ヤマふぉと

山の自然や風景をゆったりと眺め、写真を撮るために山に登る。だから、登頂や縦走を目的とせず、好きな山域でテントを張ったり小屋に連泊して、カメラ片手にのんびりと過ごす。そんなスローな山登りを楽しんでます。

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雪の立山大縦走 番外編

2014年5月3日~4日 富山県上市町および射水市

1日目(5月3日)富山市~射水市

予定より一日早く下山してしまい、このまま帰るのももったいないということで、山に登らないまでも少し休暇を楽しんで帰ることにしました。ひとまず、温泉につかってゆっくりして、富山名物のうまいものを食べて、道の駅で車中泊してから、翌日の朝は昨年と同じく雨晴海岸で撮影でもして帰ることにしました。


立山駅から一般道をまっすぐ北上して国道8号線に出て、富山にきたらよく立ち寄っている温泉 越の湯富山店で疲れと汗を流しました。ここはスーパー銭湯であって温泉というけではありませんが、ゆっくりできてきれいだし、なにより国道8号のすぐそばであり、富山市街地にも近いという利便性が魅力です。入浴料も590円とそこそこリーズナブルです。まだ時間が早かったため、わりと空いていたのもよかったです。


ゆっくりとお風呂を楽しんでから、とりあえず車中泊予定の道の駅 カモンパーク新湊へ向けて車を走らせていましたが、途中で気が変わってUターン。富山名物白えび天丼を食べに行くことにしました。道の駅のレストランでも食べられるようですが、道の駅のレストランに独りで入るのもなんとなく気が引けるので、富山駅前にある白えび亭というわりと有名なお店に行ってみることにしました。ここはいわゆる大衆食堂のようなお店らしいので、ひとりでもカウンター席で気兼ねなく食べられるだろうと考えたわけです。


ところが、行ってみると、夕方だったこともあってなんと1時間待ちだとか。持ち帰りだったらすぐできるとのことだったので、持ち帰りにしてもらいました。車に持って帰る途中で、ついでに富山ブラックという名物ラーメンを食べてみたくなりました。そういえば、以前コンビニで富山ブラックのカップめんを見た記憶があります。駐車場からすぐのローソンによってみると、富山ブラックのカップめんがあったので、お湯をもらってコンビニの駐車場で富山名物の晩餐となりました。


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お店で白えび天丼を食べていたらこうはいかなかったので、結果的に持ち帰りにしたのは正解でした。どちらもおいしかったです。富山ブラックは「辛い」と注意書きが書かれていましたが、それほどでもありませんでした。


お腹もふくれたので、カモンパーク新湊へと車を走らせ、19時30分ごろ到着したのですが、けっこう車でいっぱいです。連休後半なので車中泊の車も多いみたいです。建物に近い場所にうまく停められたので、その日はさっさと眠りにつきました。


2日目(5月4日)氷見市雨晴海岸と上市町馬場島

翌朝、日の出前に起きて雨晴海岸へと車を走らせます。連休中の日曜日だというのに誰もいない海岸でカメラをかまえて朝日を待ちます。日の出の時間が近づくにつれて撮影に訪れる人も増え、結局20人ぐらいが三脚を並べるいつもの状況になりました。


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日の出前のこのグラデーションは最高です。


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日の出直後はだるま太陽にもなりました。美しい朝日が昇ってきました。立山連峰のシルエットを絡めたかったのですが、日の出の方角がかなり北によっていたので、このアングルでは無理でした。もっと引きで撮らないと入りません。


撮影を終えて、そのまま帰るのももったいないということで、剱岳早月尾根ルートの登山口である馬場島に行ってみることにしました。


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剱岳の展望がいいという中山に登ってみるというプランも考えながら狭い道を登っていくと、早月川にかかる橋から剱岳のすばらしい展望が!


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橋を渡ったところにある駐車スペースに車を停めて、橋の上からしばし撮影タイム。川辺になにかいるなと思ってよく見るとニホンカモシカでした。中国地方にはなぜか生息していないニホンカモシカを生で見るのは、以前万座スキー場でみていらい二度目です。

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せっかくのチャンスなので、しばらくニホンカモシカを追ってみました。


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GW前に買ったばかりの2倍のテレコンバーターがさっそく役に立ちました。正直、無駄な買い物だったかなあと少し後悔していたのでした。なにしろ、手のひらに乗っかるようなものなのに4万円ですから。


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かれこれ2時間半も撮影に時間を使ってしまい、引き上げたときには10時半になっていました。ようやく車を走らせ始めたのもつかの間、すぐに花を咲かせた桜の木が目に飛び込んできたので、ふたたび車を停めて撮影タイム。剱岳と桜のコラボレーション。この時期に桜が咲いているとは、想定外でした。


11時を回ったところで撮影を終えて、再び馬場島を目指します。今度は途中でよりみちすることなく馬場島に到着。車を停めて、歩いて馬場島を散策します。テントサイトは広々としていて、とても気持ちがよさそうです。トイレもあるし水道もあるしいうことなし。もっとも、上水道かどうかはわかりません。早月尾根の登山口も確認し、今年の夏はここから剱を目指してみようかという想いがふつふつと・・・


少し下ったところにある中山の登山口に移動して、登るかどうか思案していましたが、すっかり曇り空となってしまい、しかもわりと暗い感じの曇り空ということもあって登るのはやめにしました。時間も12時を回っているので、下りてくるころには夕方近くになってしまいそうです。これから長時間運転して岡山まで帰らないといけないので、その前にへとへとになってしまっては居眠り運転になりかねません。思案している横を通って中山に入山していく人が2~3人いたのでたいして時間はかからないのでしょうけど、今回は下見ということで。


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中山登山口から少し下ったところで、若葉と剱岳の組み合わせがきれいだったので少しだけ時間をとって撮影しました。


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上市まで下りてきたところで、剱岳と田園風景の写真を撮ったりしながら移動して、昨日と同じ行動パターンで越の湯と新湊の道の駅に立ち寄って、さらに雨晴海岸へ。


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一瞬でも太陽が顔を出して、立山連峰が浮かび上がることをかすかに期待していましたが、残念ながら願いはかなわず。19時前に家路についたのでした。



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| 2014年4月 立山 | 00:08 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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雪の立山大縦走その6

2014年4月30日~3日 富山県立山町 立山 単独テント泊・小屋泊


3日目(5月2日)別山~剱御前小屋

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雲のベールを纏った剱岳は、顔を出したり隠れたりで、その全容をすっきりとは見せてくれません。夕日に染まる剱岳は無理かもしれないという気もしてきました。


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眼下には真っ白で滑らかな剱沢がゆったりと広がっています。剱沢キャンプ場にはテントが数張あるだけ。GWといえどもさすがに谷間の平日はここまで上がってくる人は少ないようです。来年は、ここまで上がってみるというのもありかなあと思いつつ、スケールの大きな風景に見とれていました。


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目をゆっくりと左手方向に向けると、これから進むべき別山尾根が緩やかな起伏をともなって続いています。その先の鞍部にまぶしく光っているのが剱御前小屋の屋根です。あそこまでなら15分もあれば楽勝です。滑落しそうな場所もないし、のんびりと歩いて行けばいいだけです。


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さらに左に目向けると、雷鳥沢や室堂、浄土山などが一望できます。昨日降った雪のおかげで、この時期にしては純白のきれいな風景になっており、すごくきれいです。このまま日没までずっと見ていたい気持ちになりますが、そろそろ出発しないと夕食に間にあわなくなります。


16:00 別山山頂を出発します。順調に行けば予定の16時30分よりもすこし早く小屋に着くことができそうです。


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ところが、予定外の誘惑があるもので、雷鳥発見。立山を望む斜面でのんびりとしています。立山を背景にした雷鳥の写真が撮れないものかとつい道草を食ってしまいました。結果は失敗でしたが・・・ 雷鳥を大きく写そうとすると立山が入りません。


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立山を入れると雷鳥が小さくなってしまい、そのうえ羽が抜けかわりはじめた白黒模様の羽が、残雪と砂利の風景に見事に溶け込んで、よく探さないとわからにほど。うまくできているものだと、逆に感心するほどです。


早々にあきらめて再び小屋を目指します。2度ほど大きく踏み抜いて足が抜けなくなり、悪戦苦闘してようやく抜け出すなど、思わぬタイムロスも重なって、小屋に着いたのは16時30分を少し過ぎてしまいました。


受付をしているときに混雑具合を聞いてみると、定員に近いぐらいの状況だということですが、とりあえず布団1枚で一人という状況は確保されているので助かりました。


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8畳の部屋に4人だったので、布団もゆったりと敷くことができました。


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5時になって食堂に下りていくと、たしかにテーブルはほぼいっぱいの状態でした。食事つきの小屋泊まりは、いったいいつが最後だったか思い出せないぐらいです。たぶん、2年ぐらい前に荒天で逃げ込んだ三俣山荘以来ではないかと思います。暖かくおいしい食事にすっかりまんぞくです。以前ならご飯を大盛り2杯は食べていたところですが、この日は1杯だけで満腹になってしまいました。食が細ったのか、それとも途中で食べた行動食がいがいとお腹に残っていたのかわかりませんが、我ながら意外でした。


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食後すぐに装備を持って、夕焼けの撮影に出かけました。小屋を出て剱御前方向に尾根を少し登ったところにある2792mのピークから夕日に染まる剱岳を狙うつもりでしたが、西の空の低いところにけっこう雲が出ていて剱はきれいに染まってくれません。全体的に赤っぽくなったもの、期待していたような光景は見られず、今後のお楽しみとなってしまいました。


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しかし、大日三山の向こうに沈む夕日は、けっこうきれいに撮れたので、それがせめてもの救いです。


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日没後のブルーモーメントも期待していたのですが、これもいまひとつだったので、19時前には切り上げて小屋に戻りました。


同宿の人はみな男性で、一人は僕と同じく写真目的の登山ということでした。ラムダの大型バックパックにフィルムの645カメラ機材をつめてきたとのことで、いまでもフィルムユーザーはしっかりと残っているんだなあと実感しました。4人のうち1人はそうそうに寝てしまったので、残った3人で8時ごろまで話をして就寝しましたが、これが失敗でした。

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4日目(5月3日)下山

2時に起きて準備をして、3時ごろから星空の写真を撮るつもりだったのですが、まったく起きる事ができず、ようやく布団から出ることができたのはすでに3時を回っていました。この時期は4時ごろには空が明るくなってしまうので、星空の撮影はこの時点でほぼ不可能。夕日に続いて星空も撮り逃してしまうとは、大失態です。せめてモルゲンロートの剱岳だけでも撮って帰らなければ来た甲斐がないというものです。


なんとか準備を整えて、あわてて小屋を出たのは午前4時。別山尾根をたどって別山方面に行くということも考えましたが、見下ろすよりも少し見上げるぐらいのアングルのほうが山の迫力はでるように思うので、剱沢を下ることにしました。15分ほど下ったあたりで、すでに右手前方の空が赤く色づき始めました。このままテント場まで下って行くと、アングル的に赤く染まった空が入らなくなってしまうと思い、剱御前方向に少し上ったところで三脚をかまえました。


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夜明け前の寒々とした山の空気が辺りを包み、闇の中から次第に剱岳が浮かび上がってきました。撮影場所もわりと標高が高いので、剱岳の迫力がいまひとつのように感じますが、今動くと朝のいい瞬間を撮り逃しかねないので、今日はこの場所で撮りきることにします。やはり、何度も通って自分なりの撮影ポイントを探さないと納得の行く写真は撮れません。


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5時を回ってようやく剱岳に朝日が当たり始めました。山頂から次第に光が降りてくるのかと思いきや、ちょうど剱沢が窓のようになっているのか、下のほうが早くから色づいてきました。方角的に南から見ているので、山全体が色づく感じになりません。やはり、もっと東側から見ることができる場所を探さないといけないようです。ネット上で検索しても、積雪期の剱岳の印象的なモルゲンロートの写真がヒットしないのは、これが原因なのかもしれません。しかし、それならそれで撮影しがいがあるというものです。


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5時15分ごろになると、太陽の赤色はだいぶ弱まって、だんだん白っぽくなってきました。ただ、このころになると剱岳の上にちょっとした縞状の雲が流れてきたので、それはそれでいいアクセントになりました。日の出直後と光があたっている面積はそれほど変わっていないので、あまりドラマチックな変化はありません。

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5時20分を回ると、朝のドラマは終わりました。これにて撮影は終了です。結局、3つの目標のうち、1つだけがなんとか実現できましたが、1つでも実現できたのならよしとしなければなりません。


小屋に戻って、玄関ホールのストーブで暖まりながら、昨晩受け取った朝食の弁当をたべていると、「食事の用意ができました」とアナウンスが流れました。朝食が6時からなら弁当にしなくてもよかったなあと少し後悔しましたが、いまさらどうにもなりません。この時期は、夕食後に夕日の撮影ができるし、朝食前に朝日の撮影ができるので、タイミング的にいい時期のようです。


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7:30 食事も終わり、部屋に戻って布団をたたんで、パッキングを終えて出発です。小屋を出ると、あいかわらず強い風が吹き付けます。横倒しに並べてあるドラム缶をベンチ代わりにしてクランポンを装着し、雷鳥沢へと向かいます。


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雷鳥沢から登ってくる尾根筋の頂上部は、いままで見たことがないぐらいりっぱなナイフリッジになっていました。というよりも、いままでは稜線ではなくて、少し下の斜面にトラバースルートがつけられていたのが、今年はなぜか稜線がルートになっているということのようです。今朝もいい天気ですが、天気予報では前線が近づいていて、午後から崩れるとの予報です。天気がよければ途中から室堂乗越方面に寄り道して、大日岳へ登って帰るという手もありましたが、天気予報を見たあとではさすがにそれはできません。天気が崩れる前に、早くテントへ戻って日のあるうちに寝袋を干しておきたいと考えながら歩いていました。


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雷鳥沢へとまっすぐ下る斜面の途中から、白く輝く立山がくっきりと見えました。無雪期の山も悪くないのですが、やはり積雪期の美しさは格別です。


テントに戻ると、まずは寝袋を引っ張り出して、テントの上に広げました。テント内部の隅っこや銀マットのしたにたまっていたしずくをふき取ったりしているうちに、いつの間にか空には雲が広がり、ほどなくして日差しもなくなってしまいました。寝袋の日干し乾燥計画はあえなく頓挫してしまいました。昨日一日晴天下のテント内に置きっぱなしだったから、寝袋のダウンも乾燥しているのではないかと思うものの、もしかしてまだ湿ったままだったら今晩も寒い思いをするかもしれないなあと思うと、もう一晩テントに泊まるのがだんだん嫌になってきました。


時間はまだたっぷり残っていることだし、いっそこのまま撤収して下山してしまうというのもありだなと思いつきました。頭上を見ると、すっかり曇り空になっていて、前線が近づいてきているのがわかります。どうせ明日は下山するだけだから、このまま天気が崩れて、撤収時に雪か雨なんてことになったら面倒です。それならいっそ今日中に下ってしまうほうがまだ楽です。そうだそうだ、そうしよう。


下山することに決めた時点で、干していた寝袋は即撤去。コンプレッションバッグに押し込んで、パッキングを急ぎます。ちょっと急ぎすぎてずさんなパッキングになったらしくて、入山時よりも荷物がぎゅうぎゅうになって、なぜだかバックパックに入りきらない状況になってしまいました。しかし、無理やり隙間に押し込んだり、ポケットに詰め込んだりしてようやく撤収完了です。


例年通り、ブル道をたどって途中からミクリガ池方向に出るルートで歩き始めると、天気はどんどん悪化してきました。ミクリガ池に近くなった頃には、ガスに巻かれて視界もあまりききません。雪の上の足跡と竹ざおを頼りに歩いて行きますが、なんだかいつまでたってもミクリガ池温泉が見えてきません。ふと気がつくと、前方に手摺が連なっています。なんと、地獄谷を見下ろす展望台に来ていたのです。通常ならミクリガ池温泉の裏から、雷鳥荘方面にまっすぐにルートがあるのですが、ガスでその分岐がわからず、竹ざおにそって歩いたためにぐるりと大回りしてしまったのでした。なんだかどっと疲れが増した気分です。


ようやくミクリガ池温泉にたどり着き、ベンチで少し休憩してから、すぐに室堂ターミナルへと向かいます。ガスで全然ターミナルが見えないので、まだかまだかと思いながら歩いていくと、突然目の前にターミナルが現れました。中に入っていくと、連休の後半初日らしく大混雑。この入下山時の混雑さえなければいいのですが、こればっかりはどうにもなりません。一般の観光客と一緒になってしまう場所の宿命です。


バスを待つ長蛇の列にならび、待つこと30分ばかり。ようやくバスに乗れたのはいいのですが、バスの中でわがままで自己チューの爺さんにちょっと不愉快な気分にさせられたものの、とにもかくにも無事立山駅に降り立って、ホット一息つくことができました。観光客と同じ交通機関を利用する登山というのはできれば避けたいところですが、立山だけはどうしようもありません。来年からは、下山時は朝一番のバスで下るようにしようと思ったのでした。

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| 2014年4月 立山 | 16:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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雪の立山大縦走その5

2014年4月30日~3日 富山県立山町 立山 単独テント泊・小屋泊


3日目(5月2日)富士ノ折立~別山

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標高2999mの富士ノ折立山頂から真砂岳との鞍部までは、およそ標高差200mの傾斜の急な岩ごろの斜面が続きます。たまに岩ごろの夏道が出ているところもありましたが、ほとんどは雪の下なので、ここを歩くのはかえって積雪期のほうが楽かもしれません。とはいえ、僕が歩いた2日後にはここで滑落遭難事故が発生して、一人の方が亡くなられたということなので、雪山に油断は禁物。岩やパンツの裾にクランポンの爪を引掛けないように、足を置いた雪が崩れないように慎重に足を運びます。


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急傾斜の部分がようやく終わり、あとは内蔵助カールの縁にそって最低鞍部までゆったりと歩くだけというところまで下りてきました。この写真では広くて平らな尾根が続いているように見えますが、実際にはあまり広くない尾根のようで、左端の岩が見えているところよりほんの2mほど右に寄っただけで踏み抜きまくりでまともに歩くことができませんでした。


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13:50 真砂岳と富士ノ折立の間にある最低鞍部に着きました。この時点でかなり疲れていて、とにもかくにも荷物を下ろして休憩です。水分を補給し行動食でカロリーをとって歩く力を復活させなければなりませんが、すぐにすぐ元気が湧いてくるはずもなく、疲労は精神も軟弱にしてゆきます。このすぐ先から大走りへの分岐があり、大走りの尾根を下っていけばまっすぐ雷鳥沢キャンプ場に戻ることができます。行程的にはおそらく1時間程度でしょう。しかも下り道です。15時過ぎにテントに戻り、雷鳥ヒュッテのお風呂でゆっくりと疲れをとって、さっさと寝袋にもぐりこんでしまうという安楽コースが思い浮かんでくると、その誘惑に負けてしまいそうな自分がいます。


しかし、天気は崩れそうもなく、西の空はきれいに晴れ渡っています。これであればすくなくとも明日の朝までは天気がもちそうです。であれば、がんばって真砂岳と別山を越えて剱御前小屋まで行けば、朝夕の赤く染まった剱岳をみることも可能です。その上、降るような星空の剱岳も見られるかもしれません。ずっと見たかった風景が見られる絶好のチャンスなのです。ここから別山を越えて剱御前小屋までは夏道のコースタイムで約1.5時間。積雪期でも2時間もあれば行けると思われます。しかし、真砂岳と別山が立ちはだかっています。


真砂岳までは標高差50m程度ですから15分ぐらいで行けるでしょうが、真砂岳から約100m下ってさらに100m登り返すというのが疲れた体にはそうとうきつそうです。すこし前に別山方面から単独の男性が一人通り過ぎましたが、すでに前にも後にも人影はまったく見えません。途中でばてたり、何かトラブルがあったらビバーク必至です。ツェルトは持っていますし、ダウンジャケットやダウンパンツもあります。もちろん、ハードシェルジャケットにハードシェルパンツという厳冬期装備を身につけているし、燃料とクッカーと食料も持ってきているので、簡単に凍死するようなことはないでしょうが、それでも相当な寒さに耐えなければならないことだけは明らかです。現に太陽が出ている今でさえ、風があって寒いため上下ともハードシェルを着用していても暑くはないという状態なのです。安穏と睡眠をとるなんてことはできないでしょう。

進むべきか、下るべきか、それが問題だ。どうする、どうする、どうする。座って考えていてもなかなか答えは決まりません。時間はじりじりと過ぎていくばかり。とにかく、分岐まではまだすこし距離がありますから、そこへたどり着くまでに決めることにして、出発しました。


真砂岳下の大走りへの分岐までは、わずか5分しかかかりませんでした。結局、まだ決めかねている状態で分岐まで来てしまいました。立ち止まって少しの間考えました。天候のリスクはまずありません。剱御前小屋へ行くという選択でのリスクは体力と宿泊可能かどうかです。行動食はまだ十分残っており、小屋で自炊することも考えてアルファ米などの食料もあります。たとえバテバテになっても、休憩と食事で小屋までの体力ぐらいならなんとかなるでしょう。


宿泊可能かどうかはなんともいえませんが、連休の谷間の平日ということを考えれば定員オーバーの状況にはなっていないはず。雷鳥沢から別山へ向かう尾根筋を登る人の様子を眺めながら歩いてきましたが、連休最盛期のようなアリンコの行列状態はまったくみられませんでした。ということは、宿泊予定の登山者はそれほど多くないはず。現に今の時点ではほとんど登っていく人は見られません。とりあえず、稜線上なのでダメダメ携帯のソフトバンクといえども通じそうなので、小屋に電話して予約をとればいいのでしょうが、途中でばててビバークするはめになってしまうと遭難騒ぎになりかねないので、予約を取るのであれば確実に小屋まで行けそうだという確信を持てるまで待つことにしました。


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14:00 決断しなければなりません。夕日に染まる剱、星空の剱、朝日に染まる剱。この3つの剱岳を見ることがいまの僕の当面の目標です。それが実現する可能性がすこぶる高い状況にある今、それをみすみすあきらめて下山するという選択があるだろうか。いや、ない! ここであきらめてどうする!! 目の前にだらだらと続く真砂岳への斜面を、僕は歩き始めました。


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14:13 2860mの真砂岳山頂です。本当のピークはもう少し先にある2861mのピークのほうですが、1mしか違わないので真砂岳登頂としておきます。


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広くて平らな真砂岳山頂部を5分ほど歩いて行くと、道が分岐していました。右へ行けば2861mの山頂、左へ行けば別山へのルートです。迷わず左へと進みます。


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14:53 だらだらとした真砂岳の雪の斜面を下って、別山との間にある鞍部まで下りてきました。ひとまずここで休憩です。目の前に、最後の試練となる別山の登りが見えます。かなりうんざりする風景ですが、1時間もあれば登れそうだなと思えます。体力的に無理という感じはありません。であれば4時30分ごろには剱御前小屋に着けるでしょう。そうと決まれば宿泊予約です。室堂ターミナルが見えている状況なので、ソフトバンクでもつながるのではと淡い期待をもって携帯の電源を入れてみると、期待通りつながりました。剱御前小屋の番号はあらかじめ登録してあるので、すぐにつながりました。宿泊はもちろんOK。予約状況も定員オーバーにはなっていないとのことで、ゆったりと眠れそうです。食事のほうも大丈夫ということで、1泊2食付で予約しました。念のため、何かあっても捜索に来てもらえるように現在地と到着予定時間、予定ルートを伝えておきました。


2日ぶりにつながった携帯には、仕事関係の着信が何本か入っていて、とりあえず連絡をとることができて一安心。しかし、そのおかげで電池が空になってしまい、下山するまで使うことができなくなってしまいました。遭難しても救助も呼べないわけです。よりいっそう慎重な行動を心がけなければなりません。


別山への登りは、思っていた以上につらく厳しいものでした。雪もかなり融けていて、岩のごろごろした急坂をクランポンで登っていかなければなりません。幸いのぼりなので、クランポンの爪を引掛けても前に転ぶだけならたいしたことにはなりません。なので、下りのときほど緊張感がありませんが、何かの拍子に後にひっくり返りでもしたらどうなるかわかりませんから、やはり気を抜けないことにかわりはありません。


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途中、道がわかりにくいところもありましたが、急傾斜の岩場を越えてようやく広々とした斜面に出てきました。上のほうに何か鉄柵のようなものも見えていますから、山頂が近いのかもしれません。


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15:54 石垣に囲まれた祠のようなものが見えてきました。ついに別山の山頂にたどり着きました。鞍部から約1時間。予想通りの行程でした。(しかし、後日地図を見返していたら、別山の本当の山頂2880mはここではなく、ここから東へ5分ほどいったところにあったのでした。まあ、いいですけど。)


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後を振り返れば真砂岳から立山までのルートが傾きかけた日差しの中にくっきりと浮かび上がっています。あの稜線を越えて来たのです。よくがんばったと自分に言いたい気分です。


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そして、反対方向には雲のベールを纏った剱岳がわずかに顔を覗かせていました。


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| 2014年4月 立山 | 00:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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雪の立山大縦走その4

2014年4月30日~3日 富山県立山町 立山 単独テント泊・小屋泊


3日目(5月2日)一ノ越~富士ノ折立

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一ノ越から雄山へのルートは、岩と雪がミックスされた尾根伝いのルートですが、今年は気温がそれほど低くなかったためか、凍結した箇所はほとんどありませんでした。


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そうはいってもそれなりの傾斜があるルートなので、当然ながらクランポンなしではかなり厳しい状況です。


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息がすぐに苦しくなるので、なんども休憩をとりながらすこしづつ上へとつめていくと、ようやく雄山の山頂にある社務所の建物が間近に見えてきました。


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11:16 雄山山頂に着きました。やや風が強く、雪煙で頂上の神社が見えにくい状態でしたが、社務所の建物の陰に入ると風をよけて休憩することができました。前回登ったのは2011年ですが、その時はほとんど荷物のない状態でした。今回はけっこうな重さの荷物を背負っていますがが、おおむね同じぐらいの時間(1時間強)で登ることができました。


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すこし早めの昼食をとるために30分ほど休憩して、雄山神社へと向かいます。


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神社の下からこれから歩く稜線の道が見渡せました。雲の上に頭を覗かせた剱岳も見えています。


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雄山神社前の小さなスペースを通り過ぎて、神社の裏手から稜線に下ります。


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出だしはなんてことのない感じです。


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しかし、すぐに急傾斜の岩ごろの斜面となります。下のほうに鳥居から斜面をトラバースしてきたトレースが見えています。夏道を通った人がいるようですが、数百メートルしたまで続く雪の急斜面を数十mも歩くというのは、なかなか根性がないとできないと思われます。


とはいうものの、神社のある小さな岩峰を下るのもけっこうな難易度で、トレースが見えているほうに下ったほうが簡単そうですが、万一の場合そのまま数百m滑落しそうなので、落ちたとしても10mほど下の平らな稜線にひっかかりそうな右手方向に下りることにしました。


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半分凍結したような岩と雪と氷のミックスされた斜面をバックステップで降りて、ほっと一安心。確か、赤線のラインで下ったはずです。普通に前を向いて下りられるような場所ではないので、確保なしで行くのはそれなりにリスキーです。もしここをいく場合は、ご自分の責任においてくれぐれも事故の無いよう慎重に。


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稜線に降り立ってこの先のルートを見ると、立山の最高峰 大汝山が目の前に見えています。しかし、その手前に大きな岩の露出したピークがあり、先へ進むにはあの大岩の下の斜面を巻いていかざるを得ません。すでに12時を回っているので、雪が緩んでくる頃です。斜面のトラバースはできれば避けたいところですが、いたしかたありません。


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ガチガチなところもあれば、足を置くとズルズルと崩れていくところもあったりで、ヒヤヒヤしながらの長いトラバースをこなし、ようやく大岩を越えて足場のいい稜線に戻ってきたところで後を振り返ると、雄山神社がまるで空に浮かんでいるかのように見えました。


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12:23 大汝山山頂(3015m)です。わりとだだっぴろい雪原のような場所の隅っこに岩が露出していて、その隙間のようなところに山名を書いた標柱がささっています。記念撮影でもと思っていたら、すぐ後から二人組みの登山者が来ていたので、写真だけ撮って先に進むことにしました。


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富士ノ折立に向かう途中、雪の上で小鳥が息絶えていました。標高3000mの雪山が生息域なのか、それとも山を越えていく途中で力尽きたのかわかりませんが、この子も遭難したのかもしれません。


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大汝山から富士ノ折立までは、広くてフラットな雪原のような稜線が続きます。どこでも歩けるように感じますが、右(東)のほうへ行くと雪庇になっているので踏み抜く可能性があり、注意が必要です。


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雪の丘を越えると、富士ノ折立のピークがすぐ近くに見えました。前回来た時にはピークに登らずに通過してしまったので、今回はピークに立つつもりです。


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ピークの下にある大きな岩の下に荷物をデポし、カメラとアックスだけもって登頂しました。わずか5分程度の登りですが、それなりに傾斜も急で慎重な行動が必要です。特に下りは要注意。


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眼下にはクレーターのような内蔵助カールとその淵に盛り上がる真砂岳、その向こうには別山、さらに奥には半分雲に顔を隠した剱岳の姿も見えています。


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西を向くと、眼下に広々とした室堂や雷鳥沢の雪原、右奥には大日連山、雲の切れ間からは富山湾も見えています。


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南には、巨大な雪庇がせり出した今歩いてきた稜線が雲の上に浮かんでいます。まさに絶景。


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すこしの間、見事に晴れ渡った美しい風景に酔いしれていましたが、いつまでも見とれているわけには行きません。あわてず急がず、それでも素早く富士ノ折立のピークから下り、荷物を背負って真砂岳へ向けて出発しました。ひとまず、富士ノ折立からの下りを慎重にこなします。それほど難しいわけではありませんが、転倒は滑落へとつながるリスク大です。クランポンを装着していると爪が岩や雪に引っかかったりしますが、次の足が地面を捉えてしっかりと荷重できる状態になるまでは、足の荷重を移動しないように歩けば、少々なにかに引っかかってもリカバリできます。普通に歩くような体重移動をしていると、爪が引っかかってバランスを崩すと一巻の終わりということになりかねないので、雪山での下りは歩き方に工夫が必要です。



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| 2014年4月 立山 | 19:23 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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雪の立山大縦走その3

2014年4月30日~3日 富山県立山町 立山 単独テント泊・小屋泊


3日目(5月2日)雷鳥沢~一ノ越

午前4時。寒さで目が覚めました。というより、うつらうつらしていた状態から覚醒したという感じ。結局、寒さからは逃れ切れなくて、今日もまた熟睡はできませんでした。そのためか、すっきりとした目覚めではなく、気持ちはあるもののなかなか起き上がることができません。テントをパラパラとたたく音は止んでいたので、とりあえず雪や雨という天気ではなさそうです。なんとか体を起こして外の様子を見てみると、なんだか白くてもやっとしています。


”天気は回復していないのかぁ” と気持ちはトーンダウン。”だったらもう少し寝ようか”と再び横になったものの、 ”いやいや、冷え込みでガスっているだけなら日の出と共にガスは消えるはず。出かける準備だけはしておいたほうがいい。”と思いなおして、ひとまず寝袋に包まったまま上半身を起こし、ポットにつめるお湯を沸かしながら、行動食で簡単な朝食をとりました。


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お湯の準備ができ、朝食を終えて体も頭も目覚めたところでトイレに行こうとテントを出たところ、立山の向こうが赤く染まっていました。


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しかし、山頂付近には笠雲のような妙な雲がまとわりついています。笠雲になると天気は良くならないかもなあと思いながら、トイレに行き、歯を磨いてまたテントに戻り、ひとまず荷物をまとめます。


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6時を過ぎると、空はすっかり晴れてきました。立山にはまだ雲がまとわりついていますが、どうやら消えてなくなりそうな感じです。


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大日岳もくっきりと姿を見せています。


晴れ予報はどうやら的中したようなので、念願だった立山大縦走に出発です。富士ノ折立から大汝山を経て雄山への縦走は以前していますが、真砂岳から別山までのルートは未踏ですし、雄山から別山まで通しで歩くのはもちろん初めてです。ちなみに、立山の雄山、大汝山、富士ノ折立を立山三山としているブログをたまに見かけますが、立山とはこの三峰の総称で、三峰全体で立山です。立山三山とは、浄土山、立山、別山のことです。立山三山縦走したよぉ~! なんて誰かに話してみたものの、結局立山しか登っていませんでしたとなると冷たい目で見られかねないので、くれぐれもお間違えのなきよう。


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6:30 一ノ越に向けて出発です。テント泊装備は置いていくとはいえ、一番重量のあるカメラ機材やストック、クランポン、アックスなどの登山装備は担いで行くので、あまり軽量化されたという気がしません。それでも、担ぎ上げるとき両手でいったん膝の上に持ち上げて、それからショルダーベルトに腕を通すということをしなくても、直接持ち上げてバックパックを担ぐことができるだけ軽くなっているということ。


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ブルドーザーの道が作られている谷筋を一ノ越に向かっていくと、正面に浄土山が大きく見えてきます。昨晩降った雪のおかげで、まっしろできれいな姿です。


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ブル道をしばらく進むと室堂方面に大きく右カーブしていくようになるので、そこからはブル道を左にはずれて、一ノ越へと雪の斜面にとりつきます。背後にも、青と白の美しい世界が広がっていました。


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雄山を見上げながら、広大な雪の斜面を登って行きます。朝早いので、雪はまだそれほど柔らかくなっていませんが、それでも時々大きく踏み抜いてしまうことがあります。日が高くなるにつれ、これからどんどん歩きにくくなること必至です。


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8:35 ようやく室堂から一ノ越へと向かう登山ルートに合流できました。多くの登山者が歩いているため、踏み抜きはほとんどなくなり、歩きやすくなりました。


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8:59 一ノ越に到着です。風が強く寒いので、小屋の裏側に回って休憩することにしました。ところが、休んでいると上から雪の塊が転げ落ちてきて右肩に直撃。とくに問題はなかったのですが、見上げると小屋のアルバイトらしき男性が上のほうで雪下ろしをしようとしています。落としたことに気がついていないのか、それとも知らん顔をしているのか、こちらを無視するかのように下りてきて、隣においてあった誰かのバックパックを脇にどかし始めました。雪下ろしをしたいから移動してほしいということらしいのですが、休憩しているこちらには何も言わず、持ち主のいない荷物だけ勝手に動かして、また上に登っていきました。そして、上のほうからちらちらとこちらの様子を伺っています。


うっとおしいので移動することにして、荷物を担いだところでその男に向かってひとこと言ってやることにしました。「人に雪のかたまりを落としてぶつけておいて、一言もないとはどういうことだ?」 そうしたら、その男はとつぜん言葉を思い出したかのように「すいません、すいません」と二度謝りました。わかっていたのならその時すぐ謝るべきだろうに、この小屋の従業員はいったいなんなんだろうかと、すっかり不愉快な気分にさせられました。屋根の雪下ろしをする場合、下に人がいないことを必ず確認しろとか、誰かいたら事情を説明して移動してもらうようお願いするようにとか、アルバイトに対してあたりまえの教育すらできていないようだし、一ノ越山荘じたいがあまりいい評判を聞かないので、小屋も従業員も同じということなんでしょう。


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10:00 休憩場所を移動してクランポンを装着し、ストックをアックスに持ち替えたりして雄山へ登る準備を整え、いよいよ立山から別山への縦走の始まりです。とにかくまずはこの尾根をたどって標高3003mの雄山まで登らなければなりません。一ノ越からの標高差は約300mですが、3000m近い標高なのでけっこう息が切れます。高山病になる危険もあるので、あせらず一歩一歩踏みしめながら歩き始めました。


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| 2014年4月 立山 | 18:54 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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雪の立山大縦走その2

2014年4月30日~3日 富山県立山町 立山 単独テント泊・小屋泊


2日目(5月1日)

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朝からきれいに晴れ上がりました。これなら別山方面に出かけることができそうだと準備にとりかかります。


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しかし、天気予報では今日は一日曇りのはず。青空を眺めながらホントかなあと疑いつつパッキングを始めますが、立山の山頂付近には雲がまとわりつくようになって来ました。


最初の計画では、2日は晴天の予報だったので今日のうちにロケハンを兼ねて剱沢や別山へ行き、テントは雷鳥沢に残して剱御前小屋に宿泊。明日の早朝から剣岳がらみの星空撮影や朝焼けの剣岳の撮影をして、別山から雄山へと立山を縦走して雷鳥沢に戻ってこようと考えていました。


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しかし、パッキングの途中でテントから外をのぞいてみると、剱御前小屋はガスの中。その後も雲はどんどん増えて、パッキングが終わった頃にはすっかり曇り空になってしまいました。明日の晴天を信じて剱御前小屋まで行ってしまうか、それとも今日は様子を見て明日の早朝の天候で判断するかです。この様子だと夜のうちから晴れるという可能性は低そうなので、剱御前小屋に泊まっても星空は期待薄。まして朝焼けもだめだったらお金と時間の無駄遣いに終わってしまいます。


明日の朝の天候をみて、天気がよければ雄山から別山への縦走とし、そのまま剱御前小屋に宿泊。2日の晴天が3日の朝まで続く可能性もあるので、それなら3日の夜から朝にかけて期待しているシーンに出会えるかもしれません。それなら縦走もできて撮影もできるという一石二鳥のプランとなります。当初の計画の逆バージョンというわけですが、撮影は無理でも縦走ができれば、納得の行く山行になりそうです。


であれば、パッキングは必要なし。天気も悪くなったので、雷鳥を探して撮影して回ることにしました。今年は雪が少なめなのか、それともこれが例年並みなのかわかりませんが、あちこちにハイマツが顔を出しており、これまでの経験からすると雷鳥も多く見られそうな感じです。


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ひとまずミクリガ池方面に向かうために、キャンプ場から雷鳥荘へと雪の斜面を登っていくと、聞き覚えのある「グエェッ」という声が聞こえてきました。


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周りを探してみると、10mほど上の斜面にメスの雷鳥がいました。


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その向こうにはオスの雷鳥も。彼らにつかづ離れずの距離を保ちながら、しばらく撮影を続けました。


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その後、雷鳥荘近くの登山道まで登っていくと、そこにも雷鳥が二羽。やっぱり天気の悪い日は雷鳥に出会える確立が多いようです。


その後も、何羽かの雷鳥を見かけたのですが、斜面の高いところにいたり、近づくと飛び去ってしまったりで撮影はできず。10時30分ぐらいからミゾレが降り始めたので、撮影をやめてテントに戻りました。昼食後、することもないので昼寝。天気が悪いので寝袋はまったく乾くことなく、なんとなくじっとりとしたままでしたが、さすがに昼間は寒さで寝られないということはありませんでした。


ミゾレはその後も降り続き、やがてアラレになり、しまいにはカキ氷のような雪となって夜中まで断続的に降り続きました。湿ってしまった寝袋は、夜になるとやっぱり寒さが浸みてきます。昨晩の反省から、いまさらながらですがゴアテックスのカバーをつけ、マットからの冷たさを緩和するためにソフトシェルを下に敷いてみたりしましたが、たいした効果は得られません。ついにハードシェルを着こんで寝袋にもぐりこんでみたところ、なんとか寒さを抑えることができましたが、さすがに着膨れして寝苦しく、結局この日の夜もぐっすりと熟睡することはかないませんでした。

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| 2014年4月 立山 | 12:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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雪の立山大縦走その1

2014年4月30日~5月3日 富山県立山町 立山 単独テント泊・小屋泊


1日目(4月30日)
GWの長期予報で、はじめとおわりの天気が崩れるとのことから、今年の山行はGW中日に決行することに決めたのはいいものの、どこに行くかはぎりぎりまで迷っていました。いつものように立山へ行けばいいのでしょうが、立山~室堂間のあの混雑を思うとどうも気が進まないということもあり、今年はもっと空いていそうなところにしようかなどとぐだぐだと悩んでいました。白馬あたりも行ってみたいし、静かさでいえば南アルプスの赤石岳あたりもよさそうです。鳳凰三山もよさそうだし、むしろ北岳にも惹かれます。


そうはいっても、まだ立山を十分楽しんだといえるほど満足もしていないのも事実です。立山から別山への縦走もまだだし、大日岳にも登っていません。剱岳の朝夕のいいシーンも見ていないし、剱岳の星空も見ていないのです。浄土山から薬師岳や水晶岳方面の風景も朝夕や夜は見ていないし、龍王岳にも登っていない。そう考えると、やっぱり立山しかないかということになるわけです。


結局、4月29日まで迷っていたものの、立山以外に行くには事前情報の収集が不十分ということで、例年通り立山に行くことに決定。それでも、急に気が変わってもなんとかなるように、GPSに主だった山域の地形図を取り込んでおき、手元にある山と高原地図はひととおり持って出発したのでした。


高速道路の休日割引を利用するために4月29日中には高速道路にのらなければいけないので、午後10時に家を出ました。休日割引が使えない平日などの場合は高速道路代を節約するために姫路までは一般道で行ったりしていましたが、休日割引の料金だと苦労のわりにあまりコストセーブにならないので、岡山ICからさっさと高速にのります。滋賀県に入ってから睡魔に襲われ始めたので、黒丸Pで車中泊することにしました。


朝7時前に目が覚めたので、パーキング内のコンビニで朝食を買い、食べながら出発しました。途中、渋滞にあうこともなく、富山には11時ごろ到着。もともとは1日の朝一番に入山する予定でしたが、この時間なら、雷鳥沢まで上がってテントをはることぐらいはできそうだということで、そのまま立山駅へと向かいます。1時頃に立山駅に到着。そこそこ空いていた駅前の駐車場に車を停め、2時前に切符売り場に行くと、2時20分のケーブルカーに乗ることができました。


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平日だし、午後遅い時間ということで、これほどガラガラの立山駅構内は初めてです。


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ケーブルカーもガラガラ。先頭の座席に座れたので、運転席越しの景色をこれまた初めて見ることができました。雷鳥沢でのテント泊予定なら、なにも混雑する朝一番に登らなくても午後からゆっくりのぼるものいいかもしれません。


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室堂の手前からガスが出てきて、室堂ターミナルを出るとあたりは白いガスの中。


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しかし、雷鳥沢に向かって歩くうちにガスはどんどん晴れてきて、いつしかきれいな青空と立山が見えるようになりました。


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地獄谷の上に立つ雷鳥荘の周囲の雪は、地獄谷から上ってくる硫黄分を含むガスのせいで黄色く変色していて、ちょっと妙な雰囲気です。近づくにしたがって硫黄の匂いがきつくなり、口で息をすると喉にうっと引っかかる感じで咳き込んでしまうため、苦しいのぼりも無理やり鼻で息をしなければならず、けっこうしんどい思いをしました。


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雷鳥沢キャンプ場は、さすがに空いていました。これなら、ヤドカリ作戦で誰かが作ってくれたテントサイトをそのまま活用できそうです。


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管理棟のすぐ前に、1mほど掘り下げられた絶好のテントサイトを見つけて、ヤドカリの引越しよろしくテントを張らせてもらいました。X-ライズ2にはすこし狭かったので、整地と拡充にすこし時間を要したものの、20分で設営を完了し、17時過ぎには受付も済ませて準備完了です。


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早速雷鳥ヒュッテに入浴に行き、戻って夕飯を食べてあとは寝るだけ。しかし、ここで大きな失態を犯してしまいました。コンプレッションバッグからだした寝袋がロフトを早く回復するようにと、ゴアテックスのカバーにいれずにそのまま出した状態で、夕飯の準備をしたり、食後にお茶を飲んだり、さらにポットに入れるお湯を沸かしたりしたため、寝袋のダウンがロフトを回復する過程でたっぷりと湿気を取り込んでしまったらしいのです。


今年の立山は比較的気温が高く、夕方の時点でも4度程度でした。寝袋に入った当初はとくに問題はなかったものの、気温が下がるにつれてどんどん寒さを感じるようになりました。22時ごろには枕もとの腕時計の温度計は2.7度を指していましたが、このぐらいの気温であれば3シーズン用のこの寝袋であれば十分問題なく眠れるはずです。


しかし、この日はまったく違っていました。とにかく寒いのです。当初、上はウールのアンダーにフリース、TNFのレッドポイントライトジャケット(化繊綿のジャケット)、下はジオラインMWにクリマプラス200のパンツ、さらにダウンパンツという必要十分と思われるウェアリングでしたが、さっぱり暖かくなりません。念のためにと持ってきていたアルパインダウンパーカーも着込んでみたら、体の寒さは収まったものの、なぜかマットから冷たさが浸みてきます。


マットは厳冬期でも使っているサーマレストのリッジレストソーライトですから、湿気をすって断熱性能が下がるなんてことはないはずですが、とにかくお尻や背中が冷たいのです。理由としては、寝袋のダウンが湿気で断熱性能が失われたことに起因しているのだろうということぐらいしか思い浮かびません。背中やお尻の部分はどうせ圧迫されるのでたいして断熱性能は確保されていないと思いますが、それでも乾いている状態と湿気ている状態では違うのでしょう。


とにかく、マットレスに接触している面積を減らすのが唯一の寒さ対策ということで、右を向いたり左を向いたりしながら浅い眠りを繰り返すはめになりました。



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| 2014年4月 立山 | 13:20 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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