ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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青空と白い岩壁:伯耆大山 キリン峠 vol 2

2011年3月13日 鳥取県大山町 伯耆大山・キリン峠(標高1405m)日帰り山行
vol 1はこちらをごらんください。

 標高1200m地点まで来ると谷は大きく広がり、大山が目前に大きく立ちふさがるようになってきました。右手に目的地のキリン峠から槍が峰へと続く槍尾根があり、左手には今いる木谷上部と三の沢を隔てる尾根が真っ青な空にスカイラインを描いています。スキーのシール登行のトレースが1本だけ左手の尾根へと向かっていますが、自分の目的である右手の槍尾根方面はまっさらな雪原が続いているだけでした。

槍尾根が見える場所
 いままで自分を導いてくれたトレースに別れを告げて、バージンスノーが広がる右手方向に進路を変更です。やや斜面をトラバースする形になるので、左ひざに負担がかかるらしく、まっすぐ登ってきたこれまでよりも痛みが強くなりました。標高1250m付近でザックをおろして大休憩をとった後、再び眼前の槍尾根に向けて進みます。

雪塊の落ちる斜面
 ところが、標高1300mあたりまで来ると、左手前方の斜面からひっきりなしに雪の塊が転げ落ちてくるのが見えるようになりました。いわゆる雪崩というものではなく、雪だるまが転げ落ちてくるような感じでぼろぼろと雪塊が落ちてくるのですが、見上げてみると、槍尾根上部の急傾斜の斜面の一部がぽろぽろと剥がれ落ちているような感じです。気温の上昇とともに一気に雪崩れたら確実に飲み込まれそうなので、ここから右手の尾根に上がることにしました。

尾根斜面
 右手の尾根の斜面はそれなりに急傾斜ですが、木がしっかりと生えており雪塊が落ちてきたような痕跡もなく、問題はなさそうです。ここからだと標高差50mほどの直登になりますが、しかたありません。足を前に向けて登るには傾斜がきつすぎたので、逆八の字でひーひー言いながら登りました。今回は、先日購入したハイドレーションチューブをプラティパスに装着していたので、急傾斜でザックをおろすことなく水分補給ができたのがすごく助かりました。

尾根上から見た烏ヶ山
 11時15分、やっと尾根上までたどり着きました。尾根の上に顔を出すといきなり正面に烏ヶ山が登場です。以前、初冬にキリン峠に登ったときには烏ヶ山がどんな風に見えていたのか不思議なほど覚えていないので、なんだか初めて見た山のように感じました。山頂部の特徴的なドーム形状がユニークな烏ヶ山。雪のあるうちに一度登ってみたいものです。

尾根上のトレース
 尾根はキリン峠へのメインルートになっているらしく、たくさんのトレースが残っていました。やはり積雪期はわざわざ鳥越峠を経由するような遠回りはしないようです。尾根に出たところが標高1350m地点だったので、キリン峠までは標高差50mです。傾斜はそこそこありますが、比較的フラットな尾根をトレースを追って登って行きます。お昼近いこともあって、雪はすっかり緩んで歩きにくい状態です。

雪のバームクーヘン
 烏ヶ山の様子を右手に見ながら登っていくと、大きなバームクーヘン発見!直径はおよそ40cmありました。

キリン峠直下
 峠まであと少しというところで、鳥越峠方面からBCスキーヤーが二人姿を見せました。やはり鳥越峠経由で登ってくる人もいるのかと思いながら、最後の急坂を登ります。

キリン峠からの東壁
 11時35分、キリン峠に到着です。深みのある真っ青な空の下、真っ白に雪化粧した大山東壁とつんと空を指差す槍が峰の岩峰がど迫力で眼前にそびえています。無雪期にはナイフリッジのような槍尾根ですが、こうしてたっぷりと雪が積もっていると案外楽に登れそうです。事実、トレースの跡が尾根上へと続いていました。

ランチ
 写真を撮ったり眺めを楽しんだりしているうちに、ランチの時間になりました。今回はここから先の予定はないので、かなりゆっくりできます。こういうときは時間のかかるメニューでも良かったのですが、いつものようにカップ麺とおにぎりです。今後はもう少しランチらしいものも考えることにしようと考えています。とはいえ、快晴の青空の下、烏ヶ山を正面に眺め、背後には大山東壁を従えてのランチはなかなか贅沢です。ただのラーメンとおにぎりでも一味もニ味もうまく感じるのが山ランチのいいところ。景色とともにたっぷり味わいました。

東壁
 食事中に先客のBCスキーヤー二人は槍尾根に向けて出発していました。食後、尾根を眺めるとちょうど二人が槍尾根を登っているところでした。彼らはスキーヤーなのでアックスなど持たずに来ており、やはり冬季の槍尾根は無雪期よりも登りやすそうです。

スキーヤー
 彼らはどこまで登るつもりなのかと見守っていると、どうやら途中のテラスのような場所から滑り降りるようです。雪崩を誘発しないかと心配しながら見ていましたが、一人目がスタートして直後、ターンしたところから雪塊がいくつかまとまって落ちたので一瞬ひやりとしました。ただ、その後は雪崩れる様子もなく斜面は安定しており、二人が木谷に消えいていくのを確認してからティータイムにしました。

雪崩
 お茶を飲んでいる間も、東壁方向からひっきりなしにズドドドドドドッという音が聞こえてきます。何だろうと思ってしばらく見ていると、なんと雪崩の音でした。大小さまざまな雪崩が東壁のあちらこちらで発生していました。そのうち正面の一番大きな沢筋で大きな雪崩が発生しました。上の写真は雪煙を上げながら斜面を駆け下る雪崩を撮影したものです。かなり離れたところから撮影しているので、規模がはっきりしませんが、雪崩の幅は数十m程度ありそうです。

下山ルート
 誰もいないキリン峠でのんびりまったりと時間を過ごして、14時になる前に下山開始です。トレースの先に広々とした健康の森が広がっており、その先の谷あいに奥大山スキー場が見えています。

下山尾根の分岐
 標高1250m地点まで降りてくると、尾根が二つに分かれます。ただし、地図には出ていない程度のわずかな高低差です。トレースもそれぞれの方向から来ており、どちらに行っても帰ることはできるのですが、右に行くと文殊越のあたりに降りることになりそうで、左に行くと登山口からの一般登山道が文殊越に向けて大きく曲がる地点に直接下りることができそうです。しかも尾根というより緩斜面っぽいので歩くのも楽そうです。トレースの数も多かったことから左に下りることにしました。ただし、このルートはガスると道まよいしやすそうな雰囲気です。

下山途中のブナ林
 標高1100mあたりに来ると、ブナ林の密度が少し濃くなります。見上げるとちょうど太陽が背後になり、空の青さが鮮やかです。これでブナの枝に霧氷があって真っ白になっていると最高なんですが、今年は霧氷と青空というシーンに出会うチャンスに恵まれません。

GPSマップ
 15時5分に登山口まで降りてきました。シャーベット状になった雪が残る大山環状道路を歩いて下山している途中でGPSの電池がなくなってしまったようで、ログが15時19分で終わっていました。奥大山スキー場の駐車場に着いたのは、およそ15時30分ぐらいだったと思います。膝が痛かったので、少し時間がかかったようです。

御机からの大山
 下山後、大山南壁の撮影ポイントで有名な御机で大山の撮影をして帰りました。かやぶき屋根の上に見える、大山主稜線よりも一段低いピークがキリン峠です。

烏ヶ山
 そのとき烏ヶ山も綺麗に見えていました。ここから見る烏ヶ山はまさにカラスが翼を広げたような姿をしており、個人的にはけっこう好きな山です。

■山行データ
<往路所要時間> 5時間16分
駐車場6:19→鍵掛峠7:00~7:30→登山口7:45→文殊越8:52→キリン峠11:35

<復路所要時間> 1時間40分
キリン峠13:50→登山口15:05→奥大山スキー場駐車場15:30

<登山道情報>
大山環状道路は御机から奥大山スキー場までは通じています。日陰部分は一部凍結している場合もありますが、天気のいい日が続いた後はノーマルタイヤで上がれます。ただし、天候や状況によってことなりますから、チェーンをお忘れなく。奥大山スキー場から先は車両通交止めですが、鍵掛峠まではそれなりに除雪してあるので、つぼ足で行けます。三の沢方面に行く場合は、鍵掛峠から先は除雪されていません。完全に雪に埋もれていて平坦な状態ではありません。登山口から健康の森に入るには3m程度の雪の壁をよじ登る必要があります。キリン峠までは険しいルートはないので、今回はクランポンを使うことはありませんでした。トイレ・水場は奥大山スキー場の駐車場にあります。鍵掛峠の公衆トイレは雪に埋もれていて使用できません。



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| 2011年3月 大山キリン峠 | 21:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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青空と白い岩壁:伯耆大山 キリン峠 vol 1

2011年3月13日 鳥取県大山町 伯耆大山・キリン峠(標高1405m)日帰り山行

 2月20日の伯耆大山登山以来、仕事・天気・体力・気力がうまくかみ合わず、どこにも出かけずにいましたが、3月13日に3週間ぶりに出かけてきました。目的地は、伯耆大山キリン峠。キリン峠?どこそれ?と思う人も多いと思いますが、伯耆大山の東の端にある小ピークで、東壁を目前に望めるうえに、烏ヶ山(からすがせん)の展望もいい静かな場所です。

奥大山スキー場駐車場
 午前6時前に奥大山スキー場に到着しました。駐車場には3台の車が停まっており、どの車でも出かける準備をしているようでした。スキー客がこんなに早く来るわけはないので、皆大山方面に入っていくようです。

 準備を整えて駐車場を6時19分に出発です。朝焼けで赤く染まる東壁か南壁の写真を撮りたかったのですが、すでに日の出直前の時間です。

大山環状道路のゲート
 大山環状道路はゲートがしまっており、基本的には通行止めです。

雪の回廊状態の道
 ゲートをくぐって入っていくと、道はそれなりに除雪されており、積雪は5cm程度です。ただし、両側の壁は2mを越えるほどの高さがあり、雪の回廊状態です。

朝焼けの東壁
 少し進むと森の向こうに朝焼けに染まる槍が峰と東壁が見えてきました。時折雲がその姿を隠しますが、雲の切れ間からのぞく赤い雪稜はまるでアルプスの高峰を見ているかのようです。

健康の森登山口
 6時50分、文殊越に向かう登山道入口に着きました。この登山道入口から上の森を「健康の森」というらしいのですが、どこまでが健康の森なのかよくわかりません。入口は3mはありそうな雪の壁になっています。ひとまず、南壁が一望できる鍵掛峠まで先に行ってみることにしました。

鍵掛峠への道
 健康の森登山口から鍵掛峠までの道も除雪はされていましたが、少し雪が深くなってきました。といっても、つぼ足で歩くのに支障のないレベルです。踏み跡もたくさんあったので、若干滑りやすいのを除いては快適でした。

大山南壁遠景
 午前7時に鍵掛峠に着きました。着いてからしばらくは南壁は雲がかかっていましたが、10分ほど経つと雲が切れはじめました。巨大な岩壁が朝日に照らされて目の前に立ちふさがっています。

大山南壁拡大
 鋭利なナイフのような尾根がシャープなラインを浮かび上がらせ、真っ白な衣をまとった伯耆大山は、わずか標高1700m程度の山とは思えないほどの迫力をもって迫ってきます。

大山南壁望遠
 望遠で南壁に迫ってみると、槍ヶ岳や穂高岳に負けないほどの大迫力です。

 大山南壁の迫力にすっかり見入っていると、いつの間にか7時30分を過ぎていました。こりゃいかん、とあわてて健康の森登山口に戻ります。入口の3m近い雪の壁をカップルがよじ登っていました。彼らはバックカントリースキーを楽しみに来たようです。彼らの後に続いて雪壁をよじ登りました。登ってみると、彼らはスキー板やスノーシューを装着する準備をしていました。自分は雪が固いうちはつぼ足のまま行く予定だったので先行します。

健康の森のトレース
 健康の森は文殊越の辺りまではなだらかな斜面が続きます。トレースもしっかりとしており、とりあえずつぼ足でも問題なく歩くことができます。もっとも、踏み跡をはずすとくるぶし上までもぐってしまうこともありました。また、表面が凍結しており、少し滑りやすくなっていたので、ペースはややゆっくり目にならざるをません。

 しばらくすると、カップルが追いついてきました。 シールのついたスキーやスノーシューを履いている彼らのスピードは自分よりも速く、自分の後ろにつかれると追い立てられているようで、自然にペースが上がってしまいます。スキー板やスノーシューを履いているのなら何もトレースをたどってこなくてもいいだろうにと思いつつ歩き続け、ペースアップのおかげで汗だくになり始めた頃、トレースが左右に分岐しているところに来ました。左は一段低い谷筋を登っていくトレース。右は谷筋を外れてやや高くなったところに向かうトレース。つぼ足のトレースは右方向に続いていたので、自分は右のトレースに入ったところ、後ろの二人は左に行ってくれました。やっと追い立てられるような状況から開放されて一安心です。雪も緩くなってきて踏み抜くことが多くなってきたので、分岐からすぐのところでスノーシューを履きました。

 8時30分を過ぎた頃、左手の斜面が切れて、左奥に続く谷筋が見えました。そろそろ文殊越に向かう谷筋かと思いましたが、以前歩いた谷筋とは雰囲気が違います。地図とGPSで現在地を確認してみたところ、1020mあたりにいることがわかりました。経度緯度のデータでも確認しましたが、文殊越に向かって一般登山道が左に折れる場所はまだ少し先です。標高1060mあたりが左折する場所なので、GPSのデータを見ながら先に進みます。

文殊越への谷筋
 8時46分、左手から広くてなだらかな谷筋が合流してくる場所に来ました。標高、緯度経度とも、地図で一般登山道が左に曲がる地点にぴったりです。なんだかはじめてGPSをうまく活用できたような気がしました。GPSと経度緯度情報が出ている1/25000地図があれば、ガスって視界が利かない時でも正しいルートを見つけられそうだと感じました。

 キリン峠へのルートは2つあります。一般登山道と同じように鳥越峠を経由して行くルートと文殊越からキリン峠に直登するルートです。どちらも文殊越を経由しますが、鳥越峠へ向かうのであれば文殊越を経由するより文殊越えの谷筋入口であるこの地点から北北東にまっすぐ登って行ったほうが早いです。積雪期ならではの近道です。文殊越からキリン峠に直登するルートは、文殊越で一般登山道が東に向きを変えるところを直進し谷筋を詰めていくルートなのですが、こちらはまだ歩いたことがありません。直登するほうが歩く距離も短いので、今回は直登ルートを登ることにします。

綺麗な青空と雪の森
 文殊越に向けてルートを北西方向に修正してすぐ、左手の斜面の上の空が驚くほど美しい青さであることに気がつきました。太陽の光もいい具合に斜光になっており、フォトジェニックないい光景です。ザックをおろしてしばしの撮影タイムです。

大山が見え始める
 撮影後再び歩き始めた頃、左ひざに痛みを感じ始めました。カップルに追いつかれてペースを上げてしまったので、少し負担がかかったようです。山に登るのも3週間ぶりということもあるのでしょう。文殊越のあたりで休憩しようと思いつつ歩いて行きましたが、どこが文殊越なのかさっぱりわかりません。地図とGPSで確認したところ、どうやら文殊越を少し過ぎてしまったようでした。前方には木々の向こうに大山が見えてきました。

 痛みがけっこうひどくなってきたので、とりあえず休憩することにしました。標高1164m地点でした。携帯クッションを忘れてきたので、モンベルのソフトシェルを折りたたんで座布団代わりにして雪の上に座りました。地図で見るとキリン峠に直接突き上げるルートとしては、このあたりから右手の尾根に上っていったほうがいいのですが、無雪期では谷筋を詰めていくようなので、状況の偵察がてらもうしばらく谷筋をのぼっていくことにします。

大きくなる大山
 15分ほどの休憩をとり、9時35分に出発です。座布団代わりにしていたソフトシェルは、高い浸透圧がかかっていたわりに水がしみたような跡はなく、けっこう撥水性能がいいようです。ひざの痛みは相変わらずで、5分ほど歩いては立ち止まって休憩というペースで上を目指します。次第に斜度がきつくなり、谷が広がってくると、大山も大きく見えるようになってきました。

vol2に続く


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| 2011年3月 大山キリン峠 | 16:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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