ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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2010年10月 黒部源流秋の山旅 vol.9 黒部源流の紅葉(下山)

槍方面星景写真
 8日の朝3時に腕時計のアラームがなった。布団を抜け出して談話室の窓から外を見ると、昨日に続いて満天の星空が広がっていた。体を目覚めさせるために紅茶を一杯飲んで外に出た。三脚は剛性がいまいち十分でないスリック スプリントプロなので、脚を2段のみ伸ばした状態でセット。昨日のピン甘写真を反省し、ピントをしっかり確認して撮影開始。ひとまず真っ暗で何も見えない槍ヶ岳方面にレンズを向けて撮影してみたが、どうやら槍ヶ岳は雲の中らしくて写真にはシルエットすら写らなかった。ただ、ラッキーなことに中央左上に流れ星が一筋尾を引いているのが写っていた。

鷲羽方面星景写真
 槍ヶ岳がだめなら目の前の鷲羽岳ということで、カメラを鷲羽岳に向ける。昨日同じようなアングルの写真を撮っているので、今日は趣向を変えて星を流した写真にしてみた。鷲羽岳の上空には北斗七星が輝いていて、あまり流しすぎると星座の形がわからなくなる。ほどほどのところで480秒の露光にしてみた。ちょうど鷲羽岳の向こうから飛行機が飛んできたので、赤い点線がレーザー光線のように星の軌跡の中を一直線に横切っていいアクセントになったと思う。

三俣山荘の星景写真
 東の空が明るくなり始めたので、最後のカットとして三俣山荘を入れた西の空を撮影した。天の川がきれいに写るかどうか心配だったが、なんとかわかる程度には写っていた。山荘の窓も白とびしないでいい感じに室内の雰囲気を出すことができた。本当はソフトフィルターを使って明るい星をわずかににじませてやったほうがいっそう星空の雰囲気がでるのだが、今回は持ってこなかったのが悔やまれる。

スパゲティ・トマト&マッシュルーム
 東の空がすっかり明るくなったが今日も朝焼けになりそうな雰囲気はないので、山荘にもどって朝食にした。最後の朝食はエスプレッソパスタのスパゲティ・トマト&マッシュルーム。昨日のチーズ&ブロッコリーもよかったが、こちらもなかなかおいしい。今後は定番決定。

湯俣川源流の紅葉写真
 食後に窓から外を見ると、みごとな青空が広がっていた。昨日の朝よりも雲がなくすっきりと晴れ上がっていた。このまますぐに下山してしまうのはあまりにももったいないので、カメラを持って外に出た。快晴の空に小さ雲ができたと思ったら、槍ヶ岳の上空でその雲はぐんぐん大きくなり、レンズ雲のような形になった。斜面の紅葉に日が当たりなかなかいい雰囲気になってきたので、伊藤新道にもう一度降りて写真を撮った。

 山荘に戻っても天気はまだ崩れる様子もない。ここは無理してでも黒部源流の紅葉を撮りに行かないと、こんなチャンスはめったにない。下山が遅れるとちょっとつらいが、下山に8時間かかるとして10時に出ればぎりぎりなんとかなる。左俣林道に暗くなる前の18時ごろまでに出られれば、あとは真っ暗になっても林道歩きなので大丈夫。7時過ぎに山荘を出発して急ぎ黒部源流に下った。

黒部源流の紅葉写真2
 予想通り、朝日を浴びてダケカンバの黄葉がまぶしいぐらいに輝いていた。鷲羽岳の西斜面はまだ暗いので、そのコントラストがさらに鮮やかさを強調している。

黒部源流の紅葉写真1
 やがて黒部源流の谷に日が差し始めて、鷲羽岳山腹に広がる黄葉したダケカンバの森全体が浮かび上がってきた。

黒部源流のナナカマド
 水源地標近くのナナカマドは以前にも二度撮影しているが、こんなに葉が残っている姿を見たのは初めてだ。青・白・黄・赤・緑と見事な色彩にあふれた源流の谷にいると、自然はなんてカラフルなんだろうと思う。都会の繁華街にあふれるけばけばしい色と違って、自然の色は気持ちを和ませてくれる。

黒部源流から見る紅葉の黒部五郎岳
 源流から見る黒部五郎岳の山頂部も草黄葉に覆われて秋の色だ。このままもう少し上流部まで行ってみたいところだが、すでに時間は9時ちかくになっていた。登りに30分、準備に10分としてもそろそろ引き上げないといけない時間だ。後ろ髪を引かれる思いで撮影を中止し、三俣山荘に向かった。

 山荘に戻って見ると、当然ながらすでに宿泊客は誰もいなかった。部屋の掃除もすでに終わったらしくて、こざっぱりした部屋の隅っこに自分のザックだけがぽつんと残っていた。カメラとレンズをザックに積め、パッキングを終えて玄関で靴を履いていると通りかかった男性スタッフが声をかけてくれた。

「出発ですか?」
「ええ。荷物を置きっぱなしにしていてすいませんでした。天気が良いので黒部源流まで行って写真とってました。」
「いえいえ、ぜんぜん大丈夫です。いつもなら9月下旬には紅葉もおわりになるんですが、今年は遅いですね。」
「そうですね。何度か来てますが、今年が一番紅葉がきれいなタイミングで来られました。」
「そうですか。来年もまた是非いらしてください。」
「はい。またお邪魔させていただきます。どうもお世話になりました。」
「お気をつけて!」

スタッフに見送られて10時に三俣山荘を出発した。ここから新穂高温泉まではおおよそ8時間。長い道のりだ。

鷲羽岳と三俣山荘
 テント場を抜けて30分ほど登ったところで振り返ると、ハイマツの中に真っ赤に色づいたナナカマドが鮮やかで、眼下の三俣山荘の赤い屋根と背後の鷲羽岳とのコントラストもよく、なかなか絵になる光景だった。

下山時の三俣峠
 三俣峠に着いたのは11時。ほぼコースタイムどおりだ。三俣蓮華岳ピークから双六岳への稜線を結ぶルートにしようかと迷ったが、雲も多くなり徐々に展望が利かなくなりつつあったので、いつもどおり巻道を選んだ。双六側の分岐についた時点で槍ヶ岳が良く見えている状態なら、荷物をデポして双六岳に登って写真を撮ることにした。双六岳の広い台地越しに夕日に染まる槍ヶ岳を一度見てみたいというのがその理由だ。その場合はもちろん双六で宿泊することになる。そのうち、双六小屋と笠が岳山荘に連泊しながら、樅沢岳や双六岳、笠ヶ岳から槍ヶ岳を撮影するような山行をしてもいいかなとも思う。

三俣峠からの下り
 三俣峠から下り始めると、空はますます雲が多くなってきた。それでも槍ヶ岳はまだはっきりと見えていた。昨日までは午後近くなると雲に巻かれていたので、今日はまだましなほうだ。しかし、時間が経つにつれて槍の穂先が雲に隠れるようになった。天気予報の通り、天気はどんどん下り坂になっているようだ。

樅沢源流の紅葉
登山道から見下ろす樅沢の紅葉は、1週間前にここを通ったときよりもかなり進んだようだ。

巻き道から見た双六岳
登山道は双六岳のピークを正面に見ながらたんたんと上を目指す。

巻き道の紅葉
このあたりも入山時よりナナカマドの赤が多くなったように感じた。

巻き道の登り坂
 最後のきついのぼりが近づいてきた。これを登りきれば道はほぼ平坦に近くなり、やがて双六の分岐に着く。

チングルマの秋穂
 登り坂をこなして平坦な道になると、登山道脇にチングルマの秋穂を見つけた。そういえば今回の山行ではあまりチングルマの秋穂を見かけなかった。たまたま歩いたルートがあまりチングルマのない場所だったのか、それとも今年は猛暑の影響か何かで少なかったのだろうか。いやいや、黒部源流でもいつも真っ赤なチングルマの群生を見ていたが、ことしは目に付かなかった。やっぱり今年は少なかったのではないか。

下山時の双六分岐
 そんなことを考えながら歩いているうちに双六の分岐に着いた。時間は12時45分。三俣山荘から2時間45分だから、コースタイムよりちょっと遅いぐらいだ。双六岳に登るかどうかだが、晴れていれば樅沢岳の上にちょこんと頭を見せる槍ヶ岳はぜんぜん見えない。空は一面の雲で、西のほうは黒っぽい。写真を撮るような天候ではないと判断して、双六岳登頂は中止にした。

双六登山道から双六小屋を見下ろす
 やがて斜面のはるか下に双六小屋が見えてきた。正面の樅沢岳は案外くっきり見えていた。

双六のうどん
 13時に双六小屋に着いて、すぐにうどんを食べる。途中でお昼をどうするか考えながら歩いていたが、うどんか、行動食か、悩んだ挙句うどんになった。なんで悩んでいたかというと、関東風醤油出汁のうどんが出てくるといやだったからだ。やっぱりうどんは関西風の出汁に限るのだが、結局寒さに負けてどっちでもいいから温かいものが食べたいということでうどんを注文した。幸い出汁は関西風だった。具もしいたけやワカメなどしっかり入っていておいしかった。外のベンチで食べるつもりだったが、妙に寒かったので玄関内の隅にあるベンチで食べさせてもらった。

転倒したテント
 30分のお昼休憩の後、双六小屋を出発。テント場の横を通るとテントがひと張りひっくりかえっていた。”テントが転倒してる!”などとつぶやきつつよく見てみると、どうやらペグで固定しないでロープで石にくくりつけていただけのようだ。風のきつい双六のテント場でそれは通用しない。テント内に荷物が残っているようなので飛んで行かずにすんだようだが、これが稜線上のテント場だったら絶壁のはるか下に落ちているかもしれない。テント泊の場合は要注意だ。

双六から下山時の登り
 双六池の先から緩い登りが始まる。石段のようなルートなので案外歩きやすいのだが、このまま弓折乗越の手前までだらだらと続くのでそれなりに疲れるルートでもある。

晩秋の双六谷
 双六谷の紅葉はすっかり葉を落として晩秋の姿に様変わりしていた。

花見平
 だらだらとした登りをこなして、14時20分にやっと花見平まで来た。これでやっと登りが終わった。

花見平のベンチ
いつの間にかあたりはガスに包まれて、花見平のベンチも寒々しい。休憩する気にもなれず、そのまま弓折乗越を目指す。

弓折乗越のベンチ
 花見平から10分ほどで弓折乗越に着いた。ここもやっぱりガスの中で、人の姿もない。ベンチで休憩をとっていると、双六方面から登山者がやって来た。出発時間がだぶると嫌なので、彼らが到着して荷物を降ろしたのを見計らって出発した。

紅葉の鏡平
 40分ほどかかって鏡平まで下りてきた。小屋の前のナナカマドがかなり色づいていた。1週間で季節は着実に進んでいた。時間は15時20分。鏡平からわさび平まではまだ3時間かかる。このまま行けば林道に出る前に日没だ。ただし、秩父沢から下の登山道はかなり整備が進んでいて、ヘッドライト頼りでもそれほど危険はないだろう。そうはいっても、疲労感はかなり強くなっていた。軽い脚の痛みもある。とりあえず、チョコレートなど食べて栄養補給し、アミノバイタルも飲んでみる。外のベンチにいると寒くなるので早く決断しないといけないと思いつつ、トイレに行く。

 小屋の裏にある登山者用トイレに行くには、小屋の周りをぐるっと歩くのだが、いつも人の入っていない別棟に大勢の人が居た。山荘の大部屋にもたくさんの登山者がすでに入っている。空いている布団もあるので定員オーバーという状況ではないようだが、それでもこれだけ人数がいると必ず大いびきをかく人が何人かいるはずだ。あまり快適な宿泊になりそうにもないので、この時点で下山を続行することにした。

 ザックを整えて出発しようかと思った矢先に、雨がポツリポツリと落ちてきた。やはり来たか、と思いながらササッとレインウェアを着る。まだぽつぽつ状態なので、ゲーター(スパッツ)はやめにした。雨が落ち始めたので、カメラもザックの中にビニール袋に入れてしまいこんだ。そのため、山行記録用の写真はこれにておしまいだ。

 ザックを担ぐと、なんとか行けそうな気がした。木道の上をさくさくと歩き出す。当然、他には誰も歩いていない。鏡池の横を通るとき槍ヶ岳方面を見たが、山腹が一部見えていただけで、すっかり雲の中だ。池の周囲の紅葉がかなり進んでいただけにもったいない。

 木道が終わり、登山道にさしかかる頃には雨は止んでいた。それほど暑くもないのでそのまま下山する。途中で、双六小屋オーナーの小池氏らしき人物と一緒になった。そういえば何処かで見たような顔だし、双六小屋で休憩中にスタッフに見送られて出発していたっけ。ラムダのカメラザックを背負っていたので、てっきりプロか常連の写真家だと思っていた。それにしても下山スピードがやたらと速くとても一緒に下ることはできないので、道を譲って先に行ってもらった。けっこうな高齢だと思うが、さすがに山小屋の親父は鍛え方が違うと感心した。しかし、よく考えてみれば、相手は双六小屋からで荷物もそれほど重そうではない。こちらは三俣山荘からだし、荷物も重い。そのうえすでに12時間も行動している。脚がへたっているのは当たり前。その証拠に途中で2回追いつくことになり、抜きつ抜かれつになってしまった。

 16時にシシウドヶ原に着いた。このときすでに脚に痛みを覚えていたので、ベンチで10分ほど休憩する。ふくらはぎをもんだりしたが足の裏から痛みが広がる感じなので、あまり効果がない。靴を脱いで足の裏をマッサージすればいいのだろうが、脱いだり履いたりするのが面倒なほど疲れていた。

 なんとかストックにすがりながら下山を続け、秩父沢には17時に着いた。あたりはかなり薄暗くなっていたが、まだライトが必要なほどではない。あまり長い休憩をとると真っ暗になってしまうので、15分の休憩で出発した。途中で暗くなってもいいように、ヘッドライトを装着しておく。

 道の状態がぎりぎりわかるぐらいの青い闇に包まれるころ、待ちに待った林道に出た。時間は17時50分。幸いライトを使わないで林道まで出てくることができた。ずっと先に行ってしまったと思っていた小池氏のヘッドライトが林道の先に見えたので、案外大差はつかなかったようだ。時間にして数分の違いだろう。

 18時10分にわさび平に着いたときは、へろへろの状態だった。おなかも減っていたので、残っていた行動食をむさぼるように食べた。少し前に到着したオーナーの小池氏は、ここから車で下山するらしく、小屋のスタッフが裏から車を回してきた。ひとつ前の型のレガシーアウトバックだった。2つ前の型のレガシーランカスター(現アウトバック)である自分の車と同じで、なんとなく親近感。新穂高までのせてもらえるよう頼んでみようかと思ったが、すぐに出てくる気配はない。

 いつまでも休んでいられないので、出発することにした。少しでも荷物を軽くするために、水はすべて捨てた。歩き始めると、一足踏み出すごとに足に痛みが広がる。針の山を歩いているみたいな感触で、登山靴に衝撃吸収素材のインソールを使う前に味わったことのある痛みだ。インソールを入れ替えてからは足が痛くなることはなかったのだが、さすがに行動時間が15時間近いのでインソールだけの問題ではないのだろう。そういえば、12時間以上行動したのはこれが初めてだ。

 途中で、後ろから車がやってきた。当然、小池氏のものだ。こんな真っ暗な林道を一人で歩いている登山者を見て「乗っていけ」なんて言ってくれちゃうかも、と淡い期待をもちつつ道の端によけたら、そのまま素通り・・・・  おい! 山小屋の親父としてそれはねーだろー!! もうこのルートも双六グループの小屋も使ってやらねーぞ!!! などと悪態をつきながら、車の後を追ってとぼとぼと歩く。

 闇の中をひたすら歩き続けて、やっと新穂高温泉の明かりが見えはじめた。登山指導センターに到着したのは、19時50分頃だった。指導センターで下山届けを出し、しばらくベンチに寝転がっていた。自販機で温かいレモンティーを飲んだら少し元気が出て、駐車場までの数百メートルをなんとか歩ききった。登山靴を脱ぎながら、もうこんな無茶な下山はやめようと心に誓ったのだった。

 なお、今回の山行で岡山-新穂高温泉間の走行距離は1360km、ガソリン消費量は88リットル、平均燃費は15.5kmと、フルタイム4WD 排気量2.5リットルのレガシーにしてはいい燃費だった。

 長い山行記録を飽きもせず読んでいただき、どうもありがとうございました。中身はともかく、長文ご苦労!と思ったら、どうぞ下のランキングボタンをぽちっとしてやってくださいませ。
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| 2010年10月 黒部源流 | 03:25 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2010年10月 黒部源流秋の山旅 vol.8 黒部源流の紅葉(湯俣川源流部)

 7日の朝は3時に起床。外を見ると予想どおり満天の星空だった。昨日の残りのピリ辛高菜入りとんこつラーメンを食べて、4時前にカメラを持ってテント場から少し上の開けたところに出かけた。ちょうど黒部五郎岳への巻き道分岐のあたりは、ハイマツもなく星景写真を撮るには都合がいい。このあたりもテント場になっているので、テントがひと張り設営してあった。下のほうが混んでいたわけでもないのに、よっぽど静かな環境で寝たかったのだろう。

星景写真1
 テントにはまだ明かりが灯っていなかったので、起こさないように30mほど離れた場所でカメラを三脚にセットして、星景写真を撮影し始めた。今回超広角レンズは割愛したので、撮影は標準ズームの広角端28mm。設定はいつものようにISO1600・F2.8・シャッター速度30秒で一枚撮ってみた。EOS 5Dは古い機種なのでライブビュー機能がなく、こういう暗闇でピントを合わせるのはかなり困難だ。レンズの無限遠マークにあわせるにしても、ズームレンズの場合必ずしも指標の位置と無限遠マークの位置が合致しない。月や遠方の山小屋の明かりなどがあれば、それでピントを合わせればいいのだが、この日は月もなく山小屋もすぐ近くの三俣山荘の明かりしか見えなかったのでAFは無理だった。はるか遠方にピントを合わせたとき無限円マークの右か左のどちらかに少しずれるというのは覚えていたものの、どっちだったか定かでない。寝る前に確認しておけばよかったのだが、うっかりしていた。

星景写真2
 とりあえず両方の位置で撮影してみたものの、ファインダーで識別できるはずもない。撮影画像を拡大して確認してみても、モニター性能も一昔前のもので解像度が低く、ピントが合っていないのかモニター解像度が悪いのか判然としない。こういうときに古い機種のネガティブ面が出てくる。そうかといってEOS 40Dで撮ると、28mmが45mm相当の画角になってしまうので、山のシルエットと星空を絡めた星景写真には画角が狭すぎて話にならない。やっぱり、最新の5DmarkⅡがほしいと思った。

 なんとなくピントがいまいちで不本意な状況のまま何枚か撮影しているうちに空が白んできたので、撮影は終わりにしてテントに戻った。あらためて見ると、ソフトフィルターも使っていないので星の光の雰囲気も出てないし、いい写真じゃないなと反省。

 体が冷えたので温かい紅茶を飲みながら、東の空の様子をときどき確認していたが、朝焼けにはなりそうになかったので日の出までテントでゆっくり過ごした。

湯俣川源流の紅葉1
 日の出の頃に三俣山荘の前まで行ってみたら、湯俣川源流部の紅葉が朝日に照らされてものすごくきれいだった。2004年の秋に山荘前から何枚か撮影したことがあるが、この場所の紅葉を本格的に撮影したことはなかったので、撮影してみることにした。幸い槍ヶ岳も姿を見せていて、背景としても申し分ない。

湯俣川源流の紅葉4
 湯俣川源流部の紅葉を撮影するには、今は廃道になっている伊藤新道を下っていく。

湯俣川源流の紅葉6
 廃道といっても、鷲羽岳の山腹から分岐してしばらく先までは通行するのに支障はない。いいアングルを探しながらのんびりと下っていく。

伊藤新道崩落場所1
 しばらく行くと、半分崩壊しかかったような場所があったが、ロープも張られていたので、先に進んでみた。小さな谷筋を越えて反対側の尾根を越えたところで、今度は本当に登山道が崩落していた。

伊藤新道崩落場所2
 それほど急傾斜というわけではなく、登山道は崩落した部分から少し下で先に伸びているのがわかった。降りて降りられないわけではなさそうだったが、登ってくるときに手がかりになるものが何もないので、先に進むと戻ってくるときに大変なことになりそうだった。三俣山荘のHPで、第二庭園と言われる場所が伊藤新道の途中にあり、ナナカマドやカエデの紅葉が美しいと書かれていたのでせめてそこまで行きたかったのだが、これ以上先に進むのは断念して引き返すことにした。

湯俣川源流の紅葉5
 帰り道も撮影しながらのんびりと歩いていたが、いつの間にか雲が多くなり、日差しがさえぎられる時間のほうが増えてきた。天気がよければもう一度黒部源流に下って撮影しようと考えていたが、昨日と同じ状況では意味がない。

チーズスパゲティ
 テントに戻るとちょうどお昼前だったので、食事にすることにした。ちゃんとしたお昼をとるのはこの山行では初めてのことだ。今回初めて買ってきたエスプレッソパスタのチーズ&ブロッコリーというスパゲティを作ってみることにした。中身は、粉末のソースと乾燥パスタが一緒くたになったもので、お湯を沸かして中身を全部入れて水分がなくなるまで煮込めば出来上がりというものだ。

チーズスパゲティ完成
 かなり水分が減ったところで麺が柔らかくなり、これ以上煮込むとふにゃふにゃになりそうだったので火を止めた。パッケージの写真のようにお皿に盛って食べるというより、ほとんどスープスパゲティ状態だった。ただし、見た目は朝食べたとんこつラーメンとそっくりで、「朝と同じじゃねーか」と思いながら食べてみると、味はけっこういけていた。こってりとしたクリームソースはチーズのうまみがあって、ブロッコリーの食感もある程度残っていてかなりおいしい。オススメの山食だ。

 食事の後、お茶を飲みながらどうするか考えた。天気予報では明日8日の午後から天気は下り坂になると言っていた。8日の夕方からは雨になる可能性が高いらしい。そのまま連休中は天候がよくない状態が続くとかで、9日まで居てもあまりすることはなさそうだった。下山する日の朝に雨が降っているとテントを撤収するのが面倒だし、秋雨の中長時間歩いて下山するのはあまりうれしくない。過去に何度も経験しているから、そのつらさは身にしみている。ということで、明日下山することにした。今回は水晶岳にも登れたし、そこそこ紅葉の写真も撮ったので、まあいいかという感じだ。

 そうと決まれば話は早い。テントを撤収して三俣山荘に泊まることにした。明日の朝は雨になる可能性は低かったが、念のためという気持ちに加えて最終日ぐらい布団でゆっくり寝たいという気持ちが勝ってしまった。

三俣山荘大部屋
 パッキングを済ませて三俣山荘にチェックインしたのは、14時過ぎ。先客は一人だけだった。午前中の好天時に山荘前のハイマツに毛布や布団がたくさん干してあったが、ラッキーなことに干したばかりの布団に寝られる。布団をセットしているとき、毛布のからっとした手触りが心地よかった。

三俣山荘談話室
 外はすっかり曇り空になっていたので、夕方まで談話室で本を読んで過ごした。山岳救助ボランティアが主人公の漫画「岳」の3巻だけが置いてあったので、それを手始めに「山と渓谷」や写真集など数冊を読み終えたころ、17時になった。

 他の宿泊客は5名ほどに増えていて、みんな食事に食堂に行ってしまった。ひとり自炊場でカレーを作る。1パック残っていた山岳グルメの野菜カレーだ。双六のテント場で作ったときは水が多すぎて失敗したので、今度は水を少なめに作ってみたら、逆に水が足りない状態になってしまい、結局水を足すことに。何がちがったのだろうか。双六の時は乾燥野菜がいまいち戻りきれていない雰囲気だったので、火を止めるのが早すぎて野菜が水を十分吸収しきれなかったのかもしれない。

7日夕食
 ということで、今回はけっこうおいしく作ることができた。しかし、この乾燥野菜、ジャガイモが主のようだが、いくらちゃんと戻しても切干大根のような食感でお世辞にもおいしいとは言いがたい。価格も高いし、今後はアマノフーズの瞬間美食だなと思った。

 明日の朝、もし晴れていたらもう一度星景写真を撮ろうと思い、目覚ましを3時にセットした。この日の夜は寒さを気にすることもなく、暖かな布団の中で快適に眠れたのは言うまでもない。


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| 2010年10月 黒部源流 | 17:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2010年10月 黒部源流秋の山旅 vol.7 黒部源流の紅葉(岩苔乗越~三俣山荘テント場)

黒部源流の水場
 岩苔乗越から下り始めてすぐに、「黒部源流 水場」と書かれた板切れが登山道上に置かれていた。10mほど離れた沢のほうに踏み跡をたどっていくと、清流が流れ落ちていた。以前はこんなところに水場が設けられていなかったはず。適当に沢に下りて水を補給していたが、いつの間にか水場として整備されたらしい。といっても踏み跡が沢に続いているだけの話だが。水晶岳山頂で水は飲み干していたので、ここで補給する。冷たく純粋な味の源流の水はうまかった。たっぷり飲んで補給したら、再び先を急ぐ。

黒部源流の黄葉
 20分も下ると次第に紅葉した木々が目立つようになってきた。登山道脇には鮮やかに紅や黄色に色づいたナナカマドがあったりして、目を楽しませてくれる。下っていくにつれて背の高い木々も増えて、ますます秋の気配が濃厚になっていった。

黒部源流分岐路標示
 14時15分に黒部源流部 雲ノ平への分岐路に到着。写真を撮りながらゆっくり下ってきたせいで、かなり時間を費やしてしまった。おなかも減ってきたので、小休止にする。岩苔乗越からここまでですれ違ったのはたったの一人だけ。静かな山旅だ。空には雲が多くなり、曇空の様子になってしまったが、時折雲間から日が差して紅葉した木々を鮮やかに浮かび上がらせていた。

 この時点で山行記録用に使っていたコンデジの電池が完全になくなって撮影不可能になってしまった。仕方がないので、記録用も一眼レフで兼用にする。しかし、記録用写真までフル解像度のRAWで撮影していてはメモリーカードの容量が足りなくなりかねない。そこで、記録用の写真のみJPEG・Sファイン画質で撮ることにした。コンデジの電池は、結局200枚程度の撮影能力しかないらしい。多少寒さで少なめになっていたのかもしれないが、長期の山行では予備電池が必要であることがわかった。一眼レフで兼用にしてしまえばいいのだろうが、移動途中に一眼レフを首からぶら下げておくのもけっこう邪魔くさいし、星景写真など撮影すると電池の消耗が激しいので、あまり記録用の写真に使いたくないということもある。行動中にさっととりだしてすぐ撮影できる点では、コンデジのほうが使い勝手がいいのも事実だ。

黒部源流水源地標
 雲ノ平への分岐から三俣山荘方面にすこし行くと、黒部川水源地標がある。ちょっとした広場状のところに無造作に地面に埋め込まれた石標だが、水源地とするのであればもう少し上流でもいいのではという気もしないでもない。おそらく、この谷のここから上流部全体が水源地という意味なのだろう。

黒部源流部の紅葉風景
 この水源地標のあたりはひろびろとした谷あいの草原のような場所で、鷲羽岳山麓の紅葉が美しい。

黒部源流から下流方面の紅葉
 源流の谷の下流方向には黒部五郎岳も見えているはずだが、あいにくこのときは雲に覆われてその姿は見られなかった。

黒部源流ダケカンバの森1
 三俣山荘へ戻る道沿いにはダケカンバの森があって、黄葉も今が盛りの様子だった。

黒部源流ダケカンバの森2
 秋の山行でここに来るときはいつも9月下旬に来ていたが、その時期だとこの森は葉を落としてしまっていることが多かったのだが、これほど見事に黄葉している状態を見たのは初めてかもしれない。

黒部源流を見下ろす
 少し登ると、ダケカンバの森と源流の様子が良く見えた。晴れていたらさぞや美しい光景が広がっていただろうことを想像すると、残念な気持ちになった。

黒部源流から三俣山荘への道
 ダケカンバの森を抜け、開けた沢筋にそって岩だらけの道を登ると、

三俣テント場
30分ほどで三俣のテント場に到着だ。水源地標のあたりでも撮影に時間を使ったので、テント場に到着したのは15時30分になっていた。荷物を置いて、山荘まで今日のテント場利用の申込みに行く。

 水晶岳に登山した昨晩の宿泊者はすでに誰もいなかった。日帰りで水晶岳に行くのだから連泊するのだろうと思っていたが、どうやら他の小屋へ移動したらしい。昨晩、ストーブを囲んでわずか1時間程度話をしただけだが、単独行の山旅ではその会話がうれしくもあり温かくもある。まして、同じように水晶岳の頂を踏んでかえってきた人とは、なんとなくその日のことを思い出しながら話したいという気持ちがあった。談話室のストーブはすでについていたが、誰もいない談話室は昨日と比べて少し寒く感じた。無人の談話室でしばらくストーブで暖を取った後、テントに戻って夕食にした。

10月6日の夕食
 今晩は牛丼だ。カレー、中華丼、牛丼と似たようなものばかりだが、山での食事はこんなもんだ。カレーのレトルトパックは210gというのが一般的で重いのだが、牛丼は130g程度なので軽い。カレーはドライフーズにして、牛丼などはレトルトパックというのが荷物の軽量化にはいいようだ。

雲に巻かれる鷲羽岳
 食後に、山荘の談話室でテレビの天気予報を見ようとテントを出ると、鷲羽岳は雲に巻かれはじめていた。天気が崩れるかと心配したが、天気予報では明日の夕方も好天に恵まれるとのことだった。おそらく夜半には雲が消えて満天の星空になるだろう。であれば、少し早起きして星景写真でも撮影してみようと決めて、眠りについた。



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| 2010年10月 黒部源流 | 16:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2010年10月 黒部源流秋の山旅 vol.6 水晶岳アタック2(水晶小屋~水晶岳山頂~岩苔乗越)

水晶小屋前の登山道
 水晶岳への道は、水晶小屋のすぐ上にある小ピークを越えてゆく。小屋の前から斜面をトラバースするルートがあったようだが、今は植生保護のため通行禁止になっている。

 小ピークの上に出たところで三俣山荘で会ったご夫婦に出会った。すでに山頂を踏んでかえってきたところだ。「ずいぶん速いですね」と言うと、「朝4時に出たからね」という返答。脚が遅いので早出したとのことだが、少なくとも真っ暗な山中を1時間はライトだけを頼りに歩いたわけで、その根性に脱帽だ。

水晶岳への稜線上ルート
 小ピークを越えると、なだらかな稜線上のルートが水晶岳へと延びているのが見えた。山頂部分のみ大きく張り出した岩峰になっているようで、簡単にピークを踏ませてくれるわけではなさそうだ。

東沢の紅葉
 進行方向右手、稜線の東側にある東沢の源流部も美しい紅葉に彩られていた。この川がやがて黒部川と合流し、そのすぐ先に黒部ダムがある。

水晶岳山頂部の岩峰
 稜線上の道を進んでいくと、山頂部の岩峰がしだいに大きくなってきた。雲ノ平から見た水晶岳の山頂部はちょっとした出っ張りに見えたが、近くまで来てみるとけっこう高さのある岩峰だ。まさかこれをよじ登ってあのぎざぎざの山頂に沿っていくのかと思ったら、一番左にある肩のようなところから反対側に乗越せば巻き道があるらしい。

岩峰への取り付き部
 いよいよ山頂の岩壁に取り付く。このルートで唯一の梯子がある場所だ。長さは5m程度しかないし、それほどの絶壁でもないので恐怖感はほとんどない。梯子の上にいるのは、これまた三俣山荘でお会いした単独行の年配男性だ。彼のペースもとくに速いわけではなく徐々に差は詰まっていたが、こちらも写真を撮りながらのんびり歩いているせいでさっぱり追いつかなかった。

岩苔小谷を見下ろす
 梯子を越えて稜線を乗越て見ると、眼下にはすっぱりと切れ落ちた崖がはるか下の岩苔小谷へと続いていた。標高差はおよそ600m。岩壁ではないので案外高度感がないが、それでも多少は背中にひやりとするものを感じる。

水晶岳山頂へと続く道
 登山道は急斜面をトラバースしながら山頂へと続く。それにしてもよくもこんな場所に道を切り開いたものだと感心する。

水晶岳山頂直下
 慎重に足元を確かめながら歩を進めていくと、やっと目指す山頂が見えてきた。

水晶岳山頂
 そして、ついに登頂! 2010年10月6日午前10時。三俣山荘からほぼ予定通り4時間の行程だった。2003年に初めて雲ノ平を訪れて以来、今度来た時には登ろうと思いつつはや7年。この山域を訪れること9回目にして、黒部源流部の最高峰水晶岳の頂にやっと立つことができた。しかも天気は最高で、眺めも抜群だ。

水晶岳山頂記念写真
 先に到着していた単独行の男性が「シャッター押しますよ」と声をかけてくれたので、めったに撮らない記念写真を撮ってもらった。ザックにぶら下げた防寒用のレインウェアがちょっとだらしないが、まあよしとしよう。

水晶岳山頂の様子
 山頂は岩だらけでしかも狭い。休日などで混雑すると休むこともできないぐらいの広さだが、もともと登山者の少ないエリアの一番奥まったところにあるので、こんなピークでも混雑することはないのかもしれない。

水晶岳南側の光景
 南側にはさっき歩いてきたルートと鷲羽岳・ワリモ岳が左手に、そこから岩苔乗越の尾根でつながった祖父岳が右手に見える。その間に三俣蓮華岳の縞々の山腹が見え、そのまたおくには笠ヶ岳が尖った山頂をちょこんと覗かせていた。

水晶岳北側の光景
 北側には名前の通り赤みがかった山頂の赤牛岳と右手下方に黒部のダム湖が見えた。はじめてみる黒部湖だ。なんだか遠くまで来たなあと感じた。

水晶岳から見た薬師岳
 北西方向には双耳峰である水晶岳のもうひとつのピークの向こうに、薬師岳のどっしりとした姿が見える。この山の頂もまだ未登頂だ。太郎平は何度も通っているのだが、いつも黒部源流部を目指していたので、方向の違う薬師岳に登ろうと思ったことがない。そのうち、立山から縦走してみるのもいいかもしれない。

下山時の水晶岳稜線
 水晶岳からの眺めを楽しみつつ行動食を食べ、30分ほど休憩してから、山頂を後にした。頂上部の険しいルートを無事にこなし、なだらかな稜線上のルートまで降りてくると、次第に雲が広がってきた。あと30分到着が遅かったら、山頂からの眺めもずいぶん変わっていたかもしれない。

雲のかかり始めた鷲羽岳
 水晶小屋上の小ピークまで来たときには、鷲羽岳に雲がかかり始めていた。帰り道は黒部源流部のルートを通る予定だが、その頃に曇ってしまうと紅葉がさえない色になってしまう。できればなんとか夕方まで天気が持ってくれればありがたいが、と思いながら先を急ぐ。

下山時のワリモ北分岐
 11時30分にワリモ北分岐まで戻ってきた。ここから黒部源流の分岐まで1時間ほどだが、空はすでに雲に覆われてた。雨雲という雰囲気の雲ではないので、天気が崩れる心配はなかったが、せっかくの紅葉がぱっとしないのでは写真を撮る甲斐がない。そんなことを思いながら岩苔乗越まで下った。

岩苔乗越
 ワリモ北分岐から岩苔乗越まではわずか10分程度の下り道だが、結構な急斜面をジグザグに下るので、案外歩きにくく脚が疲れる。少し休憩をとろうかと思ったが、天気もいまいちなので、先を急ぐことにした。

岩苔小谷から見た黒部源流部
 岩苔乗越から黒部源流部を見ると、なんとその周辺だけ日が差している。なんとか到着するまで持ってほしいと願いつつ源流に向けて下り始めた。



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| 2010年10月 黒部源流 | 23:39 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2010年10月 黒部源流秋の山旅 vol.5 水晶岳アタック 1(三俣山荘~水晶小屋)

 6日の朝は4時30分に起きた。空はきれいに晴れていて、星がたくさんきらめいていた。星景写真を撮るにはすでに遅い時間だが、夜明けの写真ならまだ余裕がある。まずは食事だ。今日もこりずに朝ラーメンだ。醤油味は昨日で食べてしまったので、こんどは九州とんこつ味だ。ぴり辛高菜入りということで、食べるとじんわり汗が出るほど。寒い朝にはぴったり。

凍ったテント
 体も温まったところでカメラを持ってテントを出ると、テントはびっしりと凍りついていた。昨晩の雨のせいなのか、霜のせいなのかわからないが、フライシート内側の結露も凍っていたので、シートというよりも板に近い状態だった。もしかしたら昨晩よりも寒かったのかもしれない。それにしては、ダウンジャケットやエマージェンシーシートを使わないでも寝ることができたので、やっぱりある程度体が寒さに慣れたということもあるのだろう。

三俣山荘からみる夜明け
 三俣山荘前に行くと、明け始めた空に三日月が細く輝いていた。赤く染まり始めた空に大天井岳から槍ヶ岳への稜線がくっきりとしたスカイラインを刻み、その上には青から紺へと色を変えていく透明な空が広がっていた。真っ赤に焼けた朝焼けもいいが、こういう透明感のある朝の光景はみていて気持ちが澄渡ってくるようだ。なんだか、気分も高揚してくる。

 そうだ、水晶岳に行こう! 雲ノ平や黒部五郎岳のカールで写真を撮るという選択肢もあったが、この朝の光景を見ていると、今日こそは7年越しの水晶岳登頂を果たすべき日であるような気がしてきた。森林限界を超えている山頂部へ行った所でこれといって秋らしい写真が撮れるわけではないが、今日は写真よりもピークハントをしたいという気になった。水晶岳までは片道4時間の行程。6時に出れば10時には着ける。午後から雲が出たとしても10時ならまだ大丈夫だろう。帰りは黒部源流を通ってくれば、紅葉の写真も撮れるし悪くないプランだ。

 夜明けの写真を撮り終えたら、急いでテントに戻って準備をした。ポケッタブルザックを引っ張り出し、水、行動食、レインウェア、カメラ、レンズを詰め込んだ。カメラとレンズはEOS 5D+TAMRON 28-75mmとEF70-200mmだけにして、EOS 40Dは置いていくことにした。山行記録用にはパナソニックのコンデジTZ3を持っていく。水も500ミリリットルにした。鷲羽岳やワリモ岳を越えて水晶岳まで歩いていくにはやや少ない気もするが、気温が低いので夏場のように熱中症を心配しなくてもよさそうだし、帰りの黒部源流で水の補給ができるので少なめでも大丈夫だと判断した。

三俣山荘前
 三俣山荘前で靴紐を締めていると、昨晩山荘の談話室で話しをした岡山から来たという単独行の女性が山荘から出てきた。「気をつけて行ってらっしゃい」といいながら黒部源流方面に歩いて行ったので、水晶岳を目指すわけではなさそうだ。

湯俣川源流の紅葉
 6時15分に出発。山荘から少し歩くとハイマツ帯を抜け、湯俣川源流部を見渡すところに出る。湯股川源流部も見事な紅葉が広がっていた。写真を撮っていると、同じようにソロでテント泊している男性がやってきた。彼もやはり水晶岳を往復するそうだ。彼はこのあと黒部五郎岳から薬師岳を巡って、そこで百名山登頂を達成するらしい。まだ30代前半のように見えるが早くも百名山を登ったというのだから驚きだ。個人的には百名山に興味はないが、最近は百名山ブームで完登を目指す人が多いみたいだ。

鷲羽岳登山道
写真を撮り終えて、鷲羽岳の登りにかかる。

鷲羽岳登山道中間部
はじめは花崗岩が崩壊したような白っぽい砂利道だが、登るにしたがって大きな石が増え、頂上が近くなると岩だらけの崖をよじ登るような道になる。とはいえ、穂高あたりの岩壁をよじ登るような危機感のあるルートではないので、誰でも問題なく登れるだろう。

鷲羽岳途中から見る三俣蓮華岳方向
 振り返れば三俣蓮華岳と三俣山荘が朝日に照らされてきれいに見えている。

黒部源流と黒部五郎岳
 右手に目を転じれば、まだ日の差さない黒部源流の谷とその向こうに黒部五郎岳の姿も見える。

鷲羽岳中腹の初雪
 鷲羽池への分岐が近くなると、なにやら白いものが目に付くようになった。霜かと思ったがどうも様子が違う。そう、雪なのだ。昨晩の雨が山頂付近では雪になってわずかながら積もったらしい。おそらく初冠雪だと思う。さいわい登山道に雪はなく、たいそうな積雪でなくて助かった。

鷲羽池

鷲羽岳山頂直下

鷲羽山頂
 鷲羽池分岐を過ぎて傾斜の緩くなった登山道をひとのぼりすればようやく山頂だ。時間は7時34分だった。

鷲羽岳山頂から南を望む
 三俣山荘から約1時間15分。標高2924mの山頂からは、南に双六岳と笠ヶ岳がくっきり。遠く乗鞍岳と御嶽山も見えている。

鷲羽岳山頂から北を望む
 北は水晶岳とそこに至る裏銀座ルートの稜線が、かなり大きくはっきりと見えた。

鷲羽岳山頂から見る黒部五郎岳
 黒部源流の谷にも日が差し始め、黒部五郎岳の彼方には白山も姿を見せている。

 先行していたソロの男性と少し話をして、一足先に出発した。

鞍部から見るワリモ岳
 鷲羽岳を下り、ワリモ岳との鞍部まで降りてくると、目の前にワリモ岳がどーんとそびえている。見た目ほど時間のかかる登りではないが、なぜか圧倒されてしまう。

 そういえば2009年7月に水晶岳に向かって同じ道をたどったが、この鞍部で立って歩けないほどの猛烈な強風とあまりの寒さに登頂をあきらめて引き返した。あのとき、北海道ではトムラウシ山で大量遭難が起こっていたが、無理して進んでいたらやばいことになっていたかもしれない。

ワリモ岳山頂直下
 風景を楽しみながらゆっくりと道を詰めていくと、岩だらけのワリモ岳山頂が大きくなってきた。

ワリモ山頂のロープ場
 山頂直下では下が絶壁になっている大岩の側面を回りこむ部分でやや緊張を強いられるが、ロープも張ってあるので慎重に行けば大丈夫。

ワリモ山頂
 ロープのある場所からすぐのところでワリモ岳頂上の標示がある。しかし、登山道は山頂直下を巻いているので、本当の山頂は上部に見える岩の上だ。登ることは可能みたいだがわざわざ登ることもあるまいと、標示の先で黒部五郎岳方面の写真を撮っていたら、後ろから来ていたソロの男性が山頂まで登ってそのまま登山道の先に下りて先行したらしい。撮影後歩き始めると、追い抜かれたはずのない彼が先を歩いていてちょっと驚いた。

ワリモ岳から見た水晶岳
 ワリモ岳頂上を回りこむと、もはや水晶岳を隠すものは何もない。山頂へと続く尾根がはっきりと見える。

ワリモ沢
 なだらかな尾根筋を下っていくと、ワリモ沢から吹き上げてくる風に硫黄の臭いがわずかに漂っているのを感じた。湯俣川の源流部でも感じたが、下流にある湯俣温泉から漂ってくるのだろう。

ワリモ北分岐
 8時35分にワリモ北分岐に到着。所要時間は2時間20分。コースタイム2時間30分に対して10分早い。写真を撮っていたわりには、そこそこのペースだ。荷物が軽いと本当に楽チンだ。ここからは山頂近くまで比較的なだらかなコースになる。

ワリモ北分岐からの道
 霜で滑りやすくなった石ころだらけの道を慎重にたどっていく。分岐からしばらくは斜面のトラバース道だが、そこを抜けると広々とした山稜を行く。日本離れしたスケールだ。振り返ると鷲羽・ワリモの頂が小さくなっていた。

水晶小屋まで15分
 水晶小屋のある小ピークまでひと登り15分の看板を過ぎ、ジグザグの登山道を登りつめて振り返ると、鷲羽・ワリモはもとより、槍穂高連峰や笠までも一望できるすばらしい光景が広がっていた。

雄大な裏銀座ルート1

雄大な裏銀座ルート2
 さすがに北アルプス最深部と言われるこのあたりは、人工物がほぼ見当たらない。右手下方に雲ノ平山荘が小さく見えるくらいだ。山高く、谷深し。空は青く、草木は色づき、なんともすばらしい光景に誰でも立ち止まらずにはいられないだろう。

水晶小屋
 小ピークの先にはすでに営業を終えた水晶小屋が静かに建っていた。新しくなったという水晶小屋だが、昔を知らないのでどれぐらい変わったのかピンと来ない。それでも、こぎれいにがっしりとした小屋に生まれ変わっているのは見て取れる。いつかこの小屋にお世話になることもあるかもしれない。ここからいよいよ大きくて広い水晶岳の肩にある尾根道に入っていく。


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| 2010年10月 黒部源流 | 20:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2010年10月 黒部源流秋の山旅 vol.4 双六池テント場~三俣山荘テント場

 10月4日の朝7時ごろ目を覚ましたが、暴風雨はいっこうにおさまる気配がない。どうせ今日は雲ノ平か三俣までだから、最悪午後に出発してもなんとかなる。ということで、再び眠りにつく。

 10時ごろ再び目覚めた。さすがにおなかが減って眠れなくなった。昨日の夕食以後何も食べていないので、すでに17時間も経っていた。外はあいかわらずだ。とりあえず、ラーメンを作って食べることにした。山食のラーメンといえばマルタイの棒ラーメンが定番だが、今回はサンポーというメーカーのものを買ってきた。

2日目朝のサンポーラーメン
たまたま買物にいったスーパーでこれしかなかったというだけの話だが、作ってみると麺の味が今一歩。なんとなく粉っぽい。スープは悪くないので、とくにだめとういうことはないのだが、やっぱりマルタイのほうがおいしいかも。具には魚肉ソーセージを入れた。食後は寝るのみだ。

 結局、その日は雨風がおさまらなくて、食って寝ただけの日だった。15時ごろ目が覚めると雨はあがっていたが、風はまだ強かった。トイレに行き、水を補給して、テントの受付をすませテントに戻った。雲が急速に消えて、青空が顔を出し始めた。

双六池夕景
 笠ヶ岳方面から雲が流れ飛んでくる。スローシャッターで雲の動く感じを写真にしようと思って、EOS 5DにND8フィルターをつけISO50、F25まで絞ってみたが、それでもシャッター速度は2秒にしかならず、たいして雲は流れてくれなかった。昼間のスローシャッターを実現するには、やっぱりND400が必要かも。

鷲羽岳夕景
 小屋前に移動して鷲羽岳を見ると、夕日が頂上部分だけを赤く染めていた。もっと赤く焼けた雲が出ていれば絵になるのだが、あいにく雲は飛び去ってしまい、被写体としてあまり面白くない。風が強くて寒いので、何枚かシャッターを押してテントに戻った。

 さてさて、晩御飯の時間だ。昨晩はスター商事の山岳グルメ野菜カレーだったが、水を入れすぎていまいちだった。で、リベンジにアマノフーズの瞬間美食 香るチキンカレーを作ってみる。

2日目夜の瞬間美食チキンカレー
 山岳グルメは水400ミリリットルを使うことになっているが、瞬間美食のほうはわずか150ミリリットルだ。ちょっと少なすぎるような気がしたので、目分量だが220ミリリットルぐらい水を使ってみた。ちょっと薄めになったが味とコクは損なわれることなくうまかった。なにより具のチキンがけっこうしっかりとした歯ごたえがあって、チキンらしさがあった。山岳グルメにもチキンカレーがあるが、言われてみるとチキン?という雰囲気なので、味に関しては瞬間美食の勝ちだ。作り方も、山岳グルメは熱湯で20分放置しそこから軽く煮込む必要があるが、瞬間美食は熱湯を注いでかき混ぜて終わり。手軽で早い。ボリュームの点では瞬間美食の負けだが、尾西のアルファ米1パックで食べる分には問題ない。

 食後はやっぱり寝るしかない。お昼に散々寝たので寝られないかと思っていたら、あっさりと眠りに落ちた。やっぱり初日の疲れが残っていたらしい。しかし、22時を過ぎるころになると、妙に寒くて目が覚めた。時計の温度計を見ると6度台になっている。昨晩よりも気温が低い。シュラフにじんわりと冷気が凍みこんでくる感じだ。防寒用に持ってきていたユニクロのヒートテック肌着を上下とも着て寝るとなんとか寒さは収まった。しかし、午前0時を過ぎると再び寒さで目が覚める。こんどは寒いというよりも冷たい。トイレに行くためにテントから出たら、満点の星空だった。放射冷却現象で冷えているらしい。星景写真の撮影も考えたが、風もあるしなにしろ寒すぎてそんな気になれない。トイレから戻って昼間の行動用パンツをはき、ダウンジャケットを着てシュラフにもぐりこむ。ひとまず寒さは収まったが、1時間もするとまた寒さが凍みてきた。もはや着るものはない。レインウェアという手もないわけではないが、防寒用にはどれだけ役に立つか疑問。それよりも、エマージェンシーシートを掛け布団代わりにすることにした。ぺらぺらのシートだがアルミ蒸着してあるので、熱を反射して温かいのだ。しかし透湿性がないので、シュラフにかけると結露してしまうという欠点がある。シュラフカバーにたっぷりと防水スプレーをしてきたので、結露してもそれほどシュラフが濡れることはないだろうし、なにしろ寒さを耐えるには他に選択肢がない。シュラフを包み込むようにエマージェンシーシートをかぶせてみると、驚くほど温かい。いつしか眠りに落ちていた。

 10月5日の朝は、4時30分ごろ目が覚めた。雨も風もない穏やかな朝だった。起き上がってみると、エマージェンシーシートの内側は結露でびっしょり。タオルで結露をふき取ってから食事にした。今日もやっぱり朝ラーメンだ。寒いときはラーメンが一番。昨日食べたサンポーのラーメンは2食分入っているので、開封状態でもう1食分が残っている。しけってしまう前にとっとと食べてしまうことにした。内容は昨日とまったく同じだが、なぜか山ではおいしく食べられる。

 食後はとっとと片付けて出発しようと思うものの、着込んでいた服を脱いだり、結露したテントのふき取りなどいろいろやっていると結構時間がかかってしまい、結局双六を出発できたのは8時になってしまった。

双六から樅沢岳を望む
双六小屋からすぐに始まる急坂を登りきって振り返ると、樅沢岳がどっしりと立っていた。

双六の登山道分岐
 少し歩くと登山道の分岐だ。天気もいいし双六岳から三俣蓮華岳への稜線ルートをとってもいいかと思っていたが、見上げると稜線あたりはこれといって紅葉もない。展望はいいが紅葉が期待できない稜線ルートよりも、きれいな紅葉の写真が撮れる可能性の高い巻道を行くことにした。

巻き道から見る鷲羽岳
 巻き道に入ってすぐにきれいに紅葉したナナカマドが現れた。その向こうには鷲羽岳・ワリモ岳・水晶岳が姿を見せている。

丸山カールの紅葉
 さらに進むと、丸山東面のカール下部にたくさんの紅葉が見られた。あいにく雲がかかって鮮やかさがいまいちだったが、晴れていたらさぞや輝いていたことだろう。

三俣峠への登り
 三俣蓮華岳のカールから最後の登り坂に差し掛かる。大きな石がごろごろしていて歩きにくい道だが、斜度はそれほどないのでたいしてしんどい上りではない。

三俣峠
三俣蓮華岳の山頂が大きく見えてくるようになると、三俣峠に到着だ。ここから30分の下りで三俣山荘に到着する。

 双六から三俣までの巻き道コース標準時間は2時間半程度だが、途中であちこち写真を撮っていたので、到着したのは14時を回っていた。なんと6時間もかかったことになる。そんなに撮影してたっけ?とやや怪訝な気持ちになったが、時計が狂っているわけでもないので、そうなんだろう。まったく、撮影しながらの山行は想像以上に時間がかかる。さすがにこれから雲ノ平まで行く気にはなれず、三俣でテントを張ることにした。

テント本体
 また雨に降られるといやなので、急いでテントを設営した。

ジッパーの壊れたフライシート
フライシートを張っていると、なんだか出入り口になる部分のジッパーの動きが悪い。よくよく調べてみると、なんとジッパーが馬鹿になっていてかみ合っていない。どうやら昨日の強風に引っ張られすぎて壊れたらしい。とりあえず、ジッパーを一番下まで下げれば、雨が吹き込まない程度にはシートが重なり合ってくれたので、少々の雨であれば問題なさそうだが、これはもうフライシートを買い換えなければだめそうだ。

三俣テント場
 テントを張り終えて受付を済まして戻ってくると、またまた雲が垂れ込めてきた。三俣のテント場はハイマツ帯の中にあるので、風が気になるほど吹くことは少ない。少々雨が降っても風がなければジッパーの問題は気にしなくても済む。同じ鞍部なのに南北に開けている双六は風が強く、東西に開けている三俣は風が吹かない。向きの問題なのか、場所の問題なのかわからないが、個人的には三俣のテント場のほうが心地いいと思う。トイレは小屋までいかないといけないが、水場がテント場にあるのが助かる。

3日目夕食
 この日の夕食はさすがにカレーはやめて、中華丼にした。重さのあるレトルトパックはさっさと処理したほうがいい。味噌汁との組み合わせは、さすがにカレーよりもマッチしていた。

 夜半にぱらっと雨が来たが、それほど強い雨ではなかったので、フライシートの壊れたジッパーから浸水することはなかった。この晩も昨晩に負けず劣らず冷え込んだが、風がなかったせいか、それとも体が順応したのか、エマージェンシーシートも、ダウンジャケットも使わずに眠ることができた。昨晩、一番下に着ていたブレスサーモの半そでTシャツの変わりに長袖のブレスサーモを着て、その上にヒートテック、さらにミレーのミッドウェアという組み合わせにしたのがけっこうよかったのかもしれない。


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| 2010年10月 黒部源流 | 18:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2010年10月 黒部源流秋の山旅 vol.3 鏡平~双六池テント場

鏡平山荘2
 いつもなら鏡平で昼食にするのだが、ついさっきおにぎりを食べたばかりだし、今日は三俣のテント場まで一気に行ってしまおうなんて欲を出していたので休憩を15分程度で切り上げて11時30分に出発した。

鏡平からの弓折岳
 鏡平山荘周辺のナナカマドは、ほんのり色がつき始めたところだが、目を弓折岳方向に転じると美しく色づいた木々が広がっていた。はるか上の斜面を斜めに横切っていく登山道も見えた。さあ、がんばってあそこまで登ってしまおう。

鏡平を見下ろす
 30分ほど登ると登山道脇の木々がまばらになって、鏡平が見渡せる場所に出る。ここから見る鏡平はなんだか雲上の楽園のようで、けっこう気に入っている。

弓折岳山腹のトラバース道
 そこからすぐに尾根を乗越して、弓折岳の東斜面をトラバースするルートになる。本格的な登り坂はこれが最後だ。

弓折乗越直下の登山道
 弓折乗越への道は、はじめのうちはなだらかで歩きやすい道だが、徐々に斜度がきつくなり、岩のごろごろした登山道になる。しかし、道が急になって高度感が増してくると弓折乗越は近い。

弓折乗越
 12時40分、やっと弓折乗越に到着。標高がおよそ2500mの弓折乗越は、ガスがかかって展望が利かない上に結構寒い。風除けにレインウェアを着て、行動食をとる。じっとしていると寒くなってくるので、早々に休憩を切り上げた。

花見平
 弓折乗越からちょっとした登りをこなすと花見平に出る。7月にはまだ雪田が広がってる場所だが、秋になるとさすがにその名残もない。荒地を横切った北側にベンチがあるが、何もない荒地を眺めながらの休憩はちょっと味気がない。

双六小屋遠望
 花見平から小さなピークを2つ越え、道が下りになると双六小屋が遠くに見えてくる。双六池と小屋の間にある広場のような場所がテント場だ。この小屋が見える場所から、案外時間がかかる。山では見えてからが遠いというセオリーどおり、軽く30分はかかる。すでに疲れて歩く気力を失いつつあったので、2つ目の小ピーク手前の黒百合ベンチで長い休憩をとってしまい、時間はすでに午後2時になっていた。目論見では14時に双六を出発できるなら三俣まで行こうと考えていたので、この時点ですでにアウト。だから急ぐ必要はまったくなく、のんびりゆっくり下っていくことにした。

 双六池テント場には14時40分ごろに到着した。あいかわらず風が強い。テントを張ろうにも風にもてあそばれてなかなか思うように張らせてもらえない。石で押さえたりしながらなんとかテントを張り終えたのだが、やってもーた! あんぽんたんなことに、風上に向かって入口を設置してしまったのだ。張りなおそうかととも思ったが、風はどんどん強くなっており、すでにテントがいびつにゆがんでいる状態だった。そんな中でまた張りなおすなんて気にはなれない。テントの中に入ってしまえば同じだからいいか、とあきらめた。

 テントを張り終えてからテント設営の受付に行き、トイレを済ませ水を汲み、テントに戻ってお茶を入れはじめると、なんと雨が降ってきた。無理して三俣を目指していたら、今頃雨の中であわてて合羽を着ているところだ。しかもテント場についても雨の中でテントを張らなければいけない。双六で泊まることにして正解だった。このあと、雨は止むことなく降り続き、風はますます強くなって、猛烈な暴風雨になった。テントは常にいびつにゆがんだ状態で、もともと狭いテントがさらに狭い。とりあえず食事を済ませたが、雨の中トイレに行くのを避けるため水分は控え目にしておいた。

 19時過ぎには就寝したが、雨と風の音で時々目が覚めた。真夜中3時ごろに目が覚めたとき雨があがっていたので、あわててトイレに行った。外は濃い霧でどっちがトイレだかよくわからないぐらいだ。トイレからかえってきたら、すぐに雨が降り始めた。天気が回復していればそのまま朝食にして、夜明けとともに出発してもよかったが、あいかわらず雨と風が強かったので、とりあえずもうひと眠りすることにした。


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| 2010年10月 黒部源流 | 19:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2010年10月 黒部源流秋の山旅 vol.2 新穂高温泉~鏡平

 午前3時起床。あいにく曇り空。そのためか前夜ほどの寒さはなかった。途中のコンビニで買ってきたパンと野菜ジュースで朝食をとり、入山報告のメールをブログ宛に送信したが、どうやらこのメールはうまく受信されなかったらしい。自宅に戻って確認してみると、ブログが更新されていなかった。送信時間は4時6分だった。バス停留所脇の公衆トイレでコンタクトを入れたり歯を磨いたりして、登山指導センターに入山届けを提出したら出発。時間ははっきりと覚えていないが、恐らく4時40分ぐらいだっただろう。

左俣林道入口ゲート

左俣林道入口ゲート前案内板

 林道入口のゲートには5時10分到着、ここからわさび平まで約70分の道のりだ。林道に入ってしばらくはヘッドライトが必要だったが、すぐにうっすらと明るくなりヘッドライトは必要なくなった。入山時の林道歩きはたいして苦にならないが、下山時のことを考えるとマウンテンバイクを持ってきてもよかったかもしれない。自転車で坂道の林道を走るのも大変かもしれないが、下りは何もしないでもいいわけだから楽チンだ。今度来るときはぜひ検討しよう。

わさび平小屋
 6時30分にわさび平着。コースタイムよりも10分遅かった。今回の荷物は夏よりも軽量化を図っているが、それでも21kg程度ある。そうそうさくさくと歩けないので仕方がない。10分の休憩をとり、再び歩き始める。

左俣林道わさび平付近
森の中に伸びる砂利道を歩いていくと、20分ほどで通行止めになっている橋に到着。

左俣林道終点
ここから林道を離れて本格的な登山道だ。見上げるとはるか遠くの山の上にシシウドヶ原が見えている。

小池新道下部
 よく整備された沢沿いの道を登り始める。ここから秩父沢までは石段や石畳のように手入れの行き届いた登山道なので歩きやすい。

秩父沢
 秩父沢には8時過ぎに着いた。夏だったら多くの登山者が休憩しているところだろうが、この時期は入山者が少ないので、誰もいなかった。

秩父沢上部の岩壁
 秩父沢周辺の紅葉はまだだったが、見上げる岩壁のあたりは草紅葉が始まっていた。

イタドリヶ原
 秩父沢から40分ほどのところにイタドリヶ原というところがある。山と高原地図に地名は載っているが明確な場所は示されていない。ただ、登山道を登っていくと、ちょっと開けた場所に出て、登山道脇に「イタドリヶ原」とペンキでかかれた大きな岩があるのですぐにわかる。新しく案内板も立っていた。ここからシシウドヶ原のベンチまでまだ30分かかるので、ちょっと休憩するのにちょうどいい。

 9時50分にシシウドヶ原に到着。駐車場で朝食をとってからすでに6時間がたっており、かなりばててきていたので食事をとる。
シシウドヶ原

ちょうど展望のいい場所にベンチが設置されているので、休憩にはぴったりの場所だ。
シシウドヶ原ベンチ

 コンビニで買ってきたおにぎりを二つ。疲れた体に梅干のすっぱさがしみる。
シシウドヶ原でおにぎり

シシウドヶ原でおにぎり2
やっぱり日本人の山食はおにぎりに限る。とはいえ、重さを考えるとそうそう持ってくることもできず、やっぱり初日のお昼ご飯までが限界か。

シシウドヶ原から林道を見る
 おにぎりを食べながらはるか眼下に目をやると、3時間前にいた林道終点の橋が見える。3時間でここまで登って来たという事実に、ちょっと満足。別に速いわけではないのだけれど、重い荷物を背負っていても、一歩一歩歩いてくればなんとかなるものだ。

シシウドヶ原から大ノマ乗越付近の様子
 振り返れば大ノマ乗越下の山肌の紅葉が始まっていた。

 おにぎりを堪能してからシシウドヶ原を出発。夏に水場になっていた沢はすっかり涸れ果てている。秋にシシウドヶ原の水場に期待するのはやめたほうがいいだろう。

熊の踊り場
 熊の踊り場を通り過ぎ、

鏡平直前の急坂
最後の急坂を登りきると

鏡平の木道
鏡平の木道が現れる。

鏡池
すぐに鏡池のほとりに出るが、紅葉はまだ始まったばかりのようだ。下山予定日の9日にはいい具合になっていることだろう。鏡池の向こうに見えるはずの槍・穂高連峰は雲の中で、展望はなかった。

鏡平山荘
 鏡平山荘前のベンチで荷物を降ろして、小休止にする。時刻は11時を少し回っていた。


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| 2010年10月 黒部源流 | 15:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2010年10月 黒部源流秋の山旅 vol.1 岡山~新穂高温泉

 夏の暑さが長引いた影響で、紅葉が遅れているとの山小屋情報をもとに、出発日を一週間ずらして10月2日にした。1日の午後からでも出られないことはなかったが、夏にそのパターンで出かけてあまり時間配分がよくなかったので、今回は初めから土曜日出発で決定した。週末なので山陽自動車道 岡山ICから東海北陸道 飛騨清見ICまで高速道路を使っていってもいいのだけれど、せっかく休日特別割引で1000円なのに、大阪京都間で割引区間が適用されないため片道2500円になってしまうのがどうも納得できなくて、あくまでも高速道路代は1000円のみとなるルートで行くことにした。

 夏の山行の時は、姫路から国道372号で舞鶴若狭道 丹南篠山ICまでのルートを使ったが、一般道を走る時間が長いので効率が悪いと感じていた。そこで、今回は加古川バイパスの加古川から県道18号と20号で中国道 吉川ICまで行って、そこから高速道にのってしまうことにした。舞鶴若狭道は無料だが中国道の吉川ICからの一区間分150円の料金が発生したが、それぐらいは時間短縮の対価としては安いと判断した。

 舞鶴若狭道の終点 小浜西ICから北陸道 敦賀ICまでの一般道は約1時間かかるが、この区間だけはどうしようもない。田舎道なのでそれほど信号に引っかかることもなく、そこそこ走りやすい道だ。敦賀から北陸道にのったのが18時前。途中で買物をしたりして少し時間がかかったが、あとは富山まで2時間程度の距離だ。

 富山に到着したのは20時過ぎ。ICから少し富山駅方面に戻ったところにある城南温泉に入り、その後給油と食事をした。食事は牛丼の松屋で軽く済ませ、富山を出発したのは21時過ぎ。新穂高温泉の無料駐車場には23時着だった。駐車場はかなり空いており、一番奥の出入りに便利な場所に駐車できた。気温は13度と寒かったが、空には満点の星々が輝いており、明日まで好天が続くことを願って就寝した。


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| 2010年10月 黒部源流 | 21:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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