上がる尾根はブッシュが出ているようです。


鳥越峠の一段上の鞍部
そこで、一段上の鞍部に直接上がることにしました。


トレース
トレースもその方向に向かっています。


展望
途中振り返ると、だいぶん高度が上がっているのがわかります。


きついトラバース
急斜面を斜めにトラバースしながら鞍部を目指しますが、けっこうきつい上りでした。




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米子工の荷物
7:18 ようやく鞍部にたどり着いてみると、奇妙な光景がまっていました。最初お地蔵さんでも並んでいるのかと思ったのですが、デポされたバックパックが5つ。「米子工」の名札がついていたので、米子工業高校の学生さんのものだと思われます。整地されているところを見ると、おそらくここでテント泊をしたのでしょう。それにしても、どこに行ったのやら。


キリン峠下の急斜面
さて、この鞍部からこの大斜面を直登していけばキリン峠に出られるはずです。しかし、この日は気温が高く、この時点ですでに5度ぐらいありました。天気は薄曇ですが、予報では晴れ。雪が緩むのは早そうです。そろそろ休憩もしたいところなので、とりあえず右手にある尾根をたどることにして、尾根を目指します。


休憩場所
鞍部からひと登りしたところで、木の下にフラットなところが見つかりました。荷物を降ろして休憩をとることにします。


烏ヶ山を正面にみる
雪の段差に腰を下ろすと、烏ヶ山が正面に見えます。先週、鏡ヶ成の象山から眺めたときに比べて、黒い地肌が多く見えています。あの厳しくも美しい白い世界がおわってしまったのだと、実感しました。盛り上がらない気持ちが、ますますトーンダウンしてゆくのを感じます。


約30度の斜面
休憩を終えて、傾斜30度ぐらいありそうな斜面を登ります。


大山東壁
尾根に出たところで、正面に槍が峰と東壁が姿を現しました。槍のピークはすかり雪がなくなっていますが、稜線上はどうなのでしょう。


ブッシュの道
キリン峠への尾根道はすっかりブッシュの道になっていました。雪の急斜面を直登したほうが楽だったかもしれませんが、いまさら戻るのもめんどくさいので、そのままブッシュの中の踏み跡をたどることにしました。バックパックにまとわりつく木の枝と格闘しながらブッシュの中を進みます。


キリン峠から烏ヶ山
8:10 キリン峠です。BCスキーヤーが二人いましたが、尾根のブッシュの中から出てきた僕を見てさすがに怪訝な顔をしていました。下に見える鞍部からまっすぐ雪の斜面を上がってくれば楽なのに、なんでブッシュの中を登ってきたんだ? とでもいいたげな雰囲気でした。まあ、たしかに普通ならそう思うでしょう。いろいろあるんですよ。


つづく。



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| 2012年4月 伯耆大山槍尾根 | 00:39 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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