気力体力を試される極寒のロングコース: 塩見岳 その7
長野県大鹿村 塩見岳(標高3047.3m) テント・避難小屋泊単独行
7、1月2日 下山
今日は下山するだけなので、朝は目覚ましもかけずに寝ていたら、7時過ぎになってやっと目が覚めました。同宿の二人も、昨日登って来たというのにあまりにも行程が長くて疲れてしまい塩見岳には行かずに下山するそうで、同じように早起きしないでのんびりと寝ていました。
目を覚ましてみると、夜のうちに降っていた雪はすっかりやんでいました。本日も快晴です。積雪は約15センチぐらいありました。
昨晩のどが渇いて水を飲んでしまったため朝食を終えると下山時の行動用の水が足りなくなってしまいました。そのため、朝から雪を溶かして水作りをする羽目になってしまいました。サラサラの新雪を溶かして水を作ったわけですが、ビニール袋いっぱいの雪を溶かしても500ミリリットルにも足りない程度の水しか作れませんでした。とりあえず、それで1リットル程度の水が確保できたので良しとしましたが、水を作るなら表面の新雪よりも少し下にある硬くなった雪を使ったほうが効率はいいみたいです。

パッキングを済ませた後、避難小屋を出て塩見岳の様子を確認しにテント場のほうに行ってみました。時間は10時近くなっているので、さすがにテントもなくなっていて、誰もいない静かなテント場でした。

塩見岳は見えていましたが、山頂には雲がかかっています。昨晩の降雪で山頂付近は白さが増しています。

9:53 小屋に戻って出発の準備を整え、冬期小屋を後にします。下山は新雪が積もっていることもあり、4本爪ではなく12本爪クランポンを装着しました。
ちなみに、小屋の中には利用者に気持ち分の利用料金を入れてくださいというポストが設置されていたので、1000円を投入しておきました。

静かな三伏峠小屋前を通過します。新雪が積もったばかりですが、テント泊と小屋泊の2名がすでに下山しているので、トレースはついていました。

15分ほど下ったところで、再び塩見岳が見えました。朝よりも雲が増えてきたようです。今日はこのまま雲の中に隠れてしまうのかもしれません。

仙丈ヶ岳も同じように雲に隠れています。

10:26 塩川小屋コースの分岐を通過します。

標高2500m付近で、鳥倉林道まで2kmの看板を通過します。ここから1.5時間とのことで、下りであればおそらくそれぐらいで下れると思われます。

11:29 5/10の道標は、出発してから1時間40分で通過します。ちょっと遅いかも。

2248ピーク東側の鞍部まで降りてくるころには、登山道の雪もだいぶん少なくなっていて、木の根や石にクランポンの爪がひっかかりやすくなってきたので、4本爪に交換することにしました。登山道を歩くだけならなしでもよさそうですが、下のほうは凍結箇所が出てくるため、やはりクランポンは必要です。

クランポンの交換をしていると、上から烏帽子岳に出かけていた同宿だった男性が下りてきました。結局、トレースがうまっていたので途中で引き返したそうです。
ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。


12:07 4本爪クランポンに交換して歩きやすくなったので、さくさく歩いて豊口山間のコルまでノンストップで下りてきました。休憩なしでそのまま下山を続けます。

12:36 凍結した急傾斜地も無事に通過し、一気に尾根末端の鞍部まで来ました。ここから植林帯の斜面を下れば登山口です。ほぼ1時間休憩なしで降りてきたので、ここで大休止をとりました。休憩中に、同宿だった男性が通過していきました。これで本日最後の下山者になったわけです。もう後ろから降りて来る人がいないのでのんびり下っても邪魔にならないと思うと、一気に気持ちが緩んでしまいました。

13:10 凍結した植林帯の道をのんびりと下って、登山口に着きました。三伏峠から休憩込みで3時間20分かかりました。途中のあと1時間半の看板からは、休憩込みで2時間15分もかかってしまいました。驚いたことに林道にも雪が積もっていて、昨夜はけっこう下のほうでも雪が降ったようです。とりあえず、4本爪クランポンははずさないで、そのまま林道を歩くことにしました。

登山口から5分ほど歩いたところで休憩をとりました。南向きで日当たりがいいようで林道にも林道脇の斜面には雪がなく、ベンチ代わりの丸太が乾いていたので、休憩に最適の状態でした。ここは入山時にも休憩したところです。

三伏峠を出発したときはまだ青空と太陽がみえていたのですが、気がつくとすっかり曇っていて、山にはガスがかかっています。休憩していると、ちらほらと白いものが落ちてきたりしたので、上のほうでは雪が降っているのでしょう。

今日の行動食はコンデンスミルクでした。立ったままでもすぐに摂取できるし、食べ終えるまでゴミも出ないので行動食に最適です。かなりねっとりしていますが、仮にも液体なのでカロリーメイトのようなものを食べるよりも食べやすいし、カロリーも高いしタンパク質も摂れるので、冬場の行動食にお勧めです。

休憩場所から尾根を回り込むと日陰の道になり、再び雪道になりました。凍結箇所の表面を雪が覆っているのでうかつに歩いていると滑りそうになりますが、下り坂でも4本爪クランポンのおかげで転倒することもなく歩くことができました。

14:22 休憩場所から1時間ほど歩いてようやく夏季ゲートまでたどり着きました。すっかり緊張感もなくなり、だらだらと続く林道にうんざりしていたし、雪やら氷やらで神経を使いながら歩くこともあって妙に疲れました。休憩したいところですが、夏季ゲートのある場所は休憩にいい場所がないので、入山時に休憩した第2駐車場まで行くことにしました。

第2駐車場まで来ると、雪がほぼ消えていて、車止めの小さな土手の上に荷物を降ろして座って休憩することができました。全部雪道ならソリに荷物を載せて引いて歩くほうが楽なんでしょうが、中途半端な積雪では担いで歩かざるを得ず、この林道歩きは冬季の塩見岳登山の大きなネックです。
この休憩で、4本爪クランポンをはずしました。夏季ゲートの手前あたりから雪が靴裏にくっつくようになってきて、あまりクランポンが機能しなくなってきたので、もう必要ないだろうという判断です。ところが、このあとあわやの惨事にあいかけました。

10分ほど休憩して、再び重い荷物を担いで歩き出しました。尾根を回りこんで日当たりのいい区間になったのですが、所々雪が残っています。単に融け残っているだけだと思って、普通に雪のある部分も歩いていったのですが、雪の下に氷のトラップがあったのです。右足を踏み出した瞬間、一気に左側に滑って、バランスを崩して右側に倒れそうになりました。幸い、右手のストックが地面についた状態だったので、そこで一瞬体を支えることができ、そのわずかな時間に右足を戻して踏ん張ることができたので転倒を免れました。あのまま転倒していたら捻挫とか脱臼とかしていたかもしれないし、バックパックの右側面に取り付けていた山専ボトルが衝撃で壊れて、真空断熱がだめになっていたかもしれません。ストックを使っていたおかげで大事になることなく、装備を買いなおさなくてすんだわけで、荷物が重いときはストックを使うに限るなと改めて思いました。
この件で、日当たりがいいのに雪が融け残っているところは、凍結箇所の上に雪が載っているということを学習しました。不自然なことには、何かしらの理由があるということです。

16:00 ようやく夕立神パノラマ公園近くのカーブまで戻ってきました。夕日に照らされた南アルプスの山々がほんのり赤く染まっていました。あの山の上から降りてきたのかと思うと、よく歩いたなとわれながら感心します。しかし、まだ終わりではないのです。

夕立神パノラマ公園で、最後の休憩をとりました。とはいえ、ベンチも何もない公園なので、柵にまたがって荷物を下ろさずに荷重だけ柵に預けて短時間休憩しただけですが、体にかかる荷重を逃がすことができただけでも、気持ち的に楽になりました。

夕立神パノラマ公園からは日陰の下り坂が続くので、まだ雪が残っていました。滑って転ばないように気をつけながら下ります。

16:33 待ちわびた冬季ゲートが現れました。長い林道歩きもあと少しでおしまいです。

16:36 駐車場所に着きました。車の中にバックパックを下ろしてようやく重い荷物から開放されてほっとしました。今回は天候に恵まれたというのに体力不足で行動時間が延びたり遅れたりして、残念ながら登頂できませんでした。課題はやはり体力です。ちゃんとトレーニングをしないとだめだなと痛感しました。
冷え切っていた車が温まったところで出発し、松川IC近くの松川温泉で汗を流し、食事とガス補給をために一般国道で飯田まで行ってから中央道にのったら、すぐに睡魔に襲われてしまいました。いつもなら養老SAや滋賀県内のPAなどで車中泊をするのですが、今回は恵那山トンネルあたりからすでに眠くなってしまい、恵那峡SAに入ろうと思っていたらうかつにも通り過ぎてしまいました。
ガムをかんだりほっぺたをたたいたりしながら睡魔と闘いながら次の屏風山PAに滑り込んで、やっと安眠することができました。
翌日は渋滞にあうこともなく順調に帰れたのですが、大阪のあたりで再び睡魔に襲われ、途中のPAでまたまた仮眠を取って、お昼過ぎに岡山に戻りました。登頂したわけでもないのに、やたら疲れた山行でした。


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| 2018年12月 塩見岳 | 16:05 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑