ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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天気予報は大外れ:毛無山(けなしがせん) vol 2

2011年2月1日 岡山県新庄村 毛無山(標高1218m)日帰り山行

vol 1はこちら。

尾根の様子
 山頂に続く稜線に上ると、比較的平坦な尾根がずっと先まで続いています。いままで北西に向かって上ってきた道が、ここから北に向きを変えます。尾根のブナには幹にまで雪が付着していて、山腹の斜面に生えていた木々とはやはり様子が違います。それだけ気象条件が厳しいということなのでしょう。

かすかなトレース跡
 トレースはあいかわらずわからない状況ですが、良く見ると奇妙な模様が雪面に続いています。シュカブラといっていいのかわかりませんが、雪面にライン状に模様がついていました。どうやらトレースの痕跡のようです。一度新雪で埋もれたトレースが、強風で雪のやわらかい部分だけ吹き飛ばされ、人間に踏まれて硬くなった部分が雪面に残ったもの、なのでしょうか。実際、このラインの上を歩くと足もあまり沈まないので楽でした。

ブナの白い毛皮
 ブナの幹にはエビの尻尾になりきれなかった雪がへばりついて、なんだか毛皮をまとっているようです。

9合目避難小屋
 12時20分、やっと9合目避難小屋に着きました。窓も扉もすべて閉まっていたので、もしかして閉鎖中か?と一瞬心配しましたが、問題なく中に入ることができました。中のベンチやテーブルには雪がうっすら積もっていましたが、とりあえず、食事休憩をするのに支障はありません。

昼食
 寒いときには辛いものが一番と、韓国の辛いラーメンをつくり、いっしょにアップルパイの菓子パンで昼食です。辛いものと甘いものの取りあわせというおかしな昼食でしたが、辛さで体を暖め、甘さで疲労回復をはかるという狙いでしたが、空腹にはどうでもいいことでした。寒くて暗くて誰もいない小屋の中にいると、妙に寒さがしみてきます。ゆっくり紅茶でも作って飲めばいいのでしょうが、なんとなくそんな気分にもならず、白湯を飲んで食事は終わりにしました。

雪のブナ林1
 天気予報は晴天ということだったので、きらめく樹氷の写真を撮れると思って来たのに、晴れ間どころかずっとグレーのどんよりとした天候が続いています。食後に小屋の外に出てみると、ガスもうっすら出てきていました。それでもせっかく重い一眼レフを持ってきたのだからと、寒々しい冬のブナ林の写真を撮ることにしました。といってもモノトーンのブナ林のどこをどう切り取っていいのやら・・・
雪のブナ林2
 20分ほど9合目避難小屋周辺で撮影してみたものの、あまりこれといった写真が撮れなかったので、ひとまず山頂を踏むことにして避難小屋にもどりました。

避難小屋の雪庇
 荷物は置いて行こうかと思いましたが、もしも天候が急に好転したら白馬山まで縦走してそこから下ることもできるので、ちゃんとパッキングして行くことにしました。小屋の扉を閉めて、スノーシューを履き、準備万端整えて軒先をふと見ると、大きな雪庇が垂れ下がっていました。

モンスター1
 13時25分、9合目避難小屋を出発しました。9合目から上はいままでと雰囲気ががらっと変わって、まるで蔵王のモンスターのような木がたくさん立ち並んでいました。

モンスター2
 ガスで少し視界の良くない中で見るモンスターはまるで幽鬼の群れのようで、押し黙ったまま山頂を目指してゆっくりと行進しているようにも見えます。

毛無山山頂
 モンスターたちの横をゆっくりと歩いて行くと、13時44分に山頂に着きました。風はほとんどありませんでしたが、粉雪が音も無く舞い落ちていました。天候が回復しそうな気配は微塵もなく、ますますガスは濃くなってきたような気がします。視界は50mもない感じで、とても白馬山まで縦走する気分にはなれません。

山頂周辺
 あたりを見渡すと、モンスター達がただだまって雪の中にたたずんでいます。怖いわけではないけれど、どこか違う次元に来たような、奇妙な感じでした。

時計
 時計の気温と高度を確認してみると、気温は-0.1度、高度は1255mとなっており、あいかわらず高度計はいい加減な表示です。

GPS
 念のためGPSの高度計も確認してみると、なんとこちらも1225mと7mの誤差が出ていました。積雪と身長分で2mほど高くなっているとしても、GPSでこんなに誤差が出るものなのでしょうか。GPSも常に正確というわけではないようです。

 というわけで、白馬山への縦走はキャンセルして、同じルートで下山することにしました。

頭上注意の札
 天候が悪化しないうちにと、寄り道もしないでまっすぐ8合目?の「頭上注意」看板まで戻ってきました。ここで素直に自分のトレースをたどっていけばよかったのですが、夏道はどういう状況なのだろうと興味がわいてしまいました。といっても、「頭上注意」の看板の下を歩かずに、2mぐらい下の斜面に脚を踏み入れた瞬間・・・

踏み抜いた穴
 左足の下の雪が突然なくなって、僕はバランスを崩して前のめりに倒れこみました。左足はなぜか空中にぶら下がっている感覚があります。笹原の上に積もった雪の上を歩いているとときどき踏み抜くことがあります。とりあえず、あまり暴れて全身が落ちてしまうと困るので、ゆっくりと脚を引き抜いて、雪面に開いた穴を見てびっくり! なんと笹ではなく岩に挟まれた空洞だったのです。雪面からの深さは2m以上ありそうです。もしもすっぽりと落ち込んでしまったら、脱出は簡単にはできそうにありません。落ちたはずみでスノーシューが岩にかんでしまったら、狭い空間でスノーシューをはずすこともできませんし、周りの雪が崩れたら生き埋めの可能性もありです。ちょっと背筋が寒くなりました。雪の下にはなにが隠れているかわかりません。これが稜線の雪庇だったら、どうなっていたことか。ちょっとうかつでした。

クリの札
 やばいやばい、と反省しながら自分のトレースに戻り、その後は忠実にトレースをたどって戻ったのはいうまでもありません。やがて、「クリ」の札がぶら下がっているところまで戻ってきました。このままトレースを下っていけばいいのですが、ここでまたまた夏道の状況を知りたいという欲求が首をもたげてきました。夏道はこのあたりから右手の谷筋のほうに降りて、そこからまっすぐ下って行けばいいだけです。それに、このあたりは昔登った時の記憶がまだ残っていて、とくに急峻な場所や崖のような場所はなかったと記憶しています。

夏道の印1
 とりあえず、右側の谷への降り口を探しながら下って行くと、右手に赤いテープがありました。誰も歩いていないらしくて、トレースの痕跡らしいものはまったくありません。

アオハダの札
 テープの方向に下っていくと、「アオハダ」の札がぶら下がっていました。ルートは間違っていないようです。

夏道の印2
 さらに下っていくと赤と黄色のテープ発見です。ただし、ここから先がどっちへ行けばいいのかわかりません。まだまっすぐ行くのか、ここから左手にある小さな谷筋をまっすぐ下っていけばいいのか。テープがあるということは、ここでルートが向きを変えるという意味ではないかと判断して、左手の谷筋を下っていくことにしました。小さな谷ですが、念のため谷の真ん中を歩くことは避けて、左岸のやや上をトラバースするように下っていきましたが、さすがに谷筋は雪が深いです。腰の辺りまでうまってしまい、下りとはいえ足を出すのもひと苦労です。

夏道の印3
 下りながらあたりを見渡していると、西隣の小さな谷の対岸にテープを見つけました。夏道は赤と黄色のテープのところからさらに直進して、小さな尾根のようなところを下っていたようです。下のほうを見ると、その尾根ともう少しで合流するようになっていたので、夏道を目指さずそのまま下りました。

夏道の印4
 やがて、赤いテープが前方の木に巻かれているのが見つかりました。夏道に合流したようです。

トレース合流地点
 そこから少し下っていくと、朝自分がつけたトレースに戻ってきました。時間は14時54分。ちょうど、急傾斜の尾根に上り始める場所でした。左から来ているのが夏道のルート、右上に向かうのが尾根に上るルートです。どっちを進んでも行けますが、夏道は谷筋に入っていくので雪が深く、登りのラッセルは苦労すると思われます。右上の尾根を行くほうが冬道としてはいいようです。

駐車場
 駐車場に戻ってきたのは、15時28分でした。駐車場でもときどき小雪が舞うような天候になっていましたが、大きく崩れることはなかったので助かりました。

足元
 ゲーターをつけずに深い雪の中をラッセルしたにもかかわず、Verb Pantはずり上がることもなく靴に雪が入るのを防いでくれました。

毛無山登山道下部の地図
 家に戻ってからGPSログでどのように歩いたのか確認してみると、まずは往路の沢沿いのルートで最初に現れたトレースの分岐場所がA地点だったようです。これは問題なく正しいルートをとることができました。

毛無山登山道上部の地図
 往路で夏道から外れて急傾斜を上り始めた場所と、復路で尾根上から夏道のある谷筋に下った部分は標高900m~950mだったことがわかります。テープの位置で谷筋の夏道が自分の下った谷と少しずれていたのがわかりましたが、GPSログでもしっかりずれています。また、「頭上注意」の札があった場所は、B地点になります。夏道は少し北側から大岩の下を通って「頭上注意」の札のあった木の下を抜けるルートのようですが、冬期はまっすぐ上って、「頭上注意」の札のかかっている木の西側から尾根に上がるのが一般的なルートのようです。

■山行データ
<往路所要時間> 4時間28分(昼休憩1時間05分を含む)
登山口9:16→八合目?(頭上注意の札)11:40→九合目避難小屋12:20→昼食・休憩13:25→頂上13:44

<復路所要時間> 1時間42分
山頂13:46→登山口15:28

<登山道情報>
「クリ」の札がぶら下がっているところまでは、トレースが硬かったり急斜面があるなどするので、スノーシューよりクランポンがいいと思います。
駐車場にあるビジターセンターはシャッターが閉まっていますが、シャッターをあけて入ることができ、多目的トイレのみ使用可です。水洗で清潔なトイレです。休憩室もあるので小休止に利用することもできるようですが、暖房はありません。9合目避難小屋にトイレ・水場はありません。


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| 2011年2月 毛無山 | 13:04 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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天気予報は大外れ:毛無山(けなしがせん) vol 1

2011年2月1日 岡山県新庄村 毛無山(標高1218m)日帰り山行
Keyword: 冬山、登山、毛無山、単独


 1月最後の週末は、県北は大雪で荒れるとの予報でしたが、2月1日は全県で晴れ予報が出ていました。待ちに待った好天の冬山に登るチャンス到来です。しかも、その直前まで雪で寒い天気だということは、スカッとした青空に真っ白い雪華が咲き乱れる景色が見られるに違いありません。仕事なんかしている場合ではない、ということで2月1日はお休みにして毛無山に登ることにしました。

 午前6時30分に家を出て、岡山自動車道北房ICで下り、県道84号線で月田を経由して国道181号線に出て、新庄村を目指しました。月田あたりまでは雪もなくノーマルタイヤのまま問題ありませんでしたが、美甘(みかも)近くになるとときどき路面に雪が残る部分が出てくるようになり、新庄村との境が近づくと圧雪路になりました。美甘から新庄村までの道は平坦でカーブも少ないことから、ノーマルタイヤのまま安全運転を心がけ、新庄村道の駅でチェーンを装着しました。

圧雪路面のアプローチ
 新庄村から県道58号線に入り、毛無山への分岐まではうっすらと雪が路面を覆っている程度でしたが、県道58号線から外れるといきなりの圧雪路です。道の両側には1mを越えるような雪の壁。今年は近年まれに見る豪雪の年です。

ビジターセンター前の駐車場
 毛無山ビジターセンターには9時過ぎに着きました。駐車場は除雪されていて20台ぐらいは駐車できそうな感じです。それにしても、晴れの予報にもかかわらず、空にはどんよりとした雲が垂れ込めています。まあ、午後に向けて徐々に晴れてゆくだろうと思い準備をしていると、ゲーターを忘れたことに気がつきました。上に行けばおそらくラッセルしなければならなくなるはずです。ゲーター無では靴に雪が入り込んで大変なことになりかねません。日帰りだし凍傷になるほどのことはないとしても、どうしようもないと判断したら引き返すことにしてとりあえず登ることにしました。ノースフェイスのVerb Pantの裾に着いているドローコードを絞り、靴の紐を引っ掛ける金具に引っ掛けるようにしておけば、ストレッチ素材だしずり上がらないでなんとかなるかもと思っていましたが、実際その通りでした。詳しくは、前回のVerb Pant使用レポートに書いたとおりです。

登山口
 9時16分に出発しましたが、いきなり1mを超える高さの雪壁を越えていかなければなりません。雪壁を蹴ってステップを作り雪原に上がると、トレースはしっかりしていました。

山の家前
 踏み固められたトレースをたどって奥へと進んでいきます。

杉林の中の看板
 9時28分に白馬山への分岐を通過し、9時36分、看板がたくさん設置されている広場のようなところに来ました。この先、どういう状況になるかわかりませんが、雪が深くなるだろうことは確かなので、ここでスノーシューを履きました。もっとも、実際には7合目あたりまではしっかりとしたトレースが残っていて、急傾斜を登る部分もあったりしたため、クランポン(アイゼン)にしておくべきでした。

杉林の中の道
 沢伝いに杉林の中をトレースに沿って進んでゆきます。徐々に谷が狭まるようになり、沢との距離も近くなってきます。

788m地点のトレース分岐
 9時59分、すぐ右手に沢が近づいてきたところで、トレースが分岐していました。沢伝いに行くトレースと、左の小さい谷の方に行くトレースです。地図で確認するとどうやら標高780mあたりから登山道は沢を離れて北西方向に上っていくようになっています。GPSの高度計では788mとなっており、右のトレースはあきらかに方向が違います。見た目にも左のトレースのほうがしっかりとしており、間違いないところでしょう。

分岐を左に進む
 分岐を左にとり、小さな谷に沿って上っていきます。

尾根に上がるトレース
 トレースはいったん谷の右岸に渡り、すぐに谷を渡って左岸の尾根に上っていきます。

ピンクのテープ発見
 尾根の上をしばらく進むとピンクのテープがありました。とりあえずルートは間違っていないようです。

890m地点
 10時30分、標高890m地点です。ここからトレースは右側の尾根上に向けて急傾斜を直登するように右に向きを変えていました。正面にある細い木の枝にテープがついているのが見えましたが、この先は谷地形になっているので、冬季は雪が深いとか雪崩の危険があるということで、おそらく尾根上を通る人が多いのでしょう。深雪の谷はラッセルがやっかいなので、トレースに従って尾根上に登るルートを進むことにしました。

尾根に上がる急登
 ところが、これもまたけっこう大変な状況で、週末の大雪でトレースはなかば埋もれかけ、スノーシューを履いていても場所によっては膝下まで潜る深さの雪があり、加えて急傾斜の斜面なので、なかなか思うように前に進めません。クランポンにしておけばよかったなあと思ったものの、こんな急傾斜で履きかえるわけにもいかず、ここは力づくで登ります。

尾根上はトレースなし
 なんとか尾根上に出てみると、なんとトレース跡は綺麗さっぱりかき消されていました。とりあえず尾根に沿って上っていけば標高950mぐらいのところで夏道に合流するはずなので、新雪の中を進んで行きました。

クリ
 10時57分、前方の木の枝からなにかがぶら下がっているのが見えました。近づいてみると「クリ」とかかれた札でした。おそらく登山道沿いの木につけられたものでしょうから、どうやら夏道に戻ってきたようです。GPSで標高を確認すると973mでした。

再びトレースが消える
 しかし、ここから先もトレース跡はまったくありません。地図で見ると、とりあえず斜面を上に向かって行けばいいようです。

ストックでトレースを探す
 ただし、適当に歩くと沈み込みが激しいので、できるだけトレース跡を探して歩くようにしました。トレース跡を探すには、ストックで前方の雪を突き刺してみるとよくわかります。トレース跡は硬いので、ストックを突き刺すとすぐにガツンとした手ごたえがありますが、それ以外のところではけっこう深く突き刺せます。しかも手ごたえがない。そうやって新雪の下に隠されたトレースを探しながら登って行きました。

トレース跡が現れる
 やがてトレース跡が再び判るようになりました。これでスピードも上がります。

トレース再び
 目印のテープもありました。

ブナ大木
 このあたりは大きなブナの木が登山道脇にあり、なんだか見守ってもらっているようです。

ブナ林
 斜面の上を見ると、森はすっかりブナ林にかわっていました。

トレースがまたまた消える
 やがて尾根のラインが見えてくると、再びトレースが消えてしまいました。しかも、雪が今まで以上に深くなっています。脚を高く持ち上げて、雪を蹴り崩すようにしてラッセルして進みます。

ラッセル跡
 振り返れば、一本のトレースが自分の後ろに続いていました。まさに「僕の前に道はない、僕の後ろに道はできる」の心境です。

右手に目印発見
 11時40分、標高1068m地点であたりを見渡してみると、右手の木にテープと鎖と札のようなものが見えました。その向こうには大きな岩が半ば雪に埋もれています。そういえば、8合目あたりにこんな大岩があったような気がします。なにしろ毛無山に登ったのは10年ぐらい前の夏だったので、ほとんど記憶に残っているものはありません。

頭上注意
 ラッセルしながら近寄ってみると、頭上注意と書かれていました。とすると、この下を夏道が通っているということです。
 
雪の深い尾根下
 ここから右上の尾根に向かって進めばいいようです。ところがここから先が一番雪が深く、スノーシューを履いているというのに、股下までずっぽりと足が沈み込んでしまいます。こうなると、普通に脚を前に出すということできなくなり、膝を前方の雪面上に乗せてスネで雪を崩し、そこに脚を押し込むという具合にラッセルしないと進めなくなりました。それも、直登は無理なので右に左にジグザグに進んで、ようやく稜線に出ることができました。

vol 2に続く。



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| 2011年2月 毛無山 | 21:42 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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