ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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剱岳~試練と憧れの山 その5

2014年8月11日~14日 富山県立山町 単独テント泊


剱岳から下山した12日の午後にはすでに足の筋肉痛が始まっていて、夕方になると歩くのも苦痛なほどの痛みに見舞われていました。前夜、あまり眠れていなかったこともあって、早めに食事を済ませて午後7時には寝袋にもぐりこんだものの、やっぱり地面のふくらみでエビゾリ状態になるのが不快で、熟睡というわけにはいきません。横を向いて寝ると地面のふくらみがあまり気にならなくなるので、疲れもあってかすぐに眠りに落ちましたが、薄いマットの上なので2時間もすると腰が痛くなったりして目が覚めます。


体の向きを変えたりして再び眠りに落ちるものの、やっぱり2時間もすると目が覚めてしまい、結局12時を回った頃にすっかり眠れなくなってしまいました。足の筋肉痛はまったく治まっておらず、すこし動かすのも大変です。寝る体勢に疲れたこともあって、起き上がって足をもんだりしてみたもの、あまり効果もなく、明日はたして行動できるか怪しい感じです。


8月13日
午前1時頃になるとお腹がすいてきたので、早すぎると思いながらも朝食を作りました。食後、トイレに行くためにテントを出てみたもの、足が棒のようで動きがギクシャクするし、登山靴を履いているにもかかわらず足を踏み出すたびに足の裏がズキズキと傷みます。これではとてもテントを撤収して、フル装備で裏剱へ移動するなど無理です。寝る前にアミノバイタルを飲んだりしましたが、あまり効果は出ていないようです。この時晴れていれば、それでも星景写真の撮影ぐらいはしていたと思いますが、けっこう雲が出ていて、天気もあまりよくない状態でした。


テントに戻ってすこしウトウトして、4時ごろ周囲のざわつきで目が覚めました。外をのぞいてみると、なんと雲ひとつない晴天で、月の光が煌々と剱岳を照らし出していました。夜明のテント場の写真を撮るのに好都合だということで、痛む足を我慢してカメラと三脚を持って撮影に出かけました。


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テント場の中を通って上のほうへと移動し、適当なところで三脚をセットして夜が空けていく様をカメラに収めました。


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日の出の時刻になる頃、さらに一段高いところへと移動し、剱岳に朝日が当たるのを待ちます。剱岳よりも先に剱御前が赤く染まりました。ちょうど剱沢の窪みから一足早く朝日が届いているようです。


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やがて剱岳にも朝日が当たり始めましたが、黒々とした山塊は期待したほど赤く染まることもなく、静かに夜が明けてゆきました。


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空は快晴。すっきりと晴れ渡っていて、こんな日に山頂に登れたら、1時間ぐらいゆっくりできるのになあとちょっと残念な気もしますが、山の天気なんて思い通りには行かないもの。とりあえず昨日は登頂できたし、今日はいい天気だからいい写真が撮れそうなので、結果オーライということにしておきます。とはいえ、足の痛みはまったく消えることなく、あいかわらずすこし歩けば痛みが走るという状態だし、荷物を担いで上ったり下ったりなんてまねはできそうにありません。そういうわけで、今日は休養日として、キャンプ場まわりでちょこちょこと写真を撮ってゆっくりすることにしました。


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ところが、午前7時を過ぎると上空にたくさんのうろこ雲が出現。あれほど晴れ渡っていた空があっという間に雲に覆われてしまいました。剱岳上空にはまだすこし青空が見えているものの、日差しは雲にさえぎられてしまい、風景的にはすっかり曇りのお天気。とりあえずテントに戻ってティータイム。その後寝転がって足をもんだりしているうちにいつしかウトウト・・・


お昼ごろ起きて、昼食にパスタを作って食べたりしていると、なんとなくお腹が痛くなってきました。沢水を飲むのは避けて、受付で塩素消毒してあるといわれた蛇口から水を汲んできて飲み水としていましたが、それが原因なのでしょうか。トイレにいってもすっきりしない感じで、鈍い腹痛はなんとなく続いています。


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とりあえず、動けないというほどでもないので、カメラを持ってお散歩に出かけることにしました。足に負担をかけないようにゆっくりと歩きながら、わずかに咲き残っていたチングルマとからめて剱岳を撮ったりして、ゆっくりと風景を楽しみます。目の前に聳える剱岳は、いつ目を向けても見た瞬間に「おおっ!」と思える迫力をみなぎらせていて、こんなすばらしい山を目の前で楽しむことができるこのキャンプ場のロケーションは最高です。



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空を覆っている雲はあいかわらず増えることはあっても減ることはない感じです。そのうち、富山方面から雲が湧いてきて、時折剱岳にからみます。そのまま雲に巻かれるかと思いきや、いつの間にか雲は消えて剱岳が顔を出します。ころころ変わっていく風景を岩に腰掛けてのんびりと眺めたりしながら、ゆったりとした時間が流れます。


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午後3時近くなったら、今度は剱沢の下流方向からガスが湧き上がってきました。


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どんどん湧いてきて、やがてキャンプ場のほうにまであふれ出てきます。一瞬あたりがガスで白くなったりしながらも、しばらくするとガスが晴れたりして、めまぐるしく変わる天気の様子がけっこう面白くて、飽きもせずに眺めていました。


ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。




8月14日
前日、キャンプ場でゆっくりと休養したおかげで、足の痛みはだいぶん引いていました。お腹のほうも痛みは消えていて、どうやら問題なさそうです。これなら行動できるということで、朝食を終えてから日帰りで裏剱方面に行ってみるつもりで準備をしていたら、なんと雨が降ってきました。風もそこそこ吹いているし、昨日の晴天はどこへ行ったという感じです。管理棟の前に書かれている天気予報でも、今日は曇りのち雨。剱岳は見えているものの、こんな天気では裏剱まで行ってもいい風景は期待できそうにありません。なによりも、明日以降の天気が再び悪くなるらしいので、もう一日ここにいても状況は悪くなる一方です。


午前5時ごろまでどうしようかと考えていましたが、近くで誰かが明日から天気が悪くなるらしいからどうしようかと話をしているのが聞こえてきて、やはりもう一日泊まっても悪天候の中を下山する確立が高そうだということで、撤退を決めました。幸い雨は止んでいたので、テントをたたむチャンスとばかり、速攻でパッキングして出発の準備を整えました。


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5:37 剱岳に別れを告げて、室堂へ向けて歩き始めました。


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別山乗越方面はどんよりとした雲が垂れ込めています。


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歩いていくうちに雲はどんどん垂れ下がってきて、時折雨も落ち始めました。しかし、そんなことよりも足が思うように動いてくれません。痛みは軽くなったもののやはり疲労はまだまだ取れていなかったようです。もしも、日帰りで裏剱方面に向かっていたとしても、これでは途中で引き返していたことでしょう。


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剱御前小屋が見えてくるあたりで、まだハクサンイチゲなどの高山植物が咲いていました。


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やはり標高が高くなるほど遅くまで花が残っています。


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6:37 ちょうど1時間で別山乗越に着きました。わずか1時間の上りとはいえ、筋肉痛と筋肉疲労がたまった足にはけっこうつらいものがありました。荷物を下ろして一息つきます。ガスガスで風も強く、休憩しているとちょっと寒くなってきました。もともとは、下山は大日三山を縦走して称名滝に下るつもりで、アルペンルートの切符も片道分しか買っていませんが、さすがにそんな気力も体力もありません。素直に室堂へ下りることにしました。


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別山乗越はガスの中で、室堂方面の視界はまったくありませんが、不思議と剱岳方面はガスが切れて視界がありました。雷鳥坂を駆け上がってきた風が冷えて雲になり、別山乗越を飛び越えて吹き降ろしていく途中でガスが消える、フェーン現象のようなものなのでしょう。


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6:49 休憩を切り上げて下山開始です。


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10分ほど下ったあたりからガスが消えはじめました。


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足の痛みを我慢しながら下って行くと、先行の登山者が道の真ん中にうずくまっています。足でもくじいたのかと思って進んでいくと、雷鳥の母子がいました。この時期にしては珍しく、まだ生まれて間もない感じの小さな雛が5羽ほど元気に動き回っています。通りすがりにコンデジで撮影しただけなのでなんだかよくわかりませんが、母鳥の尻尾が画面上にすこし見えていて、母鳥の左隣と画面右側の岩の下に各1羽、画面左下の岩の上に2羽の雛が写っています。


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右端の子を拡大してみました。


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雷鳥沢キャンプ場が眼下に見える場所ですこし休憩をとり、だんだん動きにくくなってきた足に気をつけながら下山を続けます。


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7:54 ようやく雷鳥沢の橋まで下りてきました。この橋を渡った後の階段がけっこう苦痛でした。


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雷鳥沢のキャンプ場はたくさんのテントが張られていて、小さな子供がたくさん。ほぼファミリーキャンプ場と化していました。


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雷鳥沢キャンプ場でトイレ休憩をとって、室堂バスターミナルに向けて出発です。しかし、キャンプ場から雷鳥荘までの階段がまさに地獄。足が前に出ないし、息は上がるしでもうヘロヘロでした。階段が終わったところにあるベンチで休み、雷鳥荘の前にあるベンチで休み、すこし歩いては休憩という情けない状態でした。


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リンドウ池からミクリガ池への階段をなんとかクリアし、その後もベンチを見つけては休憩しながらなんとかバスターミナルにたどり着いたのでした。


高原バスに揺られているうちにいつの間にか意識は飛んでいましたが、美女平近くになって目が覚めました。ちょうど土砂降りの雨がフロントガラスを濡らしていて、寝ぼけ眼でガラス窓をたたく雨粒を見ながら、下山してよかったなあと思ったのでした。

おわり。

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| 2014年8月 剱岳別山尾根 | 14:58 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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剱岳~試練と憧れの山 その4

2014年8月11日~14日 富山県立山町 剱岳 単独テント泊 


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カニのたてばいのすぐ下までやってきました。少し余裕のある広さがあったので、核心部にとりかかかるまえに小休止をして行動食を食べようかと思いましたが、崖のすぐ下ということで、うかつに休憩していたら落石の餌食になりかねません。それに、後続の年配の夫婦に先を譲って万一渋滞してしまうと困ります。ということで、多少の疲労感と空腹感を抱えたまま、カニのたてばいに突っ込むことにしました。


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カニのたてばいは、目に見えている鎖のかかっている前半部分は高さ約20mぐらいで、そこを登りきるとちょっとしたテラス状の場所に出て横方向にトラバースします。トラバースして岩を乗り越えると再び急傾斜の岩壁を登りますが、この後半部分は前半部分ほどの斜度はなく、手がかり足がかりもあるので、難易度は前半部分よりもはるかにやさしいといえます。要するに、前半部分だけが核心部のようなもの。とにもかくにも、鎖を頼りに登ります。とはいえ、あまり鎖に頼って腕に力を入れすぎると、腕があがって握ることができなくなりますから、鎖場を登るときは基本的には足で登ることが大切。腕はあくまでも補助です。


カニたて01

カニたて02
登りはじめから前半部分が終わるところまでヘルメットに取り付けた小型ビデオカメラで動画を撮りましたが、登るのに夢中になってしまいカメラのことにまで気が回らなかったようです。動画を見てみると、上下左右に動きが激しすぎて見ていて気分が悪くなりかけたので、公開するのはやめます。とりあえず、前半部分を登りきったところで振り返ったところを静止画にしておきます。高度感はなんとなくわかるかと思います。なお、前半部分を登りきってテラスに立つまでに要した時間は約3分半でした。石鎚山の二の鎖のほうが距離も時間も上手のようにも感じます。難易度から言えば剱岳のほうが難しいのですが、石鎚山の鎖が登れれば、カニのたてばいも大丈夫ではないかと感じます。


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カニのたてばいを上りきると、下山ルートであるカニのよこばいの入り口がすぐ近くに見えます。こちらもかなりのスリルを味わえそうです。そして、左手奥にある白いL字型の踏み跡がついている岩峰が平蔵の頭です。このL字型の部分を下から上へと登るのが下山コースです。上りのコースは、L字型の左側にある縦一直線の踏み跡。岩峰の向こう側から乗越してきて、まっすぐに下るわけですが、こうしてみるとなかなかどうして恐ろしげなルートです。


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カニのたてばいを登りきってからも、けっこう傾斜のきつい岩だらけの稜線が続きます。しかし、そこを抜けると傾斜は緩くなり、岩ゴロながらも道幅のある斜面をジグザグに登るルートになるので、あとは山頂まで歩き切れればOK。


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ようやく山頂が見えました。ここからは、もう1分もかからないでしょう。


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8:56 憧れの剱岳に登頂することができました。6時過ぎにテント場を出発して、3時間を少し切るタイムですから、ほぼコースタイムで登ることができました。荷物が軽いということは、やはりメリットが大きいです。山頂にはそこそこ人がいて、ひっきりなしに祠の前で記念撮影がされているので、なかなか撮影するタイミングが取れません。なんとか、人の流れが切れた瞬間を狙って祠だけ撮影。


とりあえず、どこかに座ってゆっくりと景色でも眺めようと見晴らしのよさそうな場所へと歩き出した直後、いきなり大粒の雨が落ちてきました。前剱のあたりから、ときどきぽつぽつと降ったり止んだりしていたのですが、ここに来てまさかの本降りに見舞われてしまいました。岩陰に隠れるようにしゃがみこんでみたものの、ほとんど雨よけの効果はありません。昨日のように土砂降りになったら、カニのよこばいの通過が面倒なことになりそうです。それに、ぺらぺらの生地のバーサライトジャケットがレインウェアとしてどれほどの性能があるのか、やや不安もあります。もしも期待にそぐわないもので、アンダーウェアが濡れるようなことになったら、この雨と風の中、吹きさらしの稜線で低体温症になりかねません。


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9:00 僕は下山を即決しました。まだ山頂からの風景もろくに眺めていないうえに、休憩もとっていません。祠の写真を撮り、山頂を少しばかり歩いただけの状態ですが、この雨と風の中でのんびりと山頂の景色を楽しんでいられるほどの十分な装備はもっていないのですから、早く安全な場所まで下ることが最優先です。


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バチバチとジャケットをたたきつける雨音を聞きながら、急ぎ足で下山を始め、カニのよこばい入口まで戻ってきました。雨は幾分小降りになっていましたが、風は相変わらず吹き付けてきます。雨で濡れたグローブが風にあたると手の甲から体温が一気に失われる感じです。このままカニのよこばいに入ってもいいものかと一瞬躊躇しましたが、素手で冷たい鎖や岩をつかむと余計に体温を奪われそうだし、このグローブは登山用ではなく作業用ですが、手のひら側に使っている人工皮革素材の滑り止め性能がかなりよいので、グローブをはめたまま行くことにしました。


カニよこ01
前を行く年配の夫婦がカニのよこばい部分に入っていくのを見届けてから、自分も核心部分に進みます。


カニよこ02
最初は急傾斜の岩壁をまっすぐに降りていきますが、この部分はたいして問題はありません。


カニよこ03
まっすぐに下りきって、鎖が岩を回り込むところから先が、いわゆる「よこばい」になる部分です。ここの最初の一歩が難しいらしいのですが、 落ち着いて上から覗き込めば、60cmぐらい下に岩溝が横に入っていて、そこが足場になることがわかります。右足からいくか左足からいくかの問題ですが、足を下ろしてから左方向に進んでいくことを考えれば、右足で降りて、左足を横に出したほうが動きとしてはスムースです。


カニよこ05
岩壁を真横にトラバースする部分はわずか10mもないぐらいだったと思われます。このトラバース部分でけっこう風に吹かれたため、手のひらの感覚がなくなりかけるほど手の体温を持っていかれてしまいました。ちょっとやばいなあと思いながらも、そんな場所ではどうすることもできません。そこから一段下って、さらに斜め下に岩を巻いていくと今度は鉄梯子が現れます。


この鉄梯子をちょうどガイドツアーらしい団体が下っていて、なんとご丁寧にガイドらしき男性がいちいちロープを出しているではありませんか。もちろん、前を行く年配のご夫婦ともども彼らが降りるのを待たされます。まあ、安全のためにいたしかたないところですが、そもそも鉄梯子を降りるのにロープが必要なレベルの登山者で剱岳にツアー登山するということが間違っているように思うのですが、どうなんでしょうねえ。


ガイドがついていても遭難事故は起こります。肝心なのは、自分の実力に見合わない山に無理して登らないこと。経験をつんでから自分の力で登ればいいのであって、何もあせってガイド頼みの登山をする必要はないと思うのですが、百名山ブームに乗ってどうしても登りたい人が多いのかもしれません。


じっとしていてもしょうがないので、岩の窪みを利用して、濡れて冷えてしまったグローブを防水グローブに取り替えました。こんなときのためにと持ってきて正解でした。この防水グローブ(セイラス エキストリームグローブ)は、このあと完全に雨を遮断してくれて、なおかつ保温力も発揮してくれて助かりました。


手袋を取り替えていると、上から「ラークッ!」という叫び声。僕の後にいたカニのよこばいを一段下がった狭い場所で渋滞していた男性が石を落としたらしいのですが、ほんと勘弁してほしいものです。幸い、位置的にこちらに直接転がってくるようなことはありませんでしたが、カニのたてばいの上り口で待っている人たちが下方に見える場所です。あそこまで転がっていたら大変です。


夏山一般登山道の恐ろしいところは、うかつに落石を発生させてしまうような人と一緒に登らざるを得ないという恐ろしさです。2011年の穂高のザイテングラートで起こった落石事故で小学生と祖父の二人がなくなった痛ましい事故はまだ記憶に新しいところですが、登山ブームが続く限り、このような事故は繰り返されのでしょうか。登山者ひとりひとりが自覚を持って慎重に行動してもらいたいものです。


さて、ロープを出していた団体がようやく鉄梯子を通過して、年配のご夫婦が後に続きます。まずご主人が下り始めましたが、すぐに奥様が続こうとしたので、思わずおせっかいをしてしまいました。
「まだですよ。前の人が下りきってからでないと、もしもあなたが転落したら下の人を巻き込みますよ。」
余計なことだとは思いましたが、目の前で多重遭難事故なんか見たくないですから。奥様も素直にそうですねと理解してくれました。そして、奥様が梯子を下りようとこわごわ足を出しているとき、なんだか足を引掛けて落ちそうな雰囲気だったので、再びおせっかい。バックパックのショルダーベルトの付け根を後からつかんで、
「持ってますから、大丈夫です。足を引掛けないように気をつけて。」



鉄梯子を下りるとさらに鎖場があり、そこを通過するとトイレのある鞍部のような場所にでました。ロープを出していた団体は7名ぐらいいたでしょうか。トイレの前で集合していた団体の横を通過し始めたときに彼らも動き始めたため、なぜか団体の真ん中を歩くはめになってしまい、ちょっと戸惑います。さいわい、ガイドがすぐに気がついて、少し歩いたところで先に行かせてくれたので助かりました。


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次に現れたのが平蔵の頭にある12番目の鎖場。ここも、カニのよこばいに次ぐ下りの難所のひとつです。垂直に近い角度の岩壁をまっすぐ登ったら、途中で真横にトラバースし、再びまっすぐ登って、反対側に下るという場所です。風雨の下で通過するのは、なかなか大変です。尾根を乗越して反対側に回ると、風が強く吹きつけてきて雨粒が痛いぐらいの強さで顔にあたるうえに寒さも増してきます。ゆっくりと写真を撮る余裕もなく、スリップに注意しながらひたすら下ります。


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平蔵の頭からは少し平坦な尾根を下りますが、その後13番目の鎖場「前剱の門」が現れます。これまた結構な傾斜の岩壁ですが、ここは手がかり足がかりがしっかりしているので、それほど厄介ではありません。事実上、ここが最後の難所といってもいいでしょう。


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前剱の門を通過すると、ほどなく前剱ですが、下りルートは上りルートの下の斜面をトラバースするようについています。前剱のピークをすこし過ぎたあたりで上りルート合流し、あとは同じルートを下るだけです。雨脚は弱まったり強まったりを繰り返していますが、ルートが尾根の東側になったおかげで、西風がさえぎられて風はあまり強くなくなりました。


10:51 一服剱ですこし休憩をとりましたが、さすがにほとんどノンストップに近い状態で剱岳山頂を往復してきたためか、足腰にかなりの疲労感を感じます。こういうときは思っているよりも足が上がらずに躓きやすいので、下りのルートでは注意が必要です。


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11:16 ようやく剣山荘まで下りてきました。すこし雨脚が強まってきたので、剣山荘で雨宿りがてらコーヒーを飲むことにしました。きれいな食堂でゆっくりとコーヒーを飲んでいる間に雨が上がったので、キャンプ場へと向かいました。


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12:07 テントに戻ってほっと一息です。剣山荘からは雨に降られることがなかったので、レインウェアも乾いてくれて助かりました。すこし防水性能が心配だったバーサライトジャケットですが、無駄な心配でした。防水性能に関してはまったく問題なく、剱岳山頂付近の強い風雨でも完璧に水の浸入を防いでくれました。また、わきの後ろにあるベンチレーションが効いたのか、下山してきても蒸れ感を感じることもなく快適でした。


ボトムスのベルグテックSLハードシェルパンツも、レインウェアとしての機能は必要十分なものでした。タイツなしで直接履いていたので若干蒸れ感を感じたこともありましたが、大きなベンチレーションを開けばあっという間に蒸れ感はなくなります。レインウェアのパンツを脱いだり履いたりするために立ち止まる必要がないのは、とっても便利でした。通常の登山パンツとしても申し分なく、ミズノにしては悪くないコンセプトのパンツです。







昼食をとった後、濡れたままだったストームクルーザージャケットをテントの上に広げて干したり、雨にあたってしまったアタック用のバックパックや、グローブ類も砂利の上に広げて天日干しです。それにしてもストームクルーザージャケットは、山行前に手洗いして、ドライヤーの熱でしっかりと撥水性能の回復を図り、なおかつ防水スプレーまでかけてきたというのに、わずか1日の土砂降り雨で撥水性能はすっかりなくなって、べったりと生地が水を吸い込んだようになっていました。10年が経っていることを考えれば、もはや寿命なのかもしれません。


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その後、することもなくなったので、カメラを持ってキャンプ場周辺を撮影ポイントを探してぶらぶらと歩いてみました。時期的にお花畑はほぼ終わっていましたが、ところどこ花が残っているところがありました。


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天気が回復するのを待ちかねたかのように、ヘリコプターが荷物を運んできました。


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すこしづつ天気は良くなってきました。夕方になると青空と日差しが出てきて、すっかりいい天気です。午前中から晴れてくれれば最高だったのにと、ちょっと残念な気持ちがありますが、明日の好天に期待がもてそうです。


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17時を回るとときおり西からガスが流れてきましたが、剱岳を覆い隠すようなことはなく、気持ちのいい晴天は崩れることはありませんでした。

つづく。


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| 2014年8月 剱岳別山尾根 | 15:45 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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剱岳~試練と憧れの山 その3

2014年8月11日~14日 富山県立山町 剱岳 単独テント泊 


12日の午前2時を回った頃、さすがにもう今から寝るとかえって寝過ごしてしまうと判断し、起きて朝食をとることにしました。天気がよくなかったため、夏用の薄い寝袋でも寒さは感じていませんでしたが、とりあえず体を温めておくために棒ラーメンの朝ごはんとしました。


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食後、外に出てみると、周囲はまだ暗く空に星はまったく見えていません。トイレに行ったり歯を磨いたりして、するべきことがひとととおり終わった頃、あたりがだいぶん見えるようになってきました。空はどんよりとした曇り空ですが、さいわい剱岳は山頂以外は比較的クリアに見えています。風はわりと強く吹いていますが、歩けないほどの強風ではなく、これなら剱岳の山頂を目指すことができそうです。ただ、山頂付近にまとわりついている雲が気にかかります。日が昇ってから一気に状況がかわることもあるので、とりあえず、日の出まで様子を見ることにしました。


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5:10 剱岳の上空の雲が少し色づき始めましたが、山頂のガスは相変わらず消えてくれません。


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背後の剱御前が赤く燃え上がります。


行くべきか、行かざるべきか。それが問題です。天気予報では、明日13日のほうがいいはずですが、確実とは言いがたい山の天気です。いけるときに行くのが鉄則。しかも、登頂目的ならそれほどいい天気でなくてもかまいません。むしろ好天時は、撮影に時間を使いたいわけですから、今日登って明日撮影するというのがむしろ理想的なプランです。


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そんなことを考えながら、剱岳の様子を観察していると、山頂部を覆っていたガスが突然動き始めました。


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そして、ついに山頂が姿を現したのです。基本的に天候は回復に向かっているわけですから、ガスが消えたのならこのあとは大きく崩れることはないだろうと判断してもよさそうです。であれば、アタックするのみです。


アタック用の折りたたみ式バックパックを広げて最低限の荷物をつめます。水を1リットル+0.6リットル。昼食は持たず、行動食をいくつか詰めます。天気はあまり良くないし、今日はピークハント目的なので一眼レフは置いていきます。カメラはパワーショットS110に、予備としてパナソニックの防水コンデジFT1の二台。通常の山行時に使うグローブと、山頂付近で雨になったときを想定して防水グローブも入れました。昨日着用していたモンベルストームクルーザーのレインジャケットはぐっしょりと濡れたままなので、ウィンドブレーカー代わりに持ってきた最軽量のレインウェアであるモンベルバーサライトジャケットを羽織ります。ボトムスは、ミズノのベルグテックSLハードシェルパンツ。これは、夏場に登山用パンツの上にレインウェアのパンツを着用すると汗をかいて蒸れやすく、上着と違って簡単に脱ぎ履きできないのがめんどくさいということで、レインウェア兼用の登山パンツとして今回試しに履いてきたものです。後日レビュー記事を書く予定。



準備が整って一度テントを出発したものの、管理棟のあたりで忘れ物に気がついてとりに戻ったために、出発は6:07になってしまいました。


管理棟の脇から斜面を下り、剱沢小屋の下を通って大きな雪渓を渡り、剣山荘に向かいます。

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6:24 剱山荘の脇を抜け、登山道入口までやってきました。いよいよここからが本番です。長らく憧れていたあの頂を今日踏むことができるのかと思うと、少し身が引き締まる思いです。北アルプスの主稜線からはずれ、立山連峰からも少し距離をおいたように北の端に聳える孤高の頂。突出した高さはないけれども、その峻険きわまる岩峰は古来より不動明王の神体として信仰を集めてきた崇高なる山です。その気高く、雄雄しく、超然とした様は、日本にあまたある山の中で唯一無二の存在感を放っています。キャンプ場から見た剱岳は、まさに絶壁で構成された山にしか見えず、どこに人が登れるようなルートがあるのかと疑問に思えたものですが、とにかくこの道を進むのみです。


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しばらく登ると、最初の鎖場がありましたが、このあたりの鎖場は念のため、と言った感じでまったく危ない感じはありません。


ここで一息。ポチッと押して休憩したら続きをどうぞ。



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6:56 一服剱に着きました。目の前には巨大な岩峰がそそり立っていますが、あれは前剣。本峰はその陰になって見えません。


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振り返ると、剱沢の全景がよく見えます。一服剱で3分ほど休憩して、前剱を目指します。



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遠目には絶壁に見えた前剱の壁ですが、こうして近くまで来て見ると傾斜は確かにきついものの、なんとか登れそうな雰囲気です。まあ、一般登山道ですから、当然といえば当然ですが。


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しかし、高度が上がるにつれて傾斜はどんどん厳しくなっていきます。浮石も増えて慎重に歩を進めないと落石を発生させたり、自分が足を滑らせかねません。


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巨岩の下の狭く急傾斜の場所をよじ登るようにして超えていきます。前剱大岩にある3番目の鎖場です。このあたりから気を抜けない鎖場になってきました。


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巨岩の下を抜けると、さらに急傾斜の鎖場が続きます。


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7:41 急傾斜の鎖場を越えると、しだいに傾斜が緩くなり、トラバース気味に進んでいった先で、突然剱岳本峰が姿を見せました。ここが、前剱の頂上です。一服剱で3分程度の休憩をとったきりということもあり、ここで小休止をとりました。水分を補給し行動食を食べ、5分ほど岩に座って休みました。


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休憩場所の眼下に見える岩峰の手前には、スリル満点そうな鉄橋があり、それを渡ったところから岩壁を右へ巻くように鎖が設置されています。前剱5番目の鎖場です。今までの鎖場は、いってみれば急傾斜の斜面に設置された補助用ですが、ここはまさに命綱ともいえる鎖で、もしも鎖がなかったらとてもここを渡る気にはなりそうにありません。前剱を越えると、いよいよ剱岳の核心部に近づいているという雰囲気が、ひしひしと伝わってきます。


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休憩を終え、5番目の鎖の前まで来て見ると、休憩場所からは見えなかった鎖がかかっている岩壁の下部がよく見えます。思っていたよりもずっと高度感がある岩壁です。鉄橋は左手はまだしも、右手はかなり切り立った崖になっており、今日のように風が強いときに渡るのはなかなか勇気が必要です。風の様子を見ながら、素早く鉄橋を渡り、鎖場に取り付きます。足場や手がかりはしっかりしているので、高所にビビリさえしなければそれほど恐ろしい場所ではありませんが、クライミング的要素の強い山であることを強く感じます。


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5番目の鎖場のあと、6番目の鎖場はそれほど難しい場所ではなく、ほっとしながら進んでいくと、比較的緩やかな尾根筋となり、緊張感も和らぎます。


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しかし、7番目の鎖場がある平蔵の頭で、再び難所が待ち構えていました。左上の岩峰へつながっている鎖は下り専用ルートなので、上りは右手の岩の隙間方向へ岩壁をトラバースしていきます。


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取り付き部分は足場がないためか、ボルトを岩に打ち込んだ足場が設置されています。これを手がかり足がかりにしていけばいいのですが、間隔がけっこうあるので、身長が低い人には少し厳しいかもしれません。


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岩壁を巻くように反対側に出てみると、思わずお尻の穴に力が入ってしまいそうな急傾斜の岩壁が待ち構えています。ここを下るのです。足場や手がかりはしっかりしており、鎖もあるので、慎重に下ればそれほど危険というほどではないにしても、この傾斜でこの高さですから、スリル満点です。


岩壁を無事に下りきったところで緊張が緩んだのか、なんだかお腹がすいてきました。どこかで小休止して行動食を食べようと思いつつも、この先はわりと岩場を伝うような場所が続くため、なかなか休憩によさそうな場所が見つかりません。その上、平蔵の頭を越えるときにアドレナリンが出まくったのか、気分的にもやや興奮したような感じで、空腹感を感じつつも先へ先へと気持ちがせいています。


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休憩するタイミングを見つけられないまま進んでいくと、前方に例の場所が見えてきました。そう、別山尾根ルートの核心部、カニのたてばいです。中央奥の岩壁に張り付いている人がここからも見られます。幸い渋滞していないので、スムースに抜けられそうな雰囲気です。はたして無事通過できるのか、どきどきしながらカニのたてばい取り付き部へと進んでいきました。

つづく。


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| 2014年8月 剱岳別山尾根 | 11:19 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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剱岳~試練と憧れの山 その2

2014年8月11日~14日 富山県立山町 剱岳 単独テント泊 



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11:48 雷鳥沢キャンプ場の目の前に見える雷鳥坂を目指します。


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GWの頃には完全に雪の下に埋もれている雷鳥沢と橋を初めて見ました。


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きれいな水の流れる沢を渡り、少し登っていくとちょっとした雪渓を渡ります。傾斜はあまりないので、まったく問題なしです。


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雪渓から小さな尾根に登ると、しばらくは歩きやすい登山道が続きます。といっても傾斜はそこそこあり、決して楽な道ではありません。重い荷物がなまった体に堪えます。


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途中、傾斜が増し、狭くて岩ゴロの部分がありましたが、そこを抜けると再び道は歩きやすくなりました。


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13:59 ガスで霞んで視界がきかず、まだかまだかと思いながら一歩一歩登りつめていくと、ようやく剱御前小屋が姿を現しました。雷鳥沢キャンプ場から2時間11分。コースタイムだと川を渡った分岐路から1時間50分なので、キャンプ場からだと2時間をちょっと切るぐらいのようですが、なまった体で重い荷物を担いでいたにしてはがんばったほうでしょう。


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休憩しようかと思いましたが、風があってそれなりに寒かったし、早く剱沢に着いて雨が降る前にテント設営を終えてしまいたかったので、剱御前小屋は通過します。


剱沢方面を示す看板のすぐそばから雪渓へと下る踏み跡があり、先行の登山者2名がそちらに下っていくのが見えたので、うっかり雪渓のほうに下ってしまったら、これがルート間違い。先行の二人は少し雪渓を下ったあたりで右上の斜面に登っていきましたが、自分としては積雪期に雪渓を下って行った先で剱沢キャンプ場を見ているので、このまま下ればいいのではないかと思いもう少し下ってみました。しかし、人の歩いた跡が全然見当たらず、さすがに面倒なことになったらまずいので、適当なところで右手斜面に這い上がり、正規の登山道に合流しました。登山道をずんずん下って行くと雨が降り始め、まずいなあと思いながら先を急ぎます。


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14:40 コースタイムどおりに剱御前小屋から40分で剱沢キャンプ場に到着です。思ったよりも広々としており、まだそれほど混雑もしていない様子でしたが、意外と傾斜があり、条件のいい場所は見た目ほどありませんでした。先にテントを張ってしまおうかと思いましたが、トイレや水場の位置がわからなかったので、受付をするついでにトイレと水場の位置を確認してから、便利のいい場所を探すことにしました。しかし、管理棟に着いたとたんに猛烈な土砂降りになり、条件のいい場所を探してうろうろする余裕はなくなりました。


管理棟から少し戻ったあたりで、そこそこよさそうな場所を見つけて急いでテントを設営し、中に逃げ込んでほっと一息ついたものの、寝転がってみるとけっこうな傾斜があり、しかも地面がすこし凸状になっているらしく、寝転ぶと海老そりしているかのような感じがします。テントを移動することも考えましたが、雨も降っているし面倒だし、疲れていれば寝られるかなと思ってそのままにしたのですが、これが大失敗。ほとんどまともに眠れない状態で、すっかり寝不足気味になってしまいました。

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早めに食事を済ませて、午後7時には寝袋にもぐりこんだものの、2時間ばかり寝たと思ったら目が覚めてしまい、なんだか姿勢が不快で寝付けません。仕方がないので、明日の予定を検討します。明日は剱岳登頂を予定していますが、当然ながら天候しだいです。剱沢キャンプ場からは、コースタイムで山頂まで約3時間。下りは約2時間40分ということで、休憩も入れると往復で6時間強かかると思われます。難所とされるカニのたてばいやよこばいで渋滞待ちにならないためには、やはり朝早く出るほうがいいでしょうし、午後になると天候が悪くなる可能性も高いので、午前中に下山してしまうほうが賢明です。とすると、5時出発、遅くとも6時には出発するということで、計画を立てました。また、登頂が目的だし、一眼レフや三脚はもっていかないことにして、できるだけ荷物を軽量化することにしました。


とはいえ、もしも明日12日の天候がよくなくて、剱岳登頂をキャンセルした場合どうするかも考えておく必要があります。当初の予定では、あさっての13日には池ノ平キャンプ場へ移動することにしていましたが、やはりメインイベントである剱岳登頂をキャンセルしてまで裏剱を見に行くというのはないなあというのが正直なところ。であれば、12日の登頂ができなかった場合は、やはり翌13日にもう一度チャレンジするということになります。しかし、そうなると裏剱方面は日程的に難しくなります。であれば、14日に日帰りで仙人池まで行ってみるということで、もしも時間的に厳しそうなら途中で引き返すことにします。ソロ山行なので、そのあたりは臨機応変に考えることにしました。


午前0時を回った頃、さすがにいつまでも起きているわけにもいかず、眠れないまでもとりあえず目を閉じて横になっておくことにして、ふたたび寝袋にもぐりこみました。少しうとうとしては目が覚めるということを何度か繰り返したものの、午前1時を過ぎた頃に再び目が覚めてしまいました。それでも、他にすることもないので寝袋にもぐったままでじっとしていたところ、すぐ近くに張ってあった大型テントからぼそぼそと話し声がし始め、すぐにまるでランチ時かのように、普通に大きな声で会話が始まってしまいました。聞きたくもない会話が耳に入ってくるので、ますます目が覚めてしまいました。


午前2時前のテント場です。多くの人はまだ寝ている時間であることぐらいわかりそうなものですが、その程度のことにすら気が回らない人たちがパーティーを組んで、小さなミスが事故に直結する可能性の高いバリエーションルートを行くというのですからおどろきです。埼玉県の某山岳会(実名はふせておきます)のテントでした。仮にも山岳会を名乗るのであれば、山に登る技術とあわせてテント場でのマナーもさすが山岳会と思えるほど磨いてほしいものです。多くの山岳会はいたってまともで問題がないから目立たないだけだと思います(思いたい)が、今年6月末に岳沢でクランポンを装備しないで雪渓のある沢を登って遭難騒ぎを起こしたどこかの山岳会などは極端な例としても、山岳会ってこんなレベルなの?と思ってしまうような山岳会が目立ってしまい、山岳会によくないイメージを抱かせる一因になっているような気がします。なんでもそうですが、悪い例ほどよく目立ちます。なお、岳沢の件は、岳沢小屋スタッフブログ6月30日の記事に詳細が書かれています。

つづく。


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| 2014年8月 剱岳別山尾根 | 13:21 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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剱岳~試練と憧れの山 その1

2014年8月11日~14日 富山県立山町 剱岳 単独テント泊 


台風11号の動きは遅く、ちょうど10日の日曜日に近畿地方に上陸するという状況ながら、11日には日本海に抜け、12日~14日はそれなりに晴れマークも出ていた天気予報をよりどころとして、夏山山行に出かけることにしたのが、9日の夜でした。


例年、夏の山行は黒部源流域というのが僕の定番です。雲ノ平を中心とした黒部源流域のゆったりとしたたおやかな山容と、静かで山深い感じが好きで、ずっとあの地域の山岳写真を撮り続けていますが、そうそういつも天候に恵まれるわけでもなく、まだまだ満足のいく写真が撮れていないという意味では、今年も迷わず黒部源流域を目指してもよかったのです。しかし、ここ数年、お盆の時期にしか訪れることができなくなり、テント場の異常な混雑状況などを考えると、気持ちも萎えてしまうのでした。


そういうわけで、お盆の時期でも比較的混雑がなさそうな山域として、裏剱を眺めることができる池ノ平山や仙人池のある山域を訪れてみることにしました。黒部川下廊下に近いこの山域は、秘境という点では雲ノ平に勝るとも劣らない場所ながら、下廊下は例年9月下旬にならないと通行できないので団体さんもまだいないはずだし、剱岳以外に百名山がなくメジャーな縦走路も通っていないこの山域をわざわざ訪れるのは、剱岳のバリエーションルートを攻めるバリバリの山屋か、よほどのモノ好きしかいないだろうと思われ、その分黒部源流域よりも人が少なく静かな山旅が楽しめるのではないかと思ったわけです。


裏剱だけを目指すのであれば、宇奈月温泉から黒部渓谷鉄道を利用して入山したほうが効率的ですが、今回は剱岳登頂も目的のひとつにしたので、観光客や登山客の多い室堂経由で入山することにしました。


8月11日午後2時過ぎ。雨は止み、風もたいして吹いていなかったので、すっかり安心して岡山を出発しました。順調に山陽自動車道を東へと走っていると、電光掲示板に不吉な文字が! なんと雨のために三木小野ICから神戸JCTまでが通行止めになっているではありませんか。姫路のあたりでは全然雨なんて降っていないのに、どういうことなのでしょうか。


パーキングエリアに入って、すこし様子をみていましたが、通行止めが解除される雰囲気はなさそうです。ネットで調べてみると、山陽道だけでなく中国道も宝塚のあたりまで通行止めになっており、待つだけ無駄のようです。そこで、三木小野ICで降りて、一般道で中国道吉川ICまで走り、通行止めになっていない舞鶴若狭道路で富山を目指しました。幸い、今年の夏に敦賀までの全線が開通したばかりの舞鶴若狭道路は、渋滞もなくすこぶる快調に走り抜けることができました。敦賀を通過中に聞いた道路情報では、その時点でもまだ山陽道と中国道の通行止めは解除されていなかったので、あのままパーキングで待っていたら、丸一日無駄にするところでした。


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敦賀を過ぎて、杉津パーキングで休憩していると、水平線ぎりぎりのところにできた雲の隙間から、日本海に沈む夕日が海面を赤く染めて美しい夕景を見せてくれました。


富山に着いたのは午後9時前。スーパー銭湯越の湯で汗を流し、立山駅前駐車場に着いたのは午後11時ごろでした。駐車場はそこそこ混んでいたものの駐車スペースはすぐに見つかり、コンビニで買ってきたビールを一缶飲み干してから、ゆっくり車中泊をすることができました。


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午前5時30分の目覚ましで目覚めると、外は土砂降りの雨です。こりゃだめだと出発を遅らせて、再び眠りの中へ。その後も2度ほど目覚めるも、やっぱり土砂降りは続いており、結局起きたのは午前8時前でした。とりあえず雨は止んでいたので、支度をして立山駅へ行き、8時50分発のケーブルカーに乗り込みました。この時間は団体さんと乗り合わせになってしまい、天気もよくないというのに妙に混雑していてちょっとうんざり。


高原バスが動き出してすぐに、昨晩買っておいた朝食用のおにぎりを食べようと思いましたが、昨晩からすこし蒸し暑い気温が続いていたので、万が一のことを考えて、室堂が近くなってから食べることにしました。そのタイミングなら万一あたってしまったとしても室堂ですぐにトイレに行くことができますし、救護所でクスリをもらうこともできます。幸い、食べてもなんともなかったので、助かりました。


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10:46 室堂ターミナルの外はガスで白く霞んでいます。今日のところは、剱沢キャンプ場までの移動だけなので、天気が多少悪くても問題ありません。しかし、できることなら雨は避けたいものです。


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雪に埋もれていないみくりが池を初めてみることができました。ガスがなければ背後に立山が聳えていて、いい景色だったであろうに残念です。


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けっこう風も強くて、吹流しが真横になびいたままでした。



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11:40 雷鳥沢キャンプ場に着きました。ここも雪のないときに訪れるのは初めてです。積雪期は管理棟のすぐ前にテントが並びますが、実際のテントサイトは、管理等から少し離れた場所に広がっていて、へぇ~という感じでした。雷鳥坂の登りに備えて水を補給し、いよいよここからが今日の核心部です。20kgを越える荷物を背負っての上り坂。6月末に大山に日帰りで登って以来、1ヶ月と少しの間ほとんど運動らしいことはせず、エアコンの効いた部屋でのんびりと過ごしてしまったので、体力は相当落ちているはず。7月後半から、何度かウォーキングやジョギングをしてみたものの、その程度の運動でどうにかなるはずもなく、大いに不安の残るところです。


つづく。


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| 2014年8月 剱岳別山尾根 | 18:29 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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