いにしえの登山道を往く: 伯耆大山正面登山道その2
2016年12月3日(土) 鳥取県大山町 伯耆大山(標高1709m) 日帰り単独行


登って行くときにずっと見えていた岩頭がだいぶ近づいてきました。地形図の山頂付近に「大山のキャラボク純林」と書かれている文字の「山」の字の下にある等高線が丸くなっているところだと思います。下方に向かって崖地の記号が連なっているのも見た目と同じです。この場所は1370m付近ですから、岩頭まであと100mほどの標高差ということになります。

標高1450mあたりになると、融け残った雪が出てきました。登山道にもたまに残っていますが、融けて再凍結したような氷ではないので、踏めばザクッと壊れて粉々になります。なので、まったく問題なく登っていくことができました。

11:40 標高1500mを越えたところで椅子代わりになるいい石があったので、座って休憩をとることにしました。ここまで立ったまま数分の休憩を2度とっただけなので、ようやく大休止をとることができました。休憩しているときに上から男性二人組みが下ってきました。今日初めて出会った登山者です。彼らは半ば小走りのようなスピードで、あっという間に小さくなっていきました。

10分ほど休憩してから、再び山頂を目指して歩き始めました。頂上台地の縁が標高1580mぐらいなので、あと少しのはずです。見上げたときに見えるスカイラインもそれほど遠くにあるように感じません。

深い緑色のキャラボクの茂みが見えました。あれが頂上台地の縁のはずです。中央のあたりに杭のような物も見えるので、まず間違いないでしょう。

大ノ沢の左岸の影地にはまだ雪がちらほら残っています。北向きの斜面になるので、融けにくいのでしょう。

登りながら見上げていた岩頭がいつの間にか眼下の遠くに見えていました。

12:00 頂上台地の縁に出ました。上のほうに夏山登山道から続く木道が見え、登山者が歩いているのが見えました。

木道まで出ると、木道周辺にはけっこう雪が残っていました。

水溜りは完全に凍結していました。

石室を経由して山頂を目指します。

石室の中はこんな状態です。嵐とか吹雪とかで緊急避難の必要がある場合以外は、あえて入りたいとは思えない雰囲気でした。

石室をすぎると台地の傾斜が強くなるので、木道もけっこうな坂道になりますが、そういう場所に限ってキャラボクの影になっていて、雪が残って凍結していました。滑り止め無しでもなんとかなりましたが、こちらの木道をあえて歩く理由はあまりなさそうです。

キャラボク林を抜けて、やっと雪や凍結のない山頂エリアに出てきました。案内板がたっているところが夏山登山道の分岐点です。

12:18 山頂避難小屋の手前まで登ってきました。山頂付近には登山者がちらほら見えますが、夏の頃のような混雑はありません。やはり雪の降る時期になると晴天の週末でも登山者は減るようです。

日当たりもいいし風もそれほど強くないので、山頂まで行ってそこでランチにしてもよかったのですが、トイレに行きたかったので小屋の中でランチにすることにしました。小屋に入ると意外なほど空いていました。二組が食事をしていただけで、南から日が差している窓の前が1ヶ所空いていたので、そこに荷物を下ろしてランチにしました。ちなみに、トイレは使えましたが、水洗トイレはもう閉鎖されていて、汲み取り式の個室がひとつ使えるだけです。冬期はずっとこの状態です。ペーパーは備え付けがありましたが、念のため持っておいたほうがよいかと思います。
ランチのときにソフトシェルジャケットを脱いでみると、けっこう汗で湿っていました。昨年あたりから気になっていたのですが、バーグハウスのジョラスソフトシェルジャケットは生地の厚さがそこそこあるためか、行動中に着っぱなしだと汗を吸ってわりと濡れてしまいます。汗をかきにくい厳冬期でもこの傾向は変わらないので、冬季の行動着としてはあまり具合がよくないという気がしてきました。まあ、今季はあたらしく買ったマムートのソフテック グラナイトハイブリッドジャケットやマーモットのアイソザムフーディーがあるので、比較しつつ使ってみようと思います。今までのところ、汗抜けについてはマムート、マーモットともにジョラスソフトシェルジャケットよりは優秀だと感じてます。
ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。


ランチ休憩を終えて外に出ると、入口前の温度計は約3度を差していました。数字だけ見るとけっこう寒い気温ですが、風があまりなく日差しもあるので、日向にいる限りは気温ほどの寒さは感じません。

小屋の前から三鈷峰がきれいに見えていました。背後の甲ヶ山や矢筈ヶ山にはまったく雪がないのに、三鈷峰からユートピアにかけての山肌にはけっこう白くなっていました。とくにユートピア小屋下の尾根斜面の白さが目立ちます。

山頂付近も日当たりがいいのにたくさんの雪が残っていました。

12:49 弥山山頂です。弥山に登ったのは2015年12月23日以来なので、ほぼ1年ぶりです。冬季以外で弥山に登るのは、2013年10月以来になるので、3年ぶりというわけです。その間、三ノ沢経由で剣ヶ峰などには何度か登っていたものの、人の多い夏山登山道と弥山にはどうしても足が向かなかったというわけです。

日当たりのいい南壁は、さすがに雪はほとんど残っていません。

西向きの槍尾根斜面は、少し雪が残っています。

頭上からブーンという音が聞こえたので見上げてみると、モーター付パラグライダーが頂上よりも高いところに浮かんでいました。

気持ち良さそうですが、やってみたいとは思いません。

遥か南の方角にひときわ高い山波が見えていましたが、方向的にも距離的にもおそらく剣山のあたりだろうと思いますが、同定することはできませんでした。

さらに右手、南西の方角にも同じような山波が見えました。こちらは石鎚山系ではないかと思われます。

13:15 山頂からの展望をひととおり楽しんだら、そろそろ下山の時間です。

海に近い伯耆大山の魅力は、眼下に青い日本海が広がっているこの風景かもしれません。カタパルトのような木道を歩いていくと、まるで海に向かって滑空していくような爽快感があります。

山頂から木道を下っていきますが、しばらくは雪や氷もなくまったく問題ありません。

しかし、キャラボク林の中を通るようになると、日陰になるところに融けて凍結した雪が残っていて、滑らないように慎重に足を運びます。

頂上台地の縁から眺める北壁には、まだたくさんの雪が残っていました。

弥山の上には、まだパラグライダーが浮かんでいます。

頂上台地から尾根道を下るようになると、日陰が増えて凍結箇所が多くなってきました。とはいえ、ツルツルで歩けないというほどでもないので、登山靴のままゆっくりと下ればなんとかこなせました。

13:56 6合目まで来るとさすがに凍結箇所はなくなりました。ひとまず荷物を下ろして休憩しました。いつも混雑している6合目ですが、今日は誰もいません。

14:16 五合目で立ったまま少し休憩をとりました。この時点でまだ登ってくる人がちらほらいるのが驚きです。

14:30 三合目を通過します。

14:57 阿弥陀堂前まで降りてきました。ここまで来たら下山したも同然です。

登山口の手前で横手道へと左折します。

苔むした石垣の道を抜けていきます。この道を歩くのは初めてのことなので、けっこう新鮮でした。

15:21 そのまま横手道を歩くと駐車場所を通り過ぎてしまうので、途中から車道を歩いて戻ってきました。
正面登山道は思っていたよりもずっとまともな道でした。今の伯耆大山には夏山登山道がほぼ唯一の登山道となっていて、過密化しているしダメージで大きく掘れている場所もあるので、正面登山道を復活させてもいいのではないかという気がします。まあ、環境問題などで異論もあるかもしれませんが、過密化する夏山登山道から登山者を分散できるし、夏山登山道と正面登山道を使うことで周回できるので、そのぶん山の楽しみ方も増えていいのではないかと思うわけです。登山道が複数あれば、それぞれ登ってみたいと思うのが登山者の性なので、リピート率も増えて経済効果もあがるだろうし、そのあたり検討してみる価値はあると思います。
おわり。
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登って行くときにずっと見えていた岩頭がだいぶ近づいてきました。地形図の山頂付近に「大山のキャラボク純林」と書かれている文字の「山」の字の下にある等高線が丸くなっているところだと思います。下方に向かって崖地の記号が連なっているのも見た目と同じです。この場所は1370m付近ですから、岩頭まであと100mほどの標高差ということになります。

標高1450mあたりになると、融け残った雪が出てきました。登山道にもたまに残っていますが、融けて再凍結したような氷ではないので、踏めばザクッと壊れて粉々になります。なので、まったく問題なく登っていくことができました。

11:40 標高1500mを越えたところで椅子代わりになるいい石があったので、座って休憩をとることにしました。ここまで立ったまま数分の休憩を2度とっただけなので、ようやく大休止をとることができました。休憩しているときに上から男性二人組みが下ってきました。今日初めて出会った登山者です。彼らは半ば小走りのようなスピードで、あっという間に小さくなっていきました。

10分ほど休憩してから、再び山頂を目指して歩き始めました。頂上台地の縁が標高1580mぐらいなので、あと少しのはずです。見上げたときに見えるスカイラインもそれほど遠くにあるように感じません。

深い緑色のキャラボクの茂みが見えました。あれが頂上台地の縁のはずです。中央のあたりに杭のような物も見えるので、まず間違いないでしょう。

大ノ沢の左岸の影地にはまだ雪がちらほら残っています。北向きの斜面になるので、融けにくいのでしょう。

登りながら見上げていた岩頭がいつの間にか眼下の遠くに見えていました。

12:00 頂上台地の縁に出ました。上のほうに夏山登山道から続く木道が見え、登山者が歩いているのが見えました。

木道まで出ると、木道周辺にはけっこう雪が残っていました。

水溜りは完全に凍結していました。

石室を経由して山頂を目指します。

石室の中はこんな状態です。嵐とか吹雪とかで緊急避難の必要がある場合以外は、あえて入りたいとは思えない雰囲気でした。

石室をすぎると台地の傾斜が強くなるので、木道もけっこうな坂道になりますが、そういう場所に限ってキャラボクの影になっていて、雪が残って凍結していました。滑り止め無しでもなんとかなりましたが、こちらの木道をあえて歩く理由はあまりなさそうです。

キャラボク林を抜けて、やっと雪や凍結のない山頂エリアに出てきました。案内板がたっているところが夏山登山道の分岐点です。

12:18 山頂避難小屋の手前まで登ってきました。山頂付近には登山者がちらほら見えますが、夏の頃のような混雑はありません。やはり雪の降る時期になると晴天の週末でも登山者は減るようです。

日当たりもいいし風もそれほど強くないので、山頂まで行ってそこでランチにしてもよかったのですが、トイレに行きたかったので小屋の中でランチにすることにしました。小屋に入ると意外なほど空いていました。二組が食事をしていただけで、南から日が差している窓の前が1ヶ所空いていたので、そこに荷物を下ろしてランチにしました。ちなみに、トイレは使えましたが、水洗トイレはもう閉鎖されていて、汲み取り式の個室がひとつ使えるだけです。冬期はずっとこの状態です。ペーパーは備え付けがありましたが、念のため持っておいたほうがよいかと思います。
ランチのときにソフトシェルジャケットを脱いでみると、けっこう汗で湿っていました。昨年あたりから気になっていたのですが、バーグハウスのジョラスソフトシェルジャケットは生地の厚さがそこそこあるためか、行動中に着っぱなしだと汗を吸ってわりと濡れてしまいます。汗をかきにくい厳冬期でもこの傾向は変わらないので、冬季の行動着としてはあまり具合がよくないという気がしてきました。まあ、今季はあたらしく買ったマムートのソフテック グラナイトハイブリッドジャケットやマーモットのアイソザムフーディーがあるので、比較しつつ使ってみようと思います。今までのところ、汗抜けについてはマムート、マーモットともにジョラスソフトシェルジャケットよりは優秀だと感じてます。
ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。


ランチ休憩を終えて外に出ると、入口前の温度計は約3度を差していました。数字だけ見るとけっこう寒い気温ですが、風があまりなく日差しもあるので、日向にいる限りは気温ほどの寒さは感じません。

小屋の前から三鈷峰がきれいに見えていました。背後の甲ヶ山や矢筈ヶ山にはまったく雪がないのに、三鈷峰からユートピアにかけての山肌にはけっこう白くなっていました。とくにユートピア小屋下の尾根斜面の白さが目立ちます。

山頂付近も日当たりがいいのにたくさんの雪が残っていました。

12:49 弥山山頂です。弥山に登ったのは2015年12月23日以来なので、ほぼ1年ぶりです。冬季以外で弥山に登るのは、2013年10月以来になるので、3年ぶりというわけです。その間、三ノ沢経由で剣ヶ峰などには何度か登っていたものの、人の多い夏山登山道と弥山にはどうしても足が向かなかったというわけです。

日当たりのいい南壁は、さすがに雪はほとんど残っていません。

西向きの槍尾根斜面は、少し雪が残っています。

頭上からブーンという音が聞こえたので見上げてみると、モーター付パラグライダーが頂上よりも高いところに浮かんでいました。

気持ち良さそうですが、やってみたいとは思いません。

遥か南の方角にひときわ高い山波が見えていましたが、方向的にも距離的にもおそらく剣山のあたりだろうと思いますが、同定することはできませんでした。

さらに右手、南西の方角にも同じような山波が見えました。こちらは石鎚山系ではないかと思われます。

13:15 山頂からの展望をひととおり楽しんだら、そろそろ下山の時間です。

海に近い伯耆大山の魅力は、眼下に青い日本海が広がっているこの風景かもしれません。カタパルトのような木道を歩いていくと、まるで海に向かって滑空していくような爽快感があります。

山頂から木道を下っていきますが、しばらくは雪や氷もなくまったく問題ありません。

しかし、キャラボク林の中を通るようになると、日陰になるところに融けて凍結した雪が残っていて、滑らないように慎重に足を運びます。

頂上台地の縁から眺める北壁には、まだたくさんの雪が残っていました。

弥山の上には、まだパラグライダーが浮かんでいます。

頂上台地から尾根道を下るようになると、日陰が増えて凍結箇所が多くなってきました。とはいえ、ツルツルで歩けないというほどでもないので、登山靴のままゆっくりと下ればなんとかこなせました。

13:56 6合目まで来るとさすがに凍結箇所はなくなりました。ひとまず荷物を下ろして休憩しました。いつも混雑している6合目ですが、今日は誰もいません。

14:16 五合目で立ったまま少し休憩をとりました。この時点でまだ登ってくる人がちらほらいるのが驚きです。

14:30 三合目を通過します。

14:57 阿弥陀堂前まで降りてきました。ここまで来たら下山したも同然です。

登山口の手前で横手道へと左折します。

苔むした石垣の道を抜けていきます。この道を歩くのは初めてのことなので、けっこう新鮮でした。

15:21 そのまま横手道を歩くと駐車場所を通り過ぎてしまうので、途中から車道を歩いて戻ってきました。
正面登山道は思っていたよりもずっとまともな道でした。今の伯耆大山には夏山登山道がほぼ唯一の登山道となっていて、過密化しているしダメージで大きく掘れている場所もあるので、正面登山道を復活させてもいいのではないかという気がします。まあ、環境問題などで異論もあるかもしれませんが、過密化する夏山登山道から登山者を分散できるし、夏山登山道と正面登山道を使うことで周回できるので、そのぶん山の楽しみ方も増えていいのではないかと思うわけです。登山道が複数あれば、それぞれ登ってみたいと思うのが登山者の性なので、リピート率も増えて経済効果もあがるだろうし、そのあたり検討してみる価値はあると思います。
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| 2016年12月 大山正面登山道 | 22:25 | comments:2 | trackbacks(-) | TOP↑