ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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麓は春、上は冬。汗と鼻水だらだら山行:伯耆大山 vol 2

2011年2月20日 鳥取県大山町 伯耆大山・弥山(標高1709.4m)日帰り山行
vol 1はこちらをご覧ください。

強風の夏道尾根
 6合目避難小屋前から夏道の尾根まで上がると、いきなり強風に襲われました。わずか数mの違いで無風でぽかぽかの場所と、冷たい強風にさらされる場所が隣り合わせにある不思議さ。アンダーしか着ていなかった上半身は、一気に体温を持っていかれます。あわててザックをおろしてフリースとソフトシェルを着ましたが、わずか1分ほどの時間にもかかわらずかなり体を冷やしてしまったため、6合目避難小屋で少し休憩していくことにしました。

 屈んで通らないと入れないような入口から、ザックを引きずるようにして中に入ると、窓が雪でふさがっているため真っ暗です。窓の雪だけでも少し取り除けば明るくなるかと思って、アックスを持って外に出ました。窓は急傾斜に面してわずかに雪の隙間から見えている状態でした。滑落しないようにクランポンの爪を凍結した雪面にしっかり食い込ませて、アックスで窓をふさいでいる雪を取り除こうとしましたが、さらさらの雪はすぐに周りから崩れてきてあまり意味がありません。あきらめて小屋に戻り、ヘッドライトをつけました。日帰り山行でもヘッドライトは携行するようにしていますが、もっていて助かりました。

 出発してからすでに3時間30分が経過していましたが、水分も食べ物もまったくとっていませんでした。元谷避難小屋でトイレ休憩したときに、チョコレートでもかじっておけばよかったのでしょうが、なぜかそのときは水分も取らずに出てきてしまいました。そのためか、一口お湯を飲むとやたら飲みたくなって、立て続けに3杯ほど飲んでしまいました。汗もけっこうかいていたので、相当のどが渇いていたのでしょう。冬山はついつい水分補給を忘れがちになるので、ハイドレーションパックの導入を考えたほうがよさそうです。ザックをおろさなくても水分補給ができれば、楽チンだし疲労の軽減に役立ちます。実際、行動食としてカロリーメイトを食べているとき、なんとなく疲労感を感じ始めました。

夏道ルートで出発
 水分と栄養補給を終えたあと、強風の尾根道を考慮してソフトシェルをハードシェルに着替えました。6合目避難小屋から出て、尾根に上がるとやっぱり強風が吹きすさんでいます。休憩で冷えた指先がじんじんしてきますが、歩き出せば温まるだろうと思い、手袋はそのままで11時57分に出発です。ちにみにこのときの手袋は、マジックマウンテンのウールの薄手手袋に、イスカのウィンターシェルグローブをアウターとして着用していました。防寒用としてはそれほどしっかりとした保温層を持っていたわけではありませんが、ウィンターシェルグローブがウィンドストッパーとしての役割をきちんと果たしてくれていたようで、体が温まってくると指先の冷たさも取れて、その後も寒さは感じませんでした。

急傾斜の登山道
 強風が吹きつける夏道はすっかり表面が凍りついていましたが、多くの登山者が踏んでいったところだけは凍結した雪が踏み砕かれてさらさらの粉雪になっていました。凍結したところのほうがクランポンの爪は食いついてくれるのですが、なにしろ急傾斜なので足がつらく、多少滑りやすい踏みあとをたどって登ります。

八合目
 8合目のあたりから左ひざに痛みを感じ始めました。行者谷の斜面を休みなくキックステップで登り続けたつけが出てきたようです。あいかわらず、ちょっと膝に負担がかかるようなことをすると、すぐ痛みがでてくるようです。そのうえ、やはり疲れが出たのか、体もなんとなく重くなってきました。その上、寒さのためにやたら鼻水がずるずると出てきます。幸い鼻水垂れ流しになるようなことはありませんでしたが、常に鼻をすすっていないといけない状態です。のぼりで息も苦しいのに鼻が詰まってしまって、踏んだり蹴ったりです。

八合目から見た大山北壁
 しかし、眼前に広がる大山北壁の雄大な景色に励まされて、一歩ずつ頂上を目指します。

大山頂上台地
 やがて斜度が緩くなり、頂上台地に着いたことがわかりました。ここから先は傾斜の緩やかな台地を登っていくだけです。

九合目
 雪に埋もれかけた9合目の道標を過ぎたのは、12時42分。頂上まであと少しです。

頂上避難小屋
 ようやく頂上避難小屋までやってきました。弥山頂上は小屋の背後です。登山者が大勢いるのが見えます。

弥山から見た三角点と剣が峰
 12時55分、弥山頂上に着きました。とはいっても、一段高い三角点のあるピークはまだ先です。今にも崩れそうな雪庇が張り出した三角点ピークには誰もいません。ちょうどいいタイミングなので、先に登ることにしました。

三角点の亀裂
 下から見た崩れそうな雪庇のそばまで来ると、雪面に亀裂ができていました。うかつにこの先にのってしまうと、雪庇もろとも奈落の底にまっしぐらということになりそうです。右に寄らないように気をつけて進みます。

三角点から見た剣が峰
 12時58分、標高1710.6m三角点のピークに立ちました。今期の冬山登山での最高地点です。いままでは、1200m前後の山ばかりでしたが、500m違うと景色はずいぶん違うものです。もともと崩壊が激しくて樹木のほとんどない大山頂上付近は、まるで森林限界を超えたアルプスのような様相です。狭いリッジの尾根の先には、最高峰の剣が峰がそびえています。雪で稜線が太くなる冬季のほうが剣が峰まで行きやすそうですが、途中難しそうなところもあり、単独で行くにはちょっと厳しそうです。

記念写真
 誰もいない静かな三角点で景色を楽しんだあと、せっかくなので記念撮影です。ザックをおろしてストックを出すのが面倒だったので、ゴリラポッドを直接地面においてセルフタイマーで撮りました。風はそこそこあったのですが、小さくて軽いゴリラポッドもカメラを取り付けると風に耐えられるだけの重さになったようで、吹き倒されることもなく撮影できました。地面すれすれのところからの撮影なので稜線と空ばかりになり、おまけに調子に乗ってポーズまでつけたものだから、ずいぶん高い山に登ったかのような写真になりました(^_^)v

昼食
 弥山頂上にもどって遅い昼食です。弥山の頂上は風上側に雪庇になり損ねたような雪の壁が風を防いでくれるので、あまり寒くもなくお昼休憩にはちょうどいい感じです。かわりばえのしないおにぎりとラーメンという昼食ですが、簡単で温まるのでついついワンパターンとわかりつつもこうなってしまいます。ところが、今回は大失敗でした。クッカーの底から泡がぽこぽこ出ていたのでお湯が沸いたものと思ってラーメンを作ってみたら、なんとぬるま湯。当然麺は半分固いままの状態です。いまさらクッカーにもどして煮込むのも面倒だし、じっとしているとやはり冷えてきたので、そのままさっさと食べました。食べられないほどひどい状態ではなかったのが、せめてもの救いです。

弓ヶ浜
 弥山頂上から下を見ると、ほとんど雪に埋まった頂上避難小屋の向こうに、弓が浜が大きく弧を描いて伸びているのが見えました。ややかすんでいるのが残念ですが、、一日好天に恵まれてよかったです。

頂上避難小屋の冬季入口
 13時45分、下山開始です。避難小屋の前を通るとき入口の状態を確認してみると、冬季出入り口がちゃんと使えるようになっていました。クランポンの付けはずしが面倒なので中には入っていませんが、荒天の時には助かります。

下山途中
 下山時はひざに負担がかかるので、左ひざの痛みがこたえます。ダブルストックならまだましですが、アックス1本なので膝の負担軽減にならず、できるだけ左ひざに負担をかけないようにゆっくりと下りました。しかし、風が徐々に強くなり、時折吹く突風に体を持っていかれそうになります。膝の痛みで踏ん張れないこともあり、突風が吹くたびにふらついてしまいます。それほど狭い尾根ではないので、多少ふらついてもすぐに踏み外すということはありませんが、あまりいい状況でないことは確かです。

五合目
 五合目まで降りてくるとさすがに膝がつらくなってきたので、アックスからストックに持ち替えました。おかげでかなり楽に下れるようになりました。

ストライプの森
 駐車場までもう少しというあたりまで来ると、傾きかけた太陽が雪面に綺麗なストライプ模様を描いており、なんともいえない美しさです。

駐車場
 15時35分、やっと駐車場まで戻ってきました。一日暖かかったというのに、駐車場の雪はほとんど融けていませんでした。朝入ったときには料金所に人が来ていなかったので、出口で1000円を支払って出発です。

伯耆富士
 途中、伯耆富士らしい姿が綺麗なポイントで写真を撮り、家路に着きました。

GPS
 今回歩いたルートです。出発時にGPSの電源を入れるのを忘れていて、測定開始地点が大山寺の前からになっています。


 ■山行データ
<往路所要時間> 5時間08分
南光河原駐車場7:50→元谷9:30→6合目避難小屋11:24→8合目12:30→三角点頂上12:58

<復路所要時間> 1時間50分
弥山頂上13:45→五合目14:38→駐車場15:35

<登山道情報>
大山寺から先は完全な雪道ですが、クランポンなしでも大神山神社までは行けると思います。その先の登山道では、林道から元谷までが傾斜のある斜面なので、クランポンをつけたほうが安全でしょう。雪が柔らかければつぼ足で行けるとは思います。

行者谷の斜面は下部は柔らかく、上部は硬い状態です。急傾斜でクランポンを装着するよりも、はじめから装着しておいたほうがいいでしょう。傾斜のきつい上部では、ストックよりもアックスを使うことをおすすめします。

元谷避難小屋にトイレがありますが、駐車場の水洗トイレで済ませておいたほうが快適です。頂上避難小屋もトイレが使えるらしいのですが、確認していないので不確かです。


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| 2011年2月 伯耆大山 | 16:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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麓は春、山上は冬。汗と鼻水だらだら山行:伯耆大山 vol 1

2011年2月20日 鳥取県大山町 伯耆大山・弥山(標高1709.4m)日帰り山行
Keyword: 冬山、登山、伯耆大山、単独


 当初は泉山へのリベンジ山行を考えていましたが、午前3時前にぱっきりと目が覚めてしまいました。睡眠時間はわずか2時間半ほどですが、遠足前の子供のようになぜだか眠くありません。前週末にどこにも出かけなかったので、体が出かけたがっていたのかもしれません。こんなに早く目が覚めてしまったのなら、いっそのこと伯耆大山まで行ってしまおうと、急遽行き先変更です。

溝口近くから見る伯耆大山
 溝口から県道45号線を桝水高原まで行って、大山環状道路経由で大山寺に向かうつもりでしたが、なんと大山環状道路は通行止め。途中に通行止めの案内が出ていたようですが、まだ薄暗かったことと目前の伯耆富士に気をとられていて見逃してしまいました。迂回路になっていた県道284号線を下り、県道36号線から24号線で大山寺にまわるというとてつもない回り道をしてしまいました。せっかく早起きしたのに南光河原駐車場についたのは午前7時30分。すでに、奥のほうに4台分の駐車スペースしか空いていない状態でした。ちなみに、道路は除雪が行き届いていて、ノーマルタイヤのままで大丈夫でした。駐車場内は少し雪が残っていましたが、とくにスリップすることもなく問題なしです。

 今回は夏道ルートで弥山への登頂を目指しますが、駐車場からそのまま登山道をピストンしたのでは面白くありません。せっかくなので、朝の大山北壁を元谷から撮影しておきたいということで、往路は元谷から行者ルートを登ることにしました。

雪に埋もれた元谷
 午前7時50分、駐車場から雪で埋まった元谷を渡り大山寺方面に向かいます。元谷を渡ったところにある公衆トイレに寄ろうと思ったら、雪に埋まって使用不能になっていました。大神山神社の公衆トイレが使えるかなと思いつつ、先へ進みます。

大神山神社参道
 大神山神社へと続く石畳の参道もすっかり雪に埋まっており、凸凹の石畳よりもかえって歩きやすいほどです。

大神山神社
 8時15分に大神山神社に着きました。長い石段も雪の下に埋まり、だらだらとした雪の坂道になっていました。誰もいない神社で安全祈願をしたあと、軽く汗をかいたので着替えることにしました。ハードシェルジャケットを脱いで、ソフトシェルに着替えます。ついでにザックからクランポンを取り外して、神社の外で装着しました。登山道入口にある公衆トイレも使用不能だったので、元谷避難小屋までトイレは我慢することにして、登山道へと進みます。

大神山神社横からの登山道
 登山道入口あたりは傾斜も緩やかでクランポンが必要というわけではないのですが、トレースが若干すべり気味だったのと、この先がどうなっているのかよくわからないので、クランポンを事前に装着したわけです。夏道が宝珠尾根ルートを分けるところまで来ると、案の定夏道のトレースはなく、宝珠尾根ルートにトレースが続いています。この先の夏道は元谷沿いの斜面を行くルートになるので、冬道は上の林道を使っているのでしょう。

林道
 宝珠尾根ルートで上の林道まで登ってきましたが、林道は完全に雪に埋まっていてただの斜面と化していました。それでもトレースがあるので、ルートは明確です。林道に入って尾根を回り込むと・・・

林道から見た北壁
 眼前に大きな北壁がどーん! 雪化粧した北壁が朝日に照らされて光り輝いています。写真を撮っていると、上から単独行の年配男性が降りてきました。こんな時間に下山してくるなんて、どういう山行だったのか不思議です。山頂小屋泊で、朝一番に下ってきたのかもしれません。

斜面の急な林道歩き
 撮影を終えて先に進みますが、この先が結構な急斜面で、ちょっとひやひやさせられる状況でした。林道の平面は完全に雪に埋もれて、1枚の斜面をトレースが横切っているだけの状況です。踏み抜いたり足を滑らしたりしないように、慎重に進んでいきます。

足元のカーブミラー
 カーブミラーが足元よりも下に顔を出していました。今歩いている高さは、林道の路面から3mぐらいの高さがありそうです。

元谷到着
 林道が終わり、元谷の広い雪原の上に出てきました。正面には別山バットレスがそびえています。元谷に降りて、一眼レフでしばし撮影に時間を費やしたあと、元谷避難小屋に向かいます。小屋の前にはテントが2張りあり、どこかの山岳会なのかロープワークの講習のようなことをしていました。個人的にもクライミング技術の習得には興味があります。朝夕の山岳写真を撮ろうとするとやはり泊りがけの雪山山行をせざるを得ないこともあるわけで、クライミング技術のあるとなしとでは行ける場所のレベルも安心感も雲泥の差があるだろうことは明白です。とはいえ、とりあえず今は冬山山行そのものの経験値を上げることのほうが先かなとも思います。いずれ機会があれば、どこかの山岳会に入るか、一般講習などで技術の取得を目指したいものです。

 元谷避難小屋に入ると、すでに9時30分を回っているというのにまだ朝食の準備をしている人たちが何人かいました。置いてある道具を見るとクライミング目的のようですが、そんなにゆっくりでも大丈夫なんでしょうか。まあ、そんなことを心配しているよりもトイレが先です。それほど切羽つまっていたわけではありませんが、とりあえずトイレが使えて一安心です。匂いはきつかったですが、汚いということもなく、山小屋の汲み取りトイレとしてはましなほうでした。避難小屋を出る前にソフトシェルを脱いでザックの雨蓋上にくくりつけて出発しました。気温は4度程度でしたが、太陽が降り注いでいるのでアンダーとフリースだけでぜんぜん寒くありません。それに、これから行者ルートをのぼって夏道ルートの尾根まで登りが続くので、汗だくになること間違いなしです。

自分撮り
 元谷から行者谷方面にはしっかりしたトレースが続いていました。途中で自分撮りを一発。今回、自分撮りしやすいようにJOBYのゴリラポットという小型の三脚を持ってきたので、それをストックに取り付けて三脚代わりにしました。ストックを雪面に突き刺すだけで三脚代わりになるのだからとっても便利です。

行者谷下部の斜面
 行者谷へのトレースは、夏道の行者コースには向かわず、まっすぐ行者谷に向かっていました。途中から右の尾根に行くのかと思いきや、そのまま行者谷を直登する方向へと続いています。見晴らしのいい広い谷筋なので、上のほうには夏道登山道を行く登山者の姿も見えています。無理にトレースのないところをラッセルして行者コースをたどるより、このままトレースを追って夏道ルートの尾根まで直登することにしました。写真ではあまり傾斜していないように見えますが、これでも結構な急坂です。

グリベル・モンテローザのデビュー
 少し登ると斜度が急になってきたので、ストックをしまってアックスに持ち替えました。いままでザックの肥やしになっていたアックスがようやくデビューです。ついでに、フリースも脱ぎました。汗だらだらだったので、アンダーだけでもぜんぜん寒いとは感じません。風もなく穏やかで、まるで春のような天候でした。

標高1160m地点
 10時37分、標高1169mまで登ってきました。朝見えていた青空がいつの間にかうっすらと白いベールをまとったようになっていました。とはいえ、稜線には雲もなく、元谷を取り巻く峰々はクリアに見えています。後ろから、赤いジャケットの単独行者が10mほど離れたところを登ってきていましたが、写真を撮ったりしているうちに追いつかれ、いつの間にか追い越されていました。自分はキックステップを使って一歩づつ足元を確認しながら歩を進めていたのですが、その人はダブルストックでがしがし登って行きます。見ていると、少々足もとの雪が崩れても力づくで登っていました。強いなあと感心してみていましたが、どうやら女性だったようです。はやりの山ガールというのではなくいわゆる登山者といういでたちでしたが、その力強さにすっかり脱帽です。

行者谷上部の斜面
 11時15分、標高1335mに達しました。夏道の尾根まであと少しです。すでに木もまばらになって、斜面も絶壁のように感じる急傾斜になってきました。このあたりになると、雪質が変わってきました。表面がややクラスト気味になってきましたが、まだ硬いという感じではありません。しかし、やわらかい雪の層が格段に減ってきました。キックステップでつま先を蹴りこんでも、つま先の先っぽだけしか入っていきません。前爪だけで踏ん張りが効くほど硬いわけではないので、2度、3度と蹴りこんでやっと靴の2/3ほど雪の中に入るという状況です。硬い雪の層の上にやわらかい雪の層が乗っているという感じなので、なんだか嫌な予感がしないでもありません。念のため雪を円柱状にかきだして、やわらかい表層部分を手前に引いてみました。簡単にずれることはなかったので、とりあえず早く登りきることにしました。もっとも、みようみまねの弱層テストもどきをしただけなので、それが正しい判断といえるのかどうかかなりあやしいところですが、気休め程度にはなりました。ここ何日かは天候も安定していて雪が降るような天気予報はなかったと思うので、不安定な新雪というわけではないのでしょう。

 隣を登っていた女性は、気がつけば直登するのをやめて、夏道の行者コースがある尾根方面にトラバースを始めていました。その姿はかなりおっかなびっくりという雰囲気で、さっきまで男性顔負けの力強さで直登していた雰囲気はありませんでした。”さっきまでの力強さはなんだったんだろう”などと考えながら見ていましたが、彼女が雪崩の危険性があると判断してのトラバースなのか、急傾斜に恐れをなして安全策をとったのか、問題はそのどちらなのかです。彼女が雪山経験が豊富で雪崩を警戒してのことであれば、このまま直登するのはやばそうです。ただ、この急斜面のトラバースでアックスを使わずにストックを使っているということから考えて、それほど経験豊富という雰囲気ではなさそうです。とはいえ、それは見た目の雰囲気でのイメージにしか過ぎませんから、結局は自分で判断するしかないわけです。

 ということで、直登を継続です。一歩一歩足元を確認しながら歩を進めていきます。登るにつれて雪の表面がどんどん硬くなってきます。やわらかい雪の層も徐々に薄くなってきました。尾根まであと少しというところまで来ると、斜度がきつすぎて直登が難しくなってきたので、斜めにトラバースすることにしました。いままで上しか見ていなかったので、斜めに登り始めて自分がどれほど急な斜面を登っているのか、やっと実感できました。正直、怖いです。雪面は完全なクラスト状態です。足を普通に置いただけではクランポンの爪がしっかりとは噛んでくれません。力を入れて踏みつけるとクラストした表面が割れて足が柔らかい雪の層に入っていきますが、そのままでは爪が噛まないので、2~3度踏みつけて下の固い雪層にクランポンの爪を食い込ませてからやっと次の一歩を進めることができます。片足だけに全体重がかかると滑ったときに一気に行くので、アックスは必ず雪面に強く突き刺してしっかりとにぎった状態にしておきます。滑ったら途中で止める自信はまったくないので、とにかく滑らないことだけに集中しました。そうやってようやく斜面を登りきって尾根にたどり着きました。11時24分でした。

6合目から見下ろす元谷
 振り返ると、急斜面のはるか下に元谷が見えています。その背後には三鈷峰が堂々とそびえていました。元谷の標高が1035m、登りきった尾根の標高が1370mだったので、標高差335mの斜面を登ってきたわけです。所要時間は約2時間でした。

6合目避難小屋入口
 足元に雪洞のようなものが合ったので、何かと思ったら6合目避難小屋の入口でした。結局、行者コースにはまったく入ることなく、元谷から6合目避難小屋まで直登するルートをたどってきたことになります。奥の方にある斜面の傾きを見ると、このあたりの斜度は軽く30度を超えているようです。雰囲気的には40度近くありそうな感じです。スキー場で斜度30度を越えていると絶壁のように見えますから、怖いと思うのも当然でした。


vol 2へ続く。



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| 2011年2月 伯耆大山 | 16:39 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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